ファミマ、衣料品専門店の出店検討 「コンビニエンスウェア」好調で コンビニ大手ファミリーマートの細見研介社長が 12 日、朝日新聞のインタビューに応じ、衣料品専門店の出店を検討する考えを明らかにした。 ファミマは「コンビニエンスウェア」というブランドで売る衣料品が好調で、専門店を出すことでさらに売り上げを伸ばしたい考えだ。 「コンビニエンスウェア」はシンプルなデザインと手ごろな価格で人気を集め、販売額は年 100 億円を超えるという。 今後の施策を聞くと、コンビニでは置ける衣料品の点数に限りがあるため、売り上げをより増やすには「(商品を)入れ替えるスピードを上げるしかない」と話し、新商品の投入ペースを早める考えを示した。 その上で、「店舗の形態を変える。 (衣料品を)分離した店舗も検討していきたい。」と専門店の出店について言及した。 動き出す時期などは明言しなかったが、海外高級ブランドが時計や香水などに特化した店舗を展開するのを引き合いに「カテゴリーが育ってくるとそういったことは可能になる」と話した。 「コンビニエンスウェア」は 2021 年 3 月から全国の店舗で本格展開を始めた。 出張先での購入など緊急時の需要が中心だったコンビニ衣料のイメージを打破しようと、著名ファッションデザイナーの落合宏理氏を起用。 デザイン性の高い商品開発を進めてきた。 特にソックスは今年 5 月末までに累計約 2 千万足を売る大ヒット商品となり、ファミマのブランドカラーの青と緑をあしらったラインソックスなどが人気という。 昨年 11 月にはコンビニとしては異例のファッションショーも開催した。 (岩沢志気、井東礁、asahi = 7-13-24) 「社内では非常に燃えるものがある」細見社長の一問一答 細見社長との主なやりとりは以下の通り。 「コンビニエンスウェア」を始めた狙いは。
もともとコンビニの衣料品に不満があったのですか。
本格展開する時点で、これほど成長すると想像していましたか。
他の大手コンビニも衣料品に力を入れ始めています。
コンビニウェアは客単価の向上にも寄与しますか。
コンビニには他の商品も多いので、衣料品の点数を増やして売り上げを伸ばすのは限界がありますね。
今後、衣料品に特化した店舗を出すこともありえますか。
yutori : Z 世代向けを軸に複数のストリートファッションブランドを展開 yutori は主に衣料品及び雑貨等の企画並びにそれらの小売・卸売事業を行っている。 同社の事業は、Z 世代(1997 年から 2009 年に生まれた世代)を対象としたストリートファッションブランドを発端として、その後はストリートブランドに限らないファッションカテゴリーにおいて、アパレル商材の企画及び販売により規模を拡大してきた。 新規ブランドの立ち上げのほか、2023 年 3 月期には、M & A により「F-LAGSTUF-F (フラグスタフ)」、「Younger Song (ヤンガーソング)」、「Wudge Boy (ワッジボーイ)」などのブランドを取得し、ブランド展開戦略の多様化を図っている。 リアル店舗での販売ではなく、EC 販売が主力となっている。 主に同社の複数のブランドを取り扱うプラットフォーム型の自社 EC サイトである「YZ Store」、ZOZO の運営する「ZOZOTOWN」での販売が中心で、そのほかオフライン店舗での販売、および、国内外のセレクトショップへの卸販売も行う。 全体の売上に対する構成比は、YZ Store 39.5%、ZOZOTOWN 32.3%、オフライン店舗 25.9%、卸販売 2.1%、その他 0.2% となっている(2024 年 3 月期末時点)、また広告宣伝として SNS マーケティングに注力しており、社内運用アカウントは合計で 91(2023 年 11 月 15 日時点)ある。 特に Instagram 投稿に力を入れており足元でフォロワーは 180 万人を超える(2024 年 4 月現在)。 高成長が続いており、25 年 3 月期も売上高は前期比 30.0% 増の 5,615 百万円、営業利益は同 30.4% 増の 500 百万円を計画している。 粗利率は引き続き年間を通して約 60% を目指す。 仕入先の集約をし、為替予約、値上げにより粗利率をコントロールする方針。 (Fisco = 6-10-24) ユニクロもしまむらもない街で 100 年超続く衣料品店、最後の日
記事コピー (5-28-24) どうなる「イトーヨーカ堂」 衣料品売場で起きているすごい変化 伝統的な強みを取り戻せるか
記事コピー (5-28-24) ◇ ◇ ◇ イトーヨーカ堂が撤退した衣料品平場をアダストリアが改革 6 月までに 64 店に導入 アダストリアは 2 月 15 日から、総合スーパーのイトーヨーカ堂(以下、ヨーカ堂)にヨーカ堂専用のアパレルブランド「ファウンドグッド (FOUND GOOD)」を供給し、販売している。 セブン & アイ・ホールディングス傘下のヨーカ堂は、長年の低迷を受けて 2023 年 3 月に自前でのアパレル事業から撤退すると発表していた。 まずはヨーカ堂の木場店(東京)、立場店(神奈川)の 2 店に売り場を設けており、6 月までに順次 64 店に拡大していく。 アダストリアで BtoB 事業を手掛けるビジネスプロデュース本部が商品を企画・生産し、ヨーカ堂に供給する。 売り場の空間演出や販促もアダストリアが手掛け、ヨーカ堂スタッフに向けた接客研修、商品説明会も行うなど、商品だけでなくサービスも含めてアダストリアがノウハウを提供する形。 「データ分析を踏まえ、MD 計画もサポートする。 モデルとなる店舗では、アダストリアのスーパーバイザーが OJT を行う。(アダストリア広報担当者)」 アダストリアは「ファウンドグッド」の売り場開設に先駆けて、ヨーカ堂での商品動向をつかむために、昨年末に「スタディオクリップ」のフランチャイズ店舗をヨーカ堂内に出店していた。 「同店の売り上げは好調で、(ヨーカ堂としては)比較的若い 30 - 40 代の客の取り込みにつながっている(同)」と手応えを得ている。 6 月迄に順次導入する「ファウンドグッド」の売り場は約 330 - 990 平方メートル。 モデル店舗となる木場店などは内装、照明、什器などのフル改装を行った。 フル改装を行う店舗と、既存什器のまま商品のみ供給する店舗とで売り上げの比較などを行い、今後効率の高い売り場作りにつなげていく。 売り場の商品構成はウィメンズ 45%、メンズ 25%、キッズ 5%、服飾雑貨 20%、生活雑貨 5%。 価格帯はボトムス 2,900 - 4,900 円、ブラウス 1,900 - 3,900 円、カットソー 900 - 4,900 円、アウター 3,900 - 9,800 円。 アダストリアは 22 年 9 月から、商業施設のゆめタウンを運営するイズミと組み、衣料品平場の刷新を進めてきた。 関与している売り場面積が平均 66 平方メートルというイズミに対し、ヨーカ堂はかなり大型であり、関わり方もより深いものになるようだ。 「総合スーパーの多くが衣料品平場に課題を持っている。 当社が BtoB 事業を拡大していく中で、総合スーパーの衣料品平場刷新の事例を作り、業界活性化につなげていきたい。(同)」 (五十君花実、WWD = 2-16-24) 榮倉奈々、夫・賀来賢人とシックな装い 俳優の榮倉奈々が立ち上げたアパレルブランド『newnow』の 2024 秋冬コレクション受注会が 6 月 7 日から、東京・LA COLLEZIONE UNO で行われる。 これに先駆け、榮倉と夫で俳優の賀来賢人が登場した新ビジュアルが解禁となった。 "変わりつづける今を生きる服" をコンセプトに掲げる同ブランド。 榮倉がスタイリストの上杉美雪をクリエイティブ・ヴィジョン・ディレクター、デザイナーの福屋千春をクチュール・デザイナーに迎えて立ち上げた同ブランドは、受注生産を基本として、ファッションを愛する人々に向けた本格的な服作りを行っている。 Episode.0 と題された昨秋のデビューシーズンに続く、2024 秋冬コレクションのテーマは「new STANDARD now」。 "newnow とは何か? 今、私たちが本当に着たいものとは?" という命題にクリエイティブチームが真摯に向き合い、素材やシルエット、着心地へのこだわりはもちろん、大人の洗練と遊び心を加えたコレクションを作り上げた。 トレンチチコートやジャケット、ニットといった定番のアイテムから、大胆な素材のボトムや『newnow』オリジナルロゴアイテムまで、手持ちのアイテムに寄り添いながらも着こなしに自由を与えるラインナップが揃っている。 さらに、カラードオーガニックコットンを使用したカリフォルニア発のブランド『UNDYED』やサステナブル素材ブランド『BRiCO (ブリコ)』との取り組みによる新商品も発表。 より環境に配慮したプロダクトを展開する。 今季はユニセックスに着られるアイテムをより豊富に展開。 荒井俊哉氏撮影によるイメージビジュアルでは、ブランドの世界観を伝える撮影に加え、夫で俳優の賀来賢人を起用し、榮倉との夫婦 2 ショットビジュアルも撮影した。 受注会の詳細は公式サイトに掲載している。 ■ 『newnow』 CEO・榮倉奈々コメント この度、応援してくださっている皆様のおかげで 2 回目の受注会を開催することが決定いたしました。 誠にありがとうございます。 今回の newnow は、よりマニッシュなスタイルのご提案となります。 メンズの方にも着用いただけるラインナップも充実させました。 また、今回からお取り組みをさせていただく事となりました UNDYDE、BRiCO といったサステナブルな素材を使用した製品の展開もあります。 より多くの方へこれらの製品を広めたいという想いがあり、来場者の方限定のノベルティも用意させていただいております。 日頃からご愛用してくださってるお客様、初めて newnow を知ってくださるお客様、全ての方に素晴らしいショッピング体験をしていただけますよう、チーム newnow 力を併せて精進して参ります! ぜひ会場へお越しの上、製品を手にとって newnow を体験してみてください! 榮倉奈々 (Oricon = 5-20-24) 掛け布団 110 万円、高級絹糸で開発 温泉旅館やインバウンド向けに 純国産生糸(国産繭から製造される生糸)の約 6 割を生産する日本一の製糸工場「碓氷製糸(群馬県安中市)」は、桐生市の織物事業者と連携して、高級絹織物「御召」を使った作務衣と掛け布団を開発した。 温泉旅館やインバウンド向けを視野に入れており、今後、販売を本格化させる。 「御召」は江戸時代、将軍に愛用されたことから名付けられたという。 価格(税込み)は、掛け布団が 110 万円、作務衣が 22 万円。 桐生市の森秀織物、村田刺繍(ししゅう)所などと共同開発した。 (角津栄一、asahi = 4-29-24) セブン バイ セブン 2024 年春夏の "一点物" 藍染アイテム、伊勢丹新宿店 メンズ館で ![]() セブン バイ セブンより、藍染工房「リトマス」とのコラボレーションコレクションが登場。 2024 年 4 月 24 日から 30日まで伊勢丹新宿店 メンズ館にて開催される期間限定ストアにて販売される。 "一点物" の藍染アイテム 今回セブン バイ セブンとコラボレーションを行うのは、藍染工房のリトマス。 天然素材を使用して自然の発酵を促す日本の伝統的な染色技法によって表現した、1 点ごとに異なる藍色が持ち味だ。 コラボレーションアイテムのベースになるのは、セブン バイ セブンの 2024 年春夏コレクションから選定された多彩なアイテム。 また、セブン バイ セブンがセレクトしたスニーカーにも本藍染を施して展開する。 伊勢丹新宿店 メンズ館で期間限定ストア なお、本コラボレーションに合わせて、伊勢丹新宿店 メンズ館にて期間限定ストアを開催。 1 つずつ手作業で仕上げられる特別なアイテムの中から、お気に入りの 1 点を手に入れることができる。 ■ 期間限定ストア * 4 月 25 日(木)より、セブン バイ セブン フラッグシップストアでも一部アイテムを販売する。 (Fashion Press = 4-22-24) 新宿ルミネ 2 に日本のデザイナーズブランド集結 CFD との協業でポップアップ開催 ルミネは東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)と協業し、4 月 8 - 14 日にルミネ新宿「ルミネ 2」 2 階ギャラリー 2 にポップアップショップ「CFD TOKYO デザイナーズ ポップアップストア」をオープン。 全 10 ブランドの 24 年春夏商品の販売および 24 年秋冬商品の受注をする。 参加ブランドは「ジュン オカモト」や「コーティー」、「サユリタネイ」、「パノルモ」、「ソン」、「リツ」、「ファド ディストーション」、「アロル」、「リシュリュ」、「クオティアス」。 4 月 13 日と 14 日には、モード誌で活躍中のスタイリスト、Yoshi Miyamasu とアイドルグループ櫻坂46・乃木坂46の衣装デザイン、スタイリングを手掛ける市野沢祐大によるトークショーを開催。 事前予約制のフォトシューティングイベントも行う(受付は終了)。 会場では花王が 4 月 20 日に発売する新ヘアケアブランド「メルト」のサンプリングも実施する。 ルミネ新宿で行う意義 CFD TOKYOは日本のファッションデザイナーの団体。 現在、正会員 80 人を有し、物作り、人材育成、PR 販促、営業、ポップアップストア、海外販路開拓など 10 の部会を通じて、ファッションデザイナーが抱える課題解決に向けた活動を行っている。 ルミネはスポンサーの 1 社で、日本のデザイナーを支援し、館として「ファッションとの新しい出会い」を提供すべく、今回のコラボイベントを実施。 ルミネ新宿は新宿駅直結で利便性が高く、ファッション好きの層が多く訪れる。 訪日海外旅行客も多いため、ブランドが認知度を上げるのに有効な機会となりそうだ。 (小田島千春、WWD = 4-8-24) 岡山・井原市の婦人服製造「ノットプライム」破産開始決定 負債総額は約 5,500 万円か 井原市にある婦人服製造、「ノットプライム」が 3 月 6 日に岡山地方裁判所倉敷支部から破産手続きの開始決定を受けたことが分かりました。 民間の信用調査会社、東京商工リサーチ岡山支店によりますと「ノットプライム」は 2013 年の設立の婦人服製造会社で、婦人カジュアル衣料の企画、製造を行い、自社ブランド製品や大手アパレルメーカーの OEM 生産も手がけていました。 2014 年 10 月期には 1 億 7,000 万円の売り上げがありましたが、廉価商品が主体で競合は厳しく、中国での生産を行うなどしてきましたが、新型コロナの影響で思うように仕入れができなくなり、2022 年 10 月期の売り上げは 3,700 万円まで減っていました。 ノットプライムは 2023 年 10 月の時点で事務所を引き払っていました。 負債総額は約 5,500 万円とみられています。 (OHK 岡山放送 = 3-22-24) ウェザーニューズからアパレルへ転身「服のストーリー楽しめるものを」吹き込んだ新風 京都府舞鶴市魚屋の菅原一輝さん (35) は、70 年以上続く縫製会社「福井センイ(同市上安久)」で、従来にない事業を展開して新風を吹き込む。 思い出の服の一部を長方形に切って T シャツに縫い合わせる「ブックマークウェア」や、顧客が型紙に描いたデザインをそのままプリントして服に仕上げるサービスを立ち上げた。 大量生産・消費になりがちなアパレル業界。 そこと一線を画す動きには「服のストーリーをじっくり楽しめるものを作りたかった」との思いがある。福井センイで働き始めたのは 2020 年。 以前は民間気象会社ウェザーニューズ(千葉市)に勤め、16 年のリオデジャネイロ五輪では現地でラグビーやシンクロナイズドスイミングなどの選手向けに天候を予測した。 同五輪後はアジアに気象予報を売り込む仕事を任されたが、新型コロナウイルス禍で業務が止まった。 「敷かれたレールの上を走るのではなく、自分の力で生きていきたい」との思いが募る。 コロナ禍前に生まれた子どもに自然の良さを知ってほしいとの考えもあった。 妻の絢子さん (34) の実家の福井センイを継ぐべく舞鶴市に移住。 会社のそばに舞鶴湾が広がる環境も決断を後押しした。 普段は生地の裁断を担当するかたわら、新事業で市内を駆け回る。 府立舞鶴支援学校の生徒が手がける藍染めの布にほれ込み、地元の洋菓子店の包装採用に結びつけた。 立命館大でスポーツビジネスを専攻した人脈を生かし、地元の中学生がプロ選手から学ぶバレー教室も企画した。 会社にほど近い伊佐津川沿いの古民家を改修し、宿泊施設にする計画も進めている。「服だけでなく、人と人、自然や文化を縫い合わせたい」と未来を思い描く。 (京都新聞 = 3-5-24) ワークマン「職人を軽視してる」批判は本当なのか 企業イメージの変化に、消費者が追いついてない 作業服大手のチェーン・ワークマンが 2 月 5 日、2024 年 3 月期の業績予想を下方修正した。 通期の売上高に当たる営業総収入は、1,365 億 7,600 万円から 1,349 億 9,300 万円に。 純利益は、175 億 6,300 万円から 160 億 3,000 万円に、およそ 1 割ほど引き下げられた格好だ。 近年、ワークマンは専務・土屋哲雄氏の「しない経営」、「エクセル経営」という方針で大きく業績を拡大し、インタビューや書籍などでも注目を集めていた。 それだけに、今回の下方修正は、話題性をもって報じられたニュースとなった。 下方修正の理由自体は、タイミング的な問題も大きく、業績的には今のところ大きな問題はなさそうだが、筆者が興味深く思ったのは、そのニュースに対するコメントに、なぜか「アンチワークマン」的なものが多いことだ。 実はここには「ワークマン」をめぐるイメージの問題、そしてブランドがイメージを変更していく「リブランディング」の問題が隠れていると筆者は思う。 どういうことか。 今回は、このニュースから企業の「イメージ」や「ブランディング」、そして「リブランディング」について考えてみよう。 ズレるワークマンの「イメージ」 ワークマンが業績を下方修正した理由については、暖冬による防寒商品の売れ行きが低調であったことや、キャンプ需要の一巡、継続的な円安に伴う売り上げ原価の影響が指摘されている。 とはいえ、「下方修正」という言葉に引きずられすぎてはいけない。 ワークマンのホームページを見ると、基本的には下方修正後の営業利益も、過去 4 年でほぼ横ばいの数値であり、2019 年 3 月期の営業利益 135 億円から 100 億円ほど高い。 利益率を見ても、他のアパレル企業などと比較すると依然として高水準にある。 つまり、今回の下方修正は、暖冬などによる一時的なものだということだ。 にもかかわらず、こうしたニュースへのコメントを見ると、「ワークマンはオワコン」的な論調のアンチコメントが目立つのが興味深い。 その中には「最近のワークマンは女子向け商品などにうつつを抜かして職人が入りづらい」、「職人向けという本業を疎かにしている」という、もともとワークマンがターゲットにしていた「職人」のほうを向かなくなったことに対する不満が多い。 多くの論者が指摘している通り、高品質なモノやサービスが溢れている今、企業が商品を売るために留意するのが「イメージ」だ。 「ブランドイメージ」と言い換えてもいい。 今回のニュースで明らかになったのは、消費者がワークマンに持つ「イメージ」と、ワークマンが目指そうとしている「イメージ」が離れている、ということだ。 ワークマンの問題をあえて指摘するとすれば、そうした「イメージ」の一致がまだ図られていない、ということだ。 「作業服屋」から「アパレル」へ ワークマンは 1980 年、群馬で誕生した。 その後、全国各地にフランチャイズ店舗を増やし、店舗数は拡大。 高品質かつ廉価な作業服で、作業着業界の圧倒的なシェアを勝ち取る。 現在の専務である土屋氏が『ワークマン式「しない経営」』で述べる通り、ワークマンは競合他社がほとんどいない「ブルーオーシャン」の作業服業界で安定した経営を続けていたのである。 歌手の吉幾三が「行こう、みんなでワークマン」と朗々と歌いあげる CM は多くの人の脳裏にインプットされ、演歌などを聞く「おじさん」のための作業服店 = ワークマン、というイメージが消費者には根強く存在していた。 これが、「本業を疎かにしている」とワークマンを批判する人たちのワークマン・イメージだ。 一方、現実には、ワークマンは、このイメージを脱却しようとしている。 土屋氏が 2012 年に専務に就任。 その 4 年後の 2016 年に、それまで扱っていた「作業服」を「高機能ウェア」と読み替え、それまでのワークマンで、一般人の間で売れ筋商品となっていた商品だけを売る新業態「WORKMAN Plus」をショッピングモールに開店させた。 自社が消費者に提供する便益を、改めて見つめ直した結果と言えるだろう。 さらに 2020 年には、女性向けの新業態「WORKMAN GIRL (ワークマン女子)」を開店した。 「WORKMAN Plus」は現在、全国に 543 店舗、「ワークマン女子」は 44 店舗を展開しているが、いずれにしても「職人向け」の店から「一般人」に向けた、より総合的なアパレル企業としての展開を目指しているといえるだろう。 この理由について、土屋氏は自著で「ワークマンは作業服というブルーオーシャンに過剰適応し、身動きが取れなくなっていた」と述べている(『ワークマン式「しない経営」』)。 安定経営のためにそこからの脱却を図ったというわけだ。 ちなみに、「WORKMAN Plus」を出店した 2016 年には、吉幾三の CM 放映も終了させ、より一般人向けになった新しい CM へと衣替えをした。 ワークマンは「作業服屋」から「一般向けアパレル」へと変貌を遂げようとしている。 つまり、「リブランディング」を試みているのだ。 もちろん、土屋氏が「WORKMAN Plus」が一般に認知されるには「苦節 10 年」という期間が必要だろうと予測している通り、1980 年代から蓄積されてきたイメージを覆すのは簡単なことではない。 そうしたイメージの変化はゆっくりと起こってくるもので、まだ私たちの中には作業服屋としてのワークマンをイメージする人も多い。 今回目立った「本業を疎かにしている」という旨のアンチコメントの多くは、その変化の過程で起こった、いわば成長痛のようなものだろう。 会社としても、当然織り込み済みのはず。 もちろん、昔からの顧客の心が離れてしまうのはよくないが、だからといってリブランディングを途中で止めるのも本末転倒だ。 リブランディングを成し遂げたユニクロ では、ワークマンはどのように企業イメージを変化させていけばいいのだろうか。 実は、同じアパレル業界でこのイメージの変貌に短期間で成功した事例がある。 ユニクロだ。 柳井正率いるファーストリテイリングが運営するアパレル「ユニクロ」は 1984 年、広島県に誕生。 当初は西日本を中心に拡大していたが、徐々に規模が拡大し、現在では国内外合わせて2,434 店舗にも及んでいる。 このユニクロの快進撃を支えたのが、その卓越したブランディングだ『ユニクロ 世界一をつかむ経営』で月泉博は、2009 年、フリースが流行した頃には「ユニバレ」という言葉が流行したことを挙げ、若者たちの間で着ている服が「ユニ」クロ製だと「バレ」ることへの恥ずかしさがあったという。 このように、ブランドイメージ的には「安かろう悪かろう」のイメージを持たれていたユニクロだが、2022 年に実施された第 79 回 JNN データバンク定例全国調査によれば、現在のユニクロの好感度は全国 4 位、明らかにこの 10 年と少しでユニクロのブランドイメージは上がってきた。 ユニクロのリブランディング戦略は、製品の品質向上からロゴまで多岐にわたるが、筆者の考えによれば、その変化を支えたのは、2つの「空間」だと思う。 それが、「メディア空間」と「店舗空間」だ。 ユニクロのリブランディングを支えた 2 つの「空間」 メディア空間とは、CM やネット上での広告をいかにうまく使うのか、ということである。 我々がもっとも企業についてのイメージを持つのが広告だ。 ユニクロは、もともと 2009 年に売り始めたフリースの CM でそのイメージを大きく変えた。 月泉によれば、それまでのユニクロは「時々けったい(関西弁で”風変わり”の意)な広告をする、西のほうからやって来た衣料ディスカウンター」というイメージだったのが、この洗練されたCM 以後、ユニクロのイメージが変化したという。 その後も同社はウェブとも連動した意欲的な広告を制作しており、国際的な広告祭でも受賞を繰り返すなど、メディア空間におけるブランドイメージ向上を巧妙に成し遂げた。 もう一つの空間は、店舗空間である。 「ユニクロ」と聞いてどのような店舗を想像するだろうか。 建物全体がガラス張りになっていて、店内の様子がよく見えるユニクロが思い浮かぶ人が多いのではないだろうか。 実際、銀座や梅田など、ユニクロの旗艦店舗のほとんどはガラス張りになっていて、それ以外の店舗でもガラスを主体とした開放性のある空間が作られている。 かつてのユニクロは赤煉瓦の壁面に、三角屋根が特徴的な店舗外観が多く、どちらかといえば庶民的なデザインが主流だった。 そうした店舗空間をガラス張りのスタイリッシュな空間に変化させてきたのだ。 こうしたガラス張りの建築は、例えばブランドショップや Apple Store のように、ハイソな印象を私たちに与えるが、そのような空間イメージがユニクロに根付いていることもまた、ユニクロのリブランディングに大きな影響をもたらした。 また、スタイリッシュなデザインということでいえば、その商品においてデザイナーコラボを多く手がけてきたことも、イメージアップにつながっているだろう。この源流をたどると、もともと2006年にデザイナーの佐藤可士和をクリエイティブ・ディレクターに任命したあたりから、そうしたデザイン的な洗練度も増していった。今ではユニクロのデザイナーコラボの熱烈なファンも多い。 ワークマンのリブランディングに必要な要素とは 翻って、ワークマンはどうか。 まず、メディア空間の戦略でいえば、やはり吉幾三の CM の印象はまだまだ強い。 代わりに放映が開始された「WORKMAN Plus」の CM をぱっと思い浮かべることのできる人はどれぐらいいるだろうか。 さらに、店舗空間にしても、プレハブ倉庫のような外観の店舗が多く、どこかしら「現場」感がある。 「WORKMAN Plus」に変化させた店舗でも、そのままその建物を使っている場合が多い。 かつてのワークマンであれば、これがいい方向に働いていただろうが、アパレルを目指す現在ではどうか。 リブランディングは、非常に難しい。 特にワークマンのように良くも悪くも根強いイメージを持っていた企業にとってはなおさらだ。 そんな難しさを乗り越えて、ワークマンは「アパレル」に変貌することができるのか。 カギは、「メディア空間」と「店舗空間」という 2 つの空間にある。 (谷頭和希、東洋経済 = 2-10-24) 洗濯可「超薄型」太陽電池を理研が開発 アパレルの機能向上に期待 理化学研究所が「超薄型有機太陽電池」を開発した。 水に強く、洗濯可能で柔軟性があり、ウェアラブルデバイスへの電源供給が期待されている。 ただしビジネス成功には、技術の量産化と価格低下が課題で、これが克服されればアパレルの機能向上が見込まれる。 柔軟性・耐水性 OK "超薄型" 太陽電池 これまで弱点だった「水」に強く、服につけたまま洗濯しても問題ない、"超薄型" 有機太陽電池が開発された。 水の中でも光を当てると発電する太陽電池。 理化学研究所が新たに開発に成功した、水中でも発電できる、厚さ 3 マイクロメートルの「超薄型有機太陽電池」だ。 これまでの超薄型有機太陽電池は、水に弱いという弱点があったが、今回開発された電池は、酸化銀を用いた新たな技術で、薄さや軽さのほか、折り曲げても問題のない柔軟性を維持しつつ、耐水性を実現した。 これにより、従来では発電できなかった水中でも、1 時間以上連続で発電することができるという。 洗濯しても問題がなく、今後、服に取りつけたままの活用や、雨や手洗いの際にぬれても使えるため、ウェアラブルデバイスへの電源供給で応用が期待される。 研究レベル開発から量産化の実現を 「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。 超薄型の有機太陽電池、いかがですか?
洋服が、どのように変わっていくのでしょうか?
洋服の機能性というと、暑さや寒さをしのいだり、ポケットの収納性などのイメージがありますが、それが変わっていくんですかね?
技術はあくまでも成功への手段 日本で生まれた技術が、ビジネスでも成功するためのポイントは、どこにあるのでしょうか?
日本で生まれた技術を大切に育てていきつつ、弱点を強みに変えた製品が、日常生活はもちろん、幅広い分野で生きていくことを期待したいですね。 (FNN = 2-2-24) 「無印良品」中国最大の旗艦店、北京市内にオープン … カシミヤなど「中国素材」前面に売り込み 【北京 = 山下福太郎】 良品計画は 2 日、中国・北京市に「無印良品」の旗艦店を開業した。 内モンゴル自治区産のカシミヤなど「中国素材」を使った商品の販売コーナーを前面に打ち出し、中国の消費者への売り込みを図る。 中国では 376 店舗目で、総面積は 4,950 平方メートルで最大となる。 販売する商品の4割は国内で生産された中国向け商品だという。 良品計画は、不動産市況や雇用情勢の悪化でデフレ懸念が強まる中国で毎年、約 50 店舗のペースで出店を続けている。 清水智副社長は 2 日、報道陣に対し「消費者心理の冷え込みは数字以上に感じるが、これだけ分厚い中間層を持つ国はほかにはない」と話した。 (yomiuri = 2-2-24) 学校制服に昭和以来のモデルチェンジの波 メーカーも「時代」に対応 中学・高校の制服に、昭和以来のモデルチェンジの波が訪れている。 2023 年から新制服を採用したのは全国の中高で747校に上る。 同じデザインによる大量生産の時代から、いまや各校の個性を反映した「学校制服」が定着、ジェンダーレスの流れも相まつ。 少子化にもかかわらず大手メーカーは生産・流通体制の増強に追われる。 「その日、着たいものを」 昨年 12 月 1 日、岡山市北区の県立岡山南高校。 報道陣に今春からの新制服がお披露目された。 男子の詰め襟を廃止し、男女共通の紺地のブレザーとスラックスを導入。 夏服には白の半袖ポロシャツも新たに採用した。 一方、女子のセーラー服や冬用の白色ジャケットは残した。 通称「白ジャケ」は学内外の人気が高く、今回のモデルチェンジを担当した菅公学生服(岡山市)のグループ会社の営業担当、長尾桐帆さんは「現役も卒業生も白ジャケを残すことでは満場一致。 白ジャケの持つイメージを新しいブレザーにもどう落とし込むか考えました。」と話す。 ブレザーの襟元に茶色でアクセントを入れ、セーラーとの統一感を出したのが工夫だ。 ポロシャツや、23 年度から採用したカーディガンとベストのデザインも白ジャケに寄せてある。 新制服の検討に関わった深瀬緋里(あかり)さん(3 年)は「一人ひとりがその日着たいものを選んで、快適で充実した学校生活を送れることを期待します」と後輩たちに言葉を贈った。 制服生地大手の日本毛織(大阪市)によると、23 年から制服をモデルチェンジした中学・高校は全国で 747 校。 22 年には 1992 年以来、30 年ぶりに過去最多を更新していたが、その 22 年の倍近くになった。 内訳は中学 577 校、高校 170 校。 中学 78 校、高校 386 校だった 1992 年と比較すると、ブレザー化の波が中学校にも及んでいることがわかる。 「制服革命」経て多様性の時代へ 岡山県は学生服生産で長年日本一のシェアを誇ってきた。 21 年も約 606 万着を出荷、全国シェアは金額ベースで約 7 割と日本一を保つ。 大正末から昭和初期へかけ児島(現・同県倉敷市)で勃興。 足袋製造や他業種から転じて盛んになった。 戦後、合成繊維の導入で大量生産され、63 年には県内で史上最多の 1,006 万着が生産された。 過当競争などの影響もあり減少する中、86 (昭和 61)年に「富士ヨット」ブランドで知られる業界大手、明石被服興業(現・明石スクールユニフォームカンパニー)が「制服革命」を刊行。 生徒のニーズと学校の教育理念を結びつける「スクール・アイデンティティ」としての制服を提唱し、88 年には森英恵デザインの学生服を発表した。 菅公学生服やテイコク(現・トンボ)なども「デザイナー学生服」を手がけ、ブレザー化への動きが加速。 学生服に代わり「学校制服」と呼ばれるようになる。 昭和末以来となる、現在のモデルチェンジの波。 大きな要因にはジェンダーレスや LGBTQ など、多様性への配慮がある。 菅公学生服は、売上高ではグループで 2023 年 7 月期に過去最高の約 409 億円を記録した。 8 年連続の増収だ。 一方、コスト増により大幅な減益も計上し、2 億 700 万円の純損失。 昭和の時代には全国共通の学生服を大量生産できたが、学校ごとの「学校制服」が定着すると、多品種小ロットへの対応が必要になる。 同社は鳥取県米子市の工場を今年から、ブレザーなどが縫えるように増強する。 また、以前は小売店で主にやっていた生徒 1 人ずつの制服をまとめる「セット組み」もメーカーが作業することが普通になっており、19年以降、群馬県、宮崎県、倉敷市児島地区で相次いで物流センターを増強している。 1985 年に前身会社に入社し、トレンドの変遷を肌身に感じてきた、菅公学生服の曽山紀浩取締役は「この先どういう変化があるのかしっかり見極めて、時代にふさわしいユニホームを作っていきたい」と語る。 (大野宏、asahi = 1-21-24) |