日本人学校バス襲撃 死亡した中国人女性を「美談」として語ることの危うさ

<事件の犠牲となったバス案内係の中国人女性、胡友平さんは中国では英雄扱いされ、日本でも美談のように語られている。 だが、事件に関するニュースソースは中国側にしかなく、確かめる術はない。 美談として語ることで、見えにくくなるものがあるのではないか。>

上海に隣接する中国・蘇州で発生した日本人学校バス襲撃事件。 事件の犠牲となったバス案内係の中国人女性、胡友平さんは中国国内では「身を挺して暴漢に立ち向かい母子を救った英雄」として国を挙げて称賛された。 日本国内においても、正義感のある善良な中国人の存在に救われる思いを抱いた人も多かったのではないか。 反日ムードの根強い中国でも、国籍を越えて分け隔てなく人命を救おうと行動する人がいた。 そんな一種の "美談" としても語られた。 だが、私は釈然としない思いを抱えている。 案内係の女性は、本当に "己を顧みず身を挺して" 亡くなったのだろうか? そんな考えても栓ないような疑問すら、頭の片隅に浮かんでいる。

沈黙していた中国メディア

この事件は、初動から奇妙な点があった。 中国メディアは発生直後は完全に沈黙し、中国外務省が翌日の記者会見で事件について回答したのとほぼ同じタイミングで、地元警察が事件を公表。 こで中国メディアも一斉に報道を開始した。 今回の事件は一歩間違えれば重大な外交問題(しかも中国側にとって明らかに不利)に発展しかねない内容であり、おそらく発生直後から地方行政ではなく、国家の中枢レベルで対応を協議していたと考えられる。 当初の警察の発表文には、案内係の女性について以下のように書かれていた。

<今のところ、中国籍の負傷者は容疑者の犯罪行為を阻止する過程で重傷を負い、救急手当てを受けている。>

女性の死後、新華社通信は以下のように報じた。

<事件で負傷した日本国籍の母親は「犯行当時、胡友平さんは容疑者を食い止めて刺され、地面に倒れた」と語った。 子供はその隙に身をかわしてよけることができたという。 現場を目撃した市民によると、胡友平さんはまず容疑者を引っ張り、続いて後ろから抱きついたものの後ろ手で刺され地面に倒れた。 容疑者がさらに刺していると、市民や運転手、巡回中の警官らによって容疑者は地面に制圧させられた。>

ニュースソースは中国側に

女性は死後、蘇州市政府から「見義勇為模範(正義のため勇敢に行動した模範)」なる称号を与えられた。 地元警察は公示を行い、次のように説明した。

<6 月 24 日 16 時頃、胡友平さんは「蘇州市高新区塔園路新地センターバス停」で刃物で凶行に及ぶ男を発見し、即座に身の危険も顧みず前に出て凶行を阻止したが、容疑者から複数回刺され、救助の甲斐なく不幸にも世を去った。 他の人々に重大な生命の危険が迫るなか、胡友平さんは自らの危険をも顧みず、身を挺して違法な犯罪行為と勇敢に戦い、より多くの人を被害から守った。 勇気を奮って崇高な正義を体現し、社会の正しい気風を発揚したのである。>

日本でも「中国人女性は日本人親子をかばって亡くなった」と報じられているが、それらはこの中国側の警察発表とニュース記事に依拠している。 事件の状況を具体的に伝える情報は、今のところ上記の警察発表と新華社由来の記事だけだ。 このほかに判断材料がないため「中国側がそう言っているのだから、きっとそうなのだろう」と思うよりほかない。 ただ、一つ言えるのは、中国政府にとって案内係の女性は "身を挺して母子を救った英雄" でいてもらわないと非常に困るということだ。

英雄視で見えなくなるもの

仮に、案内係の女性が日本人親子をかばったのではなく「無抵抗のまま殺害されていた」としたら、日中両国の世論はどうなっていたか考えてみたい。 反日感情によって暴走した中国人が日本人学校の生徒を襲ったが、間違えて案内係の中国人を殺してしまった。 日本人親子も負傷した - -。 あまりに救いようがなく、極めて愚かな事件として記憶されることになるだろう。 日本人親子が負傷した」という部分は今以上に大きくクローズアップされ、日本国内の嫌中感情は取り返しの付かないほど増大していただろう。

中国人にとっても、反日感情が原因で自国民が殺されたと聞けば、なんてバカなんだと呆れたり、負傷した日本人親子に対して「申し訳ない」という負い目を抱いたりしてしまうかもしれない。 中国では「日本人をもっと殺すべき」などの過激な言葉を吐く極論主義者もネットを中心に一定数存在するが、今のところ社会の大勢ではないと考えられる。 中国人が無辜の日本人を傷つけたとなると、反日感情を煽ることへの疑問も生じかねないし、何より「我が国はすごい」という自尊心や愛国心にも水を差すことになる。

胡友平さんの死が変えたもの

つまり、案内係の女性が「単なる被害者」として殺害されていた場合、中国政府にとっては以下のような不都合が生じる。

・ 日本人の嫌中感情が高まり外交問題に発展する恐れ
・ 中国人が日本に対して負い目を感じ、愛国心が減退する恐れ
・ 反日感情が暴走した際の愚かしさや危険性に中国人自身が気づいてしまう恐れ

だが、犠牲となった案内係の女性が「己を顧みずに母子を救った」のであれば、こうした不都合はすべて解決する。 「中国で日本人学校のバスが襲撃された」という第一報を聞いたとき、ほとんどの日本人が中国に対して強い嫌悪感を抱いたはず。 が、続報で胡友平さんという名の中国人女性が日本人親子をかばって亡くなったと聞き、今度は心揺さぶられる思いをしたのではないか。

彼女がとっさに取ったであろう自己犠牲的な行為を思い浮かべることで、中国への嫌悪や恐怖は大いに埋め合わせをされたに違いない。 感情的には、いわば "チャラ" になった。 中国国内においても、胡友平さんを讃えることで「中国人民の善良さと勇敢さ」が大々的に宣伝されることとなり、あの事件は「中国人が日本人を襲撃した」のではなく「中国人が日本人を救ったのだ」という心地よいストーリーへと転換された。 それなら、中国人としての自尊心はまったく傷つかない。

真相は分からない。 ただ、彼女の死を美談や英雄譚として片付けることは、何かを見えにくくしてしまうような気がしてならない。 英雄を讃えている限り、事件の背景にある負の部分に目を向けたり、反省したりする意識が薄れるからだ。 彼女は朝、家を出た時には人民の英雄になるつもりなど微塵もなかっただろうし、出来ることなら、平凡で良いからもっと生きたかったに違いない。

死者に投影される私たちの "願望"

刃物を持った男に自発的に立ち向かったのであれ、結果的に立ち向かわざるを得なかったのであれ、あるいは無抵抗のまま突然刺されたのであれ、一人の女性が理不尽に殺害されたことに変わりはない。 それは美談でも英雄譚でもなく、中国社会の暗部によってもたらされた悲惨な出来事である。 その背景には、中国経済の悪化や社会への絶望感のほか、"日本人学校なら襲っても良いだろう"といった反日感情、中国社会を覆う反日ムードのようなものもあったかもしれない。 今後、もしも容疑者が「日本人を狙っていた」、「犯行を阻止された覚えはない」といった供述をしたとしても、それらが報じられることは決してないだろう。

「偶発的な事件」、「身を挺して阻止した」と発表している以上、自国にとって不利益になるような情報を進んで出すとは思えないからだ。 中国側の発表は、本当かもしれないし、本当ではないかもしれない。 でも、それらを確かめる方法は基本的にない。 それが中国と付き合うということなのだろう。 事件や事故で人が亡くなると、私たちはしばしば "できればこうであって欲しい" という理想や願望を犠牲者に投影してしまう。 胡友平さんに対してもそういう行いしていないか、自問したい。 それこそが、正しい弔い方ではないだろうか。 (NewsWeek = 7-6-24)

〈編者注〉 このニュースの発端は、中国の日本大使館が胡友平さんの死に半旗をもって悼んだことでした。 ということは、上記のシナリオを描いたのは日本大使館になります。 上記で述べられている通り、結果的には日本人の反中感情を抑制し、中国社会に潜む過激な反日感情を覆う結果をもたらしたことになります。 ですから、上記の内容あは、日本大使館シナリオの、単なる中国指導部の後付けにしか過ぎないのではないでしょうか。 又、日本大使館がここまで読み切っていたとしたらスゴイ。

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中国で過激な反日言論の「大粛清」 - 台湾メディア

台湾メディアの太報は 1 日、中国版 TikTok の抖音(ドウイン)だけでなく、多数のプラットフォームが過激な反日言論の「大粛清」に動いているとの記事を掲載した。 記事によると、江蘇省蘇州市で 6 月 24 日に起きた日本人母子襲撃事件で、バス案内係だった中国人女性・胡友平(フー・ヨウピン)さんが死亡したことを巡り、中国国内で追悼の声が上がる一方、一部の過激なユーザーからは胡さんを「売国奴」と批判したり、「日本人を絶滅させよ」と呼び掛けたりする声が上がった。

こうした事態を受け、中国のポータルサイト・網易やショート動画プラットフォームの抖音が相次いで声明を出し、過激な投稿の削除やアカウント停止などの措置を講じたと発表した。 また、記事によると、その他のプラットフォームも同様の動きを見せている。 ポータルサイト・騰訊(テンセント)は同 29 日に「一部のネットユーザーが中日の対立を扇動し、極端な民族主義をあおっている」とし、836 件の投稿および 61 のアカウントを凍結したことを発表したほか、検索大手の百度(バイドゥ)も同日、関連の有害情報 338 件に対して措置を講じたと発表した。

また、アニメ・ゲームを中心とした動画プラットフォーム・bilibili (ビリビリ)も同 30 日、「一部のネットユーザーが民族感情をあおり、中日の対立を扇動し、極端な言論を散布し、亡くなった人を中傷し、容疑者を美化するなど、悪影響を与えている。 当プラットフォームはこれらについてトラフィックを制限し、投稿を削除したり、アカウントの投稿制限、永久凍結などを行った」として、503 件の違反コンテンツと 10 のアカウントに対して措置を講じたことを発表した。 (北田、Record China = 7-1-24)

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中国 IT 大手、SNS の反日投稿を規制 日本人母子ら刺傷事件受け

中国上海市に隣接する江蘇省蘇州市で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男性に襲撃された事件を巡り、中国の IT 大手各社が、ネット交流サービス (SNS) への反日的な投稿などの規制を進めている。 各社がこうした取り組みを公表するのは異例で、極端な排外主義の伸長を警戒する中国当局の指導が入った可能性がある。 蘇州で 6 月 24 日に起きた襲撃事件では、日本人の母子らが負傷した。 犯行を止めようとした中国人女性は 2 日後に亡くなり、日中両国から追悼の声が上がっている。 ただ、中国の SNS では当初、日本人母子らを助けたこの女性を中傷したり、過激な日本排斥論を訴えたりする投稿があったことから、当局が対応に乗り出した模様だ。

メッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」などを運営する騰訊控股(テンセント)は同 29 日、「一部のネットユーザーが、中日対立や極端な民族主義をあおっている」として、一部アカウントの閉鎖や関連投稿の削除などを実施したと発表した。 動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」の中国版である「抖音 (ドウイン)」も 30 日、一部アカウントの閉鎖を公表。 短文投稿サイト「微博 (ウェイボー)」も同様の対応をしたという。

今回の事件に関しては、中国の日本人学校に対して「なぜ日本人しか入れないのか」、「スパイでも養成しているのか」など疑念を強調する声が SNS 上で放置されていたことが影響したとの見方もある。 中国当局は、現時点では「事件は偶発的」との見方を示しているが、今後、SNS 規制の抜本的な改革に踏み出すかも注目される。 (北京・小倉祥徳、mainichi = 6-30-24)

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蘇州の日本人母子襲撃事件で死亡した中国人女性のため、日本大使館が半旗を掲げる

中国・江蘇省蘇州市の日本人母子襲撃事件で死亡した中国人女性に哀悼の意を示すため、在中国日本国大使館が 28 日、半旗を掲げた。 蘇州市公安局は同日、今月 24 日に発生した日本人母子襲撃事件で重体となっていたバス案内係の胡友平(ホー・ヨウピン)さんが死亡したことを発表した。 この事件では、スクールバスを待っていた日本人の母親と子どもが刃物のような物で襲われて軽傷を負った。 胡さんはバスに乗り込もうとした犯人の男を止めようとして負傷した。

在中国日本国大使館は 28 日午前、中国の SNS・微博(ウェイボー)に弔意を表す半旗を掲げる動画を投稿し、「胡友平さんが治療のかいなく不幸にもこの世を去られたことを知り、深い痛惜の念を抱いています。 胡さんは犯人の手から罪のない母子を守りました。 彼女の勇気と善良さは、広く中国国民を代表するものだと信じています。 私たちはここに、胡さんの大きな義挙に敬意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます。」とつづった。

微博では「日本大使館が半旗で胡友平に敬意を表す」がトレンド 2 位まで浮上。 ネットユーザーからは日本への批判的な声もあるものの、「ありがとうございます」、「半旗掲揚は日本による胡さんへの最大限の尊重。 どうか安らかに。」、「中日平和友好と暴徒への厳罰を望みます」、「恨みというものは、愚かで貧しい人ほど強烈になるものだ」、「彼女の "友平" という名前は、"友好" + "平和" だ」、「彼女は罪のない子どもを守った。 そして、中国人の尊厳をも守った。」などの声が多く寄せられている。 (北田、Record China = 6-28-24)


祖母と母の日本への態度が変わった - 中国人学生

「何を専攻しているの?」 春節の年始回りが嫌いなのは、久しぶりに会う親戚と話した時に、必ずこのように聞かれるからだ。 「外国語です。」 しかし、ここまでの答えでは親戚は満足しない。 「そう、外国語って言うと …」と、更に問い詰められる。 「ええと、日本語なんです。」 先程まで好奇心満々だった親戚は黙り込んで、凍りついたような気まずい雰囲気に陥るのだ。

大学に入ってからこのようなシーンが何度も繰り返されてきた。 仕方がないことだ。 年に一度しか会えない親戚は言うまでもなく、そもそも我が家でさえ日本に対する偏見がある。 歴史的な理由で、戦争を経験した祖母は日本に恨みを抱いており、いつも戦争のドラマを見て画面を指差し怒っていた。 母の場合は少しましだが、私が日本語を専攻にしようとした時、「英語の方が就職にも役立つ」と言って私を説得しようとした。

今年の春節も、やはり親戚から「専攻は何なのか」と聞かれた。 「日本語だよ。 日本語。」と祖母が私の代わりに答えたのだ。 親戚が「日本は悪い。 日本語は学ぶ価値がない。」と言うのを聞いて祖母は大な声で「万が一戦争が起ったら、日本人と交渉する必要があるだろう」と反論した。 私が「おばあちゃんは、日本が嫌いでしょう」と言うと、祖母は私の手を握り、「でも私はね、孫娘が大好きなんだよ」と呟いた。

日本が嫌いだけれど、祖母は私を信じてくれているのだ。 私が一生懸命に日本語を勉強し、学校から奨学金ももらった時には本当に喜んでくれた。 私が力を注いで頑張っているなら、何らかの理由があるはずだ。 その理由が解らなくても、私の努力を認め、私を支えて応援してくれるのだ。 可愛い孫娘が大好きなことを憎むことはできない。 それが祖母の素朴な考え方である。

祖母の態度の変化に驚かされた数日後、今度は母から急に日本に留学したいかと聞かれた。 私は驚きで喋れなくなった。 日本語を勉強するのにも賛成していなかった母が私の顔を見つめて「おかあさんは、本気だから」と言った。 母は理由を話してくれた。 母は広西壮族自治区来賓市の出入国管理所に勤めており、仕事や留学で海外に行く人たちと普段からたくさん接している。 以前は深く考えることもなく、毎日繰り返す仕事でしかなかった。 しかし、私が日本語を勉強するようになってからは、手続きに来た人に話しかけたりして、段々日本の状況を理解するようになった。 そして、最終的に日本への留学は価値があると判断したのだ。

日本のどこが良いのだろうか。 日本との友好には価値があるのだろうか。 そのような疑問を持っている人が中国には多い。 私の周りも例外ではなかった。 しかし、私が真剣に日本語を学んでいる姿を見て祖母と母の日本への態度が段々変わったのだ。 日本に対する偏見があっても、真剣に日本語を勉強している私を「原点」に、家族の一人一人が日本に友好的になれば、それはやがて他の人にも伝わっていくだろう。

翌日、友人の蘇さんからメッセージがきた。 蘇さんは去年から、広西省の南寧市で毎年行われている東南アジア諸国連合の博覧会で働いているが、その時に撮った「くまモン」の写真を送って来てくれたのだ。 更に驚いたことに、広西省と日本の熊本県はなんと 1982 年に友好提携を結んでいたのだ。 日本は東南アジア諸国連合に加盟しておらず、去年が初めての出展だった。 蘇さんに教えてもらうまで知らなかった。 日中両国が思ったより友好的になり、より深く広い交流を求めていることを感じた。

それを伝えるのが日本語を学ぶ価値だと、ぴんと来た。 両国平和友好交流の事実を客観的に伝え、日本への偏見を解消する「原点」になりたいと思う。 私のような「原点」が増えていき、一人が 100 人、1,000 人、1 万人になれば、今後日中両国の友好に役立つに違いないと思う。 「ご家族と一緒に今年の博覧会にくまモンを見に来てください」と蘇さんは楽しそうに言った。 (原題 : 我が家の対日友好化、覃淳c(大連外国語大学)、Record China = 4-7-24)


ノーベル賞経済学者が中国経済の問題点を指摘 … 「日本のようにはならない。 もっと悪くなるだろう。」

中国経済は減速に向かっていると、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは考えている。 クルーグマンは、中国と 90 年代に経済が衰退した日本との類似点を指摘する。 人口動態に強い逆風が吹いていることから、中国の将来はさらに悪化する可能性が高い。 中国経済は大きな減速に向かっていると、ノーベル賞受賞経済学者のポール・クルーグマンは考えている。 彼は、2023 年に入ってからの期待外れな中国の経済パフォーマンスを、日本の経済力が衰退し始めた 90 年代の経済的苦境と比較した。

クルーグマンは 2023 年 7 月 25 日に公開されたニューヨーク・タイムズへの寄稿文にこう記している。

「中国は最近失速しているように見えることから、将来的に日本のような道を歩むのではないかと言う人もいる。 それに対する私の答えは『おそらくそうはならない。 中国はもっと悪くなるだろう。』だ。」

日本経済が低迷したのは、現在中国が直面しているのと同じような人口問題によるところが大きいとクルーグマンは言う。 少子化と移民の少なさによって、日本の労働人口は2000 年代に入って急速に減少した。 それが日本経済への投資の低迷を招き、債務残高の増加に拍車をかけた。 中国の労働人口もまた、高齢化が進み、若年労働者が雇用確保に苦しむ中で減少している。 中国政府のデータによると、前四半期の若年層の失業率は 21% と過去最悪を記録した。

それに加え、中国はアンバランスな経済にも苦しんでおり、パンデミック後も需要がなかなか回復していないとクルーグマンは言う。 製造業は 5 月に縮小し、中国経済の約 5 分の 1 を占める不動産も停滞している。 こうした要因から、専門家たちは中国の将来について警鐘を鳴らしている。 とりわけ「中所得国の罠」に陥る可能性があるとクルーグマンは指摘する。 これは新興国に見られる現象で、ある時点まで経済が急成長し、その後、停滞するというものだ。

「中国が景気減速に向かうとすれば、興味深いのは、日本の『社会的結束力』、すなわち大衆の苦しみや社会的不安定を伴わずに低成長を管理する能力を中国が再現できるかどうかだ。

私は中国の専門家ではない(のでよく分からないが)、中国がこのように不安定な権威主義政権のもとで、これをやり遂げることができるという兆候はあるのだろうか。」 他の専門家たちは、中国経済の回復がいまだ期待外れであることから、中国経済が危機に瀕していると警告している。 あるシンクタンクによると、需要が低迷を続ける中、中国の再開に向けての取り組みは「失敗する運命にある」とし、また別の専門家は再開の試みを「見せかけ」と評している。 (Jennifer Sor、Business Insider = 4-5-24)


中国で日本のデパートが続々閉店 - 華字メディア

華字メディアの日本華僑報網は 29 日、「日本の百貨店ブランドの三越伊勢丹が中国の店舗を段階的に閉鎖する」、「中国の人々は日本ブランドを好まなくなったのか」とする記事を掲載した。

記事はまず、天津市にある「天津伊勢丹」と「天津浜海新区伊勢丹」が 4 月に、上海市にある「上海梅龍鎮伊勢丹」も 6 月に閉店となり、その後は「仁恒伊勢丹」(天津市) 1 店舗だけになると説明。 「日本でユニクロと同じくらい有名なしまむらは 2020 年に中国にあった 6 店舗全ての閉店を余儀なくされた」とも述べ、「中国の人々は日本ブランドを好まなくなったのだろうか。 もちろん違う。」、「中国で発展を遂げるユニクロの足場固めのカギは日本の経験をそっくりそのまま取り入れるのではなく、中国での事業戦略の調整にある」と指摘した。

記事によると、日中両国で最も違いが見られるのはモバイル決済とそれによって形成されたスマートなライフスタイルだという。 中国では多くの消費者がスマートフォンで買い物を完結しており、時間と体力を費やして店を訪れる従来の買い物モデルは打撃を受け続けている。

記事は、こうした変化を見たユニクロはショッピングアプリを立ち上げるなどして中国の消費者の新たな習慣に全方位的に合わせたと言及。 「おおまかな統計によると、中国の各プラットフォームにおけるユニクロのファンの総数は 1 億人を突破している」とし、これほどの規模のオンラインユーザーであれば EC での販売量を確保でき、実店舗にもメリットがもたらされると述べて「だからユニクロは中国に 930 店舗を持つことができた。 この数字はさらに増える」と論じた。

記事は最後に「従来の商業文化の強みを維持し、現地の特徴に合わせて速やかに経営戦略を調整してこそ、中国という巨大市場でシェアを獲得することができる」とした上で、「日本に進出した中国企業についても同じ道理があてはまる」と指摘した。 (野谷、Record China = 3-31-24)


中国で黄砂 北京では警報発表 29 日には日本に到達見通し

中国で黄砂が発生し、首都・北京では警報が発表されました。 この黄砂は今後、日本に到達する見通しです。 27 日、中国の内モンゴル自治区で撮影された映像です。 強い風で砂が巻き上げられ、日中にもかかわらず車がライトをつけて走行しています。 北京市の気象台は 27 日午後、夜に黄砂が飛来するとして警報を発表しました。

「こちら北京市内の大通りです。黄砂の影響でしょうか、かなりもやがかかったような状況になっています。(記者)」

北京市内では黄砂が飛来した影響か、夜になるにしたがって視界が悪くなりました。 黄砂の影響は 28 日も続く見通しです。 日本の気象庁によりますと、この黄砂は 29 日未明には九州地方に、29 日午後には北海道や東北地方に到達する見通しです。 (TBS = 3-28-24)


日本から到着の中古和服、固形廃棄物として返送 中国・上海税関

【上海】 中国の上海税関は 14 日、日本から輸入品として上海に到着した和服を固体廃棄物と判断し、返送措置を取ったと明らかにした。 同税関が管轄する上海外高橋港区税関が、日本から到着した申告品名「和服」、「和服の帯」の貨物 12 ロットを開梱検査したところ、貨物の中身はいずれも単独包装されておらず、下げ札もなく、色や柄がまちまちな上、明らかに折れ目、シミ、黄ばみ、かび臭さ等があり、中国が輸入を禁止している固体廃棄物に該当することがわかった。

上海税関によると、中古和服は使用済みの衣類に属する。 衣類は人体に直接接触する品であることから、有效な消毒をしなければ、細菌やウイルス、さらには各種伝染病の病原体が付着したままである可能性がある。 こうした「外国のゴミ」が国内に入れば、人々の健康を大きく損ないかねない。 (呉宇、中国・新華社 = 3-18-24)


娘の葬儀の前に連絡途絶え 中国の人権派元弁護士、来日・参列できず

中国の人権派弁護士として知られた唐吉田氏の長女で、日本に留学中に亡くなった正hさん (27) の葬儀が 2 日、東京都葛飾区であった。 唐氏は中国で軟禁状態にある。 支援者らが、唐氏の出国許可を中国政府に求める声明文を在日中国大使館に提出していたが、葬儀への参加はかなわなかった。 支援してきた東京大学の阿古智子教授によると、正hさんは大学進学を目指して 2019 年から東京に留学していたが、21 年 4 月に自宅で倒れ、髄膜炎と診断。 以降、意識が戻らない状態が続き、20 日夕、肺炎のために亡くなった。

唐氏は 10 年に弁護士資格を?奪され、「国家の安全に危害を及ぼす可能性がある」として出国を禁じられている。 阿古教授が 20 日に唐氏に SNS で連絡をとったところ、「(亡くなったことは)午後に知りました。 ただ都合があまりよくありません。 みなさまに感謝します。」と返信があった。 しかし現在は、唐氏との連絡が途絶えているという。 阿古教授は唐氏が「監視下に置かれているのだろう」とみる。 「娘に会いたい、葬儀に参加したいという親の素朴な願いも聴き入れられないのは理解しがたい。 『(出国禁止の理由になった)国家の安全』は政権の論理で、国民のことを考えたものではない」と中国当局の対応を非難した。

葬儀には約 30 人が参列 日本語教師「希望かなえてほしかった」

葬儀には、正hさんを看病してきた母親や、ヘルパー、看護師ら約 30 人が参列した。 正hさんが通った日本語学校の担任だった田中修子さんは「意志が強くて、頑張り屋さんだった」と振り返った。 正hさんは日本の大学に進学し、将来は女性を支援する団体を作りたいと話していたという。 「『大学に絶対に合格して、絶対に報告しに来る』と言って見せた笑顔が忘れられない。 (希望を)かなえてほしかった。」と話した。 (asahi = 3-2-24)


中国、「警察業務拠点」を警視庁捜索 給付金詐取容疑で 2 人書類送検へ

lコロナ禍で収入が減った事業者らを支援する国の持続化給付金をだまし取ったとして、警視庁は 21 日、中国籍の女性 2 人を詐欺容疑で書類送検する方針を固めた。 捜査関係者への取材でわかった。 捜査関係者によると、2 人は共謀し 2020 年 7 月、会社役員の女性 (59) が経営する性風俗店を整体院と偽り、持続化給付金 100 万円をだまし取った疑いがある。 会社経営の女性 (44) は店に名義を貸していたという。

警視庁公安部は 23 年 5 月、中国・福州市の名を冠した一般社団法人が入っていた東京・秋葉原のビルを家宅捜索した。 捜査関係者によると、2 人は当時、同法人の幹部を務めていた。 ビルは、スペインを拠点とする人権 NGO 「セーフガード・ディフェンダーズ」が 22 年に発表した報告書で、中国が日本に設けた「警察業務拠点」として挙げられていた。 同 NGO は、中国福建省などが日本を含め 50 カ国以上に警察業務拠点を設置していると指摘している。 (比嘉展玖、asahi = 2-21-24)


中国の GDP はすでに日本の 4 倍なのに、日本はなぜ不服なのか - 中国専門家

2024 年 2 月 8 日、中国の政治学者で中国人民大学国際関係学院副院長の金燦栄(ジン・ファンロン)氏が自身のSNSアカウント上に「中国のGDPはすでに日本の 4 倍なのに、どうして日本は中国を認めようとしないのか」について論じた動画を掲載した。

動画の中で金氏は、昨年の日中関係が総じて良好ではないと言うべきだったと指摘。 政治的には両国首脳が多国間会議の中で簡単な立ち話をする程度にとどまって相互訪問がなく、淡々と時が過ぎていったとし、経済や貿易においては日本資本による中国からの撤退が比較的目立つという複雑な変化があったとする一方、「これは日本資本の競争力低下が主因であり、政治とはあまり大きな関係がない」と評した。

また、日本と「第三者」によるアクションが比較的多くなっており、その例が中国と南シナ海問題で争っているフィリピンへの支援だと主張。 また、台湾問題でも日本は「第三者」と共にあくどい動きを見せたとし、2 国間関係の冷淡さ、経済・貿易関係の冷え込み、「第三者」との関係を総合した上で「2023 年の日中関係は良好ではなかった」との判断を下したと説明した。

金氏はその上で、「今や中国の実力は日本を上回っているにもかかわらず日本はなおも認めようとしない。 これにはまだ一定の時間がかかるだろう。」と予測。 かつての日英同盟や日独伊三国同盟、そして現在の米国との関係など、歴史を鑑みれば日本は「強いものに服従する」傾向があるとし、「日本に中国を認めさせるには、やはり中国が米国を打ち負かして米国を超えることが必要だ。 中国の GDP が米国の2倍になればいいだろう」と論じた。 (川尻、Record China = 2-10-24)

〈編者注〉 日本は何も不服に思っているわけではありません。 日本は常に是々非々の気持ちで判断しているだけなのです。 国益以前に理に適っているかどうかが大切なのです。 決して時間が解決するものでもありません。 一人当たりの GDP でははるかに日本に及ばないことを認識した方がいいと思います。


春節に合わせ台湾で日本の入国事前審査 地方空港便が対象

台湾で春節(旧正月)の休暇が 8 日から始まるのに合わせ、訪日外国人の入国審査の一部を出発地の空港で行う「プレクリアランス(事前審査)」が台北近郊の桃園国際空港で行われている。 日本到着後の審査は長い待ち時間を強いられることもあり、余裕のある搭乗前の実施で滞在を最大限楽しんでもらう狙いだ。 台湾での本格実施は 2009 年以来で、今回は今月 1 日から 1 カ月間、函館や仙台、高松など地方 10 空港に向かう便の旅客を対象に実施。 手続きは通常数分間で済み、到着後に最終確認して入国許可が出る。 利用は任意だが、対象客の約 9 割が利用しているという。

7 日午前、桃園空港の搭乗ゲート前のブースでは、日本から派遣された入国審査官らが乗客の旅券(パスポート)を確認したり、指紋を登録したりした。 花巻空港(岩手県)が起点の東北周遊ツアーに添乗するガイドの何正之さん (56) は「日本の空港で長く待たされずに済むので、利点は大きい。 お客さんには雪景色をたっぷり楽しんでもらいたい」と話した。

日本政府観光局によると、国・地域別の訪日外国人数(23 年推計値)で台湾は約 420 万人と韓国に次ぐ 2 位。利便性を高め、さらに訪日客を呼び込む期待もある。 なお、日台間には外交関係がないため、派遣された入国審査官 10 人が一時的に、日本の対台湾窓口機関「日本台湾交流協会」の嘱託職員として活動する。 入管庁によると、事前審査には不法入国をいち早く発見できる効果もあるという。 過去にはサッカーの 02 年ワールドカップ日韓大会の際に韓国で、05 - 09 年に台湾などで実施している。 (台北・林哲平、mainichi = 2-7-24)


習近平の手を逃れ、中国のインテリが東京に大集結 …

日本に渡った中国人

記事コピー (2-3-24)


中国で拘束の邦人男性、金杉大使が領事面会 日本側は事態を重視

金杉憲治・駐中国大使が 1 月 30 日に、反スパイ法違反容疑などで拘束・逮捕されているアステラス製薬の日本人男性社員と領事面会したことが分かった。 日中関係筋が明らかにした。 昨年 12 月に着任した金杉氏と男性との領事面会は初めてで、男性は健康状態に大きな問題はなかったという。 男性は昨年 3 月に拘束され、10 月には正式に逮捕された。 日本大使館職員による領事面会は 10 回目となり、垂秀夫・前大使も離任前の昨年 11 月に面会している。 日本側は男性に早期解放を働きかけていることを伝えるとともに、事態を強く重視していることを中国側にも示すねらいがあるとみられる。 (北京・斎藤徳彦、asahi = 1-31-24)

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アステラス社員拘束の中国「日本でも同じ問題起きている」 … 訪中団「あそこまで反論するとは」

中国の王文濤(ワンウェンタオ)商務相が今月 25 日、日中経済協会の訪中団と北京で会談した際、中国当局による邦人拘束について「中国人にとっても日本では同様の問題が起きている」と述べ、正当化していたことが訪中団の議事録から明らかになった。 会談は冒頭を除いて非公開で行われた。 議事録によると、団長の進藤孝生・日本製鉄会長や経団連の十倉雅和会長らが、2023 年 10 月にアステラス製薬の日本人社員が正式逮捕された問題を念頭に反スパイ法への強い懸念を表明した。

これに対し、王氏は、日本で同年 6 月に国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の中国籍の主任研究員が、同 12 月に電子部品大手「アルプスアルパイン」の中国籍の元社員が、営業秘密の情報を漏えいした容疑などで逮捕された事件に言及。 「大きく騒ぎ立てるのではなく、成熟した国家間の成熟した関係を期待している」と語り、譲歩する意向がないことを示唆した。 反スパイ法を巡る不安の解消などが期待されていただけに、訪中団関係者は「あそこまで具体的に反論するとは思わなかった」と落胆した。 約 4 年ぶりとなった経済界の訪中団は、李強(リーチャン)首相とも会談し、経済分野の連携強化で一致した。 (yomiuri = 1-29-24)

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中国湖南省で拘束の 50 代日本人、懲役 12 年確定 スパイ行為を認定

中国の国家安全に危害を加えたとして懲役 12 年の実刑判決を受けた 50 代の日本人男性をめぐり、湖南省高級人民法院(高裁)は一審判決を不服とした男性の上訴を棄却し、判決が確定した。 日中関係筋が明らかにした。 棄却は 3 日付。 男性は 2019 年 7 月に湖南省長沙市で拘束された。 スパイ行為が認定されたが、犯罪事実とされた具体的な内容は不明のままだ。 日本大使館関係者との面会が続いており、健康状態に問題はないという。

15 年以降、中国当局は反スパイ法違反など「国家安全」に関わる容疑で日本人 17 人を拘束。 先月に正式逮捕されたアステラス製薬社員の男性を含む 5 人の拘束が続いており、今回の棄却によりこのうち 3 人の判決が確定した。 外国人の拘束をめぐっては、捜査権限が強化された改正反スパイ法が今年 7 月に施行され、中国でのビジネスに関わる外国人に不安が広がっている。 (北京 = 畑宗太郎、asahi = 11-12-23)

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中国への信頼、再び揺らぐ - 外国企業への調査や社員の拘束相次ぐ 日本人だけではない

中国に対する外国企業の信頼が再び揺らいでいる。 中国当局が米アップルの最も重要なパートナーで、中国最大級の雇用主である台湾のフォックスコン・テクノロジー・グループを調査しているほか、外国企業の社員の身柄を相次ぎ拘束しているためだ。 国営メディアは週末、当局がフォックスコンを巡る税務調査や土地利用に関する精査を実施していると報道。 フォックスコンの主要上場部門である鴻海精密工業は、中国当局に協力すると表明した。

一方、世界有数の広告会社、英 WPP の幹部 1 人と元社員 2 人が中国で逮捕されたと事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 日経新聞が 22 日に報じたところでは、中国当局は 3 月に日本の非鉄専門商社でレアメタル(希少金属)などを扱う中国人社員の身柄を拘束。 また、スパイ容疑で中国当局に拘束されていたアステラス製薬の邦人男性社員は今月、正式に逮捕された。

23 日の台北市場で鴻海の株価は日中ベースで 3 カ月ぶりの大幅安。 上海市場に上場している鴻海傘下のフォックスコン・インダストリアル・インターネット(富士康工業互聯網、FII)は値幅制限の 10% を超える過去最大の下げとなった。 中国は規制当局の行動を公に説明しないことが多く、同国で事業を展開する企業は政府の最終目標を推測するしかない。 共産党の絶大な権力を背景に、経済の監督上の不透明なアプローチが外国企業幹部の不安を招いている。

ナティクシスのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏は「エリートの間で反対意見が増えており、私の感触では指導部の中核は外国の影響力を真に懸念している。 これは外国人に対するシグナルではなく、そうした道をたどるなというエリート層に向けたシグナルだ」と分析した。 (Bloomberg = 10-23-23)

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中国、邦人男性を刑事拘留 スパイ容疑、近く逮捕判断か

【北京】 中国北京市で 3 月にアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ容疑で拘束された事件で、中国当局が男性を刑事拘留したことが 20 日分かった。 中国政府が今月中旬に入って日本側に伝えた。 中国当局は正式に逮捕するかどうかを近く判断するとみられる。日中関係筋が明らかにした。 日本政府は男性の早期解放を求めているが、中国側は応じていない。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り日中関係が悪化する中、男性の拘束長期化が懸念される事態となり、日中関係の安定化はさらに遠のきそうだ。

日本政府関係者によると、北京の日本大使館員が最近、男性と対面で領事面会し、健康状態に問題はないと確認していた。男性の家族との連絡をはじめ必要な支援を行っている。 中国当局は国内法に基づき、刑事拘留から37日以内に正式逮捕するかどうか決める見通し。 男性は帰国直前に「反スパイ法と刑法に違反した」として国家安全当局に拘束され、北京市内の収容施設で監視下に置かれた。 中国政府は男性の具体的な容疑内容を明らかにしていない。 (kyodo = 9-20-23)

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北京で拘束された日本人男性はアステラス製薬社員 今月に帰国予定

北京市内で今月、日本人男性が現地当局に拘束された事件で、男性が製薬大手のアステラス製薬社員であることがわかった。 同社が 26 日、明らかにした。 「外務省を通じて情報収集していく」としている。 日中関係筋によると、男性は国家安全当局に拘束されたことから、スパイ行為などの疑いがかけられている可能性がある。 今月帰国する予定だったが、直前に拘束されたという。 中国当局は 2014 年以降、スパイ行為に関わったなどとして今回を含め少なくとも 17 人の日本人を拘束した。 (asahi = 3-26-23)

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中国当局、北京で 50 代邦人男性を拘束

【北京 = 三塚聖平】 北京市で今月、50 代の日本人男性が中国当局に拘束されたことが 25 日、分かった。 日中関係筋によると、男性は中国の国内法に違反したとして国家安全当局に拘束されたという。 スパイ行為などに関与した疑いがかけられている可能性がある。 男性は、日本企業の中国法人幹部だという情報もある。 中国ではスパイ容疑などで日本人が拘束されることが続いている。 2015 年以降に、今回のケースを除いて少なくとも計 16 人に達する。

男性が拘束された経緯や理由は不明だ。 北京の日本大使館が、面会などを通じて状況の把握や支援を進める。 習近平政権は、14 年に反スパイ法を施行するなど中国で活動する外国人の取り締まりを強化している。 中国は現在、スパイ行為の摘発をさらに強化するため反スパイ法の改正作業を進めており、さらなる影響が出ることが懸念されている。 (sankei = 3-25-23)