楽天 G、モバイル不振で 4 年連続赤字 カード子会社中心の事業再編も

第四の「楽天」

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デュアル SIM で、できなくなってしまった音声とデータ通信の同時利用

一部スポット、時間帯にドコモの通信品質が低下しているのは、既報のとおり。 特に、東京都心部のターミナル駅やその周辺では、速度の落ち方が顕著だ。 筆者が職場にする渋谷駅周辺は、代表例に挙げられているほど。 一定の対策が完了した今でも、通信ができないレベルまで混雑してしまうことがある。 こうした事情を踏まえ、筆者はメインで使うデータ通信の回線を、ドコモからソフトバンクに切り替えることにした。

とは言え、電話や SMS、+メッセージを使っていたメイン回線を丸々 MNP してしまうのは少々手間がかかる。 そこで、Galaxy Z Fold 4 のデュアル SIM 機能を活用して、ドコモ回線を残しつつ、データ通信にソフトバンクを活用することにした。 幸い、7 月に irumo が始まったことで、ドコモならコストを抑えながら回線を維持できるようになった。 これまでも、ソフトバンクは予備回線として「データ通信専用 3G B プラン」を使っていたが、この SIM カードを「メリハリ無制限」に変更。 SIM カードは別のものだが、回線種別としては、メインとサブを入れ替えるようにした格好だ。 これなら、ドコモで電話をしつつ、ソフトバンクでデータ通信することができる。 (石野純也、ケータイ Watch = 8-7-23)


Android スマホが熱くなったらどうする? やってはいけないことは?

Android 端末に限らず、スマートフォンは暑さに弱い。 カメラでコントラストの効いた鮮やかな写真が撮れるのはいいが、高温の炎天下で使用すると瞬く間に熱を持ち、持っていられないほどの熱さになる。 今回は Android 端末が熱くなる原因と、その対策を紹介する。 端末が熱くなる原因は、動画の再生やゲームアプリの起動、テザリングや大容量の通信などがある。 これに加えて夏場の高温と強い直射日光が当たることで、スマホが高温になりやすい環境が生まれる。 端末の温度が上昇し続けると動作が重くなったり、カメラのフラッシュを無効化したり、通信機能を制限したりすることがある。

端末が熱くなるのを防ぐには、負荷がかかるアプリの終了が最優先だ。 加えて高温と直射日光を避ける他、Google Pixel ヘルプによればディスプレイの明るさを下げることも有効としている。 ぺルチェ素子を内蔵した冷却グッズを利用したり、低温にならない保冷剤を使用することも考えよう。 食品などに使用する低温の保冷剤を使用した場合、端末内部が結露して破損する可能性があるため、避けた方がよい。 (ITmedia Mobile = 7-22-23)


「ワンセグスマホが減った」、「Twitter は使いづらい」 災害時の情報取得が難しいワケ

最近、「NHK のせいでワンセグスマホが減った」との投稿を Twitter で見かける機会が多くなった。 地上波テレビ放送のデジタル化に伴い、2006 年に始まった携帯電話・カーナビ向けのワンセグ。 1チャンネル 6Mhz の帯域幅を 13 個のセグメントに分割するデジタル放送に対し、そのうちの 1 セグメントを用いて放送するのがワンセグだ。 しかし、昨今のスマートフォンの多くがこのワンセグに対応しない。

考えられる理由の 1 つに NHK 受信料が挙がる。 最高裁は 2019 年に、ワンセグ機能付き携帯電話の所有で、NHK と受信料契約を結ばなければならないか否か、という訴訟の上告審で「契約義務はないと訴えた原告側の上告をいずれも退ける」との判決を下した。 ワンセグチューナー付きの携帯電話を持っているだけで、NHK 受信料の支払い義務が生じるということだ。 この年を境にワンセグチューナーを搭載したスマホは激減した。

ワンセグは携帯電話でもニュース番組などを視聴できることから、2011 年の東日本大震災などをきっかけに災害時の情報取得手段として注目された。 その時期はスマホのディスプレイの解像度が徐々に向上し、ワンセグより高解像度のフルセグ対応スマホ(フルセグチューナーを搭載したスマホ)も登場。 ソニー、シャープ、富士通(後の FCNT)、Samsung Electronics、LG、HTC など、多くのメーカーが搭載した時期もあった。

その後、4G LTE のエリアが拡大し、スマホの「YouTube」でも高画質な動画を視聴できるようになった。 「Netflix」、「ABEMA」、「Hulu」をはじめとする動画配信サービスが増えた。 特に ABEMA や Hulu ではニュース番組のリアルタイム(ほぼ同時)配信もあり、ワンセグ/フルセグを使わずとも情報取得が可能になった。 ITmedia Mobile が大手 3 キャリア広報に「ワンセグを搭載した携帯が減っている理由」を聞いたところ、「多様な動画サービスが存在しており、需要が減りつつある。 チューナー搭載による端末価格への影響などを総合的に判断している」などと答えていた。

災害時の情報取得はさらに難しく

では、今後、大規模災害の被害に遭った場合、どのようにして情報を取得すべきなのか。 検討候補の 1 つ目にラジオを挙げたい。 ラジオや音声多重放送(複数音声を重ねる放送、ステレオ/サラウンド放送を含む)のみを受信できるチューナーは受信料契約義務の対象外だからだ。 映像出力不可のチューナーなら契約義務は生じない。 そのため、ラジオが聴ける(FM ラジオと IP サイマルラジオ「radiko.jp (ラジコ)」双方の聴取に対応する)スマホ、通称「ラジスマ」という選択肢はあるが、最近ではチューナー搭載によるコスト増加がメーカーの負担となり、ラジオチューナーすら搭載しない機種が増えている。 (一部機種は市販のイヤフォンや USB Type-Cから 3.5mm オーディオジャックに変換するアダプタが必要)

2023 年に発売される機種でラジスマ対応の表記があるのは「AQUOS R8 SH-52D」、「AQUOS R8 pro SH-51D」、「AQUOS wish3 SH-53D」。 FM ラジオ対応の表記があるのは「arrows N F-51C」、「Galaxy A54 5G SC-53D」、「Galaxy S23 SC-51D」、「Galaxy S23 Ultra SC-52D」だ。 ところが、ラジスマの公式サイトに記載されている機種を見ると、ほとんどが数年前の型落ち機種ばかりで最新の情報に更新されていない。 この内、京セラが 5 月 16 日に汎用的な個人向け携帯電話事業から撤退すると表明。 高耐久スマートフォン「TORQUE」シリーズは継続予定だが、ラジスマが発売される可能性は低い。 5 月 30 日には FCNT が民事再生手続きの申し立てをすると発表し、事実上経営破綻したことが明らかになった。

ラジスマに頼れないなら、他に情報取得手段はあるのか? Twitter などの SNS を挙げたいところだが、Twitter は予告なしに閲覧制限を実施した他、ここ数日の不具合で「使いづらい」との声があがっている。 米 Meta の新たな SNS 「Threads (スレッズ)」もアリかもしれないが、ハッシュタグが使えない点やキーワード検索ができない点などは Twitter に劣る。 これらの機能は将来的に実装される予定だが、現時点(2023 年 7 月現在)で Threads の 1 本化は厳しい。

LINE アプリのニュースや他のニュースサイトを使う手もあるが、SNS も Web のニュースサイトも通信手段(モバイルデータ通信や Wi-Fi)を確保できなければ意味がない。 スマホを取り巻く環境を整理してみると、災害時の情報取得がさらに難しくなっていることが分かる。 メーカーにもユーザーにも負担にならない新たな情報取得手段が求められているのが現状だ。 (ITmedia Mobile = 7-16-23)

〈編者注〉 確かに、電力とネット回線の同時喪失を考えると、今の我々は、情報取得に「全くのお手上げ」状態になることは間違いありません。 唯々、ネット回線は無事であることを祈る他ないのでしょうか?


KDDI、障害対策の自動化進む AI で検知し復旧はワンクリックに

携帯電話大手 KDDI が昨夏に引き起こした大規模な通信障害から、1 年が過ぎた。 約 61 時間に及んだ障害では、個人の通話やインターネットの利用にとどまらず、金融や物流など幅広い分野でサービスが滞った。 ネット環境が社会インフラとなるなか、通信障害への備えはどれだけ進んだのか。 KDDI は 10 日、東京都多摩市の「多摩第 5 ネットワークセンター」を報道陣に公開した。 全国の通信網をモニタリングする「監視室」があり、大阪市にある拠点と合わせて常時計約 50 人態勢で 24 時間、障害に対応している。

大規模な通信障害が発生したのは昨年 7 月 2 日。 データを仕分けする「コアルーター」の保守作業時の設定ミスがきっかけで、回線が渋滞する「輻輳(ふくそう)」が起きた。 全国で延べ 3,091 万人以上が影響を受けた。 同社はこうした事態への対策として、対応の自動化を進めている。 複数のシステムにまたがって輻輳が発生した場合、これまでは手動で対応していたが、復旧をほぼ「ワンクリック」で対処できるようにした。 AI (人工知能)による障害検知の仕組みも今年度中にも導入し、検知のスピードや精度をあげたい考えだ。

同社の担当者は「昨年の障害は社会に多大なる影響を与えて重大な障害だった。 決して起こしてはならない。 このことを改めて認識したい。」と述べた。 KDDI の通信障害では、銀行の店舗外の ATM や、宅配便の配送状況の確認、コネクテッドカー(つながる車)の車載通信サービスが利用できなくなるなどした。 あらゆるものがネットにつながる「IoT」化が進み、安定的なネット環境は様々なサービスの前提となっている。

今後は障害への事前の備えに加え、影響の範囲を抑えるための対策を、両輪で進める必要がある。 対策の一つが「ローミング」だ。 総務省などは、非常時に契約先ではない別の携帯大手の他社回線に乗り入れ、一般通話やデータ通信ができる「フルローミング方式」を導入する方針だ。 ネットワーク中枢に障害が発生し、フルローミングが難しい場合でも、110 番、119 番ができる「緊急通報のみ」のローミング方式を可能にする。 いずれも 2025 年度末ごろに運用を始める計画だ。

携帯大手などでつくる「無線 LAN ビジネス推進連絡会」は、誰でも無料で使える公衆無線 LAN (WiFi) を、大規模な通信障害時にも提供する。 さらに、総務省は今年 9 月にも、携帯大手などに対する定期的な監査(モニタリング)を始める方針だ。 昨年は NTT ドコモや楽天モバイルなども通信障害を起こしている。 同省は各社の過去の通信障害への再発防止策の取り組みを点検し、人材の配置や設備投資が十分かどうか確認する。

日本総研の浅川秀之主席研究員は「技術が高度化するなかで、ネットワークをかつてのように物理的に把握するのは難しく、これまでとは違う観点での対策が必要になっている。 今はまさに端境期だ」と指摘。 「通信インフラは生活の基盤になっており、障害時の影響の度合いは年々大きくなっている。 個人での備えには限界があり、携帯大手などの設備投資だけでなく国も一体となった障害への対策が、これまで以上に重要になってくる」と述べた。 (松本真弥、asahi = 7-11-23)

KDDIなどの通信障害により打ち出された対策

  • ローミング : 総務省などは契約先ではない別の携帯大手の通信網に乗り入れる「ローミング」を導入する方針
  • 公衆無線 LAN : 携帯大手などの業界団体は、災害時に限っていた「公衆無線 LAN」の開放を通信障害時にも実施へ
  • 30 分以内に初報 : 携帯大手などは、通信障害の発生から原則 30 分以内に初報
  • 事業者への監査 : 総務省は定期的に携帯大手などを監査し、過去の通信障害を受けた再発防止策の取り組み状況を確認

復活のシャープスマホ、海外展開に勝算はあるか?

京セラ、FCNT とスマートフォン事業からの撤退が相次いだ日本のメーカーたち。 残る日本メーカーは 2 社となってしまったが、そんななか、そのうちの 1 社であるシャープが「グローバルへの再挑戦」を始める。

家電で築いたブランドで勝負

先日、開催された新 CM 完成披露イベントにおいて、同社のスマートフォン「AQUOS」を台湾とインドネシアでフルラインアップ展開すると明らかにしたのだ。 実はシャープではすでに台湾、インドネシアで AQUOS の一部モデルを販売していたという。 シャープ 通信事業本部の小林繁本部長は「台湾はだいぶ前から、インドネシアは最近、販売を始めたばかり。 インドネシアはこれまで 4G メインだったが、5G がジャカルタ以外にも広がったので、今後、フラグシップモデルを出していきたい。」と語る。 特にインドネシアでは「白物家電メーカーとしてのシャープ」としてのブランド認知が高いようだ。

小林本部長は「インドネシアでは、オープンマーケットでスマートフォンを売っているが量販店でイベントをやると販売が伸びる。 実は冷蔵庫や洗濯機においては、インドネシア国内でシェア 1 位だったりもするので、信頼できるブランドとして、現地では好意的に見られているようだ。」という。 冷蔵庫や洗濯機と同じメーカーのスマートフォンを買ってくれるかはかなり謎ではあるが、シャープブランドの信頼感は確実にインドネシア国民に根付いているようだ。 今回、シャープは AQUOS スマートフォンの「フルラインアップ」としてエントリーからハイエンドまで幅広く世界に向けて商品展開をしていく。

海外からの注目高し

この宣言を聞いたときに、筆者は「ようやく来たか」と膝を打った。 なぜなら、実はシャープのスマートフォンは実は密かに世界から注目されていると、数年前から認識しており「早く世界で出せば良いのに」とずっと思っていたからだ。 なぜ、シャープの製品が世界で求められているかとわかったかと言えば、筆者が YouTube チャンネルを運営しているからにほかならない。 YouTube チャンネルで、2021 年に「Leitz Phone 1」の紹介やレビュー動画をアップした際、海外からのアクセスが数 % にも達したのだ。

国でいえば、ベトナムやドイツ、フランス、ロシア、イラク、ミャンマー、ポーランド、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、ルーマニア、チリ、コロンビア、ボリビア、コスタリカ、チェコ、ドミニカ共和国など多岐に渡っていた。 当然、コメントもあり「なんで英語で解説してくれないのだ」、「これは日本でしか買えないのか。 海外でも売ってくれ。」と外国語で書き込まれたのであった。 特に多かったのがタイ、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、香港、アメリカといった国や地域であった。

シャープが今回、「台湾とインドネシアでフルラインアップ展開する」と発表したときに納得したのは、この 2 つのエリアからシャープへの期待値が高いというのが、YouTube を見れば一目瞭然だからだ。 シャープも当然のことながら、世界から注目されているのは理解しているようで「AQUOS R8 Pro を発表したときは香港、台湾あたりからのサイトへのアクセスが跳ね上がった。 全体の何分の一ものアクセス数を稼いでいた。 また、ヨーロッパからのアクセスも多かった。 さらにサイトの滞留時間も長く、結構、見られているようだ。 最近は、発表内容を外国語に翻訳した方がいいかなと考えている(小林本部長)」という。

ひとつ気になるのがライカブランドのスマートフォンである「Leitz Phone」は海外で出せるのかという点だ。 ライカは日本ではシャープを製造メーカーとしてパートナーに選んでいるが、中国などではシャオミが相手となっている。 小林本部長に尋ねたところ「Leitz Phone はライカとの相談次第で出せるのではないか。 国ごとに取り決めが違い、また Leitz Phone はライセンスではないので、気にする必要はない」という。 Leitz Phone に関しては取り扱いキャリアとしてソフトバンクも絡んでくるため、どこまで現実味を帯びているのかは不透明ではあるが、海外には確実に「Leitz Phone が欲しい」というユーザーがいるだけに、なんとかそうした人たちの手に届くようになると、シャープにとってもハッピーなのではないだろうか。

インバウンド需要もポイントに

日本にいるユーザーからすれば、円安基調ということで、ハイエンドスマートフォンがどうしても高く感じてしまう。 一方で、海外であれば当然のことながら、そこまで高価に感じないだろう。 Leitz Phone や AQUOS R8 Pro のようなハイエンド端末が、SIM フリーで日本国内の家電量販店で売られていたらコロナ禍が落ち着き、大挙して日本に訪れてきている訪日外国人が「お土産」として、買って帰ることも考えれるだろう。 シャープは、今回の CM 完成披露イベントで「シャープのスマホはスペック表を埋めるよりもスペック表をつくる会社だ」とアピールしていた。 世界初の技術などを他社に先駆けて取り入れることで、スマートフォンのトレンドをいち早くつくってきた実績がある。

当然、海外のスマートフォン大好きユーザーとすれば、AQUOS を欲しいと思うニーズがあるのは間違いない。 今回のように海外展開を強化するのも1つの策だろうし、訪日外国人が円安と免税を背景に気軽にハイエンドの SIM フリースマートフォンをお土産として家電量販店で買えるような環境が整備されると、日本メーカーも世界で名を轟かせることができるのではないだろうか。 (石川温、ケータイ Watch = 7-7-23)


グーグル初の折りたたみスマホ「Pixel Fold」、閉じてスマホ/開いて大画面でイチオシの使い方とは

Google 初の折りたたみタイプとして、7 月下旬以降に発売予定の「Pixel Fold」。 価格は Google の直販で 25 万 3,000 円となっており、NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンクからも発売が予定されている。 今記事では、発売前のテスト機を Google からお借りして、その使い勝手などをチェックしていく。

外観をじっくりチェック

まず始めに、筆者はこれまでフォルダブルタイプのスマートフォンをタッチ & トライなどで触ったことはあるものの、じっくりと常用したことはなく、フォルダブルタイプを本格的に使用するのは初めてに近い状態である。 大きさは折りたたんだ状態で 139.7 x 79.5 x 12.1mm、広げた状態だと 139.7 x 158.7 x 5.8mm となっている。 重さは約 283g なので、開いた状態だと、重さが分散されるためそれほどでもないが、閉じた状態だと一般的なスマートフォンの感覚だとズシリと重い印象。 ディスプレイの開閉はやや堅めで、片手で開ききるのは構造的にも難しく、両手での操作となる。 またヒンジの部分は折れ目が若干目につくものの、使用している最中はそこまで気になるレベルではない。

高品質なディスプレイ

ディスプレイは、開いた状態のインナーディスプレイが 7.6 インチ(1,840 x 2,208 ドット)で、アウターディスプレイは 5.8 インチ(1,080 x 2,092 ドット)。 アスペクト比はインナーディスプレイが 6 : 5 で正方形に近く、アウターディスプレイは 17.4 : 9 となっている。 どちらも有機 EL パネルで、コントラスト比 1,000,000 : 1、HDR 対応、24 ビット フルカラー(1,600 万色)と発色もよく、リフレッシュレートは最大 120Hz ということで、動画なども高いクオリティーで楽しめる。

ただし、アスペクト比的には動画コンテンツをそこまで大きく楽しめるわけではなく、たとえば 16 : 9 の YouTube 動画の場合、インナーディスプレイを横に開いた状態で全画面表示にすると、上下の黒縁が多い。 表示領域を計測すると、長辺は実寸で約 148mm。 また縦に開いた場合の長辺は 124mm となっている。 一方、アウターディスプレイは、標準の表示だとアスペクト比的に左右に黒枠ができ、表示領域の長辺は 120mm。 カメラのピンホールを気にせず上下をカットして左右に合わせた拡大表示で130mmだった。

用途によって感じる使い勝手の違い

閉じた状態と開いた状態では、長辺の表示が「約 20mm - 30mm も違う」と感じるか、約 20mm - 30mm "しか" 違わないと感じるか。 個人的にフォルダブルタイプに食指が動かないポイントはココで、せっかく広げて使うなら、閉じたときの長辺と開いたときの長編が倍くらい違うと、フォルダブルタイプを持ち歩く意味がある気がする。 ただし、これは動画視聴に限った目線で、もちろん大きなインナーディスプレイを活用できるアプリやコンテンツも多い。

たとえば、Kindleなどの電子書籍アプリは、最近のスマートフォンだと長辺が長いアスペクト比のものが多く、コミックなどは上下に余白が多くなり、小説などは1行が長くなるため、目線を動かす距離も長くなる。 その点、「Pixel Fold」は 6 : 5 というアスペクト比のため、コミックなら見開き表示にすると上下の余白も気にならない。 また縦にすると 1 ページ表示になるが、左右の余白も少なく読みやすい。小説などの縦書きテキストも、あまり目線を動かさずに読める。 ただし中央にも文章が表示されるため、コミックのように中央部分に余白があるような表示するモードがあると、より読みやすいと感じた。

もちろん画面分割をしても、十分な表示領域があるので使いやすい。 飲食店を探すときは横開き状態で片方に地図アプリを表示して店を探しながら、もう片方に Web ブラウザーを表示してお店をチェックしたりできる。 縦開きなら上下に分割できるので、片方に動画を表示しつつ、もう片方でSNSに投稿といった操作方法も簡単だ。 ちなみに、文字入力は左右にボタンを分けるスプリットのほか、片方に寄せるフローティングもできるので、開いた状態でも片手で持って入力可能だ。

一番イイのはカメラ

「Pixel Fold」は、アウトカメラにメインの 4,800 万画素(F 値 1.7、センサーサイズ 1/2 インチ)、超広角の 1,080 万画素(F 値 2.2、画角 121.1 度)、望遠の 1,080 万画素(F 値 3.05)を搭載したトリプルレンズ仕様。 フォルダブルタイプという形状の恩恵をいちばん受けると感じたのが、カメラアプリを使った撮影だ。 Pixel シリーズのカメラは、「夜景モード」や「長時間露光」といった機能が秀逸だが、これらの撮影時には極力固定して撮影する必要がある。 手持ちの場合はどうしても動いてしまうが、Pixel Fold は折り曲げた状態やテントモードの状態でも撮影できるので、三脚やフォルダーなどなしで単体で置いて固定できるという利点がある。

アウターディスプレイにもインカメラ(1,080 万画素望遠、F 値 3.05)を搭載しているが、開いた状態にすれば、アウトカメラをインカメラとして撮影も可能。 アウトカメラもインカメラも両方使うケースが多いという、ユーザーにはうれしいポイントだ。

Pixel シリーズらしい、コンピュテーショナルフォトグラフィーによる補正などではっきりとした発色になっている。 Pixel Fold を初めとするフォルダブルタイプの場合、 いかに「開いた状態」で使う頻度が高いか というのが、ユーザーの好みにフィットするポイントだと感じた。 普段からスマートフォンでも複数アプリを使い、マルチタスクで作業するようなユーザー、写真や動画の編集など極力、画面が大きい方がいいアプリを使うユーザーには合っていそうだ。 (中山智、ケータイ Watch = 6-28-23)


Google Pixel、スマホ国内 2 位に浮上 安さで iPhone 追う

米グーグルのスマートフォン「Pixel (ピクセル)」が存在感を高めている。 独自機能や割安感が受け、5 月単月の国内シェアは米アップルに次ぐ 2 位だった。 国内スマホ市場で縮小と淘汰が進む中、基本ソフト (OS) を手掛ける米 2 強が争う構図が強まる。 「(グーグルの OS を載せた)アンドロイド端末を使うのは初めて。 写真編集機能や手ごろな価格が気になっていた。」 横浜市の 50 代の男性会社員は 5 月中旬、ビックカメラ有楽町店(東京・千代田)でグーグルの新型スマホ「ピクセル 7a」を購入した。

決め手は価格だ。 5 月 11 日に発売したピクセル 7a は直販価格が 6 万 2,700 円からと、22 年 10 月発売の「ピクセル 7」より約 2 万円安い。 愛用していたアップルの「iPhone」で、最新機種の価格が 2022 年に 10 万円を超えたことも乗り換えを後押しした。 グーグルの「7a」は自社開発した半導体を搭載し、人工知能 (AI) を使って撮影後に写真のピントを修正するなど上位機種と同様の最新機能が使える。 ビックカメラ有楽町店の販売担当者は「販売は好調。 通信会社の乗り換え割引で買う人が多い。」と話す。

家電量販店やネット通販の販売データを扱う調査会社 BCN (東京・千代田)によると、スマホの 5 月の販売シェアはグーグルが 13.3% と、前月から 6 ポイント上昇して過去最高だった。 51.8% と圧倒的なシェアを握るアップルに次ぐ 2 番手だった。 「7a」から NTT ドコモがグーグル製スマホの取り扱いを再開した効果もあったようだ。 グーグルがピクセルの国内販売を始めたのは 18 年。 シェアはしばらく 1 - 2% 台だったが、22 年夏ごろから上昇し始めた。 22 年 10 月から 6 カ月続けて全体の 2 位となり、23 年は 1 - 5 月の平均で 9.6% と前年同期の 5 倍に高まった。 シャープやソニー、韓国サムスン電子といった他のアンドロイド勢を上回っている。

BCN の森英二アナリストによると「年明け以降はピクセルが通信会社の値引き対象機種になる例が増えた」という。 グーグルの競争力について「OS や半導体に加え、アプリも多く自社で手掛けており、今後も優位を保てる」と分析する。 グーグルは自社サイトを通じた販売も強化している。 「7a」発売直後は他社製の中古品も高額で下取りするキャンペーンを展開した。 購入者には動画配信「ユーチューブ」の有料会員の特典を一定期間与えるなど、自社のネットサービスも活用する。

今後のピクセルブランドの成長の鍵を握るのが、スマホ以外の端末への横展開だ。 22 年 10 月に発売したスマートウオッチ「ピクセルウオッチ」に続き、20 日にはタブレット端末、7 月には折り畳み式スマホを発売する。 スマホを起点に消費者の周辺機器需要の取り込みを狙う。 ただ、ここでも行く手に立ちはだかるのがアップルだ。 調査会社の MM 総研(東京・港)によるとアップルの国内シェアはタブレットが約 50%、スマートウオッチは約 60% に達する。 iPhone との機能連携を強みに、周辺機器市場でも支配力を保っている。

アップルの「独り勝ち」が続く中、アンドロイド中心の国内メーカーには新たな淘汰の波が押し寄せている。 5 月中旬にはバルミューダと京セラが相次いで撤退や事業縮小を決めた。 下旬には「らくらくホン」を手がける FCNT が民事再生法の適用を申請して経営破綻した。 アンドロイドの利用者が減ると、その分グーグルのサービスに接する機会も減りやすい。 ゲームなど課金時に手数料が得られるアプリ配信事業や、クラウドサービス、検索広告といった幅広い事業で負の影響が出かねない。 OS を通じた利用者との接点を確保するため、端末でもグーグル自身が先頭に立ってアップルに対抗している状況だ。

スマホ市場の成熟に伴って消費者の買い替えサイクルは長期化している。 MM 総研によると 22 年度の国内出荷台数は 12% 減の 2,985 万台と 3 年ぶりに 3,000 万台の大台を下回った。 総務省は「1 円スマホ」などの安売りを防ぐため、5 月末に新たな値引き制限案を公表した。 消費者の買い替え需要がさらに冷え込む可能性がある。 (伴正春、前田悠太、nikkei = 6-17-23)