1 カ月動静不明の中国・秦剛外相、半年で異例の解任 習主席が信頼

中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は 25 日、秦剛(チンカン)国務委員兼外相 (57) の職を解き、共産党外交部門トップの王毅(ワンイー)政治局員 (69) が外相に再就任することを決めた。 秦氏は 1 カ月前から動静が途絶えており、国際会議などへの欠席が続いていた。 健康問題やスキャンダルなどの未確認情報が流れており、就任からわずか半年での極めて異例の交代となった。 国営新華社通信が伝えた。 秦氏の辞任の理由は明らかにされていない。

秦氏は習近平(シーチンピン)国家主席の信頼を得て、駐米大使や外相への抜擢を受けたとされる。 秦氏の交代によって習指導部の対外政策に直ちに大きな変化が起きる可能性は低い。 しかし、中国では外相は 5 - 10 年単位で職責を務めることが多く、昨年 12 月に任命されたばかりの「外交の顔」がわずか半年あまりで降板する異常事態となった。 秦氏は外務省報道局長や、要人の外遊や接遇を担う礼賓(儀典)局長などを歴任。 米国での勤務経験はなかったにもかかわらず、2021 年には最重要ポストの一つである駐米大使に抜擢され、昨年末にほかの有力候補を退けて外相に就任した。

ゼロコロナ政策後の中国外交の「顔」として積極的に外遊などをこなしていたが、6 月 25 日にベトナムやスリランカの外相らとの会談が伝えられたあと、1 カ月にわたって動静が途絶えた。 7 月中旬にインドネシアで開かれた東南アジア諸国連合 (ASEAN) 外相の関連会合も前任の王氏が出席し、外務省は秦氏の欠席について「身体の理由(汪文斌副報道局長)」と説明した。 一方、秦氏が公の場から姿を消して以来、SNS などでは駐米大使時代に女性問題があった、などと真偽不明の情報も取りざたされている。

王氏は 04 - 07 年に駐日大使を務めた「日本通」。 13 - 22 年に約 10 年間外相を務めた後、昨年 10 月に党トップ 24 の政治局員に就任。 今年 1 月に共産党で外交政策を統括する中央外事工作委員会弁公室主任に就任していた。 (北京 = 畑宗太郎、asahi = 7-25-23)

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中国外相、公の場に 3 週間以上姿見せず 臆測飛び交う

香港 : 中国の秦剛(チンカン)外相 (57) が 3 週間以上前から公の場に姿を見せなくなり、さまざまな臆測が飛び交っている。 生え抜きの外交官で習近平(シーチンピン)国家主席が信頼する側近の秦氏は、駐米中国大使を経て昨年 12 月に外相に昇進。 対米関係が悪化する中で、6 月に中国を訪問した米国のブリンケン国務長官と会談するなど、米中関係の安定化に向けて重要な役割を果たしていた。

ところが北京でスリランカやベトナム、ロシアの当局者と会談し、ロシアのルデンコ外務次官と並んで笑顔で歩く姿が目撃されたのを最後に、6 月 25 日以来、公の場に姿を見せなくなった。 「中国の世界における立場や影響力を考えると、外相が 20 日以上も公の場に姿を見せないのは本当におかしい。」 米国に住む中国共産党機関紙の元編集者はそう語る。 中国外務省報道官は 17 日の記者会見で、秦氏の長期不在について質問されると「提供できる情報がない」と述べ、中国の外交活動は平常通りに行われていると言い添えた。

秦氏は今月上旬、欧州連合 (EU) 外交政策トップのボレル氏と北京で会談する予定だった。 しかしロイター通信によると、中国から EU に対し、この日程が「不可能になった」と連絡があり、会談は延期された。 ボレル氏は 5 日に北京に到着する予定だったが、中国から連絡があったのはわずか 2 日前だったという。 秦氏はインドネシアで開かれた東南アジア諸国連合 (ASEAN) の外相会議にも出席しなかった。 ロイター通信によると、中国外務省報道官は 11 日の定例会見で、秦氏は「健康上の理由で」 ASEAN の会議に出席できないと説明した。 しかしこの説明は、その後外務省の公式サイトに掲載された会見記録からは欠落していた。 (CNN = 7-18-23)


1 ドル = 7 元台、中国人民元安に韓国経済に影

中国人民元が値下がりしている。 経済指標が予想を下回り、中国景気回復に対する期待感が薄れているからだ。 人民元安は人民元の「プロキシ(proxy・代理)通貨」と見なされる韓国ウォンの価値を同時に落とす可能性がある。 特に人民元安は「リオープニング(経済活動再開)」効果が小さく、リオープニング効果で「上低下高」を狙った韓国政府と経済界の期待感にも冷や水を浴びせている。

18 日、人民元は前日(1 ドル = 6.97 元)比 0.03 元値下がりし、1 ドル = 7 元となった。 小数点 4 けたまで表示すると 1 ドル = 6.9985 元。 この日午前には一時 1 ドル = 7 元を超えた。 1 月に 1 ドル = 6.7 元だった人民元は最近値下がりし、1 ドル = 7 元程度だ。 1 ドル = 7 元は中国当局が容認する心理的抵抗線とみなされる。 1 ドル = 7 元を超えることを「破七」と呼ぶが、終値基準では昨年 12 月 28 日が最後だった。

市場の期待を裏切った指標が人民元安につながっている。 中国国家統計局が 16 日に発表した 4 月の中国小売販売は 3 兆 4,910 億元(約 69 兆円)と、前年同月比 19.4% 増となったが、これはロイター通信の予測値 (20.1% 増)を下回った。 4 月の産業生産は同比 5.6% 増だが、ロイター通信の予測値は 10.9% 増だった。

昨年 4 月、中国上海は新型コロナの影響で封鎖された。 当然、当時の経済指標は大きく悪化した。 これを考慮すると、前年同月比の今年 4 月の指標は期待を下回る数値という分析が国内外から出てきた。 キウム証券のホン・ロクキ研究員は「中国の 4 月の小売販売などは前年同月の数値の影響で堅調な成長率だったが、市場の予想を下回った。 中国景気正常化の軌道は変わらないが、回復の弾力が予想より強くない。」と分析した。

バンク・オブ・アメリカ (B of A) のアナリスト、ウィニ・ウ氏も米 CNBC に「中国の経済回復傾向は市場の期待を満たすのに十分でない」とし「中国のペントアップ(抑えられていた消費が増える現象)モメンタムが消えているようだ」と述べた。

人民元安は韓国ウォン安にも飛び火する可能性がある。 国際金融市場で韓国ウォンと人民元は同じ方向に動く傾向が強いからだ。 外国人投資家が為替取引規制が多い人民元の代わりに韓国ウォンを売買するケースが多く、韓国ウォンは人民元のプロキシ通貨と見なされる。 NH 先物のキム・スンヒョク研究員は「人民元が中国景気不振で下落すればプロキシ通貨の韓国ウォンを買う心理も落ち、ウォン安要因となる」と説明した。

すでに貿易赤字拡大でウォン安ドル高が続き、1 ドル = 1,300 ウォン台を抜け出せずにいる。 産業通商資源部によると、今年 1 - 4 月の貿易赤字は 250 億 2,000 万ドルにのぼり、年間最大赤字幅となった昨年の貿易赤字(478 億ドル)の半分を 4 カ月間で超えた。 貿易赤字はドルの流出を意味し、ウォン安ドル高につながる。

光云大のシム・サンリョル国際通商学部教授は「中国リオープニング効果がどの程度かを判断するのはまだ早いが、中国と米国の外交的問題まで考慮すると、効果は期待ほど大きくないかもしれない」とし「漠然としたリオープニング効果に依存せず、半導体など主要産業の競争力回復に力を注ぐ必要がある」と述べた。 (韓国・中央日報 = 5-19-23)


中国のオンライン証券大手 2 社、本土アプリストアからアプリ削除

中国のクロスボーダー取引で大手のオンライン証券会社 2 社が、本土のアプリストアから取引プラットフォームを週内に削除すると明らかにした。 中国当局は国外への資本流出に対する取り締まりを強めている。 富途控股と、「タイガー・ブローカーズ(老虎証券)」として知られるアップ・フィンテックは 16 日、クロスボーダー証券事業に関する中国証券当局の要求に従い、本土アプリストアからの削除を決定したと説明。 富途のアプリ「Futubull」は 19 日、タイガーのアプリは 18 日にアプリストアから姿を消す。

この発表を受けて、16 日早朝の米ニューヨーク株式市場の時間外取引では富途の米国預託証券 (ADR) は前日比で一時 13% 安。 タイガーの ADR は同 11% 下落した。 富途とタイガーのアプリで本土投資家は当局の資本規制を受けることなく香港やニューヨークなどの市場で株を取引することができており、両社は本土事業をグレーゾーンで運営していた。

中国当局は昨年遅く、両社が中国証券監督管理委員会 (CSRC) の承認なくクロスボーダー証券取引事業を長年続けているとし、「不法な」事業活動を是正するよう求めていた。 中国人民銀行(中央銀行)幹部もオンライン証券会社の合法性に疑問を呈し、こうした企業のサービスは「違法」だと 2021 年以降に少なくとも 2 回指摘していた。 富途とタイガーは 16 日、本土の既存顧客はアプリを使った証券取引が引き続き可能で、中国外のユーザーは影響を受けないと説明した。 (Bloomberg = 5-16-23)


中国経済、ゼロコロナ終了で回復傾向 1 - 3 月期 GDP 4.5% 増

習近平(シーチンピン)政権によるゼロコロナ政策が終了したことで、中国経済が回復し始めている。 中国国家統計局が 18 日に発表した 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP、速報値)は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比 4.5% 増だった。 発表前の 4% 前後の市場予想を上回った。 中国政府の掲げる年 5% 前後の目標に向けて回復が加速するかが注目される。

前期(昨年 10 - 12 月期)は各地でロックダウン(都市封鎖)や移動制限が相次いだこともあり、GDP は同 2.9% 増にとどまっていた。 ゼロコロナ政策後の経済正常化が進んでいることが確認された。 低迷が続いた個人消費は回復が続き、1 - 3 月期の小売総額は前年同期比 5.8% 増。 人々が外出や旅行に繰り出すようになり、特に飲食店の収入は同 13.9% 増と大きく伸びた。

企業の生産状況を示す鉱工業生産額も同 3.0% 増だった。 だが、パソコンや自動車などの販売は伸び悩み、生産量もマイナスだ。 米国の半導体制裁の影響を受ける集積回路も生産量は同 14.8% 減った。 インフラや設備投資を示す固定資産投資は同 5.1% 増と堅調だったが、民間企業だけでみると増加幅は同 0.6% にとどまる。 冷え込みが続く不動産開発投資も同 5.8% 減だった。

4 - 6 月期の GDP も回復が続く可能性が高いとみられている。 1 - 3 月期と比べて勢いが増すかどうかはこうした不安要素が解消されるかにも左右されそうだ。 (北京 = 西山明宏、asahi = 4-18-23)

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中国経済、3 月はまちまち - 景況感・住宅市場改善でも世界見通し悪化

→ ブルームバーグの最新総合指数は 2 月と同じ 4 と、7 段階の真ん中
→ 自動車販売の落ち込みと世界需要の低迷が主要な足かせ

中国経済は 3 月に景況感や住宅市場は改善したが、金融市場の混乱で世界的な見通しが悪化し、まちまちの状況となっている。 早めに発表される 8 つの指標をまとめたブルームバーグの最新総合指数は、2 月と同じ 4 と 7 段階中の真ん中だ。 自動車販売の落ち込みと世界需要の低迷が主要な足かせとなっている。

中国が約 3 年間にわたる厳格な新型コロナウイルス規制を解除したことで、消費者が戻り企業も通常営業を再開し、景況感が高まった。 景気の大きな足かせとなっていた住宅市場の落ち込みも、最近になって販売と価格が回復し、底打ちの兆しが見えてきた。 一方で、欧米の主要中央銀行はインフレ抑制のために利上げを継続。 銀行危機が投資家の不安をあおっており、グローバル環境は引き続き不透明だ。

世界経済の軟化は、最近数カ月ですでに急減している中国輸出需要のさらなる下降を意味する。 スタンダードチャータードの調査によると、中小企業の景況感は 3 月に 2021 年 7 月以来の高水準に上昇。 サービス業では不動産と金融、IT 企業のセンチメントに著しい改善が見られる一方、飲食・宿泊業は経済本格再開後の消費ブームが一段落し景況感が低下した。

幾つかの指標は景気の弱さを示唆している。 世界需要のバロメーターである韓国の貿易統計は一層の輸出不振を示し、3 月 1 - 20 日の輸出は前年同期比で平均 23.1% 減少した。 中国自動車工業協会 (CAAM) の週次データによれば、販売台数は 3 月も前年割れが続いている。 鉄鋼在庫は 3 月に増加しており、需要にとって不吉な兆候だ。 (Bloomberg = 3-27-23)

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中国、ゼロコロナ後で消費が回復 生産や不動産では不安要素も

中国国家統計局は 15 日、今年 1 - 2 月の主な経済統計を発表した。 消費の状況を示す小売総額は前年同期比で 3.5% 増となり、昨年 9 月以来の増加に転じた。 ゼロコロナ政策で傷んだ消費の回復をめざす習近平(シーチンピン)指導部にとって堅調なスタートだが、足元には不安要素もくすぶる。

消費の内訳をみると、レストランなど飲食店収入が同 9.2% 増えた。 プラスは昨年 8 月以来。 ゼロコロナ政策の解除後、厳しい移動制限がなくなった 1 月末の春節(旧正月)連休などを背景に、客足が戻ってきたとみられる。 また、昨年末のコロナ感染爆発によって品不足に陥っていた医薬品も同 2 割近く伸びた。 ただ、小売総額を 2 月だけでみると、1 月に比べほぼ横ばいで、勢いが続くかは見通せない。

生産状況を示す鉱工業生産は前年同期比で 2.4% 増えたが、昨年通年(3.6% 増)に比べると低い水準にとどまっている。 紡績業で同 3.5% 減ったほか、自動車やパソコンなどの生産量も減っている。 不動産開発投資額は同 5.7% 減。 昨年通年(10% 減)に比べると改善傾向にはあるものの、住宅やオフィスビルの需要は低調が続いている。 (北京 = 西山明宏、asahi = 3-15-23)


アディダスが中国・中華圏市場で大苦戦、コロナだけでないその原因とは - 中国メディア

スポーツウエアや関連用品の世界的名門企業であるアディダスが、中国および中華圏市場で大苦戦をしている。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことも事実だが、他のブランドと比較すると、それ以外の原因も見えてくる。 中国メディアの第一財経が伝えた。

アディダスが中国市場で苦戦している。 その原因は、新型コロナウイルス感染症の影響だけではないという。 アディダスがこのほど発表した決算報告によると、2022 年通年の売上高は前年比 1% 増の 225 億 1,100 万ユーロ(約 3 兆 2,000 億円)で、株主に帰属する純利益は同 71% 減の 6 億 1,200 万ユーロ(約 870 億円)だった。 一方で、中華圏での同年通年の売上高は 36% 減で、特に同年第 4 四半期(10 - 12 月)の売上高は 50% 減だった。 アディダスは 7 四半期連続で、中華圏での売上高が減少した。

アディダスは 22 年第 3 四半期決算を発表した際に、大中華圏での売上高減少の原因として、感染症による物流の停滞や同社の大規模な在庫買い戻しなどを挙げた。 感染症の封じ込めも同地域の消費者需要を減少させたと主張した。 アディダスが 02 年に、提携していた Yeezy (イージー)ブランドの事業から手を引いたことも、会社全体の業績にある程度影響を与えた。

アディダスが中国市場を軽視していたのではない。 19 年には上海市内にアジアクリエイティブセンターを設立し、中国大陸市場での新たな改革に取り組んだ。 例えば、中国人には、春節(旧正月、23 年は 1 月 22 日)を迎えるに際して、新しい干支に関連する商品を縁起物として歓迎する習慣がある。 アディダスは 23 年の春節期に、ウサギをあしらった新しいスポーツシューズを発売した。

アディダスのアドリアン・シウ(蕭家楽)大中華圏董事総経理(会長兼社長)は取材に対して「今後 2 - 3 年で、中国で作られる製品の総量が、アディダスが市場に送り出す製品の 3 分の 1 を占めるようになる。 アディダスは、より現地化されたイノベーションを通じて中国の若い消費者との距離を縮めていく。」と述べた。 スポーツウエア大手のナイキも中華圏で業績悪化に直面しているが、アディダスほどにはひどくない。 22 年 11 月 30 日を末日とする同社 23 会計年度第 2 四半期決算で、ナイキの大中華圏の売上高は前年同期比 6% 増の 17 億 8,800 万ドル(約 2 兆 4,000 万円)だった。 ただし、ナイキも大中華圏での売上高を 4 四半期連続で減少させた。

中国では、自国ブランドの台頭もアディダスを圧迫している。 福建省晋江市に本社を置く安踏体育用品は 22 年上半期、同期のアディダス中国の約 2 倍となる 259 億 7,000 万元(約 5,000 億円)の売上高を達成した。 福建省泉州市に本社を置く特歩集団の売上高も前年同期比 35.45% 増だった。 北京市に本社を置く李寧も、「高度成長」を見せている。 3 月 17 日に発表した 22 年業績によると、売上高は前年比 14.3% 増の 258 億 300 万元(約 4,900 億円)で、新型コロナウイルス感染症の出現前年の 19 年の約 2 倍に達した。

ロンドンに拠点を置く市場調査会社のユーロモニター・インターナショナルによると、21 年にはナイキとアディダスの中国における市場シェアが目に見えて低下した。 ナイキの場合、20 年には 25.6% だったシェアが、21 年には 25.2% になった。 アディダスの場合には、20 年が 17.4% で、21 年には 14.8% にまで低下した。 一方で、20 年には 15.4% だった安踏体育用品の中国市場におけるシェアは 21 年には 16.2% に上昇した。李寧は 20 年には 6.7%、21 年には 8.2% で、やはりシェアを拡大した。

アディダスについては、不適切なマーケティング戦略が災いしたとの見方がある。 中国市場で価格競争をやみくもに展開したために売上高と利益を減らし、市場シェアまでも失ってしまったとの指摘だ。 アパレルメーカーの良栖品牌の創業者である程偉雄氏は「スポーツブランドにとって、マーケティングを重視し研究開発を軽視する時代は過ぎ去った。 研究開発への投資拡大を加速する必要がある」と指摘した。

程氏によると、スポーツ関連商品では新たな素材の導入や機能面の向上を目指す研究と応用のために、投資しつづける必要がある。 スポーツウェアのファッション性が評価されて事業規模が急拡大したとしても、効果は一時的なものにすぎず、シューズやその他の素材の研究で大きな成果を上げることが、ブランドをより長期的に成長させる道という。 (如月隼人、ReocrdChina = 3-21-23)


李強・新首相は「日本好き」、習氏と固い握手 10 秒「慎重かつ気配りできる人」

11 日の全国人民代表大会(全人代 = 国会)で新首相に選出された李強(リーチャン)前上海市共産党委員会書記 (63) は、長年の慣例を破り、副首相経験のないまま首相に就くことになった。 首相に選出された瞬間、ひな壇で左隣に座る習近平国家主席と約 10 秒間にわたって固い握手を交わした。

浙江省出身。 地元の大学で農業を学び、1983 年の共産党入党後、改革開放政策の中心地の一つだった沿海部の長江デルタ地帯を中心にキャリアを積んだ。 同省勤務時代、省トップだった習氏に秘書役として仕え、「慎重かつ気配りができる人(李氏を知る日本人)」とあってか、習氏の厚い信頼を得た。 上海市トップだった昨春、新型コロナ対策の都市封鎖で経済・社会の混乱を招き、住民から罵声を浴びた。 党最高指導部(7 人)入りは遠のいたとみられたが、昨秋の党大会で党序列 2 位に引き立てられた。 李氏と面識のある日本政府関係者は「ユーモアのある人。 日本好きでもある。」と語る。 (北京・田村美穂、yomiuri = 3-12-23)

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成長目標、5% に引き下げ 国防予算は 7.2% 増 - 習氏 3 期目、経済再建が課題・中国全人代開幕

【北京】 中国の国会に当たる第 14 期全国人民代表大会(全人代)第 1 回会議が 5 日、北京の人民大会堂で 13 日までの日程で開幕した。 李克強首相は政府活動報告で、今年の経済成長目標を事前の予想よりも低めの「5% 前後」に設定した。 厳格な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策で傷んだ経済の再建は容易ではないと判断したもようだ。 国防予算案は 1 兆 5,537 億元(約 30 兆 5,600 億円)で、成長目標を上回る前年比 7.2% 増となった。

習近平国家主席は昨秋の共産党大会を経て党総書記として 3 期目入りしており、今回の全人代で国家主席 3 期目の任期が正式に始まる。 政策の実行役となる首相には、習氏側近の党序列 2 位、李強・政治局常務委員が就く見込みで、習氏の権力基盤がさらに強固になる。 2022 年の実際の成長率は 3.0% で、目標の「5.5% 前後」に届かなかった。 新型コロナウイルスの感染対策として上海市などでロックダウン(都市封鎖)が導入され、経済活動が滞ったためだ。 23 年の目標については経済専門家の間で「5 - 6%」と見込まれていたが、予想の下限付近となり、22 年目標を 0.5 ポイント下回った。

中国は 22 年末、ゼロコロナ政策を突然解除し、感染大爆発を招いた。 李首相は「経済発展は感染拡大など国内外の度重なる予期せぬ事態に見舞われた」と説明。 先行きが見通せない中、達成可能な現実的目標にとどめた形だ。 ただ、コロナ対策については「決定的大勝利を収めた」と強調した。 国防予算案の伸びは今年も経済成長目標を大きく上回り、軍事拡張路線が鮮明となった。 額は日本の防衛予算案(6 兆 8,219 億円)の約 4.5 倍に当たる。 活動報告は「習近平強軍思想」の貫徹や「訓練と戦争準備」の強化方針を訴えた。 27 年の軍創立 100 年に合わせた目標達成に向けて、実戦的訓練に力を入れるほか、国防科学技術の能力を向上させるとした。

台湾問題については「『独立』反対・祖国統一促進を貫き、祖国の平和統一への道を歩む」と明記。 「平和統一」は 19 年を最後に報告から消えていたが、4 年ぶりに復活した。 今回は、22 年の報告にあった「外部勢力の干渉に断固反対する」という表現もなくなった。 現状維持のため台湾支援に動く米国との対立が深まることを避けようとしている可能性がある。 (jiji = 3-5-23)

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中国全人代 5 日開幕、5% 台成長めざす 主要閣僚も選出

【北京 = 川手伊織】 中国で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が 5 日、北京の人民大会堂で開幕する。 2023 年の実質経済成長率として 5% 台の目標を掲げるもようだ。 習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近で共産党序列 2 位の李強(リー・チャン)氏が新しい首相に就く見通しで、主要閣僚も選出する。 全人代の王超報道官は 4 日の記者会見で、会期は 13 日午前までの 9 日間と発表した。 22 年より 2 日長い。 任期 5 年の国家主席など主要人事を決めるためだ。 18 年の会期は 5 - 20 日だった。 新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策は終わったが、全人代の短期開催は続く。

5 日は現在の李克強(リー・クォーチャン)首相が所信表明に当たる政府活動報告を読み上げる。 その中で明らかになる 23 年の経済成長率の目標は「5% 以上」とする案などが浮上している。 22 年の中国経済は「ゼロコロナ」政策などで 3% 成長にとどまった。 同年の政府目標「5.5% 前後」を大幅に下回った。 長期の景気停滞で企業や家計のマインドは冷え込んだ。 政府内には「先行き不安を和らげるうえで政府目標は 22 年と同じ 5.5% 前後とすべきだ」との意見もある。

内需拡大に向けて積極的な財政政策を打ち出す方針だ。 中国の証券会社、海通証券は財政赤字の国内総生産 (GDP) に対する比率を昨年の 2.8% から 3.0% に引き上げると予測する。 地方でのインフラ投資拡大のほか、「ゼロコロナ」政策への対応などで深刻な財政難に陥った地方政府への移転支出を増やすとみる。

政府活動報告で少子高齢化など構造問題への対応をどう取り上げるかも焦点だ。 中国は 22 年、人口減少社会に突入した。 年金制度の安定や働き手の確保には、法定退職年齢の引き上げが欠かせない。 不動産依存から抜け出せない地方財政の立て直し策として、固定資産税に相当する不動産税の試験導入などを打ち出せるかも関心を集める。

全人代では国務院(政府)の体制を正式に決定する。 李強氏のほか、マクロ経済政策の司令塔を務めた劉鶴(リュウ・ハァ)副首相の後任に、国家発展改革委員会の何立峰(ハァ・リーファン)主任が就くとみられる。 このほか、中国人民銀行(中央銀行)の新たな総裁には、国有複合会社、中国中信集団 (CITiC) の朱鶴新董事長の名が挙がる。 (nikkei = 3-4-23)


中国経済の回復スピード、政府上層部の想定外 - 関係者

中国経済の回復ぶりは政府上層部が見込んでいたよりも速いと、事情に詳しい関係者が明らかにした。 今年の景気対策が控えめなものにとどまる可能性が示唆される。 政府内の情報だとして匿名で語った関係者によると、新型コロナウイルス対策としての行動制限が突然解除された後、感染の拡大は予想以上に早く収束した。 感染拡大は今年の 2 月か 3 月までは続くと見込まれていたが、人口の大半が 1 月末までに既に感染していたために経済の急回復が可能になったと、関係者は指摘した。

別の関係者によると、指導部は景気回復に満足しており景気対策の必要性は今のところそれほどないと、5 日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で伝えるよう国営メディアに指示が出ている。 政府は景気について追加支援よりも、「維持」を考えているという。 国務院新聞弁公室と国家発展改革委員会(発改委)にファクスでコメントを求めたが、応答はなかった。 (Bloomberg = 3-1-23)

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中国経済、不均衡な回復の兆し - 消費堅調も工業セクター低迷か

中国経済は春節(旧正月)の連休後、回復したが、景気先行指数は不均衡な回復の兆しを示している。 新型コロナウイルス関連の規制撤廃を背景に消費が力強さを示す一方で、工業活動は低迷している。 ブルームバーグが追跡する 8 つの先行指標を束ねた総合指数が表す中国経済の成長モメンタムは、2 月も前月から変わらず景気拡大・縮小の 7 段階の上から4番目となった。同国経済は新型コロナの全国的な拡大により昨年末に減速した後、先月から上向き始めた。

勤労者の多くが春節の連休明けに仕事を再開。 大都市の道路は再び混雑し、外食やショッピングの支出が伸びたことから民間の経済活動は 2 月に上向いた様子だ。 さらに中国政府が新型コロナ関連の全ての移動制限を撤廃し、コロナ禍は基本的に収束したと宣言をしたことも消費や旅行の追い風となった。 スタンダードチャータードが 500 社余りを対象に実施した調査によると、中小企業の景況感指数は 2 月に上昇し、昨年半ば以来の高水準に達した。 中小企業の「期待」を反映するサブ指数は幅広く上向き、銀行信用と流動性状況も大幅に改善したと、同行のハンター・チャン、丁爽両エコノミストがリポートで分析した。

この改善を主導したのがサービス活動の加速で、業績と期待のサブ指数は共に 5 カ月ぶりに上昇した。 しかし同リポートによれば、製造業の業績は 1 月から低下した。 需要鈍化や収益性悪化、労働力需給の逼迫が企業の景況感を圧迫したと説明した。 韓国からの輸入を示す先行指標はこのところの世界需要の後退が続いていることを示した。 不動産販売は価格と建設の下落傾向に歯止めをかけようと中央政府と地方政府が取り組む中でも引き続き大幅に落ち込んだ。 乗用車販売も前年同月比 38% 減となった 1 月から回復する兆しはほとんど見られなかった。 (Bloomberg = 2-27-23)

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中国、実質 2.9% 成長に失速 10 - 12 月コロナで混乱
通年は 3.0% 目標未達

【北京 = 川手伊織】 中国国家統計局が 17 日発表した 2022 年 10 - 12 月の国内総生産 (GDP) は、物価の変動を調整した実質で前年同期比 2.9% 増えた。 7 - 9 月の 3.9% 増から減速した。 新型コロナウイルスの封じ込めを狙った「ゼロコロナ」規制が経済活動の足かせとなり、12 月の緩和後は感染の急拡大で消費などが冷え込んだ。 同時に発表した 22 年通年の実質成長率は 3.0% で、政府目標の「5.5% 前後」を大幅に下回った。 コロナ流行初期の 20年 (2.2%) を除けば、マイナス成長だった 1976 年以来の低水準となった。

22 年 10 - 12 月の前年同期比伸び率は、日本経済新聞社と日経 QUICK ニュースが調べた市場予想の平均 (2.8%) をわずかに上回った。 季節要因をならした前期比は横ばいだった。 生活実感に近い名目 GDP は前年同期から 3.5% 拡大した。 GDP と同時に発表した他の統計からも景気の失速ぶりは見て取れる。

企業部門では、22 年通年の工業生産は前年比 3.6% 増えた。 1 - 9 月の前年同期比 3.9% 増から鈍化した。 コロナ感染をめぐる混乱で国内需要が冷え込み、世界経済の減速懸念も強まり、自動車やパソコンの生産が不調だった。 工場の建設などを示す 22 年の固定資産投資は 5.1% 増だった。 このうち政府が景気の下支え役と位置づけるインフラ投資は 9.4% 伸びたが、固定資産投資の伸びは 1 - 9 月の 5.9% 増から縮まった。 22 年の不動産販売面積も 24.3% の大幅減となった。

家計部門も伸び悩んだ。 百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は前年を 0.2% 下回った。 マイナスは 2 年ぶり。 1 - 月の前年同期比 0.7% 増から減少に転じた。 外食や娯楽などサービス業の打撃が大きかった。 外需も成長を押し下げる要因となった。 10 - 12月の輸出入はともに前年同期比 7% 減で、2 年半ぶりに減少した。 輸出から輸入を差し引いた貿易黒字も前年同期を 7% 下回った。

ゼロコロナ政策などで景気の低迷が長引き、雇用や所得の回復も勢いを欠く。 22 年の都市部の新規雇用は 1,206 万人で前年比 5% 落ち込んだ。 1 人当たり名目可処分所得の伸びは 5.0% で、1 - 9 月時点の 5.3% から鈍った。 (nikkei = 1-17-23)

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中国 GDP、7 - 9 月期は 3.9% で年間目標厳しく 発表は一度延期

中国国家統計局は 24 日、18 日の発表予定をいったん延期していた 7 - 9 月期の国内総生産(GDP、速報値)を発表した。 物価変動の影響を除く実質成長率が前年同期比 3.9% だった。 1 - 9 月期でみると同 3.0% で、習近平(シーチンピン)指導部が今年の目標に設定した「5.5% 前後」の達成は困難となった。

前期(4 - 6 月期)の 0.4% からは加速した。 4 - 6 月期は上海が 2 カ月以上もロックダウン(都市封鎖)されたほか、北京でも移動が制限された。 持ち直したものの、いまも各地で断続的に移動制限は続いている。 9 月の各種統計によると、企業の生産状況を示す鉱工業生産は前年同月比 6.3% 増だったが、消費の状況を示す小売総額は同 2.5% 増にとどまった。 (北京 = 西山明宏、asahi = 10-24-22)

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4 - 6 月期中国 GDP、0.4% 増 = ゼロコロナで急減速

【北京】 中国国家統計局が 15 日発表した 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比 0.4% 増加した。 伸びは 1 - 3 月期の 4.8% 増から急減速し、新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策による経済への打撃が浮き彫りになった。 今年 1 - 6 月期の成長率は 2.5% にとどまった。 中国当局は「年 5.5% 前後」を目標に掲げるが、達成は困難になったとみられる。

4 -6 月期の GDP は前期比では 2.6% 減となり、コロナの本格的な流行が始まった 2020 年 1 - 3 月期以来のマイナスを記録した。 中国の成長率は 20 年 1 - 3 月期に前年同期比でマイナス 6.9% となったものの、コロナの感染抑制を受け、同年 4 - 6 月期に 3.1% へ回復。 その後は 4% 以上を保ってきた。 ただ、今年 2 月の北京冬季五輪後、コロナ感染が再拡大し、4 月と 5 月を中心に上海市などでロックダウン(都市封鎖)が実施される中、経済活動は低迷。 工場の操業停止が相次ぎ、個人消費も落ち込んだ。 サプライチェーン(供給網)も混乱し、世界最大のコンテナ取扱量を誇る上海港の稼働率は一時、通常の 6 割程度まで低下した。

一方、全国的に感染者数が減る中、厳格な規制は緩和されつつある。 これを受け、6 月の小売売上高は前年同月比3.1%増と、1〜2月以来のプラスを記録。鉱工業生産も3.9%増と伸びが加速した。統計局の付凌暉報道官は記者会見で、経済状況が「再び上向いた」と強調した。 幅広い投資動向を示す 1 - 6 月の都市部固定資産投資は前年同期比 6.1% 増だった。 (jiji = 7-15-22)


中国・上海市、22 年は初のマイナス成長 都市封鎖が打撃

中国・上海市は 20 日、2022 年の実質経済成長率が前年比でマイナス 0.2% だったと発表した。 新型コロナウイルスを抑え込むための厳格な対策で経済活動が停滞した。 同市のマイナス成長は、統計で確認できる 1978 年以降で初めて。 上海市は昨年 3 月末からのロックダウン(都市封鎖)で、市民が約 2 カ月にわたり原則外出できなくなった。

また、工場の操業が停止したり、物流が滞ったりして経済に大きな打撃となった。 飲食店や商業施設は、その後もエリアごとの小規模な封鎖によって度々営業停止に追い込まれる状況が続いた。 個人消費は冷え込み、スーパーなどの小売総額は前年比 9.1% 減となった。 中国政府が 17 日に発表した 22 年の中国全体の実質経済成長率は 3.0% (速報値)で、習近平(シーチンピン)指導部が掲げた目標の「5.5% 前後」を大幅に下回った。 中国最大の経済都市である上海のマイナス成長が全体にも響いた形だ。 (上海 = 井上亮、asahi = 1-21-23)


中国の 11 月消費は減少、上海のロックダウン時並み

中国国家統計局が 15 日に発表した消費の状況を示す 11 月の小売総額は、前年同月比 5.9% 減だった。 減少幅は 10 月(同 0.5% 減)から拡大し、上海のロックダウン(都市封鎖)などの影響を受けた今年 5 月(同 6.7% 減)以来の水準となった。 各地で厳しい移動制限やロックダウンが続いていたためだ。 食料品と薬以外はほぼすべて前年同月から減少した。 野村国際(香港)によると、11 月 28 日時点で約 5 億 3 千万人がロックダウンの影響を受けていた。 1 - 11 月でみると、前年同期比 0.1% のマイナスに転落した。 不動産市場の低迷も続いており、住宅販売額は同 28.4% 減っていた。

ゼロコロナ政策は消費だけではなく、生産にも影響した。 企業の生産状況を示す 11 月の鉱工業生産は前年同月比で 2.2% 増と 2 カ月連続で減速した。 感染拡大などによって河南省鄭州市にある iPhone の製造工場で稼働率が落ち、重慶市では日系企業などが操業停止を余儀なくされた。 中国政府は 12 月に入って厳しいゼロコロナ政策の緩和を相次いで打ち出している。 これまで何度もあった工場の操業停止によるサプライチェーン(供給網)の混乱が今後なくなれば、市場では経済の回復が進むとの期待感が広がっている。

冷え込んだ消費のてこ入れも急務で、中国政府は 14 日、2035 年までの「内需拡大戦略」を発表。 国内の 14 億人の消費力をてこに強大な国内市場をつくり、経済成長につなげるとの方針を強調した。 ただ、足元では中国各地で感染が爆発的に広がっているとみられ、すぐに回復へとつながるかは見通せない。 ブルームバーグ通信は 10 日、米金融大手ゴールドマン・サックスのウォルドロン社長がフォーラムで「中国の経済回復は平らな道のりではないだろう」と述べたと報じた。 (北京 = 西山明宏、asahi = 12-15-22)

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中国経済、11 月はさらに減速 - ロックダウン拡大が響く

中国全土に及ぶ新型コロナウイルスの感染拡大と都市・省でますます厳しくなる制限措置が経済の回復を損なっており、成長てこ入れに向け中国人民銀行(中央銀行)のより強力な行動を促している。 中国では新型コロナの感染が急拡大しており、今月の新規感染者数は各省で計約 45 万人に上る。 広州や北京、鄭州などの主要都市は感染を封じ込めるため新たな制限を課し、住民の移動と事業活動を抑制。市民らの抗議活動を招いている。

こうした制限の影響は、ブルームバーグが企業景況感や株価指数など 8 つの指標をまとめた 11 月の総合指数に既に表れている。 11 月の総合指数は 3 となり、10 月に既に減速していた経済の勢いがさらに落ちたことが示された。 これは上海などの都市がロックダウン(都市封鎖)され、経済活動がほぼ停止状態に陥った 4、5 両月以来の低水準。 野村ホールディングスの推計によると、11 月 21 日時点で、中国の国内総生産 (GDP) の約 20% を占める都市が何らかの形でロックダウン下にある。 こうした制限の対象は先週に約 4 億 1,200 万人と、前週の3億4000万人から増加した。

中小企業は既に打撃を受けている。 500 社余りの中小企業を対象とした調査をまとめたスタンダードチャータードによると、サービス業の活動は 2 カ月連続で縮小し、5 月以来の低水準。 同行の李、丁爽両エコノミストはリポートで、「11 月は製造業と非製造業の両方の生産活動が引き続き縮小した」と指摘。 「宿泊・飲食セクターの落ち込みが最も大きく」、次いで卸売りと小売り、不動産の販売減少も目立ったと説明した。 (Bloomberg = 11-28-22)

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中国 10 月 消費 5 カ月ぶりマイナス ゼロコロナが消費・収入に影響

中国国家統計局が 15 日に発表した 10 月の各種統計によると、消費の状況を示す小売総額は前年同月比 0.5% 減った。 マイナスに転落するのは 5 カ月ぶり。 10 月は長期連休となる国慶節の時期にもかかわらず、前月比でも 0.68% 減った。 ゼロコロナ政策で旅行などの移動が制限されたことで、消費意欲が盛り上がらなかったとみられる。 分野別に見ると、飲食店や衣服、化粧品、家電、通信機器と幅広い分野で前年同月から軒並み減った。  中国では各地で断続的に続く都市封鎖(ロックダウン)や移動制限によって消費が停滞し、人々の収入にも影響が及んでいる。 生活防衛の意識も高まり、消費が停滞する状況が続いている。

冷え込みが続く不動産市場も回復の兆しは見えてこない。 1 - 10 月の不動産投資額は前年同期比 8,8% 減で、前月までの 8.0% 減から下げ幅が拡大。 住宅の販売額も同 28.2% 減と大幅に下回る状態が続く。 一方、生産の状況を示す鉱工業生産は 10 月、前年同月比 5.0% 増に。 特に自動車が 18.7% 増、電気機械が 16.3% 増だった。 主要生産品の生産量では、米国による規制が強まる半導体などの集積回路で前年同月比 26.7% 減と大きく落ち込んだ。 (北京 = 西山明宏、asahi = 11-15-22)


真偽不明のスクリーンショット、中国株の急騰を演出 - 投資家飛びつく

中国の証券取引市場

記事コピー (asahi = 6-16-15 〜 11-3-22)


中国国有銀、25 日夜にドル売り 元相場下支え = 関係筋

[上海/北京] 中国の主要国有銀行が下落する人民元相場を支えるため、25 日夜にオンショア・オフショア両市場でドル売りを実施したと、2 人の関係筋がロイターに語った。 「元」はオンショア市場で 2007 年 12 月以来の安値を付けるなど下げ圧力が強まっていた。 関係筋によると、米国時間序盤に当たる 25 日夜の国有銀によるドル売りで元は上昇した。 ドル売りはオンショア・オフショア両市場で行われたという。

また、中国主要行の国内支店がオフショア元を扱い、その動きでオンショア元を誘導することはよくあることだが、ロンドンやニューヨークの取引時間中にオンショア市場で活動するのは異例だという。 オフショア元はドル高や中国経済の減速懸念を反映して、このところ連日、過去最安値を更新してきた。 国有銀のドル売り/元買いで過去最安値の 1 ドル = 7.3746 元から 7.3034 元に上昇した。 オンショア元は 7.31 元の安値から反発、取引時間中の下落分のほぼ全てを取り戻した。 26 日は 7.2949 元で始まり、日本時間午前 11 時 29 分時点では 7.2971 元。 (Reuters = 10-26-22)