真偽不明のスクリーンショット、中国株の急騰を演出 - 投資家飛びつく

誰がいつ書いたのか、それが事実なのか、確かなことは誰にも分からない。 だが、中国が「ゼロコロナ」政策から脱却する計画を詳述した 4 段落から成る文書のスクリーンショットは、トレーダーを中国株購入に急がせ、2 日間にわたり上昇させるには十分だった。 この未確認の投稿は白地に黒で文字が書かれた文書で、出所が分かるような印は付いていない。 匿名を要請した十数人の投資家の説明によると、アナリストやファンドマネジャーらが多数加わるウィーチャット(微信)のグループで 10 月 31 日夜に出回り始め、翌朝までに猛烈な勢いで広がった。

このスクリーンショットでは、中国共産党序列 4 位の王滬寧・政治局常務委員が習近平国家主席の要請で、コロナ専門家と同月 30 日に会合を開催したと記されている。 習氏は「大老板(ビッグボス)」、王氏は「WHN」と表記され、検閲をかいくぐるための工夫も見られる。 中国の政治エリートに関するソーシャルメディアの投稿やメッセージは、厳格に管理されている。 会合には経済や宣伝などの部門のメンバーも出席し、「来年 3 月までの実質的な開放を目標とし、条件付きの規制緩和計画の策定を加速する」ことが議論されたという。

中国の国家衛生健康委員会は 2 日遅く、ゼロコロナ政策の厳守を呼び掛けた。 それでもトレーダーの熱狂は冷めず、米上場の中国企業株指数は上昇を続けた。 中国の経済成長が 40 年ぶりの低水準付近に減速する中で、中国株の年初来のパフォーマンスは世界最悪の部類に入る。 習氏が党の重要な地位を側近で固めた今、来年 3 月の全国人民代表大会(全人代)で経済対策が打ち出されることへの期待が高まっている。

グロー・インベストメント・グループの洪?パートナーは、ゼロコロナ解除は「一夜で下せる決定ではない」と指摘。 「慎重な検討とコミュニケーションを通じて行われる必要がある。 だからこそ、3 月の全人代と人民政治協商会議の後が経済再開に向けた適切な時期だと、われわれの多くは考えている」と語った。 ゼロコロナ脱却を巡るうわさに中国は公には沈黙を続け、国営メディアは過去 2 日間にわたり全く触れていない。 同国外務省報道官は 1 日の定例記者会見で、そのうわさは承知していないと発言。 公式の会見記録にこの問題に関する質問は記載されなかった。

2 日にはさらなる臆測が株価上昇を後押しした。 「上海マクロストラテジスト」を名乗るツイッターユーザーが、中国のコロナ政策変更が近づいていると論じる同国証券会社 2 社の見解とされるスクリーンショットを投稿。 このユーザーはブルームバーグ・ニュースに対し、それ以上のコメントを拒否した。 スクリーンショットの一つは海通証券の見解とされるもので、4 日に隔離要件緩和などに関する会合が開かれるとしている。 同社はスクリーンショットの記述は本物ではないと、ブルームバーグ・ニュースに電子メールで回答した。 (Bloomberg = 11-3-22)



中国株また急落、5.3% 安 市場の不安ぬぐえず

中国の株式市場の動揺が続いている。 11 日の取引でも全面安となり、代表的な上海総合株価指数は 5.33% 下落して取引を終えた。 年明けに 2 度の取引打ち切りを引き起こした「サーキットブレーカー」制度が中断されたあとも、市場の不安はぬぐえていない。 11 日は前週末に米国市場が大きく下落したことや、週末に発表された中国の物価についての統計で改めて国内景気の減速が示されたことで、売りが止まらない状態が続いた。 この日は深セン市場も代表的な指数が 6.2% 下落した。

中国の株式市場は年明けから導入した取引停止措置のサーキットブレーカーが投資家の投げ売りを生む裏目の効果を生み、世界市場にまで動揺を広げた。 当局は 7 日夜に急きょ、始めたばかりの制度の見合わせを発表したが、市場に自信は戻っていない。 年明けの 6 営業日で、5% を超える下落が早くも 3 度目という異常事態だ。

上海総合株価指数の終値は年明けから約 15% 落ち込み、昨年 9 月以来約 4 カ月ぶりの低水準となる 3,016.70 ポイントまで値を下げた。 「昨夏急落した際の底値の 2,800 ポイント台まで落ちるかを試す状況になる(中国のネットニュース)」との悲観的な見方も出ている。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-11-16)


中国株、サーキットブレーカーを当面見合わせ 発動続き

中国証券監督管理委員会(証監会)は 7 日深夜、今月 4 日に導入したばかりだった株式市場の値幅制限制度「サーキットブレーカー」の実施を当面、見合わせると発表した。 4 日間で 2 度も取引が打ち切りとなる異常事態で、見直しに追い込まれた。

中国のサーキットブレーカーは上海・深セン両市場の値動きを示す指数が、1 日の間に 5% 下落・上昇すると取引を一時停止する。 さらに、この値動きが 7% まで広がると、その日の取引を打ち切る。 制度が始まった 4 日に株価が 7% 下落して発動した。 7 日も下落し、取引開始から 30 分足らずで 7% の値幅に達し、2 回目の取引打ち切りとなった。 相次ぐ発動は国外にも衝撃を与え、世界的な株安を引き起こした。 (深セン=斎藤徳彦、asahi = 1-8-16)


中国・上海株でサーキットブレーカー適用 急落で再び

【上海 = 土居倫之】 7 日の中国・上海株式相場は前日比 7% 安と急落した。 相場の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度が 4 日に続いて再び適用された。 取引開始から約 30 分で売買を全面停止し、同日の取引を終える展開となった。 上海総合指数は前日比 1.55% 安で取引が始まった。 その後急速に下げ幅を広げた。 中国の通貨、人民元が下げ止まらず、資本流出懸念から株式投資家がリスク回避姿勢を強めたことが要因だ。

中国人民銀行(中央銀行)が 7 日発表した人民元の売買の基準となる対ドルレート「基準値」は 1 ドル = 6.5646 元だった。 対ドルで 2011 年 3 月以来約 4 年 10 カ月ぶりの安値水準となった。 米中の金利差縮小観測から人民元の先安観が強まっていることを反映した。

中国は 4 日に「サーキットブレーカー」制度を導入したばかり。 上海総合指数と並ぶ代表的な株価指数「CSI300」が前日比 5% 超変動した場合、すべての株式と先物の売買を 15 分停止する。 また同 7% 超変動した場合は終日売買を停止する。 取引 4 日間のうち 2 日間でサーキットブレーカー制度が適用されたことで、今後見直しの議論が高まりそうだ。 一方、証券監督当局は 7 日、上場企業の大株主による保有株売却に一定の制限を設ける新しい規制を発表した。 3 カ月で売却できる株式を発行済み株式数の 1% 以内に制限する。 (nikkei = 1-7-16)


中国株、初のサーキットブレーカー発動 指数 7% 下落

中国の株式市場は新年最初の取引となった 4 日、上海・深セン両市場ともに大きく値下がりした。 現地時間の午後 1 時半過ぎには両市場の値動きを総合的に表す指数が 7% 下落したため、取引を停止する「サーキットブレーカー」が史上初めて発動された。

一定の値幅を超えた場合に取引を止めるサーキットブレーカー制度は、中国ではこの日から導入されたばかりだった。 午前中に発表された製造業についての指標が予想よりも悪かったことなどから株価が下落。 午後 1 時過ぎに下落幅が 5% に達したため、まず 15 分間取引が停止された。 再開後も売りが止まらずに 7% まで値下がりしたため、この日の取引を打ち切る措置がとられた。 新制度に慣れていない投資家に不安が広がり、株を売れなくなる事態を恐れて売り急いだことが値下がり幅を大きくした可能性がある。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 1-4-16)


中国株、値動き幅の制限検討 乱高下なら取引停止

中国の証券当局は 7 日、株の 1 日の値動きが一定の大きさに達したときに市場全体で取引停止措置をとる「サーキットブレーカー」制度について、導入を検討していることを明らかにした。 値幅制限を設けて、株式市場の乱高下を強制的に防ぐ考えだ。

上海、深●(●は土へんに川)の両取引所などがホームページ上で公告を出し、意見の公募を始めた。 公告の案によると、両市場の値動きを総合的に示す株価指数が 5% 上下した際に取引を 30 0分停止し、値幅が 7% に達した時点でその日の取引を終える。 6 月以降の株式市場の変調では、両市場で 1 日の値動きが 5% を大きく超えることも相次いでいる。 8 月中旬には中国株の急落から、世界同時株安につながった。 (上海 = 斎藤徳彦、asahi = 9-8-15)


中国株 8% 下落、人民銀行の政策支援なく失望感

[上海] 週明け 24 日前場の中国株式市場は 8% 超下落した。 中国人民銀行が週末、政策支援に動かなかったことから失望感が広がり、上海総合指数は今年の上昇分をすべて失った。 上海と深センの株式市場に上場する有力企業 300 銘柄で構成する CSI300 指数は 307.429 ポイント (8.56%) 安の 3,282.107 だった。 上海総合指数 SSEC は 296.5458 ポイント (8.45%) 安の 3,211.1982。

香港市場も大幅続落となり、ハンセン指数 HSI は 1,039.92 ポイント (4.64%) 安の 2 万 1,369.70 で前引け。 ハンセン中国企業株指数(H 株指数)は、678.56 ポイント (6.66%) 安の 9,516.49 で前場の取引を終了した。 CSI300 は年初から 7% 下落している。 同指数の先物も下落し、9 月限は 9.3% 安の 3,158 と、現物を 124.11 下回っている。 CSI500 や SSE50 などの他の大半の指数先物は制限値幅いっぱいの 10% 安となった。

中投証券のアナリスト、アレックス・クォック氏は「投資家が過剰反応しているのか、底入れが近いのか、判断するのは困難」と話す。 「株式市場はもはや、小型の惨事といった状態にあり、反転するにしてもテクニカル的なものにとどまるだろう」と述べた。 中国市場ではあらゆるセクターが売り込まれており、小型のグロース株も国有の優良銘柄も同じ程度、下落している。 相場のこれ以上の下落を阻んでいるのは、10% の値幅制限のほか、多くの銘柄が依然として売買停止になっているという事実くらいのものだ。

プラス圏で前場を終了したのは、上海・深セン市場ではわずか 11 銘柄にとどまった。 ロイターの算出によると全体の 80% に当たる 2,200 銘柄がストップ安をつけた。 (Reuters = 8-24-15)


上海・深セン証取が空売り規制強化、株価対策で

[上海] 中国の上海、深セン両証券取引所は、空売り規制の強化を発表した。 規制強化を通じて、株式取引の頻度と価格変動を抑制する狙いがある。 両証取が 3 日遅くに発表した声明によると、変更によって、空売りに関連した貸し株と返済を同じ日に実施することができなくなる。 新規制は即実施。 中国政府は、6 月のピークから約 30% 下落した株価を支援するための対策を矢継ぎ早に打ち出しており、空売り規制強化もその一環。

上海拠点のヘッジファンド、 ブームトレンド・インベストメント・マネジメントのパートナー、サミュエル・チェン氏は「空売りコスト増と、市場への売り圧力緩和を狙っていることは明らか」と述べた。 同氏は、これまでに導入された規制により、空売りはすでに困難になっていると指摘。 「株式市場の一段の下落を阻止するため、政府はやれることは何でもやっているという印象だ」としている。 (Reuters = 8-4-15)


中国株価対策、李首相が机をたたいた日 足並み乱れた規制当局

【北京】 この夏の株価急落で中国政府の経済改革計画の重要な足場が危うくなった時、李克強首相は机をたたき、各規制当局に足並みをそろえて行動するよう求めた。 7 月 4 日に北京で開かれた金融・経済当局幹部と李首相の会合について知る複数の関係者によると、李氏は幹部らが株価急落を未然に防げなかったことを批判した。 そして下落に歯止めをかけるために協調した行動を取るよう求めた。 普段は温厚な首相が「強力な市場救済策が必要だ」と指示したという。 会合には中国人民銀行(中央銀行)、証券当局、銀行当局、財政省の担当者が出席した。

それまでは単独で、時にはちぐはぐに行動していた各当局が首相の指示に応えた。 人民銀行は株価下支えの任務を負った政府系機関向けと、株式購入資金を借り入れる投資家向けに大量の資金を供給した。 証券当局は新規株式公開 (IPO) を一時停止し、国有企業と証券会社は株式購入を約束した。 中国株式市場は急落によって年初来の上昇分がほとんど吹き飛んでいたが、これらの施策によって下落に歯止めがかかった。

各当局の結束は現在、試練に直面している。 中国株は 7 月 6 日以降で 4% 下落、同 23 日以降で 12% 下落しており、6 月中旬に調整局面入りしてから消失した時価総額は計 3 兆 3,000 億ドル(約 410 兆円)に達した。 中国はこの先も市場改革を実行し、国内の金融システムに今までより大きなリスクを持ち込むという難題に取り組めるのか - -。 7 月 4 日の会合まで各当局が続けてきた一貫性のない対応からはそんな疑問が浮上している。

政府系シンクタンクの中国社会科学院のシニアエコノミスト、張明氏は「最近の株価の乱高下は、中国の金融システムの安定性だけでなく、各規制当局の緊急事態への対応能力に対するストレステストとなった」と指摘。 市場の混乱によって「当局の協調の欠如」が明らかになったことで、政府は国境を越えた資本取引の自由化という約束の実行に「慎重姿勢を強めた」はずだと付け加えた。

十数人の当局者と政府顧問に行ったインタビューで、相反する行動と協調の欠如が政府の最初の株価対策を妨げたことが分かった。 人民銀行が株価押し上げに動いたのと同じ週に、証券当局が株価を押し下げる行動を取ったこともあった。 7 月まで、市場の主な資金供給源はほぼ規制当局とは無縁だった。 証券当局は何度も信用取引向け融資を減らそうとしたが、その後方針を転換した。

人民銀行と証券当局の両方に近い中国当局者は「株価暴落を防ぐためになすべきことについて、人民銀行と証券当局の間で明らかに意思疎通が不足していた。 もっと当局が協力していたら、株価対策の代償は少なかったかもしれないとも言える。」と述べた。 当局の混乱を示す最初の兆候の 1 つが表れたのは、中国株が下落し始めた 6 月下旬のこと。 人民銀行は 6 月 27 日、0.25% の利下げと一部銀行の預金準備率の引き下げを発表した。 両方が引き下げられるのは、2008 年の世界金融危機のピーク以降、見られなかった異例の措置だった。

だが、その後数日間にわたり、中国証券監督管理委員会 (CSRC) は多数の企業の IPO 計画を承認した。 これは投資意欲が冷え込んでいる中で、市場の流動性を吸い上げかねない動きだった。 CSRC が IPO を一時停止したのは、1 週間余り後の 7 月 4 日の李首相との会合が終わってからだった。 アナリストらは、この CSRC の対応が 6 月下旬の株価下落の一因とみている。 人民銀行の関係者によれば、この対応は人民銀行の当局者らを驚かせ、いら立たせた。

7 月 4 日の会合についてよく知る複数の関係者の話では、会合の時でさえ、当局者らの考えは当初ばらばらだった。 人民銀行の周小川総裁と楼継偉・財政相はともに、市場原理の導入を進める取り組みを阻害するとして過剰な介入には反対していた。 だが最終的に李首相の案を受け入れたという。 この案は習近平国家主席が 7 月 8 日にロシアに向けて出発する前に承認された。

中国当局は金融改革への公約に対する懸念を和らげようとしている。 人民銀行は先月の株価急落時に、国内の 6 兆 1,000 億ドル規模の債券市場における海外の中銀や政府系ファンド (SWF) など大口機関投資家の投資枠を撤廃し、改革を推進する意向を示した。 中国指導部は 2013 年に複数の金融規制当局で構成される団体を設立し、各当局の作業がより円滑に進むようにしているが、当局者によるとこの団体はほとんど機能していないという。

主要株価指数の上海総合指数は 7 月 27 日に 8.5% 安と再び急落し、約 8 年 5 カ月ぶりの下げ幅を記録した。 政府が株価対策を間もなく打ち切るとの臆測が広がったことが一因だった。 JP モルガン・チェースの中国エコノミスト、朱海斌氏は 7 月下旬に行われた複数メディアとのインタビューで、中国政府にとって今は金融市場の扱い方を「学んでいる段階」と指摘した。 (Lingling Wei、The Wall Street Journal = 8-4-15)


中国株 14% 下落へ、1929 年株価大暴落に似た動き - デマーク氏

中国株は今後 3 週間であと 14% 下落する見通しだと、2013 年の上海総合指数の底入れを予想していたトム・デマーク氏が指摘した。 1929 年の米国の株価大暴落に似た相場パターンを示しているという。

27 日の中国株式市場では上海総合指数 が前週末比 8.5% 安の 3,725.56 と、約 8 年ぶりの大幅な下落率となった。 デマーク氏は同日、同指数が 3,200 まで下げるとの見通しを示した。 こうなれば 6 月 12 日の高値からの下落率は 38% となる。 3 月以降の同指数の値動きは、1929 年に最大 48% 下落 したダウ工業株 30 種平均と類似の値動きだと同氏は説明した。

27 日の急落前は、当局の株価下支え策により、1 カ月足らずで時価総額から 4 兆ドル(約 493 兆円)が吹き飛んだそれまでの株安に歯止めがかかっていた。 中国証券監督管理委員会(証監会)は、当局が支援策を引き揚げつつあるとの見方を否定したものの、景気減速の中で株価押し上げのための前例のない介入が持続不可能との懸念が広がっている。

デマーク・アナリティクス(アリゾナ州スコッツデール)の創業者であるデマーク氏 (68) は電話取材に対し、「さいは投げられた。 市場を操作することはできない。 市場を支配しているのはファンダメンタルズだ。」と語った。 同氏は 40 年余りにわたり相場の転換点を特定する指標を開発している。 (Bloomberg = 7-28-15)


中国は大幅続落、支援継続するとの当局発表に反応せず

[上海/香港] 28 日の中国株式市場は、大幅に続落して始まった。 中国当局が前日、株式市場の安定化に向け株の購入を継続する方針を示したにもかかわらず、この日も売りが続いている。 上海総合指数 SSEC は、152.4154 ポイント (4.09%) 安の 3,573.1428 で寄り付いた。 上海と深センの株式市場に上場する有力企業 300 銘柄で構成する CSI300 指数 CSI300 は、127.757 ポイント (3.35%) 安の 3,690.974 で寄り付いた。 CSI300 指数先物 8 月限は 3.3% 下落している。

香港株式市場は小幅続落で始まった。 ハンセン指数 HSI は 82.06 ポイント (0.34%) 安の 2 万 4,269.90 で寄り付いた。 ハンセン中国企業株指数(H 株指数)HSCE は 35.97 ポイント (0.32%) 安の 1 万 1,194.79 で寄り付いた。 (Reuters = 7-28-15)


中国株に対する「容赦ない売り」圧力に備えよ - BOA

中国の上海総合指数が 6 月以降売られており、同国当局は株価対策を講じているものの、27 日に株式市場が大きな打撃を受けた。 上海総合指数は一時、日中ベースで 2007 年以来で最大の下げを記録した。 新しい投資家による思惑買いが中国株の急伸につながった。 中国株は 6 月 12 日時点で、年初来 60% 値上がりして引けた。 しかし、株価下落に伴う信用ポジションの解消が中国市場の悲劇を助長している。

中国証券金融は銀行やブローカーのマージンローンに関する情報を毎日発表するが、それがレバレッジの度合いを控えめに見せる。 バンク・オブ・アメリカ (BOA) によると、中国株へのレバレッジは想像以上だ。 BOA のストラテジスト、崔巍(デービッド・ツイ)氏は、「ある程度正確に予測できる 7 つのチャンネルだけでも手仕舞いされていないポジションは容易に 3 兆 7,000 億元を超えるとみている」と指摘、「一度のレバレッジの平均値で考えても、少なくとも 7 兆 5,000 億元のポジションが信用によって保持されていることを意味する。 これはクラス A 株の時価総額の 13% 程度、フリーフロートの 34% に等しい。」と続けた。 (Bloomberg = 7-28-15)


上海株下落 8% 超 … 株価下支え策終了の観測で

【北京 = 鎌田秀男】 週明け 27 日の上海株式市場は、政府の株価下支え策が終了するとの観測から大幅下落した。 全体の値動きを示す上海総合指数は前週末に比べ 8.48% 低い 3,725.56 ポイントで取引を終えた。 下落率は 2007 年 2 月 27 日(8.84% 下落)以来、約 8 年 5 か月ぶりの大きさとなった。 石油や銀行など、これまで政府が集中して買い支えていたとみられる業種の株価が軒並み下落したことを受け、午後に入って総合指数も急速に値を下げた。 市場関係者は、「政府が株価対策を中断し、資金を引き揚げるとの懸念が広まり、投資家の心理を一気に冷え込ませた」とみている。 (yomiuri = 7-27-15)


上海株が大幅続落で終了、予想上回る GDP には反応薄

[上海] 15 日の中国株式市場は大幅に続落した。 この日発表された 4 - 6 月期の中国国内総生産 (GDP) は予想を上回ったものの、市場の反応は鈍かった。 中国株はこのところ、政府の株価支援策を受けて持ち直していたが、早くも失速する可能性がささやかれている。 上海と深センの株式市場に上場する有力企業 300 銘柄で構成する CSI300 指数の終値は 145.390 ポイント (3.54%) 安の 3,966.759。 上海総合指数 SSEC は 118.7838 ポイント (3.03%) 安の 3,805.7033。

この日は売買を再開する企業がさらに増え、売買を依然停止している銘柄は、全体の 25% 程度に減少した。 株価急落時には上場企業の半数が売買を停止していた。 創業板(チャイネクスト)指数 CHINEXTC は 4.6% 安で取引を終了した。 インフラ、運輸、ヘルスケアの各セクターも売られた。 一方、大手銀行株は上昇し、エネルギー大手のペトロチャイナも上昇。 政府の支援を受けた投資家が市場安定化を支援しているとの観測が広がっている。

香港市場も続落して取引を終えた。 予想を上回る GDP に反応することなく続落した中国本土市場につれ安となった。 ハンセン指数 HSI の終値は 65.15 ポイント (0.26%) 安の 25,055.76。 ハンセン中国企業株指数(H 株指数) HSCE は 154.97 ポイント (1.31%) 安の 11,681.20。 ギャラクシー・エンターテインメント・グループ(銀河娯楽集団)が 3.7% 安で下げを主導。 新世界発展が 3.3% 安、中国人寿保険が 2.7% 安で続いた。 H 株指数の下落をけん引した長城汽車は 5.6% 安。 中信証券 (CITICS) が 4.9% 安、比亜迪汽車 (BYD) が 4.7% 安だった。 (Reuters = 7-15-15)


中国株が大幅続落、株価対策効果見られず

[上海] 8 日午前中盤の中国株式市場は大幅続落している。 下落に歯止めを掛けるため一連の株価対策が打ち出されているが、効果は見られていない。 日本時間午前 11 時 42 分時点で、上海総合指数 SSBC は 179.9675 ポイント (4.83%) 安の 3,547.1583。 大型株中心で深セン上場銘柄を含む .CSI300 指数は 202.583 ポイント (5.16%) 安の 3,725.420。

両指数は 6 月半ばにつけた高値から約 30% 下落している。 このペースで下落が続けば、来週にも今年に入ってからの上昇分をすべて失う可能性がある。 香港株式市場も、軟調な中国株に圧迫されて続落している。 同時点で、ハンセン指数 HSI は 1,139.14 ポイント (4.56%) 安の 2 万 3,836.17。 ハンセン中国企業株指数(H 株指数) HSCE は 666.74 ポイント (5.64%) 安の 1 万 1,160.56。 (Reuters = 7-8-15)


中国、大株主や経営幹部に持ち株売却を 6 カ月間禁止 - 証監会

中国証券監督管理委員会(証監会)は企業の大株主や経営幹部、役員を対象に、持ち株の売却を 6 カ月禁止した。 時価総額にして約 3 兆 5,000 億ドル(約 424 兆円)相当が吹き飛んだ株安に歯止めをかけようと、当局は新たな対策を導入した。 証監会の声明によれば、発行済み株式の 5% 以上を保有する投資家は持ち株を減らすことができなくなる。 今回の措置は株価の「理不尽な急落」を受け、資本市場の安定を守ることが目的という。

中国は既に政府系機関に対し持ち株の保持、あるいは拡大を指導しているが、証監会の措置で売却禁止の対象は民間企業にも広がるほか、本土企業の過半数株式を保有する海外投資家も対象となる可能性がある。 中国当局は過去 10 日間、新たな相場下支え策を毎晩のように打ち出しているが、投資家の信頼回復には至っていない。 海外のトレーダーらは今週に入り、記録的なペースで中国株の売りを進めている。 市場への政府介入をめぐる懸念が一因。

ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントのチーフ・ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェーコブセン氏は「こうした事態は米国や他の先進国で起こるものではない」と指摘。 「やや必死な感じが伝わってくる。 中国は非常に独特のシステムで、下落に歯止めをかけようと独特の措置を取っている。」と述べた。 8 日の中国株式市場で上海総合指数 は前日比 5.9% 安。 (Bloomberg = 7-8-15)


中国、自社株の売買停止、申請続出 … 株価暴落避け

上海と深センの株式市場では、株価暴落を避けようと、証券取引所に自社株の売買停止を申請する企業が続出している。 地元メディアによると、こうした動きは 6 月下旬から強まり、両市場で計約 800 社の取引が止まった。 上場企業の約 3 割を占める異常事態で、株価を維持するために当局が容認しているとみられる。 両市場では 7 月以降、新規株式公開も停止されている。 (yomiuri = 7-8-15)


中国株は急反発、政府の株価支援策受け

[上海] 週明け 6 日の中国株式市場は、朝高後、大幅に上げ幅を縮めた局面もあったが、結局は反発して取引を終えた。 中国政府が週末に打ち出した異例の株安救済策を好感した。 大きく上下に振れた展開のなか、優良株が買われた。 一方、小型株は売られた。 上海総合指数. SSEC は 88.9969 ポイント (2.41%) 高の 3,775.9122。 寄り付きは 288.2989 ポイント (7.82%) 高の 3,975.2142 だった。

大型株中心で深セン上場銘柄を含む 300 指数. CSI300 は 112.620 ポイント (2.90%) 高の 3,998.537。 寄り付きは 332.349 ポイ ント (8.55%) 高の 4,218.266 だった。 主要指数は、中国 4 大国有銀行や国有保険の中国人寿保険など金融大型株に下支えられた。 国有石油大手の中国石油化工(シノペック)も上昇。 中国銀行 (BOC)、中国農業銀行 (ABC)、中国工商銀行 (ICBC) は軒並み急上昇。 1 日の値幅制限いっぱいの 10% 近く上昇した。

週末にかけて政府は、中国大手証券会社や投資信託企業が 1,200 億元(193 億ドル相当)の資金を株式投資に投入する策や、政府系機関投資家による ETF (上場投資信託)買い入れ策など、相次いで市場下支え策を打ち出した。 深セン証券取引所の新興企業向け市場の値動きを示す創業板(チャイネクスト)指数.CHINEXT は、寄り付きで 6% 強上げたものの、最後は 4.5% 安で引けた。

BOCOM インターナショナルのチーフストラテジスト、ホン・ハオ氏は、週末に発表された政府の緊急措置が市場安定に功を奏すか判断するのは時期尚早と指摘した。 同氏は「優良株が小型株の値動きを落ち着かせるか、それとも小型株が引き続きそれ以外の株価を不安定化させるかどうかは、依然としてわからない」と語った。 (Reutes = 7-6-15)


中国、株式市場安定化へ 2 兆円基金設置 証券 21 社が出資

【北京】 中国証券業協会は 4 日、株価下落を食い止めるため市場安定化基金を設置すると発表した。 国内の証券会社 21 社が総額 1,200 億元(約 2.4 兆円)を基金に出資する。 事情に詳しい関係者によると、中国人民銀行(中央銀行)も資金を提供するとみられている。 中国政府は株式市場の低迷を金融システム全体に波及させないための対策を強化している。 (Lingling Wei、The Wall Street Journal = 7-4-15)


中国株式市場、20 社以上が 3 日から売買停止に

[香港] ここ 3 週間にわたり大幅に下落している中国の株式市場で、2 日には通常を大きく上回る数の企業が取引の一時停止を申請した。 この日は主要市場に上場する 20 社以上が、3 日から新株募集や資産再編、事業計画などを発表するまで株式の取引を一時停止すると発表した。 中国の株式市場は 6 月中旬の高値から 20% 超下落しており、政府が株価下支えに向けさまざまな措置を講じたものの、効果はさほど出ていない。 大型株中心で深セン上場銘柄を含む 指数 CSI300 は 2 日に 3.4% 下落。 上海総合指数 SSEC も 3.5% 下げた。 (Reuters = 7-3-15)


中国、政策金利と預金準備率を同時引き下げ - 株価急落受け

【北京】 中国人民銀行(中央銀行)は 27 日、政策金利である銀行の貸し出しと預金の基準金利を引き下げると発表した。 一部の銀行向けに預金準備率も引き下げる。 株価の急落を受けて基準金利と預金準備率を同時に引き下げるという異例の利下げに踏み切った。 人民銀は声明で、利下げの目的は借入コストの引き下げと、世界第 2 位の中国経済の成長の安定化にあると述べた。

1 年物の基準貸出金利と預金金利はともに 0.25 ポイント引き下げられ、それぞれ 4.85% と 2% となった。 預金準備率は農家と小規模企業向けに多額の貸し出しがある銀行を対象に、0.5 ポイント引き下げられた。 人民銀が金利と預金準備率を同日に引き下げるのは世界的な金融危機の最中の 2008 年 10 月以来。 中国株式市場は 26 日にここ数年で最大の下げ幅を記録するなど下落が続いている。 26 日は上海総合指数が前日比 7.4% 安、今月 12 日の高値からは 19% 下落し、メキシコの経済規模に相当する 1 兆 2,500 億ドルの時価総額が失われた。 (Lingling Wei、The Wall Street Journal = 6-28-15)


中国株 : 急落、上海総合 7.4% 安 - モルガン S が買い控えを助言

26 日の中国株式相場 は急落。 上海総合指数は約 5 カ月ぶりの大幅安で、弱気相場入りの一歩手前となった。 信用取引で買っていた投資家がポジションを縮小したほか、モルガン・スタンレーが本土株の買いを控えるよう顧客に助言し、バリュエーション(株価評価)が高過ぎると警告する他社と同様の見解を示した。 上海総合指数 は前日比 7.4% 安の 4,192.87 で終了。 今年の高値からの下落率は 19% となった。 ヘッジ需要の急増で、中国の株価指数先物は 1 営業日の値幅制限いっぱいの 10% 安となった。

モルガン・スタンレーは 26 日付リポートで、12 日に付けた上海総合指数の今年の高値が強気相場の頂点だった公算が大きいとし、中国本土株の買いを控えるよう顧客に助言した。 同行のアジア・新興市場戦略責任者ジョナサン・ガーナー氏(香港在勤)は「今の水準は恐らく買いに入る底ではない」と指摘。 「上海総合と深セン総合、創業板の各指数は相場サイクルの頂点を付けた可能性が高いと考える」と記した。

中国株 は今月中旬まで、テクノロジー株と小型株がけん引する形で世界の主要株価指数で最も大幅に上昇していたが、この日はこうした銘柄を中心に下げがきつくなった。 深セン証券取引所の小型株から成る創業板指数は前日比 8.9% 安で引け、今月 3 日の高値からの下落率が 27% となった。 深セン総合指数も前日比 7.9% 安で、弱気相場入りした。 CSI300 指数は前日比 7.9% 安。 香港市場ではハンセン中国企業株(H 株)指数が 2.8% 安、ハンセン指数が 1.8% 安で引けた。 上海証取の信用買い残は 25 日に 1 兆 4,200 億元(約 28 兆 2,000 億円)規模と、4 日連続で減少した。 (Bloomberg = 6-26-15)


上海株式市場、消費拡大など中国経済を下支えせず

【香港】 中国の主要な株価指数は、先週下落したものの、過去 1 年間では 2 倍以上上昇している。 しかし、投資家たちがリターンを消費に回して、低迷する経済が下支えられる兆候は全く見えない。 米国のような先進国では、株式市場の上昇が個人消費を後押しし、経済成長を促すことがしばしばだ。 しかし、中国ではそのような効果が一切ないように見える。 上海総合指数は過去 12 カ月で 122% 上昇しているが、4 月と 5 月の小売売上高の伸びは前年同月比でわずか 10% と、5 年間で最小ペースにとどまっている。

その理由は何か。 せいぜいのところ、中国人の 15 人に 1 人しか株式を取引していないことだ。 これは、米国人が全体の半数以上が株式を取引しているのと対照的だ。 それは、株式市場の利益の大半が中国の富裕層の投資によって生まれていることを意味している。 中国の富裕層は株式市場に資金を注ぎ込んでいるものの、そこから得た利益を使うのではなく、貯蓄する公算が大きい。 しかも、株式を保有している人々は、消費を先送りして、一層の投資に回しているようだ。 とりわけ最近の歴史を見ると、上げ相場は長続きしない場合があることが示されているからだ。

週末 19 日の上海株式市場は 6.4% 下落し、週足で 13% の下落となった。 モルガン・スタンレーの中国担当チーフ・エコノミスト、ヘレン・キアオ氏は、「中国人投資家は上げ相場が短く、下げ相場が長いと信じる傾向にある」と話す。 「このため、(上げ相場の間は)株式取引に多忙になり、消費に回す時間が少なくなる」という。 中国株は 2007 年に急激な修正局面で急落した後、最近の上昇を迎えるまで、長い間低迷していた。 多くの投資家はこの市場低迷時に損失を出し、市場への関心が薄れた。 市場は昨年、ようやく勢いを見せ始めた。 低金利と同国政府が外国投資のさらなる受け入れを容認したことが寄与した。

株式市場の上昇が消費の下支えになることがほとんどない一方で、市場の下落は消費に打撃を与え得る。 その理由は、最近の買いの大半が借りた資金で行われていることにある。 中国株式市場の時価総額のうち、証拠金負債の占める比率は、今やニューヨーク証券取引所のそれを超えている。 このため、市場の低迷が続くと、投資家は債務返済のために消費を抑えなくてはならない可能性がある。

上海の高級車のショールームの販売員は、富裕な顧客が購入を先送りし、株式市場への投資を増やしていると話す。 4 月の新車販売は前年同月比 0.5% 減と、およそ 3 年ぶりのマイナスに転じた。 ニュースポータルサイト網易が最近行った調査によると、株式市場での儲けで車を購入することを検討すると答えた回答者は全体の 4 分の 1 にも達しなかった。 市場調査会社チャイナ・マーケット・リサーチの幹部は、中には新車を購入する代わりに、「初めて車をリースする判断を下す人もいる。 投資を続けられるようにするためだ。」と述べる。

上海在住のある主婦は普段、家計の約 3 分の 1 を中国最大の電子商取引サイト淘宝で衣服や化粧品を購入するのに費やしている。 しかし現在は、ウェブサイトを閲覧して株価の動きを見ている時間の方が長い。 「淘宝で掘り出し物を探すより、株を取引する方が楽しい場合がある」と話す。

HSBC ホールディングスによれば、アジアでは、資産効果が極めて強いのが、金融市場が発達している香港、韓国、台湾だ。 逆に極めて弱いのは、株式市場参加者が少ないフィリピン、インドネシア、そして中国だ。 香港では、ハンセン指数が 10% 上昇すると、個人消費は 1.1% 増加することが判明したという。 中国ではその効果はわずか 0.2% だ。

中国証券登記結算(CSDC = 証券保管振替機関)によると、中国には人口 13 億人のうち、証券勘定を持っている投資家が 8,900 万人いる。 つまり、総人口の約 7% が株式を取引できる態勢が整っていることを意味する。 6 月 12 日時点で株式を保有している勘定は全体のわずか 55% だった。 (The Wall Street Journal = 6-22-15)


中国株が再びたどる「バブル崩壊」への道

[香港] 「今回は違う - -。」 これは、金融市場で最も危険な言葉だ。 時価総額が初の 10 兆ドルを超えた中国株の高騰は、2006 - 08 年のバブルとその崩壊を想起させる。 相場のテーマは当時と重なるものが多く、前回よりはハッピーエンドになると示唆する違いはそれほどない。 現在の中国株の上昇ペースは急だが、前回に比べると目まいを覚えるほどではない。

中国の優良株で構成する CSI300 指数は今月 8 日に直近の高値を付けたが、過去 1 年の上昇率は約 150% だった。 同指数は 2007 年 10 月に過去最高値を付けたが、その前の 1 年間では 4 倍に跳ね上がっていた。 とはいえ、今回の相場高騰には前回と似た側面もある。 個人投資家が再び投機の先頭立っていることだ。 市場で売買されている浮動株のうち、個人投資家の保有率は約 3 分の 2 に上る。 農家の人や退職者、実業家たちが一斉に「ゴールドラッシュ」に参加している。

企業改革への期待感も、株式ブームに拍車をかけている。 10 年前、政府は企業の所有構造を変え、最大手銀行の株式を上場させた。 これにより、企業が株主を優遇するようになるとの期待が高まった。 現在、投資家は、交通銀行など国有銀行の株式を個人投資家がより多く持てるようになるとの漠然とした期待に熱を上げている。

国の支援に対する信頼も戻っている。 投資家は前回、2008 年の北京五輪を控えて政府が市場にてこ入れすると誤解した。 今回は、国営メディアでの株高容認コメントを買い継続の合図と解釈している。 株価バリュエーションは再びストレッチしつつある。 データストリームによると、上海株の予想株価収益率 (PER) は平均 18 倍と、2007 年に比べるとまだ半分の水準。 しかし、深セン株は前回の株式ブーム時よりも高い水準で推移している。

当時との相違点もまた厄介だ。 2007 年の中国の国内総生産 (GDP) 伸び率は 14% だった。 2015 年は、その半分の伸びにとどまるだろう。 また、レバレッジの問題もある。 証券会社が提供する信用取引融資は 2 兆元を突破している。 2007 年から 2008 年にかけ、中国株は 13 カ月もたたないうちに上昇分のほぼすべてを失った。 「今回は違う」と信じるに足る十分な理由はあまりない。 (Peter Thal Larsen、Reuters = 6-18-15)


中国株式市場、再びの宴 - 特派員リポート斎藤徳彦

上海市の「人民広場」。 3 本の地下鉄が交差し、高層ビルがぐるりと取り囲む。 中国経済の中心・上海の、そのまた心臓部だ。 その広場の南東、通りを隔てたビルの 1 階に、昼間から近所の人たちが集まる一角がある。 ベンチで高齢者らがくつろぎ談笑する光景は、日本の個人病院の待合室さながら。 けれど、みんなの視線の先では、壁一面の株価ボードが刻々と市場の変化を伝えている。 証券会社の営業店が、市民のサロン代わりに使われているのだ。

中国の年配の個人投資家たちには、みんなで集まって株価を議論する習慣がある。 ただ、週末となればあちこちに株自慢が立って自分の見方を辻説法で語る、かつての雰囲気が戻ってきたのは、つい最近のことだ。 朝夕 2 時間は座っているという男性 (59) が「ようやく『解放』されたからだよ」という言い方で理由を説明してくれた。 買ったときより値下がりしたために売るに売れなかった株が値を戻して売る踏ん切りがつき、また、「遊べるようになった。」

中国の株式市場はいま、「宴」のさなかにある。 その短い歴史の中で 1 度だけ、あのリーマン・ショックの前の 2007 年から 08 年始めにかけて訪れた熱狂を、再現するかのように。 代表的な指数の上海総合株価指数は 6 月、7 年半ぶりに節目の 5,000 ポイントを超えた。 1 年間の上昇率は 150% に達する。

上海と深センに上場する企業の時価総額を合計すると、今年に入ってからの増加額は約 5 兆ドル(約 600 兆円)で、「日本市場とほぼ同じ額が増えた」と報道された。 私が「中国市場の時価総額が日本を抜いた」という記事を書いたのは昨年 11 月末のこと。 それからたった半年で、もう 1 個分、日本市場が増えた計算だ。 5 月下旬以降は、1 日の取引額が上海と深センの市場を合わせてしばしば 2 兆元(約 40 兆円)を突破し、1 日の世界記録を続けざまに更新している。 急上昇が始まった昨年 11 月以降、株式市場の新たな参加者は約 2 千万人に達した模様だ。

たった 1 年前、状況はまるで違った。 上海株価指数は 2,000 ポイント付近を行ったり来たり。 不祥事で 1 年半、停止していた新規上場がようやく開始されたけれど、株の発行が増えた分、株価は上がらない。 国内最大の有望企業、ネット通販のアリババ・グループが上場先に米国市場を選んだことも、証券業界の停滞感を象徴していた。

一体、なにがこれだけの上昇をもたらしたのか。

折しもリーマン・ショック以来の減速に見舞われている中国経済を眺めれば、この疑問に拍車をかける事情ばかりが目につく。 昨年の国内総生産 (GDP) 成長率は 7.4% で 24 年ぶりの低水準となり、今年 1 - 3 月はさらに 7.0% まで鈍化した。 住宅価格の下がる不動産市場の不振が、投資や生産、消費にいたる各方面の沈滞を招いているためだ。 中央銀行の中国人民銀行は、企業や個人がお金を借りやすくする利下げを繰り返すが、まだ効果は見えない。 今後、不良債権が増えて銀行が破綻(はたん)する時代に備え、日本のように個人の預金の保護に 50 万元(約 1 千万円)までと上限を設けるペイオフ制度も始まった。

ところが、株を買って 10 年になる北京の会社経営者、李軍さん (38) の目には、これらすべてが、たった一つのシグナルを発しているように見えるという。 「国が、『株を買え』と言っている。」 不動産価格の下落は、値上がりを期待する人々のお金が、別の投資対象を求めていることを意味する。 利下げで出回ったお金は、どうにも元気のない製造業など実業の世界にはもたらされず、見返りが期待できる投機の世界へと向かう。 そして、ペイオフ制度は、お金持ちにしてみると銀行からお金を移さないといけないことを示す。

あながち、それが誇張には聞こえない根拠もある。 この 4 月から、これまで一人一つに限られていた証券口座の開設が、1 人 20 個まで認められるようになった。 このことで、「政府幹部のように本来は株を買えない人が、知人に頼んで買いやすくなった」と解釈するのが中国人流だ。 共産党機関紙、人民日報は 5 月下旬、「権威人士」の談話として、「貯蓄から投資へ」を促した。 市場はその日、過去最大級の取引額にわいた。 証券業界関係者は「(国家主席)習近平その人が認めていなければ、こんな書き方はできない」と語る。

元々、中国の投資家たちは、時として難解な中央政府の方針を、すぐに株式市場に「翻訳」することにたけている。 国家指導者や国務院(内閣にあたる)が、経済政策や方針を打ち出すと、翌日には「シルクロード構想概念株」、「原発輸出概念株」というような関連銘柄が値上がりする。 実際にこういった政策が関連企業の利益に結びつくのか、結びつくにしてもいつになるのか、は二の次だ。 とりあえず国策に応じて株を買いに走る行動様式が、人々にしみついている。

中国の株取引額に占める個人の割合は約 8 割に達し、機関投資家の存在感が大きい米国の 2 倍以上だ。 銀行口座に預けていても、金利が物価の上昇率にしばしば追いつかなくなる国で、人々は絶えず、なにかに投資しようとしている。 その個人たちが、「国策で株価上昇が支持されている」と信じて相場を押し上げる。 しかも、千万人単位の「新入り」たちも巻き込みながら。 多くの人たちは、借金をしてでも株を買い込む、信用買いと呼ばれる方式まで使って値上がりに賭けている。

北京の金融研究者は「不動産ブームの時に参加できなかった所得層の人たちが、今こそと思って乗り込んできている」と見る。 前述の李さんは「国策相場が続けば、5 年後に上海総合株価指数が 30,000 ポイントに行ってたって驚かないよ」とまで言う。 ただ、こうした図式は、まだ多くの参加者が、冷静な企業価値に基づいた購入をしていないことも物語る。 今回の上昇局面で新たに増えた株式市場の参加者のうち、「3 分の 2 は高校を卒業していない」と、専門知識に欠けることを懸念する報道もある。 伝統的な製造業の企業が名前をハイテク企業風に変えるだけで、株価が急上昇する現象もたびたび、起きている。

それでも、この株高は経済全体の様々な問題に対処する可能性を秘めてもいる。 中国人民銀行の周小川総裁は「企業が株式市場で株を新たに発行して資金を得れば、実体経済に貢献できる」と利点を話す。 元々、中国の企業は株式市場からの資金調達より、銀行の借り入れに著しく偏った構造が問題視されてきた。 このことが、銀行に貸してもらえない企業が不透明な方式で借金をする「シャドーバンキング(影の銀行)」が膨らむ原因ともなっていた。

短期的には、景気の落ち込みで業績不振に悩む企業も、値上がりした手持ちの株を売ればひと息つくことができる。 今年の経済成長目標率 7.0% を達成するためにも、「株高による証券・保険会社の寄与が必要(みずほ証券)」とする分析もある。

危うさものぞく個人の熱狂に支えられたこの相場の行き着く先に、何が待つのか。 80 年代以降の日本と、リーマン・ショックとを目撃してきた身としては考えてしまう。 中国はいま、不動産価格が「右肩上がりで続く」という一つの神話の終わりを経験しつつある。 入れ替わるようにブームを迎えた株式市場についても、既にバブルにあるという声は内外のメディアから高まる。 英誌エコノミストは今月、「高く飛びすぎている」と、過熱感に警鐘を鳴らす特集を載せた。

本来は強気のスタンスを取る立場の、大手証券会社の幹部はこう語る。 「07 年につけた上海総合株価指数最高値の 6,124 ポイントまでは行くだろう。 ただ、それを超えて上がり過ぎると危険かも知れない。」 上海の株式「サロン」で出会った男性は語っていた。 「90 年以降生まれの若いやつらは、下げ相場を知らない。 下落に転じたら、まず逃げ切れないだろうね。」 お金を借りてまで買い込んだ株が下がり始めれば、借金は返せず、資金の流れは詰まる。

株が上がり続ければ課題の経済構造まで是正する効果を秘め、その逆に下落が始まればあらゆるお金の流れが逆回転する。 どちらの道を歩むにせよ、株式市場がこの国の経済を左右する力は、1 年前とは比べものにならない。 これまで中国経済の風見鶏としての役割を担ってきた不動産価格に替わって、より広範な人々の思惑が乱れ飛ぶ株式市場が、巨象の行き先を占う。 そんな時代の節目を、熱狂とともに目撃しているのかも知れない。 (asahi = 6-16-15)