BMW が水素エンジンに見切りをつけ「燃料電池車」へ舵を切った理由

ベルギーのアントワープで開催された BMW の燃料電池に関するワークショップで、試乗車として用意されていたのは『X5』に燃料電池を詰め込んだ『iX5 HYDROGEN』だった。 車体に "HYDROGEN" と書かれた BMW に乗るのは 2006 年以来のことである。

2006 年に BMW は水素燃料に関するワークショップを開催しており、そこにあったのは V 型 12 気筒の水素エンジンを積んだ E65 の 7 シリーズ『HYDROGEN 7』だった。 いわゆる水素エンジンで、リヤに設けられた細いパイプからしたたり落ちる水をコップですくい、それを舐めさせられた記憶がある。 この水素エンジンはガソリンも使えるデュアルモードを備えていて、BMWは持続可能な将来に向けての水素エンジンの有用性を強くアピールした。ところがそれ以降、BMW から水素エンジンという言葉はまったく聞かれなくなってしまった。 あれから 17 年が経ち、BMW があらためて水素に着目したのはエンジンではなく燃料電池だった。

水素エンジンに見切りをつけ燃料電池へ舵を切った理由

彼らは水素エンジンを完全に諦めて燃料電池へ舵を切ったのか。 もしそうだとしたら、どうして水素エンジンに見切りを付けたのか。 燃料電池車 (=FCEV) を本気でやるつもりなのか。 聞きたいことは山ほどあったが、たまたま我々の日程には BMW AG のオリバー・ツィプセ会長が参加されていたので、直接彼に聞いて見ることにした。

「HYDROGEN 7 をお披露目した時点では、水素エンジンに大きな可能性やポテンシャルがあると信じていました。 しかしその後、社会や自動車技術は大きな変革を遂げました。 よって現時点では、水素を使うなら燃料電池が最適だと考えています。 これにはもちろんいくつかの理由があります。 まずは EV の台頭です。 EV の生産台数はここ数年で飛躍的に増加しました。 生産台数が増えればかかるコストは下がります。 ご存知のように、FCEV のパワートレインは EV のハードウエアとソフトウエアの大部分を共有できます。 FCEV 専用のパワートレインの開発や生産の必要がなくなったのは大きい。」

「次に効率です。 同じ量の水素を使った場合、水素エンジンよりも燃料電池のほうがずっと効率がよくて、航続距離も長くなります。 iX5 は燃料電池の補助的役割として駆動用バッテリーも積んでいるので、電費はさらに稼げます。 我々はだからといってもう 2 度と水素エンジンの開発はやらない、と言っているわけではありません。 ただいまは、総合的観点から燃料電池のほうがいいだろうというだけのことです。」

水素ステーションは「クルマ以外にも使える」というメリット

EV と比較しても FCEV にはメリットがいくつかある。 最大といってもいいのが満タンまでにかかる時間だ。 EV だと、普通充電ならひと晩、急速充電でもたいていの場合は使用時間が定められているので満タンにはならない。 しかし FCEV なら水素を満充填 するまでに有する時間は iX5 の場合、3 - 4 分だという。 これならガソリンや軽油の給油時間と遜色ない。

また、EVの充電器はクルマにしか使えないが、水素ステーションならクルマ以外でも使用可能だ。 欧州第 2 位の貨物取扱量を誇るアントワープでは、タグボードなど一部の船舶が燃料電池を採用しており、見学させてもらった水素ステーションは実際にクルマだけでなく船舶にも対応できる運用をしていた。 インフラ整備を加速する上で、利用対象が多いほうが何かと都合がいいというわけである。

肝心の水素の調達方法に関しても明るい兆しがあるという。 例えばオーストラリアのラトローブバレーには "褐炭" と呼ばれる質の悪い石炭が多く眠っている。 空気に触れると発火の恐れがあり取り扱いが難しいなどの理由から放置されているが、この褐炭から水素を製造する実証実験が始まっている。 放置されている資源だからコストは安いし、ラトローブバレーだけでも埋蔵量は日本の総発電量の 240 年分に相当するそうだ。 ここで精製した水素を液化水素にして日本へ輸送するプロジェクトは川崎重工がすでに着手している。

「長い充電時間のいらない EV」としての FCEV の可能性

iX5 HYDROGEN はまだテスト車両の段階で、発売の予定はないという。 しかし、衝突実験や極寒地/酷暑地でのテストはすでに終えているそうで、これまで 4 年の歳月をかけて開発している。

ボンネット下には燃料電池 (125kW) が収まっている。 BMW とトヨタが技術提携しているのはご存知の通りで、燃料電池のセルの部分はトヨタの『MIRAI (ミライ)』のそれを共有したそうだが、それ以外のスタックや冷却システム、マネージメント装置などはすべてBMWの独自開発である。 CFRP製の水素タンク(計 6kg)はセンタートンネルと後席下にT字のレイアウトで配置、リヤには『iX』の後輪用モーター (401ps) と駆動用バッテリー (170kW) が置かれている。 ツィプセ会長も語っていたように、駆動用バッテリーはあくまでも加速時など補助的に燃料電池を助けるもので、これだけでモーターが駆動することはない。充電は回生ブレーキによって行われる。

X5 には PHEV 仕様があって EV モードが選べるが、iX5 HYDROGEN の乗り味はそれとほとんど変わらない。 後輪駆動なので 4WD の X5 とはトラクションのかかり方が異なる程度である。 航続距離は約 500km、最高速は 185km/h、0 - 100km/h は 6 秒と公表されている。 ちなみに、車両重量は X5 PHEV とほぼ同等とのこと。 同型の EV よりはずっと軽いそうだ。 車体の大きな SUV なら(多くの EV がそうであるように) FCEV にもコンバートしやすいので、既存のモデルをベースにすれば開発期間の短縮や生産設備の流用も可能だろう。ただし、セダン系にはやはり専用のプラットフォームが必要であるということは、BMW も認識していた。

水素の調達方法やインフラの整備が確立すれば、FCEV は「長い充電時間のいらない EV」として、次世代パワートレインの最有力株として一気に躍り出る可能性を秘めている。 (渡辺慎太郎、Response = 2-27-23)

〈編者注〉 上記の記事からも、「ガソリン・ディーゼル車から EV へ」といった '単純移行はない' ということがよくわかります。 EV の走行距離がどれだけ伸びようとも、長い充電時間が大きなネックになってしまいます。 必要な時、必要な場所に、替わりの満タン電池が準備されていることが絶対条件になります。 良い例が、日本郵便の集配達でしょう。 二輪用、四輪用の満タンの代替電池がハブ中心地に一定数量準備されていれば、業務が滞ることはないと思えます。 結局は、用途により車の仕様は変わらざるをえない。 そして、どのような組み合わせが、最も効率的で、経済的なのか探り出していく他ないと考えます。


おまたせ、モバイル ICOCA アンドロイドで 3 月 22 日から

JR 西日本は 22 日、交通系 IC カード「ICOCA (イコカ)」の機能をスマートフォンに搭載できるサービス「モバイル ICOCA」を、3 月 22 日から始めると発表した。 アンドロイドのみで、アップルの「iOS」への対応は「前向きに検討中だが、時期は未定(担当者)」という。

事前に専用アプリを入れてクレジットカードを登録。 チャージすれば、対応の駅や店舗で使える。 定期券も購入できる。 同様のスマホ向けサービスは JR 東日本の「Suica (スイカ)」で 2011 年、関東私鉄などの「PASMO (パスモ)」で 20 年に始まっている。 対応が遅れた理由について、担当者は「利用が伸びるのか、投資額をどうするのか検討するのに時間がかかった。 大変お待たせした。」と説明している。

主な交通系 IC カードは全国で相互利用できるため、近畿圏でもスマホ利用したい人は「モバイル Suica」などを使ってきた。 JR 西は、今回の取り組みで、より多くの利用データを収集できるようになる。 また JR 西は 22 日、これまで主に 3 種類に分かれていたポイントサービスを統合した「WESTER (ウェスター)ポイント」を、3 月 7 日から順次始めると発表した。 (松岡大将、asahi= 2-22-23)


「空飛ぶクルマ」飛行成功、大分 屋外で有人は国内初

大分市で 17 日、災害時の物資輸送の手段などとして活用が期待される「空飛ぶクルマ」の飛行試験が行われ、成功した。 2 人乗りで、国土交通省によると、屋外の有人飛行としては国内初。 2025 年の大阪・関西万博での実用化を目指す。

飛行試験は航空・宇宙分野の先端技術活用に取り組む岡山県倉敷市の一般社団法人「MASC」が大分市内の海岸で実施。 機体は高さ約 30 メートルまで浮上し、約 400 メートルの距離を約 3 分半で飛行した。 機体は電動で、高さ約 1.7 メートル、幅約 5.6 メートル、重さ約 430 キロ。 (kyodo = 2-17-23)

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空飛ぶクルマ、ルール作り着々 機種ごとに操縦ライセンスを設定

2025 年の大阪・関西万博での実用化が期待される「空飛ぶクルマ」について、国土交通省は、運航や機体に関する新制度の概要を公表した。 機種ごとに操縦ライセンスをとることや、事故に備えて運航状況を記録する「ブラックボックス」の設置も求める。 空飛ぶクルマは、官民協議会で、操縦・整備のライセンスや、機体の装備品などのルール作りが進められている。 具体的な制度は 23 年度末までにまとめる予定だが、参入予定の事業者や上空での飛行が見込まれる自治体に準備を促すため、先行して概要を示した。

操縦ライセンスは、大型の旅客機などと同様に、機種ごとの取得を求める。 普及段階では、さまざまな規格の機体が開発されることを踏まえた。 将来的には類似の機種はまとめて資格を設定することも検討する。 運航は国の航空管制によらず、操縦者が目視で確認する。 国や自治体、事業者らはあらかじめ空域やルートなどの飛行経路を定め、その情報を発信することで、交通整理をする。 事故が起きたときに備えて飛行データを記録するブラックボックスの設置も求める。

25 年の実用化に向けて、メーカーの動きも加速している。 ベンチャー企業のスカイドライブは 21 年 10 月、量産の前提となる型式証明を国交省に申請。 米ジョビー・アビエーションは ANA ホールディングスと組んで国内市場に参入する。 22 年 10 月に申請し、万博でのサービス開始をめざしている。 (松本真弥、asahi = 12-29-22)


日野自動車、中国 BYD 製の EV バス発売を取りやめ

日野自動車は 17 日までに、3 月までに発売を予定していた小型の電気自動車 (EV) バス「ポンチョ Z EV」の発売を取りやめたと明らかにした。 約 30 人乗りのコミュニティーバスとしての利用を想定した車両で、中国 EV 大手の比亜迪 (BYD) から供給を受けて日野自が販売する計画だった。 調達をめぐり何らかの課題が生じたとみられる。 日野自は「個別事業についての経営判断の結果で、理由の詳細は回答を差し控える。 エンジン不正問題と直接の関わりはない。」としている。 実質的には発売を中止するとみられる。

同社は 2021 年 6 月、ポンチョ Z EV の発売を発表した。 当初は 22 年春の発売を計画したが、「品質の作りこみに時間がかかる」などとして発売を 22 年度中に延期していた。 その後も進展しなかったもようだ。 同車種は BYD の小型電気バスをベースとし、同社が日野自向けに OEM (相手先ブランドによる生産)方式で供給する予定だった。 注文していた一部の自治体などへの納車はキャンセルとなる。 日野自は「お客様や関係者に大変なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません」としている。 (nikkei = 2-17-23)

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中国 BYD、日本で EV 乗用車の販売開始 世界 2 位の EV メーカー

中国の EV = 電気自動車大手、BYD は、1 月 31 日から日本で EV の乗用車の販売を開始しました。 世界 2 位の EV メーカーの参入が日本の EV 市場の動向にどこまで影響を及ぼすかが注目されます。 中国の BYD は、世界 70 余りの国と地域で EV の販売を手がける大手メーカーで、EV 市場ではアメリカのテスラに次ぐ世界 2 位です。 会社は去年 7 月、日本の乗用車市場への参入を表明していて、31 日から、SUV = 多目的スポーツ車タイプの EV の販売を開始しました。

1 回の充電で走行できる距離はおよそ 480 キロで、自動ブレーキなどの最新の安全技術も備えています。 価格は 440 万円で、走行できる距離が同じ程度の国内メーカーの EV よりも 100 万円ほど安く設定されています。 会社は、この EV を第 1 弾として、年内に小型車とセダンタイプの合わせて 3 種類の EV を販売する計画で、本格的に日本市場でのシェア獲得に乗り出す構えです。

横浜市内の店舗で報道向けに開かれた内覧会で、BYD オートジャパンの東福寺厚樹社長は「少しずつブランド認知を進め、BYD と聞いたら EV と思い浮かべてもらえるように取り組みたい」と述べました。 国内外のメーカーが日本市場に EV を相次いで投入し、競争が激しくなる中で、世界 2 位の EV メーカーの参入が市場の動向にどこまで影響を及ぼすかが注目されます。

EV 販売台数 海外の主要市場で急速な伸び

世界的な EV シフトを受けて、中国やヨーロッパなど海外の主要市場で EV の販売台数は急速に伸びています。 調査会社のマークラインズによりますと、去年 1 年間に販売された乗用車の EV は、中国が 480 万台余り、アメリカが 80 万台に上っています。 乗用車の販売全体に占める EV の割合も、▽ 中国が 21%、▽ アメリカでも 5.8% と、日本の 1.7% を大きく上回っています。 また、ヨーロッパ自動車工業会によりますと、おととし 1 年間にヨーロッパで販売された乗用車の EVは 87 万台余りと、前の年より 63% と大幅に増え、販売全体に占める割合も 9.1% となっています。

このほか、調査会社のマークラインズによりますと、大手メーカーが日本を含む世界の主要市場で、去年 1 年間に販売した EV の台数は、▽ アメリカのテスラが 129 万台余りと最も多く、次いで、▽ 中国の BYD が 87 万台余り、▽ アメリカの GM = ゼネラルモーターズが 70 万台余りと、海外メーカーが上位を占めています。 日本メーカーは、フランスのルノーと提携している日産自動車と三菱自動車工業が 3 社合わせて 31 万台余りで、6 位となっているものの、日本メーカーの存在感は高くないのが実情です。

さらに、日本市場そのものも、海外の主要市場と比べると EV の普及ペースは緩やかです。 日本自動車販売協会連合会などによりますと、去年、国内で販売された乗用車のうち、軽乗用車を含めた EV の台数は 5 万 8,000 台余りと、前の年より 2.7 倍の大幅な増加となったものの、販売に占める割合では依然、1.7% にとどまります。 普及が進まない背景には、充電インフラの不足に加えて、電力を火力発電に大きく依存していることがあります。

ただ、今は規模が小さい日本の EV 市場に対しても将来の成長を見込んで、海外メーカーが攻勢を強めています。 去年は、ドイツのメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、それに韓国のヒョンデ(現代)などが相次いで新モデルを投入し、合わせて 1 万 4,000 台余りの EV を販売しました。 日本メーカーでは、日産自動車と三菱自動車工業が共同開発した軽自動車サイズの EV が大きく販売を伸ばしたものの、海外メーカーが攻勢を強める中で競争が激しくなっています。 (NHK = 1-31-23)


「混雑で疲れ果てる」、「ひどい」福岡都心の JR 減便、相次ぐ苦情

サービス低下が利用客離れを促進!

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「はるか」は 21 倍、「ラピート」 3 倍に 関空発着の特急、利用急増

関西空港を発着する特急の利用客数が回復している。 南海電鉄は31日、特急「ラピート」の昨年12月の利用者が、前年同月の3倍超だったと明らかにした。JR西日本の特急「はるか」は、年末年始の利用が21倍に増えた。新型コロナウイルスに伴う政府の水際対策の緩和などが後押ししたもようだ。

南海によると、2022 年 12 月のラピートの利用者は 22 万 3 千人。 前年同月の 7 万人から大きく増えた。 乗車率は約 6 割で、コロナ前の 19 年同月の水準まで回復した。 JR 西によると、昨年 12 月 28 日 - 今年 1 月 5 日の「はるか」の利用者は 5 万 1 千人。 前の年末年始の 21 倍に急増した。 ただコロナ前(18 - 19 年)の年末年始と比べると 6 割という。

両社は水際対策の緩和により、訪日外国人や海外に旅行する人が増えたことなどが理由とみている。 関空を運営する関西エアポートによると、22 年の国際線旅客数は 235 万人で、前年の 9 倍となっている。 (松岡大将、asahi = 1-31-23)


ついにボーイングが「新型旅客機」開発か!? まさかの "三角の翼!" 驚愕形状の旅客機案のワケ

NASA (アメリカ航空宇宙局)が開発を進めている実証機「遷音速トラス ブレース翼機(Transonic Truss-Braced Wing = TTBW 機とも)」について、アメリカの航空機メーカー、ボーイングが主体となり、開発と飛行試験が実施される予定です。

この機は「トラス ブレース翼」と称される通り、非常にユニークな翼型を特徴とします。 この「遷音速トラス ブレース翼機」の主翼は、胴体の大きさのわりに非常に長い一方で、非常に薄くなっています。 主翼の下にはそれを支えるべく、胴体下部から主翼中盤にかけ、斜めの支柱のようにつなぐ翼が取り付けられます。 「トラス(三角)」の名前は、この翼型が機体前方・後方から見ると、三角形に見えるためです。

NASA によると、この翼型の採用で抗力を少なくし、従来よりはるかに燃料効率の良い航空機の開発が機体できるとのこと。 2 者が主導する「遷音速トラス ブレース翼機」のデモ機では、現在実用化されている単通路(通路が 1 本)航空機と比較し、燃料消費と二酸化炭素排出量を最大 30% 削減することを目標としています。

ボーイングによると、「遷音速トラス ブレース翼機」は、2050 年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するという民間航空業界の目標設定のなかで構想されたものといいます。 デモ機は、これまで多くのヒット作を生み出したボーイングのノウハウが、存分に生かされる予定です。 (乗りものニュース = 1-21-23)


東北と四国で 4 割の荷物運べず? 迫るトラックの「2024 年問題」

野村総合研究所は 19 日、トラックドライバー不足が深刻になる「2024 年問題」で、30 年に予測される国内の荷物量の 35% が運べなくなるとの推計を発表した。 エリア別では東北、四国など地方で高い傾向にある。 輸送の効率化が進まなければ、一部の地域では離島のように配送料が割高になる可能性も指摘した。 トラックドライバーは 24 年 4 月から、拘束時間の制限が新たに設けられるなど労働規制が見直されることで、人手不足が懸念されている。 野村総研は将来の荷物量の予測をもとに、規制による物流への影響を調べた。

不足する割合が最も高いのは東北で 41%、四国で 40%、北海道と九州でいずれも 39% だった。 大都市を抱える関東と近畿でも、それぞれ 34% と 36% だった。 都道府県別にみると、秋田県が 46%、青森県が 44%、高知、長崎の両県が 42% と高かった。 少子高齢化が進む地方で、ドライバーのなり手が少ないことが影響したとみられる。 人口密度が低い地域は配送効率が悪いため、配送料が割高になったり、輸送の頻度が少なくなったりするなど、サービスの低下が懸念されるという。

ただ、荷主同士が協力し、互いの荷物を同じトラックに載せる共同配送を進めれば、不足割合は全国で 7% まで減らせるという。 一方、国土交通省などの有識者会議は 17 日、2024 年問題に備えた対応方針をまとめた。 長時間労働の要因にもなる倉庫前などでの待機時間について、荷物を送る側と受け取る側、輸送業者の 3 者が削減のための計画をつくるよう義務づけることを検討する。 多重下請けを減らすため、輸送業者に対して、運賃などの契約条件を明確にすることも求める方向だ。 (松本真弥、asahi = 1-19-23)


トヨタが異形の「新型自転車」発表! ヤマハ製モーター搭載で荷物をガンガン運搬
仏でカーゴバイクを発売する背景は? 100kg の荷物を運搬可能

トヨタのフランス法人は 2023 年 1 月 17 日、新型自転車「DOUZE Cycles x Toyota Mobility」を発表しました。 通常とは大きく形が異なる「カーゴバイク」と呼ばれる自転車ですが、自動車メーカーがこのような特殊な自転車を開発・販売するのには、どのような背景があるのでしょうか。

今回登場した DOUZE Cycles x Toyota Mobility は、普通の自転車では運べないほどの大きな荷物やたくさんの荷物を載せられるカーゴバイク(運搬用自転車)です。 ハンドルと前輪の間に大きなカゴが載せられるよう設計されています。 「脱炭素」の取り組みを推進するトヨタは、自動車の電動化はもちろん、自転車を含むマイクロモビリティにも視野を広げています。 自動車と自転車の間を埋めるモビリティが必要であり、特に配送のラストワンマイルでは、EV バンだけでなくカーゴバイクも有効な補完手段になるといいます。

仏トヨタはこの領域にアプローチするため、2022 年 7 月、仏ブルゴーニュ地方のディジョン近郊に拠点を置くカーゴバイクメーカー「DOUZE Cycles」とパートナーシップ契約を締結。 そして今回、第一弾モデルの発表にこぎ着けました。 ボディは、堅牢で継ぎ目のないアルミ鋳造フレームを採用し、カーゴバイクにふさわしい流麗でダイナミックな外観を実現しています。 全長 2,750mm、ホイールベース 2,160mm、ホイールは前輪 20 インチ、後輪 26 インチです。

荷台は 850mm の長さとし、特大の成型フレームで強度を確保しました。 荷物の重量は 100kg まで、車体に調和するようデザインされた大型ボックスを使うと容量は 300 リットルまで積載可能です。 配達などのビジネス用途のほかプライベート用途でも活用できます。 買い物や、子供 3 人または大人 1 人も乗せられるため送迎にも使えます。 電動アシスト機能は、荷物を満載しても楽に走れるようにヤマハ製の 250W モーターを標準装備。 500Wh のバッテリーは取り外し可能で、標準的なコンセントで 4 時間でフル充電が可能です。 使用状況にもよりますが、1 回の充電で最大 100km 走行できます。

そしてこのカーゴバイクは、環境に配慮して生産されるといいます。 フレームの各パーツはフランスで生産されたものを使い、リサイクル由来のアルミ成型フレームも開発。 ポリマー部品にも、環境負荷の少ないリサイクル材を採用するとのこと。 また、17 個の交換可能なパーツを組み込むことで修理を容易にし、交換によって乗り続けられるような製品にしています。 廃棄時も簡単に解体・分別できるように設計されており、リサイクル性を最大限に高めています。 この新型カーゴバイク DOUZE Cycles x Toyota Mobility は、2023 年 9 月からフランス国内のトヨタ販売店で販売される予定です。 (くるまのニュース = 1-18-23)


中国の国産旅客機「C919」、受注が千機超す

【上海】 中国上海市が大型航空機産業のシステム構築を加速させている。 コア技術の進展と統合イノベーションに重点を置き、昨年は国産リージョナルジェット機「ARJ21」の大規模納入を進め、国産旅客機「C919」 1 号機の引き渡しを実現させた。

同市科学技術委員会が 10 日発表した「上海科学技術進歩報告 2022」によると、C919 は昨年 12 月に最初の顧客となる中国東方航空に 1 号機が引き渡され、商用運航に向けた第一歩を踏み出した。 同機は昨年末時点で 32 社からの 1,035 機を受注している。 ARJ21 も 12 月に最初の海外顧客となるインドネシアのトランスヌサ航空に 1 号機が納入された。 昨年は 25 社からの 690 機を受注し、国内外の 9 社に計 100 機を納入。 これまでの輸送旅客数は 600 万人近く、運航路線は 316 路線、就航都市は 118 都市に上る。 (中国・新華社 = 1-11-23)

前 報 (10-14-22)


昨年の交通事故死、過去最少の 2,610 人 50 年で 6 分の 1 以下に

昨年 1 年間に全国で交通事故で亡くなった人は 2,610 人だった。 前年より 26 人 (1.0%) 減少し、統計を取り始めた 1948 年以降の最少を 6 年連続で更新した。 警察庁が 4 日発表した。 政府は 2025 年までに死者を 2 千人以下にする目標を掲げている。 警察庁は交通事故死者減少の要因として、官民が連携した事故防止の取り組みなどを挙げる。 コロナ禍で外出自粛が続いた 20 年と 21 年に比べ減少幅は小さくなったが、同庁はコロナ禍の影響について「今後分析する」としている。

昨年の都道府県別の死者数は大阪が 141 人(前年比 1 人増)で初めて全国ワーストとなった。 次いで愛知 137 人(同 20 人増)、東京 132 人(同 1 人減)、千葉 124 人(3 人増)、兵庫 120 人(同 6 人増)の順で多かった。 最少は鳥取の 14 人(同 5 人減、島根は 16 人で 2 番目)。 人口 10 万人あたりでみると、岡山の 3.94 人が最多で、最少は東京の 0.94 人だった。 65 歳以上の高齢者の死者数(速報値)は 1,471 人で前年より 49 人 (3.2%) 少なかったが、全体の 56.4% を占めた。

交通事故の死者数は 1970 年にピークの 1 万 6,765 人に達した。 減少と増加傾向のあと、96 年に 1万人を下回ってからは減少傾向が続いている。 警察庁は、国民の交通安全意識の高まりのほか、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)といった車の機能や性能の向上など、さまざまな要因があるとみている。 昨年の交通事故の発生件数(速報値)は前年比 1.3% 減の 30 万 1,193 件、負傷者数(同)は 1.6% 減の 35 万 6,419 人だった。 (編集委員・吉田伸八、asahi = 1-4-23)


テスラ、22 年 EV 販売目標に届かず 株価は 1 年で 65% 下落

電気自動車 (EV) で世界最大手の米テスラは 2 日、2022 年の世界販売台数が 131 万台だったと発表した。 前年の 93.6 万台より 40% 増えて過去最多を更新したが、50% 増としていた目標は下回った。 成長鈍化への懸念や、イーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) が米ツイッターの経営に注力していることから、テスラの株価は大きく下落している。

マスク氏は 22 年の世界販売台数について、「楽に 50% を超える成長を見込める(22 年 1 月の決算会見)」としていた。 だが、中国・上海のロックダウンで工場が一時、操業を停止したことや、新車の発売がなかったこと、大手の米ゼネラル・モーターズ (GM) や米フォード・モーターなどが新型 EV を投入して競争が激化したことから、目標を達成できなかった。 22 年末には米国で、主力車種で 7,500 ドル(約 98 万円)の割引を実施。 割引せざるを得ない状況にあることや、米国の金利上昇の影響で、販売落ち込みへの懸念が拡大。

株価は年末にかけて大きく下落した。 22 年末時点の株価は 1 年前より 65% 下がり、時価総額も 3,890 億ドル(約 51 兆円)と約 94 兆円減った。 マスク氏が、買収したツイッターの経営に熱心になり、テスラの経営に悪影響が出るとの見方も株安につながっている。 テスラの株価下落により、米誌フォーブスによると、マスク氏は富豪世界一の座から転落した。 現在は「ルイ・ヴィトン」などを傘下にもつ仏 LVMH の会長兼 CEO のベルナール・アルノー氏が 1 位となっている。 (ニューヨーク = 真海喬生、asahi = 1-3-23)

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テスラ振るわずトヨタ首位、EV よりハイブリッド−米誌の最新調査

→ 2 位はレクサス−コンシューマー誌の信頼性調査
→ 購入予定者の 3 分の 1 以上が次の自家用車にハイブリッド車を検討

電気自動車 (EV) が一大旋風を巻き起こしつつあるが、最も信頼できるバッテリー駆動車は依然としてガソリンタンクを備えたハイブリッド型のようだ。 15 日に発表された米消費者団体専門誌コンシューマー・リポートの最新信頼性調査では、ハイブリッド車が自動車部門で最高ランクとなり、トヨタ自動車などガソリン・電気のハイブリッド車を展開する自動車メーカーの評価が高まった。 同誌の自動車テスト担当シニアディレクター、ジェイク・フィッシャー氏はインタビューで、「現在のハイブリッド車は静かで速くかつ快適だ。 EV の信頼性はそれほどではなく、実際は大半が平均を下回っている。」と語った。

コンシューマー誌の最新調査によると、複数のハイブリッドモデルを提供しているトヨタと同社の高級車部門レクサスがランキング上位を占めた。 一方、EV メーカー最大手の米テスラは 24 ブランド中 19 位。 今回の年次調査では 30 万台余りのデータが収集された。 フィッシャー氏は調査結果発表に先立ち、自動車報道協会 (APA) の会合で、「EV は新たなテクノロジーで、多くの自動車メーカーには電動パワートレインを手掛けた経験があまりない」と述べていた。

ランキング最下位はドイツのメルセデス・ベンツ。 最新テクノロジー搭載モデルの故障の多さが響いた。 米フォード・モーターは 18 位。 米ゼネラル・モーターズ (GM) 傘下のブランドもバッテリーの問題などで振るわなかった。 最新調査によれば、次の自家用車としてハイブリッド車を検討すると回答した購入予定者の比率は 36% と、2019 年の 29% から上昇した。 (Keith Naughton & David Welch、Bloomberg = 11-16-22)


動き始めたタクシー EV 化 「配車アプリ」 が主導する仕組みとは?

タクシー業界で、車両を電気自動車 (EV) に切り替える動きが出ている。 配車アプリの運営会社が導入を促すほか、独自に EV 化を進めるタクシー会社もある。 脱炭素の潮流が強まる中、顧客の好みの変化や将来の規制強化をみすえる。 タクシー配車アプリ「GO」を運営する「モビリティテクノロジーズ(東京)」は 12 月、提携するタクシー会社約 100 社に対して、2031 年までに EV 2,500 台と充電器 2,900 台を導入してもらう事業を始めた。

仕組みはこうだ。 モビリティ社がタクシー会社に車をリースする契約を結ぶ。 モビリティ社は自動車メーカーに代金を払い、買った車両をタクシー会社に提供する。 国の「グリーンイノベーション基金」から、車両を買う費用の 3 分の 2 が補助金として出る。 トヨタ自動車の「bZ4X」、日産自動車の「アリア」、「リーフ」が対象で、今後車種を増やす。 経営が厳しいタクシー会社でも、モビリティ社が「後ろ盾」となることで EV を導入できるようにし、普及をめざす。

小泉元環境相「タクシー乗ったら EV」を

EV 導入の説明会に参加した小泉進次郎・元環境相は、「(環境相)当時は EV に批判があったが、だいぶん空気が変わった。 『タクシーに乗ったら EV』という経験が、日本の電動化を加速させる」とあいさつした。 21 年時点の全国のタクシー台数は約 21 万台で、EV 比率は 0.1% にすぎない。 モビリティ社は国のほかの補助制度も活用し、30 年度までに全体の 2 割にあたる約 4.2 万台を EV にすることをめざす。 充電器も 2.4 万台に増やす。

配車アプリの画面には、EV 走行で削減できた二酸化炭素の排出量を見られるようにし、将来は配車時に EV を選べるようにする。 タクシーの 1 日あたりの走行距離は自家用車の約 7 倍とされる。 EV 化には充電器を整えることが課題となる。 同社ではタクシーの車両データを分析することで、運転手の利便性が高く、運行に支障をきたさない設置方法を模索する。 中島宏社長は「廉価な電力を供給する仕組みをつくるなど、タクシー会社の負担を減らして EV 化を進める」と話す。

タクシー会社長「ありがたい支援」

配車アプリは若者を中心にタクシー利用の主流になりつつある。 運営会社が EV を大量調達してタクシー会社を支援し、EV シフトを進める。 タクシー会社は、訪日客の減少やガソリン価格の高騰などで経営は厳しい。 EV に切り替える余裕がなく、車両の更新時期に廃業する会社も目立つ。 EV を導入する日本城タクシー(大阪市)の坂本篤紀社長は、配車アプリへの参加で 1 台あたりの乗客が増え、人手不足による売上高減を補えたと言う。

「負担を減らして新車への切り替えができる。 こんなにありがたいことはない。」

韓国製 EV、投入の動きも

独自に EV への切り替えに挑む会社も。 大手エムケイ(京都市)は 8 月、韓国・現代自動車が製造し、日本で販売する EV 「アイオニック 5」を導入した。 航続距離が 500 キロ以上あって後部座席も快適性が高く、観光の貸し切りサービスに適すると判断した。 もともとある車両は価格が EV より安いが、燃料の LP ガスやガソリン代の高騰が続き、負担が重い。 車の更新期間の 5 年でみると、EV の運行コストはガソリン車と同水準にできる。 走行音が静かで、運転手が疲れにくい利点もある。

22 年度末時点の EV 比率は約 12% で、30 年には全車を EV と燃料電池車にする計画。 経営企画部の担当者は「ホテルや修学旅行の利用で EV が求められる時代がくるのに備えたい」と話す。 京都では都タクシーなど、ほかのタクシー会社も 11 月から、日産が 6 月に売り出した軽 EV 「サクラ」を活用したタクシーの運行を始めた。 東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「タクシー会社に一定台数の EV 保有を義務づけるなど、規制が厳しくなる可能性がある」とし、EV 化が加速するとみる。 (神山純一、asahi = 1-2-22)


EV 移行は「想定通りにはいかない」、マツダが指摘する 5 つの理由

電気自動車 (EV) への移行は一部で想定されるようなスピード感では進まない。 そう訴えるトヨタ自動車の豊田章男社長に同社と協業するマツダ幹部から同調する声が上がった。 マツダの古賀亮専務執行役員は 30 日、同社が 2 年前に EV 比率を 25% とする目標を発表して以降、米国のインフレ抑制法 (IRA) など各国で電動化を加速する政策が推進されているが、「その通りにはいかないだろうな、というリスクもたくさんわれわれは感じている」と語った。 EV への移行が「想定通りにいかない」理由として古賀氏は 5 つの点を挙げた。

IRA や欧州の電池規則に適合するには部品サプライチェーン(供給網)を「根本から作り直すようなことになる」ため、莫大な投資と「ものすごい時間がかかる」。 「10 年仕事という人もいる」とも。 足元で資源調達のリスクが出ていることに加え、IRA の規則に適合しようとすれば「電池の取り合いになるのは目に見えている。」 調達難により電池の値段は上昇する。 ロシアなど地政学上のリスクでエネルギー調達やカーボンニュートラルの基本になる「エネルギー転換の根本を揺るがすことになる。」

消費者や市場が EV を受け入れるかどうかという問題もある。 特に米国では製造業で十分な労働力の確保が困難で、電池や EV 工場を含め「どんどんインフラが整ってくるとは思えない。」 地球温暖化に対する懸念の高まりを受け、走行中に二酸化炭素を排出する内燃機関車に対して一部の環境団体や投資家は批判の声を高めている。 欧米勢は EV シフトの姿勢を強めているのに対し、日本のトヨタなどはハイブリッド車を含めた多様な選択肢を当面は維持していく構えを見せている。

トヨタの豊田社長は 9 月、米国訪問中に EV への完全移行に取り組む競合他社とは一線を画す姿勢を改めて示した。 同氏はEVの普及にはメディアで報じられているような期間よりも「長い時間を要するだろう」と指摘し、多様なパワートレインを提供していく方針を維持する考えを示した。 豊田氏同様、EV 移行には時間がかかると主張するマツダの古賀氏は「電動化の潮流は変わらないと思うが、時間軸は変わるだろう、というのがわれわれの立ち位置だ」と指摘。 マツダは「小さい会社」なため、欧米の規制で EV が一気に普及するシナリオだけに自社の未来を賭けることはできないとの考えだ。 (稲島剛史、Bloomberg = 11-30-22)

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マツダが新「ビジョンスタディモデル」世界初公開! 個性派ドア採用 今後の新型車にも期待大!?

マツダが、「カーボンニュートラルに向けた取り組み」、「電動化戦略」など 4 点から構成される「中期経営計画のアップデートと 2030 年に向けた経営の基本方針」を発表。 あわせて、「ビジョンスタディモデル」の画像および動画を公開しています。

車高ぺったんこな「ビジョンスタディモデル」は何を示唆しているのか

マツダは、2022 年 11 月 22 日に中期経営計画のアップデートと 2030 年に向けた経営の基本方針を発表しました。 あわせて、「ビジョンスタディモデル」の画像および動画を公開しました。 今回、マツダは「カーボンニュートラルに向けた取り組み」、「電動化戦略」、「人と IT の共創によるマツダ独自の価値創造」、「原価低減活動とサプライチェーンの強靭化」という 4 点について今後の具体的な取り組みを説明。

カーボンニュートラル化に関しては、2050 年のカーボンニュートラルに向け、2035 年にグローバル自社工場のカーボンニュートラルを中間目標に設定。 省エネ、再エネ、カーボンニュートラル燃料の活用の 3 本柱で取り組みを進めていくとしています。 電動化戦略について、マツダは 2030 年時点のグローバル販売における EV 比率が 25% から 40% になると想定したうえで、2030 年までの期間を 3 つのフェーズに分けて電動化に対応。

第 1フェーズでは、既存資産であるマルチ電動化技術を活用し、魅力的な商品と環境負荷の低減を両立。 このフェーズではラージ商品群「CX-60」に続き「CX-70」、「CX-80」、「CX-90」を投入し、プラグインハイブリッドやディーゼルのマイルドハイブリッドなど環境と走りを両立する商品で収益力を向上させる計画です。 第 2 フェーズでは、新しいハイブリッドシステムを導入するとともに、電動化が先行する中国市場において EV 専用車を導入するほか、グローバルにバッテリー EV の導入を開始。 第 3 フェーズでは、バッテリー EV 専用車の本格導入を進めるとともに、電池生産への投資などを視野に入れるということです。

人とITの共創に関して、人を深く研究することにより、人体や脳のメカニズムを理解・モデル化。 高度運転支援技術の開発を加速させる計画です。 そのうえで 2040 年を目途に自動車技術で対策可能なものについて、自社の新車が原因となる「死亡事故ゼロ」を目指すとしています。 AI や IT を使いこなせるデジタル人材への投資も並行して進めるとしています。 原価低減活動とサプライチェーンの強靭化については、バリューチェーンとサプライチェーン全体を鳥瞰し、ムダ・ムラ・ムリを徹底的に取り除く取り組みを通じて、原価の作りこみを実施。原価低減力と減産抵抗力を強化します。

マツダは今回の発表にあわせて、前述のビジョンスタディモデルを初公開。 画像だけでなく、発表のプレゼンテーション映像にもごくわずかに映り込んでいます。 映像では、低い車高やマツダが過去に公開した「RX ビジョン」を連想させるフロントグリルのデザインが確認できるほか、スーパーカーのようなシザーズドアを採用していることもうかがえます。 どのように具体化されるのかは不明となっているものの、今後登場するマツダ車にも期待が高まります。 (くるまのニュース = 11-22-22)