「ようやくいつものお正月」帰省ラッシュがピークに JR 博多駅

3年ぶりに、新型コロナによる行動自粛の強い呼びかけがない年末年始の帰省ラッシュ。 ピークを迎えた 29 日、福岡市博多区の JR 博多駅構内は、スーツケースを引いた乗客らで混雑し、切符を買い求める長い列ができていた。 JR 西日本によると、東京から午前 11 時半に博多に着いた新幹線「のぞみ」の自由席乗車率は 140%。 全体として、コロナ禍前の 2019 年末より高い傾向という。 新大阪 - 博多間の指定席の予約率も 28 日の時点で昨年より 1 割ほど増え、ほぼ満席となった。

福岡市に住む高校 3 年の河野紗菜さん (18) は、広島県から遊びに来る祖父母を迎えに来ていた。 「去年の年末は外出を控え、ご飯もテイクアウトして気を使ったけれど、今年は移動が自由になってうれしい。 みんなでアウトレットの初売りに行くのが楽しみ。」と話していた。 福岡県春日市の会社員、甲田智之さん (39) は 4 歳と 2 歳の娘を連れて、岡山県に帰省。 新幹線の改札前の混雑を見て、「去年よりずいぶん増えていますね」と驚いた。 コロナの感染再拡大も気になるが、「ようやくいつものお正月が戻ってきたのかな」と話した。 (福井万穂、asahi = 12-29-22)


「やっと海外に行ける」 成田空港で出国ピーク 前年の 12 倍以上か

成田空港で 28 日、年末年始を海外で過ごす人たちの出国ラッシュがピークを迎えた。 多くの国が新型コロナウイルスの行動制限などを緩和した影響か、出国者は昨年より大きく増えており、国際線の出発ロビーには長い列ができた。 タイに家族 3 人で出かける富山県氷見市の会社員、小林芙美さん (45) は「やっと海外に自由に行けるようになった。 現地では泳いだり、観光地を巡ったりしてのんびり過ごしたい。」と話した。

成田国際空港会社によると、23 日 - 1 月 5 日の国際線の旅客数は推計 61 万 8,500 人で、前年度同期の 12 倍以上に増える見通し。 ただ、「コロナ禍」の前の 2019 年度同期比では 44.5% と半分以下にとどまる。 帰国のピークは 1 月 4 日を見込んでいる。 (中村宰和、mainichi = 12-28-22)


老朽マンション、大規模修繕工事で固定資産減税へ 来年度税制改正

老朽化したマンションの修繕工事を促すため、政府は一定の条件を満たせば、建物の固定資産税を減額する。 23 日に閣議決定した来年度の政府税制改正大綱に盛り込んだ。 対象は築 20 年以上で 10 戸以上のマンション。 2 回目以降の大規模修繕工事で、屋根と床の防水、外壁の塗装が含まれ、2023 - 24 年度に完了することが条件だ。 100 平方メートル分までの建物の固定資産税が 6 分の 1 - 2 分の 1 減額される。 減税の割合は今後、自治体の条例で定められる。

国土交通省は、12 - 15 年ごとに大規模修繕工事をするよう推奨しているが、2 回目の工事の時期を迎えたマンションでは、管理組合の合意形成がハードルになっているという。 居住者の高齢化が進み、積立金の引き上げが難しくなっているため、工事にかかる費用がまかなえなくなるケースも増えている。 修繕されずに建物の老朽化が進むと、外壁がはがれ落ちるなどして周辺に被害を及ぼすおそれがある。 国交省は、減税することで、修繕工事の実施や積立金の引き上げなどの合意を後押ししたい考えだ。 (高橋豪、asahi = 12-23-22)


今年の漢字は「戦」 清水寺で発表、最多 1 万 804 票 2 位は「安」

2022 年の世相を表す漢字は「戦」 - -。 日本漢字能力検定協会(京都市東山区)は 12 日、全国から募集し、最も選んだ人が多かった「今年の漢字」を清水寺(同)で発表した。 森清範(せいはん)貫主が縦 1,5 メートル、横 1.3 メートルの和紙に文字を書き上げた。 募集期間は 11 月 1 日から 12 月 5 日で、22 万 3,768 票の応募のうち、「戦」は最多の 1 万 804 票だった。

選ばれた理由は主に、▽ ロシアのウクライナ侵攻、▽ サッカー W 杯での日本代表の試合、▽ MLB の大谷翔平選手の活躍、▽ 新型コロナや物価高への対応 - - などだった。 「戦」が選ばれたのは 2001 年以来 2 度目。 2 位は「安 (1 万 616 票)」、3 位は「楽 (7,999 票)」だった。 以下、▽ 4 位「高 (3,779 票)」、▽ 5 位「争 (3,661 票)」、▽ 6 位「命 (3,512 票)」、▽ 7 位 「悲 (3,465 票)」、▽ 8 位「新 (3,070 票)」、▽ 9 位「変(3,026 票)」、▽ 10 位「和 (2,751 票)」。

同協会は 1995 年から、「いいじいちじ」と読む 12 月 12 日の「漢字の日」に「今年の漢字」を発表している。 今年で 28 回目になった。 揮毫(きごう)を終えた森貫主は「『乱』ではないかと思いながら手のひらに描いて稽古していた。 来年こそは『戦』が終わって、皆が心安らかな日々を送れるようになっていただきたい。」と話した。 (西田健作、asahi = 12-12-22)


「村神様」が流行語大賞に トップテンに「キーウ」、「宗教 2 世」も

今年の世相を反映した言葉を選ぶ「2022ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が1日、発表された。年間大賞には、プロ野球で史上最年少の三冠王となった東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手にファンが付けた呼び名「村神様」が選ばれた。 (asahi = 12-1-22)

トップテンは以下のとおり(50 音順)。

キーウ / きつねダンス / 国葬儀 / 宗教 2 世 / 知らんけど / スマホショルダー / てまえどり / 村神様 / Yakult 1000 / 悪い円安

選考委員特別賞として「青春って、すごく密なので」が選ばれました。 東北勢として初めて甲子園で優勝した仙台育英(宮城)の須江航監督が、優勝インタビューで語った言葉です。  高校生が高校生らしい生活を送れなかったコロナ下。 いろんな機会を奪われた世代への応援メッセージでした。 選手たちのそばにいた指導者だからこその、実感こもった言葉に私も甲子園の観客席で涙しました。 (岡本峰子)

「入学どころか、たぶんおそらく中学校の卒業式もちゃんとできなくて。 高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんです。 青春って、すごく密なので。 でもそういうことは全部ダメだ、ダメだと言われて。 活動してても、どこかでストップがかかって、どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で。 でも本当にあきらめないでやってくれたこと、でもそれをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、全国の高校生のみんなが本当にやってくれて。 すべての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います。(須江航監督)」

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宗教 2 世、顔パンツ、OBN などがノミネート 流行語大賞 2022

今年の世相を反映した言葉に贈られる「2022 ユーキャン新語・流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)」にノミネートされた 30 語が 4 日、発表された。 象徴的な事件や出来事に関係する「キーウ」、「国葬儀」、「宗教 2 世」が選ばれたほか、新型コロナでは「オミクロン株」、「顔パンツ」、「青春って、すごく密なので」が挙がった。 性的シーンの撮影現場で制作側と俳優の合意形成を支援する専門職「インティマシー・コーディネーター」や、男性中心の組織が作り上げてきた文化や人間関係などを指す「OBN (オールド・ボーイズ・ネットワーク)」など、ジェンダー不均衡への意識を反映した言葉も目立った。 年間大賞とトップ 10 は 12 月 1 日に発表される。 (asahi = 11-4-22)

ノミネートされた 30 語

▽ インティマシー・コーディネーター、▽ インボイス制度、<▽ 大谷ルール、▽ オーディオブック、▽ OBN(オールド・ボーイズ・ネットワーク)、▽ オミクロン株、▽ 顔パンツ、▽ ガチ中華、▽ キーウ、▽ きつねダンス、▽ 国葬儀、▽ こども家庭庁、▽ 宗教 2 世、▽ 知らんけど、▽ SPY x FAMILY、▽ スマホショルダー、▽ 青春って、すごく密なので、▽ #ちむどんどん反省会、▽ 丁寧な説明、▽ てまえどり、▽ ヌン活、▽ BIGBOSS、▽ 村神様、▽ メタバース、▽ ヤー! パワー!、▽ ヤクルト 1000、▽ リスキリング、▽ ルッキズム、▽ 令和の怪物、▽ 悪い円安


電気・ガス・ガソリンに 6 兆円 巨額の支援決定 「出口」は?

政府は 28 日、電気・ガス料金の負担軽減策を盛り込んだ総合経済対策を閣議決定した。 ガソリン補助金は来年も続けることが決まり、支援対象はエネルギー全般に広がる。 岸田文雄首相は負担減は 6 兆円とアピールするが、「出口戦略」ははっきりしない。 財政負担は拡大するばかりだ。

「来年 1 月以降、来年度前半にかけて、標準的な世帯で 4 万 5 千円程度の負担軽減となる。」

閣議決定後、西村康稔経済産業相はこう強調した。 政府は電力会社に支援金を出し、電気料金を 2 割ほど引き下げる。家庭向けは 1 キロワット時あたり 7 円で、経産省は標準的な家庭(使用量 400 キロワット時)で月 2,800 円安くなるとしている。 都市ガスの支援金は 1 立方メートルあたり 30 円で、標準的な家庭(使用量 30 立方メートル)で月 900 円安くなる。 ガソリンや灯油などへの補助金では、月 1,300 円の負担減になると試算する。

ウクライナ危機による資源価格の高騰に急速な円安が加わり、エネルギー価格は上がり続けている。 9 月の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比 3.0% 増だったのに対し、電気が 21.5% 増、都市ガスは 25.5% 増だった。 政府は来年 4 月以降、電気代がさらに 2 - 3 割上がるとみて 1 月にも支援策を始める。 電気・ガスの支援策は、すべての家庭が対象になる。 節電や脱炭素に逆行するとの指摘もあり、来年 9 月に支援額を縮小する方針だ。 財務省幹部は「ガソリン補助金のように延長を繰り返されるのは避けたい。 ある程度期間を長めにしてでも、『出口』をはっきりさせる。」と説明する。

ただ、一度始めた負担軽減策をやめるのは難しい。 今年 1 月に始まったガソリン補助金は当初は 3 月末までの予定だったが、原油価格の高騰に伴い、これまでに 3 度延長された。 12 月までの予算額は約 3.2 兆円にふくらんでいる。 さらに今回、2023 年度前半(来年 9 月)までの延長が決まった。 来年 1 月からは補助の上限を、現在の 1 リットルあたり 35 円から 25 円に段階的に引き下げるとしているが、終了への道筋が描けているわけではない。

電気・ガスの支援策もガソリン補助金も来年 10 月以降は「未定(経産省)だ。 円安の影響で原油や天然ガスの輸入価格は高止まりしており、エネルギー価格の抑制に巨費を投じる異例の政策が長期化する懸念は残る。 (岩沢志気、長崎潤一郎、asahi = 10-28-22)

政府が決定したエネルギー支援策

  • 電気料金 標準世帯(月の使用量 400 キロワット時)では月 2,800 円安く
  • 都市ガス 標準世帯(月の使用量 30 立方メートル)では月 900 円安く
  • ガソリンと灯油 ガソリンを月 35 リットル、灯油を月 15 リットル使う 2 人以上の世帯で月 1,300 円の負担減
  • LP ガス 事業者向けに配送の合理化などの支援 家庭の負担減につながるか不透明

* 経済産業省の試算 都市ガスの支援には年間契約量が1千万立方メートル未満の企業を含む


音楽教室での生徒の演奏は「著作権使用料」の徴収対象外
最高裁が JASRAC 側の上告退ける

音楽教室に楽曲の著作権使用料の支払い義務はあるのか。 音楽教室の運営者らと JASRAC = 日本音楽著作権協会が争った裁判で、最高裁は、生徒の演奏については使用料の支払いは不要との判断を示しました。 この裁判は、JASRAC が 2017 年に、音楽教室で曲が演奏された際に著作権使用料を徴収する方針を示したことに対し、音楽教室を運営する 200 あまりの個人や事業者が訴えたものです。

音楽教室側は「教室で曲を利用しているのは教師や生徒であって、音楽教室の運営者ではない」などとして、使用料は徴収できないと訴えていました。 一審の東京地裁はこの訴えを認めませんでしたが、二審の知財高裁は去年、教師と生徒の演奏を分けて検討し、教師の演奏には使用料を徴収できるとしたものの、生徒の演奏は対象外と判断していました。 最高裁は判決で JASRAC 側の上告を退けました。 これで、教師の演奏は著作権使用料の支払い対象、生徒の演奏は対象外とする二審の判決が確定しました。 (TBS = 10-24-22)


NHK 受信料、経営委が値下げ案承認 過去最大幅

NHK の最高意思決定機関である経営委員会が 11 日開かれ、執行部は来年 10 月に NHK 受信料を値下げする案を提出、経営委は大筋で承認した。 地上波のみの「地上契約」は月額 1,100 円に、地上波と衛星放送 (BS) の両方を視聴できる「衛星契約」は月額 1,950 円に、支払い方法を問わずそれぞれ値下げする。 値下げは令和 2 年 10 月以来 3 年ぶりで、過去最大幅となる。

現在の受信料は、支払い方法で幅があり、口座振替などで支払う場合、地上契約が月額 1,225 円、衛星契約が月額 2,170 円。 値下げ幅は地上契約が 125 円 - 175 円、衛星契約は 220 - 270 円となる。 森下俊三委員長は「非常に大胆な意見を出していただいた」と執行部を評価。 「強い決意と緻密な計画で、さらなる NHK 改革に臨んでほしい」と要望した。

これを受け、NHK は 3 - 5 年度経営計画の修正案を公表。 値下げによる赤字は経費削減などで捻出した繰越金や剰余金などから充当し、9 年度の収支均衡を見込む。 前田晃伸(てるのぶ)会長は会見で「過去にない大規模な値下げで、NHK が進めてきた三位一体改革の総仕上げとなる。 改革を後戻りしないよう、NHK を本当の意味でスリムで強靭な組織に変えたい」と述べた。 計画案では 2 波ある BS の 2K チャンネルのうち 1 波の削減を、6 年 3 月末と明示した。 現在の BS プレミアムを削減し、「新 BS2K」、「新 BS4K」(いずれも仮称)に再編する。 (sankei = 10-11-22)


食品の家計負担「年 7 万円増」 10 月に値上がりする主な商品と価格

身近な食品の「値上げラッシュ」が 10 月にピークを迎える。 帝国データバンクによると、10 月だけで約 6,500 品目の価格が引き上げられる。 この 1 年間の値上げにより、家計負担は年 6 万 8,760 円増える試算になるという。 10 月から価格はどう変わる - - ?

ビール ; アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールの大手 4 社は 1 日から、そろってビール系飲料の出荷価格を引き上げる。 麦芽やトウモロコシなどの原材料に加え、アルミ缶や段ボールなどの包装資材の価格も上がっているためだ。 缶ビールを値上げするのは 4 社とも 14 年ぶり。 発泡酒や第 3 のビールも含めたビール系飲料の店頭価格は 4 - 13% 引き上げられると想定している。 このほか、缶チューハイやウイスキー、ノンアルコール飲料も値上げする。

ペットボトル飲料 : コカ・コーラボトラーズジャパンやサントリー食品インターナショナル、キリンビバレッジやアサヒ飲料などの飲料各社は 1 日、ペットボトルやボトル缶の飲料の希望小売価格を 4 - 25% 引き上げる。 サントリーなどが 500 ミリリットル前後の小型ペットボトルの価格を引き上げるのは 24 年ぶり。

マヨネーズ : キユーピーと味の素は 1 日から、マヨネーズの出荷価格を引き上げる。 原料となる食用油が値上がりしているためだ。 昨年 7 月に 8 年ぶりに値上げして以降、今年 3 月にも引き上げたばかりだった。 1 年あまりのうちに 3 回目の見直しとなる。 キユーピーは 1973 - 74 年、第 1 次石油危機の影響で 4 回続けてマヨネーズを値上げした。 今回はその当時に匹敵するペースだという。

チーズ : 明治と森永乳業は 1 日、チーズの希望小売価格を 4.8 - 15.5% 引き上げる。 価格は据え置いて容量を減らす商品もある。 海外から輸入する原料などが高騰しているためだという。 両社とも、4 月にもチーズを値上げしていた。

調味料・たれ : 味の素は 1 日から、調味料の「アジシオ」や「瀬戸のほんじお」、「ほんだし」、「味の素 KK コンソメ」などの出荷価格を引き上げる。 海水から塩をつくるときに必要な石炭価格が上がったり、だしやコンソメの原料となるかつお節や乳糖などが高騰したりしているのが理由だという。 値上げ幅は 2 - 12%。 キッコーマン食品も 1 日に希望小売価格を見直し、たれ類で 5 - 10%、みりん類で 4 - 11% 引き上げる。

レトルトカレー : 大塚食品は 1 日、レトルトのカレーや親子丼などを値上げする。 「様々な企業努力と経営の合理化に努めてきたが、現行の価格体系を維持することが困難な状況になった」という。 今回とは別の商品を対象に、4 月には「ボンカレー」シリーズ 7 品目の価格を引き上げていた。

コーヒーなど : キーコーヒーは 1 日から、コーヒーやその関連製品を値上げする。 かねてのコーヒー豆相場の高騰にくわえ、為替の円安傾向で輸入コストがふくらんでいるためだ。 店頭価格は 5 - 20% 上がると見込んでいる。 味の素 AGF も 1 日、湯に溶かして飲むスティックの価格を引き上げる。 店頭価格の上昇幅は 16 - 22% だと予測している。 今回とは別の品目で、9 月には 1 箱に入るスティックの本数を減らしていた。

粉ミルク : 雪印メグミルクと雪印ビーンスタークは 1 日から、粉ミルクの希望小売価格を引き上げる。 値上げ幅は 4.8 - 7.0%。 粉ミルクの原料になる大豆や菜種、パーム油などの価格が上昇しているためだという。

菓子 : アサヒグループ食品は 1 日以降、菓子の「ミンティア」や「1本満足バー」、フリーズドライのみそ汁などの希望小売価格を 2 - 13% 引き上げる。 明治も 1 日から、菓子の「ヨーグレット」や「ハイレモン」、「ヤンヤンつけボー」の出荷価格を 6 - 9% 引き上げる。

外食 : 回転ずしの「スシロー」と「くら寿司」は、1984 年から続けてきた「1 皿 100 円(税抜き)」をやめる。 税込み 110 円の皿は 1 日から、スシローが 120 円、くら寿司が 115 円にする。 牛丼チェーンの吉野家も 1 日、「牛丼」の並盛りを値上げする。 このほかにも、「豚丼」の並盛りは 415 円(店内飲食時の税込み)、「牛カルビ丼」と「牛焼肉丼」の並盛りは 624 円にし、それぞれ 22 円値上げする。 ファミリーレストランの「ガスト」は 6 日から、店のある地域を「地方都市」、「都市部」、「超都心」に分けたうえで値上げする。 ガストの商品の半数が対象で、平均値上げ率は 5.6%。 (山下裕志、asahi = 9-29-22)


電力不足は無くせるか 「ボトルネック」の東西連系線、進む増強

電気の周波数が異なる東日本と西日本の間で、電気を融通する連系施設の増強工事が進んでいる。 中部電力の送配電の子会社「中部電力パワーグリッド」が 15 日、増設中の周波数変換設備 (FC) を報道陣に公開した。 電力不足の解消への鍵となる国家プロジェクトの一つだ。 公開されたのは東清水変電所(静岡市)内の FC。 切り立った山の裾野の敷地に 1 棟あるのを 2 棟追加し、能力を 3 倍にする。 現状の工事の進捗率は約 30% といい、担当者は「岩盤の掘削など難しい工事もあるが、予定通り進んでいる」と話した。

日本は東日本(50 ヘルツ)と西日本(60 ヘルツ)と周波数が違い、片方の地域の電力が逼迫しても FC の能力分しか融通ができない。 FC は現在、静岡県のほか長野県や岐阜県に計 4 カ所あるが、変換できる総容量は 210 万キロワットしかない。 このため、政府は 2016 年に 27 年度末までに容量を 300 万キロワットに増やす計画を立てた。 変換設備の増強は 4 カ所で総額 1,837 億円。 沖縄電力を除く大手電力 9 社で費用を割り振り、一部は電気料金に上乗せされる見通しだ。

政府が計画を進める背景には、こうした連系線のボトルネックが人々の暮らしに大きな影響を与えかねないという事情がある。 東京電力が初めて需給逼迫警報を出した今年 3 月 22 日の午後、東電管内は電力供給の余裕度を示す「予備率」の予測値がマイナス 2 - 4% 程度で推移。 最大約 210 万キロワットの不足が予想され、停電のおそれが生じた。 隣接する中部電力や関西電力の管内、北陸は 10 - 12% 程度と余裕があったが、東電管内への融通は最大 60 万キロワットにすぎなかった。 連系線の容量の多くは市場取引用で、一部しか融通に使えないためだ。

11 年の東日本大震災でも東北や関東が電力不足に陥ったが、西日本で余った電気を十分に送ることができず、東電は延べ 32 回の計画停電に追い込まれた。 また、今年は様々な地域で再生可能エネルギーによる発電が余り、電力会社が停止を求めるケースが相次いだ。 東西で融通できる量が限られ、必要な地域で電気を活用することが難しいからだ。 連系容量の少なさは、再エネの推進をも阻んでいると言える。 27 年度末までの工事で増える連系線の容量は 90 万キロワット。 仮にすべてを融通にあてたとしても、万一の際に十分な量とは言い切れない面もある。 (野口陽、asahi = 9-15-22)


2021 年度の食料自給率、38% に微増 小麦の国内生産が増え

農林水産省は 5 日、2021 年度の食料自給率を発表した。 カロリーベースの自給率は 38% で前年の 37% から微増した。 生産額ベースの自給率は 63% (前年比 4 ポイント減)で、過去最低となった。 カロリーベースの食料自給率は 1965 年度に 73% あったが、「食の洋風化」などの影響で下がり続け、過去 10 年ほどは 30% 台後半で推移している。 20 年度はコロナ禍の影響で外食向けのコメ需要が減るなどして過去最低だった。

21 年度は外食需要の回復でコメの消費が増えたほか、国内生産が増えた小麦の自給率が上がったことなどが影響した。 生産額ベースの自給率は、輸入した食料が値上がりした一方で国産のコメや野菜が値下がりしたことで、過去最低となった。 ロシアのウクライナ侵攻による小麦価格の高騰などを受け、日本でも食料の安定供給を不安視する声が上がっている。 政府は 30 年度にカロリーベースで 45% まで引き上げる目標を掲げるが、00 年に目標を設定して以降、一度も達成できていない。 (初見翔、asahi = 8-5-22)


出生率反転、波乗れぬ日本
先進国の 8 割上昇、夫在宅でも妻に負担偏重

先進国の 8 割で 2021 年の出生率が前年に比べて上昇した。 新型コロナウイルス禍で出産を取り巻く状況がまだ厳しい中で反転した。 ただ国の間の差も鮮明に現れた。 男女が平等に子育てをする環境を整えてきた北欧などで回復の兆しが見えた一方、後れを取る日本や韓国は流れを変えられていない。 経済協力開発機構 (OECD) に加盟する高所得国のうち、直近のデータが取得可能な 23 カ国の 21 年の合計特殊出生率を調べると、19 カ国が 20 年を上回った。 過去 10 年間に低下傾向にあった多くの国が足元で反転した格好だ。

21 年の出生率に反映されるのは 20 年春から 21 年初にかけての子づくりの結果だ。 まだワクチンが本格普及する前で健康不安も大きく、雇用や収入が不安定だった時期。 スウェーデンのウプサラ大学の奥山陽子助教授は「出産を控える条件がそろい、21 年の出産は減ると予想していた。 それでも北欧などでは産むと決めた人が増えた。」と話す。 理由を探るカギの一つが男女平等だ。 20 年から 21 年の国別の出生率の差とジェンダー格差を示す指標を比べると相関関係があった。 世界経済フォーラム (WEF) の 22 年版ジェンダーギャップ指数で首位だったアイスランドの 21 年の出生率は 1.82。 20 年から 0.1 改善し、今回調べた 23 カ国で 2 番目に伸びた。

19 年まで出生率の落ち込みが大きかった同 2 位のフィンランドは 2 年連続で上昇し、21 年は 0.09 伸びて 1.46 まで回復した。 奥山氏は「長い時間をかけてジェンダー格差をなくしてきた北欧では家庭内で家事・育児にあてる時間の男女差が少なく、女性に負担が偏りにくい」と指摘。 コロナ禍で在宅勤務が広がるなか「男性の子育ての力量が確認された」という。

日本は状況が異なる。 「第 2 子を期待したが諦めた。」 埼玉県に住む 30 代の共働き世帯の女性は肩を落とす。 コロナ禍で夫婦とも在宅勤務が増え、夫が家事・育児に加わり 2 人目の子を持つ余裕ができると考えた。 結果は「頼れないことがわかった。」 自宅で何もしない夫のケアまで上乗せされ、逆にコロナ前より負担が増えたという。 先進国の中でもジェンダー格差が大きい日本と韓国の出生率はいずれも 0.03 下がった。 韓国は出生率 0.81 と深刻で、日本も 1.30 と人口が加速的に減る瀬戸際にある。 家庭内の家事・育児時間の男女差が 4 - 5 倍ある両国は女性の出産意欲がコロナ禍で一段と弱まった恐れすらある。

ジェンダー格差とともに少子化に影を落とすのは収入だ。 東京大学は男性を年収別のグループで分けて 40 代時点における平均的な子供の数の推移を調べた。 2000 年以前は差が小さかったのに対し、直近は年収が低いグループの子供の数が高いグループの半分以下になった。 十分な収入を確保できない状況が続けば育児は難しい。 共働きで世帯収入を増やすことは出生率を底上げする。

先進国で女性の社会進出は少子化の一因とされ、1980 年代には女性の就業率が上がるほど出生率は下がる傾向にあった。 最近は北欧諸国などで経済的に自立した女性ほど子供を持つ傾向があり、直近 5 年では女性が労働参加する国ほど出生率も高い。 日本は女性の就業率が 7 割と比較的高いにもかかわらず出産につながりにくい。 家事・育児分担の偏りや非正規雇用の割合の高さといった多岐にわたる原因が考えられる。 保育の充実といった支援策に加え、男女の格差是正から賃金上昇の後押しまであらゆる政策を打ち出していく覚悟が必要になる。 (北爪匡、天野由輝子、nikkei = 7-31-22)

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出生 81 万人、少子化加速 国推計より 6 年早く到達 昨年、出生率 1.30

2021 年に生まれた日本人の子ども(出生数)は 81 万 1,604 人で、データがある 1899 年以降で最少となった。 前年より 2 万 9,231 人 (3.5%) 少なく、減少は 6 年連続。 国の推計より 6 年早く 81 万人台前半に突入し、少子化の加速が鮮明になった。 厚生労働省が 3 日、人口動態統計を発表した。 国立社会保障・人口問題研究所が 2017 年に公表した将来推計では出生数を 3 種類で想定。政府が通常使うシナリオ(中位)では 21 年に 86.9 万人、悲観的なシナリオ(低位)は 75.6 万人と算出していた。

21 年の実際の出生数は 81.1 万人で、政府のシナリオと悲観的なシナリオの中間付近の数字になった。 政府のシナリオは 81 万人台の前半になるのは 27 年と見込んでいたが、想定より早く少子化が進行している。 日本人の人口が 1 億人を切るのは 49 年と想定していたが、それも早まりそうだ。

1 人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す「合計特殊出生率」は 1.30 で、前年より 0.03 ポイント下がった。 6 年連続で低下し、過去 4 番目の低水準となった。 人口を維持するのに必要な出生率 (2.06) だけでなく、政府が目標とする「希望出生率 1.8」とも大きく乖離している状況だ。 都道府県別にみると、沖縄 (1.80) が最も高く、鹿児島 (1.65)、宮崎 (1.64) と続いた。 最も低いのは東京 (1.08) で、宮城 (1.15)、北海道 (1.20) の順。 西高東低の傾向となった。

死亡数は戦後最多の 143 万 9,809 人。 新型コロナウイルス感染症による死亡数は 1 万 6,756 人だった。 人口 10 万人あたりの死亡率を都道府県別にみると、最も高いのは大阪府の 31.1。 兵庫県の 26.8、沖縄県の 26.0 と続いた。 感染拡大した都市部で死亡率が高くなった。 出生数から死亡数を引き算した「自然増減数」はマイナス 62 万 8,205 人で過去最大の減少となった。 鳥取県の人口(約 54 万人)を上回る規模の人口減が今後も続く見通しだ。 婚姻数は 2 年連続の減少で戦後最少の 50 万 1,116 組だった。 厚労省はコロナ禍の影響も婚姻数や出生数を押し下げたとみている。 (久永隆一、asahi = 6-4-22)

前 報 (6-4-21)