原油、高値から 32% 下落 東商取先物、6 万 50 円

9 日の東京商品取引所で中東産原油の先物が連日で大幅下落した。 株価終値に相当する指標価格の清算値は 1 キロリットル当たりで前日比千円安の 6 万 50 円を付けた。 ロシア軍のウクライナ侵攻直前の 2 月 21 日以来、約 9 カ月半ぶりの安値で、今年の最高値から 32.3% (2 万 8,680 円)下落した。 この通常時間帯の売買に先立つ夜間取引では一時 6 万円を割った。 市場では、世界最大の経済規模を持つ米国で、消費や住宅購入、企業の設備投資が減る景気後退が懸念されている。 この影響で国際的に燃料や石油化学製品の需要も減りそうな情勢だ。 (kyodo = 12-9-22)


食品関連は 537 件、アパレル関連は 325 件 〜新型コロナ関連倒産 4,563 件〜

11 月 28 日は新たに 7 件の新型コロナウイルス関連倒産 = 法的整理または事業停止(銀行取引停止処分は対象外)、負債 1,000 万円未満および個人事業者を含む = が確認された。 その結果、同日 16 時現在の新型コロナウイルス関連倒産は全国で累計 4,563 件(法的整理 4,243 件、事業停止 320 件)となっている。 負債 1 億円未満の小規模倒産が 2,689 件(構成比 58.9%)を占める一方、負債 100 億円以上の大型倒産は 8 件(同 0.2%)にとどまっている。 (帝国データバンク = 11-28-22)

  • 発生時期別 2020 年が 838 件、2021 年が 1,743 件、2022 年が 1,982 件で、2022 年の累計はまもなく 2,000 件を超える。 月別では、今年 9 月(237 件)が最多。 感染者数が激増した感染第 7 波の影響が大きいとみられる。 11 月発生の倒産は現時点で 75 件確認されている。
  • 業種別 「飲食店(669 件)」が最も多く、「建設・工事業(574 件)」、「食品卸(236 件)」、「食品小売(184 件)」が続く。 製造・卸・小売を合計した件数は、食品が 537 件、アパレルが 325 件となっているほか、ホテル・旅館、旅行業、観光バス、土産物店などの観光関連事業者の倒産は 315 件となっている。
  • 都道府県 「東京(844 件)」、「大阪(471 件)」、「神奈川(266 件)」、「福岡(254 件)」、「兵庫(214 件)」の順で、同 5 都府県(2,049 件)で全体の 44.9%、1 都 3 県(1,381 件)で全体の 30.3% を占めている。

新型コロナウイルス関連倒産について - 「新型コロナウイルス関連倒産」とは、原則として新型コロナウイルスが倒産の要因(主因または一要因)となったことを当事者または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象としている。 個人事業主および負債 1,000 万円未満の倒産もカウントの対象としているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日としてカウントしている。

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コロナ破たん、累計 4,500 件を超える 10 月は 20 日時点で 126 件判明とハイペース

10 月 20 日は 16 時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債 1,000 万円以上)が 12 件判明、全国で累計 4,293 件(倒産 4,136 件、弁護士一任・準備中 157 件)となった。 月間件数は 2022 年 2 月以降、9 月まで 8 カ月連続で 150 件を上回っている。 9 月は 206 件が判明し、月間では 2022 年 3 月(216 件)、2022 年 6 月(212 件)に次ぐ過去 3 番目となった。 10 月も 20 日までで 126 件が判明している。

2021 年の年間件数は 1,718 件に達し、2020 年の 843 件に比べて 2 倍に増加した。 2022 年は現時点ですでに前年 1 年間を上回る高い水準で推移している。 倒産集計の対象外となる負債 1,000 万円未満の小規模倒産は累計 217 件判明。 この結果、負債 1,000 万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で 4,510 件に達した。

国内の企業数(358 万 9,333 社、2016 年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は 0.125% で 1,000 社に 1 社が破たんした計算となる。 都道府県別で最も比率が高いのは東京都の 0.226% で唯一の 0.2% 台、一方最低は宮崎県の 0.043% で、地域間での格差がみられる。 コロナ関連融資の返済が本格化する時期に差し掛かってきた。

ただ、コロナ前の業績回復に至らない企業や、ライフスタイルの変化などでビジネスモデルの見直しを迫られた企業などは、返済原資を捻出できず、事業継続を断念するケースが増加している。 円安進行による資材高や物価高、人手不足でのコストアップも過剰債務に陥った企業に追い打ちをかけ、コロナ関連破たんは当面増勢をたどる可能性が高い。 (東京商工リサーチ = 10-20-22)

負債1,000万円以上の企業の詳細は、

都道府県別】 〜 東京都が 900 件、100 件以上は 10 都道府県 〜

都道府県別では、東京都が 900 件と全体の 2 割強(構成比 20.9%)を占め、突出している。 以下、大阪府 424件、愛知県 210 件、福岡県 206 件、神奈川県 197 件、兵庫県 179 件、北海道 172 件、埼玉県 150 件、千葉県 117 件、静岡県 116 件と続く。 20 日は大阪府と福岡県、愛知県、東京都で各 2 件、京都府、茨城県、宮城県、群馬県で各 1 件判明し、東京都が 900 件となった。 10 件未満は鳥取県のみの 1 県、10 - 20 件未満が 3 県、20 - 50 件未満が 21 県、50 件以上 100 件未満が 12 府県、100 件以上は 10 都道府県に広がっている。

業種別】 〜 飲食が最多、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く 〜

業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で 671 件に及ぶ。 営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が 489 件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の 310 件。 このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が 188 件。 インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル、旅館の宿泊業が 150 件と、上位を占めている。

負債額別

負債額が判明した 4,245 件の負債額別では、1 千万円以上 5 千万円未満が最多の 1,559 件(構成比 36.7%)、次いで 1 億円以上 5 億円未満が 1,382 件(同 32.5%)、5 千万円以上 1 億円未満が 830 件(同 19.5%)、10 億円以上と、5 億円以上 10 億円未満が各 237 件(同 5.5%)の順。 負債 1 億円未満が 2,389 件(同 56.2%)と半数以上を占める。 一方、100 億円以上の大型破たんも 12 件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

形態別

「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した 4,136 件の形態別では、破産が 3,717 件(構成比 89.8%)で最多。 次いで民事再生法が 160 件(同 3.8%)、取引停止処分が 152 件(同 3.6%)、特別清算が 89 件、内整理が 14 件、会社更生法が 4 件と続く。 「新型コロナ」関連倒産の約 9 割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。 業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

従業員数別

「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した 4,122 件の従業員数の合計は 4 万 752 人にのぼった。 平均すると 1 社あたり約 10 人となる。 4,122 件の内訳では従業員 5 人未満が 2,330 件(構成比 56.5%)と、半数以上を占めた。 次いで、5 人以上 10 人未満が 808 件(同 19.6%)、10 人以上 20 人未満が 527 件(同 12.7%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。 また、従業員 50 人以上の破たんは 2021 年上半期(1 - 6 月)で 17 件、下半期(7 - 12 月)で 15 件。 2022 年は上半期で 24 件に増加し、7 月以降もすでに 21 件発生している。

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ゼロゼロ融資、積み上がった 42 兆円 焦げ付けば国民負担も

新型コロナウイルス対策として政府が始めた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の受け付けが 9 月末で終了した。 融資実績は 42 兆円にのぼり、巨額の公費を投じて企業の資金繰りを支えてきた。 利払いが順次始まる来春に向けて企業の返済が本格化する見通しだが、コロナの影響が長引くなどして倒産はすでに増加傾向にある。 返済が滞れば公費負担が増えるおそれもある。

ゼロゼロ融資は、コロナで売り上げが減った中小企業を対象に、金融機関が担保なしでお金を貸し出す制度。 本来は借り手が金融機関に支払う利子を 3 年間、国や都道府県が負担し、返済できない場合の保証もつく。 2020 年 3 月に始まった。 民間金融機関の新規受け付けは昨年 3 月で、政府系金融機関も今年 9 月末で終えた。 中小企業庁によれば、融資実績は 6 月末時点で約 234 万件、42 兆円。 政府は金融機関に利子として支払う予算として約 1.8 兆円を計上しており、3 月末までに約 4 千億円を支出した。

手厚い支援の効果で、倒産件数は歴史的な低水準に抑えられてきた。 帝国データバンクによると、21 年度の企業倒産(負債 1 千万円以上)は 5,916 件と前年度より 2 割近く減り、約半世紀ぶりに 6 千件を割り込んだ。 ただ、今春以降、物価高や円安の影響もあって増加傾向に転じている。 8 月は前年同月より 44 件多い 493 件と 4 カ月連続で前年同月を上回った。 4 カ月連続での前年同月超えはコロナ下で初めてだ。 ゼロゼロ融資を受けた企業の倒産も増え、1 - 8 月で 253 件と昨年 1 年間(166 件)の 1.5 倍だ。 借り入れをしてもコロナ禍で売り上げが回復せず、資金繰りが追いつかなくなったとみられる。

民間金融機関によるゼロゼロ融資が焦げ付くと、公的機関の信用保証協会が返済を肩代わりする。 協会によると、ゼロゼロ融資を含む 8 月の肩代わり額(代位弁済額)は前年同月より 26% 多い 266 億円。 前年同月を上回るのは 12 カ月連続だ。 協会がお金を回収できない場合、損失の一部は公費で穴埋めされ、国民負担になる。 融資の無利子期間は来春以降、順次終わる。 利払いが始まれば、資金繰りが苦しくなってさらに倒産が増え、返済が滞る懸念もある。

帝国データバンクの担当者は「ゼロゼロ融資の返済のほかにも、物価高や円安など倒産のきっかけとなる要素が増えている。 倒産件数は増加への転換局面を迎えている。」と話す。 (筒井竜平、若井琢水、asahi = 10-10-22)


10 月消費者物価 3.6% 増、第 2 次石油危機以来 40 年ぶりの高水準

総務省が 18 日発表した 10 月の消費者物価指数(2020 年 = 100)は、値動きの大きい生鮮食品をのぞいた総合指数が 103.4 で、前年同月より 3.6% 上がった。 上昇率は第 2 次石油危機の末期である 1982 年 2 月以来、40 年 8 カ月ぶりの高さとなった。 過去の消費増税時の上昇幅も上回った。 上昇は 14 カ月連続で、日本銀行が物価安定目標として掲げる 2% を超えるのは 7 カ月連続だ。

帝国データバンクのまとめでは、10 月に値上げの食品は、月別で最多となる約 6,700 品目。 ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰に加えて円安の影響が強まり、食品だけでなく、エネルギー関連など幅広い品目が上昇している。 分野別では、家庭用耐久財が 11.8% 上昇し、75 年 3 月以来の伸びとなったほか、生鮮食品をのぞく食料が 5.9% 上がり、81 年 3 月以来の上昇幅となった。 電気代が 20.9%、都市ガス代が 26.8% 上昇するなどエネルギー全体では 15.2% 上昇したが、政府の補助金の影響などでガソリンが2.9% 上昇にとどまり、エネルギー全体の伸びは前月の 16.9% から縮小した。 (北川慧一、asahi = 11-18-22)

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家計負担は「12 万 1 千円増」 日銀見通しの物価 2.9% 増なら

日本銀行は 28 日、2022 年度の物価上昇率の見通しを、7 月時点の 2.3% から 2.9% へ大幅に引き上げた。 日銀は、世界的な資源高に円安が加わり、値上げの波はさらに広がるとみている。 見通し通りの場合、専門家の試算では、家計の負担は前年度より 10 万円超重くなりそうだ。 第一生命経済研究所の熊野英生氏の試算によると、22 年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年度からの上昇率が 2.9% だった場合、政府の支援策など他の条件を加味しても、2 人以上世帯の家計の負担は前年度から約 12 万 1 千円増える。 「消費増税 3% と同じくらいの影響」があるという。

すでに、物価高は家計に重くのしかかっている。 9 月の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品をのぞく総合指数が前年同月より 3.0% 上がった。 3% 台となったのは、消費増税が影響した期間をのぞくと 1991 年 8 月以来、31 年 1 カ月ぶりだ。 帝国データバンクのまとめでは 10 月に値上げされる食品は、月別で最多となる 6,700 品目に及び、物価上昇は当面続くとみられている。

日銀の 9 月の「生活意識に関するアンケート」では、物価が「かなり上がった」、「少し上がった」と答えた人は合計で 91.8% を占めた。 暮らし向きについては「ゆとりがなくなってきた」との回答が最多の 50.7% で、1 年前の調査より 14.4 ポイント悪化した。 物価高が影響しているとみられる。 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は 28 日の記者会見で「(物価の)上ぶれの背景は輸入物価上昇や価格転嫁の広がりだ。 年明け以降、こうしたコストプッシュの影響は減衰する」と指摘。 今後、物価上昇の勢いは弱まるとの見方を示した。

ただ、帝国データバンクの調査(9 月)によると、コスト上昇分を販売価格に転嫁したいと考える企業のうち、実際にできた割合を示す「価格転嫁率」は 36.6% にとどまる。 価格への転嫁が進み、値上げの動きが広がれば、日銀の想定以上に物価が上がり、家計の負担はさらに重くなるおそれがある。 一方、企業が仕入れコストの増加を抱え込めば、経営悪化は避けられず、日銀がめざす賃上げの動きが鈍るリスクもある。 (小出大貴、asahi = 10-29-22)

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9 月の消費者物価が 3.0% 上昇 資源高・円安響き 31 年ぶり水準

総務省が 21 日発表した 9 月の消費者物価指数(2020 年 = 100)は、値動きの大きい生鮮食品をのぞいた総合指数が 102.9 で、前年同月より 3.0% 上がった。 上昇率が 3% 台になったのは、消費増税の影響があった期間をのぞき 1991 年 8 月以来、31 年 1 カ月ぶりだ。

上昇は 13 カ月連続で、日本銀行が物価安定目標として掲げる 2% を超えるのは 6 カ月連続だ。 ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰に加えて円安の影響が強まり、エネルギー関連や食料価格など幅広い品目が上昇している。 分野別では、家庭用耐久財が 11.3% 上昇し、75 年 3 月以来の伸びとなったほか、生鮮食品をのぞく食料が 4.6% 上がり、81 年 8 月以来の上昇幅となった。 電気代やガソリン代などエネルギー全体の上昇率は、前月と同水準の 16.9% だった。 (北川慧一、asahi = 10-21-22)

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7 月消費者物価、前年同月比 2.4% 上昇 エネルギー関係の上昇続く

7 月の消費者物価指数(2020 年 = 100)は、値動きの大きい生鮮食品をのぞいた総合指数が 102.2 で、前年同月より 2.4% 上がった。 上昇幅は 14 年 12 月以来の大きさで、消費増税の影響があった期間をのぞくと 08 年 8 月以来だ。 資源価格の上昇によるエネルギー関連や食料の上昇が続いている。 総務省が 19 日、発表した。 11 カ月連続の上昇で、2% を超えるのは 4 カ月連続。 上昇幅は 6 月の 2.2% から 0.2 ポイント広がった。 生鮮食品をのぞく全 522 品目のうち約 7 割が値上がりした。

電気、ガス代などのエネルギー関連は 16.2% 上昇。 物価を押し上げている主な要因だが、政府のガソリン補助金が段階的に拡充されたことなどで、上昇幅は 3 月 (20.8%) 以降は鈍化している。 一方、食品の値上げは加速している。 生鮮食品をのぞく食料は 3.7% 上昇した。 生鮮食品をふくむ食料全体は 4.4% 上がり、総合指数では 2.6% 上昇した。 消費増税の影響をのぞけば 1991 年 12 月以来の上昇幅だ。 生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数は 1.2% 上昇。 中国の都市封鎖による部品不足で品薄のエアコンが引き続き値上がりしたほか、米アップルが 7 月から iPhone を値上げするなどした携帯電話機は 14,7% 上昇した。

今後の物価上昇の行方について、日本経済研究センターがまとめた民間エコノミストの予測の平均は、7 - 9 月期の平均が 2.28% で、10 - 12 月期に 2.39% まで上がり、その後は低下する見通し。 22 年度は 2.21%、23 年度は 1.14% を見込む。 ただ、専門家の間でも見方は分かれ、大和総研の神田慶司氏が「エネルギーの押し上げが縮小する。 上昇幅は今がピークだ。」とみる一方、SMBC 日興証券の宮前耕也氏は「食料価格に円安の影響が転嫁されるには半年から 1 年かかる」として、22 年末に 3% 上昇に達するとの見方を示している。 (北川慧一、asahi = 8-19-22)


7 - 9 月 GDP 年率 -1.2% マイナスは 4 期ぶり 個人消費伸び悩む

ことし 7 月から 9 月までの GDP = 国内総生産は、前の 3 か月と比べた実質の伸び率が年率に換算してマイナス 1.2% と、4 期ぶりのマイナスとなりました。 新型コロナの感染拡大の影響で個人消費が伸び悩んだうえ、輸入が膨らんで海外への支払いが増え、外需がマイナスになったことも GDP の伸び率を押 下げました。 内閣府が 15 日発表したことし 7 月から 9 月までの GDP の速報値は、物価の変動を除いた実質で前の 3 か月と比べてマイナス 0.3% となりました。 これが 1 年間続いた場合の年率に換算するとマイナス 1.2% で、4 期ぶりのマイナスとなりました。

個人消費の伸び悩みや輸入増加が GDP 伸び率押し下げる

このうち、GDP の半分以上を占める「個人消費」は前の 3 か月に比べてプラス 0.3% と伸び悩みました。 この時期は行動制限がない夏休みとなったものの、新型コロナの感染が拡大し、旅行や外食などのサービス消費が小幅な伸びにとどまったことに加え、スマートフォンや家電など耐久財の販売が落ち込みました。 エネルギー価格や食料品などの物価上昇の影響で消費者の節約志向が強まったとみられます。

さらに輸出が前の 3 か月と比べてプラス 1.9% となる一方、輸入がプラス 5.2% に膨らみ海外への支払いが増える形になりました。 このため輸出から輸入を差し引いた外需がマイナスになり GDP を押し下げました。 中国・上海で行われていた厳しい行動制限で滞っていた石炭や化学製品の原材料の輸入がこの時期に増えたほか、広告やマーケティング事業を手がける海外企業への支払いが一時的に増加したことも輸入が増える要因となりました。

一方、「企業の設備投資」は前の 3 か月と比べてプラス 1.5% でした。 コロナ禍からの経済活動の回復が進む中でこれまで先送りされてきた投資が進んだとみられます。

主要国・地域の GDP は

すでに発表されているアメリカや中国、それにユーロ圏のことし 7 月から 9 月までの GDP = 国内総生産の伸び率はいずれもプラスとなっています。

アメリカ : 先月 27 日に発表されたアメリカのことし 7 月から 9 月までの GDP は、前の 3 か月と比べた実質の伸び率が年率に換算してプラス 2.6% でした。 輸出や政府支出の増加に支えられて 3 期ぶりのプラスとなりましたが、記録的なインフレが続いていることで GDP の多くを占める個人消費は減速しました。

中国 : 中国の同じ時期の GDP は、内閣府による試算で前の 3 か月と比べた伸び率が年率でプラス 16.5% となりました。 上海での厳しい外出制限の影響によって前の 3 か月、4 月から 6 月までの GDP が落ち込んだことから、その反動で大きな伸びとなりましたが、個人消費が伸び悩むなど経済の回復には力強さを欠いています。

ユーロ圏 : ドイツやフランスなどユーロ圏 19 か国のことし 7 月から 9 月までの GDP の実質の伸び率は、前の 3 か月と比べてプラス 0.7% となりました。 6 期連続のプラスとなりましたがロシアによるウクライナへの侵攻の影響でエネルギー価格が高騰するなど記録的なインフレが個人消費や企業活動を圧迫し成長のペースは鈍化しています。

後藤経済再生相「家計と企業をとりまく環境に厳しさ」

今回の GDP が 4 期ぶりのマイナスとなったことについて、後藤経済再生担当大臣は、「海外からの供給制約の緩和などによる輸入の増加や、対外サービスの一時的な支払いの増加がマイナスに寄与したものの、設備投資は増加している。 また、夏場に感染拡大があったものの、個人消費はプラスを維持し、民需を中心に景気が緩やかに持ち直しているという姿に変わりはない」と述べました。

一方で景気の先行きについては「持ち直しが期待されているが、物価上昇が続く中で、家計の実質所得の減少や企業のコスト上昇など家計と企業をとりまく環境には厳しさがみられる。 さらに欧米で金融引き締めが続く中で、世界的な景気の後退懸念に注意する必要がある」と述べました。 そのうえで後藤大臣は「総合経済対策を着実に実行し、物価高の難局を乗り越えて、未来に向けて日本経済を持続可能で一段高い経済成長経路に乗せていくことで、日本経済の再生を図って参りたい」と述べ、先月とりまとめた経済対策の着実な実施に向けて取り組んでいく考えを示しました。

鈴木財務相「補正予算の早期成立に全力」

ことし 7 月から 9 月までの GDP = 国内総生産の伸び率が 4 期ぶりのマイナスになったことについて、鈴木財務大臣は閣議の後の会見で「外需がマイナスに寄与したことで全体ではマイナス成長となったが、内需はウィズコロナのもと個人消費や企業の設備投資で持ち直しの動きが続き、プラス成長となっている。 政府としては、足元の物価高や世界経済の下振れリスクがあるなかで、閣議決定した経済対策をできるだけ早く国民に届けられるよう補正予算の早期成立に全力を尽くしていく。」と述べました。 (NHK = 11-15-22)


セブン、米ファンド・ヨドバシ連合にそごう・西武売却へ

セブン & アイは傘下のそごう・西武を売却する

セブン & アイ・ホールディングスは百貨店子会社のそごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する方向で最終調整に入った。 売却額は 2,000 億円を超えるもよう。 家電量販店大手のヨドバシホールディングスはフォートレスと連携し、東京・池袋や千葉にある主要百貨店内に出店するとともに、店舗不動産の取得を通じて資金拠出する見通し。 セブン & アイは主力のコンビニエンスストア事業に経営資源を集中する。 近く正式決定する。

セブン & アイはそごう・西武の全株式をフォートレスに売却する一方、そごう・西武子会社の生活雑貨店、ロフトはグループ内にとどめる。 関係者によると、フォートレスは西武池袋本店(東京・豊島)やそごう千葉店(千葉市)などの主要店舗にヨドバシを誘致する。 ヨドバシは店舗不動産の一部を取得して営業するもようだ。 セブン & アイは年初からそごう・西武の売却手続きを進め、2 次入札を経て優先交渉権を与えたフォートレスと条件を詰めてきた。 フォートレスはソフトバンクグループ傘下の投資ファンドで、不動産会社のレオパレス 21 や国内ゴルフ場最大手のアコーディア・ゴルフ・グループへの投資実績がある。

セブン & アイは 2006 年に 2,000 億円超でミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を子会社化した。 専門店や電子商取引 (EC) 企業に顧客を奪われ、そごう・西武の店舗数は 07 年 2 月期の 28 店舗から 10 店舗に減った。 22 年 2 月期まで 3 期連続の最終赤字と業績低迷が続いている。 豊富な品ぞろえで集客力のあるヨドバシを誘致することで、都心にある主要店のテコ入れにつなげたい考えだ。

フォートレスは西武池袋本店(東京都豊島区)などにヨドバシ誘致を検討している

ただ、西武池袋本店は現経営体制で改装計画が進んでいる。 ヨドバシの出店に向けて、テナントの入れ替えや改装に伴う費用が発生する可能性がある。 フォートレス・ヨドバシ連合によるそごう・西武再建は関係者との調整が今後も続く見通し。

セブン & アイは 06 年以降、ニッセンホールディングスやバーニーズジャパンを買収するなど総合小売り路線を進めてきた。 ただ、最近はアクティビスト(物言う株主)がそごう・西武の株式売却を求めるなど、総合小売り路線の修正が課題となっていた。 セブン & アイは懸案だったそごう・西武売却にめどを付け、今後は主力のコンビニ事業への投資を一層集中させる。 すでに 21 年 5 月には約 2 兆円を投じて米ガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」を買収しており、23 年 2 月期決算では米コンビニの好調を受けて日本の小売業で初めて売上高が 10 兆円を超える見込みだ。 (nikkei = 11-9-22)

前 報 (2-10-22)


新たな経済対策 29 兆 1,000 億円の方針固める

政府が 28 日に決定する経済対策の規模について国費の一般会計歳出でおよそ 29 兆 1,000 億円とする方針を固めたことが日本テレビの取材でわかりました。 政府関係者によりますと、政府は経済対策の裏付けとなる補正予算案の総額をおよそ 29 兆 1,000 億円とする方針を固めたということです。 電気やガス、ガソリン代などの高騰に対し、標準的な家庭で来年 1 月から 9 月までの総額で一世帯あたり 4 万 5,000 円程度の負担軽減策を導入します。 また、妊娠した女性に 10 万円相当の出産準備金を支給する施策なども盛り込みます。

政府からは総額を 25 兆円程度とする案が出ていましたが、与党内から増額を求める声が上がり、調整が難航していました。 財源の多くは赤字国債の発行などでまかなわれる見通しで、財政はさらに悪化することになります。 (日テレ = 10-27-22)

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増額を求める大合唱、丸のみした政権 予算案「3 時間で 4 兆円増」

ふくれあがった補正予算案の規模

政府の総合経済対策に伴う第 2 次補正予算案は、コロナ禍の昨年に匹敵する 29 兆円あまりにふくれあがる。 「規模ありき」で増額を求める自民党の大合唱に、岸田政権も同調。 要求をほぼ丸のみした格好だ。 財政規律の緩みにブレーキがかかる気配はない。

「もってのほかだ」 党本部に響いた萩生田氏の怒号

自民党本部 9 階で 26 日午後、萩生田光一政調会長の怒号が響いた。 「まだ議論をしている最中にそんなことをするなんてもってのほかだ。」 矛先は、総合経済対策を議論する会議に出席する財務省幹部に向けられていた。 発端は、会議中に萩生田氏にかかってきた岸田文雄首相からの電話だ。 「官邸に財務大臣が来て、経済対策の話をしている。 萩生田さんの了承はまだ得られていないと聞いて急いで電話をした。」

その直前、首相は官邸で、鈴木俊一財務相から、経済対策の説明を受けていた。 財務省が示した補正予算の規模は、与党の意向もふまえたはずの 25.1 兆円。 しかし、首相周辺によると、首相は「なんでこんなに少なくなっているんだ」と声を上げたという。 党内で経済対策の中身の議論をしている最中、財務省は官邸と全体規模の調整を先行させている - -。 萩生田氏は財務省の動きを「与党軽視」とみた。 首相とのやりとりを出席者に伝えると、出席者は「どうなっているんだ」、「ふざけるな」と不満を爆発させた。

安倍派の萩生田氏は「アベノミクス」の積極的な財政政策を重視する立場だ。 10 万円の給付金や飲食店への協力金など、新型コロナ対策が盛り込まれた昨年の補正予算の規模を念頭に、「30 兆円を超える規模が必要」と早くから大盤振る舞いを求めた。 同派の世耕弘成・参院幹事長も「規模感は 30 兆円が発射台だ」と繰り返してきた。

「29 兆円を超えられるように」 党内の声重視した首相

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題などで、内閣支持率の下落傾向に歯止めがかからないなか、「経済対策に岸田政権の命運がかかっている。 国民に分かりやすいインパクトのある規模を(閣僚経験者)」といった党内の声も重視した形だ。 首相周辺が「昨年とは状況が違う。 まずは中身をどうするかだ。」と語るなど、政権内では「規模ありき」の議論と距離を置く意見もあったが、首相は「中身がまず大事。 規模も大事。 納得してもらえる規模を考えていく。」と、自民党への配慮をにじませた。

萩生田氏は 26 日午後 6 時ごろ、財務省幹部に「もっと積めるだろ。 工夫の余地があるはずだ。」と、金額の調整を要求。 萩生田氏や茂木敏充幹事長と連絡をとった首相も、その約 3 時間後の午後 9 時過ぎ、公邸に鈴木氏を呼び出し、見直しを指示した。 「29 兆円を超えられるように、もうひと頑張りできないか。」

翌 27 日、財務省が提示した補正予算案の規模は 4 兆円多い 29.1 兆円。 内訳には、元々あった「物価高騰・賃上げへの取り組み」や「新しい資本主義の加速」などに加え、「今後への備え」という項目が新たに加わっていた。 目標に掲げた 30 兆円にこそ達しなかったが、政調幹部は満足そうだった。 「3 時間で 4 兆円増えた。 『時給 1 1兆円』以上だな。」 (森岡航平、阿部彰芳)

「英国を教訓とは正反対」 さらなる財政悪化の懸念も

「英国を世界中が教訓とする中、日本は正反対だ。」 ふくれ上がった補正予算の規模に財務省幹部は唇をかむ。 コロナ前まで経済対策といえば数兆円が相場だった。 それがコロナ禍で数十兆円に巨額化し、「以前は兆なんて言ったら目玉が飛び出したが、今は平気で兆円単位。 (コロナ禍の)一律 10 万円給付からおかしくなった。(官邸幹部)」 折しも、英国では 9 月にトラス政権がエネルギー価格高騰対策や減税などを打ち出したことで、財政悪化の懸念が一気に広まった。 それが金利上昇やポンド下落などを招いて混乱に陥り、政権交代の引き金となった。

この間、財務省が有識者や市場関係者と対話する場では「英国を他山の石とするべきだ」、「コロナ禍からの正常化は進んでいる。 規模ありきの経済対策はダメだ。」などの意見が相次いでいた。 日本の国債残高は約 1 千兆円で、債務残高対 GDP 比は英国の 95% をはるかに上回る 263% で世界最悪水準にあるからだ。 経済対策について、財務省は当初、十数兆円規模を想定していた。 需要と供給の差である「需給ギャップ」は、足元では 15 兆円ほど。 需給ギャップを「埋める」どころか、大幅に上回る対策となったことで、過度な物価高を助長しかねないリスクさえある。

日本がさらに問題なのは物価高対策に使う財源を、国債に頼っている点だ。 国際通貨金 (IMF) は物価高の中にある財政政策は、歳出と歳入のバランスをとる「財政中立的なものとし、中期的な財政枠組みの下で行われるべきだ」と強調する。 実際、米国が8月に成立させたインフレ抑制法は、脱炭素関連や低所得者の医療保険料引き下げなどの政策を進める財源に大企業への課税を強化するなどし、10 年間で 3 千億ドルの歳入超過とした。

野村総合研究所の木内登英氏の試算では、国費 29 兆円の経済対策を実施した場合、2023 年度の名目 GDP (国内総生産)の押し上げ効果は 2.4% (約 13 兆円)となる。 木内氏は「短期的にそれなりの効果は出るが、日本経済は安定しており巨額の経済対策は必要ない。 エネルギーや食品価格高騰の影響が大きい低所得者対策に絞るべきだ。 財政がさらに悪化すれば、将来必要なお金を借金返済に回さざるをえなくなり、潜在成長力が低下する可能性がある。」と指摘する。 (西尾邦明、北川慧一、asahi = 10-27-22)


日銀短観「大企業・製造業」 3 期連続の悪化 … 円安受け鉄鋼や自動車は改善

日本銀行は 3 日、9 月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表した。 代表的な指標となる「大企業・製造業」の景況感を示す業況判断指数 (DI) は前回 6 月調査から 1 ポイント悪化し、プラス 8 だった。 悪化は 3 四半期連続。 「大企業・非製造業」は 1 ポイント改善のプラス 14 だった。 業況判断 DI は、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。 日銀が全国約 1 万社を対象に調査している。 製造業、非製造業ともに、資源高や円安による原材料コストの増加が重しとなった。

大企業・製造業は 16 業種のうち 9 業種が悪化、6 業種が改善、1 業種が横ばいだった。 「非鉄金属」は電力コストの上昇による採算の悪化で 12 ポイント悪化のプラス 3。 「石油・石炭製品」は商品価格の下落で 13 ポイント悪化のプラス 7 と大幅な下方修正となった。 「木材・木製品(7 ポイント悪化のマイナス 7)」や「紙・パルプ(7 ポイント悪化のマイナス 14)」は景況感の低い水準が続いた。

一方、円安を背景に、景況感が改善した業種もあった。 「鉄鋼」は値上げが進展して 24 ポイント改善のプラス 18、「自動車」は部品の供給不足が和らいで 4 ポイント改善のマイナス 15 だった。 「はん用機械」もプラス 31 と、11 ポイントの大幅改善となった。 大企業・非製造業も強弱が入り交じった。 「不動産」、「運輸・郵便」、「宿泊・飲食サービス」がコロナ禍からの経済活動の再開で改善する一方、「小売り」は仕入れ費の増加で悪化した。

中小企業は、製造業が前回 6 月調査から横ばいのマイナス 4、非製造業が 3 ポイント改善のプラス 2 だった。 3 か月後の先行きは、大企業・製造業は 1 ポイント改善のプラス 9 を見込んだ。 調査の回答期間は 8 月 29 日 - 9 月 30 日。 対ドルの想定レートは前回調査から 7 円近く円安・ドル高の 1 ドル = 125 円 71 銭だった。 (yomiuri = 10-3-22)


住宅地、全国平均で 31 年ぶり上昇 22 年の基準地価

国土交通省が 20 日発表した 2022 年の基準地価は住宅地や商業地など全用途の全国平均が前年比 0.3% 上がり、3 年ぶりのプラスだった。 住宅地は 1991 年以来、31 年ぶりに上昇。 長期の低金利と新型コロナウイルス流行下での生活様式の変化で、都市近郊でのマイホーム需要が喚起された。 全国 2 万 1,444 地点で、7 月 1 日時点の地価動向を調べた。 住宅地の全国平均は前年比 0.1% 上がった。 商業地は 0.5% プラスで 3 年ぶりに上昇。 東京、大阪、名古屋の三大都市圏は全用途、住宅地、商業地すべてがプラスとなった。

住宅地は都道府県別でプラスが 14 と前年から倍増した。 札幌、仙台、広島、福岡の「地方 4 市」は 6.6% 上昇。 再開発が進む札幌市は 11.8% 上がり、プロ野球の新球場建設で注目される北海道北広島市も 24.8% 上昇するなど郊外に波及している。 全国の住宅地の上昇率トップ 100 のうち 82 地点を北海道内が占めた。 首都圏は茨城県つくばみらい市で、つくばエクスプレス沿線の複数の基準地が上げ幅 10% を超えた。 神奈川県茅ケ崎市では JR 辻堂駅近くで 5.9% 上がった。 東京 23 区でも交通の便がいい中野区 (3.3%) や豊島区(同)の伸びが目立つ。

背景には歴史的な低金利や、住宅ローン減税といった政府の支援策がある。 2012 年以降の「アベノミクス」で緩和マネーは住宅市場に流入。 コロナ前の 19 年までに住宅地の下落幅は縮小していた。 20 年以降のコロナ下で在宅勤務の浸透などライフスタイルも多様化した。 交通の利便性に加え、部屋数や広さといった住空間の価値を重視する傾向が強まった。

商業地は都道府県別でプラスが18と前年の 3 倍に増えた。 大阪圏は前年の 0.6% 下落から 1.5% 上昇に転じた。 東京では観光地の浅草周辺が 4% 台のプラスだった。 個人消費やインバウンド(訪日外国人客)回復への期待がある。 日本全体で見ると、地価には濃淡が残る。 住宅地は 32 府県で前年比マイナスとなり、商業地も 27 県が下落した。 東北や四国などで苦境が続く。 三井住友トラスト基礎研究所の坂本雅昭氏は「資源高やウクライナ危機など懸念材料もあり、先行きを注視する必要がある」と指摘する。 (nikkei = 9-20-22)


明治、牛乳値上げへ 背景に酪農家の経営悪化「売れば売るほど赤字」

乳業メーカー大手の明治は 12 日、牛乳を 11 月 1 日に値上げすると発表した。 値上げは 3 年 7 カ月ぶり。 今夏、酪農家でつくる生産者団体との間で、牛乳のもとになる生乳の取引価格を引き上げることで合意したため、値上がり分を転嫁する。 牛乳の需要は低迷する一方、輸入飼料の値上がりで酪農家の経営が厳しいことが背景にある。 代表的な商品の「明治おいしい牛乳」などの牛乳や乳飲料で 15 品目の出荷価格を 2.8 - 5.5% 引き上げる。 生乳を使うヨーグルト 58 品目についても、希望小売価格を 3.6 - 6.3% 上げる。 「明治ブルガリアヨーグルト LB81 プレーン(400 グラム)」の希望小売価格は 10 円高い税抜き 270 円にする。

牛乳をめぐっては、2014 年ごろに深刻化したバター不足をきっかけに政府が生産拡大を支援。一方、20 年以降はコロナ禍で学校給食用や外食用の需要が減り、生産の過剰感が高まっている。 さらなる需要の減少につながりかねない値上げに、乳業メーカーは慎重な姿勢を示してきた。 それでも値上げに踏み切った背景には、歴史的な飼料の高騰による酪農家の深刻な経営悪化がある。

約 9 割を輸入に頼る配合飼料は、世界的な需要の増加や急速な円安を背景に高騰。 関東地方の生産者団体「関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)」によると、足元の価格は昨年に比べ 3 割ほど上昇し過去最高の水準という。 さらに搾乳機を動かすための動力費も値上がりしており、担当者は「牛乳を売れば売るほど赤字の状態。 今回の値上げだけではとてもコスト増加を吸収できない」として消費者に理解を求める。

飼っている頭数に応じて毎日一定量の生乳が生産される酪農は短期的な需要変動への対応が難しく、乳業メーカーと対等に価格交渉をするのが難しい。 そのため、全国 10 地域にわかれて定期的に生産者団体と乳業メーカーが価格交渉を行う仕組みになっている。 関東生乳販連は飲用乳の値上げについて、12 日までに約 80 ある全ての取引先から「理解を得られた」とする。 消費地に近い関東生乳販連の交渉は全国への影響が大きく、ほかの乳業メーカーも明治に追随して値上げに踏み切りそうだ。 森永乳業と雪印メグミルクは 12 日、値上げについて「検討中(広報担当者)」とした。 (初見翔、山下裕志、asahi = 9-12-22)


月例経済報告「緩やかに持ち直し」を維持 海外景気に警戒感も

政府は 8 月の月例経済報告をまとめ、7 月に 3 か月ぶりに引き上げた景気の基調判断について「緩やかに持ち直している」という判断を維持しました。 一方で、世界的な金融引き締めによる海外の景気の下振れに警戒感を強めています。 政府は 25 日、関係閣僚の会議を開き、8 月の月例経済報告をまとめました。 この中で、企業の「生産」について、中国 上海での厳しい外出制限が解除され、部品の供給不足による自動車の減産がおおむね解消されたことなどから「持ち直しの動きがみられる」として 7 か月ぶりに判断を引き上げました。

一方「個人消費」は夏休みの旅行や帰省などで回復が見られるものの、引き続き物価の上昇で消費者の購買意欲は低下しているとして「緩やかに持ち直している」という判断を維持しました。 こうしたことから、7 月に 3 か月ぶりに引き上げた景気全体の基調判断については「緩やかに持ち直している」という判断を維持しました。 その一方で先行きについては、世界的な金融引き締めによる海外の景気の下振れが国内の景気のリスクになるとして警戒感を強めています。 また、物価の上昇が家計や企業に与える影響についても十分注意する必要があるとしています。

山際経済再生相 "海外景気の影響 十分注意"

景気の基調判断を維持したことについて、山際経済再生担当大臣は 25 日の記者会見で「個人消費の一部に感染拡大の影響が見られるが、ウィズコロナのもとで活動が進展する中で、消費の緩やかな持ち直しが続いていることなどを踏まえて判断した」と述べました。 そのうえで「アメリカやイギリス、ドイツなどにおいて景気の持ち直しのテンポが鈍化していて、わが国の景気を下押しするリスクとなっている」として、今後の影響を十分注意する必要があるという考えを示しました。 (NHK = 8-25-22)