中国、女性権益保障法を改正 「鉄鎖の女性」事件への憤り背景に

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は 30 日、男女平等の促進をうたう女性権益保障法の改正案を可決した。 2023 年 1 月 1 日から施行される。 江蘇省の農村で女性が鎖につながれていた事件が社会に衝撃を与え、女性の権利重視を明確に示すことが当局にも求められる中で法改正の作業が進んでいた。 新華社通信などによると、改正法は「各級政府や公安部門などは職責に応じて、女性の誘拐・人身売買をすみやかに発見、報告しなければならない」との内容を定めた上で、報告義務を怠った場合には処分を科すとしている。

女性に対するセクハラ防止の強化や、結婚・妊娠を理由にした女性従業員の昇進制限の禁止なども盛り込んでいる。 中国では今年 1 月、江蘇省徐州市豊県で首を鎖につながれ、小屋に閉じ込められていた女性の動画が拡散した。 県当局は当初否定していたが、女性が繰り返し人身売買の被害に遭っていたことが判明。 女性との間に 8 人の子を持つ「夫」は、虐待の疑いで逮捕された。

女性は「鉄鎖の女性」と呼ばれるようになった。 女性が売買される対象であることへの怒りが社会にわき起こり、悲惨な問題を放置してきた当局にも批判が向いた。 すでに始まっていた法改正作業にも、世論の憤りが影響を及ぼしたとみられる。 3 月の全人代では李克強(リーコーチアン)首相が政府活動報告で、「女性・児童の人身売買を厳重に取り締まり、女性・児童の合法的な権利・利益を断固として守る」との方針を示していた。 (瀋陽 = 金順姫、asahi = 10-30-22)


高速バス横転 … 27 人死亡 新型コロナ隔離の対象者移送中 中国・貴州省

中国の内陸部で新型コロナウイルスの隔離対象者を移送していた高速バスが横転して 27 人が死亡、20 人がけがをしました。 貴州省の高速道路で 18 日未明、乗客乗員 47 人を乗せたバスが横転しました。 地元政府によりますと、この事故で 27 人の死亡が確認され、20 人がけがをして治療を受けています。 バスの出発地、貴州省の省都・貴陽市は感染拡大で不要不急の外出を自粛するよう呼び掛けられていて、SNS 上にはバスは隔離対象者を移送していました。 警察などが事故の詳しい原因を調べています。 (テレ朝 = 9-18-22)


中国の高層ビルで大規模火災か 建物全体を覆う黒煙が立ち上る

16 日午後 3 時 48 分ごろ(日本時間同 4 時 48 分ごろ)、中国湖南省長沙市の 42 階建てビルで大規模な火災が起きた。 SNS に投稿された動画によると、低層から高層階にかけて激しく火が回り、赤い炎と黒煙にビル全体が包まれた。 地元当局によると、すでに鎮火し、初期的な調査では、死傷者はいないという。 火災が起きたのは、長沙駅から東に約 500 メートルのところにある携帯電話大手・中国電信の高層ビル。 消防当局によると、高さ約 218 メートルで、地上 42 階、地下 2 階建て。 36 台の消防車が消火に当たった。

動画によると、火災が発生した側のビル全体が真っ黒の煙と炎に覆われ、上層階からビルの建材や内装の一部とみられるものが、燃えながら四方に飛び散っている。 地上にあった車にも燃え移ったという。 地元メディアによると、火災発生当初、ビルの 7 - 8 階の外側にあったエアコンの室外機あたりが燃えていたという。 火災の後、長沙市では中国電信の通信に障害が発生しており、電話やデータ通信ができない地域があるという。 火災当時の気温は 34 度と高く、湿度は 28% 程度と低かった。 (南寧 = 奥寺淳、北京 = 高田正幸、asahi = 9-16-22)


「混みすぎて息ができない」 朝の通勤ラッシュ時に長蛇の列
北京の地下鉄駅で陰性証明をする機械に不具合

ゼロコロナ政策を続ける中国・北京で、地下鉄の入場に必要なスマートフォンの陰性証明を読み取る機械に不具合が生じ、朝の通勤ラッシュ時に混乱が起きた。 中秋節の 3 連休が明けた 13 日、北京の複数の地下鉄駅で、朝から出勤しようとする人たちが構内に入ることができず、長蛇の列ができた。 原因について、地下鉄の運営会社は「入場に必要なスマートフォンの陰性証明を読み取る機械に不具合が生じ、駅員らが目視で証明確認をしたためだ」としている。 SNS 上では「混みすぎて息ができない」、「行列で密ができた」など、不満の声があがった。 北京では、市内の大学などで感染が拡大していて、当局は警戒を強めている。 (テレ朝 = 9-13-22)


中国四川省の地震で被害拡大 65 人死亡 200 人以上けが

中国内陸部の四川省で発生した地震の被害がさらに広がっています。 これまでに 65 人が死亡し、200 人以上がけがをしました。 四川省の山間部で 5 日に起きたマグニチュード 6.8 の地震について、地元政府は倒壊した家屋の下敷きになるなどしてこれまでに 65 人が死亡し、200 人以上がけがをしたと明らかにしました。 12 人が行方不明になっていて、人民解放軍や消防など 6,500 人が投入され捜索が続いています。 また、地震による土砂崩れで道路が寸断され、200 人以上が孤立状態にあるほか、5 万人以上が避難しています。 (テレ朝 = 9-6-22)

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中国・四川省で M6.8 の地震 21 人死亡

中国中央テレビによると、内陸部・四川省のカンゼ・チベット族自治州瀘定県で 5 日午後 0 時 52 分(日本時間同 1 時 52 分)、マグニチュード (M) 6.8 の地震が起きた。 家屋倒壊などの被害が出ており、同日夜までに 21 人の死亡が確認された。

同テレビの報道などによると、死者は同自治州に隣接する雅安市で多く出ているといい、倒れた建物の生き埋めとなった人の救出が急がれている。 現地は高山が連なる地帯とされ、各地で崖崩れも起きている。 道路や通信網が寸断され、停電が起きている場所もあるという。 複数のメディアによると、震源から 200 キロ超離れた省都・成都市でも揺れを感じたといい、余震も起きているという。 震源の深さは 16 キロとされる。 隣接するアバ・チベット族チャン族自治州を震源に 2008 年 5 月に起きた M8.0 の四川大地震では、約 8 万 7 千人の死者・行方不明者を出した。 (上海 = 井上亮、asahi = 9-5-22)


返金求め預金者ら大規模抗議 中国 8,000 億円出金停止

中国の銀行で 8,000 億円規模の預金が引き出せなくなった問題で、1,000 万円を超える高額預金者らへの返金が進まず大規模な抗議が起きています。 中国の複数の地方銀行では、8,000 億円規模の預金が引き出せなくなり 7 月には、預金者およそ 1,000 人が集まる抗議がありました。 地元政府は、デモを強制排除した後、1,000 万円以下の預金について立て替えを始めています。

ただ、高額の預金者や金利を受け取った人は「違法な集金に関わった」などとして返還を受けられず、2 日、浙江省でも抗議活動が行なわれました。 「本当にどうしていいか分からない。 銀行だから預けたのに利子をもらったら違法な金とみなされてしまった。(4,000 万円の預金者)」 4,000 万円を預けた自営業の男性は、「返金を受けるまで抗議を続けるしかない」などと訴えています。 (テレ朝 = 9-3-22)

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北京で預金引き出し騒ぎ 市民ら行列、「金融危機」に敏感

【北京】 北京市で 20 日、地元の主要銀行である北京銀行から預金を引き出そうと、市民らが行列をつくる騒ぎが発生した。 一部の専用口座の引き出し規制が公表されたことをきっかけに不安が広がり、預金者らが各支店に押しかけた。 経済が低迷する中、市民は金融危機の発生を警戒し敏感に反応するようになっている。 20 日午前、市中心部の北京銀行支店前では、店に入りきれない 30 人ほどが行列した。 従業員が「お金は引き出せます。 2、3 日すれば行列もなくなるから、それから来て。」などと説明。 同行は国有系で、ある市民は「国家を信用しても大丈夫ですよね」などと従業員に詰め寄っていた。 (kyodo = 8-20-22)


上海のキラキラは「傲慢」 批判受け? 外灘の名物ライトアップ停止

上海有数の観光地、外灘(バンド)やその対岸の東方明珠塔がある一帯で 22 日、節電のため建物のライトアップが止まった。 23 日までの 2 日間、名物だった夜景の灯が消えることになる。 中国では記録的な猛暑と干ばつにより、電力不足が深刻化している。

中国は今夏、200 カ所以上で過去の最高気温を更新。 気象当局は、記録が残る 1961 年以降で「最も暑い夏」としている。 内陸部の四川省や重慶市では、高温による需要増に加え、干ばつで水が不足し、主力の水力発電の発電量が減少。 家庭用に電力を回すため、計画停電で多くの企業が工場の停止に追い込まれる事態となっている。

上海市も 8 月前半の電力消費は前年比で約 4 割増えた。 報道によると、上海の電力の 4 割超は四川省を含む市外から調達している。 ネット上では、同省が電力不足に苦しむなか、上海できらびやかなライトアップを続けることに批判が集まっていた。

また、四川省の工場停止で部品供給が不足し、上海でも自動車工場の生産が滞った。 これを受け、上海市が四川省に対し、自動車産業の電力を優先的に確保するよう求めたことも「傲慢だ」との声があがった。 ライトアップの停止は、こうした批判をかわす狙いもありそうだ。 (上海 = 井上亮、asahi = 8-22-22)

関連記事 (8-21-22)


1,500 万人の若者が失業 … 中国の建国以来の雇用危機が「日本有事」に繋がる根拠

ペロシ米下院議長の台湾訪問を契機に、東アジアの緊張が高まっている。 中国軍は 8 月 4 日から台湾周辺を対象とした史上最大規模の軍事演習を実施しており、日本など周辺国を巻き込む国際問題となっているが、今後の動向を読み解く際に見逃せないのは中国国内の世論の動向だ。 中国政府がペロシ氏の訪台を阻止するための措置をとらなかったことへの不満が噴出するという異例の事態になっている。 ネット空間では「あまりにも恥ずかしい」、「メンツが丸つぶれじゃないか」とのコメントが飛び交っている。

昨年 9 月の米国のアフガニスタンからのぶざまな撤退ぶりを目の当たりにして、多くの中国人は「現在の米国なら台湾を見捨てるだろう。 千載一遇の好機が訪れた。 台湾侵攻は間近だ。」と考えるようになっており、今回の中国政府の弱腰ぶりに大いに怒っている。 こうしたネット世論を気にしてか、中国外交部は定例の記者会見の場で「中国人民は理性的に国を愛する(理性愛国)ものだと信じている」と述べているが、中国国民の愛国感情をあおり立ててきたのは、他国を攻撃的な言葉で厳しく非難する「戦浪外交」を展開してきた外交部自身に他ならない。

中国では今、ナショナリズムが猛烈な勢いで台頭しているが、ナショナリズムの風潮が強まったのは 1990 年代からだった。 ソ連崩壊により「共産主義」という統治の根拠を失った中国政府が国民の支持を取り付けるためにナショナリズムを利用したのが始まりだ。 中国のナショナリズムはリーマンショック後に中国が世界経済を牽引するようになると攻撃的なものに変わり、2012 年に誕生した習近平政権が「中国の夢」を語るようになるとその傾向はさらにエスカレートした。 中国のナショナリズムは政府に奨励されてきたが、最近では国民の方が過激になっており、皮肉にも政府は自らつくりだしたナショナリズムを制御できなくなっている。

経済に赤信号

「弱り目に祟り目」ではないが、中国政府にとって頭が痛いのはもう一つの正統性の基盤である「経済の順調な発展」に赤信号が点滅していることだ。 GDP の 4 分の 1 以上を占める不動産セクターの不況は悪化の一途を辿っており、厳格なゼロ・コロナ政策の実施が経済活動全般に大きな足かせとなっている。 そのせいで中国政府が掲げる経済成長目標(5.5% 前後)の達成は不可能になっており、雇用環境はかつてないほど悪化している。

労働力人口の約半分を吸収しているサービス業が大打撃を被っているばかりか、アリババなどのハイテク企業でもリストラの嵐が吹き荒れており、中国人民銀行は「足下の都市部家計の雇用信頼感指数は 2008 年のリーマンショック以来の水準に落ち込んだ」と警告を発している。 気がかりなのは「中国文明は世界で一番優れている」と信じ、ナショナリズムの傾向が強い若者の雇用危機が深刻なことだ。

16 歳から 24 歳までの都市部失業率は 6 月、過去最悪の 19.3% にまで上昇し、約 1,500 万人の若者が失業している。 今年大学を卒業する 1,100 万人のうち、4 月半ばまでに就職先が決まったのはわずか 15% にとどまっているという有様だ。 若者は今のところ目先の就職活動に必死で政府への不満を口にすることは少ないようだが、この状況が今後も変わらないという保証はない。

歴代の中国政府にとっての最優先の政策課題は雇用の確保だった。 1970 年代半ばまでの毛沢東統治下の中国では統制経済が敷かれ、働ける人全てが仕事に就くことができた。 その後に行われた市場改革の時代に失業者は発生したが、高成長に恵まれたおかげで政府は雇用の場を提供することができた。 世界的な金融危機が起きた 2008 年の際にも積極的な財政金融政策を断行し、政府は雇用の確保をなんとか維持してきた。

だが、現在の政府に打つ手は限られている。 これまでに膨大なインフラ投資を行ってきた反動で財政金融政策の効果は激減している。 2001 年の世界貿易機関 (WTO) 加盟以来、経済を支えてきた輸出セクターも陰りを見せている。 中国政府は引き続き雇用の確保に尽力するだろうが、これまでのように国民全員に雇用の場を提供することはできなくなっている。 中国は建国以来最悪の失業危機に直面していると言っても過言ではない。

日々の生活への不満が高まれば高まるほど、ナショナリズムがショービニズム(好戦的愛国主義)に変質するというのは過去の歴史が教えるところだ。 急速な少子高齢化が進む中国の国力が今後衰退局面に入ったことも要注意だ。 衰退期が目の前に近づくと悠長に構えてはいられなくなるため、中国は今後、国際社会との間で深刻な対立を引き起こすとの懸念が生じている。

3 期目の続投を目指す習近平指導部は 5 年に一度の共産党大会を年内に控え「台湾侵攻」というギャンブルに出る可能性は低いとの見方が一般的だが、窮地に追い込まれた中国政府が国民の不満をそらすために対外的な強硬手段に出る可能性がこれまでになく高まっていると言わざるを得ない。 軍事専門家が指摘するように、「台湾有事」は「日本有事」に直結する。 日米同盟を強化していくのはもちろんだが、台湾有事をなんとしてでも回避するための日本の外交力の真価が問われているのではないだろうか。 (藤和彦、デイリー新潮 = 8-17-22)

藤和彦 : 経済産業研究所コンサルティングフェロー。 経歴は 1960 年名古屋生まれ、1984 年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003 年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

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中国の大学新卒者、空前の就職難 ゼロコロナが拍車

[北京] ジェニー・バイさんは、北京のあるインターネット企業の厳しい面接を 4 回もくぐり抜け、最終的に内定を勝ち取った優秀なコンピューター科学専攻の 10 人の大学生の 1 人だった。

しかし、5 月になってこの企業から内定取り消しを通告された。 新型コロナウイルスの感染拡大や中国経済全般の悪化が理由だ。 この点に今年 1,080 万人と過去最高となった中国の大学新卒者が直面している大きな問題がある。 今月卒業したバイさんは「心配だ。 就職先を見つけられない場合、どうすれば良いか分からない。」と不安を隠せない。 ただ、内定を取り消された企業名については、今後もその企業と良好な関係を維持したいと明らかにしなかった。

若者の失業率は 18.4%

中国経済は昨年の不動産市場の冷え込みや地政学的問題、当局によるハイテク、教育など幅広い産業への締め付けで既に減速していた。 そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」と言える。 一方で、数十年来で最悪の状況となった労働市場に、ポルトガルの全人口を上回る規模の中国の大学新卒者が、一斉に参入しようとしている。 足元の若者の失業率は、全世代の 3 倍以上で過去最高の 18.4% に達している。

こうした就職できない若者の大量発生が、中国社会にどう影響するかは全く読めない。 中国が何十年も高成長を続けてきた後で、職探しに苦労するという事態は、せっかく高等教育を受けてきた若者にとって全くの想定外だ。 社会の安定を最優先に考える共産党指導部にとっても、特に今年は習近平国家主席の続投が秋に正式に決まろうかという局面で、若者の雇用不安が起きるのはあまりにも間が悪い。

北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は「(中国の)政府と人民が交わした社会契約では、人民が政治に参加しない代わりに、生活水準が年々向上すると保証されている。 だから、懸念されるのはいったんこの保証が崩れれば、契約の他の部分も変わらざるを得なくなるのではないか、という点にある。」と述べた。

ハイテク雇用が大幅縮小

李克強首相は、大学新卒者の雇用確保が政府の最優先課題だと明言している。 実際、新卒者向けにインターンシップ枠を設けている企業には、他の一般的な雇用支援措置を差し置いて補助金が支給される。 一部の地方政府は、起業する新卒者に低利の融資を提供。 いくつかの国有企業は、民間で余剰化した非熟練雇用の一部を吸収する見通しだ。

総合人材サービス企業・ランドスタッドの広域中華圏マネジングディレクター、ロッキー・チャン氏は、中国の非熟練雇用市場は 2008 - 09 年の世界金融危機時よりも悪化しており、新規雇用は昨年比で 20 - 30% 減ると見積もっている。 20 年にわたって求人業務に携わってきた同氏は、今年はこれまで見てきた中で市場が最も低調だと指摘した。 大手求人サイト、智辯招聘によると、予想給与水準も 6.2% 低下するとみられる。

最近まで中国の大学新卒者の大量採用してきたのが、ハイテクセクターだった。 ところが、業界全体では今、雇用を縮小する動きが広がっている。 インターンネットサービスのテンセント(騰訊控股)から電子商取引のアリババまで、多くの大手 IT 企業は規制当局の取り締まり強化のあおりで、大規模な人員削減を強いられた。 ハイテクセクター全体で今年、何万人もが職を失った、と 5 人の業界関係者がロイターに明かした。

上海を拠点する人材管理サービスの許姆四達集団が 4 月に公表したリポートを見ると、ハイテク大手約 10 社のほぼ全てが最低でも 10% の人員を減らし、動画配信の愛奇芸などさらに削減幅が大きくなったケースもあった。 教育サービスも当局からにらまれた業界の 1 つで、やはり何万人も解雇した。 最大手の新東方教育科技集団は 6 万人の削減を発表している。

逆に新規採用の動きは鈍い。 テンセントの人事部門幹部の 1 人は、「数十人」の新卒者採用を検討中と話した。 以前の同社は年間に約 200 人を採用していた。 人材紹介会社ロバート・ウォルターズのジュリア・ジュー氏は「インターネット企業は多くの雇用を減らしている。 今、彼らに採用資金があるなら、新卒者よりも経験者を選んでいる。」と説明した。

近年はハイテク企業との仕事がほとんどだった北京拠点のヘッドハンター、ジェーソンウォン氏は目下、政府系通信企業が主な顧客だ。 「インターネット企業の採用が、活発化する黄金時代は終わりを迎えた」と言い切る。 中国では大学を出た後、しばらく仕事がないまま過ごす若者は企業側から歓迎されないのが普通だ。 多くの家庭もそれを不運とみなすより「一家の恥」と考える。 かといって学士号を得ながらブルーカラーの仕事に就くというのも社会的に認められにくいため、大学院などの研究職に応募する人数が過去最高に上ったことが、公式統計から確認できる。

昨年大学を卒業したビセンテ・ユーさんは、その暮れにメディア企業での仕事を失って以来、再就職できていない。 貯金は 1 - 2 カ月の家賃と生活費を賄える程度。 不安感や不眠症と向き合う毎日で「父親には二度と家に帰るなと言われた。 私の代わりに犬を育てた方がましだったという言葉も浴びせられた。」とやつれた様子で語った。 ユーさんが夜間に訪れるのがソーシャルメディア。 そこには同じ境遇の若者が集う。 「私のように、仕事が見つからない人たちばかりで、それが多少慰めになる」という。 (Martin Quin Pollard、Reuters = 6-25-22)


「ディオール」のスカート炎上問題 パリの店舗前で中国人学生 50 人が謝罪を求め抗議活動

「ディオール (DIOR)」が 2022 年ウィメンズ・フォール・コレクションで披露したミドル丈のスカートが、中国の明時代の伝統的な衣服であるマミアンスカートに似ていると中国のネットユーザーの間で物議を醸している問題について、約 50 人の中国人の学生がパリのシャンゼリゼ通りにある「ディオール」の店舗前に集結し、抗議を行った。

抗議のために集まった学生の多くはマミアンスカートや漢服を着用し、「ディオール」からの謝罪と問題となったスカートの販売中止を求めた。 また、「Dior, stop cultural appropriation (『ディオール』は文化の盗用をやめろ)」、「This is a traditional Chinese dress (これは中国の伝統衣装だ)」といったプラカードを掲げて抗議していたという。 抗議は 10 分ほど続き警察によって解散させられた。 中国の報道機関によると、この抗議の様子はウェイボーやウィーチャットでライブ配信され、50 万回以上視聴されたという。 また、現地メディアによると、類似の抗議はニューヨークとロンドンでも実施される予定だという。

21 年 12 月にコレクションが公開され、4 月に店舗での販売開始と同時にソウルでショーを披露した当時、マリア・グラツィア・キウリ = アーティスティック・ディレクターは、同コレクションは創業者クリスチャン・ディオールの妹、キャサリンへのトリビュートであり、制服、特に学校のユニホームにインスピレーションを受けたと説明している。 「ディオール」は現時点でも本件についてコメントを出していない。 (WWD = 7-29-22)

〈編者注〉 あまりにもバカバカし過ぎて …。 こんな程度で盛り上がる中国の人たち、サッパリ理解できません。


中国・天津の集合住宅でガス爆発 11 人けが 3 人不明

中国・天津の集合住宅でガス爆発が発生し、11 人が負傷、3 人が行方不明になっています。 国営中央テレビによりますと、ガス爆発は 19 日早朝、天津の中心部に近い集合住宅で発生しました。 爆発の衝撃で、6 階建ての建物の上半分が大きくえぐれています。 この爆発でこれまでに住民ら 11 人がけがをしていて、3 人と連絡が取れない状態が続いています。 警察などが爆発の原因を調べていますが、中国では各地で大規模なガス爆発が相次いでいて、天津でも先月 21 日に 23 人が負傷する爆発が起きたばかりでした。 (テレ朝 = 7-19-22)


中国各地で最高気温更新、41 度超えも 異常気象続く

[北京] 中国の複数都市で 12 日、最高気温が記録を更新した。 豪雨に見舞われている地域もあり、気象予報当局は異常気象が数日続くと予測している。 3 段階の高温警報で最高の赤色警報が各地に出され、東部江蘇省の一部や隣接する上海市では 7 月の最高気温を更新。 中国気象局によると、江蘇省宜興市の気温は史上最高の 41.3 度まで上昇した。 交流サイト「微博(ウェイボ)」では熱中症に関するハッシュタグがトレンド入りし、「2 カ月間 30 0度以上の気温が続いている」という投稿もあった。 一方、甘粛省、陝西省、山西省、山東省、河北省、遼寧省、吉林省、黒竜江省、内モンゴル自治区の一部は豪雨に見舞われた。 (Reuters = 7-13-22)


船体が真っ二つに … 南シナ海で中国船沈没 乗組員 27 人行方不明

台風が直撃した南シナ海で中国の船が沈没し、乗組員 27 人が行方不明になった。 緊迫の救助作業をカメラが捉えていた。 船体が真っ二つに割れ、海に沈みそうになっている船。 現地メディアによると 2 日午前 4 時前、中国・広東省の沖合で乗組員 30 人を乗せた洋上風力発電関連の作業船が遭難した。 現場付近の風速は時速 140 キロ以上、10 メートルのうねりがあり、昼頃までに 3 人が救助されたが、残りの 27 人は海に落ちて行方不明になっている。 台風 3 号が 2 日午後上陸した広東省では、少なくとも 3 か所で竜巻とみられる突風も確認され、猛威をふるった。 (FNN = 7-3-22)


中国各地で大規模通信詐欺事件を摘発 貴州省では 6,900 人を逮捕

中国公安部は各地の警察と連携し、通信ネットワークを悪用した全国の詐欺グループに対する集中捜査を行っている。 6 月 13 日の公安部の発表によると、公安部は北京市、四川省、湖南省など 31 省・自治区・直轄市と連携。 GOIP システムを使った犯罪グループを捜査し、約 870 人の容疑者を逮捕した。 同時に犯罪に使った機器 2,390 個と SIM カードやキャッシュカードなど 1 万 8,000 枚を押収した。

GOIP は、GSM (携帯電話に使われているデジタル通信方式)ネットワークと VoIP (インターネット上で音声伝送を行う技術)を直接接続し、電話回線でなくデジタル回線で通話するシステム。 犯罪グループは発信者や場所が特定されないよう通話し、架空の借金請求やローン詐欺などの犯罪活動を行っていた。 捜査チームは 690 件に及ぶ事件を突き止め、被害総額は 4,900 万元(約 9 億 9,435 万円)に上った。

インターネットが社会に普及する中、犯罪グループの「ハイテク化」も進んでいる。 広西チワン族自治区南寧市の警察は 5 月下旬にインターネット詐欺事件の集中取り締まりを実施。 容疑者 347 人を逮捕し、パソコン 211 台、携帯電話 320 台、SIM カード 97 枚、現金 8 万元(約 162 万円)などを押収した。 犯罪グループは架空の借金や手数料、ショッピング代金の請求、ニセの投資話などを持ちかけて現金をだまし取っており、警察は被害者から情報を集めてグループを特定。

ある捜査チームはビルの一室でパソコンを数十台並べて詐欺をしている現場に踏み込み、一網打尽にした。 20 代とみられる若い男たちが武装した警察官に囲まれ、パソコンの前でうなだれている様子が写真で公開された。

貴州省では 5 月 10 日から 15 日間にわたり集中捜査を行い、約 200 の犯罪グループを摘発し、6,900 人もの容疑者を逮捕した。 160 か所のアジトから押収した携帯電話は 1,500 台、SIM カードは 1,800 枚に及び、凍結した資金は 8,800 万元(約 17 億 8,578 万円)に上った。 こうしたネットワーク犯罪は後を絶たず地域を越えて活動しており、今後も全国の警察が連携して捜査を強化していく。 (東方新報/AFPBB = 6-24-22)


大規模なガス爆発で少なくとも 10 人がけが 中国・河北省

中国・北京に隣接する河北省の商店街で、けさ大規模なガス爆発があり少なくとも 10 人がけがをした。 現地時間の午前 9 時過ぎ、河北省の商店街で大規模な爆発があった。 映像には辺りには瓦礫が散乱し、周辺の店舗は窓ガラスが吹き飛んでい様子や、白い煙が、ビルの高さまでのぼっている様子が収められている。 飛び散ったガラスが刺さるなどして少なくとも 10 人がけがをしたという。 地元当局は、店舗で使われていたガスボンベに引火したことが原因とみて調べている。 (ANN = 6-24-22)


中国シノペック傘下「上海石油化工」施設で火災、1 人死亡 … 不凍液などの原料扱うエリアで

【北京 = 田川理恵】 中国国営新華社通信によると、上海市金山区にある国有企業大手「中国石油化工集団(シノペック)」傘下の上海石油化工の施設で 18 日午前 4 時頃、火災が発生し、1 人が死亡した。 上海石油化工の発表によると、火災が起きたのは、自動車用の不凍液などに使われる「エチレングリコール」を扱うエリアで、社員 1 人も腕に軽傷を負った。 中国メディア・財新によると、発生から 7 時間がたっても現場では大きな火の手が上がり、四方 2 キロ・メートルにわたって焦げ臭いにおいがしていたという。 中国の SNS 上では、炎が立ち昇る中、爆発が起きる様子を映した動画が多数投稿されている。 (yomiuri = 6-18-22)


中国貴州省に大雨赤色警報

【貴陽】 中国貴州省気象台は 18 日午前 6 時 50 分(日本時間同 7 時 50 分)、大雨警報のレベルを黄色警報から赤色警報(最も深刻なレベル)に引き上げた。 同省黔東南ミャオ族トン族自治州では 17 日夜から 18 日日中にかけて大雨となり、中でも榕江、従江、雷山各県などの九つの郷・鎮で強い雨が降った。 複数の地域で土石流や土砂崩れ、地滑りなどが起き、各地で道路が寸断された。 (崔暁強、劉勤兵、蒋成、中国・新華社 = 6-18-22)

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雷がボート直撃 … 中国豪雨 100 万人超被災

中国では、先月下旬から江西省や湖南省などの南部を中心に大雨が続いています。 雨で増水した川で撮影されたのは、雷がボートに直撃する瞬間です。 ボートに乗っていた、男性 1 人が行方不明になっています。 街では、道路が至る所で冠水し、ボートを使った救出活動が行われていました。 これまでに 100 万人以上が被災していますが、数字を公表していない地域が多く、実際の被災者数はさらに多いとみられています。 (テレ朝 = 6-7-22)

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中国貴州省で豪雨被害 消防隊の救助活動続く

【貴陽】 中国貴州省はここ数日、広い範囲が豪雨に見舞われ、洪水や道路の寸断、住民の孤立などが起きた。 消防など関連部門が迅速に対応し、緊急救助活動を行っている。 (呉斯洋、中国・新華社 = 6-5-22)


身体を触られ、拒否した女性らを集団で暴行
9 人を逮捕 「地元警察が後ろ盾になっている」 中国

中国河北省唐山市の飲食店で、男に身体を触られた女性が拒む態度を見せたところ、殴る蹴るの暴行を加えられるという事件があり、公安当局は関連する男女 9 人を逮捕した。 女性の身の安全を危惧する声があがるほか、唐山市では地元警察が「反社会的なグループの後ろ盾になっている」との告発もされており、連日、SNS で注目を集めている。

事件が起きたのは 6 月 10 日未明。 SNS で拡散されている事件当時を捉えた防犯カメラの映像によると、唐山市の串焼きレストランで女性 3 人が食事をしていたところ、男が近寄り話しかけ、背中のあたりに手をかけた。 女性がこの手を跳ね除けたところ、男が逆上。 この女性を拳で殴打すると、男の仲間とみられる集団も加わり、女性たちを店の外で引きずり出し、殴る蹴るの暴行を加えた。 この映像は中国の SNS で拡散され、6 月 11 日には暴行に加わった男女 9 人が逮捕された。 被害に遭った女性 4 人のうち 2 人は入院。 命に別状はないとされているが、容態を疑う声も SNS では出ている。

この事件は中国の SNS で連日、大きな話題となっている。 俳優のジャッキー・チェンさんは「ウェイボー」で「怒りのあまり一晩中寝付けなかった。 助けに入ったのは女性ばかりで、周りの男性たちは無関心。 こんなことが我が国で起きて良いのか。 暴力にノーを突きつけ、男性が女性に手を挙げてはならないと何年も映画で訴えてきたが、何度伝えてもこうした不公平は消えない。」と投稿した。

また、こうした反社会的組織とみられる集団と地元警察の癒着を疑う声も出ている。 串焼き店の事件では、国営放送・CCTV が地元公安当局の対応を批判。 容疑者の逮捕までに時間がかかりすぎだとして「住民は治安状況に不満を抱えている」とした。 さらに、事件が話題になったあとの 6 月 11 日、唐山市で起きた別の事件を告発する動画がネットにアップされた。

動画では女性が、唐山市のバーでおよそ 16 時間にわたって監禁されたうえ、暴行などを受けたと主張。 警察に通報したがまともに取り合ってくれなかったとし、「地元警察が(容疑者らの)後ろ盾になっている」などと訴えた。 女性によれば、この事件が起きたのは 5 月 23 日。 それまで何も動きがなかったのにも関わらず、告発動画が拡散されると、翌日には容疑者 4 人が逮捕された。 そのほか、ケーキ店が破壊されるなどの被害も併せて報告された。

男女 9 人が逮捕された事件をめぐっては、発生地の公安当局ではなく、別の地域の当局が捜査を担当していることにも注目が集まっている。 これに対し中国メディア「中国新聞週刊(電子版)」は、事件の発生地と管轄が異なるのは異例だと指摘。 「捜査の公正性を保つ必要があるからだ」などとする専門家の談話を伝えている。 (Huffpost = 6-14-22)


中国の大気汚染ランキング 河南省鶴壁市などがワースト

【CNS】 中国生態環境部が発表した 4 月の大気汚染測定調査によると、河南省鶴壁市、河北省保定市、河南省新郷市が全国の主要都市で最も大気の質が悪いワースト 3 位にランクインした。 生態環境部によると、168 の主要都市のうち大気の質が比較的良好だったのは海南省海口、チベット自治区ラサ市、浙江省舟山市など。 大気の質が比較的悪かったのは鶴壁市、保定市、新郷市のほか陝西省の西安市と咸陽市、河北省の石家荘市と●(= 刑の右側がおおざと)台市など。

4 月の全国 339 都市の平均大気良好日数は 89.0% で、前年同月比 3.5 ポイント減少。 微粒子状物質 (PM2.5) の平均濃度は 1 立方メートルあたり 28 マイクログラムで、前年と比べ横ばいだった。 平均オゾン濃度は 1 立方メートルあたり 145 マイクログラムで、前年比 12.4% 増加した。 1 - 4 月の平均大気良好日数は前年同期比 1.3 ポイント増 85.1% で、PM2.5 平均濃度は 4.9% 減の 39 マイクログラム。 4 月の数値は悪化したが、今年に入って全体的には大気状態は改善されている。

4 月の北京市の平均天気良好日数は前年同月比 13.3 ポイント減の 76.7% で、PM2.5 濃度は 12.9% 増の 35 マイクログラム。 1 - 4 月の平均天気良好日数は前年同期比 20 ポイント増の 86.7% で、PM2.5 濃度は 32.1% 減の 36 マイクログラムだった。 (AFP = 6-10-22)


戦闘機が住宅地に墜落 住民 1 人死亡、2 人けが 中国・湖北省

中国で戦闘機が住宅地に墜落し住民 1 人が死亡、2 人が負傷しています。 事故があったのは湖北省の空港近くの住宅地で、現地時間の 9 日午前、訓練飛行中の戦闘機が何らかの原因で墜落しました。 中国メディアによりますと、墜落したのは「殲(せん) 7」戦闘機で、パイロットはパラシュートで脱出し軽傷です。 ただ、複数の住宅が激しく破壊され、これまでに住民 1 人が死亡、2 人が負傷して病院で治療を受けています。 事故の原因は分かっていません。 (テレ朝 = 6-9-22)


中国の高速鉄道が脱線、運転士が死亡、乗客ら 8 人けが
線路内に土砂

中国南部の貴州省の榕江駅付近で 4 日午前 10 時半ごろ、高速鉄道が脱線する事故があり、運転士 1 人が死亡、乗員と乗客計 8 人がけがを負った。 中国国営中央テレビが伝えた。 中央テレビによると、脱線したのは貴州省貴陽市から広東省広州市に向かう高速鉄道で、事故当時は 136 人の乗客がいた。 土石流により線路内に侵入していた土砂に接触したのが脱線の原因という。 榕江駅付近で車両 2 両が脱線した。 けがをした乗員や乗客に命の危険はないとしている。

SNS 上に出回っている動画には、駅のホームとみられる場所にあちこちが破損して穴があいた車両が乗り上げ、線路を塞ぐ形で大破している様子や、乗客の食事が床に散らばった車両内の様子が映っている。 中国では 2011 年 7 月にも、中国浙江省温州で高速鉄道が脱線する事故があり、40 人が死亡した。 (北京 = 高田正幸、asahi = 6-4-22)


レストランでガス爆発 6 人死傷 中国・江蘇省 ガス漏れが原因か

中国東部の江蘇省で、24 日夜、大規模なガス爆発があり、6 人が死傷した。 爆発直後とみられる映像では、衝撃で吹き飛んだとみられる外壁などが、あたり一面に散乱している。 中国メディアなどによると、江蘇省常州市で、日本時間 24 日午後 10 時前、ガス爆発が発生し、これまでに 1 人が死亡、5 人がけがをした。 爆発した建物は 2 階建てで、1 階ではレストランが営業していて、あわせて 2 回の爆発が起きたみられている。 当局は、プロパンガスの漏れによる爆発とみて、くわしい原因を調べている。 (FNN = 5-25-22)


中国で増える家庭用カメラトラブル 日本のカメラを「のぞき見」事件も

中国では自宅にさまざまな理由からカメラを設置する人が増えている。 それに伴い、隣人とのトラブルや犯罪も多発している。 天津市で 1 人暮らしをしている 20 代女性の朱さんは、ペットの猫のためマンションの自室内にカメラを設置した。 朱さんは中国の若者の間で言われる「●(= 金偏に産)尿官(おしっこ始末係、『ペットの奴隷』というニュアンス)」と自認する典型的な「ペット溺愛家」。 勤務中もスマートフォンを通して猫の様子をながめ、「大好きなニャンコの様子を確認できると落ち着くし、仕事の励みにもなる」と話す。

広東省で暮らす 30 代の男性会社員の陳さんは、1,800 キロ離れた河北省の実家の数か所にカメラを取り付けた。 「忙しい都会の生活に疲れた時、実家の光景を見ると癒やされる。 年老いた両親に異常がないか確認することもできます。」と話す。 ほのぼのとした話とは対照的に、近隣とのトラブルも発生している。

上海市のマンションに住む王さんは、隣室の住人が玄関に防犯カメラを設置したことに頭を悩ませている。 「エレベーターや階段から自分の部屋へ通路を歩く時、必ずカメラの前を通過する。 夜に恋人と一緒に部屋に入る時も撮影されるのは苦痛です」。王さんは隣人に「カメラを外してほしい」と交渉したが、「以前、泥棒に入られたことがある。 また狙われるか心配なので外せない。」と断られたという。 同じ上海市の宋さんは逆のケースだ。 自宅の庭にごみを無断で捨てる人がいるため、玄関に 360 度撮影できるカメラを設置した。 すると隣人から「日常の様子を撮影されるのは、プライバシー侵害だ」と訴えられた。

こうした簡易カメラの値段はピンキリで、1,000 元(約 1 万 9,212 円)以上の機種も多い一方、わずか 3.9 元(約 74 円)で購入できるワイヤレスカメラもある。 安価なカメラの中には、アクセス防止機能もなく、パスワード設定も簡易なものが多い。 昨年 4 月、北京市第 3 中級人民法院(日本の地方裁判所に相当)で明らかになった刑事裁判は市民に驚きを与えた。 被告は自分で開発したアプリで中国、日本、韓国など国内外のカメラ 18 万台にアクセスし、画像が見られる状態にしていた。

カメラの不正アクセスを「権利」として販売しているヤミ業者もおり、インターネットで隠語を使いながら「プライベート画像をのぞき見できる」と宣伝しているサイトもある。 昨年 10 月には四川省で、100 か所以上のカメラの「アクセス権」を買っていた容疑者が逮捕された。 民家や企業、レストラン、美容院などのカメラをのぞき見していたという。 ヤミ業者の摘発も各地で行われているが、類似行為は後を絶たない。 中国の治安管理処罰法では、盗撮行為は 5 日間以内の拘留か 500 元(約 9,606 円)以下の罰金が科せられるが、中国メディアや専門家の間では盗撮行為の厳罰化を求める声が出ている。 (AFP/東方新報 = 5-24-22)