宮城・南三陸町で 110 番教室 外国人技能実習生が対象

宮城県南三陸町で 1 月 7 日、外国人技能実習生を対象とした「110 番教室」が開かれました。 この教室は外国人技能実習生が落ち着いて 110 番通報ができるよう、南三陸警察署が毎年、行っているものです。 この日は、水産加工会社で研修中のベトナム人技能実習生 5 人が参加しました。 教室では、車上荒らしを目撃したという想定で訓練が行われ、実際に携帯電話で 110 番にかけて、県警本部のオペレーターにベトナム語で状況を伝えました。

ベトナム人技能実習生「初めてで難しかったけど、いい経験になりました。」

南三陸警察署 工藤嘉久地域課長「事件・事故の被害に遭った場合や、目撃した場合はゆっくり落ち着いて 110 番への通報をお願いします。」

南三陸警察署は、今後もこうした教室を続けていく方針です。 (仙台放送 = 1-11-22)


偽物のナイキのスニーカーを販売 ベトナム人技能実習生を逮捕起訴 1,200 万売り上げていた

北海道警察が公開したのは押収された偽物のナイキのスニーカーおよそ 200 足です。 十勝の中札内村のベトナム人技能実習生の男 (21) は去年 11 月、ベトナムから輸入した偽物のナイキのスニーカーを販売目的で自宅で 124 足所持した、商標法違反などの疑いで逮捕され、その後、起訴されていました。 警察の調べに対して男は「ベトナムで安く買って日本で高く売れば金儲けできると考えた」と容疑を認めています。

警察によりますと男はベトナムで 1 足あたり 2,000 円ほどで仕入れ、3 倍以上の値段で販売していたということです。 男は SNS を使ってベトナム人を相手にこれまでに 1,600 足ほどのスニーカーを販売し合計およそ 1,200 万円を売り上げていたとみられています。 また、男の販売を手伝うためにスニーカーを所持したとして十勝管内のベトナム人技能実習生の女性 (23) も商標法違反の疑いで書類送検されています。 (HTB 北海道 = 1-7-22)


福岡県、来年度から外国人技能実習生の日本語教室開講へ

福岡県は、外国人技能実習生のため、市町村や企業などと連携して来年度から日本語教室を開講する方針を固めました。 まず直方市で始め、来日 1 年目の実習生を対象に 3 年間、授業を行うということです。 福岡県によりますと、県内で働く外国人技能実習生は去年末の時点で 1 万 3,000 人余りで、5 年間で倍増していますが、実習生が入国後に日本語を学ぶ機会は 1 か月から 2 か月程度の講習などに限られています。

このため、福岡県は、市町村や企業などと連携して来年度から日本語教室を開講する方針を固めました。 授業は、来年 10 月にもまず直方市で始まる予定で、来日 1 年目の実習生を対象に 3 年間のカリキュラムを用意し、日本語検定で「日常的に使用される日本語をある程度理解できる」とされる「N3」の取得を目指すとしています。

教室の運営にあたっては、市町村が実習生に日本語を学ばせたい企業を複数募集したうえで、講師を雇い、会場も用意するということです。 そして、運営にかかる経費は参加企業が負担し、ボランティアが授業のサポートを行うほか、県が運営全般を支援するアドバイザーを派遣するということです。 県は「この取り組みで実習生は継続的に日本語を学ぶことができるようになるので、いずれは県内全域に広げたい」としています。 (NHK = 12-23-21)


ベトナムの実習生機関、不正横行

日本で外国人技能実習生が最も多いベトナムの送り出し機関を巡り、これまでに日本側が、高額な手数料の徴収疑いなど 79 件の不適切事例をベトナム政府に通報したものの、同国側が認定を取り消したのは 2 件にとどまることが 18 日、法務省と厚生労働省が所管する「外国人技能実習機構」が作成した内部資料で分かった。 両国は 17 年、不適切事例は通報するなどとした協力覚書を締結しているが、資料では通報しても調査が徹底されない状況を問題視。 来日時に高額な借金を背負った結果、失踪する実習生も多いとされ、関係者は「覚書が形骸化している」と日本側のより積極的な関与の必要性を指摘している。 (kyodo = 12-18-21)


カレーの中村屋、「人手不足」でネパール人を不法就労させた疑い

インドカレーで知られる「新宿中村屋」を展開する中村屋(東京都新宿区)について、警視庁は 17 日、外国人を不法に働かせたとして、埼玉工場(埼玉県久喜市)管理課の男性係長 (52) を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検し、発表した。 法人としての同社も送検した。 係長は「違法とわかっていた。 慢性的な人手不足の解消を優先してしまった。」と話したという。

組織犯罪対策 1 課によると、送検容疑は 2018 年 11 月 - 21 年 6 月、さいたま市浦和区の人材派遣会社「And MiRAiZ」から派遣された 20 - 30 代のネパール人 6 人について、通訳などとして働ける「国際業務」のビザで日本で暮らしていると知りながら、肉まんや菓子を製造する埼玉工場の作業員として働かせたというもの。 ほかにも計約 30 人のネパール人やベトナム人が不法に働かされていた疑いがあり、組対 1 課が裏付けを進めている。

係長は上司に相談せず、単独でこうした行為を繰り返したと同課はみている。 調べに「日本語が堪能で優秀だったので雇用を続けた」と説明したという。 中村屋は 1901 (明治 34)年創業。 同課によると、鈴木達也社長は任意の調べに「考えが甘かった。 代表取締役として反省し、業務体制や組織対応を見直し、現場への運営の助言や社員教育を強化したい。」と話したという。 (asahi = 12-17-21)


中国人約 80 人の在留資格不正に変更し 4,500 万円 行政書士ら逮捕

行政書士らが、中国人の男の在留資格を不正に変更した疑いで、警視庁に逮捕された。 行政書士の石川和仁容疑者 (61) や、中国人で行政書士補助者の温建欧容疑者 (31) は 2020 年、飲食店従業員の中国人の男について、会社を経営する旨のうその書類を作成し、在留資格を「留学」から「経営・管理」に不正に変更をした疑いが持たれている。 在留資格を「経営・管理」に変更すると、在留期間が長くなるため、不正に変更していたとみられ、警視庁は、石川容疑者らが指示を受けて中国人およそ 80 人の資格を不正に変更し、4,500 万円以上を受け取っていたとみて、くわしく調べている。 (FNN = 12-14-21)


鋼材加工、「実習生頼み」浮き彫りに 物流施設に遅れも

建物に使う鋼材を切断、溶接する加工現場が人手不足に陥っている。 新型コロナウイルスの水際対策で担い手となる外国人技能実習生の受け入れが滞り、増加する物流施設向けの需要に応えきれていない。 入国制限が 11 月に緩和されたのもつかの間、新たな変異型「オミクロン型」の登場で扉は再び閉じた。 実習生の来日遅れは物流施設の供給遅れにつながる。 人材難という鋼材加工の慢性的な課題が浮き彫りになっている。

「物流施設向けの需要が高まっているのに、人手不足で受注制限を余儀なくされている。 半分近くの仕事を断っており、とても歯がゆい。」 鋼材加工事業者、松山鋼材(千葉県旭市)の向後賢司社長はこう漏らす。 同社は鉄骨造(S 造)の建築物で、壁材を取り付ける骨組みに使う鋼材「胴縁」の加工を手掛ける。 担い手となるインドネシアからの外国人技能実習生は、今年 1 月時点で最大の 36 人が在籍していた。 だがその後、新規の受け入れが滞る間に 3 - 5 年の実習期間を終えた実習生 16 人が帰国した。

電子商取引 (EC) の拡大に伴い、S 造の大型物流施設の建設が相次ぐ。 不動産サービス大手、シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)がまとめた延べ床面積 1 万坪以上の施設の新規供給数は、1 都 3 県を中心とした首都圏で 2021 年が 62 万 8 千坪(1 坪は 3.3 平方メートル)。 19 年の 59 万 9 千坪を超えて過去最大となる見込みだ。 21 年 7 - 9 月期は 18 万 2 千坪と前年同期比で約 4 倍に急拡大した。

CBRE が集計した首都圏の大型物流施設の開発計画は 21 年 10 月 - 23 年に 54 棟と「高速道路や幹線道路沿いに供給の拡大が続く。(同社の高橋加寿子シニアディレクター)」 需要が膨らむ胴縁は物件ごとのオーダーメードのため、機械による加工の自動化・省人化が難しい。 胴縁の供給が追いつかず、施設の着工が遅れる可能性が高まっている。 需要が鈍れば、建設用鋼材の市況悪化につながる。

現在、在留資格を持ちながら入国できない外国人はおよそ 37 万人。 このうち技能実習生は 11 万人ほどいる。 松山鋼材では来年 1 - 2 月に計 12 2人を受け入れる計画だったが、政府のオミクロン型対応の影響で入国予定は白紙になった。 5 月以降には計 13 人の帰国も予定する。 「稼働体制の先行きが再び不透明になり、我慢の時間が続く。 冷静に対処するしかないが、言葉がない。(向後社長)」

工場での労働環境は 3K (きつい、汚い、危険)のイメージが依然強く、日本の若者は敬遠しがちだ。 建設業界が加工事業者に求める「安さ」、「品質」、「安定供給」は、人手不足を補った技能実習生が支えていた側面が大きい。 鉄骨加工会社で構成する鉄骨建設業協会(東京・千代田)は「大手より地場の中小企業ほど大変な状況」と指摘する。 建材メーカーの担当者は「業界全体が技能実習生頼みだった事実に向き合わなければならない」と自省する。 生産年齢人口が減り続ける中、鋼材の持続可能な流通・加工環境をどう構築するか。 町工場で表出する人手不足問題は、鉄鋼・建築業界が避けて通れない命題を鮮明に浮かび上がらせている。 (桝田大暉、nikkei = 12-6-21)


外国人技能実習生が防災を学ぶ 愛媛

外国人技能実習生が「防災」について学ぶセミナーが伊予市で開かれた。 このセミナーは外国人技能実習生など介護現場で実習中の外国人が災害時に自分の身を守り、お年寄りらに適切な対応ができるようにと開かれた。 ベトナムやミャンマーなどから来日中の参加者は、東日本大震災での地震や津波の被害について学んだあと、地震が起きた際に取るべき行動をイラストで選び班の中で発表し合っていた。

八幡浜の高齢者施設で実習中のミャンマー人技能実習生「地震とか津波とか、怖くて分からない事を教えてもらってよかった」と話していた。 愛媛県によると、現在およそ 320 人の外国人技能実習生が県内の介護現場で実習を積んでいるという。 (南海放送 = 12-3-21)


「いよいよ日本行きあきらめる実習生も …」入国禁止に落胆する担当者

海外からの入国制限が 3 週間前に緩和されたのもつかの間、新型コロナの変異株「オミクロン株」への対応として、政府は 29 日、全世界を対象に外国人の入国を 30 日から禁じることを決めた。 農業から製造業まであらゆる人手不足の労働現場を支えている外国人技能実習生の入国も停止される。 今年 1 月から続いていた入国制限が 11 月 8 日に緩和されたばかりだったが、再び国が閉ざされる。

出入国在留管理庁の統計によると、2019 年に新たに入国した実習生は約 19 万人だった。 今年は 1 月に 2 万人が来日したものの、1 月からの入国制限を受け、2 - 9 月は 13 人だけだった。 実習生の仲介役である監理団体のうち、1 千人超を受け入れている大阪府内のある団体の担当者は「もう 2 年近く入国を待っている実習生もいる。 つい 3 週間前、入国の見通しが立ったことで、みんな沸き立っていたのに …。」と声を落とす。

この団体は関西の工場などで働く実習生を受け入れているが、日本での職場が決まりながら足止めを食らっている実習生は、ベトナムを中心に現在約 300 人いるという。 日本政府の入国停止方針について、実習生らを雇っている企業やベトナムの送り出し機関などからは「制限はいつまでなのか」など、不安の声を聞いているという。 1 月の入国停止の措置は、緩和されるまでに約 10 カ月かかった。 担当者は「先が見えないことが一番困る。 再開がいつになるか分からないなか、いよいよ今度は、日本に行くのをあきらめる実習生が出てくるだろう。」と話す。 (玉置太郎、asahi = 11-29-21)


42 万 9 千円払おうとした高齢男性、止めたフィリピン人コンビニ店員

特殊詐欺被害を防いだとして、愛知県警春日井署は 22 日、コンビニエンスストア、セブン-イレブン春日井八田町店で働くフィリピン国籍のロメロ・ウィルジョファーソンさん (24) に感謝状を贈った。 10 月 5 日の午後、市内に住む客の男性 (80) が店内で何かを探しているようだった。 手にはメモ。 声をかけると「電子マネーの買い方がわからない。」 聞けば 42 万 9 千円分と多額で「アプリの会員登録に使う」という。

もう一度アプリの運営者に電話してみてはどうかとアドバイスすると、電話口の運営者の男がどうも怪しかった。 男性に断って代わりに電話を受けると、男は話をはぐらかし「もうあなたはいいから」と再び男性に代わるようにと言った。 男性はしばらく男と電話で話し、「大丈夫だから」と伝えてきたが、ロメロさんは「詐欺だと後悔するので警察に相談した方が絶対安全」と粘って説得し、春日井署に相談させた。 男性からはその日のうちに感謝されたという。

父は日本人、母はフィリピン人で、10 歳のときに来日したロメロさん。 漢字や敬語などに苦労しながら、友達の助けもあって日本語を習得した。 店員としては積極的に客に声をかけることをいつも心がけている。 「体験上、日本人って外国人を怖いとか、話しづらいと思っている。 でもそんなことはないよ。 しゃべってみたら普通だよ。」 そんな思いを形にしただけだという。 春日井署の鈴木田幸治署長から感謝状を受け取ったロメロさんは「外国籍の私たちも日本人もみんな同じ人間。 支え合っていけたら。 これからも地域を見守るコンビニにしていきたい。」と話した。 (土井良典、asahi = 11-23-21)


実習生監理団体「アジア共栄事業協同組合」の許可取り消しへ

外国人技能実習生を全国の企業などに仲介している愛知県の大手監理団体が、受け入れ企業への監査をしなかったり、第三者に名義貸しして監査させたりしたとして、法務省と厚生労働省が技能実習適正化法に基づき、月内にも許可を取り消すと決めたことが 20 日、関係者への取材で分かった。 団体は同県一宮市の「アジア共栄事業協同組合」。 監理団体は実習先で適切に実習が行われているかどうか確認する義務がある。 組合の仲介によって働いている実習生は今月 1 日時点で約 3 千人に上る。 取り消し処分を受けた場合、実習先は原則として 3 カ月以内に、別の監理団体と新たに契約を結ぶ必要があるという。 (kyodo = 11-21-21)

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技能実習生監理団体、2 億円の所得隠し 名古屋国税局が指摘

外国人技能実習生の実習先を手配する愛知県一宮市の監理団体「アジア共栄事業協同組合」などが名古屋国税局の税務調査を受け、2020 年 3月期までの 3 年間で計約 2 億円の所得隠しを指摘されたことが 18 日、関係者への取材で明らかになった。 追徴税額は重加算税を含め約 1 億円。 組合は既に修正申告し、納付した。 (mainichi = 9-18-21)


商店街に在留カード「偽造工場」 半年で 3 千枚以上印刷か

在留カードの偽造品 1 枚を所持したとして、愛知県警は、名古屋市南区内田橋 1 丁目、中国籍の無職孔繁森容疑者 (25) を出入国管理法違反(偽造在留カード所持)の疑いで現行犯逮捕し、18 日発表した。 「半年前から始めて 3 千 - 4 千枚作った。 160 万円ほどの利益があった」と容疑を認めているという。 在留カードは外国人の在留資格を証明するもの。 県警は孔容疑者の自宅を 16 日に捜索。 いずれも偽造とみられる在留カード約 100 枚や運転免許証、マイナンバーカード、学生証などのほか、印刷前の白無地のカード約 3 千枚も見つかった。

県警は、別の人物が SNS などで外国人らから注文を受け、孔容疑者が自宅で偽造と発送をしていたとみている。 SNS 上で偽造身分証の販売をうたった広告があり、捜査していた。 国際捜査課によると、孔容疑者は 16 日午後 4 時 40 分ごろ、自宅でベトナム人女性の顔写真が印刷された偽造在留カード 1 枚を所持した疑いがある。

偽造拠点は海外から国内に移動?

県警が「偽造工場」になっていたとみている孔容疑者の自宅は、ラーメン店や不動産屋などが並ぶ商店街の一角にある。 近くの住民によると、10 年前まではクリーニング店だった。 ある店主は「高齢化で空き店舗が増えている。 家賃も安く、いろんな人が入ってくる。」と話す。 偽造在留カードは、不法残留者が就職するときの身分証明などに使われているとみられる。 犯罪白書によると 2019 年の偽造在留カード関連の検挙は 748 件で、17 年の約 2 倍に増えた。

外国人の労働問題に詳しい神戸大の斉藤善久准教授は「摘発が増えたのは、捜査のノウハウを磨いた警察側が五輪・パラリンピックに向けて取り締まりを強めたためだろう。」 海外にあった偽造拠点が国内に移り、偽造カードの値段も下がる傾向という。 コロナ禍で特例的に出されている在留許可が今後は出にくくなり、「偽造カードで就労する外国人が増える状況に戻りかねない」と指摘する。 (山崎輝史、asahi = 11-19-21)


外国人就労「無期限」に 熟練者対象、農業など全分野

出入国在留管理庁が人手不足の深刻な業種 14 分野で定めている外国人の在留資格「特定技能」について、2022 年度にも事実上、在留期限をなくす方向で調整していることが 17 日、入管関係者への取材で分かった。 熟練した技能があれば在留資格を何度でも更新可能で、家族の帯同も認める。 これまでの対象は建設など 2 分野だけだったが、農業・製造・サービスなど様々な業種に広げる。

別の長期就労制度を設けている「介護」を含め、特定技能の対象業種 14 分野すべてで「無期限」の労働環境が整う。 専門職や技術者らに限ってきた永住への道を労働者に幅広く開く外国人受け入れの転換点となる。 現在、資格認定の前提となる技能試験のあり方などを同庁や関係省庁が検討している。 今後、首相官邸や与党と調整し、22 年 3 月に正式決定して省令や告示を改定する流れを想定している。

特定技能は人材確保が困難な業種で即戦力となる外国人を対象に 19 年 4 月に設けられた。 実務経験を持ち特別な教育・訓練が不要な人は最長 5 年の「1 号」を、現場の統括役となれるような練度を技能試験で確認できれば「2 号」を取得できる。 更新可能で家族も滞在資格が得られ、在留 10 年で永住権取得が可能になる。 入管庁などは、2 号の対象に 11 分野を追加し、計 13 分野にする方向で調整している。 介護は追加しないが、既に日本の介護福祉士の資格を取れば在留延長などが可能となっている。

ただ、自民党の保守派などの間では、外国人の長期就労や永住の拡大は「事実上の移民受け入れにつながりかねない」として慎重論が根強い。 結論まで曲折を経る可能性もある。 特定技能の制度導入時、入管庁は 23 年度までに 34 万 5 千人の労働者が不足するとみていた。 足元では特定技能の取得者は月 3 千人程度で推移している。 就労期限がなくなれば計算上、20 年代後半に 30 万人規模になる。

かねて国は外国人の長期就労や永住に慎重な姿勢を取ってきた。 厚生労働省によると、20 年 10 月末時点で国内の外国人労働者は 172 万人。 在留期間が最長 5 年の技能実習(約 40 万人)や留学生(約 30 万人)など期限付きの在留資格が多く、長期就労は主に大学卒業以上が対象の「技術・人文知識・国際業務」(約 28 万人)などに限っている。 「農業」、「産業機械製造業」、「外食業」など 14 分野で認められている特定技能も、長期就労できるのは人手不足が慢性化している「建設」、「造船・舶用工業」の 2 分野にとどまる。

新型コロナウイルスの水際対策の影響もあり、特定技能の資格で働くのは 8 月末時点で約 3 万 5 千人。 日本商工会議所は 20 年 12 月、「外国人材への期待と関心は高い」と対象分野追加などを要望していた。 外国人受け入れ政策に詳しい日本国際交流センターの毛受敏浩執行理事は「現業の外国人に広く永住への道を開くのは入管政策の大きな転換だ」と指摘する。 (覧具雄人、nikkei = 11-18-21)

特定技能 : 国内で生活する外国人は 6 月末時点で約 282 万人。 活動内容などによって「永住者(約 81 万人)」、「技能実習(約 35 万人)」といった在留資格がある。 出入国管理法改正で 2019 年に設けられた「特定技能」は技能試験や日本語試験の合格などを条件に、人手不足が深刻な業種 14 分野での就労を認めている。

出入国在留管理庁によると、8 月末時点で約 3 万 5 千人のうち、飲食料品製造業(約 1 万 2 千人)と農業(約 4,600 人)の 2 分野で半数近くを占める。 3 年間の技能実習を終えた人が特定技能の資格取得を望む場合、日本語試験は免除され、実習時と同じ分野なら技能試験の合格も不要になる。 新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限で、新たな人材の確保が困難になった。 実習終了後に帰国できない人が、在留資格を特定技能に切り替えて日本に残るケースが相次いでいる。


入国緩和 技能実習生を受け入れる現場 期待と不安の声

留学生と同じく、技能実習生も、今月 8 日から新規入国再開の対象になりました。 この技能実習生、コロナ禍の影響を大きく受けています。 出入国在留管理庁によりますと入国が制限された結果、先月 1 日時点で、日本での在留資格を持ちながら来日できず待機している技能実習生は、およそ 11 万 1,200 人にのぼるということです。 こうした中で入国が再開された技能実習生。 受け入れる現場からは、期待の一方で今後への不安の声もきかれました。 大阪・富田林市にある長年、実習生を受け入れてきた農園では、新たな実習生の受け入れに向けた準備を進めていました。

大阪・富田林市でえび芋やきゅうりなどを栽培する農園では、これまで 15 年にわたって中国やベトナムからの技能実習生をあわせて 20 人余り受け入れて来ました。 いまは 4 人のベトナム人が日本での農作業の方法を学びながら働き、貴重な戦力となっていて、12 日はえび芋の収穫がピークを迎える中、出荷に向けた作業に当たっていました。 この農園では新型コロナの感染拡大前には 5 人を受け入れていましたが、去年 9 月に来日予定だった 1 人が水際対策の強化で入国できず、人手が足りない時には日本人のアルバイトを臨時で雇うなどしてしのいできたと言います。

入国制限の緩和で待機してきた実習生の来日が可能になったことで、農園では早速、入国後の待機期間に滞在してもらう部屋を探すなど準備に取りかかっていました。 しかし、待機期間中の宿泊費用や食事の提供などもすべて受け入れ側が用意する必要があり、大きな負担となっています。 一方、農園には、コロナ禍の減便の影響で飛行機のチケットがとれなかったことなどから帰国できずにいる人もいて、実習期間が過ぎたあとも、貴重な働き手となっていたと言います。 ことし 4 月から帰国を待っているベトナム人のレー・ヴァン・ビンさんは、「国に帰ってお父さんやお母さんに会いたいです。 友達と食事にも行きたい。」と話していました。

農園を経営している乾裕佳さんは、「これまでは入国ができなかったので、やっと一歩進んだと思います。 ずっと帰国を待っていた実習生が帰れることになり、ほっとしていますが、ずっと一緒に過ごしてきたのでさみしさもあります。 農作業の落ち着く 2 月までにもう 1 人受け入れたいので、組合に早く来てほしいと伝えて、手続きを始めてもらっています。」と話していました。

コロナ禍の技能実習生

「外国人技能実習制度」は、外国人が最長で 5 年間、日本で働きながら技術を学ぶ制度で、人手不足を背景に年々、増加してきました。 法務省によりますと、おととし末の時点では 41 万 972 人と、過去最多を記録しましたが、新型コロナの感染拡大によって入国制限が行われたことに加え、日本国内の受け入れ先企業の経営悪化などもあり、去年末には(2020 年末) 37 万 8,200 人に減少しています。 出入国在留管理庁によりますと入国が制限された結果、ことし 10 月 1 日時点で、日本での在留資格を持ちながら、およそ 11 万 1,200 人の技能実習生が来日できず、待機を続けているということです。

一方、出入国の制限により、母国に帰りたくても帰ることができず、日本国内にとどまらざるをえなくなっている人もいて、技能実習生などから「特定活動」という別の在留資格に切り替えて日本に滞在している人が、今月 5 日時点でおよそ 3 万 8,700 人に上っているということです。 入国制限の措置が緩和され、政府は現在、1 日あたり 3,500 人としている入国者の上限を、今月下旬から 5,000 人に引き上げる方針ですが、制限が緩和されても、すぐ入国できるわけではなく、当面、待たされる人も多いと見られています。 (NHK = 11-12-21)

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技能実習生、農家「早く来て」 2 人不足なら収入 1 千万円減

政府が技能実習生の新規入国を 8 日から認めると発表したことを受け、働き手として技能実習生を受け入れてきた農家からは歓迎の声があがった。 赤城山のふもとに広がる群馬県昭和村ではホウレンソウが旬の時期を迎え、農家は収穫作業に追われている。 「春から待っていたので、早く来てほしい。 新型コロナの第 6 波が来るとまたストップするので、その前に入国してほしい。」 ビニールハウス 60 棟で生産する昭和村の国際農業交流協議会で会長を務める戸部一夫さん (57) は話した。

人手不足を補うため、地元農家は外国人の技能実習生に頼ってきた。 戸部さん宅では春に来る予定だったベトナム人技能実習生 2 人がまだ来日していない。 今は家族 3 人と、中国人の技能実習生 3 人を中心に作業している。 「ホウレンソウは収穫から包装まですべて手作業なので、労働力に応じて生産するしかない。」 労働者が 2 人足りないと、年間約 1 千万円の減収になるという。

残業いとわず「欠かせない存在」

高原野菜の産地は、レタスなどの収穫が終わり、これからはホウレンソウや小松菜、こんにゃくなどの作業が中心だ。 農家によっては冬場は人手を必要としないところも出てくる。 多くは、春から秋にかけて技能実習生を必要としている。 だが労働力を確保しておくため、入国できる機会は逃したくない。 戸部さんは年間を通してホウレンソウを生産しており、今すぐにでも技能実習生に来てほしい。 中国人の実習生 3 人は 12 月までに帰国する予定で、ベトナム人 2 人が来てくれれば助かるという。

受け入れ先団体の JA 利根沼田によると、昨年から続く新型コロナの影響で 2 年続けて技能実習生の入国が遅れるなど実習生の確保に苦労してきた。 今年 1 月に 80 人が入国できたが、春に来る予定だった中国とベトナムの約 50 人がまだ入国していない。 農家は日本に滞在している外国人を雇ったり、労働力に応じた生産にしたりせざるをえなかった。 野菜の収穫作業は根気のいる手作業になるため、日本人のパートなどはなかなか定着しない。 「外国人の技能実習生は残業もいとわず働く人が多いため、産地を支えるのに欠かせない存在だ」という。

農家の負担増に懸念も

茨城県小美玉市の畜産業男性 (51) は、技能実習生の新規入国制限が緩和されると聞き、「ものすごくほっとした」と話す。 農場では夫婦と日本人のパート従業員 1 人、インドネシア人の実習生 4 人が働く。 今の制度では 3 年の技能実習を終えて、特定技能の在留資格を得ると転職が可能になる。 実習生の 1 人はすでに 3 年が経過しており、転職を考えていた。 だが今年 1 月から入国制限が続き、転職されると新たな実習生が入ってこない状況だった。 働き手の少ない農場にとっては 1 人でも欠けたら大きな痛手だ。

男性は転職を考えている実習生に事情を説明し、転職活動を待ってもらっていた。 「他の農家や業種に引き抜かれてしまった、という農家の話も聞いていたので不安だった。 新しい人が早く入ってきてくれるといいんだけど …。」

一方で、受け入れ先農家の負担を心配する声もあがる。 メロンやイチゴの産地として知られる茨城県鉾田市で実習生向けの講習や通訳支援などをしている企業「交流中心」の馬興栄(マーコウエイ)専務 (40) によれば、昨年 10 月から今年 1 月に受け入れ規制が緩和された際、入国直後 2 週間の隔離期間の滞在費は、農家がすべて負担しなければならなかった。 今回の負担額はどれくらいになるのか、不透明で、受け入れ先の農家からも、質問が相次いでいるという。 「ワクチン接種済みか否かなど、様々な条件によって対応が異なる。 当事者にわかりやすく説明してほしい。」

「本当に(技能実習生が)入ってくるのか?」 JA 茨城県中央会の担当者によると、県内の農家からはそんな声が聞こえてくるという。 「日本で入国制限が緩和されたとしても、出国側の制限もあるだろう。」 8 日以降、受け入れが始まる方針だが、実際に茨城県内の農家に実習生が入ってくるのは 12 月以降になるのではないかとみている。 (柳沼広幸、伊藤良渓、asahi = 11-5-21)

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ビジネス・技能実習生らの新規入国再開へ 首相周辺「業界から声」

政府は 5 日、海外のビジネス関係者や留学生、技能実習生の新規入国を 8 日から認める、と発表した。 新型コロナウイルス対策として、1 月から新規入国は原則停止してきたが、大幅に緩和する。 受け入れ先の企業や団体の管理が条件で、ワクチン接種済みなら自宅などでの待機期間も短縮する。 これまでは、人道上の理由や日本人の配偶者といった「特段の事情」がある場合を例外扱いしてきたが、制限緩和の対象を広げた。 ビジネス関係者は 3 カ月以下の短期滞在者だけでなく、転勤などで中長期滞在する人も含めた。 受け入れ先が活動計画書を提出することが条件だ。

未接種なら自宅などでの待機の期間は 14 日間。 ワクチン接種済みなら待機は 3 日間にとどめ、その後 7 日間は、会食やイベントの参加前に新型コロナ検査を受けさせるといった行動管理のみとする。 7 日間は国側が 1 日 1 回のビデオ通話で所在を確認し、接触相手を把握しにくい電車や路線バスでの移動は認めない。 こうした待機期間の短縮は、海外出張して帰国する日本人にも適用する。 ただ、一部の変異株流行国から入国する場合は対象外とする。

留学生や技能実習生は入国後 14 日間、自宅などでの待機を求める。 接種済みの場合は 10 日間に短縮する。 ワクチンは国内で承認されている米ファイザー製、米モデルナ製、英アストラゼネカ製が対象。

政権としては、緩和による往来再開を経済活性化につなげたい考えだ。 出入国在留管理庁によると、同庁から留学や技能実習といった在留資格の事前認定を受けながら、来日していない外国人は約 37 万人。 岸田文雄首相周辺は技能実習生らの入国緩和について「(業界からの)強い声があったから」と明かす。 入国者の枠は現在 1 日あたり 3,500 人だが、政府は今月下旬にも、5千人程度に広げることも検討している。 一方で、新たな変異株が広がるなどすれば、元に戻すこともあり得るという。

今回の緩和では、観光客は対象外。政府観光局によると、新型コロナ拡大前の 2019 年、日本を訪れた外国人観光客は約 2,825 万人おり、地域経済の牽引役でもある。 政府は外国人の団体観光客を試験的に受け入れ、年内をめどに行動管理のあり方を検証する。 団体客の受け入れ再開をまず検討する方針だ。 木原誠二官房副長官は 5 日の記者会見で「不断の見直しをしながら前向きに検討していく」と述べた。

また、政府は 5 日、国指定の宿泊施設での待機が求められる変異株の流行国の指定を見直した。 6 日間の待機が必要なのはペルーなど 3 カ国、3 日間は英国など 19 カ国・地域となった。 10 日間の対象国はない。 指定変更の適用は 8 日から。(佐藤達弥、小野太郎、asahi = 11-5-21)


技能実習生の監理団体に再勧告 内閣府「責任追及不足」

外国人技能実習生の受け入れ窓口「監理団体」の大手、国際人材育成機構(通称アイム・ジャパン、東京・中央)が、特定企業への利益供与について幹部の責任追及が不十分だったなどとして、内閣府から 2 度にわたり勧告を受けていたことが 27 日、内閣府への取材で分かった。 内閣府は「役員体制の抜本的な再構築」を求めた。

アイムは 21 年 9 月時点でインドネシア、ベトナムなどからの実習生約 7,500 人を受け持つ公益財団法人。 企業などへの「特別の利益供与」は公益法人認定法で禁じられているが、前会長の知人が経営する企業に物品を繰り返し発注し、19 年度までの 9 年間に 5 億 9 千万円を支払っていた。 内閣府は 7 月、徹底した原因究明や責任追及を行うよう勧告。 アイムは「利益供与は専ら前会長の意向によるもの」とし、前会長に退職金返還を求めるとともに現会長の報酬を 3 カ月間、3 割減額するなどの内容を報告した。

しかし、内閣府は報告書をまとめたアイムの処分検討委員会について、5 人中 4 人が理事・職員で、処分対象者である会長・専務理事らの影響が遮断されていないと問題視、22 年 1 月末までに報告書を再提出するよう求めた。 アイムの広報担当者は「再度の勧告を重く受け止めている。 内閣府に求められた内容を精査し、国民の信頼を一日も早く取り戻すべく改善に努める。」と話している。 (nikkei = 10-27-21)


諫早市で殺人未遂事件 ベトナム国籍の技能実習生が同じ寮の男性を包丁で切りつける

23 日夜、諫早市の高来町でベトナム人の技能実習生が同じ寮に住む男性を包丁で切りつけ、殺害しようとした殺人未遂の疑いで 24 日未明警察に緊急逮捕されました。 殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、諫早市高来町に住むベトナム国籍の技能実習生レー ヴァン アイン容疑者 (30) です。

警察によりますと、レー容疑者は、23 日午後 9 時半ごろ同じ寮に住むベトナム国籍の技能実習生の男性 (44) と寮の食堂で口論になり、ステンレス製の洋包丁を使って男性の頭を切りつけて殺害しようとしたということです。 被害者の男性は左側頭部から出血して、大村市内の病院に搬送されましたが意識はあり、いまのところ命に別条はないということです。

警察の調べに対しレー容疑者は切りつけたことは認めていますが、殺すつもりはなかったと一部容疑を否認しています。 レー容疑者がつとめていた会社の関係者は「社員の見本になるような、よく働く技能実習生だった。 どうしてこんなことをしたのか分からない。」と話しています。 警察は犯行の動機などを詳しく調べることにしています。 (テレビ長崎 = 10-24-21)


交通事故で中国人技能実習生死亡 「必要な安全教育行わず」雇い主の男性を書類送検 長野

(長野県)川上村で 8 月にトラックを運転していて乗用車と衝突した中国人技能実習生の男性が死亡した事故で、労働基準監督署は、雇用主の男性を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。 書類送検されたのは、川上村の農業の男性です。

この事故は、8 月 23 日の未明、川上村御所平の村道でトラックと乗用車が衝突し、トラックを運転していた中国人技能実習生の何力さん 24 歳が死亡したものです。 小諸労働基準監督署によりますと、農業の男性は何さんの雇用主で、1 月に何さんの業務に自動車の運転を追加しましたが、この際、必要な安全教育を行わなかった疑いが持たれています。 (SBC信越放送 = 10-19-21)


技能実習生、産後復帰わずか 2% 過去 3 年間、母子離散避け断念か

|技能実習適正化法施行後約 3 年間で、妊娠や出産で実習を中断した外国人技能実習生 637 人のうち、実習を再開できたのは 11 人で、わずか約 2% にとどまることが 17 日、厚生労働省の調査で分かった。 出産後も希望すれば実習を再開できることになっているが、多くは諦めて帰国したとみられる。 政府は少子高齢化に伴う労働力不足を補うため実習生の受け入れ拡大を進めているが、原則家族の帯同を認めていない。 実習に戻るには子どもを母国に残し、離れて暮らさざるを得ないのが実情で、このことが再開を断念する一因となっている可能性もある。 非人道的な制度の改善が急務だ。 (kyodo = 10-17-21)


外国人実習生に雇用指針 製造業など「搾取」批判に対応

味の素などメーカーや小売りの約 20 社が、外国人技能実習制度の運用を巡り、企業の適切な取り組みを定めた指針を策定した。 同制度を巡っては、過度な残業が横行するなど海外から「労働者搾取」の批判が根強かった。 外国人実習生が多く働く農業や水産業、食品工場などとの取引関係が強い企業向けに指針を定めることで、問題の解消につなげる狙いだ。 指針をまとめたのは、消費財メーカーや小売事業者などの国際団体、ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム (CGF) に加盟する日本企業のグループ。 味の素や日本コカ・コーラなど 22 社が参加した。

指針は「技能実習生・特定技能としての外国人労働者の責任ある雇用ガイドライン」で、外国人技能実習生の適切な受け入れや採用、雇用上の注意点など 16 項目を定めた。 仲介業者が適法か確認したり、実習生が来日する前に雇用条件について説明し同意を得るなどの内容を盛り込んだ。 指針の策定に関わった企業だけでなく、取引先などサプライチェーン(供給網)全体で指針を順守するよう働きかける。 特に農業や水産業、コンビニエンスストア向けの食品工場などの現場では、外国人技能実習生が多く働いている。

日本の外国人実習制度を巡っては、過度な長時間労働や賃金の低さなどがたびたび報告され、海外からの批判が根強い。 米国務省が毎年まとめる「人身売買報告書」では、日本の評価は 2020 年に従来の最高ランクから 1 段階引き下げられた。 外国人実習制度を「外国人労働者搾取のために悪用され続けている」と問題視。 実習生の強制労働の報告などに対し日本政府の対応が不十分だなどと批判した。 強制労働への対応について、日本企業の国際的な評価は厳しい。

英国の非政府組織 (NGO)、ノウ・ザ・チェーンは 20 年に食品や飲料関連企業の強制労働リスクへの対応を調査。 日本のイオン、サントリー、セブン & アイ・ホールディングスの 3 社は対応ポイントで世界平均を下回り、「最低限の対応しかしていない」と低評価だった。 企業の人権問題に詳しい蔵元左近弁護士は、強制労働について「取引先のチェックも含め、海外の投資家や消費者の目は厳しくなっている」と指摘する。 特に外国人技能実習制度について「日本企業にとって対応の優先度が極めて高い課題」とみる。

労働者の人権問題を放置すると企業ブランドが毀損されるだけでなく、資金調達に影響を及ぼす恐れもある。 今回の指針を、どのように現場に反映させ、取引先にも厳格な姿勢で臨むことができるのか。今後の具体的な動きが問われる。 (相模真記、渋谷江里子、nikkei = 10-16-21)


「わたしいま幸せです!」 職失った技能実習生が活躍!

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