ファッション AI で 1,000 万アイテムを解析 トレンド分析で在庫問題と対峙する
ニューロープが #CBK forecast を正式リリース

アフターコロナの「規模の拡大より収益性の向上」にウエイトを置くブランドやリテールに、意思決定の補助線を

株式会社ニューロープ

ニューロープは、ファッション AI によるトレンド分析データの提供を開始しました。 ブランドやリテールはこれを発注量・在庫量の適正化に活用できます。 人口減少トレンドに加えてコロナの影響で「規模拡大」が望みにくい中、商品を必要量だけ作って売り切り収益性を向上させる、新たな経営方針の一助となります。

コレクション、Instagram、EC など様々な情報ソースから収集した画像をファッション特化の画像認識 AI で解析

株式会社ニューロープ(本社 : 東京都渋谷区、代表取締役 : 酒井聡、以下ニューロープ)はファッションコレクション、Instagram、EC などから収集した画像を自社開発したファッション特化の画像認識 AI で解析。

カテゴリー、色、柄、シルエット、素材、丈感、襟のタイプなど約 600 種類のタグと顔認識による性別・年齢などの推定情報をかけ合わせて 1,000 万点以上のアイテムを分類しながら、2018 年より蓄積して『#CBK forecast (カブキフォーキャスト)』をβ版として提供してきました。

トレンド情報を時系列で分析することで「意思決定に使えるツール」に

トレンド情報を単純に集計したデータは意思決定に寄与しません。 ブラック・ホワイト・ベージュといった定番カラーや、ワイドパンツ・ボリューム袖といった明らかにトレンドとなっている要素が頻出していることをデータで示したところで「言わずもがな」です。

ただしこのデータを時系列に分析すると話が一変します。 ここ数年トレンドとなっている「ワイドパンツ」が 2018 年 1 月時点と比較して、2021 年 5 月時点で 2.7 倍にまで出現量が増えていることが明確です。

一方で、「スキニーパンツ」は 40% 強減少していることが見て取れます。 ワイドパンツがトレンドであることは自明ですが、「その量が昨年度と比較して 1.5 倍なのか 1.6 倍なのか」といった定量的な判定は人よりもデータが得意とする領域です。

トレンド情報はあくまでも人の意思決定を部分的にサポートするツール

AI やトレンド情報はすべてを立ちどころに解決するものではありません。 例えばコンセプトの策定やデザインディティールの作り込みなど、データ化が困難な「センス」に依存する領域は圧倒的に人間に分があります。 プロダクトのライフサイクルの中で、トレンド情報は主に定量的な側面で意思決定をサポートする立ち位置となります。

一例として、下記のような用途があります。

  • 目立たないものの、地味にトレンド入りしているアイテムを発見して MD に組み込む
  • 手元にある在庫を VMD や EC コンテンツ上でプッシュする
  • 現在は順調に売れているもののダウントレンドの兆候があるアイテムをチェックして、追加発注や翌シーズンの発注量を抑える
  • 発注を検討しているアイテムの適正発注量を、トレンドの推移を参考にして算出する

多くのブランドやリテールが目指す「アフターコロナ」を下支えする存在を目指す

人口減少の長期トレンドにコロナが追い打ちをかける格好で、従来の「出店を増やす」、「在庫を増やす」ことによる規模拡大ではなく、いかに過剰在庫やそれに伴う大幅な値引きを減らすか、いかに必要とされている商品を取り揃えて機会損失を減らしニーズを満たすか、そして収益性を向上させるかに目が向けられています。 これらの課題に取り組むためのツールを提供することをニューロープは目指しています。

この実現に向けた大きな一歩として『#CBK forecast』はアイテムの特徴ごとに出力された時系列のグラフ、年次・月次・日次などのトレンドの傾きなどをまとめたレポート、CSV ファイルといった様々な形式で「加工済みデータ」の提供を始めました。 既にブランド・商社など複数社に先行してご利用いただいています。 「ただでさえ忙しい現場」の業務を更に複雑にすることなく、手間なく適用できるよう、これからも継続的なアップデートを続けます。

データのサンプル等ご覧になりたい方は、お気軽にお問い合わせください。 (PR Times = 7-8-21)

● 会社概要
会社名 : 株式会社ニューロープ
所在地 : 東京都渋谷区桜丘町 14-1 都築学園ハッチェリー渋谷
代表者 : 代表取締役 酒井 聡
事業内容 : ファッション AI 『#CBK scnnr』の開発・販売、メディア事業
URL : https://www.newrope.biz/


ファッション業界の慣習で下請法違反 公取委が勧告

衣料品の値札や洗濯表示などタグ類の卸大手「東京吉岡(福井県坂井市)」が下請け業者に支払う代金から計約 2,015 万円を不当に減額したとして、公正取引委員会は 30 日、下請法違反で再発防止などを求める勧告を出したと発表した。 繊維ファッション業界の慣習に基づいて減額していたという。

公取委によると、問題となったのは、衣料品のタグ類の製造を委託した 24 業者に対する同社の代金の支払い方法。 手形ではなく現金で支払ったにもかかわらず、手形の割引相当分を不当に減額していた。 減額分は昨年末に支払った。 こうした減額は「歩引(ぶび)き」と呼ばれる慣習だが、下請法で禁じられた減額行為に当たるとして、業界団体なども注意喚起をしている。 下請け業者と合意があっても違反になる。 同社は「真摯に受け止め、法令順守及び再発防止に努める」とコメントを出した。 東京吉岡は 1954 年創業。 東京都台東区に事業本部がある。 (田中恭太、asahi = 6-30-21)


5 月のスーパー売上高 2.9% 増 家電や衣料品が牽引

日本チェーンストア協会が 24 日発表した 5 月の全国スーパー売上高は、既存店ベースで前年同月比 2.9% 増となり、3 カ月連続で前年実績を上回った。 新型コロナウイルスの流行で大幅に落ち込んだ前年の反動で家電製品や衣料品が伸びた。 一方、全国スーパーマーケット協会など業界 3 団体が 22 日に発表した 5 月の全国食品スーパー売上高は、既存店ベースで前年同月比 3.0% 減と 4 カ月連続で前年割れとなったが、マイナス幅は縮小した。 (sankei = 6-24-21)


「無印」衣料、半分が男女兼用
多様な消費者に配慮 22 年春に 250 品目、在庫増加も抑制

「無印良品」を展開する良品計画が来春にも衣料品の半分を男女兼用にする。 兼用品で多様性への配慮を求める消費者の意識の高まりに対応するとともに、商品数を絞り込んで効率化にもつなげる。 LGBT (性的少数者)など多様な消費者に配慮した取り組みは欧米企業が先行するが、国内市場でもアパレル各社が動き始めている。

良品計画は今年の春夏の商品で、パーカなどで男女兼用品を 25 商品そろえた。 今秋冬ではさらにコートやカットソーを追加して全商品の最大 3 割程度を兼用品にし、2022 年春には靴下などを除く衣料品の半数の 250 品目程度を兼用品とする方針だ。 「男女別の衣料品という固定概念を壊すことは、(良品計画の)ブランドの方向性と合致する(同社)」としている。

シンプルなデザインが特徴の同社の衣料品は男女兼用を増やしても、従来の顧客層のニーズに応えられると見込む。 店では兼用品の売り場を 1 カ所にまとめ、心と体の性が異なる消費者も利用しやすくする。 店員も男女兼用品を身につける。 中国や欧米など海外の店舗にも同様の売り場を設ける方針だ。 良品計画の担当者は「今春の発売以降、売れ行きが好調なため早期に商品数を増やしたい」と話す。

現在、男性向けと女性向けは類似の商品でも性別ごとに寸法が異なる。 今春夏シーズンで用意した兼用品はゆったりと着られるデザインにし、男性用と女性用でボタンの位置が異なるシャツも、ひもで留める形にして商品の性差をなくした。 店頭で扱う多くの衣料品は「XS」など 5 つのサイズがあるが、兼用品では小さめの S、M、大きめのL という 3 サイズに絞る。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同社は衣料品を中心に 20 年 5 月時点で 400 億円弱の過剰在庫を抱えた。 兼用品ではサイズを絞ったうえで対象顧客層が広がるため販売機会が増える。 消費者に受け入れられれば、在庫となるリスクを抑えられると見込む。 多様性に配慮した取り組みは欧米のアパレル企業で先行している。

アパレル世界最大手のインディテックス(スペイン)は主力ブランド「ZARA (ザラ)」で 16 年に男女兼用品を取りそろえた。 へネス・アンド・マウリッツ(H & M、スウェーデン)も 19 年初に新興ブランドと組んで靴やアウターをそろえた。 日本でもオンワードホールディングス (HD) が今年 4 月に子会社を通じて男女兼用品の専門ブランド「IIQUAL (イーコール)」を立ち上げた。 紳士服大手の青山商事も 4 月に男女兼用品の取り扱いを始めるなど動きが出始めた。

電通傘下の研究機関、「電通ダイバーシティ・ラボ」が 20 年 12 月、日本の消費者約 6 万人を対象にした調査によると LGBT などに該当すると答えたのは約 9% だった。 これは左利きや血液型が AB 型の人とほぼ同じ割合だ。 LGBT 層などによる国内消費市場を約 5 兆 4,000 億円と推測しており、百貨店やホームセンターの市場規模(約 4 兆円)より大きい。 衣料品や靴などファッション関連だけでも LGBT 層の消費は 2,800 億円にのぼる。

一方で社会の対応は遅れ、LGBT 総合研究所(東京・港)の 19 年の調査では LGBT 層の約半分が「誤解や偏見、理解の促進に対して企業の対応が必要」と回答した。 企業が商品で多様性に配慮することは、社会的な機運が高まる中で持続的な成長に必要な条件となりつつある。 ただ、先行する欧米企業も兼用商品の扱いは期間限定品などにとどまる。 良品計画のような大手企業が通常のブランドで男女兼用品の割合を半分に増やす取り組みは珍しく、注目を集めそうだ。 (佐伯太朗、nikkei = 6-7-21)


広がる「服の回収・再利用」 高島屋もスタート

不要になった服を回収して再利用する取り組みが加速している。 化学繊維や水などを多く使うファッション業界は、環境負荷が高いと言われてきた。 循環型に切り替えようと、「服から服をつくる」ビジネスを模索する動きが相次ぐ。 高島屋は 2 日から、再生ポリエステル製の服などを販売して、不要になったら店頭で回収して素材を再利用する取り組みを始めた。

「デパート デ ループ」と名づけた企画で、ポリエステルの再生技術を持つ企業、日本環境設計と協業。 回収した服は同社の工場に運び、繊維原料として再利用できる状態にして、メーカーに次の製品づくりに活用してもらう。 T シャツ、婦人服(ワンピース、カットソー)、紳士服(ジャケット、スーツ)、リビング用品(エプロン)など約 60 アイテムを店とウェブで販売する。 コストを抑えるように努め、多くは既存商品と同程度の価格設定になったという。 新宿と大阪の「ループ」は期間限定の出店だが、その後は主要店などの各売り場で同様に販売・回収する。

ポリエステルは、丈夫で手触りも良く、速乾性に優れる合成繊維だ。 ただ、石油由来のため、環境負荷の高さが課題とされている。 高島屋のバイヤー、橋祐介さんは「環境問題の当事者だと認識している。 売りっぱなしではなく、持続可能なビジネスモデルを進めたい。 今後、あらゆるブランドに製品化を働きかける。」と話す。

同様の取り組みで一歩先をゆくのが、カジュアル衣料のユニクロだ。 2006 年から、全商品の店頭回収と再利用を始めた。 状態の良い古着が多く回収されており、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) を通じて難民キャンプなどに送付。 ジーユーと合わせて、20 年 8 月までに 75 の国・地域に計 4,111 万点を送った。 20 年からは、古着から取り出したダウンやフェザーを再利用した新商品も展開する。 広報担当者は「繊維の再利用はハードルが高いが、技術開発も進んでおり、今後も循環型の商品を増やしたい」としている。 (橋田正城、asahi = 6-2-21)


4 月スーパー売上高、6% 増 外出自粛緩み、衣料品回復

日本チェーンストア協会が 26 日発表した 4 月の全国スーパー売上高は 1 兆 815 億円で、既存店ベースでは前年同月比 6.0% 増だった。 2 カ月連続のプラス。 新型コロナウイルス流行に伴う最初の緊急事態宣言が発令された昨年 4 月に比べて外出自粛の傾向が緩み、衣料品が急回復した。

部門別では、衣料品が 74.3% 増。 5 割超落ち込んだ昨年 4 月からは持ち直したが、例年の 7 - 8 割程度の水準にとどまった。 紳士・婦人ともにスーツやフォーマルウエアの需要がやや戻ったほか、臨時休校で低迷した子ども服や学校関連商品も売れた。 住居関連品は 16.2% 増と、ほぼ例年並みとなった。 食料品は 3.2% 減。 ただ、「巣ごもり消費」の傾向が続き、コロナ禍前に比べて高い水準を維持している。 同協会は「食料品が好調な一方で、外出関連商品は厳しい状況が続く」との見方を示した。 (jiji = 5-26-21)


衣料品がウェアラブルデバイスに!?
MIT が触覚を検知する特殊繊維を開発

呼吸や血中酸素濃度をモニタリングするウェアラブルデバイスの開発が進んでいるが、身体活動やスポーツをするときに身体がどのような動きをするのかを検出できるものはあるだろうか。 さらに、ソックスやシャツなどの形で着用して、そこからのフィードバックによってユーザーの動きを改善させるようなものはあるだろうか。 こうした課題に、米マサチューセッツ工科大学コンピュータ科学・人工知能研究所の研究グループが取り組んだ。 つまり、特殊な繊維により触覚から人の動きを検知することができ、座ったり歩いたり、なにかをしたりと人が取る姿勢が特定できる、そんなウェアなのである。

研究グループはトレーニングやリハビリ向けのウェアの開発を目指しているそうで、支援施設に住む人の健康状態を受動的にモニタリングしたり、転倒や意識消失を見極めることも可能だという。 一般的な繊維のなかにユーザーの圧力を感知するカスタムメイドの機能性繊維を少し混ぜることで、ウェアは触覚デバイスとして機能するそうで、研究ではソックスや手袋、ベストまでさまざまなプロトタイプを開発。

研究グループによると、その利点は、従来のウェアラブルデバイスとちがって、市販されている大量生産の衣料品にも組み込むことができることにある。 機械編みによって柔軟で伸縮性や通気性があり、さまざまな形をもつ触覚デバイスになり得るとしている。 センサーを使ってユーザーの姿勢を分析して改善ポイントを提案したり、アスリートの姿勢を記録してビギナーがそれを学べるようにしたり、あるいは将来的には、ウェアラブルデバイスのデータからさまざまな行動をロボットに学習させたりと、幅広い活用方法を見込んでいる。 (Axis = 5-18-21)


都内の百貨店、衣料品販売を続々再開 夏物の要望も多く

三越伊勢丹ホールディングスは 14 日、都内 4 店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座、伊勢丹立川店)で、15 日から衣料品の販売を再開すると発表した。 「緊急事態宣言の長期化や季節の移り変わりによって、生活必需品の内容や種類が変化してきたため」としている。 夏物の買い替えを希望する顧客からの要望も多かったという。 また、松屋銀座も 15 日から、大丸東京店は 16 日から衣料品販売を再開する。 松屋の担当者は「衣料品が買えると思って来店するお客様が多い。 店内は密にならないと判断しており、再開を決めた。」と話している。 高島屋も 12 日から、都内各店で衣料品の販売を再開している。 (橋田正城、asahi = 5-14-21)


不要な服、素材から素材へと循環 アーバンリサーチ

廃棄される衣料は、アパレル業界の長年の課題だ。 大量生産大量消費のファストファッションの台頭もある。 最近は、環境影響や生産者の労働環境に配慮した「エシカル(倫理的)」な商品への指向が強まり、業界体質も変わりつつあるが、不良品や、汚れて売れない商品はどうしても出る。 アパレル大手アーバンリサーチ(本社・大阪市)はこの課題の解決に取り組み、廃棄物が出ない循環を作ろうとしている。

麻や綿、ポリエステルなど様々な素材が使われる衣料は、再生リサイクルには素材ごとに分ける必要があり、進んでこなかった。 だが京都工芸繊維大学が中心のプロジェクト「カラーリサイクルネットワーク」が、衣料を色で分別すれば素材の種類によらず再び素材にできる技術を開発した。 その技術を使い、廃棄されるはずの衣料をシート状の素材に再生し、多用途バッグやスマートフォンケースにしている。 2018 年に販売を始めた雑貨ブランド「commpost (コンポスト)」だ。 このブランドの雑貨は、不要になったら回収して再びシート状素材に再生でき、commpost 製品になる。 「ごみへの出口」がなくなるのだ。

縫製も、大阪府内の地域雇用や障がい者雇用につなげている。 地域づくりや就労を支援する大阪府箕面市の NPO 法人「暮らしづくりネットワーク北芝」に委託するほか、障がい者雇用を推進するための特例子会社 UR テラスの社員が大阪市の店舗内に設けた工房で手がける。 4 月から、アーバンリサーチで購入し不要になった衣料の回収も、大阪府内の一部店舗で始めた。 アーバンリサーチ執行役員の萩原直樹さんは「不要になってもごみへ出さなければ、いつまでも市場で回し続けられる。 そんな形を目指しています。」と言う。 (神田明美、asahi = 5-10-21)


アディダスとナイキ、中国ウェブ売上高急減 - ウイグル巡る不買運動で

中国で傷つくブランド

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ファッションの環境負荷減らせ 廃棄、CO2 ゼロに 官民で取り組み

私たちが毎日身に着けるさまざまな衣服は、原料調達から製造、輸送、廃棄に至るまで多量の二酸化炭素 (CO2) を排出し、水を消費する。 このためファッション産業は石油産業に次ぎ、世界で 2 番目の環境汚染要因と指摘される。 こうした課題に対応しようと、日本の業界が企業連合を設立。 環境省も協力し、循環利用による衣服の廃棄ゼロや、2050 年までの CO2 排出ゼロを目指した取り組みを進める。

環境省の調査によると、20 年に国内に供給された衣類は 81.9 万トン。 一方、家庭や企業が手放す衣服や制服は 78.7 万トンで、うち 51.2 万トンは廃棄され、再使用されたのは 15.4 万トン、リサイクルされたのは 12.3 万トンにとどまった。 国内に供給される衣類の製造から廃棄までに排出される CO2 は 9,500 万トンに上り、世界のファッション産業の排出量の 4.5% に当たる。 綿花栽培や染色などに使う水も 83.8 億立方メートルと、世界のファッション産業が消費する水の 9.0% を占める。 日本の衣類のほとんどは海外から輸入されるため、わが国のファッション産業は他国の環境負荷の上に成り立っていると言える。

「海外の多くの資源と環境負荷によって私たちのファッションが支えられている。 『大量生産・大量消費・大量廃棄』から『適量生産・適量購入・循環利用』への転換が重要だ。」 小泉進次郎環境相は 4 月 21 日、アシックスやアダストリア、伊藤忠商事など国内アパレル、繊維企業 11 社の代表と開いたオンライン意見交換会で強調した。 これらの企業などは夏頃にも「ファッションと環境に関する企業コンソーシアム(仮称)」を設立。 再使用やリサイクルを進めるため共同で古着を回収する仕組みをつくるほか、衣服の生産、販売の過程で出される CO2 を「見える化」する統一的な手法を検討。 国への政策提言も行う。

環境省も他省庁と協力して、企業連合の取り組みを支援。 古着の回収やリサイクル、衣服の生産販売に伴う CO2 排出量の算出などに関するモデル事業を検討する。 担当者は「服に関する取り組みを通じて、環境や地球温暖化問題について考えるきっかけとしてほしい」と呼び掛けている。 (jiji = 5-3-21)


アマゾンが衣料品販売で「全米トップシェア」の衝撃

アマゾンの衣料販売部門

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中国のファッションブランドがなぜ銀座に?

中国発のファッションブランドの店舗が銀座のデパートにオープンしました。 聞き慣れない中国のブランドが、なぜ銀座に? 取材を進めると、日本のアパレル業界や繊維産業の抱える課題が見えてきました。

中国の "シンプルファッション"

中国南部の広州で 2013 年に創業したファッションブランド「DAN NONG (ダンノン・単農)」。 シンプルなデザインが特徴で、柄はほとんど使わず、白や黒、グレーなど単色が基本です。 中国では、深センに集まる IT 企業の若手エンジニアらを中心に支持され、現在は北京や上海など中国国内に 100 店舗以上を展開しています。

東京・南青山に海外初の店舗

去年、多くのブランドショップが集まる東京・南青山に海外初の店舗を出店。 そしてこの 2 月には銀座の一等地とも言える松屋銀座 5 階の紳士服フロアに進出しました。 「中国にはブランド好き、派手好きというイメージがあったんですが、こういうシンプルなものもあるんだなと、中国のブランドのイメージが大きく変わりました。 洗練された感じなど、私どものお客様にきっと評価をいただけるんじゃないかと強く思いました。」

なぜ日本に出店?

ダンノンはなぜ、日本を海外初出店の場所として選んだのか。 その理由は、日本文化が好きだというオーナーの思いに加えて、世界に打って出るには、品質にこだわる日本人に評価されることが重要だと考えたからです。 このブランドは生地など素材の 5 割が日本製です。 現在、繊維メーカーなど日本の企業およそ 30 社と取り引きをしています。 名古屋の会社が製造している、横糸に和紙を使っている生地や、静岡県にある企業が製造している波打っているようなデザインの生地など、日本のメーカーが作り出す個性的な素材が採用されているのです。

「私たちのブランドの主な顧客は文化人やアーティストです。 彼らはシンプルでありながらも上質な生活への追求に共感を持っています。 ですから、われわれのブランドにとって最も重要なことは、上質な生地を選ぶこと。 その点で日本には、100 年の歴史をもつ伝統的な工房で作られた手作りの生地だけでなく、テクノロジーによって開発された新しい素材もあり、日本は上質の生地を作る重要な生産地だと考えています。」

繊維メーカーの中国進出の足がかりに?

日本の繊維産業は、このところ厳しい時代が続き、20 年前に比べて出荷額は半分以下に減っています。 その理由は、重要な取引先である国内のアパレルの売り上げが落ち込んでいるだけでなく、多くの企業がアジアなどコストの低い海外に縫製工場を設けるようになったことがあります。 生産拠点の海外移転で原材料も現地で調達することになり、国産の生地の需要が落ち込んでいったのです。

こうした状況にあって、ダンノンのような中国ブランドの進出を、大きなチャンスと捉える繊維メーカーもあります。 ポリエステルの生地の製造を得意としている石川県の繊維メーカー「丸井織物」は、3 年前、ダンノンとの取り引きを始めました。 これまでは、製品のほとんどを日本のメーカーに卸してきましたが、日本の繊維市場に危機感を抱いてきました。 丸井織物は、5 年前に自社で販売する独自ブランドを立ち上げました。 見た目は綿のような自然の風合いですが、実は素材はポリエステル。 しわになりにくく、乾きやすいといった着心地のよさが特徴で、これまで培ってきた技術を結集したこだわりの生地だと言います。

この生地がダンノンの目にとまり、シャツなどの素材として採用されました。 取り引きは年々増え、当初の 5 倍以上に拡大しています。 「中国市場を見てますと、都市部の若い人のファッションもセンスが急激にあがっているように感じています。 中国との商売は日本と規模が 1 ケタ違うほど大きいので非常にいいマーケットで、いい出会いができたと思っています。 ここからのスタートということで中国にもっと展開していきたい。」 日本のファッションブランドの中心地に進出した中国のアパレルブランドと、進出に期待する日本の繊維メーカー。 厳しい状況に直面する国内のファッション産業にとって、新しい風となるかもしれません。 (茂木里美、NHK = 4-21-21)


びっくり、マネキンが店員 無人古着店、客も「いいね」

首都圏を中心に、無人の古着店が続々と誕生している。 店側にとっては人件費を削減でき、客側にとっては店員に気を使わずに自分のペースで服を選べる利点がある。 新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、「非接触」を推奨する動きも出店の後押しになっているようだ。(山口啓太)

西武新宿線・新所沢駅(埼玉県所沢市)から徒歩 3 分。 シャッターが下りた店も多い商店街に、ピンク色の看板を掲げた古着店「秘密のさくらちゃん」はある。 店頭で出迎えるのは帽子やコートをまとったマネキンだ。 「お仕事中」と記したマスクで顔を覆っている。 約 100 平方メートルの店内に店員は誰もいない。 「人がいるみたいでびっくりするでしょ」と店を運営する東京都立川市の岡本紀子さん (49) は笑う。

約 1 千種類ある古着の値段は、100 - 1 千円。 客はハンガーに付いたタグで値段を確認し、代金を券売機に入れて購入する。 近所への買い物のついでに初めて立ち寄ったという男性 (68) は「従業員がいないから『買わなきゃ』というプレッシャーもない。 ネット販売と違って、服を目で見て確認できるのもいい。」 岡本さんが店をオープンさせたのは今年 1 月。 多くは廃棄されることになる古着を売り、環境に貢献できればとかねて思っていた。 人件費や輸送費が節約できないか考えた末にたどりついたのが「無人」だった。

営業中は店内に 5 台ある防犯カメラを岡本さんと夫、盛岡市在住の知人女性で分担して、店内の様子を確認し、スピーカー越しに応対する。 客が入店したらセンサーが反応し、スマホに通知される。「コロナ禍で非対面が重視されたことが大きかった。 遠隔で対応するので、従業員が状況に合わせて無理なく働けます。」と岡本さんは言う。 無人の古着店は各地にじわりと広がっている。

「夜中に気軽に入れて最高」

東京都中野区の商店街の一角に昨年 8 月にオープンした「ムジンノフクヤ」。 25 平方メートルほどの店内には、海外から輸入した 2 千 - 4 千円の 500 着近くが所狭しと並ぶ。 客はハンガーの色で値段を見分け、券売機で購入する。 万引き対策で 3 台の防犯カメラも備えている。 これまでに 2 度、盗難に遭ったが、いずれも犯人の特定に至ったという。

客層の 6 割ほどが 20 代後半 - 30 代の若者だ。 休日の来店客は 1 日 100 人を超える。 店内に置いた意見交換用のノートには「夜中に気軽に入れて最高」、「無人すごいですね!」などと好意的な反応が並ぶ。 運営会社の平野泰敬代表 (35) は「古着屋は小さい店が多く、店員との距離が近いが、接客を望まないお客さんも多い。 目立つ場所にはないけれど、最近は SNS やネットを見て来てくれる人も多い。」 年内には 2 店舗目をオープンさせる予定だ。

古着の流通増加?

新型コロナの影響で、流通する古着自体が増えたとの指摘もある。 洋服やブランド品の買い取り・販売店「エコスタイル」を運営するスタンディングポイント(東京都港区)が、昨年 4 月の緊急事態宣言中に何をしていたか、来店客にアンケートした結果、「片付け・清掃」が 37.5% で最多で、2 位の「動画視聴」 16.4% を大きく引き離していた。 エコスタイルが展開する非対面で古着などを回収する「宅配買い取りサービス」の申込件数は、前年同期比で昨年 4 - 6 月中は平均約 1.5 倍、同 12 月は約 2 倍だった。 担当者は「在宅時の片付けの時間が伸びたことから古着の回収の需要が高まり、出回る古着も増えた」とみる。

無人の古着店は今後、さらに広がるのだろうか。 マーケティングが専門の立教大の有馬賢治教授は「メルカリなど消費者間で取引するサービスなどが登場し、安価な中古品の売買に人々が慣れ、若い世代を中心に古着に対する抵抗感が薄れているのではないか」と分析。 その上で、「非対面で感染を予防しつつ、実際に商品を見て買い物ができるという点で、『無人』への期待が高まっている。 店も柔軟な働き方や人手不足に対応できる利点があり、古着に限らず、今後はさまざまなジャンルで無人店が増えていく可能性がある。」と予測する。 (asahi = 4-19-21)


無印良品、春夏物の衣料品や雑貨を値下げ … 「化粧液」は 300 円安く

生活雑貨「無印良品」を展開する良品計画は 8 日、春夏物の衣料品や生活雑貨約 100 品目を最大で 1,000 円値下げすると発表した。 昨年 10 月には、秋冬物の衣料品を値下げしたばかり。コロナ禍で強まる消費者の節約志向に応える。 例えば、「日焼けを防ぐジップアップパーカー」は 2,990 円から 1,990 円に、「導入化粧液」(大容量)は 2,290 円が 1,990 円になる。 一部の商品は 3 月から値下げしている。 良品計画は「消費者に納得して買ってもらえる価格になった」としている。 (yomiuri = 4-8-21)


スパイバー、「人工クモ糸」タイで量産 衣料需要開拓

【バンコク = 岸本まりみ、東京 = 仲井成志】 慶応義塾大学発のスタートアップ企業、スパイバー(山形県鶴岡市)がタイで、クモの糸にヒントを得た全く新しい繊維の原料量産に乗り出す。 軽くて丈夫なうえ、石油由来でないため生分解できるのが特徴で、アパレルや自動車産業の需要を開拓する。 構想から 14 年で量産にこぎ着け、2023 年以降に米国でも生産を始める計画だ。 「人工クモ糸」は繊維革命を実現できるのか。

「社会的要請に応え、持続可能な素材の選択肢を広げたい。」 3 月 29 日、タイ中部ラヨーン県。 工場の開所式にオンラインで参加した関山和秀代表は力を込めた。 生産能力は年間数百トンで、日本にある試験的な工場の 100 倍の能力を持つ。 21 年終盤のフル稼働を予定しており「夢の素材」は本格的な離陸期を迎える。 07 年に産声を上げたスパイバーは日本で数少ないユニコーン(企業価値が 10 億ドル = 約 1,100 億円以上の未上場企業)だ。 量産を始めるのは人工たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」の原料。 この素材はグルコースなど植物由来の糖類を微生物に与え、発酵させて作る。 軽量で、強靱さや柔軟性を備える循環型の素材として注目を集めている。

タイを初の量産拠点に選んだのは、微生物に与えるバイオマスを安価に調達できることが大きい。人工たんぱく質を 1 キログラム当たり 100 ドル(約 1 万 1,000 円)以下で製造することは困難とされたが、タイ工場が稼働すれば達成が可能という。 「サトウキビ由来の糖は日本の約半分、キャッサバ由来は 2 - 3 割安く手に入る(タイ子会社の森田啓介社長)」ためだ。 まずはアパレル業界をターゲットに据える。 米国発のブランド「ザ・ノース・フェイス」を展開するゴールドウイン向けなどが主体になる。 ゴールドウインは 19 - 20 年にブリュード・プロテインを採用した T シャツやセーターなどを数量限定で発売済みだが、やはり割高だった。 タイ工場が立ち上がったことで、今後は幅広いブランドに採用が広がる可能性がある。

次に照準を定めるのが自動車業界だ。 関連メーカーが集中していることもタイに拠点を構えた理由の一つ。 すでにトヨタ紡織やトヨタ自動車系の有力部品メーカーである小島プレス工業(愛知県豊田市)などがスパイバーに出資する。 「中・長期的にはシートなど内装部品への利用を想定している。(森田氏)」 各社が車両の軽量化による燃費向上を競う中、軽くて丈夫な新素材は魅力だ。

賃金上昇に伴い経済成長が伸び悩む「中所得国のわな」からの脱却を目指すタイ政府も歓迎する。 「スパイバーには(法人税などの)長期の減税を提供する。」 タイ投資委員会 (BOI) のドゥアンチャイ長官は説明する。 商用化に時間がかかる技術系のスタートアップは資金調達に苦しむケースが大半だが、スパイバーはあの手この手を繰り出している。 20 年末には、知的財産をはじめ無形・有形の資産の価値を証券化する独自の手法で、国内の機関投資家などから 250 億円を調達した。 「新規株式公開 (IPO) 以外の有力な手段だ。(関山代表)」 国内初の試みとみられ、スタートアップの調達額としては異例の規模となった。

スパイバーの技術には世界のアパレルブランドなどが熱い視線を浴びせるものの、最大の課題はやはり収益化だ。 19 年 12 月期は約 50 億円の最終赤字だった。 ウールなどほかの製品群の拡販も進めることで、「タイ工場の稼働後、早いタイミングで黒字化を果たしたい。」 関山代表は意気込む。 事業価値の証券化で調達した大規模な資金は、米国で 23 年以降の稼働を目指す量産工場に充てる。 「技術力を武器に新製品などを開発するスタートアップには、量産できるかどうかという『死の谷』が待ち構える。(関山代表)」 まずは第 1 関門をクリアした形のスパイバーだが、次なる課題はタイでの安定生産だ。

化学繊維のように石油を使わず、毛皮のように動物の犠牲も必要ない。 ESG (環境・社会・企業統治)投資の流れが強まる中、世界中から問い合わせは絶えないが、タイはマザープラントとして世界各地に構想する量産工場への知識の移転など重要な役割を担う。 「ようやくスタートラインに立てた。 まずはアパレル、そして自動車分野に広がれば、地球環境に大きなインパクトを与えられる。」 関山代表が掲げる未来図の実現に向け、スパイバーの挑戦は緒に就いたばかりだ。 スパイバー・タイランドの森田啓介社長は中部ラヨーン県で日本経済新聞などの取材に応じた。 一問一答は以下の通り。

スパイバー・タイランドの 森田啓介社長 (3 月 29 日、中部ラヨーン県)

- - たんぱく質素材の特徴は。

「たんぱく質は 20 種類のアミノ酸の並びによって、多彩な性質を生み出すことができる『デザイナブル・マテリアル』だ。 これまで実用化されてこなかったのは合成が難しいからだ。 事業を始めたときにはたった 20mg のたんぱく質をつくるのに数カ月かかった。」 「できたのはわずか 2cm の不均一な繊維で、だれもがすぐに会社がつぶれると思った。 独自のバイオ技術を組み合わせることで、飛躍的にたんぱく質の生産性を高め、実用化への道を切り開いた。 コストはポリエステルやナイロンより高いものの、化学繊維をすべて代替しようというわけではない。 求められる分野に提供していきたい。」

- - どんな用途を想定しているのか。

「メインはアパレル、中長期的には自動車分野を想定している。 そのほか、将来は化粧品や医療分野などにも供給していきたいと考えている。」

- - タイの大学との協力も進めている。

「タイ投資委員会 (BOI) から学術的な協力も期待された。 スパイバーの本社とタイのマヒドン大学で抗生物質に関する共同研究を実施している。」

- - 初の量産拠点であるタイ工場に期待される役割は。

「工場の完成はこれから始まるたんぱく質素材の時代の幕開けを意味する。 目下の目標は安定生産だ。 セラミック、鉄、プラスチックに続く新たな基幹産業として、たんぱく質が社会の発展に貢献できるよう努力したい。」 (岸本まりみ・バンコク、nikkei = 4-1-21)


新興アパレル、店を倍増 創業者、愛用ブランドに幻滅

アパレル大手の大量閉店が続くなか、空いた百貨店内を中心に出店を急ぐ新興アパレルがある。 創業 10 年の「kay me (ケイミー)」だ。 業界で長く一般的だったビジネスモデルとは正反対のやり方で、ファンを増やしている。 大量の商品を仕入れ、百貨店を中心に「いい値段」で販売。 残りはセールで処分する。 そんなビジネスモデルは、国内市場が伸びた 1980 年代まではうまく回った。 しかし、働き手世代が減り始めた 90 年代後半からは悪循環が目立つ。 大量の在庫をセールでさばき、消費者の不信を招いた。

東京・銀座に本社がある「kay me」は、そんなビジネスモデルの逆をいく。 シーズン前に顧客の好みをオンラインで徹底的に調べ、つくる商品と数を決める。 在庫のセールは一切せず、「衣料廃棄ゼロ」もめざす。 代表の毛見純子さんが創業したきっかけの一つは、好きだったブランド服への幻滅だった。 使われる素材がいつの間にか安物に変わり、売れ残りをセールでさばくようになっていた。 ビジネスの目的を見失っている、と感じた。 毛見さんはかつて、通信教育の大手や外資系コンサルティング会社で働いていた。 日々忙しく、服をクリーニングに出す時間がなかったが、自宅で洗えて仕事に向いた服は、見つからなかった。

それならばと、自分で手がけることにした。 「kay me」の服は、窮屈になりがちなジャケットやワンピースを、ストレッチのきく、ニット素材でつくる。 洗濯機で丸洗いできて、アイロンがけは不要。 シルエットや華やかな色使いにもこだわる。 その根拠にするのは、シーズン前のオンライン調査の結果だ。 会員は年々増えて 2 万 5 千人ほどになった。 企業の管理職や弁護士、教師が多い。 愛用する東京都港区の経営者 (42) は「きちんと見えて華やか。 座っても、しわにならない。」と話す。

アパレル大手を窮地に追い込んだコロナ禍も、苦にしていない。 売上高に占めるネット通販の比率は、すでに 4 割。 着こなしの相談もどんな服がいいかの提案も、オンラインでこなす。 試着を自宅でしてみたいという人向けに、服を自宅に送るサービスも展開している。 送る上限は税抜き 30 万円分だ。 リアルな店も一気に増やした。 最初の緊急事態宣言が出た昨春までは、銀座や大阪・梅田などに 5 店だったが、百貨店を中心に 11 店まで増やした。 名古屋栄三越や阪神梅田本店、福岡三越といった場所だ。

オンラインでは難しい実体験を顧客に提供するのに「百貨店内は格好の場所」と、毛見さん。 駅が近く、コロナへの対策もとられているからだ。 多くのアパレル大手が改革に乗り出しつつはある。 「ナノ・ユニバース」を展開する TSI ホールディングスは、仕入れを抑え、一部ブランドのセール廃止に踏み出した。 「供給量を適正にし、セールはできるだけ避ける。 新鮮な商品を、新鮮なうちに売っていきたい。」と下地毅社長は話す。 デジタル技術をまとった新興勢力が台頭する一方、ユニクロのようなファストファッションは価格も武器に好調を続けている。 どちらでもないアパレルは、何を強みにするのかを問われている。 (佐藤亜季、asahi = 3-24-21)