アディダスとナイキ、中国ウェブ売上高急減 - ウイグル巡る不買運動で
ドイツのアディダスと米ナイキの中国オンライン売上高が 4 月に急減した。 新疆ウイグル自治区のイスラム教徒ウイグル族の扱いに抗議する立場を明確にした国際的ブランドに対し、不買運動が広がったのが背景にある。 モーニングスターの分析によると、アリババ・グループ・ホールディングが運営する電子商取引プラットフォーム、天猫(T モール)内ストアでの 4 月の売上高は、アディダスが前年比で 78% 減、ナイキが 59% 減。 「ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリングもボイコット対象となり、20% を超える売り上げ減となった。 中国本土の消費者は、安踏体育用品(アンタ・スポーツ・プロダクツ)や李寧といった国内スポーツウエア企業を選好するようになった。 これら企業が原料を調達する新疆では、少数民族を強制労働させている疑いが浮上している。 モーニングスターによると、李寧の高級ファッション部門、中国李寧は T モールでの 4 月の売上高が 9 倍余りに増加し、国産ブランド支持傾向の恩恵を最も大きく受けた。 モーニングスターの株式アナリスト、イワン・スー氏(香港在勤)は、この中国消費者の傾向は「一時的現象にとどまる可能性が高い」と指摘。 「ナイキとアディダスに対する不買運動は、国営メディアから新たな攻撃が出ていないので、今後数カ月で衰えるのではないか」と話した。 (Jinshan Hong、Bloomberg = 5-7-21) 「H & M」不買、ベトナムでも HP の地図修正に反発 中国新疆ウイグル自治区の人権状況をめぐる問題に絡んで、新疆産の綿花を使わないと発表したスウェーデンの衣料品大手「H & M」に対する不買運動の呼びかけが、中国に続いてベトナムでも広がっている。 ただし、運動の原因は全く異なるようだ。 「お客さんは普段よりも少ないが、ボイコットのせいかは分からない。」 5 日午後、ベトナムの首都ハノイ市内にある H & M の店舗で、男性店員は戸惑いながら話した。 客はほとんどおらず、店内は閑散としていた。 地元メディアによると、ベトナムで同社に対する不買運動の呼びかけが始まったのは 2 日夜だった。 中国・上海市当局がこの日、H & M の地図に問題があるとして中国の運営会社側に聴取し、改善を求めたと発表。 米 ABC ニュースは、同社が店舗案内のために公式サイトに掲載している中国の地図について、中国当局の指示に従って修正することに同意したと伝えた。 ベトナムではこうした動きに対して、フェイスブック (FB) などのソーシャルメディア上で、反発の声が広がった。 H & M のホームページでは現在、店舗の所在地を示す地図が表示されなくなっており、地図のどこが問題でどう修正したか詳細は明らかになっていない。 しかし、ベトナムが中国と領有権を争う南シナ海について、中国がほぼ全域の管轄権を主張する「9 段線」を、中国の主張に沿って掲載する修正だと受け止められた。 ベトナム国民の間に反中感情が強く、領有権を巡る問題で中国への警戒感があるためとみられる。 FB にあるベトナムの H & M 公式アカウントの投稿欄には、「今すぐ出て行け」、「我々の主権を尊重しろ」などの批判的なコメントや、9 段線の入った地図に大きなバツ印を付けた投稿が並んでいる。 7 日には、ベトナムの通販サイト FADO が H & M の製品の取り扱いを停止した。 運営会社の最高経営責任者は「ベトナムの主権を尊重しないブランドへの協力は拒否する」との声明を発表。 取り扱い停止期間は無期限としている。 問題は H & M 以外のアパレルブランドにも飛び火している。 地元紙タインニエンは 4 日、日本のユニクロや仏シャネルなど主要な外資系のアパレルブランドの中国サイトで店舗を検索した結果を記事にした。 いずれも 9 段線の入った地図が表示されるとして、画面の写真にバツ印をつけて掲載。 「世界をリードするファッションブランドはベトナムを含む南シナ海の国々の領土主権の問題を過小評価している」と批判している。 ベトナム外務省のハン報道官は 8 日の定例会見で、この問題に関する質問にブランド名の名指しは避けながらも、「あらゆるビジネスに対して南シナ海でのベトナムの主権を尊重するように求める」と述べた。 一方、新疆での問題に端を発する中国での H & M などへの不買運動も続いている。 中国で先祖の墓参りをする清明節の連休中の 5 日、多くの買い物客でごった返す上海市内の目抜き通りにある H & M の店舗内は閑散としていた。 店員の一人は「それでも来てくれるお客さんもいるが、影響は出ている」と漏らした。 H & M が新疆産綿花を使わないとする声明を出したのは昨年 9 月のこと。 しかし今年 3 月になって、中国内で突如として国営新華社通信などによる H & M 批判が始まった。 同月 22 日に欧州連合 (EU) などが中国への制裁を発動したことへの報復措置とみられる。 H & M は同 24 日に「いかなる政治的立場も代表していない」と弁明し、同 31 日には「中国の消費者の信頼を取り戻す」との 2 回目の声明を発表した。 だが、中国国営中央テレビは新疆への言及や謝罪がないことから「誠意のない二流の声明だ」と非難するなど、状況は好転していない。 (ハノイ = 宋光祐、北京 = 西山明宏、asahi = 4-11-21) 中国の人気オーディション番組、アディダスボイコットで画面がモザイクだらけに - 台湾メディア
中国国内では、人権問題を理由に新疆ウイグル自治区産の綿の不使用を表明した国際的なブランドを批判する動きが広がっている。 これに関連し、台湾の自由時報は 8 日、中国の人気オーディション番組について、「(独スポーツ用品大手の)アディダスボイコットで、画面がモザイクだらけになった」と報じた。 英 BBC や米ニューヨーク・ポストなどの報道として伝えたもので、それによると、同番組の練習生は、スポンサーのアディダスが提供したトレーニングウエアやシューズを着用しているが、最新の放送回では、アディダスの文字、トレードマークの三本線、トレフォイル(三つ葉のロゴ)などすべてにモザイクがかけられ、練習生の胸元や太もも、シューズなどが「不明瞭」な状態になっていたという。 記事はまた、「同じことは他にもある」とし、中国の別のオーディション番組「乗風破浪的姐姐」やリアリティー番組「聴姐説」でも女優が履いていたシューズ(ナイキのエアジョーダンと思われる)にモザイクがかけられるということがあったと伝えている。 (柳川、RecordChina = 4-8-21) 中国、H & M に HP 上の「問題ある中国の地図」変更を要求 = 報道 [ストックホルム] 中国当局はスウェーデンのカジュアル衣料チェーン、ヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) に対し、同社ホームページ (HP) 上に掲載された地図を変更するよう求めた。 ABC ニュースが 2 日、報じた。 H & M は昨年、新疆ウイグル自治区での人権侵害に懸念を表明しており、最近になって中国の反発を招いている。 ABC ニュースによると、上海市政府が H & M に対し「問題のある中国の地図」を訂正するよう求めた。 ABC ニュースは上海市政府の声明を引用し、インターネット利用者が地図上の問題を H & M の HP 運営者に報告し、上海市当局が同社に変更を命じたとも報じた。 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはサイバー空間の管理に携わる国家インターネット情報弁公室の話として、H & M の HP 運営者が対策を講じたと伝えた。 H & M は先週、同社の綿花調達をめぐる昨年の声明が SNS (交流サイト)で炎上。 中国での信頼を勝ち取るために尽力する考えを示した。 声明では新疆ウイグルでの強制労働疑惑に懸念を示し、綿花調達取りやめを表明していた。 (Reuters = 4-5-21) 通販サイトや地図からも消去され … H & M、中国に対する「長期的なコミットメント」を約束 中国のネット上からその存在を消し去られた H & M は、市民の「信頼を取り戻すことに尽力します」とコメントした。 H & M は 2020 年、強制労働の疑いで中国を批判した。 これを受け、多くの市民が H & M をボイコットした。 H & M の商品や店舗情報は中国のショッピングサイトやオンライン地図サービスから消えている。 H & M は 3 月 31 日、中国における強制労働の疑いについて同社が 2020 年に発表したコメントへの激しい反発を受け、中国に対するコミットメントを改めて表明した。 H & M はブログ投稿で、「中国の顧客、同僚、ビジネスパートナーの信用と信頼を取り戻すことに尽力します。 ステークホルダーやパートナーと力を合わせることで、ファッション業界を発展させるための連携を深め、顧客に仕え、敬意を持って行動することができるとわたしたちは信じています。」と述べた。 H & M は中国を「非常に重要な市場」と呼び、「中国に対する長期的なコミットメントは強固なまま」だとしている。 中国では先週以降、新疆綿をめぐる強制労働を批判した H & M の過去のコメントがネット上で拡散し、その存在がネット上から消し去られていた。 アメリカ、欧州連合 (EU)、カナダ、イギリスが人権侵害の疑いで中国に制裁を課した後、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」では批判が噴出した。 2020 年に出した声明文の中で、H & M は「市民社会団体およびメディアによる、強制労働の疑いを含む報告を深く憂慮している」と述べた上で、新疆ウイグル自治区からの綿の調達を止め、ウイグル族の人々を強制労働させていると疑われる中国の繊維会社との関係を解消するとコメントしていた。 H & M がこうした対応を取ったのは、数十万人ものウイグル族の人々が強制労働をさせられているとの報告があった後のことだ。 それ以降、ウイグル族の人々が新疆ウイグル自治区の収容施設に監禁され、女性は避妊や中絶を強制されているといったウイグル族に対する迫害の報告が相次いでいる。 ただ、中国はこの収容施設を「再教育施設」であるとし、ウイグル族の文化を根絶することを目的とした施設ではないと主張している。 新疆綿をめぐっては、H & M だけでなく、バーバリーやナイキといった大手ブランドも距離を置くことを公にしている。 こうしたブランドのスタンスに対し、中国の企業や消費者はボイコットを展開している。 例えば、テンセント(騰訊)は、同社の人気ゲームの 1 つでキャラクターたちが着用していた、バーバリーがデザインしたコスチュームを削除したとしている。 (Katie Canales、Business Insider = 4-1-21) 中国の不買運動「国家主導」 ウイグル強制労働で - 米が非難 【ワシントン】 バイデン米政権は 26 日、中国・新疆ウイグル自治区での強制労働に懸念を示した日米欧の企業に対する不買運動が中国内で広がっていることについて、「共産党による国家主導のボイコット運動だ(米国務省)」と非難した。 米欧は今月、新疆地区の当局者に同時制裁を科しており、企業支持の立場を表明した形だ。 スウェーデンの衣料品大手ヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) が新疆産綿花などの調達をやめると過去に発表したことを受け、中国共産党の青年組織などから「デマに基づく判断だ」と不買を呼びかける投稿がネット上で相次いでいる。 米メディアによると、スポーツ用品大手の米ナイキや独アディダスのほか、日本のユニクロなども批判の標的となり始めている。 米国務省のポーター筆頭副報道官は 26 日の電話会見で「米欧日の企業に対して中国が国家主導でボイコット運動を仕掛けた」と批判。 貿易管理を担当する米商務省の報道官も「中国市場に依存する民間企業に対して表現の自由を抑圧する中国政府の行動に反対すべきだ」と訴えた。 米国は 1 月から新疆産の綿花とトマトの輸入を禁止している。 (jiji = 3-27-21) H & M、ウイグル巡り中国で批判 アリババで検索できず 【上海 = 松田直樹】 ウイグル問題を巡ってスウェーデンの衣料品大手へネス・アンド・マウリッツ (H & M) が中国で批判にさらされている。 中国国営の新華社通信は 24 日夜、公式 SNS (交流サイト)で「H & M は虚偽の事実を信じている」と批判。 同日には中国ネット通販大手、アリババ集団などのサイトで同社の商品が検索できなくなった。 H & M は 2020 年 9 月、強制労働の問題が浮上したことを受け、新疆ウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引を停止すると公表した。 欧州連合 (EU) が今月 22 日、ウイグル問題を巡り対中制裁に踏み切ったことをきっかけに、この発表が改めてやり玉にあがったとみられる。 新華社が 24 日夜、公式 SNS に「H & M は(ウイグルについて)虚偽の事実を信じ、中国人の利益を侵害している。 その一方で中国でビジネスを展開しているのはおかしな話だ。」と投稿。 中国メディアも相次いで批判的な記事を掲載した。 同日、アリババのほか京東集団(JD ドットコム)のネット通販サイトで H & M の商品が検索対象外となった。 H & M の商品を検索すると「商品はありません」と表示される。 H & Mはアリババや京東のネット通販サイトに、自社で運営する旗艦店を出店している。 アリババと京東は日本経済新聞の取材に対して回答を控えた。 中国では 19 年にも米プロバスケットボール NBA の人気チームの幹部が香港の抗議デモを支持する内容をネット上に投稿したとして、一部のネット通販が NBA 関連商品の販売を停止した。 政治問題が外国企業の中国ビジネスに波及することが度々あり、H & M も巻き込まれた可能性がある。 H & M は 24 日夜に SNS で「我々は全世界で自社の定めたルールのもとで透明性のあるビジネスを展開している。 H & M はいかなる政治的な立場も代表していない。 中国の消費者の立場を尊重し、中国で長期的にビジネスを発展させていきたいと考えている。」との声明を出した。 20 年 9 月の H & M の声明を巡っては、中国の外務省が当時、「ウイグルに強制労働はなく、企業のこうした決定に断固反対する」と批判していた。 (nikkei = 3-24-21) 欧米の制裁措置 (3-22-21) |