ベトナム大手 4 社受け入れ停止 実習生失踪相次ぎ - 外国人技能実習機構

技能実習制度を監督する外国人技能実習機構は 18 日、ベトナムの大手人材送り出し機関 5 社から受け入れた実習生の失踪が著しく多いとして、このうち 4 社に対し最低 6 カ月間、新規の受け入れを停止すると同国政府に伝えた。 同機構を所管する出入国在留管理庁によると、実習生の失踪防止対策に基づく措置で、適用は初めてという。

近年、ベトナムから日本に来た実習生が失踪する問題が相次いでいることを踏まえ、入管庁が同国の送り出し機関を調査した。 その結果、大手 5 社が特に多かった。 このうち 4 社は、法令が定める外国の送り出し機関の要件を満たさないとして、8 月 18 日から新規の受け入れを停止する。 残る 1 社も別の不適正事案により既に受け入れ停止となっている。

入管庁の担当者は「特定の送り出し機関の失踪率が高いということは、選抜や送り出しに何らかの問題があるのだろう。 失踪した実習生に問題があれば対応するが、機関への対応も必要だ。」と説明した。 2020 年の技能実習生の失踪者数は 5,885 人で、ベトナムが 3,741 人と最も多い。 (jiji = 6-18-21)

◇ ◇ ◇

ベトナム大手 5 社の実習生、受け入れ停止へ 失踪多数で

技能実習制度を監督するため国が設けた認可法人・外国人技能実習機構 (OTIT) が、ベトナムの大手送り出し機関 5 社からの実習生の新規受け入れを停止する方針を、ベトナム政府に文書で伝えたことがわかった。 5 社が日本に送り出した実習生の中から、多数の失踪者が出たことが理由とされている。 朝日新聞が入手した文書によると、OTIT は 1 日付で、技能実習生を所管するベトナムの労働・傷病兵・社会問題省の海外労働管理局 (DOLAB) に通知。 近くこの方針を公表した後、2 カ月後をめどに実行すると説明している。

ベトナムの送り出し機関は政府の認可に基づいて日本に実習生を送り出す人材派遣会社。 6 月現在で約 460 社ある。 文書によると、OTIT は DOLAB から、送り出し機関の派遣者数(2018 年)のデータ提供を受けた。 日本の受け入れ企業から提出される各実習生の実習計画に記載された送り出し機関の名前と突き合わせて、失踪者が多発している送り出し機関を特定。 その上で、18 年と 19 年の合計の失踪者数の割合が平均の約 3 倍を超えた 5 社を対象に決めた。

ベトナム人の失踪者、14 年の 6 倍に

17 年に施行された技能実習適正化法は、日本側の窓口となる監理団体と契約を結ぶ送り出し機関について、「適切に取り次ぐために必要な能力を有するもの」と規定。 5 社はこれを満たさないと判断したと、文書には記されている。 受け入れが停止されれば、5 社が提出した実習計画は認定から除外され、新たな実習生を派遣できなくなる。

文書に記載された失踪率をもとに派遣者数を算出すると、5 社が 18 年に派遣した実習生はそれぞれおよそ 700 人から 2,700 人で、合計 8 千人を超える。 同年に日本に送り出された技能実習生を含むベトナム人の労働者数は 6 万 9 千人で、5 社が送り出した実習生はその 1 割を超える計算になる。 ベトナムではいずれも大手とされる送り出し機関で、日本側で契約している監理団体も相当数に上るとみられる。

現在は新型コロナウイルスの感染拡大で、日本が実習生の受け入れを停止しているが、今回の措置が長期間に及んだ場合には、コロナ後に往来制限が緩和された後も、ベトナムからの実習生の派遣に影響する可能性がある。 出入国在留管理庁によると、新型コロナが拡大する前の 19 年末時点の実習生は全国で約 41 万人。 このうちベトナム人は半数を超える約 22 万人を占める。 同年の実習生の失踪者数は 14 年の 1.8 倍となる 8,796 人。 うち 7 割の 6,105 人がベトナム人で、14 年に比べて 6 倍に増えた。

実習生の失踪が相次ぐ背景には、送り出し機関が実習生から徴収する高額な手数料の問題がある。 ベトナムでは法令で手数料の上限を 3,600 ドル(約 40 万円)と定めているが、2 倍や 3 倍に上る請求が常態化している。 (ハノイ = 宋光祐、asahi = 6-13-21)


2 人は "技能実習生" … ドラッグストア狙ったベトナム人窃盗団摘発 化粧品等 33 万円相当盗んだか

石川県警能美警察署を中心とする合同捜査本部は、ドラッグストアを狙ったベトナム人窃盗団を摘発しました。 今後、組織の全容解明に向け捜査を進める方針です。 摘発されたのはベトナム人の男女 3 人で、これまでにいずれも窃盗の疑いで逮捕されました。 警察によりますと、3 人は今年 4 月 1 日午後 7 時 40 分頃、羽咋市のドラッグストアで健康食品など 61 点、販売価格にして 22 万円あまりを盗んだ疑いが持たれています。 このうち 2 人は、この事件の 30 分前にも別の羽咋市内のドラッグストアで化粧品など 40 点、販売価格にしておよそ 11 万円分を盗んだとされています。

警察によりますと、3 人はいずれも容疑を認めていて、このうち 2 人は技能実習生として来日し、不法残留していたということです。 3 人は盗んだ商品を転売し金を得ようとしていたとみられるということです。 合同捜査本部では背後に大がかりな組織があるとみて、ほかにも余罪がないかなど厳しく 3 人を追求する方針です。 (石川テレビ = 6-8-21)


浴衣に花見、日本文化に親しむ技能実習生にスポットあて写真展

兵庫県小野市に住むインドネシア人の技能実習生たちにスポットを当てた写真展が、中兵庫信用金庫小野支店(同市黒川町)と、コミセンおおべ(同市敷地町)で開かれている。 仕事の傍ら浴衣を着たり、琴を弾いたりする若者たちの様子を、地元の写真愛好家グループ「おおべ写真クラブ」が撮影。 メンバーは「身近にいる外国人たちに親しむきっかけになれば」と願う。 30 日まで。 (杉山雅崇、神戸新聞 = 6-6-21)


市役所に外国人住民の相談窓口 技能実習生の増加でサポート手厚く

滋賀県彦根市は、外国人住民の各種手続きや相談を通訳で行う「ひこね外国人相談センター」を市役所の人権政策課内に開設した。 通訳者のほか、タブレットを使った多言語通訳サービスを提供する。 センターでは、ポルトガル語、英語、中国語の通訳者(中国語は火・金曜のみ)を置き、機械翻訳機「ポケトーク」で 82 言語に対応する。 また、民間業者に通訳を委託した多言語サービス「コトバル」を導入。 タブレットを介してオペレーターが 13 言語で通訳するほか、人工知能 (AI) で 30 言語を訳す。 ポケトークに比べて行政用語に強いという。

市内ではベトナム人などの技能実習生が増え、外国人人口は 10 年前より 3 割増の約 2,700 人に上る。 担当者は「これまで対応できていなかった言語の通訳が充実したため、より手厚くサポートできる」と話す。 8 月から中央町の仮庁舎にもセンターを設ける。 人権政策課 0749(30)6113。 (京都新聞 = 5-28-21)


技能実習生のベトナム人 6 人保護 残業代未払い訴え 新潟の支援団体に

新潟県下越地方の縫製会社で働いていた技能実習生のベトナム人女性 6 人が残業代の未払いや過酷な環境を訴え、新潟市の支援団体に保護されていたことが 25 日、分かった。 その後、会社は残業代などを支払った。 実習制度を巡っては低い賃金や長時間労働などが問題になっており、支援に携わる関係者は「これまで県内の技能実習生の実態はほとんど表面化しておらず、他にも同様のケースがあるのではないか」と指摘している。

保護されたのは 20 代と 30 代の各 3 人。 1 年半 - 2 年半働いていた。 関係者によると、現在は県外にある外国人技能実習機構に身を寄せている。 機構は実習制度を監督する認可法人。 6 人は 3 月下旬、実習生らを支援する広島県の労働組合「福山ユニオンたんぽぽ」に、フェイスブックを通じて相談。 残業代の未払いのほか、月 100 時間を超える残業などを訴えていた。 福山ユニオンから連絡を受けた新潟市の外国人支援団体「新潟ヘルプの会」などが 4 月上旬、実習生を保護し、県内の労働組合が会社と交渉。 会社は残業代などを支払った。

25 日までに新潟日報社の取材に応じた会社社長は「(残業時間など)主張は食い違うところがあるが、実習生を受け入れる他の会社に迷惑がかからないように早期解決を図った」と説明している。 県内の技能実習生を支援している新潟市の篠田陽一郎弁護士は「本県では表面化してこなかったが、助けを求めている実習生がいることが分かった。 支援体制を早急に整える必要がある。」と話した。 厚生労働省によると、技能実習生は 2020 年 10 月末時点で全国で 40 万 2,356 人。 16 年の 21 万 1,108 人からほぼ倍増した。 本県でも 16 年の 2,162 人から 20 年 10 月末で 4,357 人に増えた。

食い違う両者の主張

「すごくつらかった。」 支援団体に保護された技能実習生のベトナム人女性 6 人は過酷な環境を打ち明けた。 受け入れ先の会社社長は「母国に技術を持って帰ってもらうため、丁寧に指導してきた」と主張。 両者の言い分は食い違っている。 「寝る時間も少なくつらかった。」 4 月下旬、「新潟ヘルプの会」がシェルターとして使う民家。 実習生 6 人は、通訳を通じてぽつりぽつりと話し始めた。

厳しいノルマを課され、多い月は 160 時間の残業を強いられたと訴える。 仕事が終わらず、夜中の 2 時までベッドの上で仕事をしたこともあった。 残業代は 30 時間までは支払われていたが、それ以降は、最低賃金を下回る 1 時間 500 円しか払われなかったという。 休みも取れず、来日前に思い描いていた環境とはほど遠かった。 女性の一人は「日本に来て楽しかったことはなかった」とうつむく。

一方、会社社長は「実習生を受け入れて 15 年ほどになるが、トラブルはなかった。 ノルマではなく目標。 残業を強制したわけではない。」と困惑を隠さない。 残業をさせる場合も、事前にその日の残業時間を決め、残業代は支払っていたという。 ただ、定時になると日本人従業員は帰宅するため、帰宅後の労働時間の管理は実質的に実習生に任せていた。 スキルアップした実習生には賃金を引き上げた。 帰国後もリーダーになれるよう指導してきた。 「言葉や文化が違うため、思いが伝わらなかった部分があったかもしれない」と話す。

外国人技能実習生は年々増え、受け入れ先とトラブルになるケースが増えている。 外国人技能実習機構によると、実習生からの相談も増加傾向にあり、最近は 1 日平均 30 - 40 件の相談が寄せられているという。 6 人から相談を受けた福山ユニオンの石丸敬さん (35) は「全国では日常的な暴力や暴言など、ひどい環境に置かれている実習生もいる。 表に出ているのは氷山の一角。」と話す。

実習生を支援する篠田陽一郎弁護士は「実習生がよく使う会員制交流サイト (SNS) などで支援態勢を伝える必要がある」と指摘。 受け入れ企業に対しては「コミュニケーションを取りやすい環境を整備することが第一。 通訳や翻訳機導入の費用を助成する国の制度も活用してほしい。」と話した。 相談は新潟ヘルプの会、025(228)2212。 (斎藤了一、新潟日報 = 5-26-21)

<外国人技能実習制度> 途上国への技術移転や人材育成を目的に、1993年に創設。国内の企業などでさまざまな技能を学ぶ。最長で5年間滞在できる。「国際貢献」を趣旨に掲げるが、国内の人手不足への対応という側面も指摘され、厳しい環境や貧困が問題になっている。実習生は労働関係法令の適用を受ける。


技能実習生、作業中事故で右腕を切断
「説明が不十分」ベトナム人男性が会社提訴

2019 年に外国人技能実習生として岡山県倉敷市の鋳物製造会社で作業中、右腕をベルトコンベヤーに巻き込まれて切断したのは、従業員が作業内容の説明を通訳なしで行うなど指導監督が不十分だったためとして、ベトナム国籍の 20 代男性 = 同市 = が、同社に総額約 8,960 万円の損害賠償を求める訴えを岡山地裁倉敷支部に起こしたことが 21 日分かった。

訴状などによると、男性は 19 年 12 月に行われた社内の大掃除で、鋳型の原料となる砂をベルトコンベヤーに載せて運搬する作業を担当。 従業員の指示でベルトとローラーの間にこぼれ落ちた砂をかき出していた際、腕ごと巻き込まれた。 日本語での意思疎通が難しい男性に対し、従業員は通訳を付けず、身ぶり手ぶりで作業内容を伝えていたとしており「作業の注意点や危険性についての説明が不十分で、安全配慮義務違反に当たる」と指摘。 利き腕を失ったことで、日常生活に大きな支障が生じたと主張している。

提訴は 4 月 1 日付。 事故を巡っては倉敷労基署が昨年 4 月、労働安全衛生法違反の疑いで同社の男性副社長と、法人としての同社を書類送検している。 同社は取材に対し「コメントは差し控える」とした。 (山陽新聞 = 5-22-21)


在留資格の取り消し、最多更新 ベトナムが 6 割占める

昨年 1 年間に在留資格を取り消された外国人は 1,210 人で、過去最多だった前年よりさらに 217 人 (21.9%) 増加した。 出入国在留管理庁が 21 日発表した。 取り消された資格は「技能実習」と「留学」で 9 割近くを占め、実習先から失踪した技能実習生や学校を除籍された留学生が就労した例が目立つという。 入管庁によると、在留資格別で最も多かったのは技能実習の 561 人で、全体の 46.4% に上り、次いで留学が 524 人で 43.3% だった。 それぞれ前年より 225 人、97 人増えた。

国籍・地域別では、ベトナムが最多の 711 人で全体の 58.8%。 続いて中国の 162 人が 13.4% だった。 両国は昨年末時点の在留外国人数の上位 2 カ国で、ベトナム人は技能実習の 55.2%、中国人は留学の 44.6% を占め、それぞれの資格で最も多かった。 在留資格を取り消されると、退去命令に応じて自ら出国するか、強制退去手続きで退去処分が決まれば送還される。 (伊藤和也、asahi = 5-21-21)


外国人のコロナ感染増加 茨城・大洗町が多言語で対策呼びかけ

茨城県大洗町は、今月に入って新型コロナウイルスの感染者が急増し、その半数以上が外国人とみられることから、新型コロナに関する情報を 8 か国語でホームページに掲載するなどして感染防止を呼びかけています。 大洗町では今月 11 日から 17 日までの 1 週間で 55 人の感染が確認されるなど、感染が急拡大していて、県が「感染拡大市町村」に指定しています。

町が感染者が出た事業所などに聞き取ったところ、感染者の半数以上が外国人とみられることが分かったということです。 大洗町には、人口のおよそ 5 パーセントにあたる 800 人余りの外国人が住み、水産加工業などに従事しています。 このため町は、日本語が分からない人にも最新の感染状況や感染対策を伝えようと、ホームページでは英語のほかインドネシア語や中国語など 8 か国語で情報を掲載しています。

そのうえで、町のホームページにアクセスできる QR コードを印刷したチラシを外国人を雇用している事業所などおよそ 60 か所で掲示し、ホームページを見るよう呼びかけてもらっているとということです。 このほか、外国人が多く集まる教会に対し、感染対策の徹底などを呼びかけているということです。 大洗町新型コロナウイルス感染症対策本部の小沼敏夫さんは「新型コロナに関する情報を複数の言語で表示することで外国籍の住民にも正確な情報を伝え、感染拡大防止につなげたい」と話していました。 (NHK = 5-20-21)


入管法改正案、今国会での成立断念 収容対応に批判受け

外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案について、与党は 18 日、今国会での採決を見送る方針を決めた。 秋までには衆院選があるため、法案は廃案となる。 自民党と公明党は 18 日昼、幹事長・国会対策委員長が会談し、「これ以上、審議を進めない」ことで一致した。 その後、自民党は立憲民主党との幹事長会談で、判断の結果を伝えた。

同法案をめぐっては、3 月に名古屋出入国在留管理局の施設でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時 33)が亡くなったことへの入管庁の対応に、野党が批判を強めていた。 自民と立憲は 14 日に法案の修正協議に入ったものの決裂した。 野党側が、ウィシュマさんが死亡した収容施設におけるビデオ映像の開示を求めたが、自民党がこれに応じなかった。

立憲、共産など野党 3 党は 14 日、衆院の義家弘介法務委員長の解任決議案を出し、法案の採決に抵抗する構えを見せていた。 新型コロナウイルスの対応で政権への批判が高まる中、政府与党内からは採決への慎重論もあがっていた。 同法案は、退去処分が出ても送還に応じない人の収容の長期化を解消するとして、▽ 難民認定手続き中の送還停止規定の適用を新たな相当の理由がなければ 2 回までに制限、▽ 送還妨害行為などに対する退去命令と違反への罰則の新設、▽ 入管当局が選定する「監理人」の監督のもと施設外での生活を可能にする「監理措置」の導入などが盛り込まれている。 (asahi = 5-18-21)

◇ ◇ ◇

日本生まれの子 見知らぬ「祖国」へ送還 入管法とは

「在留資格」のない外国人のことを知っていますか。 出入国管理法(入管法)に違反しているため、政府は「不法残留者」などと呼んでいますが、彼らはどういう経緯で日本に来て、なぜとどまっているのでしょうか。 いま、国会で審議中の入管法改正案はこうした外国人の状況を大きく変える可能性があります。

出稼ぎの親と隠れて生きる「私、いるよ、日本にいたいよ」

6 歳のとき、イランから両親や 2 人の弟と一緒に日本に来ました。 バブル景気が崩壊した 1991 年のことです。 出稼ぎに来たことは、子ども心に分かっていました。 父と母は電気製品の部品工場で働いていましたが、観光ビザの滞在期間を超えると、家族は皆、在留資格のない「オーバーステイ(超過滞在)」になりました。

小学校には行けず、家の前の公園で弟たちと目立たないように遊んでいたのですが、そのうち子連れのお母さんたちが、お菓子やヤクルトを分けてくれるようになりました。 友だちもでき、ひらがなやカタカナも覚えました。 日本語が話せるようになったのは、あの公園のおかげです。 ふつうなら 4 年生になる年齢で、小学校 3 年生に入学できたのですが、勉強をがんばろうという思いはとても強かったですね。 「オーバーステイで良くないことをしているから、他の部分では日本の人に恥ずかしくないような生活をしないといけない」とずっと思っていました。

在留資格ってなんだろう

「外国人は厳しく取り締まるべきだ」と思っていましたが、日本生まれの小学生が見たこともない「祖国」に送還される姿を目の当たりにし、疑問を持ち始めました - -。 そう語るのは、元入管職員で退職後に「未来入管フォーラム」を立ち上げた木下洋一さん。 記事後半で入管行政の問題点を聞きました。

中学 3 年の夏、家族で出頭し、一時的に収容を免れる「仮放免」になりました。 ずっと隠れてきたから、「私、いるよ、日本にいたいよ」っていう気持ちを担当者に伝えられたのはうれしかったです。 1 年半後に在留特別許可が下り、約 10 年に及ぶ非正規滞在の日々が終わりました。

長年、「勝手に来て日本に住まわせてもらっている」と思ってきましたが、2 年前に昔のドキュメンタリー映像で、90 年代に来日したイラン人の男性が「日本政府は私たちが働きにきたと知っている。 だから観光ビザじゃなくて就労ビザを出してほしい。」と話すのを聞き、衝撃を受けました。 当時の日本は人手が足りず、在留資格のない外国人を黙認していました。 外国人も日本社会も、互いに甘え合っていたのだと気付きました。

私は大学を卒業し、いまは会社員として働いています。 入管が在留を認めたからこそ、両親は年金の保険料を払えるようになり、私も家族が集まれる家で、2 児の子育てをすることができています。 小学生の頃からサポートを受けていたグループには中国、アルゼンチン、コロンビア、マレーシアなどから来た子たちが集まっていました。 私のように在留資格を得ることなく、強制送還されてしまった子どもたちのことを思うと、今でもつらい気持ちになります。

入管は非正規滞在だった外国人のその後を「追跡調査」してみたらどうでしょうか。 私は「被験者」の一人として協力します。 入管の判断で人生を左右された外国人一人ひとりが、どのように日本社会で生きているかを知り、法律づくりにいかしてほしいです。(鬼室黎)

9 年収容の例も 1997 年以降、21 人死亡

留学生として来日し、在留資格を失った後で退去強制処分となったスリランカ人女性が今年 3 月、名古屋入管局に収容中に亡くなりました。 外国人の収容施設とは、どんな場所なのでしょうか。 在留資格がない外国人は帰国のため出頭した場合などを除いて、原則として施設に収容されます。 施設は茨城県牛久市、長崎県大村市の入国管理センターをはじめ、各地の入管局にもあります。 新型コロナの感染を防ぐため当局はいま、一時的に社会生活を認める「仮放免」を大幅に増やすことで、収容者を減らしており、5 月 14 日現在で 245 人です。

外国人政策に詳しい鈴木江理子・国士舘大学教授は「当局が公表した統計でも、退去強制令書が発付された人の 9 割以上は出国している」と言います。 しかし、国に帰ると迫害を受けるとして難民申請をしたり、日本に家族がいるなどの事情で送還を拒んだりした場合には収容は長くなり、中には 9 年ほどに及ぶ人もいます。 収容の長期化で病気になったり、精神のバランスを崩したりする人も少なくありません。

全国難民弁護団連絡会議によると、収容されている間に死亡した人は 1997 年以降、少なくとも 21 人。 うち 5 人が自殺でした。 2019 年には、長期収容に抗議しハンストをしていたナイジェリア人男性が餓死しました。 入管庁は、収容施設での生活について「日中は部屋のカギを開け、運動なども自由にできるようにしている」、「電話もかけられ、弁護士、家族や友人らとの面会も許可している」、「食事は宗教やアレルギーに配慮し、宗教上の行為には特段制限はない」などと説明します。 しかし、収容されている人からは職員の対応や処遇への不満を訴える声が絶えません。

一方、コロナ禍で収容者を減らしたため、2019 年末に 2,217 人だった仮放免の人の数は、20 年末に 3,061 人と急増。 仮放免の人は、働くことは認められず、医療保険や生活保護などを受けることもできません。 定期的に入管に出頭しなければならず、生活に困窮する人も少なくありません。(桜井泉)

法改正案、送還規定見直しに懸念の声

今国会で審議中の入管法改正案。 政府は「在留が認められない外国人を速やかに退去させ、入管施設での長期収容をなくすのが目的」と説明しますが、人権問題に取り組む団体や弁護士は、強く反対しています。 現行の入管法では、外国人は在留資格がなくても、難民認定を求めて手続きをしている間は送還されません。 また、難民として認められなかった場合に認定申請を繰り返すこともできます。 しかし改正案では、難民認定申請を 3 回以上すると、「手続き中に送還しない」という規定が原則として適用されなくなります。

政府は、「難民でない人が、強制送還を免れようと申請を乱用しているために必要な改正だ」としています。 しかし、昨年、難民として認められたのは 47 人で認定率は約 1.2%。 難民支援団体は「安易に出身国に送り返せば、命が危険にさらされる」と批判しています。 また改正案は、一定の要件のもとで退去の命令に従わない人を犯罪者扱いし、刑事罰の対象とします。 服役後、再び入管施設に収容し、退去命令に再度、従わなければ、本人は刑務所と施設を行き来することもあり得ます。 支援者らが共犯に問われる可能性もあり、支援団体は「威嚇して活動を萎縮させるものだ」と反発しています。

一方、逃亡のおそれがない場合などは、保証金を払えば、施設ではなく監理人のもとで生活できる「監理措置」が新設されます。 ただ、監理人には当局への報告義務があり、弁護士らは「対象者の人権を守る立場から監理人にはなれない」と言います。 なり手が見つからず、制度が機能しない可能性もあります。(桜井泉)

巨大権限持つ入管、処分決定あいまい 元職員の疑問

元入管職員で、退職後に「未来入管フォーラム」を立ち上げた木下洋一さん (56) に、今の入管行政の何が問題なのか、聞きました。

入管職員として 18 年間、働きました。 「外国人は厳しく取り締まるべきだ」と思っていましたが、日本生まれの小学生が見たこともない「祖国」に送還される姿を目の当たりにし、疑問を持ち始めました。 子どもたちは入管に「本国に帰されても、十分に現地の社会になじむことができる」と判断されて、在留資格のない親とともに強制送還されていました。 「子どもたちの将来に大きく影響することなのに、それで済ませていいのかな」と疑問に感じました。 また、在留資格はなくても、日本人と結婚し長年仲むつまじく暮らす人たちの存在にも気づきました。

このような人たちに対して、法務大臣の権限で出せる「在留特別許可」などをより柔軟に使うことはできないか。 少なくとも、手続きを可視化するべきではないか。 難民申請を繰り返して施設に長期に収容される人や、日本での生活を遮断され、送還される人たちを見るうちに入管行政を変えていくべきだという思いは募り、2 年前に退職しました。

まず指摘しなければならない問題は、巨大な権限を持つ入管の「不透明性」です。 「国家主権に関わるから」という理由で、入管は外国人に対して収容や仮放免の判断基準を明確にする必要も、処分理由の説明をする必要もないとされてきました。 それに対して外国人は不服申し立てをすることができません。 このため、収容や仮放免、在留特別許可などの処分や措置があいまいに決められているのが実態です。 外国人の立場に立てば、理由や基準を知りたいと思うのは当然でしょう。

入管法改正の理由として政府が挙げる送還拒否者の増加は、不透明な行政への不信感によるものが大きいと思います。 収容時の司法審査や、第三者機関による透明性のチェックなど、人権を土台にした施策の方が、長期的な不法残留者の減少につながると考えます。 (鬼室黎、asahi = 5-16-21)


過酷な労働、逃れた先は「失踪村」 身寄せ合う元実習生

「失踪村」の現実

記事コピー (5-13-21)


「特定技能」外国人 7 倍 技能実習生が帰国できずに移行

「特定技能」の在留資格で働く外国人が急増している。 2 月末時点で 2 万人超と前年同期の約 7 倍となった。 新型コロナウイルスによる渡航制限で帰国できない技能実習生が、特定技能の資格を取得。 外国人労働者の来日減による人手不足を補おうと企業が採用を増やしている。 技能実習は最長 5 年の期間限定だが、特定技能に移って長く働く外国人が増えつつある。

4 月下旬、埼玉県鶴ケ島市にある食肉卸「ミート・コンパニオン」の加工工場。 特定技能のベトナム人従業員らが正社員やパート従業員らに交じり、牛肉のカットや真空パックなどの作業に追われていた。 「パート従業員が高齢化するなか、ベトナム人従業員が貴重な戦力になりつつある。」 冨岡達矢執行役員はこう話す。 同工場では昨年夏以降、特定技能のベトナム人従業員を採用し始め、現在は 45 人が働く。 いずれも以前はほかの企業の技能実習生だった。 チン・ティ・メンさん (30) は「群馬県で働いていたときより給料が上がった」という。

特定技能は出入国管理法改正で 2019 年 4 月に導入された。 人手不足が深刻な介護、建設、宿泊など 14 分野で即戦力の外国人を受け入れるためだ。 特定技能の資格を得るには、主に、▽ 技能実習を修了、▽ 国内外の試験に合格 - - の 2 通りがある。 政府は特定技能(1 号)の受け入れで「5 年間で最大 34 万 5,150 人」を想定したが、伸び悩んでいた。 外国人にとって、各分野の技能や日本語能力の試験への合格が必要などハードルが高いためだ。 企業にとっても、特定技能よりも、原則として転職できず人材流出の可能性が低い技能実習生の採用を優先してきた実情がある。

ところが特定技能の人数は、この 1 年余りで急増している。 出入国在留管理庁によると、2 月末時点で 2 万 386 人。 政府の目標にはほど遠いものの、前年同期(2,994 人)の約 7 倍となった。 背景にあるのが、コロナ禍による渡航制限だ。 20 年に新規入国した実習生は前年の 44% の約 8 万 3 千人にとどまった。 21 年 1 月には実習生ら中長期滞在者向けに入国を認める「レジデンストラック」の運用が停止し、来日はいっそう困難になった。

一方でベトナム行きなどの航空便は運休が相次ぎ、技能実習を終えても帰国できない実習生は少なくない。 こうした人が特定技能に移行し、20 年 12 月時点で特定技能の 85% を技能実習からの移行組が占めた。 実習生の代わりに採用に踏み出す企業は増え、外国人材紹介のリフト(東京)の杉村哲人代表取締役は「地方で働く技能実習生が、特定技能の資格を取得し、給料が高めの首都圏に移る構図になっている」と指摘する。

同社が 20 年 9 月に技能実習生を対象に行ったアンケートでは、約 200 人の回答者のうち 8 割が実習修了後も日本に残ることを希望していた。 コロナが収束すれば技能実習生の入国が再び増えるとみられる。 ただ、特定技能外国人を企業に紹介する雇用創出支援機構(東京)の樋口公人理事は「日本で働き続けたいとの希望を持つ実習生は多く、人手不足の分野では特定技能への移行の流れは続くだろう」と話す。(外国人共生エディター : 覧具雄人)

技能実習と特定技能

技能実習制度が日本で学んだ技能や技術を母国で生かしてもらう「国際協力の推進」を目的とするのに対し、特定技能制度は人手不足が深刻な産業分野での外国人材受け入れを狙いとしている。 最長 5 年の技能実習に対し、長く日本で働けるのが特定技能の特徴だ。 一部業種は 1 号(5 年間)を終えて 2 号に移行すれば何度でも更新可能で、家族帯同もできる。 技能実習は原則として転職できず、劣悪な環境などによる失踪が問題化した。 特定技能は同じ業務なら他社に転職できる。

分野別では飲食料品製造業が 7,448 人、農業が 3,122 人など。 出身国別ではベトナム 60%、中国 10% となっている。 特定技能資格を取得するための技能試験は、日本国内のほかフィリピン、カンボジア、インドネシアなどで行われ、受験者約 5 万 7 千人に対し約 3 万 5 千人が合格した。 (nikkei = 5-8-21)


技能実習生らの日本語学習を支援 岡山でベトナム出身大学院生

ベトナム出身の岡山大大学院 2 年ホアン・ゴック・ビックチャンさん (23) が、母国からの技能実習生らに日本語や日本文化を教えるグループをつくって活動を続けている。 言葉の壁などから職場になじめず失踪し、不法滞在で摘発された実習生らの通訳をしたのがきっかけだ。 新型コロナウイルス禍で昨年 8 月からオンラインで週 2 回講座を開催し、日本人との交流の場にもしている。

日本語教育などを専攻するビックチャンさんは、昨年 1 月に留学生の先輩や友人ら計 4 人でグループを結成。 日本文化の体験講座を通じて言葉を学んでもらおうと、初回は、日本語とベトナム語のレシピを用意して春巻きを作った。 だが、2 回目以降は新型コロナの感染拡大を受けて休止を余儀なくされた。 同 8 月にオンラインで活動を再開。 福武教育文化振興財団(岡山市)から教材購入費などの助成を受け、週 2 回、文法中心の会話練習のほか、日本の高校生らを交えてフリートークも行っている。

留学生も含め毎回 10 - 20 人程度が参加。 実習生のレー・ホアン・フーさん (25) は「以前は日本語が聞き取れず、仕事の指示が分からないことがあったが、今では自分から質問もできるようなった。 日本人と仲良くなれて楽しい。」と笑顔を見せる。 ビックチャンさんは環太平洋大(同市)の学生だった 2017 年から、逮捕されたベトナム人に弁護士が接見する際の通訳のアルバイトをしている。 言葉や文化の違いから人間関係をうまく築けず職場から行方をくらまし、オーバーステイとなって摘発された人を何度も担当した。

「企業で労働力として期待される一方で、技能実習生の多くは日本語の勉強や日本人との交流の機会が少ない。 何とか手助けしたかった。」とビックチャンさんは話す。 県警によると、職場などから失踪したとして届け出があったベトナム人は年間 100 人前後に上るという。 「岡山の実習生がみんな居場所を感じられるようにするのが私たちのゴール。 仲間を増やしていきたい。」とビックチャンさん。 コロナ禍収束後は、対面講座を再開し、折り紙や書道といった和文化に触れる機会も設ける予定という。

グループへの問い合わせはビックチャンさんにメール (suca1012@gmail.com) で。 (山陽新聞 = 5-4-21)


人として扱われない「技能実習生」リアルに描く

映画『海辺の彼女たち』

記事コピー (8-5-20〜4-28-21)


根室市 外国人技能実習生受け入れ事業者に 1 人 3 万円の支援金

新型コロナウイルスの水際対策が続く中、根室市は外国人技能実習生を受け入れている事業者の負担を軽減しようと、実習生 1 人あたり 3 万円の支援金を給付することになりました。 根室市によりますと、外国人技能実習生が出入国する際の検査費用などは原則、受け入れ先の事業者が負担することになっています。 しかし、事業者の負担が大きくなっていることから、根室市は負担を軽減しようと、臨時の支援金を給付することになりました。

対象は実習生を受け入れている根室市内の 23 の事業所で、今年度中に日本に出入国する実習生 1 人あたり 3 万円が給付されます。 支援金は入国時に宿泊施設で 14 日間待機する際の食事代や交通費のほか、出国時に PCR 検査を受ける費用などに充てることが想定されています。 申請の受け付けは 19 日から始まり来年 3 月末までとなっています。 根室市商工労働観光課の得能浩志課長は「根室市には受け入れ企業が多くあるので、この制度が少しでも負担軽減につながればいいです」と話していました。 (NHK = 4-21-21)


技能実習生、帰国費は「自己負担」 コロナ禍、在留資格変更でトラブル

コロナ禍で帰国できなくなった道内の外国人技能実習生が滞在を延長するため、在留資格を変更したところ、企業や監理団体が負担するはずだった帰国費用が支払われず、トラブルになるケースが増えている。 技能実習法は企業などに帰国費用の負担を義務づけているが、十分な説明を受けられないため、費用が支払われる別の在留資格に変更できず、自己負担を余儀なくされた実習生もいる。 企業側が支払いを拒んでいる例もあり、専門家は「国が指針を示さない限り、トラブルが続く」と警鐘を鳴らす。

「帰国費用について、きちんとした説明はなかった。 一生懸命働いたのに冷たい。」 4 年前から札幌市の食品工場で働いてきたベトナム人女性 (26) は、厳しい表情で話した。 昨年 5 月、約 3 年間の技能実習が終わったが、コロナ禍で帰国できなくなり、在留資格を労働力確保を目的にした「特定技能」に変更し、同じ職場で働いてきた。 (北海道新聞 = 4-21-21)


災害時、外国人の避難どうする
技能実習生ら年々増加の鹿児島県 情報伝達、関係づくり課題

14 日で発生から 5 年を迎えた熊本地震では、熊本市だけでも約 4,500 人の在留外国人が被災し、言葉や文化の壁から避難生活で困窮したことが課題になった。 鹿児島県内は、技能実習生ら在留外国人が年々増え、推計 1 万 4,357 人(3 月 1 日現在)が暮らす。 災害時に外国人が迷わず行動できるには、情報が確実に伝わる態勢と日頃からの信頼関係づくりが欠かせない。 2019 年 12 月に来日した鹿児島市のベトナム人技能実習生チュー・ティ・タムさん (21) は災害時に、どこに避難すればいいか知らない。 母国で地震の被害に遭った経験はなく、「どうすればいいか分からない」と戸惑う。

南日本新聞の調べでは、県内 43 市町村のうち、26 市町村はホームページ (HP) で災害などの緊急情報を多言語化している。 鹿児島市は 4 カ国語の自動翻訳機能を HP に取り入れ、ベトナム語で緊急情報を閲覧できる。 しかしタムさんは市の HP を見たことがない。 「情報を流しても、外国人が的確に行動できるとは限らない。 信頼できる人からの働きかけがないと動かない。」 熊本市を拠点に活動する市民団体「コムスタカ - 外国人と共に生きる会」の中島眞一郎代表 (66) は、熊本地震などで外国人を支援した経験から、情報が伝わるには、普段から外国人との関係構築が重要と指摘する。

危機感

大崎町には食肉加工に従事する技能実習生ら 300 人以上の外国人が住む。 約 7 割をベトナム人が占める。 町西自治公民館長の萩原洋一さん (66) は 19 年にベトナム語版の防災マップを作った。 最初の避難行動や地震時の最終避難場所までの経路などを記し、技能実習生に配った。 18 年度には住民、町、企業でつくる「多文化共生環境安全連絡会議」を立ち上げ、技能実習生と地域の関係づくりに力を入れる。 「人口減少が進む地域を外国人が支える流れはこれから一層強まる。 安心して暮らせる受け入れ態勢を整えないと、持続可能なまちにはならない。」 萩原さんの危機感は強い。

可視化

国は災害時に、外国人の相談に応じたり、情報を発信したりする支援拠点「災害多言語支援センター」の設置を推奨している。 熊本地震で開設できたのは 2 度目の震度 7 が襲った「本震」発生の 4 日後。 熊本市国際交流振興事業団が運営を担った。 地震後は外国人が災害の知識を学ぶ場や地域との接点づくり、情報発信に努めてきた。 勝谷知美事務局次長(52)は「平時の取り組みが非常時に生きる」と強調する。

鹿児島県は地域防災計画で同様の支援拠点開設を記載しているものの、どこが運営に当たるか決めていない。 県国際交流協会と近く協議するという。 多文化共生を研究する酒井佑輔鹿児島大学准教授 (37) は「外国人を含む地域住民が支え合える環境づくりが大事。 地域に暮らす外国人の状況を可視化し、彼らとつながる日本人や外国人コミュニティーの中心人物を把握しておく必要がある。」と提言する。 (南日本新聞 = 4-15-21)