英半導体ダイアログ、ルネサスに会社売却協議 6,220 億円

【ロンドン = 佐竹実】 米アップルなどを顧客に持つ英半導体大手ダイアログ・セミコンダクターは 7 日、同業大手のルネサスエレクトロニクスへの会社売却について協議していると発表した。 ルネサスが提示した買収額は約 49 億ユーロ(約 6,220 億円)にのぼる見込み。 ダイアログは交渉の進捗について「必要に応じて公表する」としている。 ダイアログはロンドン郊外に本社を置き、独フランクフルト証券取引所に上場している。 発表によると、ルネサスは現金による買収を提示した。 1 株当たり 67.5 ユーロで、5 日の終値を約 2 割上回る水準だ。 ルネサスは 8 日、ダイアログの買収について「協議している」との声明を発表した。 買収金額についても認めた。

ダイアログは足元で高速通信規格「5G」向けスマートフォンやタブレット向けの需要が好調だ。 1 月には 20 年 10 - 12 月期の売上高が最大 4 億 4,100 万ドル(約 463 億円)になったようだと発表し、従来予想を上方修正した。 ブルームバーグ通信が 7 日、ダイアログがルネサスから 49 億ユーロで買収提案を受けていると報じ、ダイアログは協議が進展していることを認めた。 複数の買い手候補と交渉しており、スイスの半導体大手 ST マイクロエレクトロニクスとも協議していたという。

半導体関連企業の M & A (合併・買収)は相次いでいる。 米半導体大手エヌビディアは 20 年 9 月、ソフトバンクグループ (SBG) 傘下の英半導体設計大手アーム買収で SBG と合意した。 最大 400 億ドル(約 4 兆 2 千億円)の大型買収だが、英国の競争当局である競争・市場庁 (CMA) など各国の当局が市場競争上、問題が無いか調査している。 (nikkei = 2-8-21)


雪下ろし不要の太陽光パネル 1 回数万円の除雪費を軽減

太陽電池パネルの製造販売を行う「アンフィニ(大阪市)」が、楢葉町の福島工場で、雪下ろしが不要になる「雪国型」パネルの開発に取り組んでいる。 雪国での太陽光発電の導入促進にもつながり、国が事業化を支援している。 センサーが雪を感知するとパネルの表面が温まり、雪を溶かす仕組みだ。 屋内の実験では零下 10 度、積雪 2 センチの条件で、約 30 分で融雪できたという。

価格は一般的なパネルより割高だが、1 回数万円かかる雪下ろしの必要はなくなる。 南会津町など北日本の数カ所で、屋外で融雪に掛かる電気代や発電量などの検証を続けている。 来年度に販売開始の予定だ。 同社は 2017 年、町が原発事故後に整備した工業団地に進出した。 総工費 75 億円のうち、多くは国の補助金を活用した。 年間 100 メガワット分のパネル生産が可能で、いわき市など浜通りから 35 人を雇用している。

町は 15 年に避難指示が解除されたが、「帰還率」は約 6 割に留まる。 同社福島復興本部復興推進部の川崎俊弘部長は「復興に貢献したい」と考えている。 太陽光パネル市場は安価な中国製に押されているだけに、同社は雪国型パネルに状況打開の期待を込める。 産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所(郡山市)が国の補助事業を活用し、性能の検証・評価や実証実験への協力など事業化を後押しする。 (関根慎一、asahi = 2-7-21)


パナソニック、太陽電池撤退 スマートシティーに注力

パナソニックは太陽電池の生産から撤退する。 2021 年度中に主力のマレーシア工場や島根県の工場での生産を終了する。 旧三洋電機時代の 00 年代には世界で上位シェアにあった同事業だが、中国メーカーとの価格競争で採算が悪化していた。 今後はスマートシティー向けの電力管理システムなど独自の技術を生かした再生可能エネルギー事業を拡大する。

20 年に電気自動車 (EV) メーカーの米テスラと米国工場での太陽電池の共同生産も解消しており、生産は完全撤退となる。 他社から太陽光パネルを調達して家庭などに発電システムを設置する事業は続ける。 パナソニックの撤退により国内で太陽電池の生産を手掛ける企業は京セラやシャープなどにとどまる。

国際エネルギー機関 (IEA) によると、21 年の太陽光発電新規導入量は 1 億 1,700 万キロワットと前年比 1 割増える見通し。 一方でパネル価格が 12 年の 3 分の 1 程度に下がっており、パナソニックの太陽電池事業はここ数年営業赤字が続いているとみられる。 販売先は大半が国内だが、国の家庭用の太陽光発電の固定価格買い取り制度 (FIT) の契約が 19 年 11 月以降に順次満了を迎えており、新規の需要増も見込めないもようだ。

パナソニックの太陽電池の生産は、11 年に完全子会社化した旧三洋電機が源流だ。 「HIT」の名称で 09 年には世界トップ 3 も視野に入れていたが、現在はジンコソーラーなど中国メーカーに市場の 3 割を奪われトップ5位にも及ばない。 島根の工場は太陽光パネルから取り出した電気を直流から交流に変換するパワーコンディショナー(電力変換装置)の生産に集中する。 車載用パネルを生産する大阪府貝塚市の工場では従業員の配置転換をする見通し。 今後は再生エネの発電システムに蓄電池や制御機器を組み合わせ、家庭や街区のエネルギー使用を効率化するエネルギーマネジメント事業に経営資源を振り向ける。 (nikkei = 1-31-21)


「全固体電池」の容量倍増に成功! EV 搭載で航続距離の大幅アップに期待かかる
東京工業大学や東北大学などが確認

東京工業大学や東北大学などの研究グループは、高いエネルギー密度や高速充放電などの特性を持つ次世代電池「全固体電池」の電池容量を倍増できることを明らかにした。 高出力型全固体電池の電極材料として期待されている「リチウムニッケルマンガン複合酸化物」を使用。 電極と固体電解質の境界面を不純物が含まないよう作ると、全固体電池の容量を倍増できることが分かった。 電気自動車 (EV) の航続距離の増加などが期待される。

研究グループは、良好な界面が得られる薄膜作製技術を利用し、同酸化物の薄膜を形成。 さらにリン酸リチウムの固体電解質を成膜し、負極としてリチウムを蒸着させた。 リチウム 2 個を含む状態とリチウムを含まない状態の同酸化物それぞれが、放電状態と充電状態として 50 回の安定した充放電ができた。 さらに従来の同酸化物を利用した電池容量の 2 倍になることが分かった。 従来はリチウム 1 個の同酸化物を放電状態として使っていた。

さらに放射光 X 線を利用した実験で、電極と固体電解質が形成する界面付近のリチウムの分布などを調べた。 リチウムイオンが固体電解質側から同酸化物側に移動し、リチウム 2 個を含む同酸化物に変化していることを示した。 産業技術総合研究所や日本工業大学との共同研究。 成果は 26 日、米化学会誌 ACS アプライド・マテリアルズ・アンド・インターフェーシーズ電子版に掲載された。 (NewSwitch = 1-28-21)


激安 CO2 測定器の精度は? コロナ対策で濃度測定の試み

新型コロナウイルスの感染対策として、換気がきちんとできているかを知るため、自治体が飲食店などで二酸化炭素 (CO2) 濃度を測る試みが始まっている。 正しい測定や換気はどうすればよいのか。 また、インターネットで安価な測定器が入手できるが、製品の質は確かなのか。 愛知県豊橋市で 1986 年から営業を続けるバー「20's Bar IROHA」は換気対策に天井ファンを新設した。 雑居ビルの一室で窓がないため、換気扇とドア開閉に頼っていた換気にファンを加え、空気の流れを改善した。

バーには昨年 11 月、市保健所の職員が CO2 濃度の測定に訪れた。 店内で最大の濃度となったのは奥まったテーブル席で会話をした時で、900ppm を示した。 換気が良好に保たれていることを示す 1 千ppm 未満に収まっていたが、テーブル席に市販の CO2 測定器を置き、換気状況を常にチェックできるようにした。 藤本佐知子店長は「数値が出ることで安心につながり、お客様の受けも良いです」と話す。 豊橋市は今年度末までに、小規模な飲食店約 60 店で、CO2 濃度を測定して「換気の見える化」をし、アドバイスをする計画だ。

神奈川県は、飲食店などに小型の CO2 測定器の無償貸し出しを始めた。 当初 200 台を用意したが、12 月 9 日に受け付けを始めたところ即日、申し込みが上限に達し、県は追加で 400 台を確保した。 店は測定器を 6 週間使った後、返却するか購入するかを選べる。 費用は県が 4 分の 3 を負担する。 厚生労働省は飲食店など商業施設のコロナ禍での換気対策として、CO2 濃度が 1 千ppm を超えていないか確認するよう勧めている。 この濃度は、ビルを管理する法律で定められている空気環境基準がもととなっている。

法では大規模な商業ビルなどに CO2 濃度の報告を義務づけている。 厚労省の資料によると、基準を満たさない割合は年々増えており、2017 年度は約 30% だった。 建物の気密化が進んでいることなどが一因と考えられる。 北海道大の林基哉教授(環境空間デザイン学)は「(報告義務がない)小規模な建物では、換気が不十分な所もさらに多いだろう」と話す。

林教授は CO2 濃度と感染リスクの直接的な因果関係はわかっていないとした上で、「換気が悪い所では空気感染のように感染することは WHO (世界保健機関)も認めている。 1 千ppmは最低限の条件としてクリアしてほしい。」と話す。 測定については、奥まって空気が滞りやすかったり、人が多く過ごしたりする席など CO2 濃度が高まりやすい場所で測れば、換気の適切なタイミングを把握できるとしている。

調理器具や暖房器具の近くだと息以外の CO2 を検出するため、感染対策としての目安にはならないという。 冬の換気では、室温の低下にも注意が必要だ。 寒さは血圧を上昇させ、心臓や脳などの血管の病気による死亡リスクを高める。 国土交通省の資料によると、冬の死亡増加率は 17.5% で、住宅の断熱化が進んでいない温暖な地域の方が高い傾向にある。 厚労省は室温の目安を 18 度以上としており、火災に気を付けて、換気で開けた窓の近くに暖房器具を置くことなどを勧めている。

林教授が勤める北大工学部では、主な講義室に CO2 濃度測定器を設置し、800ppm を超えたら窓を大きく開けて 換気するようにしている。 窓の直下にスチーム式の暖房があるため、室温はそれほど下がらないという。 800ppm としているのは、空気の流れによる一時的な急変動や、簡易な測定器の誤差を考慮して余裕をもたせているためだ。 市販の簡易な測定器は、保健所や大学の研究室が使う専用機器と異なり、精度にばらつきがある。 飲食店などが独自に測定する場合、どのような製品を選べば良いのだろうか。

東京理科大の倉渕隆教授(建築環境工学)は、ネット通販などで売られている測定器 10 種類以上を実際に購入して CO2 濃度を測定し、精度を調べた。 その結果、現状では「1 万円以下の製品は買うべきではない」と指摘する。 倉渕教授によると、激安の製品は、販売元や製品の外観が違っても同じ海外メーカーが製造しているとみられるという。 表示される濃度に実際の濃度と 2 千ppm 以上も差があり、誤差とも呼べないレベルだった。 「おそらく何も測っていない。」

測定器は研究用だと 5 万円以上するが、1 万円台から 3 万円程度の製品も、目安として使うには十分な精度があるという。 おおよその精度を確かめるには、外の空気を測定し、外気の CO2 濃度として知られる 415 - 450ppm に近い表示が出るかどうかで判断できる。 倉渕教授は「CO2 濃度は 1 千ppm 以上になっても、体感的にはまったく気づかない。 数値で換気の目安を把握することは有意義だ」と話す。 (野中良祐、asahi = 1-25-21)


ルネサスや NXP、半導体 1 - 2 割値上げ 車やサーバー向け

ルネサスエレクトロニクスや東芝、オランダ・NXP セミコンダクターズなど世界の半導体大手が自動車や通信機器向け製品の値上げに踏み切る。 上げ幅は 1 - 2 割程度が中心となる。 需要急増に供給が追いつかず、限られた生産委託先を確保するための費用もかさんでいる。 品薄は半年近く続くとの見方もあり自動車メーカーなどの収益にも影響が出かねない。 車載向け半導体で世界シェア 3 位のルネサスはこのほど顧客企業に製品価格の値上げを要請した。 電圧を制御するパワー半導体や車の走行を制御するマイコンなどが対象。 車載向けは平均で数%、サーバーや産業向けなどは 1 - 2 割とみられる。 東芝も車載向けパワー半導体などで値上げ交渉を開始した。

これまでも半導体メーカーはコスト高で不採算となった製品については値上げを求めていた。 今回のように複数企業が一斉に複数製品で値上げに動くのは「2000 年の IT バブル期以来(英調査会社オムディアの南川明氏)」とみられる。 複数の関係者によると車載向け 2 位の NXP やスイスの ST マイクロエレクトロニクスなど海外大手も約 1 - 2 割の値上げを顧客に提示した。 NXP は日本経済新聞に「価格改定は事実だがそれ以上のコメントは控える」とし、ST マイクロは「コメントは控えたい」と回答した。 (nikkei = 1-22-21)


台湾・TSMC、車載向け半導体不足で 5 月に増産へ

半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造 (TSMC) は、5 月をめどにした先端半導体の増産に向け、準備に入った。 全世界で自動車の減産を招いている車載用半導体の供給不足に対応するためとみられる。 半導体不足問題の長期化が懸念されているが、増産が実現すれば、裾野の広い自動車産業を悩ます "減産ドミノ" に歯止めがかかりそうだ。 TSMC は台湾の先端半導体工場での増産を目指し、このほど地元サプライヤーに対して協力要請を出した。 現在は半導体製造に必要な材料などについて、5 月頃からの供給予定量の増量余地を調査している段階だ。 そのため、増産の実現性や規模はまだ不透明だ。

世界的に半導体不足が深刻なのは、蘭 NXP セミコンダクターズやスイスの ST マイクロエレクトロニクスなどが TSMC 中心にファウンドリーへ生産委託する自動車向けの先端半導体だ。 車載用マイコンやカーナビゲーションシステム用統合チップ「SoC (システム・オン・チップ)」などの供給不安は 2020 年末に顕在化した。 すでに独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車、日産自動車、ホンダなど世界大手が軒並み減産を強いられている。 ただ、TSMC などが持つ先端半導体の生産能力はコロナ禍の IT 特需や第 5 世代通信 (5G) 関連の注文でほぼ埋まり、車載半導体不足の解消には時間がかかるとの見方も出ていた。 TSMC の増産準備は、危機感を強める自動車業界への吉報となりそうだ。

TSMC は台湾のほかに、米国と中国に生産拠点を構える。 ただ先端半導体は現状、台湾だけで製造しており、全世界のキーデバイス需要が一極集中しやすい市場構造にあった。 20 年に発表した米国アリゾナ州での新工場計画が実現すれば、同社にとって海外初の先端半導体工場になる。 (NewSwitch = 1-18-21)

◇ ◇ ◇

世界的なパワー半導体の需給逼迫、東芝や富士電機に商機

最近の世界的な自動車減産の一因とされる電力制御用パワー半導体の需給が逼迫している。 コロナ禍で落ち込んだ車生産の急回復を受けた欧州大手の供給不足に加えて、主要国での再生可能エネルギー投資拡大も需要を押し上げる。 東芝や富士電機などは車電動化と脱炭素化で新たな商機も巡ってきそうだ。

パワー半導体は自動車や白物家電、ロボット、鉄道などの電力制御から、太陽光や風力発電の直流・交流変換まで幅広く使われる。 東芝は 2020 年度下期において車載用パワー半導体の受注量が同上期比で約 4 割増える見通しだ。 「国内外でパワー半導体の需要が増加しており、足元の需給はタイトな状況だ。 主力拠点の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)では 20 年 10 月からフル稼働が続いている(東芝デバイス & &ストレージ)」と追い風が吹く。

国内の同業も「車載向けのパワー半導体の需要は依然として強い(富士電機)」、「今後の需要動向について注視している(三菱電機)」と期待を寄せる。 「車載用だとすぐに半導体メーカーを変更するのは難しいから短期的な好影響は少ないが、長期的には『やはり日系メーカーへ変える方が良い』となるかもしれない(英調査会社オムディア・杉山和弘コンサルティングディレクター)」と長期戦で商機を見いだせそうだ。 需給逼迫の背景にはパワー半導体大手のスイスの ST マイクロエレクトロニクスや蘭 NXP セミコンダクターズなどの供給不足があるとみられる。

「(コロナ禍で)車載用に割り振っていた能力を再生エネ市場へ付け替えた。 欧州と中国は再生エネ向けのパワー半導体需要がすごく高い(杉山コンサルティングディレクター)」と脱炭素化が遠因だ。 欧州勢が供給難に陥っている車載用半導体はパワー半導体に限らず、先端半導体など多岐にわたる。 それら先端半導体の生産は台湾積体電路製造 (TSMC) など半導体受託製造(ファウンドリー)大手を多く活用する。

20 年前半は新型コロナウイルス感染拡大により世界の新車販売が落ち込んだ。 時を同じくして、コロナ禍を契機とした在宅勤務や巣ごもり需要でデータセンターやパソコン、テレビ、ゲーム機のほか、普及の本格化する第 5 世代通信 (5G) スマートフォン向け先端半導体の発注がファウンドリーに集中。 「TSMC などの先端半導体の生産能力は車載以外で埋まっており、6 カ月先でないと新規注文を受けられないと言っている。 21 年上期はこの状況が続きそうだ(杉山コンサルティングディレクター)」と半導体不足は長引きそうだ。 また、半導体に加えて、車載用コネクターや基板など他の電子デバイス・材料も不足感が出ているようだ。 電動化に向けて自動車産業は新たな試練を迎える。 (編集委員・鈴木岳志、NewSwitch = 1-17-21)

関 連 情 報 (1-15-21)


パナソニックがワクチン保冷器開発、ファイザー製に対応

パナソニックは、新型コロナウイルスのワクチンの輸送や一時的な保管ができる保冷ボックスを開発した。 超低温での保存が必要となる米製薬大手ファイザーなどが共同開発したワクチンにも対応する。 3 月にも製薬会社や関連業者に見本品の提供を始め、その後、リース方式での販売をめざしている。 開発した保冷ボックスは容量が 120 リットルと 57 リットルの 2 種類。 120 リットルのタイプは外気温が 30 度でも、ドライアイス 34 キロを詰めれば、零下 70度以下の状態で最長 18 日間保存できるという。

パナソニックが冷蔵庫などの製造で培った省エネ技術を生かした。 継ぎ目をなくすことで冷気の漏れを防ぎ、断熱材に発泡ウレタンやグラスウールを使って保冷能力も高めたという。 日本への供給が予定されるワクチンは輸送時も含めて低温での保存が条件。 ファイザーと独バイオ企業のビオンテックが共同開発したワクチンは零下 70 度、米バイオ企業モデルナ製は零下 20 度ほどを保たなければならないという。(井東礁、asahi = 1-22-21)


半導体で "日台連合" 実現か? 受託生産最大手の TSMC、つくばに開発センター新設へ
北九州市にも工場建設を検討

半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造 (TSMC) が、2021 年内にも茨城県つくば市に先端半導体製造の技術開発センターを新設する計画が分かった。 日本の製造装置・素材メーカーと共同開発に乗り出す。 また、北九州市を有力候補として 25 年をめどに工場建設を検討する。 日本政府も支援する。 第 5 世代通信 (5G) や人工知能 (AI) に使う先端半導体は米中貿易摩擦の主戦場であり、関連産業の強い日本の立地優位性が見直されつつある。

TSMC はつくば市に先端半導体の微細化やパッケージ技術の共同開発拠点をつくる。 東京エレクトロンや SCREEN ホールディングス、信越化学工業、JSR などが参画するとみられる。 また、産業技術総合研究所(産総研)や新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) も協力する。 拠点内にパイロットラインを構築し、さらなる微細化に必要な成膜・洗浄技術のほか、チップを積層する 3 次元 (3D) パッケージ技術などの開発を順次始める。 それぞれ 25 年をめどに実用化を目指す。 政府も経済産業省が 20 年度第 3 次補正予算案で積み増した「ポスト 5G」基金などを通じて日台連携を後押しする。

TSMC は日本で初めてとなる半導体工場の建設も検討する。 北九州空港跡地の産業団地などが立地候補に挙がる。 ただ、巨額の設備投資が必要な半導体製造の前工程か、パッケージなどの後工程になるかは今後計画の詳細を詰める。 TSMC は現在、米国アリゾナ州でも先端半導体工場計画を進めている。 激化する米中の技術覇権争いを背景に、トランプ政権の強い要請に応える形で工場進出を決めたと言われる。 20 年 11 月の米大統領選挙で民主党のバイデン前副大統領が勝利したことで、同社の計画に不透明感が漂う。 日本への工場進出計画にも影響しそうだ。

最近は同業で中国最大手の中芯国際集成電路製造 (SMIC) が急速に力をつけてきた。 ライバルを突き放したい TSMC と、先端半導体を国産化して米国などと対中包囲網を形成したい日本の思惑は一致している。 (NewSwitch = 1-10-21)


コロナでも自動化の流れは止まらない! 21 年のロボット受注は 4% 増の 8,840 億円見通し

日本ロボット工業会は 2021 年のロボットの年間受注額(非会員を含む)が、前年比 4.0% 増の 8,840 億円になるとの見通しをまとめた。 マイナス傾向にあった 20 年実績も、中国向けなど輸出市場がけん引したことで、結果的にはプラスに転じた。 新型コロナウイルス感染拡大の影響は依然として懸念されるものの、産業用ロボ市場は自動化に対する底堅い需要を取り込み成長を続けそうだ。

同工業会では受注額が 2 年連続で増加すると予想する。 小笠原浩会長(安川電機社長)は 21 年のスタートにあたり「緩やかな景気回復とともに、以前からの底堅い自動化需要に加えて、コロナ禍による感染防止対策上での新たなロボットニーズも生まれている」と期待感を示した。 21 年受注予想の 8,840 億円は、01 年以降では過去最高だった 18 年の 9,620 億円、そして 17 年の 9,440 億円に次ぐ水準となる。 19 年は米中貿易摩擦の影響を大きく受け、一転してマイナス基調となり 8,110 億円に減少していた。 ただ、20 年の受注額は同 4.7% 増の 8,500 億円を見込み、再び増勢に転じた。 (NewSwitch = 1-3-20)


蜜月だったパナとテスラ「すれ違い」どこで? 新型電池

テスラも開発 突然の問いかけ

この夏、パナソニック社長の津賀一宏は、米テスラの役員とウェブ会議に臨んでいた。 「新型の電池を近く発表する。 何か提案はないか。」 先方の突然の問いかけに、即答できなかった。 テスラは電気自動車 (EV) の最大手。 電池を供給するパナソニックと二人三脚で歩んできた。 ただテスラは当初から電池の自社開発を考えていた。 その計画が着実に進んでいたことを知らされた瞬間だった。 テスラの最高経営責任者 (CEO)、イーロン・マスクは、すぐに動いた。 9 月 22 日、米カリフォルニア州で開いたイベントで宣言した。 「大幅にコストダウンした新型電池で、3 年後には 2 万 5 千ドル(約 260 万円)の EV をつくる。」

新型電池はすでに試験生産を進め、量産も視野に入れる。 パナソニックも同様の電池の開発を急ぐが、テスラに先行を許せば、自社の優位が揺るぎかねない。 ただ津賀は「大した知的財産も持たないテスラが単独ではできない」と強気だ。 社内には、いずれテスラが頼ってくるだろうとの見方がある。 だが、「テスラがどこまでノウハウを持っているのか、競合他社と交渉しているのかもわからない(幹部)」との不安もある。

関係にブレーキ「すれ違い」

両社はこれまで、蜜月関係を築いてきたはずだった。 どこで「すれ違い」が起きたのだろうか。 テスラだけで、新しい電池をつくれるのか。世界初の量産型電気自動車 (EV) 「日産リーフ」の電池開発に携わった慶応義塾大学大学院の堀江英明特任教授の分析を、記事後半でご紹介します。 そもそもは三洋電機が 2006 年に電池を供給したのが始まりだ。 パナソニックが三洋を買収した後、12 年に「脱家電」を掲げる津賀が社長に就くと、マスクとの個人的な関係を深めていった。 米国で約 2 千億円を投じて共同運営の電池工場を建て、津賀は「テスラとの協業で世界をリードしたい」と意気込んだ。

だが、直後に誤算が生じる。 テスラが主力と位置づける「モデル 3」の量産につまずいたのだ。 パナソニックの業績も直撃し、テスラの経営危機が報じられる度に株価が下落。 役員によると「テスラの事業が黒字化するまでは、追加投資はするな」との指示が出た。 パナソニックには、プラズマテレビの失敗で巨額赤字を出した手痛い経験があった。 テスラとの関係に、いったんブレーキを踏むのは自然な判断だった。 だが、相手の見方は違った。 「イーロンはパナソニックととことんやるつもりだったが、パナソニックはついて来られなかった。 テスラとのビジョン(未来像)を共有できるかだった。(テスラ関係者)」

しかし、津賀はテスラの成長に期待をかける。 今年 11 月の経営方針説明会で、収益改善が必須な再挑戦事業としていた EV 用電池を、家電と並ぶ基幹事業に格上げした。 その成否は、来年 6 月に社長職を譲る楠見(くすみ)雄規に託した。 足元では、電池事業には追い風が吹いている。 EV の急速な普及で、電池が足りないのだ。 テスラも例外ではなく、中国・上海工場では中国や韓国メーカーからも電池を調達している。 パナソニックはライバルより品質面で先行していると自負する。 ただ果敢に投資する中韓勢が黙っているはずもなく、いずれ価格競争に巻き込まれるリスクがつきまとう。 アナリストからは「事業の価値が下がる前に売却してしまうような吹っ切ったことが必要ではないか」との指摘も出る。

時価総額は 20 倍差に

パナソニックの電池がなければ、テスラは EV の世界で覇権を握れなかっただろう。 だが、世間の期待を集めるのはテスラばかり。 売上高はパナソニックの 3 割しかないのに、時価総額は 20 倍の開きがある。 その差は、トップが打ち出すビジョンの大きさかもしれない。 パナソニックを創業した松下幸之助は、人々の生活を豊かにすることを一心に考え、クルマづくりの夢までみた。

彼を尊敬するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正は、2 年前に招かれた創業 100 周年イベントで、津賀に向かって、こう力説した。 「10 年後に世界一の自動車会社になるというようなもっと大きな夢が必要ではないか。 電池の提供ではなく、最終製品の自動車をつくり、世界中の人に届けて生活を変え、豊かにする。 象徴的な商品が必要だ。」 = 敬称略 (西尾邦明、asahi = 12 -14-20)

慶応大院・堀江特任教授「将来構想示すべきだった」

世界初の量産型電気自動車 (EV) 「日産リーフ」の電池開発に携わった慶応義塾大学大学院の堀江英明特任教授に、米テスラの新型電池について聞いた。

- - テスラのイーロン・マスク CEO が 9 月、現行品よりコストを半減できる新しい電池の開発に成功したと発表しました。

「EV に最適な電池という観点から開発しており、画期的だ。 手間のかかる液体材料の乾燥工程を省略するなど、1990 年代から続いてきたリチウムイオン電池の生産方式を大きく変えるものだ。」

- - EV にとって電池はなぜ重要なのですか。

「EV はモーター、電圧などを制御するインバーター、電池が三種の神器とされる。 なかでも電池が一番の落ちこぼれで、値段が高く、サイズも大きい。 だから、大きくコストダウンができたり、車のデザインに応じてサイズを変えられたりすれば、より革新的な EV をつくることができる。」

- - テスラだけで、新しい電池をつくれるのでしょうか。

「そうした否定的な見方があるが、私はそうは思わない。 マスク氏のもとで働きたいという優秀な技術者が数多くいて、既存の技術の延長線上ではない非常に独創的な仕事をする。 EV の生産も、マスク氏は着実に実行してきた。 テスラがパナソニックを最初の組む相手に選び、電池について学んだのは大正解だった。」

- - パナソニックの電池の競争力をどう見ますか。

「信頼性や技術はしっかりしたものがある。 だが問題は、少しずつ性能を改善して闘っていることだ。 同じトンネルをちょとずつ掘っているのがパナソニック。 まったく違う方向にトンネルを掘り始めて、性能を飛躍的に高めようとするのがテスラ。 韓国の LG 化学や中国の CATL は、パナソニックの隣でトンネルを掘り始め、機械をたくさんいれて追い越していくイメージだ。 中韓勢は貪欲に学び、巨額の投資も続けている。」

- - パナソニックはどうするべきでしたか。

「将来の EV 電池はこうあるべきだという構想をパナソニックが示すべきだった。 マスク氏もそれを求めていたが、できなかった。 このままでは、徐々にパナソニックは競争力を失う。 リチウムイオン電池で先行したソニーが事業を手放したのと同じ道を歩むことになりかねない。」

- - 新しいトンネルを掘るためには、どうすることが必要でしょうか。

「日本企業の問題は二つある。 一つは、ベテラン社員が自分の道を若手に押しつけがちなことだ。 若手が事業のニーズや未来像をひたすら考える。 没頭がなければイノベーションは起こらない。 もう一つは、日本企業は開発から事業化に移ったタイミングで、量産する工場が一番えらくなる。 もっと研究や開発の部門を手厚くするべきだ。」

- - テスラの強みをどう見ていますか。

「マスク氏は大きなビジョンを持ち、走り続けている。 自分に油を注いで、火をつけながら走るような人だ。 大変な精神力とアイデアがそこにはある。 マスク氏と働きたいという優れた若者が次々と集まっている。 少数でも創造性のある人が集まれば大きなムーブメントになっていく。 そうした企業がもっと日本にも必要だ。」


三菱重工 成長の軸足をジェット旅客機から「脱炭素」に

三菱重工業は「脱炭素」に向けた事業の拡大や技術開発に、2021 年度から 3 年間で計 2 千億円を投資する。 18 年度からの 3 年間と比べて 1.5 倍に増やす。 今後の成長に向けて、事業化が困難になったジェット旅客機にかわり、二酸化炭素 (CO2) の回収や利用、水素やアンモニアを使う発電といった新技術の開発に重点を置く。 30 日に開いたエネルギー事業の記者会見で、細見健太郎常務は脱炭素関連の事業について「2030 年までに技術的なめどをつけ、40 年代で事業化して収益を刈り取っていく」と話した。 10 月末に公表した 21 年度から 3 年間の中期経営計画で「脱炭素」の分野を将来的な経営の柱に据えるとの方向性を示していた。

CO2 排出を実質ゼロにする「脱炭素」をめぐっては、欧州連合が 50 年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)を目指すと表明。 日本政府も 10 月、50 年までの実質ゼロ達成を目標に掲げた。 CO2 削減に向けた各国の動きを、三菱重工では稼ぎ頭の発電設備で商機に結びつけたい考えだ。 火力発電では、排出した CO2 の 90% 以上を回収する、回収後に再利用するといった新技術を確立させるという。 中長期的には CO2 を出さないアンモニアや水素を燃料とする発電設備の開発を目指す。

原子力発電については、CO2 の大幅な削減のためには「必須」と位置づけた。 国内原発の再稼働を後押しすることや、安全性を高めた新型炉の開発を進める計画を示した。 今後、再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電では、提携するデンマークの大手メーカーとともに市場の拡大を目指す。 (小出大貴、asahi = 12-1-20)


ターボチャージャー大手の三菱重工と IHI、次は FCV の基幹部品で覇権狙う

重工大手が燃料電池車 (FCV) の基幹部品開発に取り組む。 水素と酸素が反応する際に空気を圧縮する機器(電動ターボコンプレッサー)で、IHI は大型商用車向けに実用化し、商用車メーカーの動向を踏まえながら 2027 年ごろの量産を視野に入れる。 三菱重工業は子会社が開発を進めている。 両社とも自動車用ターボチャージャー(過給器)を生産しているが、エコカー普及をにらんで新たな需要を取り込む。

FCV の水素と空気中の酸素を反応させて発電するには空気を圧縮する必要がある。 ターボチャージャーも圧力を高めた空気をエンジンに供給して高出力化する仕組みで、FCV 向けに培った技術の活用を見込める。 IHI は大型商用車に搭載する電動ターボコンプレッサーを実用化する。 大型商用車は燃費などの規制強化に加え、荷物を積み込むスペースも確保しなければならず、バッテリー多く搭載する必要がある電気自動車 (EV) 化が難しい。 IHI はすでに海外の自動車メーカーに同コンプレッサーが採用された実績を持ち、商用車の FCV 化が先行するとみて量産に備える。

三菱重工では子会社の三菱重工エンジン & ターボチャージャ(相模原市中央区)が、ターボチャージャーの高速回転技術などを生かして、同コンプレッサーを開発する。 同社は国内外の自動車メーカーを顧客に持ち、乗用車と商用車の両方で需要を開拓する。 両社ともターボチャージャー市場の一角を占め、エンジンの燃費改善や環境負荷の低減に対応してきた。 当面、ハイブリッド車 (HV) を含むエンジン車が主流の見込みだが、エコカーへの移行が加速する可能性があり、持続的な収益確保に向けた開発を強化する。 (NewSwitch = 11-22-20)


PS5 発売 抽選倍率 100 倍「現実に近い映像楽しみたい」

ソニー子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) は 12 日、新型ゲーム機「プレイステーション (PS) 5」を発売した。 7 年ぶりの新機種ということもあり、一部の家電量販店の予約販売の抽選倍率は 100 倍を超えた。 新型コロナウイルス感染防止のために店頭での行列などがない静かな船出となったものの大型商戦への期待が高まっている。 家電量販大手ノジマの「ノジママルイファミリー溝口店(川崎市)」では、午前 10 時半から予約者限定で PS5 の引き渡しを始めた。 早速購入した同市の会社員、小林祐一さん (41) は「現実に近いきれいな映像のゲームを楽しみたい」と話した。 午前中に受け取りに訪れたのは数人だけ。 発売日当日の店頭販売はなく、感染対策として受取日もずらしたためだ。

PS5 は 1 億台超の販売台数を記録した PS4 以来、7 年ぶりの新機種となる。 価格は通常版が 4 万 9,980 円(税別)、ディスクドライブを省いた機種が 3 万 9,980 円(同)。 ノジマでは予約の抽選倍率が通常版で 40 倍、ディスクがない機種は 150 倍だった。 2 機種合計で 100 倍以上の人気ぶりだ。 PS5 は読み込み速度が PS4 の約 100 倍と速く、場面の切り替えに時間がかからないのが特徴だ。 コントローラーがゲーム内容に合わせて細かく振動するなど高性能な触覚技術も搭載した。 ソニーは初年度の販売台数として PS4 の 760 万台以上を目指す。 (nikkei = 11-12-20)


あつ森で損益スイッチ 任天堂、純利益予想が過去最高に

任天堂は 5 日、2021 年 3 月期決算の予想を発表し、純利益が前年比 16% 増の 3 千億円で過去最高になる見通しだとした。 8 月時点の同 22% 減の予想から一転した。 コロナ禍の「巣ごもり」需要で、ゲーム機の「ニンテンドースイッチ」とソフト「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」の売れ行きが好調だった。 売上高は同 7% 増の 1 兆 4 千億円、営業利益は 27% 増の 4,500 億円を見込んだ。 同日発表した 20 年 9 月中間決算は、売上高が前年同期比 73% 増の 7,695 億円、営業利益は同 209% 増の 2,914 億円、純利益は同 243% 増の 2,131 億円。 いずれも中間決算では過去最高だった。

一時生産停止で品薄スイッチ、マレーシアでも製造開始

ソフト全体の販売は前年比 7 割増の 1 億 25 万本で、あつ森が国内外で 1,427 万本売れたことで押し上げた。 一方、ゲーム機のスイッチ本体は前年よりも 8 割多い 1,253 万台だった。 これを受けて同社は 21 年 3 月期のスイッチの販売目標を 1,900 万台から 2,400 万台に引き上げた。 スイッチをめぐってはコロナ禍の影響で 3 月以降、中国での生産が一時停止し、世界的な品薄状態になった。 だが夏以降に回復して「現在は全く問題ない状況。(古川俊太郎社長)」 今夏にはマレーシアでも製造を始め、生産拠点の分散を進めているという。

これからクリスマスやお正月などに向けた商戦期を迎えるが、古川社長はスイッチの生産体制が整っているとの認識を示し、「年末商戦に向けてよい準備ができている」と述べた。 ゲーム業界は任天堂に限らず、「巣ごもり」需要の追い風による好業績が目立つ。 カプコンの 20 年 9 月中間決算は、純利益が前年同期比 32% 増の 129 億円で、中間決算として過去最高を記録。 ゲーム事業に勢いがあるソニーも 10 月下旬、8 月時点で前年割れと見込んだ 21 年 3 月期の純利益予想について、前年比 37% 増の 8 千億円に上方修正した。 (森田岳穂、asahi = 11-5-20)

前 報 (9-8-20)


AI がブドウの外見を評価! 統一化・標準化目指す

シブヤ精機(浜松市東区)は、ブドウの外観を評価する人工知能 (AI) モデルを開発した。 ディープラーニング(深層学習)でマスカットや巨峰を評価する。 従来は人が品評してきたが AI 活用で評価の統一化や標準化を目指す。 巨峰やマスカットを撮影して深層学習で判定する。 農協での品評データを学習させた。 ブドウの房と粒を検出して、粒ごとに「秀」や「優」と判定する。 粒の検出率は 8 割ほど。 1 秒当たり 10 個の処理ができる。 ブドウの品評は実の大きさやそろいぶり、実の密集度や配置を評価する。 画像処理の定型的な判断では品評が難しかった。 深層学習はデータをそろえれば、人の評価の感性的な部分を吸収できる。

現時点ではブドウをフィルムで包むと評価が難しくなるなどの課題がある。 各産地での評価基準も変わるため、各産地でデータを集めて AI に反映する必要がある。 この過程でブドウの品評ノウハウが AI に落とし込まれ、標準化されると見込む。 AI 化で、公平で一貫した評価になると期待する。 AI による外観評価はシステムの一部。 同社は前後の搬送系などを含めたロボットシステムとして提案していく。 (NewSwtch = 11-1-20)


ソニー、業績予想を上方修正 「鬼滅の刃」も貢献

ソニーは 28 日、2021 年 3 月期の業績予想を上方修正すると発表した。 グループ会社が制作するアニメ「鬼滅の刃(やいば)」が貢献するほか、コロナ禍の「巣ごもり需要」によってゲーム事業も伸びるという。 純利益は前年比 37.4% 増の 8 千億円とした。 8 月時点では前年比マイナスと見込んでいたが、一転して増益の予想となった。 売上高は同 2.9% 増の 8 兆 5 千億円。

「鬼滅の刃」はストリーミング配信や映画での収入を見込む。 アニメを含む音楽事業の営業利益は、8 月時点から 220 億円の上方修正で 1,520 億円を見込む。 ゲーム事業はソフト販売が好調に推移しており、営業利益は同 600 億円増の 3 千億円と予想する。 一方、カメラの画像処理向け半導体であるイメージセンサー事業の業績は落ち込むとした。 大口の取引先とされる中国通信大手・華為技術(ファーウェイ)に対して米トランプ政権が半導体輸出規制を強化したことを受け、イメージセンサー事業の営業利益は 8 月時点から 490 億円減の 810 億円と見込む。 (asahi = 10-28-20)