「時限措置」だった日銀の ETF 購入 当時の懸念現実に

日本銀行は25日、2010年下半期の金融政策決定会合の議事録を公開した。日銀が続ける上場投資信託(ETF)の買い入れに踏み切った時期。日銀の財務に与える影響などの副作用を意識しつつ、「時限的な措置」として導入を決めた様子がうかがえる。しかし、日銀のETFの保有額は巨額に膨らみ、今も出口の議論すらできず、当時の懸念が現実になっている。

当時の日本経済はリーマン・ショック後の円高と、物価の下落が続くデフレに苦しんでいた。 09 年 11 月に政府がデフレを宣言。 日銀は有利な条件でお金を貸す新しい資金供給制度をつくり、10 年 8 月にはその枠を拡充したが、大きな効果はみえず、翌月には 1 ドル = 82 円台まで円高が進行。 菅直人政権が 6 年半ぶりの為替介入に踏み切った。 菅首相はさらに、日銀に「必要な政策対応を」と異例の注文をつけた。 こうした中、ETF や不動産投資信託(J リート)の購入という前例のない政策に踏み込むことを決めたのが 10 月 4 - 5 日の会合だった。

政策の狙いは、日銀が買い手に入ることで、他の投資家に安心感を与えて市場を活性化するという「呼び水」効果だ。 会合では、長期化した場合の副作用に触れる声も目立ち、「時限的な措置」という前提で各委員が賛成した。 西村清彦副総裁は、ETF について、株価の動向によって「資産の損失発生リスクを日本銀行が負うということを意味する。 それは国庫納付金が減少するという意味で国民に負担が及ぶ。 その意味は非常に重いものであることは十分認識しなければならないし、国民に対して説明責任を果たしていかなければならない」と述べ、政策を進める上での条件を挙げた。

亀崎英敏委員は「なかなか効果が出ない時に、マーケットからどこまで際限なく要求が出てくるのか。 そうした要求が出てきた時にどう対応するか等も含めて、執行部には検討して頂きたい」と指摘し、どんどん買い入れが膨らむことへの懸念を示した。 会合の議長として、ETF 買い入れやゼロ金利の復活などの「包括的な緩和策」を提案した白川方明総裁も、会合ではこれらの政策を「臨時、異例の措置」と強調。 「いつの間にか恒常化する危険性がある」と述べ、他の金融政策と区別するため、基金という形で ETF などの資産を管理する必要性を説明していた。

日銀はこの会合後に、ETF 購入額の上限を 4,500 億円と決め、12 月に実際の買い入れを始めた。 ただ、13 年の黒田東彦総裁の就任後は、ETF の保有額を毎年増やす運用に変更。 年 1 兆円、3 兆円、6 兆円へと金額も増額。 新型コロナウイルスの感染拡大で株式市場が混乱した昨年 3 月には上限を 12 兆円まで増やした。 日銀が購入した ETF の総額は昨年 9 月末時点で約 35 兆円。 時価総額では同 11 月末時点で 45 兆円に達し、国内株の最大株主になったとみられている。 (渡辺淳基、asahi = 1-25-21)


日経平均、一時 2 万 8 千円台 1990 年 8 月以来の高値

8 日の東京株式市場で、日経平均株価が一時 2 万 8 千円台をつけた。 1990 年 8 月以来となる。 (asahi = 1-8-21)

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新年の日経平均、一時 400 円下げ 緊急事態宣言報道で

東京株式市場は 4 日、新年初めての取引となる「大発会」を迎えた。 日経平均株価は昨年 12 月 30 日の終値より 131 円 40 銭高い 2 万 7,575 円 57 銭で取引が始まった。 昨年末の米株高を好感したが、その後、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、政府が首都圏の 1 都 3 県に緊急事態宣言を発出する方向で調整しているとの報道などを受け、下げに転じた。 下げ幅は一時 400 円を超えた。 (asahi = 1-4-20)

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日経平均、今年の終値 2 万 7,444 円 歴代 3 位の高値

東京証券取引所は 30 日、今年最後の取引を終えた。 日経平均株価の終値は 2 万 7,444 円 17 銭(前日比 123 円 98 銭安)。 年末の株価としては、バブル経済で史上最高値をつけた 1989 年の 3 万 8,915 円以来の高値で、過去 3 番目となった。 春にはコロナショックで株価が大きく落ち込んだが、その後は金融緩和などで市場にあふれた資金が株価を押し上げた。 年間の値幅(高値と安値の差)は 1 万 1,015 円。 1 万円を上回ったのは、バブル崩壊で暴落した 90 年以来 2 度目で、値動きの激しい一年だった。

取引終了後にあった東証の大納会で、親会社・日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者は「新型コロナウイルスに振り回された一年だった」と今年の相場を振り返った。 今年 1 月に 2 万 4 千円台をつけた日経平均は、コロナ禍が国内で本格化した 3 月には、3 年 4 カ月ぶりとなる 1 万 6 千円台半ばまで急落。 4 月以降は、各国政府による財政出動や中央銀行の金融緩和であふれた資金が市場に流れ込み、相場は回復基調に転じた。 さらにコロナのワクチン開発やコロナ収束後の景気回復への期待が先行し、秋以降、日経平均はバブル崩壊後の最高値圏を続けた。(吉田拓史。asahi = 12-30-20)

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日経平均、一時 400 円超値上がり 2 万 7 千円台を回復

29 日の東京株式市場は買いが優勢で、日経平均株価が大きく値上がりしている。 前日比の上げ幅は一時 400 円を超え、取引時間中としては 1991 年 4 月以来となる 2 万 7 千円台を回復した。 (asahi = 12-29-20)


劇場版「鬼滅の刃」興行収入 324 億円 歴代 1 位に

劇場版「鬼滅の刃」が国内の歴代興行収入 1 位となりました。 19 年ぶりの記録更新です。 10 月 16 日から全国で公開されている劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の興行収入が公開から 73 日間で 324 億円を超え、国内の歴代興行収入 1 位となりました。 19 年ぶりの記録更新となり、観客動員数も 2,400 万人を超えています。 これまでの歴代 1 位は 2001 年に公開された「千と千尋の神隠し」の 316 億 8,000 万円でした。 今月 26 日からは全国 82 の劇場で、より臨場感が楽しめる MX4D・4DX 版の上映が始まり、先着 30 万人にアクリルキーホルダーが配布されています。 (テレ朝 = 12-28-20)

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「鬼滅」、経済効果 2,000 億円超
映画好調、コミックス発行 1.2 億部 人気全集中で関連商戦熱く

「鬼滅の刃」の最終巻が 4 日に発売された

人気漫画「鬼滅の刃」のブームが止まらない。 電子版を含むコミックスの累計発行部数は 1 億 2,000 万部を突破し、映画の興行収入も歴代 1 位をうかがう。 食料品を中心に関連商品も好調で、新型コロナウイルスの感染拡大でしぼむ消費を喚起。 経済効果は 2,000 億円を超えるとの試算もある。 4 日に電子書籍で最終巻を購入した会社員の 20 代女性は「読み終わっても感動が止まらない」と興奮気味だ。 単行本も買うという。 「鬼滅の刃」のコミックス累計発行部数(電子版を含む)は 2 月の 19 巻発売で 4 千万部を超えて以降、各巻の発売時に 2 千万部ずつ伸ばしてきた。

出版科学研究所(東京・新宿)によると、コミックスで累計発行部数が 1 億部を超えた作品は「ドラゴンボール」、「NARUTO」、「ワンピース」、「スラムダンク」など 9 作品に限られる。 毎月のコミックスの販売ランキングでも、全巻が上位に入り続ける異例のヒットぶりだ。 映画業界でも記録を打ち立てようとしている。 10 月に公開した映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入は 11 月 29 日までで 275 億円を超えた。 洋画と邦画を含む国内映画では、興行収入で「タイタニック」(262 億円)を超えて歴代 2 位に入った。 歴代 1 位の「千と千尋の神隠し(308 億円)」に迫る勢いだ。

社会現象にまで発展した背景には、原作の漫画の面白さに加え、アニメと映画の制作・配給を担ったソニー傘下のアニプレックスの戦略がある。 TOKYO MX でアニメのテレビ放送を開始して 1 週間以内に、複数の動画配信サービスでも配信を始めた。 テレビとネットの両方で消費者との接点を増やした。 コロナ下で自宅で過ごす巣ごもり需要の高まりも捉えた。 コラボ商戦も好調だ。 コンビニ大手ローソンが映画公開に合わせたキャンペーンでは、キャラクターのイメージに沿った味付けのおにぎりなど 50 種類を 10 月から発売。 開始 10 日間で 1 千万個以上が売れた。 11 月中旬時点で、売上高は既に 50 億円に達する。

ダイドードリンコは登場キャラクターをあしらった缶コーヒーの販売計画を 1,500 万本上乗せする。 コラボ缶の累計販売本数は公表していないが、10 月に発売すると約 3 週間で 5 千万本超が売れた。 2021 年 1 月期のコラボ缶の販売数量は、前期のコーヒー飲料全体の 1 割強を占める見込みだ。 三井住友 DS アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「経済波及効果は少なく見積もっても 2 千億円超になる」と推計する。 コロナ下で企業の業績が悪化するなか、「鬼滅の刃」の波及効果は無視できず、企業も熱い視線を注ぐ。

最終巻が出た後も人気は続くのか。 メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏は「ヒットは続く」と言い切る。 例年と比べると、新型コロナの影響でコンテンツの新作の発表が少ないという。 特に映画業界では、欧米の感染拡大でハリウッド作品の公開延期が続いており「競合の作品がない。(黒川氏)」 企業との連携もあり、息の長い作品になりそうだ。 (nikkei = 12-5-20)


感染拡大でも「持ち直しの動き」維持 政府月例経済報告

政府は 22 日公表した 12 月の月例経済報告で、国内景気について「依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」との判断を据え置いた。 この表現は 6 カ月連続。 足元ではコロナ感染の「第 3 波」が続き、景気の下押し圧力が強まっているものの、政策効果や海外経済の改善によって回復基調が続くとの見方を維持した。 月例経済報告は景気に対する政府の公式見解。 個別項目では、個人消費の判断を前月までの「持ち直している」から、「一部に足踏みもみられるが、総じてみれば持ち直している」に下方修正した。 自動車販売などの回復が確認できる一方で、外食や旅行業などでは感染の再拡大に伴い消費を控える動きが広がっているという。

一方、輸出は「持ち直している」から、「増加している」に上方修正した。 中国向けの電子部品をはじめ、アジアや米国向けの輸出数量が増えているという。 輸入や企業収益、倒産件数についても、それぞれ判断を上方修正した。 先行きは「持ち直しの動きが続くことが期待される」との判断を維持。 ただ、コロナ拡大の影響について「内外経済を下ぶれさせるリスクに十分注意する必要がある」と指摘した。 一方、専門家からは景気の先行きにさらに慎重な見方が出ている。 大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「個人消費は減速感が強まっており、緊急事態宣言を求める声も出はじめている。 輸出も悪化する可能性が否定できず、下ぶれリスクは急速に高まっている」と指摘する。 (山本知弘、asahi = 12-22-20)


生産性では計れぬもの ビジネス書にない中小企業の真実

記事コピー (12-18-20)


日銀短観、設備投資・新卒採用に慎重 景況感は改善

日銀が 14 日発表した 12 月の全国企業短期経済観測調査(短観)では先行きに慎重な企業の姿が浮き彫りになった。 2020 年度の設備投資を全規模全産業ベースでみると、前年度に比べ 3.9% 減で 9 月調査(2.7% 減)から下方修正となった。 新卒採用も 21 年度は大幅減の計画だ。 新型コロナウイルスの影響が長引くことに備え、企業は守りを固めている。 全規模ベースの設備投資計画は、QUICK が事前に集計した民間予測の中心値(3.3% 減)を下回った。 設備投資計画の下方修正は 3 四半期連続になる。 経済への波及効果の大きい大企業で「業績が悪化するなか、不要不急の設備投資を先送りするとの声があった。(日銀)」

大企業の設備投資計画は製造業が 0.5% 減、非製造業が 1.6% 減だった。 いずれも 00 - 19 年度平均を下回る。 中小企業は 9 月調査から上方修正となったものの、13.9% 減と大幅なマイナスだ。 デジタル化に向け、ソフトウェア投資はプラスを維持した。 全規模全産業で 3.4% 増だ。 ただ、9 月調査からは下方修正しており戦略分野でも投資を絞り込んでいることがうかがえる。 雇用も守勢が目立つ。 21 年度の新卒採用は全規模合計で 6.1% 減らす。 大企業は 7.5% 減の計画だ。 慢性的な人手不足に悩む中小企業は 2.0% 減で小幅なマイナスだった。

足元の景況感の改善で、人員が「過剰」と回答した企業から「不足」の割合を引いた雇用人員判断 DI (指数)は全規模全産業でマイナス 10 となり、前回調査から 4 ポイント不足感が強まった。 それでも新卒採用を増やそうとする企業は少ない。 企業の資金繰りは政策効果が下支えする。 資金繰りが「楽である」と答えた割合から「苦しい」の割合を引いた資金繰り判断 DI は全規模合計で 7 となり、2 ポイント改善した。 銀行や信用金庫の貸出金の伸びは 6% 台と高水準だ。 政府が経済対策として実施する実質無利子無担保融資の効果が大きい。

企業が収益計画の前提とする想定為替レートは 20 年度下期で 1 ドル = 106 円 55 銭だ。 足元の相場より 2 円以上の円安水準となっている。 欧米では新型コロナの感染再拡大で一部で行動制限を実施し、日本企業の海外事業の収益にも影響が出る見通し。 想定レートを超える円高で現地での収益悪化とのダブルパンチになる恐れがある。 (nikkei = 12-14-20)

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日銀短観、民間予測 コロナ影響で厳しい水準続く予測多く

週明けの今月 14 日に発表される日銀の短観 = 企業短期経済観測調査の民間の予測では、大企業の製造業の景気判断は 2 期連続の改善が見込まれるものの、新型コロナウイルスの影響で依然、厳しい水準が続くという予測が多くなっています。 日銀の短観は、国内企業およそ 1 万社に 3 か月ごとに景気の現状を尋ねる調査で、今月 14 日に最新の結果が公表されるのを前に民間のシンクタンクなど 15 社が予測をまとめました。

それによりますと、大企業製造業の景気判断の指数は、各社とも前回・9 月の調査のマイナス 27 ポイントから改善すると見込んでいます。 国内外で経済活動の再開が本格化し、自動車の生産も回復していることが理由ですが、各社の予測の中央値はマイナス 15 ポイントと、依然、厳しい水準が続くという予測が多くなっています。 また前回の調査でマイナス 12 ポイントだった飲食や観光などを含む大企業の非製造業も改善が見込まれていますが、そのペースは製造業に比べて緩やかなものにとどまるという予測が大勢です。 今回の短観は、新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中での調査となり、企業が景気の先行きをどのように見ているかも焦点の 1 つになります。 (NHK = 12-11-20)

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日銀短観、大企業・製造業の業況が改善 2 年 9 カ月ぶり

日本銀行が 1 日発表した 9 月の「短観」は、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数 (DI) が、前回 6 月調査より 7 ポイント改善してマイナス 27 となった。 改善は 2017 年 12 月調査以来 2 年 9 カ月ぶり。 大企業・非製造業は前回より5ポイント改善のマイナス 12 で、1 年 3 カ月ぶりに改善した。 DI は景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした割合を引いた値。 新型コロナウイルスの感染が始まる前から、米中の貿易摩擦や消費増税の影響などを受け、DI は下落傾向が続いていた。

前回 6 月の短観は、大企業・製造業の DI がマイナス 34 と、リーマン・ショック後の 09 年 6 月のマイナス 48 以来、11 年ぶりの低水準だった。 今回は改善に転じ、新型コロナの打撃が底打ちして回復基調へと向かっている。 ただ、DI は依然マイナス圏のため、景気が悪いとみる企業経営者の方が多いことになる。 今後の感染状況が収束に向かうか再び拡大するかを見通せず、景気の先行きも不透明感をぬぐえない。 (箱谷真司、asahi = 10-1-20)

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6 月の日銀短観、11 年ぶり低水準、コロナ打撃深刻化

日本銀行が 1 日公表した 6 月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の最近の景況感を示す業況判断指数 (DI) が 3 月の前回調査から 26 ポイント下落のマイナス 34 となった。 悪化は 6 四半期連続で、リーマン・ショックの影響が残る平成 21 年 6 月調査(マイナス 48)以来、11 年ぶりの低水準となった。 緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で停滞する経済の回復は見通せないままだ。

大企業の非製造業は 25 ポイント下落のマイナス 17。 このうち宿泊・飲食サービスは 32 ポイント下落し、マイナス 91 と過去最低となった。 3 カ月後の景況感を示す DI は大企業製造業で 7 ポイント上昇のマイナス 27、非製造業で 3 ポイント上昇のマイナス 14 とわずかに回復する見通し。 ただ、中小企業は、製造業が 2 ポイント下落のマイナス 47、非製造業は 7 ポイント下落のマイナス 33 だった。 DI は業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。 調査は 5 月 28 日 - 6 月 30 日に実施し、約 1 万社が協力した。 (sankei = 7-1-20)


現状判断 DI は前月比 -8.9 ポイント 11 月景気ウオッチャー調査

[東京] 内閣府が 8 日発表した 11 月の景気ウオッチャー調査で、景気の現状判断 DI は 45.6 となり、前月比 8.9 ポイント低下した。 内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる。 先行きについては、感染症の動向に対する懸念が強まっている。」とした。 (Reuters = 12-8-20)

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10 月の景況感、GoTo で改善 2 年 9 カ月ぶりの水準

内閣府が 10 日公表した 10 月の景気ウォッチャー調査で、3 カ月前と比べた景況感を聞く現状判断指数(季節調整値)は前月より 5.2 ポイント高い 54.5 となった。 節目の 50 を超えるのは 2018 年 1 月以来 2 年 9 カ月ぶり。 10 月に拡大された消費喚起策「Go To キャンペーン」の効果を改善理由に挙げる声が目立った。 この結果、内閣府は基調判断を 2 カ月連続で引き上げ、前月の「持ち直している」を「着実に持ち直している」に改めた。

調査は景気の影響を受けやすいタクシー運転手や商店主らに景気の方向感を尋ねるもの。 指数は 50 が「横ばい」で、上回れば「良い」、「やや良い」との答えが強かったことを意味する。 今回の比較対象は、新型コロナウイルス感染の再拡大が懸念された 7 月だったこともあり、大幅な改善につながった。 業種別で改善幅が目立ったのは小売りが 53.7 (前月比 6.1 ポイント増)、飲食が 60.4 (5.4 ポイント増)、サービスが 58.2 (4.0 ポイント増)など。コメントでは「『Go To イート』で新規客が大きく増えた(近畿の高級レストラン)」、「『Go To トラベル』効果で予約が取れないくらい引き合いがある(東海の旅行代理店)」など、「GoTo」を理由に挙げる声が多かった。

一方、「コロナの影響で利用客は減ったままだ(北海道のタクシー運転手)」など厳しさを指摘する声もある。 景気の現状水準を尋ねた指数も 39.3 (前月比 6.9 ポイント増)と、改善はしても 50 に届いていない。 2 - 3 カ月先の見通しを聞く先行き判断指数は前月より 0.8 ポイント高い 49.1 だった。 改善を期待する声がある一方で、感染警戒から「忘年会や新年会の需要が見込めない(四国のレストラン)」といった声もあった。 (山本知弘、asahi = 11-10-20)

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6 月の「街角の景況感」最大の上げ幅 23 ポイント上昇

内閣府が 8 日発表した 6 月の景気ウォッチャー調査で、現状判断指数(季節調整値)が前月より 23.3 ポイント高い 38.8 となった。 上昇幅は、比較可能な 2002 年 1 月以降で最大。 新型コロナウイルスの感染拡大前の今年 1 月 (41.9) に迫る水準まで回復した。 緊急事態宣言の解除で経済活動が再開されたのを受け、「街角の景況感」は持ち直している。 この調査では、全国の商店主やタクシー運転手など、景気に敏感な職業の人に景況感を尋ねている。 今回は 6 月 25 - 30 日に調査し、1,834 人から回答を得た。 (山本知弘、asahi = 7-8-20)


脱炭素へ 2 兆円基金 首相「グリーンとデジタルを軸に」

菅義偉首相は 4 日、臨時国会の事実上の閉会に合わせ記者会見し、温室効果ガス排出を 2050 年に実質ゼロとする目標を実現するため、協力企業を支援する 2 兆円の基金を創設すると発表した。 新型コロナウイルスの感染が広がるなか、営業時間短縮に協力する事業者やひとり親世帯に向けた支援策も打ち出した。 首相は「ポストコロナの成長の軸となるのがグリーン、デジタルだ」と強調。 環境対策を成長戦略と位置づけ、「過去に例のない 2 兆円の基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後 10 年間、継続して支援する」と表明した。 8 日にまとめる経済対策をめぐり、「デジタル関係で約 1 兆円を超える規模を確保する」とも述べた。

コロナ対策では、自治体が営業時間短縮を要請する際に事業者に支給する協力金などに充てるため、「地方創生臨時交付金」を 1.5 兆円積み増す方針を示した。 ひとり親世帯を支援する「臨時特別給付金」の再支給については「所得が低い世帯は 1 世帯 5 万円」などと具体的な額を示し、予備費を使って年内をめどに行う考えを示した。 不妊治療への保険適用は 22 年度に始める方針を表明。 男性も対象にすると明言した。 保険適用までの間は、助成制度の所得制限を撤廃するとした。

外出や営業などの制限で罰則がない新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正については「事業者や個人の権利に十分配慮をしつつ、感染拡大防止にどのような法的措置が必要なのかを(政府の)分科会で議論頂くなかで、必要な見直しは迅速に行っていきたい」と語った。 10 月の代表質問では「速やかに検討を進めていく」との答弁にとどめていた。 一方、安倍晋三前首相の後援会が行った「桜を見る会」前日の夕食会をめぐる問題については、対応方針を示さなかった。 日本学術会議の会員候補の任命拒否問題についても、従来の説明を繰り返した。

会見時間は 50 分、記者の人数制限も

首相は会見後に、政府の経済財政諮問会議に出席する予定があり、確保された時間は約 50 分。 会見終了時、司会の山田真貴子内閣広報官は、指名されなかった記者の質問は文書で受け付けるとした。 記者会見の参加人数は、内閣記者会に加盟する常勤 19 社から 1 社 1 記者の計 19 人と、フリーの記者らから抽選で選ばれた 10 人に限定された。 記者は全員がマスクを着用して出席した。 感染防止のための臨時的な措置だが、安倍晋三前首相が緊急事態宣言を出した 4 月以降、出席記者を限定する措置が続いている。 官邸報道室はこの対応について「いま官邸全体で密の回避に取り組み、国民にも感染を呼びかけている立場なので、引き続き感染防止を徹底したい」としている。 (asahi = 12-4-20)

首相記者会見の骨子

  • 脱炭素に向けた企業支援の 2 兆円の基金創設
  • 経済対策でデジタル関係に 1 兆円を確保
  • 地方創生臨時交付金を 1.5 兆円増額
  • ひとり親世帯への給付金再支給は年内をめどに実施
  • 不妊治療の保険適用は 2022 年度から

国内の需要不足、年換算34兆円 7〜9月期、消費低調

日本経済全体の需要と供給力の差を示す需給ギャップ(GDPギャップ)が、7〜9月期にマイナス6・2%だったとの試算を内閣府が27日発表した。年換算の金額だと、約34兆円になる。60兆円に迫っていた4〜6月期より改善したが、消費の勢いなどが弱い「需要不足」が続いている。

消費増税があった昨年10〜12月期以降、需給ギャップは4四半期続けてマイナス。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出た4〜6月期はマイナス幅が10%を超え、比較可能な1980年以降で最も大きく落ち込んでいた。 西村康稔経済再生相は閣議後の記者会見で「個人消費の回復はまだ途上で、設備投資も企業の守りの姿勢が変わっていない。経済対策をしっかりまとめ、民間主導で経済を着実に回復させていきたい」と話した。 (山本知弘、asahi = 11-27-20)

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9 月消費支出が前年比 1 割減、コロナなお影響 家計調査

総務省が 6 日公表した 9 月の家計調査によると、2 人以上世帯の消費支出は 26 万 9,863 円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月から 10.2% 減った。 一部に持ち直しの動きがあるものの新型コロナウイルスの影響はなお大きく、昨年 9 月に消費増税前の駆け込み消費があった反動も加わって減少幅は 8 月(6.9% 減)よりも広がった。 前年割れは 12 カ月連続。 10 ある費目分類では「光熱・水道」のみが猛暑の影響などから昨年 9 月より増えた半面、「教養娯楽」、「家具・家事用品」、「交通・通信」など 9 つが減少した。

個別品目では航空運賃が同 68.2% 減、パック旅行費が同 61.4% 減など。感染拡大の一服や、観光支援策「Go To トラベル」などの効果もあって、下げ幅は 9 割前後の減少だった 8 月よりも縮んだ。 外食の飲酒代は同 54.6% %減、背広服も同 47.6% 減だった。 経済活動の再開が進んでいることから、季節調整済みの前月比でみれば消費支出は実質で 3.8% 増だった。 ただ、水準はなお低い。 総務省は「持ち直しの動きはあるが、コロナの影響が引き続き消費の重しになっている」とみている。 (山本知弘、asahi = 11-6-20)

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家計の預金、過去最高の 1,031 兆円 消費減と給付金で

家計の現預金が 6 月末時点で、前年比 4.0% 増の 1,031 兆円と過去最高を記録した。 政府が出した 1 人 10 万円の特別定額給付金や、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って消費が低迷した影響を受けた。 日本銀行が 18 日、4 - 6 月期の資金循環統計(速報)として発表した。 家計が持つ金融資産全体の残高は、6 月末時点で前年比 1.8% 増の 1,883 兆円。 現預金はこのうち 55% を占める。 次いで多いのは保険で同 0.2% 増の 375 兆円。 一方で、株式等は感染拡大後の株価低迷で、同 4.3% 減の 173 兆円。 投資信託も同 2.7% 減の 68 兆円に減った。 2 - 3 月にかけて急落した株価はその後回復したため、下落幅は 3 月末時点より縮小した。

民間企業の金融資産残高をみると、計 1,185 兆円のうち、現預金は 308 兆円で前年比 16.3% 増と伸びた。 新型コロナの打撃を乗り切ろうと、運転資金を多めに確保する動きが広がったためだ。 金融機関の貸し出しも前年比 7.6% 増の 942 兆円と、過去最高を更新している。 こうした企業の資金繰りを支えるため、日本銀行は大量の国債を買っている。 6 月末時点での保有残高は 521 兆円と全体の 45% を占めて過去最高になった。 10 年 6 月末は 9% だった。

SMBC 日興証券のチーフマーケットエコノミスト、丸山義正氏は「企業が資金不足となり、運転資金確保のため借り入れと社債発行を急増させた。 一方で、外出自粛などの結果、家計は支出が減って資金余剰になった。 コロナ禍の影響が鮮明に表れた。」とみる。 (渡辺淳基、asahi = 9-19-20)

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消費者物価指数、3 カ月ぶり下落「上昇要素見当たらぬ」

総務省が 18 日発表した 8 月の消費者物価指数(2015 年 = 100)は、生鮮食品を除く指数が前年の同じ月より 0.4% 低い 101.3 だった。 下落は 3 カ月ぶり。 7 月下旬に始まった観光支援策「Go To トラベル」による宿泊料の割引が影響した。 宿泊料は 1 年前より 32.0% 下がった。 総務省の試算では「Go To」だけで 24.9% 下がっており、この影響がなければ、指数は横ばいだったという。 10 月には都内の施設も割引対象に加わる予定で、指数はさらに下落する見通しだ。

8 月全体では、指数を構成する 523 品目のうち 7 割超の 379 品目が前年同月より上昇した。 10 月以降は、1 年前の消費増税の影響分が消える。 コロナ危機に伴う原油安から電気代などの値下がりが続いており、総務省は「ここから数カ月、物価指数が上昇する要素がなかなかみつからない」と説明している。 消費者物価は今年 3 月まで 3 年 3 カ月にわたって上昇したが、コロナ危機を機に今年 4 月と 5 月は下落に転じ、6 月と 7 月は横ばいになっていた。(asahi = 9-18-20)


日経平均大幅反発、午前終値 669 円高の 2 万 6,196 円

24 日午前の東京株式市場で日経平均株価は大幅反発し、前週末比 669 円 27 銭 (2.6%) 高の 2 万 6,196 円 64 銭で前場を終えた。 一時は 2 万 6,212 円と、取引時間中としては 1991 年 5 月以来の水準まで上げた。 新型コロナウイルスのワクチン開発期待や前日の米株式相場の上昇で投資家がリスクを取る姿勢を強めた。 英製薬大手のアストラゼネカが 23 日、オックスフォード大学と共同開発する新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で、高い有効性を確認したと発表した。 ワクチンの早期普及で世界的に経済活動が正常化するとの期待が高まり、東京市場では不動産や鉄鋼など景気敏感株を中心に幅広い銘柄が買われた。

バイデン次期米大統領がイエレン前米連邦準備理事会 (FRB) 議長を米財務長官に任命することを検討していると米メディアが相次いで報道。 トランプ米大統領が政権移行業務を容認する姿勢を示したとも伝わった。 市場からは「米国で新政権に向けた準備が進み、追加の経済対策が早期に成立するとの観測が高まってきた(国内証券ストラテジスト)」との指摘があった。 東証株価指数 (TOPIX) が取引時間中としては 18 年 10 月以来およそ 2 年ぶりの高値をつけた。 JPX 日経インデックス 400 は反発した。 前引け時点の東証 1 部の売買代金は概算で 1 兆 4,491 億円、売買高は 6 億 9,948 万株だった。 東証 1 部の値上がり銘柄数は 1,884 と、全体の約 9 割を占めた。 値下がりは 240、変わらずは 52 だった。 (nikkei = 11-24-20)

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日経平均、一時 2 万 6 千円超に … 29 年 5 か月ぶり

17 日の東京株式市場で、日経平均株価(225 種)は一時、2 万 6,000 円を超えた。 取引時間中に 2 万 6,000 円台をつけるのは 1991 年 6 月 3 日以来、約 29 年 5 か月ぶりとなる。 前日の米国市場で主要株価指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。 新型コロナウイルスのワクチン開発の進展が伝わり、景気回復への期待が高まったことから、投資家心理が上向いた。 (yomiuri = 11-17-20)

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日経平均、バブル崩壊後の最高値更新 米大統領選受けて

9 日の東京株式市場は米大統領選でバイデン前副大統領が当選確実になったことを受け、日経平均株価は前週末終値より大幅に値上がりし、上げ幅は一時 500 円を超えた。 取引時間中としては、先週につけた 29 年ぶりのバブル崩壊後の最高値を更新した。 日経平均株価は午前 10 時時点では前営業日終値より 465 円 35 銭高い 2 万 4,790 円 58 銭。 市場では米国政治の先行き不透明さが薄れたとして、買いが膨らんでいる。 9 日の外国為替市場では、円相場は前週末からほぼ横ばいの 1 ドル = 103 円台前半で取引されている。 (asahi = 11-9-20)


GDP 年率 21.4% 増 7 - 9 月期、コロナ危機反動

7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(4 - 6 月)より 5.0% 増えた。 このペースが 1 年続くと仮定した年率換算では 21.4% 増。 コロナ危機が本格化し、戦後最悪の年率 28.8% 減(改定値)に落ち込んだ前期からの反動で、比較可能な 1980 年以降で最大の伸び率となった。 ただ、水準で見れば取り戻したのは前期に減った分の半分余りで、回復は力強さを欠いている。 内閣府が 16 日発表した。

プラス成長は、消費増税直前の昨年 7 - 9 月期以来、4 四半期ぶり。 コロナ禍の緊急事態宣言が 5 月に解除された後、経済活動の再開が進んだことが伸び率を押し上げ、80 年以降でこれまで最大だったバブル経済期の 89 年 10 - 12 月期(年率 12.0% 増)を大きく上回った。 個別項目では、GDP の半分以上を占める個人消費が前期比 4.7% 増(前期は 8.1% 減)と過去最大の伸び。1 人 10 万円の給付金の効果もあって、家電製品など消費財の売れ行きが大幅に回復した。 7 月に政府の観光支援策「Go To トラベル」が始まり、旅行などのサービス消費も一定の回復がみられた。

一方、企業の設備投資は 3.4% 減で、2 四半期連続で減少した。 景気の先行きの不透明さから、慎重姿勢が広がっているとみられる。 海外経済の復調を背景に、輸出は前期比 7.0% 増(前期は 17.4% 減)。 統計上、輸出に区分される訪日外国人の消費は渡航制限のためにほぼ消失したままだが、欧米向けの自動車輸出などが大きく持ち直した。 一方、輸入は 9.8% 減に落ち込んだ。 前期に増えたマスクなどの輸入が一服した。 その結果、輸出から輸入を差し引いた外需は大幅なプラスとなり、GDP 全体の伸びの 6 割を占めた。 物価の動きを反映した名目 GDP は前期比 5.2% 増、年率 22.7% 増だった。 (山本知弘、asahi = 11-16-20)

国内総生産 (GDP)〉 国内で一定期間内に新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額。 一国の経済規模を示す指標として重視される。 四半期(3 カ月)ごとの速報値を内閣府が公表する。 内訳は、個人消費や設備投資、公共投資などの「内需」と、輸出から輸入を差し引いた「外需」にわかれる。 GDP の増減率を経済成長率と呼ぶ。 四半期ごとの統計では、同じ増減のペースが 1 年間続くと仮定した年率換算の数値で見ることが多い。

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4 - 6 月期 GDP、年 28.1% 減 1 - 3 月期より悪化

内閣府が 8 日公表した今年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) の 2 次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(1 - 3 月)比 7.9% 減、このペースが 1 年続くと仮定した年率換算では 28.1% 減だった。 先月公表の 1 次速報(年率 27.8% 減)から下方修正され、コロナ危機に伴う記録的な落ち込み幅がさらに広がった。 マイナス成長は、消費増税があった昨年 10 - 12 月期以来、3 四半期連続。 今年 4 - 6 月期は緊急事態宣言の影響で経済活動が急速に縮み、リーマン・ショック直後の 2009 年 1 - 3 月期に記録した年率 17.8% 減を大きく上回る落ち込みとなった。 1 次速報と同様、成長率のマイナス幅は比較可能な 1980 年以降で最大で、事実上、戦後最悪の落ち込みだ。

今回の下方修正の主な要因は、企業の設備投資が下振れしたことだ。 1 次速報では前期比 1.5% 減だったが、2 次速報では 4.7% 減となった。 今月 1 日に公表された法人企業統計のデータを反映した。 事業環境が不透明な中、多くの企業が慎重姿勢を強めたとみられる。 一方、GDP の半分以上を占める個人消費は、8.2% 減から 7.9% 減に上方修正された。 下落率は過去最大だが、サービス産業の 6 月分統計を反映した結果、娯楽関連の落ち込みが想定より緩やかになった。 民間在庫も上方修正された。想定より原材料の在庫が積み上がり、GDP を前期比 0.3 ポイント分押し上げた。

経済活動の再開が進む 7 - 9 月期は、反動で大幅なプラス成長になるものの、4 - 6 月期に落ち込んだ分を取り戻すにはほど遠い水準にとどまるとみられている。 新型コロナウイルスの感染が再拡大した影響で、内需の回復は力強さを欠き、専門家の中では、GDP がコロナ前の水準に戻るには 3 - 5 年かかるとの見方が多い。 (山本知弘、asahi = 9-8-20)

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4 - 6 月期実質 GDP 年 27.8% 減 戦後最大の減少率

内閣府が 17 日公表した今年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) の 1次速報は、物価の変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(1 - 3 月)より 7.8% 減り、3 四半期連続のマイナス成長になった。 このペースが 1 年続くと仮定した年率換算では 27.8% 減で、減少率は戦後最大だった。

新型コロナウイルスの感染拡大が本格化して、国内外の経済活動が落ち込んだ影響が直撃した。 特に GDP の半分以上を占める個人消費は、国の緊急事態宣言で営業休止や外出自粛が広がったことから大幅に下落。 輸出も自動車などで振るわず、内外需とも総崩れになった。 これまで実質 GDP の下落率が最も大きかったのは、リーマン・ショック後の 2009 年 1 - 3 月期に記録した年率 17.8% 減。 (山本知弘、asahi = 8-17-20)

〈国内総生産 (GDP)〉 国内で一定期間内に新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額。 一国の経済規模を示す指標として重視される。 3 カ月ごとの速報値を内閣府が公表する。 内訳は、個人消費や設備投資、公共投資などの「内需」と、輸出から輸入を差し引いた「外需」にわかれる。 GDP の増減率を経済成長率と呼ぶ。 国際通貨基金 (IMF) によると、名目ベースの 2018 年の上位 3 カ国は、米国(20.6 兆ドル)、中国(13.4 兆ドル)、日本(5.0 兆ドル)。


中小企業は生産性低い? アトキンソン氏 vs 日商、火花

記事コピー (11-13-20)


島忠、ニトリによる買収受け入れ方針 DCM から転換

ホームセンター大手の島忠が、家具大手のニトリホールディングスによる株式公開買い付け (TOB) の提案を受け入れる方針を固めた。 島忠はホームセンター大手 DCM ホールディングスの TOB に賛同していたが、より高値での買い付けを名乗り出たニトリの提案を一転して受け入れる異例の展開だ。 関係者によると、島忠は 13 日、特別委員会と取締役会を開催。 ニトリの提案の受け入れを正式に決める。 ニトリは近く、島忠の完全子会社化をめざして TOB を始める見通し。 島忠の受け入れによって、ニトリは敵対的な TOB の形になることを避けられる。

島忠をめぐっては、ニトリと DCM の争奪戦になっている。 DCM は 1 株あたり 4,200 円で買い付けを進めている。 ニトリは、これより 3 割高い 5,500 円での買い付け方針を公表。 島忠の対応が焦点になっていた。 DCM による買い付けは 10 月 5 日に始まり、週明け 11 月 16 日までを予定する。 DCM が買い付け価格を引き上げるのか、16 日までの期限を延ばすのか、注目される。 DCM の広報は 13 日の取材に対し「現段階ではコメントは差し控える」としている。 (中島嘉克、asahi = 11-13-20)

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ニトリ、島忠の買収検討 TOB 実施の DCM と争奪戦か

家具大手のニトリホールディングスは 21 日、ホームセンター業界 7 位の島忠の買収を検討していることを明らかにした。 島忠をめぐっては、ホームセンター 2 位の DCM ホールディングスが完全子会社化をめざして株式の公開買い付け (TOB) を実施中。 ニトリも買収に乗り出せば、島忠の「争奪戦」となりそうだ。 島忠に対し、DCM は今月 5 日から 11 月 16 日まで、1 株あたり 4,200 円で TOB を進めている。 島忠は DCM による TOB に賛同する意向を表明しており、ニトリも TOB を決めた場合、島忠の対応が焦点になる。

ニトリは 21 日、「島忠も含め、M & A (企業合併・買収)を通じた成長の可能性を日々検討している」とのコメントを発表した。 一方、島忠は「具体的な提案は受領していない」としている。 島忠は埼玉県を中心に約 60 店を営み、品ぞろえは日用品から家具まで幅広い。 ニトリは国内に約 550 店を展開し、製造や小売り、物流などをすべて自社で手がける。 家具のイメージが強いが、売り上げの約 6 割は日用品やインテリア関連が占めており、島忠買収による相乗効果を見込んでいるとみられる。

DCM は 2006 年にカーマ、ダイキ、ホーマックの 3 社が統合して誕生した。 約 670 店を営み、中部、四国、北海道で強い。 ニトリと DCM はいずれも、足元ではコロナ禍に伴う「巣ごもり需要」を取り込んで好調だが、ホームセンターや家具の市場自体は成熟しつつあり、再編の機運が高まっている。 (中島嘉克、asahi = 10-21-20)


法人所得 10 年ぶり減少 コロナで過去 3 番目の減少額

2019 年度に法人が申告した所得は 65 兆 52 億円で、前年度から 8 兆 3,813 億円 (11.4%) 減ったことが、国税庁のまとめでわかった。 減少に転じるのは 10 年ぶりで、減少額は過去 3 番目の大きさ。年度末に新型コロナウイルスの感染が拡大し、景気が低迷したことが影響したという。 法人税額は 9.7% 減で 11 兆 5,546 億円。 コロナ対策で導入された国税庁の特例制度を利用して納税を猶予している法人のものも含まれている。 一方で、黒字申告した法人の割合は 0.6 ポイント増えて 35.3% を占めた。 コロナの影響を大きく受けた 3 月期決算の法人が約 2 割にとどまり、ほかの決算期の法人はコロナの影響が小さかったためとみられる。 (中野浩至、asahi = 11-5-20)