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日本は「EV 化が加速する世界」に逆行? 販売台数 33% 減 「化石時代」に先祖返りする理由とは
[ロンドン] 国際エネルギー機関 (IEA) によると、昨年、世界の電気自動車 (EV) 販売台数は 1,700 万台を超え、販売シェアは 20% 以上となった。 世界最大の EV 市場・中国では 1,100 万台(総販売台数の約半分)が売れ、中国の道路を走る車の 10 台に 1 台は EV になっている。 今年、EV 販売は世界で 2,000 万台を超え、シェアの 4 分の 1 以上を占めると予想されている。 第 1 四半期の EV 販売は前年同期比 35% 増。 中国では買い替えインセンティブの継続と価格下落により、今年 EV 販売が国内シェアの約 60% を占める見通しだ。 欧州でも今年、EV 販売のシェアは 25% に達するとみられている。 現在の政策設定では 2030 年には世界の EV 販売シェアは 40% を超えると IEA は見込む。 中国国内の EV 販売シェアは約 80% に、欧州も約 60% に達すると予測されている。 日本の EV 販売は前年比 33% 減 驚くべきことに日本では昨年、EV 販売は前年比 33% 減となり、4 年ぶりの減少に転じた。 売れたのはわずか 5 万 9,736 台で、国内の新車販売台数全体の 2% 未満にとどまる。 日本では依然としてハイブリッド車 (HV) が支持され、高価格で新規モデルが乏しい EV は敬遠される。 集合住宅が多い日本では自宅充電のハードルが高い。 電力料金の先行き不安も短中距離走行中心の日本では HV 優位を後押しする。 しかし外国製 EV は 5.7% 増で 2 万 4,198 台と過去最高を更新。 中国の BYD は 2,223 台(54% 増)でトヨタの EV 販売台数を初めて上回った。 そんな中、国際環境 NGO グリーンピース・ジャパンは 10 月 27 日、トヨタ自動車の脱炭素化を分析した報告書『岐路に立つトヨタ - - 世界最大の自動車メーカーの BEV (バッテリー電気自動車)戦略と 1.5 度目標の整合性』を発表した。 トヨタ内燃機関車の排出量は BEV の 3 倍以上 トヨタの計画する BEV 生産量と世界の平均気温上昇を産業革命時と比べて摂氏 1.5 度に抑えるための排出削減量との間には大きな開きがあるという。 グリーンピースは排出量総量の削減目標の設定、それに整合するよう内燃機関車の段階的廃止をトヨタに求めている。 報告書によると、23 年、トヨタが販売した車の走行中に出る二酸化炭素換算排出量 4 億 3,628 万トンの 98.9% が内燃機関車と HV に起因していた。 トヨタの内燃機関車 1 台当たりの排出量は 45.99 トンと BEV (13.06トン) の 3 倍以上に相当する。 化石燃料を使う HV とプラグインハイブリッド車 (PHEV) の排出量は各 30.79 トンと 23.66 トンで、1.5 度達成にはゼロエミッション車(BEV と燃料電池車)への完全移行のみが有効という。 タイでは内燃機関車の販売比率が高く、ノルウェーと比較して排出量が 4 倍以上になっている。 「トヨタは気候変動対策の取り組みを加速させるべきだ」 トヨタが 26 年の BEV 販売計画を 150 万台から 80 万台に引き下げたため、1,170 万 - 2,260 万トンの排出削減の機会が失われた。 これは日本の平均的な家庭 450 万 - 870 万世帯の年間排出量に相当する。 トヨタは 30 年の BEV 生産台数を 350 万台にする計画を公表している。 それでも第三者が認定する国際的な枠組み「科学に基づく目標設定イニシアチブ (SBTi)」のベンチマークを 8.2% 上回る。 グリーンピースの炭素予算に基づくベンチマーク排出量の約 2 倍に達する。 「トヨタの BEV 計画はパリ協定が求める脱炭素化のペースに整合していない」という。 グリーンピース・ジャパンの気候変動・エネルギー担当、塩畑真里子氏は「自動車メーカーに対して持続可能な取り組みを求める声が高まる今、トヨタは温暖化する世界で競争力を維持するため気候変動対策の取り組みを加速させるべきだ」と訴えている。 (木村正人、NewsWeek = 10-28-25) 商談 4 千件も希望はゼロ 国内不調の中古 EV、輸出増は「経済損失」 自宅や公共のスポットで充電ができる EV (電気自動車)。 この中古車の海外流出が止まらない。 脱炭素の切り札 … とも言われるが、国内での人気は広がっていないようだ。 なぜなのか。 「中古 EV は扱っていないです。 普通の車とは必要な設備が違う。 ウチでは整備ができません。」 中古車販売大手ネクステージ(本社・名古屋市)の金森竜信・九州ブロック長は、こう説明する。 中古 EV を希望する客は、担当エリアで年に 1 - 2 人程度。 先月は約 4 千件の商談があったが、中古 EV を求める声はゼロだったという。 同社が昨年実施したインターネット調査では、中古 EV の購入について 7 割近くが「とても不安」、「どちらかと言えば不安」と回答。 購入時に最も気になる点として、最多 53.7% が「バッテリーの消耗具合」を挙げた。 金森さんは「EV って怖くないですか? これが多分、売れないことの答え。 環境負荷は考えないといけないけれど、ハイブリッド車の燃費はものすごく良いですし。」と漏らす。 こうした状況が、中古車販売店が EV 用の設備投資に消極的になる理由だという。 輸出は 5 倍に増加 国内の売れ行きが不調の中、中古 EV が向かう先は海外だ。 財務省の貿易統計によると、2024 年に輸出された中古 EV は計 2 万 0,115 台。 国別では、韓国(3,226 台)、アラブ首長国連邦(2,460 台)、トリニダード・トバゴ(2,397 台)と続いた。 同省が統計を開始した 2017 年の 4,029 台から 5 倍に増加した。 国内に流通する中古 EV の正確な台数は不明だが、約 8 割が輸出されていると推測する専門家もいる。 中古 EV 市場に詳しい日本総研の籾山嵩(もみやまたかし)研究員は、この輸出の増加が経済損失につながっていると指摘する。 「レアメタルなどの希少資源が海外に流れ、資源安全保障上の問題がある。 EV のリユースやリサイクルの市場は 2050 年時点の潜在規模で 8 兆円と予測できる。」と話す。 国・自治体は危機感 国や自治体も危機感を強めている。 昨年 10 月、環境省や経産省、福岡県が日本総研などと連携して「EV 電池スマートユース協議会」を発足させた。 EV で使われる電池の再利用を進めるため、制度や規格の整備などを行う計画だ。 福岡県は今年 8 月、中古 EV のリース事業参入を発表した。 今年度の当初予算に約 1,300 万円を計上し、ガソリンスタンド事業などを手掛ける新出光(福岡市博多区)に業務委託。 30 台を用意してデータ収集やヒアリングを行う。 リース代は月約 2 万 5 千 - 約 3 万 5 千円。定期点検やバッテリー交換のメンテナンス代も含まれている。 リース終了後は EV を回収し、バッテリーを蓄電池などとして再利用するという。 4 日間で 40 件以上の応募があり、応募はすでに締め切られている。 福岡県の服部誠太郎知事は会見で、「(中古 EV の流出は)資源のない我が国にとって大きな損失。 経済安全保障上、極めて大きな問題がある。 (事業への)皆さんの参加が、持続可能な社会につながる」と強調した。 こうした取り組みを専門家はどう見るのか。 籾山研究員は「非常に意義深い。 域内だけで資源が循環するモデルは海外も含めて事例がない。 福岡で成功すれば、他の自治体への波及効果が見込める」と期待する。 (鳥尾祐太、asahi = 10-26-25) トヨタ「e-Palette」箱根路を走る 提供車の CO2 を 6 割減 トヨタ自動車が開発した次世代向け電気自動車 (EV) 「e-Palette (イーパレット)」が、来年 1 月の箱根駅伝(第 102 回東京箱根間往復大学駅伝競走)で、医務車として選手に伴走することになった。 ほかの運営車両も EV や燃料電池車 (FCV) などに置き換え、排出ガスを大幅に減らす。 トヨタは箱根駅伝に協賛しており、今年も計 41 台を提供した。 いずれもハイブリッド車 (HV) かガソリン車で、排ガスや二酸化炭素 (CO2) を出す。 テレビ観戦する視聴者らからは、選手への影響を気づかう意見も寄せられていたという。 時速 20 キロで急坂上り下り 同社の陸上部に所属する箱根駅伝の出場経験者からも意見を聞き、電動車への切り替えが必要だと判断。 主催者の関東学生陸上競技連盟などに説明し、賛同を得られたという。 イーパレットは、シャトルバスやキッチンカーなど多様な用途を想定する車両で、今年 9 月に発売した。 市街地などの決められたコースを走る想定で、最高時速は 80 キロ。 選手に伴走するには時速 20 キロほどの低速で箱根の急坂を上り下りする必要があるため、試験走行で可能かどうか確かめた。 今後、片道 100 キロ以上ある全行程を走り、航続距離を確かめる。 大学運営車にはバイオ燃料も 次の大会にはイーパレット 4 台を提供し、医務車や緊急対応車として使う。 今年はワゴン車「ハイエースグランドキャビン」やマイクロバス「コースター」を使った。 このほか大会会長車や荷物車、共同取材バスなど 14 台を EV や FCV に置き換える。 各チームの監督などが乗る「大学運営管理車」 22 台は、主催者の希望を受けてミニバンの「ノア」と「ヴォクシー」の HV とする。 ただ、ガソリンに 10% のバイオ燃料を混ぜた低炭素燃料を使う。 トヨタは、同社が大会に提供する車両から排出する CO2 は、前回の計約 1.4 トンから 6 割以上削減できると試算している。 大会への提供車とは別に、先頭走者の 15 メートル前を走る「共同カメラ車」として、燃料電池 (FC) トラックを改造した車両を提供する。 テレビ局や新聞社の撮影スタッフが荷台に乗るという。 (大平要、asahi = 10-18-25) トヨタと住友金属鉱山、全固体電池の材料量産で協業 次世代 EV 向け トヨタ自動車と住友金属鉱山は 8 日、電気自動車 (EV) に使う全固体電池の材料の量産に向けて共同開発契約を結んだと発表した。 次世代の EV 用電池としてトヨタは 2027 - 28 年の実用化を目指している。 全固体電池は、いま主流のリチウムイオン電池で使われている液体の電解質を固体に置き換えたもの。 大容量のためEVの航続距離が伸び、充電時間も短縮できる。 また、液漏れがないため、火災リスクが低いとされる。 トヨタと住友金属鉱山は全固体電池のプラス極である正極材について 21 年ごろから共同研究を進めてきた。 レアメタル(希少金属)を加工し、組み合わせる住友金属鉱山の独自技術を用い、充放電を繰り返しても耐久性に優れた正極材を新たに開発することに成功。 今後も性能や安全性の向上、コスト低減などを進めて、住友金属鉱山が愛媛県内に構える生産拠点での量産を想定している。 トヨタは全固体電池の実用化に向けて、出光興産と固体電解質の量産で協業している。 全固体電池は、EV が抱える航続距離や充電時間といった課題を解決する次世代電池の「本命」と期待され、ホンダや日産自動車も開発を急いでいる。 (近藤郷平、asahi = 10-8-25) 「重いバッテリーが主因」 EV "過体重問題" … 性能低下・タイヤ摩耗・維持費増に直結
電気自動車がエコカーの主流となった一方で、「重量」という避けられない弱点がある。 端的に言えば、電気自動車は同クラスの内燃機関モデルよりもはるかに重い。 大容量バッテリーパックが原因で、走行性能から維持費に至るまで予想外の影響を及ぼしている。 電気自動車の重量増加の最大要因はバッテリーだ。 航続距離を確保するため車体下部に搭載されるリチウムイオンバッテリーパックは数百kgに達する。 例えばジェネシス G80 電動モデルは内燃機関仕様より約 300kg重い。 常に大人 4 - 5 人を乗せているのと同じ負担で、車両総重量の 20 - 30% を占める。エンジンやトランスミッションを省いてもなお、大きな重量差を生む根本的な要因となっている。 この「過体重」は数々の欠点をもたらす。 重い車体は物理的に慣性が大きくなり、コーナリング時の俊敏さが失われる。 メーカーはサスペンションを硬めにして補うが、低速域や荒れた路面では乗り心地の悪化を招く。 重量はより多くのエネルギーを必要とし、電費効率を下げる。 最も現実的なのはタイヤ摩耗で、重量と電動モーター特有の強力な初期トルクが原因となり、摩耗速度は内燃機関モデルより 20% 以上早いとされる。 結論として、電気自動車の重量は数字以上に運転の質や維持費に直結する。 重量に耐える専用タイヤは通常品より高価で、交換時のコストはさらに増える。 EV を購入する際は環境性能や静粛性といったメリットだけでなく、重量がもたらすデメリットも理解したうえで選択する必要がある。 (山田雅彦、江南タイムズ = 9-28-25) 「高くても」国産 EV バス、京王が大量導入へ 中国製から "路線転換" バス会社の本音を聞いた 京王電鉄子会社の京王バスは路線バスに、いすゞ自動車の国産初の大型電気自動車 (EV) バス「エルガ EV」を大量導入することを筆者の取材に明らかにしました。 これまでの中国 EV 大手、BYD (比亜迪)の大型 EV バス「K8」からの "路線転換" には、納得の理由がありました。 東京都西部を中心に路線バスを運行している京王バス(京王電鉄バスを含む)は通常のディーゼルバス以外に、脱炭素化に役立つ環境対応車を 2025 年 3 月末時点で 69 台を抱えています。 うち日野自動車の大型ハイブリッドバス「ブルーリボンハイブリッド」が 52 台、日野の連接ハイブリッドバス「ブルーリボンハイブリッド連節バス」が 2 台、それぞれ走行時に二酸化炭素 (CO2) を排出しないゼロエミッション車であるトヨタ自動車の大型燃料電池バス「ソラ」が 9 台、BYD の「K8」が 6 台です。 「ソラ」は多摩(東京都多摩市)、桜ヶ丘(日野市)、高尾(八王子)の 3 営業所、「K8」は桜ヶ丘、永福町(杉並区)両営業所にそれぞれ所属しています。 京王グループは 2030 年度の CO2 排出量を 19 年度比で 30% 減らす目標を掲げており、京王バスの大きな柱が EV バスです。 25 年度はソラの導入が 1 台にとどまる一方、「エルガ EV」を 14 台購入します。 27 年ごろまでにゼロエミッション車(EV バスと燃料電池バス)の保有台数を 45 台程度と現在の約 3 倍に引き上げ、路線バス全体のうち 5% にする計画です。 現在運行する中国製の EV バス「K8」は 2023 年度に 2 台、24 年度に 4 台導入されました。 全長が 10.5m、全幅 2.495m、全高 3.27m で、日本発の EV 急速充電方式「CHAdeMO (チャデモ)」に対応。 モーターを動かすのに必要なバッテリーの充電 1 回当たりの航続距離は 240km です。 定員は 80 人で、客室に 25 席あります。 壁面に充電用の USB ポートを取り付けており、スマートフォンなどの充電に「ご利用いただいて構いません(京王バス)」と言います。 まだ走行実績は限られているものの、京王バスは「社内アンケートでは騒音や振動の少なさについて高評価を得ている」と解説します。 完成度はスゴイ、でも「高い」国産 一方、京王バスが 2025 年度に導入を始める「エルガ EV」は、いすゞと日野が折半出資するバス製造会社、ジェイ・バスの宇都宮工場(宇都宮市)で 24 年 11 月に量産が始まりました。 日本で 21 年 1 月に納車を始めた「K8」に比べて後発ですが、京王バスを含めて多くの国内バス会社が積極的に発注しているのは納得できる理由があります。 「エルガ EV」で手始めに売り出された都市型モデル (ZAC−LV828L1) は全長が 10.54m、全幅 2.485m、全高 3.33m で「K8」とほぼ同じ。 同じくチャデモに対応し、充電 1 回当たりの航続距離は 360km と、「K8」の実に 1.5 倍に達します。 もっとも、航続距離については既に EV バスを導入しているバス会社幹部が筆者に「実際の運行時の航続距離は各社ともメーカーの公称よりはるかに短く、公称は全く当てにならない」と断言しました。 その要因とは「メーカーの公称は同じ速度で巡航した場合の数値なのに対し、路線バスは停留所に止まったり、信号待ちをしたり、渋滞で待ったりしながら運行するうえ、EV バスは季節によって変動がかなりあるためだ」とか。 「エルガ EV」で目を見張るのが、車いすやベビーカーの利用者、お年寄りにも乗降しやすく、車内でも移動しやすいバリアフリーの設計です。 リアアクスル(後車軸)の左右にそれぞれモーターを内蔵することで、乗り降りしやすい低床化を実現。 さらに、最前部の乗降口から最後部の座席まで段差がなく、いずれの座席もそのまま着席できます。 バッテリーを屋根上と車体後部の床下に配置したことで実現できた設計で、段差がないため利用者が安全に移動できるのは大きな利点です。 「K8」の場合、後ろ半分の座席に腰掛けるにはいずれも段差を上がる必要があります。 筆者が見学した京王バスの車両は、乗客が気づかずに転倒することを防ぐため、段差の部分に黄色い線で縁取りするとともに、段差注意のシールを貼り付けて注意を呼びかけていました。 ただし、「エルガ EV」の都市型モデルの希望小売価格は 5,980 万 1,800 円(消費税込み 6,578 万 1,980 円)と、「K8」が日本で販売を始めた当初の価格の 3,850 万円(税別)を大きく上回ります。 「高くても国産がいい」 でもいまは「健全な状態ではない」 それでも京王バスが「K8」に代わって「エルガ EV」の導入を決めたのには、納得できる 3 つの大きな理由があります。 1 つは国と東京都の EV バスの補助金を活用すると、実質価格では「K8」とは大差がないためです。 走行中に排ガスを出さない EV バスの普及を図るため、国と都は基準となるディーゼルエンジンバスとの差額を負担しています。 バス運行事業者としては実質価格が同程度であれば、性能面で「K8」を上回り、国内生産のため日本経済および雇用に大きく貢献する「エルガ EV」を選ぶのは自然です。 2 つ目は国産バスの品質が高く評価されているためです。 筆者の取材に応じた京王バスの田井豊典取締役安全技術部長は「国産 EV バスはモーター部分を含めてきれいに造ってある」とする一方、「海外製だと見た目はバスに仕上がっていても、料金箱や案内用液晶パネルを取り付ける際に配線を通したり、設置したりすることを想定しないような造りになっていることがある」と指摘しました。 残る 1 つは、故障時のアフターケアを含めた信頼性があるためです。 田井氏は「長く使う中で故障が一切発生しないこともおそらくなく、部品交換は絶対発生するため、その時に支援が得られるかというアフターケアの体制は気になる」と話し、「エルガ EV」を販売するいすゞは路線バスを長年手がけてきた信頼感があるとの認識を示しました。 京王バスは将来的なカーボンニュートラル化を視野に入れ、保有する路線バス全体の 2 割に当たる 180 台をゼロエミッション車にする「内部目標」を策定しました。 脱炭素化を進める中で、国と東京都の補助金を活用すれば EV バスのコストパフォーマンスが高いことが背景にあります。 田井氏は、導入費用と運行コストを含めたライフサイクルコストをみると「EV バスが計算上は一番安く、あとはハイブリッドバス、ディーゼルバス、燃料電池バスの順番となる」と説明します。 燃料電池バスの購入にも国と東京都の手厚い補助金が適用されるものの、燃料の水素の価格高騰が運行コストを押し上げるためです。 一方、補助金がなかった場合のライフサイクルコストは「ディーゼルバス、続いてハイブリッドとなり、すごい差があって EV バス、燃料電池バスの順番になる」と教えてくれました。 現状では「EV バス、燃料電池バスともに補助金なしにはライフサイクルコストでの採算は取れない」と断言します。 田井氏は「EV バスと燃料電池バスの導入が補助金頼みなのは「事業として健全な状態とは言えない」とし、「ゼロエミッションバス市場全体の技術革新と価格競争が進むことを強く期待しています」と訴えています。 (大塚圭一郎、kyodo = 9-22-25) |