生殖医療法案、4 日に成立へ 「出自を知る権利」先送り

第三者から精子や卵子の提供を受けて、生殖補助医療によって子どもを授かった場合の親子関係を定める民法特例法案が 2 日、衆院法務委員会で可決された。 与野党 5 会派が賛成、4 日の本会議で成立する見通しとなった。 親子関係が不安定にならないよう法律で定めるのが狙い。 ただ、第三者からの精子などで生まれた子の「出自を知る権利」などの課題は先送りされた。 法案は、第三者からの卵子提供による不妊治療で子どもが生まれた場合、出産した女性を母親とする。 夫以外の男性の精子による不妊治療で妻が妊娠した場合、精子提供に同意した夫を父親とする。

提供された精子によって子どもをもうけ、のちに夫婦関係の悪化によって父子関係が争われるような事例もあることから、法案提出者の古川俊治氏(自民)は「親子関係を定めておくことが子の福祉の観点からも重要だ」と法案の意義を説明した。 自民、公明、立憲民主・社民、維新、国民民主の各会派が提出し、2 日の採決では、共産が反対した。 一方、子の出自を知る権利が法案に明記されず、2 年以内に検討することが付則に盛り込まれるにとどまった。

提供精子で生まれた当事者が悩みを訴え

2 日の衆院法務委では、他人から提供された精子で生まれた当事者が参考人として出席。 23 歳の時に父親が遺伝性の病気になったことをきっかけに告知を受け、苦しみ悩んだ体験を語った。 その上で、「将来的に私たちと同じ悩みを抱えることになりかねない」として知る権利を保障すべきだと訴えた。 また、同法案の基本理念には「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ」るよう配慮すると書かれている。

障害児を産まないようにするとも読めることから、障害者団体から「優生思想につながりかねない」として、条文の削除を求める要望書が出ている。 法案提出者の石橋通宏氏(立憲)は法務委で、「障害のある子の出生を否定的にとらえるとか、優生思想につながるものではまったくない。 子が安全かつ良好な環境で生まれることを意図したものだ。」と語った。 (三輪さち子、asahi = 12-2-20)


流行語大賞は「3 密」 コロナ関連、トップ 10 に多数

今年の世相を反映した言葉を選ぶ「2020 ユーキャン新語・流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)」が 1 日、発表された。 年間大賞には、「3 密」が選ばれた。 (asahi = 12-1-20)

トップテンは以下のとおり。

愛の不時着 / あつ森(あつまれ どうぶつの森) / アベノマスク / アマビエ / オンライン○○ / 鬼滅の刃 / GoTo キャンペーン / 3 密 / ソロキャンプ / フワちゃん

◇ ◇ ◇

『新語・流行語大賞』ノミネート 30 語発表
「PCR検査」、「アベノマスク」、「自粛警察」など新型コロナウイルスにまつわるワードが多数

5 日、「現代用語の基礎知識 選 2020 ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート語に選出された 30 語が発表された。

ラグビーワールドカップやイチロー選手、渋野日向子選手などスポーツに関するワードが多かった昨年から一転、今年は「PCR 検査」、「濃厚接触者」、「クラスター」、「3 密」、「ソーシャルディスタンス」、「アベノマスク」、「自粛警察」など、新型コロナウイルスにまつわる言葉が多数選出された。 また、「Zoom 映え」、「テレワーク」、「あつ森」、「ウーバーイーツ」、さらに「GoTo キャンペーン」、「ワーケーション」など、「新しい生活様式」の中での社会経済活動にまつわるワードも入っている。

選考委員は去年と同様、姜尚中氏、金田一秀穂氏、辛酸なめ子氏、俵万智氏、室井滋氏、やくみつる氏、そして「現代用語の基礎知識」編集長の大塚陽子氏の 6 名で、トップテンと年間大賞は来月 1 日に発表される。 (Abema = 11-5-20)


新語大賞は「ぴえん」 ベスト 10 に「密」、「リモート」

今年よく見聞きした言葉から、辞書を編集する専門家らが選んだ「今年の新語」のベスト 10 が 30 日、都内で発表された。 大賞には「ぴえん」が選ばれた。 「ぴえん」の語釈として「小声で泣きまねをするときの言葉」、「困ったり、思い通りにならなかったりして、ちょっと悲しい気分であることをあらわす言葉」などと説明。 例文として「電車に間に合わない、ぴえん」と紹介した。

ベスト 10 には「密」や「リモート」など新型コロナウイルスの影響で選ばれた言葉も。 ただ、「ソーシャルディスタンス」、「クラスター」などは選外に。 国語辞典編纂(へんさん)者の飯間浩明さんは「辞書に収録するのは、今後もずっと日本語として使われるものを選ぶ。 ソーシャルディスタンスなどはこの先何年も続いては困る、という思いがあった。」と理由を述べた。 「今年の新語」は、「新明解国語辞典」などを出版する三省堂の主催で、今年で 6 回目。 一般から寄せられた 713 語から、辞書の編集者らが「今年特に広まったと感じられ、自身や周囲が普段の会話や SNS などでよく使うようになり、今後、辞書に掲載されてもおかしくない」 10 語を選び、語釈を付けた。

今年の新語に選ばれた、その他の言葉は次の通り。

A ○○警察(特定のことを細かく点検して、何かというと批判する人)、B 密、C リモート、D マンスプレイニング(男性が女性や年少者に対し、見下した態度で説明すること)、E 優勝(大満足すること)、F ごりごり(考え方などがあることだけにこりかたまっている様子)、G まである(自分の基準からみて予想以上のものが存在する)、H グランピング(大きなテントなど、高級感のある施設で過ごす、ぜいたくなキャンプ)、I チバニアン(千葉県市原市の地層を根拠にした地質年代) (山本亮介、asahi = 11-30-20)

  • 2019年 : 大賞 ―ペイ / 2位 にわか / 3位 あおり運転 / 4位 反社 / 5位 サブスク / 6位 電凸 / 7位 カスハラ / 8位 垂直避難 / 9位 置き配 / 10位 ASMR
  • 2018年 : 大賞 ばえる(映える) / 2位 モヤる / 3位 わかりみ / 4位 尊い / 5位 VTuber / 6位 肉肉しい / 7位 マイクロプラスチック / 8位 寄せる / 9位 スーパー台風 / 10位 ブラックアウト
  • 2017年 : 大賞 忖度(そんたく) / 2位 インフルエンサー / 3位 パワーワード / 4位 ○○ロス / 5位 フェイクニュース / 6位 草 / 7位 仮想通貨 / 8位 オフショル / 9位 イキる / 10位 きゅんきゅん
  • 2016年 : 大賞 ほぼほぼ / 2位 エモい / 3位 ゲスい / 4位 レガシー / 5位 ヘイト / 6位 スカーチョ / 7位 VR / 8位 食レポ / 9位 エゴサ / 10位 パリピ
  • 2015年 : 大賞 じわる / 2位 マイナンバー / 3位 LGBT / 4位 インバウンド / 5位 ドローン / 6位 着圧 / 7位 言うて / 8位 爆音 / 9位 刺さる / 10位 斜め上

信用情報の照会や登録に新手段を導入 CIC が来年にも

クレジットカードの利用情報を管理する信用情報機関「シー・アイ・シー (CIC)」は来年 12 月にも、信用情報の照会や登録が簡単にできる新たなしくみをつくる。 クレジット会社側の負担を減らすのがねらいで、新しい事業者の参入を促しそうだ。 クレジット会社は、申込者の利用限度額などを決めるため、過去の支払い状況や残債額などを CIC に確認する。 その際、特定のソフトなどを導入する必要があり、新規参入がしにくいという声もあった。

このため、CIC は特定のソフトでなくても対応できるようにする。CIC とクレジット会社のシステムをつなげる新しいしくみを設ける。 政府はクレジットカードの取引ルールを定めた割賦販売法を 6 月に改正し、来春に施行する。 決済限度額が 10 万円以下のサービスを提供する「少額包括信用購入あっせん事業者」を認め、資本金の縛りも緩和する。 キャッシュレス決済を提供する事業者がクレジット事業に参入する動きもあり、事業者側の負担を軽くするねらいがある。 CIC はクレジット会社など約 900 の会員がいて、約 7 億 5 千万件の信用情報を持ち、月に 2 千万件ほどの照会がある。 (笠井哲也、asahi = 11-27-20)


紹介状なしで大病院受診 追加料金7千円以上に 厚労省

紹介状がなく大病院を受診した患者に、初診なら 5 千円以上の追加料金を義務づける制度について、厚生労働省は追加料金を 2 千円増額する方向で検討に入った。 大病院への患者の集中を防ぐねらいで、19 日の審議会で提案した。 2022 年度にも実施する。 診療所などの紹介状をもらわずに大病院を受診する場合、窓口負担とは別に現在は初診で 5 千円以上、再診で 2,500 円以上の追加料金を払う必要がある。 厚労省は初診で 7 千円以上へと引き上げる案を示した。 対象となる病院の範囲も拡大する。 現在は 666 病院が対象だが、200 床以上で高度医療を担う病院を加えることを念頭に詳細を詰める。

追加料金によって紹介状なしで大病院を受診する患者の割合は減る傾向にある。 ただ、効率の良い医療提供体制を目指す厚労省としては、軽症者は地域のかかりつけ医が担い、高度な専門医療を大病院が担う役割分担を一層進めるねらいから追加料金を増額する。 医療保険財政の安定化につなげる目的もある。 一方、厚労省は75歳以上で医療費の窓口負担が現在の 1 割から 2 割に引き上げられる人について、外来での負担増が月 4,500 円までになるように緩和措置を導入する考えを示した。 2 年間の時限措置とする方向だ。 同省の試算では、1 割から 2 割になると窓口負担の平均額は年 8.1 万円から年 11.5 万円へと 3.4 万円増えるが、緩和措置で年約 4 千円の負担抑制効果があるとしている。 (久永隆一、asahi = 11-19-20)


コロナで夫婦仲 "改善" が "悪化" 大きく上回る 大手生保調査

新型コロナウイルスの影響で、夫婦仲が「よくなった」と答えた人が「悪くなった」と答えた人を大きく上回ったという調査結果を、大手生命保険会社がまとめました。 この調査は「明治安田生命」が、結婚している全国の男女を対象に、先月、インターネットを通じて行い、20 代から 50 代の合わせて 1,080 人から回答を得ました。

新型コロナウイルスの影響で、夫婦関係に変化があったか尋ねたところ、

▽ 「よくなった」が 19% で、
▽ 「悪くなった」の 6% を、大きく上回りました。
▽ 「変わらない」は 74% でした。

仲がよくなった理由については、複数回答で、

▽ 「コミュニケーションの機会が増えたため」が 62%、
▽ 「一緒に食事をする頻度が増えたため」が 37%、
▽ 「支えになる人が、そばにいて心強いと感じたため」が 21% などとなっています。

調査を担当した、明治安田生命の矢野貴大さんは「『コロナ離婚』ということばも話題になる一方で、テレワークなどで在宅時間が増えたことで、家族と過ごす時間が増えて、夫婦関係にいい影響を与えたのではないか」と話しています。 (NHK = 11-17-20)


ATM を携帯圏外に 還付金詐欺防止へ犯人との通話絶つ

医療費や税金が戻るとうそをつき、ATM から送金させる「還付金詐欺」を防ぐため、東京都内の 5 カ所の無人 ATM に、携帯電話を圏外にする機器を警視庁が設置した。 被害者が犯人から電話で指示され、言われるまま操作するケースが多いためだ。 警察による設置は全国初。 設置数を増やし、金融機関に導入を促すという。 今年 2 月に還付金詐欺の被害に遭いかけた東京都の 40 代女性は「携帯電話が使えなければ、私のような経験をせずに済む」と機器の普及に期待を寄せる。

朝鳴った電話、矢継ぎ早の指示

自宅の電話が鳴ったのは午前 10 時ごろ。 区役所職員を名乗る男は言った。 「還付金約 2 万円の申請がお済みでないようですが。」 区役所とやり取りしていた相続関係の電話と勘違いした。 「指定の ATM で手続きしてください。」 「到着したらお電話ください。」 矢継ぎ早に指示された。 約 20 分後に自宅近くの ATM で男に電話をした。 「キャッシュカードを出してください」と言われた直後、警戒中の警察官に声をかけられ、電話をかわると切れた。 「警察官がいなければ大金がなくなっていた。 言いくるめられて振り込む人も多いと思う。 機器の設置を進めてほしい。」

還付金詐欺は特殊詐欺の一類型。 主な手口は、自治体や税務署の職員を装って被害者に電話をし、医療費や税金の過払い金を返すと説明して ATM に誘導。 現金を受け取れるよう勘違いさせ、逆に犯人側の口座に送金させるものだ。 警視庁によると、被害の 7 割は無人 ATM で起きているという。 今回導入されたのは、携帯電話を圏外にする機器。 通話を不能にする電波を発する仕組みで、犯人との通話を絶つ。 10 月に 5 カ所の無人 ATM に設置し、試行を始めた。 いずれも実際に被害があった場所だという。

コストは高額も、被害総額に比べれば …

年間コストは 1 カ所約 100 万円。 効果や利用者の反応を見ながら設置数を増やす。 また、金融機関にも被害の実態や顧客にとっての利点を説明し、利用を要請するという。 担当者は「多くの顧客の大切な財産を守れる。 普及促進に努める。」と話す。 昨年 1 年間の都内の還付金詐欺の被害は 1,178 件、被害総額は約 16 億 7,900 万円。 5 年間で件数が 10 倍、被害総額が 15 倍に増え、それぞれ全国の被害の半数を占めた。 今年も都内では 1 - 9 月に 559 件、被害総額は約 9 億 9,420 万円と深刻な状況だ。

効果の確認、難しい例も

ATM で携帯電話を使えなくする機器は、一部の金融機関や自治体が先行導入してきた。 いずれも目的は顧客(市民)サービスで、対策を講じた ATM で被害はないという。 ただ、高額な費用を理由に、利用をやめたケースもあった。 アイオー信用金庫(群馬県伊勢崎市)は 2018 年 1 月、別の金融機関 2 社と協力し、市役所の ATM コーナーに警視庁と同じ装置を置いた。 担当者は「3 社で導入したのでコストを抑えられた。」 自治体として全国で初めて導入したのは東京都足立区で、昨年 7 月、区内の 7 カ所の ATM に設置した。 都内の被害が多いためで、さらに 10 カ所増やす。

常陽銀行(水戸市)は 17 年 2 月、携帯電話の電波を感知したら ATM が使えなくなる機器を導入した。 設置数や場所は、防犯上の理由で非公開としている。 一方、利用をやめた金融機関はコストの高さと、被害を水際で防げたことの確認が難しいことを理由に挙げた。 全国銀行協会は「それぞれの金融機関が地域の特性にあった対策を進めてほしい」としている。 立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は機器について「実践的な還付金詐欺対策で非常に有効。 コストはかかるが、安全や安心はタダで買えない。」と指摘。 金融機関については、「導入すれば詐欺を防ぐ社会的使命を果たせる。 顧客を守る姿勢もアピールできるはず。」と話した。 (田中紳顕、吉沢英将、asahi = 11-14-20)

還付金詐欺の被害を防ぐために

・ 不審な電話には出ない。 留守番電話機能や自動通話録音機なども活用。
・ 電話で税金や医療費の還付があると言われたらすぐに切る。 市区町村や税務署の代表番号にかけ直し、事実関係を確認。
・ 市区町村や税務署などが ATM で還付金の手続きをさせることはない。
 (* 警視庁への取材による)


ローソンに幸楽苑や塚田農場の味 苦境外食 35 社と協力

ローソンは 28 日、ラーメンチェーン「幸楽苑」や居酒屋「塚田農場」など全国の外食企業 35 社とコラボした商品を順次発売すると発表した。 コロナ禍で外食業界は打撃を受けている。 ローソンで各社の味を再現し、互いの集客につなげたい考えだ。 コラボするのは「串カツ田中」など各地でチェーン展開する企業のほか、東京・日本橋の老舗洋食店「たいめいけん」や佐賀県の「井手ちゃんぽん」など、北海道から沖縄までの企業が名を連ねる。 幸楽苑の「中華そば」の味を再現したからあげクンや、たいめいけん監修のハヤシライスドリアといったコラボ商品を投入する。

これだけの規模でコラボ商品を発売するのは、ローソンとしては初めて。 竹増貞信社長は都内での会見で「東京には行けないけど東京の味が近くのローソンで食べられる。 次は店に行って食べようとなれば、地域が元気になる。」と話した。 串カツ田中ホールディングスはこれに先立って 4 月からコラボしてきた。 貫啓二社長は「外食が悪だという風潮になる中、ローソンさんとのコラボは大きく、我々も戦う気力が湧いた」と意義を語った。 (中島嘉克、asahi = 10-28-20)


不妊治療、保険適用なら所得制限撤廃へ 菅首相が方針

菅義偉首相は 26 日の所信表明演説で「所得制限を撤廃し、不妊治療への保険適用を早急に実現する」と表明した。 将来的に不妊治療への保険適用の範囲を拡大した時には、所得制限を設けない方針を示した。

不妊治療は現在、不妊の原因検査など一部にしか公的医療保険が適用されていない。 保険の適用外となっている体外受精や顕微授精といった不妊治療には助成金を出す制度があるものの、夫婦で合算した所得が 730 万円未満という制限がある。 厚生労働省は保険適用を拡大するには一定の時間がかかるとしており、首相はそれまでの間、いまの助成制度を拡充する方針を打ち出している。 政府内で年末までに拡充策の中身を検討するなか、助成制度でも所得制限を撤廃するかどうかが焦点になる。 (久永隆一、asahi = 10-26-20)


行政の支払い全てで「オンライン化目指す」 河野行革相

河野太郎行政改革相は 11 日、東京都内の大学で英語で講演し、税金など行政手続き上の各種支払いについて、オンライン決済を利用できるように改革を進めていく考えを示した。 金融機関などに出向く手間を省き、手続きを簡素化する狙いがある。 河野氏は、スピード違反などの交通違反を犯した際、反則金を支払うために金融機関に出向く必要がある現状を示したうえで、「政府の支払いをすべてオンラインでできるようにしようとしている」と明かした。 他の閣僚からも賛意を得ているという。

また河野氏は、「オンライン診療」の解禁や「脱ハンコ」など、自身が進める改革に対する姿勢について、「国民に伝えたいのは、間違いをしても良いと言うこと。 官僚は間違いを犯すことができないという神話がある。 でも、たまにミスをしてもいいし、そうなったら方向転換すればいいだけ。 すべての責任は自分がとるから、100% 完璧にしようとしてスピードを落とすのではなく、いま必要なのはスピードを上げることだ。 ミスをしてしまったら謝罪してコースを変更すればいい。 日本全体のためにはより速く動くことが良いと思う。」と語った。 (坂本純也、asahi = 10-11-20)

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民間 → 省庁提出手続き 96% で押印廃止 河野行革相発表

河野太郎行政改革相は 2 日、民間から省庁に出される押印が必要な行政手続き 820 種類のうち、96% にあたる 785 種類で押印が廃止されると発表した。 9 月末を期限に全省庁に求めていた回答を集計した。 法令で押印を規定しているなどとして「存続」と回答があった 35 種類についても、一部廃止できるものがあるとみて、一括法による押印廃止に意欲を示した。 河野氏によると、回答は「廃止を決めた」、「廃止の方向」が計 785 種類、「存続したい」が 35 種類だった。,/p>

この 35 の手続きについても、河野氏は「いらないと思われるものが見受けられる」とし、精査する考えを示した。 法律の規定を存続理由としたものについては、「理由にならない。 法律を変えるなりすれば済む。 一括法でやることも考えられる。」と述べた。 法案の国会提出の時期については明言しなかった。 また、法律や政令、条約の公布、大使・公使の信任状などに天皇陛下が押印する「御璽(ぎょじ)」については、憲法が定める国事行為であるとして、廃止検討の対象にしていないと説明した。 省庁内・省庁間の手続きで法令に基づき押印しているものについても、廃止できるかどうかを調査中で、各省庁に 9 日までに回答するよう求めているという。 (坂本純也、asahi = 10-2-20)


イオン 中間決算 575 億円の赤字 新型コロナで休業など影響

流通大手「イオン」の、ことし 8 月までの半年間の決算は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けたショッピングモールの休業や、営業時間の短縮が影響し、最終的な損益は 575 億円の赤字となりました。 イオンが 7 日に発表した、ことし 3 月から 8 月までのグループ全体の半年間の決算は、売り上げが 4 兆 2,705 億円と、去年の同じ時期より 0.5% 減少し、最終的な損益は 575 億円の赤字でした。 これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて、全国にある傘下のショッピングモールが一時、休業したほか、スーパーなどの店舗も営業時間を短縮したためです。

宣言が解除されて以降は、営業時間を戻したことでスーパーなどの売り上げも回復したものの、5 月までの損失を補うには至りませんでした。 また、来年 2 月までの 1 年間の決算の見通しについても、経営や雇用環境の厳しさが増しているとして、最終損益を未定のままとしています。 イオンの吉田昭夫社長は、「雇用情勢の悪化による購買力の低下など、新型コロナウイルスによるダメージは、今後、顕在化すると見られる。 グループで危機感を共有し、スピード感を持って対応したい。」と述べ、店舗のデジタル化や低価格の商品開発を強化していく方針を示しました。 (NHK = 10-7-20)


女性の 4 人に 1 人が 70 歳以上 国内高齢者 3,617 万人

65 歳以上の高齢者の人口は 15 日現在、前年より 30 万人増えて 3,617 万人と過去最多となった。 総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は 28.7% で、過去最高を更新した。 70 歳以上の割合は 22.2%。 女性に限ると、25.1% で初めて「4 人に 1 人」に達した。 21 日の敬老の日に合わせて、総務省が推計した。 高齢者の女性は 2,044 万人(女性人口の 31.6%)、男性は 1,573 万人(男性人口の 25.7%)。 1947 - 49 年生まれの「団塊の世代」を含む 70 歳以上の人口は 2,791 万人と、前年より 78 万人増えた。 高齢化率は 201 カ国・地域中で世界最高で、2 位のイタリア (23.3%)、3 位のポルトガル (22.8%) を大きく上回る。

一方、高齢者の就業者数は 16 年連続で増え、892 万人。 これも過去最多を更新した。 就業者全体に占める割合も過去最高の 13.3%。 就業者のうち、役員を除く雇用者は 503 万人いるが、その 77.3% が非正規雇用だ。 現在の雇用形態についた理由を聞くと、男女とも「自分の都合のよい時間に働きたい」が 3 割を超え、最も多かった。 高齢化率は今後も上昇を続け、71 - 74 年生まれの第 2 次ベビーブーム世代が高齢者となる 2040 年には、35% を超える見込みだ。 政府は団塊の世代が 75 歳以上になる 25 年を前に社会保障制度を改革し、高齢者の就労を促す方針を打ち出しているが、医療費負担の議論などは決着していない。 (豊岡亮、asahi = 9-20-20)


カラオケ業界が「もう限界」 世界に誇るレジャーなのに

新型コロナウイルス流行のあおりを受け、カラオケボックスが苦境に陥っている。 カラオケは飛沫感染しやすいとされ、売り上げは減少。 全国で 1 割ほどの店舗が閉店を余儀なくされたという。 東京都が 23 区内の店舗に出していた営業短縮要請は 15 日で解除されたが、客足が戻るかどうかは不透明で、店主らからは「もう限界だ」との声が上がる。 「1970 年代にカラオケの歴史が始まって以来、最大のピンチです。」 都内でカラオケボックスを経営する男性は、ため息交じりにこう語る。

カラオケボックスにとって、8 月は年間を通して12 月に次ぐかき入れ時だった。 夏休みの学生が遊びに来たり、お盆で集まった親戚らが訪れたりするためだ。 だが今年は、例年の 3、4 割ほどの売り上げに落ち込んだという。 都が感染防止対策として、8 月 3 日から出した時短営業要請も追い打ちをかけた。 日本カラオケボックス協会連合会によると、全国に約 6 千店舗あるカラオケボックスのうち、コロナ禍の影響で閉店したとみられる店は 500 店を超える。 緊急事態宣言が発出された 4、5 月はほとんどのカラオケボックスが都内で閉店していたが、都心では家賃が月 100 万円以上になる場所もあるためだ。

安全性アピールしているが

体力のある大手でも厳しい経営状況に追い詰められる中、同連合会は都に対し、「クラスターは発生していない」として時短営業要請の対象からカラオケボックスを除くよう要望した。 だが、聞き入れられなかったという。 ただ、都によると、カラオケボックス利用者に感染が相次いでいることも確かだ。 そのため、ほとんどのカラオケボックスでは、室内の空気を 1 時間に 10 回入れ替える換気システムを採り入れたり、歌う際のマスク着用を推奨したりするなどの感染防止策を徹底している。 だが安全性をアピールするものの、客入り回復の兆しは見えていない。 別のカラオケボックス経営者は「カラオケは歌ってストレスを発散する、最も身近で、世界に誇るレジャーなのに …」と嘆いている。 (軽部理人、asahi = 9-17-20)


民泊投資大手が事業停止 実績偽り勧誘、実体ない物件も

民泊問題

記事コピー (asahi = 11-14-15 〜 9-15-20)


台風 10 号、鹿児島・奄美へ 特別警報の可能性は弱まる

気象庁は 6 日朝、鹿児島県に出す見通しとしていた台風による特別警報について、発表の可能性が低くなったとした。 台風 10 号が鹿児島県に近づく段階の勢力が、5 日夜時点の予想に比べてやや弱まる見込みとなったため。 ただ、非常に強い勢力で九州にかなり接近する予想は変わらず、記録的な大雨と暴風、高波、高潮に最大級の警戒が必要という。

大型で非常に強い台風 10 号は 6 日午前 7 時現在、奄美大島の南東約 170 キロを時速 20 キロで北へ進んでいる。 中心気圧は 925 ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は 50 メートル。 6 日日中に鹿児島・奄美へ、夜には鹿児島県にかなり接近する予想。 7 日にかけて勢力を維持して北上を続け、九州にかなり接近するか上陸する恐れがある。 7 日の予想最大風速は九州南部 45 メートル、九州北部 40 メートルなど。7 日午前 6 時までの 24 時間降水量は多いところで、九州南部 600 ミリ、九州北部と東海 400 ミリ、四国 350 ミリなどと予想され、その後も降り続くとみられる。 (asahi = 9-6-20)

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台風 10 号、過去最強クラスで上陸か 広範囲で影響の恐れ

気象庁は 2 日、1 日夜に発生した台風 10 号について、過去最強クラスの勢力に発達し、6 - 7 日に鹿児島・奄美から西日本にかけて接近、上陸する可能性があると発表した。 広範囲で甚大な影響が出る恐れがあるとして、最大級の警戒を呼びかけている。 2 日午前の予想によると、台風 10 号は 6 日午前 9 時の時点で九州の南に達し、台風の強さを示す中心気圧は 930 ヘクトパスカル、中心付近の最大風速が 50 メートルになるとみられる。 記録がある 1951 年以降、930 ヘクトパスカルより強い状態で上陸した台風は、59 年に高潮などで死者・行方不明者 5 千人以上が出た伊勢湾台風など、過去に 3 例だけという。

中心気圧 930 ヘクトパスカル以下、最大風速 50 メートル以上で接近すると予想される場合、気象庁は台風の特別警報を発表する。 特別警報が発表された地域では、これまでに経験したことのないような重大な危険が差し迫った状況とされる。 台風を要因とする特別警報は沖縄以外で発表されたことはないが、台風 10 号は特別警報級の勢力になるとみられるという。

気象庁予報課の杉本悟史・主任予報官は取材に対し、昨年 9 月に千葉県などで大規模停電が起きた台風 15 号を例に、「風で言えば、その時より強いと思ってもらうとイメージがわくと思う」と話した。 台風が接近する地域では、記録的な大雨や暴風、高波、高潮となる恐れがあり、週末の前に台風への備えを終えておくよう呼びかけた。 (山岸玲、asahi = 9-2-20)

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台風 9 号 最大瞬間風速 60m 超の危険性 暴風に厳重に警戒を

台風 9 号の最大瞬間風速は中心付近で 70 メートルに達するとみられ、沖縄本島地方や宮古島地方の来月 1 日の最大瞬間風速は 40 メートルから 60 メートルと予想されています。 専門家で作る日本風工学会によりますと、最大瞬間風速 60 メートルは時速に換算すると 216 キロに相当し、屋外の行動は極めて危険だということです。

▽ 木造住宅の一部は倒壊し、鉄骨の建物でも変形するおそれがあるほか、
▽ 電柱やブロック塀が倒れたり、
▽ 走行中のトラックが横転したりすることがあるということです。

5 年前の台風 15 号では沖縄の石垣島で 71 メートルの最大瞬間風速を観測し、車が飛ばされたり電柱が倒れたりする被害が相次ぎ、沖縄県で 10 人がけがをしました。 また、大阪の関西空港で 58.1 メートルの最大瞬間風速を観測したおととしの台風 21 号では、タンカーが強風で流され、関西空港の連絡橋に衝突する被害が出ました。 千葉などで停電や住宅の被害が相次いだ去年の台風 15 号による千葉市の最大瞬間風速は 57.5 メートルに達しました。 気象庁は沖縄では 31 日の夜以降、不要不急の外出を控え、屋内では窓から離れるなど暴風に厳重に警戒するよう呼びかけています。 (NHK = 8-30-20)


24 時間営業継続や過剰仕入れ コンビニ 8 社に改善要請

コンビニ業界の実態を調べていた公正取引委員会は 2 日、各社の本部が店主に対し、意に沿わない 24 時間営業の継続や過剰な仕入れを強要している恐れがあると発表した。 大手 8 社に改善を要請。 独占禁止法の適用を視野に、フランチャイズ契約に関する指針の改正に着手する。 公取委の調査では、店主たちの過酷な労働実態が改めて浮き彫りになった。 昨年 2 月、大阪府東大阪市のセブン-イレブン店主が、本部の反対を振り切って 24 時間営業をやめたことをきっかけに、店主らの長時間労働が社会問題となった。

公取委は今年 1 - 2 月、セブンやファミリーマート、ローソンなどを含めた大手 8 社の 5 万 7 千店余りを対象にアンケートし、うち約 1 万 2 千店から回答を得た。 公取委によるコンビニ業界の調査は 2001 年、11 年にも実施したが、規模は今回が最も大きいという。 その結果、24 時間営業を「続けたい」との回答は 33.2% にとどまった。 「時短での営業に切り替えたい」という店主は「一時的に」、「実験で」もあわせると 66.8% に上った。 脱 24 時間について「本部が交渉に応じていない」とする回答が 8.7% あった。

本部側の「改革」、店主の意向くむか

本部と店主が合意すれば時短営業への移行が認められる形にもかかわらず、本部が一方的に協議を拒むなどすれば、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」の恐れがある。 公取委は今回、そう指摘した。 店主には本部に逆らうと契約更新などで不利益を受けるといった懸念があり、「本部が優越的な地位にあると認められる場合は多いのではないか」とした。

店主の厳しい労働環境も改めて明らかになった。 直近 1 年間の休みは「10 日以下」が 63.2% に上った。 1 カ月の休みは平均 1,8 日だった。 24 時間営業の是非に注目が集まったことを踏まえ、セブンやファミマは昨年秋から今年にかけて「脱 24 時間」への移行を認め始めた。 ローソンは時短営業の契約は以前から結べる、としている。 公取委の今回の指摘は、こうした本部側の取り組みについて、店主の意向をどこまでくんでいるかを問うことになる。

新型コロナウイルスはコンビニの経営にも影を落としている。 都心や観光地などの店は売り上げが急減している。 公取委は「脱 24 時間営業のニーズはコロナ前よりも高まっている」と指摘。 店主に配慮した丁寧な対応が特に必要になる、としている。

コンビニの仕入れをめぐっては、本部側の利益につながる大量の仕入れが食品ロスの一因になっている、と指摘されてきた。 ロスの負担はフランチャイズ契約に沿って、店主にまわる。 公取委の調査では、仕入れについて「必要以上の数量の仕入れを強要された経験がある」と答えた店主は 47.5% に上った。 本部の社員に「無断で発注された経験がある」も 44.6% あった。 公取委は、返品ができないのに本部が仕入れ数量を強制することは優越的地位の乱用の恐れがある、と指摘した。 公取委は大手 8 社に改善を 1 日付で要請し、11 月末をめどに報告するよう求めた。 (中島嘉克、asahi = 9-2-20)


伊藤忠、ファミマへの TOB 成立 年内にも上場廃止へ

伊藤忠商事は 25 日、子会社ファミリーマートへの株式公開買い付け (TOB) が成立したと発表した。 議決権ベースで 15.61% 分の応募があり、伊藤忠の保有比率は 50.1% から 65.71% %になる。 TOB に応じなかった株主の分は株式併合の手法で買い取り、保有比率をさらに高める方針。 ファミマは年内にも上場廃止となる見通しだ。

TOB は 7 月 8 日に発表し、買い付け価格を 1 株 2,300 円、実施期間を 9 日から 8 月 24 日までとしていた。 成立の要件は伊藤忠が 9.9% 以上を取得してファミマ株を 60% 以上保有することだったが、それを上回る応募があった。 伊藤忠はファミマとの一体経営を進め、物流網改革やデジタル化を進める。 (橋田正城、asahi = 8-25-20)

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裏目に出た都心戦略 ファミマ社長「今後大胆に変わる」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、コンビニは苦戦を強いられている。 国内 2 位の約 1 万 6 千店を展開するファミリーマートでは、4 月と 5 月の既存店売上高が前年同月比でふた桁も減った。 沢田貴司社長に現状と今後の戦略を聞いた。

新型コロナによって課題を突きつけられました。 オフィス街や繁華街の店舗の落ち込みが顕著で、こういう場所は賃料も高い。 大赤字です。 一方で住宅地の店舗はすごくいい。 「都心を攻める」としてやってきたことが裏目に出ました。 商品構成の面でも出遅れました。 ファミマの顧客の女性比率は低いんです。 総菜や冷凍食品といった「巣ごもり需要」の商品をそろえきれておらず、「スーパー化」、「ミニスーパー化」が遅れていました。

売れるものがまったく変わり、テレワークで都心部に人が戻ってこないことを前提に、戦略を立て直していかなければなりません。 これから大胆に変わっていきます。 一方で、6 月から 787 店舗で時短営業を始めました。 ただ新型コロナの影響で、人手不足はかなり解消されています。 加盟店の収益を上げることがすべてですが、24 時間営業に戻した方がいいという判断をするところも出てくると思います。 当然立地でも変わるので、24 時間営業がいい店と悪い店という判断は、丁寧にやっていく必要があります。

新型コロナによって、お客さまの目がすごく厳しくなりました。衛生面は特にです。 すぐに景気が良くならない中で、価格はもちろん大事ですが、コンビニのイメージとしては、おいしさやきれいさ、便利さといったことが、これからもっと大事になると思います。 (聞き手・中島嘉克、asahi = 6-22-20)


避難勧告を廃止、避難指示に一本化 災害時わかりやすく

水害や土砂災害時の避難情報のあり方を検討している内閣府の作業部会は 21 日、中間報告を公表した。 避難勧告を廃止し、避難指示に一本化する方針を明記。 災害の危険度を 5 段階で示す「警戒レベル」でレベル 5 の災害発生情報は、発生が切迫した段階でも出せるようにする。 発令の目安などは今後検討する。 内閣府は来年の梅雨時期から運用できるよう、来年の通常国会での災害対策基本法の改正をめざす。 避難のタイミングを明確にすることなどが狙いで、避難勧告と避難指示は 1961 年に同法で規定されて以来、初の大きな変更となる。

住民の取るべき行動を 5 段階で伝える警戒レベルでは、危険な場所にいる人に避難を求める避難勧告と、さらに強く避難を促す避難指示がレベル 4 に混在。自治体や住民からは「わかりにくい」との声が出ていた。 このため中間報告では、二つの情報を一本化するとした。 内閣府が昨年の台風 19 号の被災者を対象に実施したアンケート(回答 3,078 人)では、勧告と指示の意味を正確に理解していた人は 17.7% にとどまった。 40.0% は避難指示が出てから避難を始めると答えていた。

また、内閣府が避難情報を出す全国 130 市町村に意見を募ったところ、避難指示への一本化に賛成する声が多かった一方、「勧告と指示で住民に求める行動を分けている」など、2 段階の情報が必要だとする意見もあった。 災害がすでに起きた状況で出されるレベル 5 の災害発生情報は、「発生」の定義があいまいなうえ、市町村が広範囲の状況を把握できずに発令できないことが多かった。

中間報告では、この情報を発生前に出せるよう見直し、避難所ではなく個々の状況に応じて、近所の頑丈な建物や 2 階以上に移動するなど緊急の安全確保を促す情報として位置づける。 市町村が状況を正確に把握できるとは限らないため、必ず発令するべき情報とはしない。 また、レベル 4 の避難指示で避難せず、レベル 5 の情報を待ってしまう人がいる懸念も盛り込まれた。 このため、警戒レベルは 4 段階とし、レベル 5 を別の名称とすることも検討する。 年内に結論を出す。

作業部会では、主に大都市で広範囲の水害が予想される際、住民が事前に遠方に避難する「広域避難」についても議論された。 国や自治体、鉄道事業者などの連携が必要なため、中間報告は、災害発生後にしか設置できない政府の非常災害対策本部を、発生前に設置できるようにすると明記。 避難の場所や手段の調整については、今後検討する。

作業部会座長の田中淳・東京大大学院特任教授は 21 日の記者会見で、避難勧告と指示の一本化について「気象予測の技術が高まり、避難勧告が出た後に避難指示が出るという幻想を抱いてしまう傾向があった。 だが、状況の変化が急速で順序立てて発令できない災害もある。 指示が出なかったから避難しなかったという残念な結果を生まないようになれば」と話した。 (山岸玲、asahi = 8-21-20)


コンビニも苦戦、巣ごもり対応急ぐ 7 月売上高再び悪化

新型コロナウイルスの影響で、コンビニが苦戦している。 セブン-イレブンとファミリーマート、ローソンの大手 3 社が 11 日に発表した 7 月の既存店の売り上げは、いずれも前年同月を下回った。 早期の収束が見通せないなか、各社は新たな需要に対応した店づくりを急いでいる。 セブンは 5.1% 減、ファミマは 10.8% 減、ローソンは 8.9% 減。 回復傾向だった 6 月から一転し、再び悪化した。 セブンの広報担当者はコロナを一因に挙げ、「店で集客の催しができず、地域の祭りなども中止になった」と話す。

客数の減少率は、3 社ともふた桁に達した。客 1 人あたりの購入額は 6 - 8% ほど増えたが、補いきれなかった。 感染を避けようとする客が店を訪れる回数を減らし、その分、1 回で多めに買っている傾向が浮かぶ。 セブンの親会社、セブン & アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は、7 月の決算説明会で「家の近くで短時間でまとめ買いをしたい。 そういうニーズが出ている。」と話した。

巣ごもり客に食い込むために

まとめ買いに対応するため、セブンは 9 月以降、店の改装に約 120 億円を投じる。 全国 2 万 1 千店のうち 8 千店のレイアウトを刷新。 酒の売り場を広げ、ドアのない冷蔵ケースに商品を並べる。 コロナ禍前から進めてきたが、飲食店を避ける「家飲み需要」を取り込めたとみて、一気に進める。 ファミマも「巣ごもり需要」を見込む。 総菜や冷凍食品のブランド「お母さん食堂」に、カット野菜や豆腐、卵などを加えた。 ローソンは、弁当や日用品を「ウーバーイーツ」で配達するサービスを拡大。 4 月初めは東京都の 14 店だけだったが、10 都府県の約 500 店に広げた。

コロナの影響は立地に左右される。 観光地やオフィス街の店は、外出自粛の直撃を受けている。 人口の減少や競争の激化で転換を迫られてきた各社の出店戦略は、さらなる見直しが進む可能性がある。 ファミマの沢田貴司社長は「都心を攻めてきたことが裏目に出た」と語り、再編を視野に入れる。 ローソンの竹増貞信社長は今後の出店について「まずは、いま厳しい店の置き換えを重視する」としている。 (中島嘉克、asahi = 8-12-20)