酒場、コスプレ … 中国各地に「日本街」続々 若者に人気、一部で批判も

【江蘇省蘇州市・坂本信博】 中国各地に、日本の繁華街や商店街を再現した「日本街」が次々と誕生している。 新型コロナウイルス禍で海外旅行が難しいこともあり、若者や家族連れでにぎわう。 中国で流行する日本の女子高校生風の制服姿や着物、浴衣で訪れ、会員制交流サイト (SNS) に画像を投稿する人が増える一方、インターネット上では「日本にこびるな」との批判も出ている。 やきとり大吉、筑前、次郎餃子酒場、肉バル、北海道ラーメン …。 上海に近い江蘇省蘇州市の「淮海街」では、約 600 メートルの通りを挟んで日本語の看板の店がずらりと軒を連ねる。 街の随所に飾られた赤いちょうちんも日本の風情を醸す。

関係者によると、日本人学校に近く、複数の日本料理店が集まる地域を地元政府主導で今春から再整備。 9 月下旬に日本街が完成したという。 四川省成都から観光に来ていた女性会社員 (28) は「SNS で有名なので見に来た。 コロナのせいで日本にはまだ行けそうにないけど、いずれ本物を見たい」と話し、街並みをスマートフォンで撮影していた。

香港に近い広東省仏山市には 8 月、東京・新宿の歌舞伎町を模した路地や、日本語の標識、日本の人気アニメにちなんだ看板、オブジェが並ぶ「一番街」がオープン。 SNS で話題を集め、運営会社が「著作権上の問題がある」との指摘を受けて一部の看板を撤去する事態も起きた。 遼寧省大連市でも、日本との経済連携を強化する「中日(大連)地方都市発展協力モデル区」内に「京都風情街」の建設が進む。 大連日報によると、約 60 万平方メートルの敷地内に、京都・清水寺の参道と中国唐代の街並みを織り交ぜた商業街を整備する計画。 来年 6 月の開業を目指して 145 棟の主要部分が既に完成し、日系企業約 40 社が進出を決めている。 今年 9 月のプレイベントには 6 日間で約 10 万人が訪れたという。

日本街の相次ぐ誕生について、企業関係者は「日本ファンを呼び込むだけでなく、SNS 投稿用の撮影スポットとして集客する狙いもある」と語る。 ネット上では「日本に侵略された歴史を忘れたか」、「外国のまねをせず、地元の文化を大事にしろ」といった批判が一部から上がり "炎上" も起きている。 ただ、ネット通販で買った着物姿で蘇州の淮海街を訪れていた 20 代女性は「私は中国も日本も好き。 お互いの文化を尊重するべきで、批判は悲しい。」と話した。 (坂本信博、西日本新聞 = 11-18-20)

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中国広東省の日本そっくりの街 オープンから 2 か月で閉鎖に

話題になった中国の日本街にいったい何が …

日本有数の夜の繁華街、新宿・歌舞伎町の入り口にそびえる「歌舞伎町一番街」のアーチそっくりの看板を掲げ、鉄腕アトムや犬夜叉などの人気アニメキャラクターの看板が登場し、「日本の街並みが中国に出現した」として多くの日本ファンの若者を集めていた中国広東省仏山市の通称「一番街」が、オープンからわずか 2 か月あまりで、閉鎖に追い込まれていたことが明らかになった。

香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が報じたところによると、仏山市政府が運営会社らに命じたという。 表向きの理由は「多くの日本のアニメのキャラクターなどが使われており、知的財産権の侵害に当たる」としているが、地元住民は「中国政府から内々で『中国の街なかに、日本の街を再現することで愛国教育を妨害する恐れがある』との注意を受けたようだ」などと話しているようだ。

仏山市の中心部にある約 100m の一番街通りには、多くの電飾がかけられ、ビルには日本語で書かれた看板が並び、日本で使われている信号や道路標識も本物そっくりに作られていた。 今年 8 月にはほぼ完成し、新型コロナウイルスの旅行制限のために海外旅行ができなかった多くの中国の若者が訪れ、撮影した写真が SNS で人気を集めて、仏山市での人気観光地となっていた。

しかし、いまでは通りの入り口はテープとバリケードで封鎖されおり、警備員が 24 時間体制で監視。 閉鎖されたことを知らない観光客が写真を撮ろうとしたり、バリケードを乗り越えて通りに入ろうとしたりすると、警備員が制止するという。 ある警備員はサウス紙の取材に対して、「通りがいつ再び一般公開されるかは分かりませんが、そのためには『一番街』という名前を変えて、アニメキャラクターも著作権侵害に当たらないようにする必要がありますね」などと語ったという。

この「一番街」は地元の不動産デベロッパーによって建設されたもので、通りがすべて完成していたわけではないが、すでに店舗はほとんどが埋まっている状態だった。 一番街通りに日本風の喫茶店を経営していた男性によれば、通りが封鎖されたのは、中国の建国記念日の国慶節(10 月 1 日)で、日本との歴史を考えると政府としては都合が悪かったのではないかと見ているという。 この経営者は、大型連休で多くの観光客が来て商売が繁盛すると思っていたが、当てが外れてしまい、肩を落としていた。 (News Post/Seven = 10-18-20)


ユニクロで大混乱!? 中国かと思ったら日本だった! 中国ネット「化けの皮剥がれた」、「何でも中国のせいにするな」

11 月 15 日、日本のユニクロ店舗で著名デザイナーとのコラボ商品をめぐって混乱が生じて物議を醸したことが、中国版ツイッター・微博で紹介され、議論を呼んだ。 観察者網の微博アカウントは15日、ユニクロが13日に人気デザイナーのジル・サンダーとのコラボレーション商品を世界同時発売したところ、愛知県名古屋市の店舗で大勢の客が殺到して「密」になる状態が発生したと報じた。

現場がソーシャルディスタンスなど忘れ去られたかのように人であふれかえり、混乱の中でガラスが割れたり、マネキンに着せられていた見本も取られて「丸裸」になったと紹介。 その「惨状」を撮影した動画や画像が Twitter などで拡散し注目を集めた一方で、一部の日本ネットユーザーが「これは中国ではないのか」、「暴れたのは外国人の転売屋」などとつぶやく事態も発生したと伝えている。 記事はその上で、同じ商品が発売された 13 日の浙江省杭州市の店舗では、オープン前の店頭にマスクを着用した市民がきれいに整列して待ち、オープン後も秩序が保たれている様子を写した画像とともに「日本で起きた混乱を中国になすりつけないでほしい」という反論ツイートが見られたと紹介した。

この件について、中国のネットユーザーは「何でもかんでも中国のせいにするな」、「これはもはや日本びいきや精神日本人(* 自身を精神的には日本人であると考える人)も弁解の余地もあるまい」、「そうだろうよ。 日本のネットユーザーは汚いもの、秩序がないものはなんでも中国だと思い込んでいるのだから」、「日本のネットユーザーは自国民のモラルに対して自信過剰になっているのでは?」といった感想を残している。

また、新型コロナウイルスの感染が再拡大しつつある状況下での出来事に「コロナによって多くの場所でモラルの化けの皮が剥がれた印象。 中国人観光客がこれまでどれほど濡れ衣を着せられてきたのか」との意見も。 「中国じゃあネットで購入するだろうに」など、いまだに店頭販売で混乱を引き起こす状況に、「日本は中国よりも遅れている」という認識を示すユーザーも見られた。 さらに、「日本人はちゃんと列に並ぶはず。 暴れたのはきっと中国人留学生なんだ。」など、皮肉めいたコメントもあった。 (RecordChina = 11-16-20)


対中工業品輸出、関税 86% 撤廃へ RCEP 15 日署名

日本など 15 カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携 (RCEP) で、日本から中国に輸出する工業品の関税撤廃率が 86% にのぼる見込みとなった。 日中間には自由貿易協定 (FTA) がなく、RCEP 発効で撤廃率を現在の 8% から段階的に引き上げる。 自動車部品など輸出企業にメリットが出そうだ。 米国との対立が続く中国はアジアでの孤立を回避し、貿易促進で譲歩したもよう。 米国が貿易面でアジア太平洋地域にどう関わるかも今後の焦点になる。 東南アジア諸国連合 (ASEAN)、日中韓など 15 カ国は 15 日、オンライン形式で首脳会合を開く。

菅義偉首相は 14 日、首相官邸で「15 日に RCEP 協定に署名する」と表明した。 参加を見送ったインドにも触れ「自由で公正な経済圏を広げるという日本の立場をしっかり発信して関係国の協力を得たい」と述べた。 RCEP は日本にとって中韓両国と結ぶ初の FTA となる。 中国に輸出する工業品は、協定発効時に無税とするものも含め、20 年程度をかけて 86% の品目で関税を撤廃する。 自動車部品は 9 割弱が対象となる。 現行の関税率が 3% 前後のガソリン車のエンジン部品の一部、3 - 6% の鉄鋼製品の一部、6% の農業用トラクターなどは発効時に関税をなくす。 電気自動車用のモーターやリチウムイオン電池の部品は現行の関税率が 10% 台で、発効後 16 年目に撤廃する方向だ。

韓国への輸出は、工業品の関税撤廃率が現行の 19% から最終的に 92% となる見込み。 エアバッグや電子系部品など自動車関連では 8 割弱の品目で関税を段階的になくす。 関税は 10 - 20 年かけて撤廃するものも多く、日本の輸出企業への恩恵は品目ごとに変化を見極める必要がある。 RCEP 全体で日本の工業品の関税撤廃率(品目数ベース)は最終的に輸出 91.5%、輸入 98.6% になる見通しで、環太平洋経済連携協定 (TPP) の 99.9% よりは低くなる。

それでも日本の国別貿易額で 1 位の中国(約 33 兆円)、3 位の韓国(約 8 兆円)を含む効果は大きい。 ルール分野でも、投資に際し企業へ技術移転を要求することを禁じる TPP の項目が盛り込まれ、中国が参加する協定で初となる見込みだ。 ASEAN への輸出でも、タイ向けの一部の自動車部品、カンボジア向けの乗用車の一部などで新たに関税を撤廃する。 日本から ASEAN に原料を輸出して現地で加工し、中韓に輸出する場合などでルールが統一され、貿易しやすくなる。 (nikkei = 11-14-20)


「日本風」で売る企業も 中国市場の勝者が世界制する?

「日本風」で売る企業

記事コピー (11-10-20)


日本に行くと独特の "におい" を感じる? ネットで話題「電車では特に …」 - 台湾メディア

親日家が多いことで知られる台湾で 4 日、「日本のにおい」に関する話題が注目を集めた。 台湾のニュースサイト・今日新聞が伝えた。 記事によると、台湾の有名なネット掲示板 PTT に同日、あるネットユーザーが「日本に行くたびに日本独特のにおいを感じる。 どう表現すればいいか分からないけど、気付いた人いる?」と書き込んだ。

この投稿に、他のユーザーからは多数の返信が寄せられ、中でも多かったのが「洗剤のにおい」を挙げるコメントだったという。 「電車に乗った時は特に感じる」、「私の妹も洗剤のにおいがするって言ってた。 私はどこかのブランドのハンドクリームのにおいのような気がするけど」、「確かに。飛行機を降りたらすぐににおう。 悪くないにおいだ。 街中で洗剤のにおいがすることもある。 電車の中はこのにおいでいっぱい。」、「マジレスすると、洗濯ビーズのにおいだよ」などの声が紹介されている。

このほか、日本の空気のきれいさに言及するコメントもあったといい、「台湾が寒い時期に日本に行くとにおいを感じる。 それに、日本の空気はとてもきれいで、(台湾のように)湿気が多くない」、「アレルギーが治るにおい」、「なんて言っていいか分からないけど、アレルギー持ちの私が日本では鼻が詰まらない。 呼吸がすごく楽。」といったコメントを紹介している。 今年は新型コロナウイルスの影響で大きく減少しているが、昨年に日本を訪れた台湾人は延べ 489 万 600 人(前年比 2.8% 増)に上り、中国、韓国に次いで 3 番目に多かった。 (RecordChina = 11-7-20)


優れた日本人研究者、なぜ中国へ 皮肉にも待遇ではない

遠い昔のことのようだ。 「経済規模は人口が多い国に抜かれてもいい。 科学技術力は、アジアで圧倒的な 1 番を続け、中国やインドなどアジアの本当に優秀な研究者が、日本に学びに来るような状況になるのが望ましい。」 京都大学 iPS 細胞研究所長の山中伸弥氏の発言である。 中国が経済規模で日本を抜く前年、2009 年末に「ジャパン・アズ・No.3」の企画で取材した時のことだ。 山中氏は、米国より見劣りする研究者の待遇の改善を繰り返し訴えてもいた。

あれから約 10 年。 日本の経済規模(ドル建て)は微減したが、中国は 3 倍近くに膨らんだ。 その財力を背景に、研究開発費が伸び悩む日本に対して、中国は約 3 倍に増えた。 「科学技術指標 2020 (文部科学省)」によれば、16 - 18 年の論文数は米国を抜いて初めて首位となり、注目度の高い論文の数も長くトップを走る米国に迫る。 英国の組織による世界大学ランキングで上位 100 に入る数も中国が日本より多い。

日本学術会議の問題に絡んで、中国が 08 年から始めた「千人計画」が改めて注目されている。 外国で活躍する研究者を国籍を問わず集める国家プロジェクトだ。 約 10 年で中国系を中心に約 8 千人が対象となった。 数千万円規模とされる研究費や住宅の購入などを支援する。 ここで、まず言っておきたいのは、どこで誰が研究するにせよ、知的財産権や税金などをめぐる違法行為や情報の虚偽は断じて許されない。 「軍民融合」の研究が軍拡を支える中国を念頭に、安全保障にかかわるルール作りも急ぐべきだ。

そのうえで、中国側の狙いを探ると同時に、別の角度から直視すべき問題がある。 なぜ、優れた日本人研究者が中国へ行くのか - -。

参加の理由は待遇ではなく …

中国の有名大学で数年前から教授を務める日本人の中堅研究者に、オンラインで話をきいた。 基礎科学の一角が専門で、千人計画の一人である。 中国での研究に対して「軍事研究への協力など誤った情報に基づく誹謗中傷や嫌がらせが広がっている」として、日本で暮らす家族を含む安全のため、匿名を条件に取材に応じてくれた。 「私の年給は 40 万元(約 630 万円)。 日本の教授より少ないが、設備やスタッフなど環境は良い。 ただ、一部の有名教授を除けば破格の待遇というわけではない。」

「中堅・若手が中国へ向かう大前提として、中国の研究水準が上がっていることが大きい。 私の分野も昔は日本が圧倒的に強かったが、今は論文ランキングでみると大差をつけられている。」 かつては、日本で学んだ中国人留学生が帰国して、定年後の恩師を呼び寄せる事例が代表的だったが、若手に世代が広がりつつあるという。

バッシングしても解決できない

日本で大学教員のポストが限られるなか、中国では採用が増えている。 彼によれば近年、基礎科学の分野で毎年 10 人弱の若手・中堅が中国の大学へ渡っている。 日本や欧米を含む複数の国に申請し、条件を見比べて決めている人も多い。 「軍事や産業に遠い基礎科学の研究者に対してまで、中国での研究 = 軍事転用と一律にバッシングしても、日本の基礎科学の基盤の危機は解決できないと思う。」

中国政府は人材確保のため、さまざまな支援策を練ってきた。 ハイテク都市深セン市がトップ人材を誘致する「クジャク計画」など各地も競う。 一党独裁の強権中国共産党ですら、科学者の国家に対する忠誠に頼む「愛国搾取」的な待遇のままでは人材を呼び戻せなかったからだ。 日本が研究者を育て引き留め、世界から招きたければ、職場の確保と研究環境の改善が必須だ。 日本人が誇りとする、ノーベル賞受賞者を含む多くの科学者らが長く鳴らしてきた警鐘を、皮肉ながら中国が拡声している。 (吉岡桂子・編集委員、asahi = 11-3-20)


米中どちらを取れば … 世界経済「中国ひとり勝ち」で、日本に「ピンチ」と「チャンス」が同時にやってきた

中国 GDP 「4.9% 成長」の衝撃

中国経済の「ひとり勝ち」が鮮明になってきた。 新型コロナウイルスの蔓延で世界各国の経済活動が大きく落ち込む中で、いち早く感染を「封じ込めた」中国の経済回復が急ピッチで進んでいる。 中国国家統計局が 10 月 19 日発表した 2020 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比 4.9% のプラス成長となった。 中国武漢で新型コロナが拡大した 1 - 3 月期は 6.8% のマイナスになったが、4 - 6 月期は 3.2% のプラスに転換、7 - 9 月期は 2 期連続のプラス成長になった。

米国は 10 月 29 日に 7 - 9 月期の GDP を発表するが、こちらは前期比年率 35.3% と見込まれている。 ここで注意が必要なのは、中国の GDP 統計は前年同期比なのに対し、米国は前期比でしかも年率という点だ。 ロックダウンで経済が止まった 4 - 6 月期のマイナス 31.4% という過去最悪の数字と比較しているのだから、当然 V 字回復となるわけで、「記録的な成長」と言ってもあまり意味がない。 中国同様に前年同期比にすればマイナスで、到底、元の水準に戻るわけではないのだ。

約 10 年前にも同じ現象が

日本の統計も同様で前の 3 カ月で比べるなら、4 - 6 月期の実質年率 28.1% 減だったものが、7 - 9 月期は未曾有の大幅な「成長」になる。 だがこれも、前の 3 カ月に比べればマシということであって、1 年前と比べれば経済は悪化していることになる。 つまり、世界の主要国の経済が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大きく縮小している中で、中国経済だけが膨張を続けているわけだ。

実は、リーマンショックがあった 2008 年以降にも似た状況があった。 金融危機を発端にした世界経済の収縮で、主要国の経済が軒並みマイナスになる中で、中国経済は拡大を続けた。 その結果、中国の世界経済における存在感が一気に高まったのだ。 その後、中国は「一帯一路」構想を打ち出すなど、経済力をバックに世界各地への投融資を広げ、それがまた中国の存在感を高める結果になった。

新型コロナでは当初、中国での死者が急増、武漢市などの都市封鎖もあり、中国経済が最も大きな影響を受けたかに見えた。 ところが、その後、新型コロナは欧州、そして米国へと広がり、一気に死者が増加、都市封鎖を余儀なくされた。 そのウイルス蔓延は欧米ではいまだに収まらず、スペインなどでは再び緊急事態宣言が出されるなど、経済への影響は計り知れない。

中国が日本最大の輸出先へ

そうした中で、日本も「中国依存」が一気に高まっている。 財務省の貿易統計によると、日本から中国本土への輸出は 3 月に前年同月比 8.7% 減と大きく落ち込んだものの、その後、5 月は 4.0% 減、6 月は 1.9% 減と急速に持ち直し、7 月以降は大幅なプラスに転じている。 9 月は前年同月比 14.0% 増という大幅な伸びになった。 一方、米国向け輸出は、3 月以降 8 月まで 2 ケタのマイナスが続いた。 5 月は 48.8% 減、6 月は 46.6% 減と凄まじい落ち込みになった。 9 月にようやくプラスに転じたが、わずか 0.7% の増加に過ぎない。

このまま行けば、年間の輸出額は中国向けが米国向を圧倒的に上回ることになる。 ちなみに年間の日本からの輸出額は 2018 年に中国向けがトップになったことがあったが、2019 年は中国向け 14 兆 6,826 億円、米国向け 15 兆 2,545 億円と米国が最大の輸出先だった。 今年度上半期(4 - 9 月)の累計を見ると、中国向け輸出が 7 兆 4,857 億円と前年同期比 3.5% 増加、一方の米国向は 5 兆 4,158 億円と 29.6% も減少した。 このままでは年間でも中国向け輸出が米国向けを一気に凌駕し、中国が日本経済にとって一段と重要度を増すことになりそうだ。

では、いったいどんな品物の輸出が増えているのか。 上半期を見ると非鉄金属が 63.5% 増と大幅に増加したほか、自動車が 12.1% 増と大幅に増えたほか、重電機器も 25.8% 増加。 また、昨年後半から大幅に落ち込んでいた半導体等製造装置も 12.1% 増と急回復している。

またとない好機になる可能性も

一方、中国からの輸入は逆に減少傾向だ。 中国経済がストップした 2 月には輸入額は前年同月比 47.0% 減と半減したが、4 月にはプラスに転じた。 その後、日本経済が大幅に悪化している影響のためか、7 月 9.7% 減、8 月 7.0% 減、9 月 11.8% 減と輸入が再び減少している。 もともと中国との貿易は輸出よりも輸入の方が大きい「貿易赤字」だが、輸出の増加と輸入の減少によって急速に貿易赤字額は小さくなっている。

巨大な国内市場を抱える中国は、今後も輸出先として重要度が大きく増すことになるだろう。 新型コロナの影響で欧州から中国への輸出が減るようなことになれば、日本の輸出企業にとって好機になる可能性もある。 韓国との貿易が輸出入ともに大きく減少、香港向けも落ち込む中で、米国経済の立ち上がりが遅くなれば、一段と中国が日本にとって経済上重要になってくる。

米国はここ数年、ドナルド・トランプ大統領が、世界経済の中で影響力が大きくなる中国への警戒感から、関税の引き上げなど「米中貿易戦争」と言われる強硬姿勢を取ってきた。 大統領選挙で民主党のジョー・バイデン候補が勝利したとしても、米中関係がどうなっていくのかは現段階では読み切れない。 日本は今後、同盟国である米国という安全保障上の存在と、最大の輸出先である中国という経済上の利益の相克に悩む局面が来るかもしれない。 (磯山友幸、現代ビジネス = 10-29-20)


日本海の好漁場に中国船急増 EEZ なのに水産庁は …

日本の経済的主権が及ぶ排他的経済水域 (EEZ) 内にある日本海の好漁場・大和堆(やまとたい)周辺で中国船の違法操業が急増している。 取り締まる水産庁は安全が確保できないとして、9 月末から一部海域への日本漁船の入域を自粛するよう要請。 日本海で操業する国内の漁業者からは「主権が及ぶ海域で日本漁船の方を締め出すのは本末転倒だ」と不満の声が上がっている。 大和堆は日本海中央部に位置する海底山脈。 周辺海域はスルメイカやカニなどの資源の宝庫で、EEZ に進入し操業する外国漁船が後を絶たない。 昨年 10 月には北朝鮮漁船が水産庁の取締船と衝突し、沈没した。

水産庁によると、北朝鮮漁船への退去警告は昨年は延べ 5 千隻だったが、今年は 1 隻のみ。代わりに目立ち始めたのが中国漁船だ。 退去警告は 9 月末時点で延べ 2,586 隻で、昨年同期の 3.6 倍に上る。 海上保安庁の巡視船による退去警告も同様の傾向で、毎年 1 千隻以上の北朝鮮漁船への退去警告は今年はゼロ。 一昨年、昨年と延べ 89、12 隻だった中国漁船への警告が今年は延べ 102 隻(16 日時点)と最多を更新した。

なぜ北朝鮮漁船は姿を消したのか。 聖学院大の宮本悟教授(北朝鮮政治・外交)は新型コロナウイルスの影響とみる。 「現地報道を見ると海洋の漂流物を拾うのも感染リスクがあると考えられており、漁業も制限されているのではないか。 競合する北朝鮮漁船がいなくなり、漁獲への期待が高まった中国漁船が増えたのだろう。」と分析する。

中国船の漁は北朝鮮船以上にダメージ

しわ寄せを受けているのが日本のイカ釣り漁船だ。 石川県漁業協同組合の担当者は「昨年は記録的な不漁で今年こそはと期待していた。 日本海に接してもいない中国の漁船がなぜ日本の EEZ で操業するのか」と憤る。 中国漁船は資源管理上も脅威だという。 「北朝鮮漁船は多くは小型の木造船だが、中国漁船は大型の鋼船で、釣りではなく、底引き網で漁獲する。 資源へのダメージは大きい。」 こうした中、水産庁は 9 月 30 日から大和堆西部の特定の海域に入るのを当面、自粛するようイカ釣り漁船側に要請。 理由は「諸般の事情」とだけ説明された。

石川県漁協によると、イカ釣り漁船の船団は一時的な自粛要請と受け止め、10 日ほど近くで待機したが解除されず入域を断念。 別の漁場に移ったという。 漁労長らからは「自宅の庭先に泥棒に入られたのに、近づくなと言うのか」といった不満が噴出した。 大和堆の周辺海域での自粛要請は昨年もあった。 昨年 8 月、海保の巡視船が北朝鮮海軍の旗を掲げた小型船から小銃を向けられた。 水産庁はその後、周辺海域に入らないよう要請した。 石川県漁協の担当者は「今回も水産庁だけでは対応できない事情が起きたのかもしれない。 せめてどんな危険があるのか説明してもらえれば、いらだちも収まるのだが …。」と嘆く。 水産庁幹部は「日本漁船の安全確保のためということだけ」と言葉少なだ。

全国漁業協同組合連合会(全漁連)は 16 日、首相官邸や関係省庁に早急に操業できるよう要請。 岸宏会長は「自粛を指導すること自体がおかしい。 日本の船が操業できるよう国は毅然と対応してほしい。」と訴えた。 加藤勝信官房長官は 20 日の会見で、「(自粛要請は)日本漁船の安全を確保するためにやむをえないものと聞いているが、関係省庁が連携して漁業関係者の方にまずは丁寧な説明を行う必要がある」と述べた。 東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「(自粛要請は)場当たり的な対応だ。 水産庁の対応能力を超える問題が起きているのなら、外交を含めて政府を挙げて一元的に対応する必要がある。」と指摘する。 (兼田徳幸、贄川俊、asahi = 10-20-20)


中国、日本国債を 6 - 8 月に記録的大量購入 - 外貨準備多様化か

中国は夏の間に、記録的な日本国債購入を続けた。 外貨準備を多様化させているという観測を誘った。 日本の財務省による 2005 年以降のデータによれば、6 - 8 月に日本発行の債券を 2 兆 2,000 億円相当を購入した。 これは 3 カ月として過去最高。 データは購入内容を明らかにしていないが、日本国債が大半を占めるとみられる。 中国は 16 年にも同様に購入を急増させたことがある。

JP モルガン・チェースのストラテジストらによると、これには幾つかの要因が考えられる。 世界的な債券利回り低下の中で、日本国債は実質利回りベースで魅力が高まったと見なされている可能性がある。 同時に、地政学的な理由もあるかもしれない。 JP モルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長らはリポートで、現在の地政学的情勢を考えれば、中国による日本国債購入の一部が米国債からの外貨準備多様化であることは想像に難くないと指摘した。 (Stephen Spratt、Bloomberg = 10-14-20)


日本は「震撼するほど」先進的、見くびってはならない - 中国メディア

9 月 29 日、中国のポータルサイト・百度に、「日本はいったいどれだけ発展しているのか」とする記事が掲載された。 記事はまず、日本の経済というと「失われた 20 年」に言及しなければならず、日本の国内総生産 (GDP) は 20 年前とほとんど変わっていないと紹介する一方で、2010 年に中国に抜かれたものの今なお世界 3 位の経済大国としての地位を保っていると指摘。 GDP だけでなく、1 人当たり GDP を見ても日本はやはり世界のトップクラスにあると伝えた。

また、日本が強みを持つ産業分野を列挙し、家電分野について「家電の取り付けや修理をしたことがある人なら、日本の家電の実力がどれほど恐ろしいかを知っている。 中国製品は日本製品に比べれば完全にローエンドのレベルなのだ。」と評した。 自動車分野では「日本が世界で唯一欧米と競争できる国であり、ローエンドからハイエンドまでを網羅している」とし、半導体分野についても「半導体原料の分野で今なお世界的に高い市場シェアを保っている」と説明。 このほかにも工作機械、工業用ロボットなどの分野で世界を席巻していると伝えている。

記事はこのほか、経済分野のみならず文化的な面でも日本は「震撼するほど」先進的であると紹介。 そして「日本を美化するのではなく、われわれとの差を直視しなければいけないということ。 今は多くの人が日本を見くびり、米国こそライバルだと認識しているが、日本は本当に見くびってはならない国、直視すべき相手なのである」と結んだ。 (RecordChina = 10-1-20)


最古級の「論語」写本を発見 中国でも消失、古書店から

古代中国の思想家、孔子(前 551 ごろ - 前 479)と弟子との対話などをまとめた「論語」の注釈書の一つ「論語義疏(ぎそ、論語疏)」について、6 - 7 世紀初めに中国で書かれたとみられる写本が日本で確認された。 調査した慶応義塾大学を中心とする研究チームによれば、日本に伝わり、国内の寺社や家々などで大切に保管されてきた伝世品では最古の論語の写本の可能性が高いという。

論語義疏は中国では 12 世紀ごろには失われており、仏典以外のまとまった紙の写本としては現存最古級とみられる。 中国では論語は主に注釈書(解説書)を通じて伝わってきており、専門家は日中の思想史や交流史などの研究にとって貴重な史料と注目する。

確認されたのは、中国が南北に分裂していた南北朝時代の南朝、梁 (502 - 557) の学者・皇侃(おうがん、王侃)が執筆した論語義疏の「巻 5」に相当する部分(今回の写本では表題が巻 6)。 20 枚の紙をはりあわせ、縦 27.3 センチの巻子(かんす)状(巻物)に仕立てられている。 慶応大が 2017 年に古書店から購入。 学内で書誌学や中国文学、日本文学、日本史などの専門家からなる研究チームをつくって 18 年度から調査を進め、文字の形などから南北朝末 - 隋(ずい)の時代に書かれた可能性の高いことが明らかになった。 研究チームは「出土品を除けば、最古の論語の写本と考えられる」としている。

「蔵書印と花押、本物なら国宝級」

写本には、日本の奈良 - 平安時代に政権中枢で活躍した藤原氏の所蔵を示すと考えられる平安時代の印が押され、それ以前に遣隋使か遣唐使で国内に持ち込まれたようだ。 文献では江戸時代に朝廷の公文書などを扱う壬生(みぶ)家に収蔵されていたことが分かっていたが、実物は行方不明だった。 研究チームによれば、これまで最古の論語の伝世品は 12 世紀末 - 13 世紀初めの中国宋代のもので、日本では 13 世紀後半の鎌倉時代に書写された注釈書とされてきた。 一方、発掘された出土品では、紀元前 50 年ごろとみられる中国や北朝鮮で出土した竹簡に記された論語や中国・敦煌(とんこう)で出土した唐代の写本などがある。

この写本について、ユハズ(ゆみへんに巾)和順(かずより)・北海道大学教授(中国文化論)は「従来、目にすることのできなかった、原初型に近い写本である可能性が高い」と評価する。 影山輝國(てるくに)・実践女子大学名誉教授(中国古代思想史)は「写真で見ただけだが、押された蔵書印と花押(かおう)は東京国立博物館所蔵の『史記巻第 29(重要文化財)』にあるものと酷似しており、本物とすれば国宝級の大発見。 フランスの東洋学者ペリオが 20 世紀初めに敦煌(とんこう)で発見した唐代の写本とも形式が違い、論語義疏の原型を考える上で極めて貴重な史料だ。」と話す。

写本は 10 月 7 - 13 日、丸善丸の内本店(東京都千代田区)で開かれる慶応義塾図書館貴重書展示会「古代中世 日本人の読書」で公開される。 詳しくは、コチラ で。 (編集委員・宮代栄一、asahi = 9-26-20)

孔子と「論語」 : 儒教の開祖でもある孔子は、諸国を遍歴後、弟子の教育などに努めた。 「論語」は孔子の死後、弟子との言行録としてまとめられ、中国の古典「四書」の一つ。 孔子の道徳や教育、政治についての意見が記され、清朝末まで体制教学として機能した。 日本社会や文化にも影響を与え、江戸時代には武士を養成する藩校や私塾の必読の書となった。


「日本はもはや中国にとって大きな脅威ではない」中国の環球時報が社説で論評

中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」は 9 月 14 日付の社説で、「中国が歴史的な発展を達成した今、日本はもはや中国にとって大きな脅威ではない」と論評した。 環球時報は、菅義偉首相が自民党総裁選で勝利した同日、「菅氏は日本の中国政策を維持へ」と題する社説を掲載した。 その中で「日中関係は多くの要因で形成されている。 長期的には、中国が日本に影響を与える大きな手段は、中国の国力の絶え間ない増強である」と述べた。

環球時報は、自民党総裁選を争った 3 候補が「対中政策では、ほとんど柔軟性を見せなかった」と指摘。 「米中関係の全般的な傾向と日本の国益を踏まえれば、日本の今後の中国への姿勢はすでに固定されている。 日本は、自国の国益を最大にするために、日米関係を重視しながら、それと同時に中国との関係を発展させるだろう」との見通しを示した。 さらに「日本の一部勢力は、米中の緊張の高まりから、日本の対中交渉力を過大評価するかもしれない。 そして、さまざまな問題で攻撃的な姿勢を見せるかもしれない。 これは問題の解決や対処を難しくするだろう。」と述べた。

「アメリカは対中国で同盟国を結託」

アメリカの動向について、環球時報は「アメリカは自らの同盟国を対中国にこぞって結託させることに躍起になっている」と指摘。 「これは日本にもインパクトを与えるだろう。 例えば、日本は中国の市場を高く評価している。 しかし、日本はまた、サプライチェーンの脱中国化を推進するために、アメリカ、オーストラリア、インドと協調している。」と述べた。

筆者が 16 日に参加した日中の専門家によるオンライン討論会でも、中国の専門家は、クアッド (QUAD) 同盟と呼ばれている「日米豪印同盟」構想の行方に気をもんでいることがうかがえた。 この構想は、アメリカ国務省副長官のスティーブン・ビーガン氏が 8 月 31 日に示したもので、日米豪印 4 カ国の関係を北大西洋条約機構 (NATO) に似た公式の同盟にすることを目指している。

菅首相、アジア版 NATO 「日米豪印同盟」を否定

これに対し、菅首相は 12 日の日本記者クラブ主催の公開討論会で、アジア版 NATO 「日米豪印同盟」は「反中包囲網にならざるを得ない」との理由で否定した。 その上で日米同盟を基軸とした外交を展開する考えを示した。 ただし、日本とインドの両政府は 9 日、安全保障分野での協力を強化するため、自衛隊とインド軍との間で、食料や燃料などを相互に提供できるようにする物品役務相互提供協定 (ACSA) に署名したばかり。 中国の目にすれば、中国の一帯一路に対抗し、日米豪印 4 カ国がインド太平洋戦略を NATO のような軍事同盟に発展させる構想と映っているようだ。

河野前防衛相「ファイブアイズと緊密に意思疎通」

河野太郎氏は防衛相時の 8 月 4 日、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン系の英語圏 5 カ国の機密情報共有の枠組みである「ファイブアイズ」(5 つの目)への日本の参加に前向きな姿勢を見せた。 河野氏は同日の記者会見で「ファイブアイズといわれている 5 カ国は、日本と基本的な価値観を共有する国でありますし、現在もこうした 5 カ国と様々な外交、防衛のレベルでの意見交換、情報交換というのを行っているところでございます。 何かファイブアイズという国際機関があるわけではありませんので、そうした 5 カ国とこれからも緊密に意思疎通を図っていきたいと思っております。」と述べた。

こうした動きを受け、前述の日中の専門家によるオンライン討論会では、中国の専門家が「日本が『脱亜入欧』のような政策を取り、アジアでの指導権を確保するため、アメリカと手を組んで中国包囲網に加わることが最悪のシナリオ」と指摘した。 (高橋浩祐、Yahoo! = 9-17-20)


インスタントコーヒー「隅田川(TASOGARE)」が中国で急成長 日本帰りの留学生が創業

中国のコーヒー市場は急速な成長を続けている。 コーヒーの小売には、現在 2 つの新しい路線がある。 一つはデリバリー、コーヒースタンドのような店舗以外での飲用を視野に入れたオフライン展開であり、もう一つはコーヒーポーション、フリーズドライ、ドリップバッグコーヒーといった、手軽さと品質を兼ね備えた製品路線だ。 後者の有力企業の一つが「隅田川珈琲 (TASOGARE)」だ。 2020 年 7 月末の時点で、同社の製品はアリババ傘下の EC プラットフォーム「天猫 (Tmall)」において、ドリップバッグ、ポーション、コーヒーパウダーの 3 部門で販売数 1 位となっている。 オフラインでは、高級スーパー、ホテルなどに供給しており、売上高は年平均 3 倍の速さで伸びている。

日本帰りの創業者

隅田川珈琲の創業者・林浩氏は 2000 年に日本に留学し、NTT など日本の大手企業に勤務した後、2008 年に起業するために帰国した。 隅田川珈琲を設立する前には、コーヒー貿易業界で 6 年近くの経験があり、日本の UCC や AGF などのインスタントコーヒーの代理店の資格も取得している。 同社が中国で最初に販売した製品はドリップバッグコーヒーで、2009 年から 2014 年の間に、中国国内で 100 万個以上を売り上げた。 その後中国市場に合わせた製品開発を行い、日本のサプライチェーンを活用することで、2015 年に正式に隅田川ブランドを打ち出すに至った。 現在の主力商品の単価は 2 元 - 5 元(約 30 円から 75 円)となっている。

豊富な商品で幅広いニーズに応える

隅田川珈琲の販売中の商品には、ドリップバッグコーヒー、コーヒーポーション、コーヒーバッグ、フリーズドライ、コーヒー豆がある。 コーヒーポーションは最も手軽で、水で薄めればすぐに飲むことができ、牛乳で割るなどのアレンジも簡単だ。 味はプレーンのほか、微糖、キャラメル・マキアート、抹茶、チョコレートなどのフレーバー入りのものがある。 フリーズドライも人気だ。 同社のフリーズドライコーヒーは 100% アラビカ種豆を採用し、先月発売を開始した。 発売からわずか 1 カ月で、天猫から「スーパー人気商品」に選ばれた。

日本のサプライチェーンに学ぶ

隅田川珈琲の商品以外の最大の特徴は、サプライチェーンを重要視しているという点である。 同社のドリップバッグコーヒー、コーヒーポーションはすべて日本で製造されており、年間数億杯の生産能力を誇るという。 さらに、2020 年は 2019 年よりドリップバッグコーヒーの生産能力を 300% 上げ、コーヒーポーションの生産能力を 500% 上げる予定だという。

日本と比べ、中国のコーヒーサプライチェーンはまだ未成熟である。 ドリップバッグコーヒーの場合、中国ではまだ 1 分間 50 - 60 バッグ生産という低速の設備を使用しているが、日本では 1 分間に 200 バッグが一般的だ。 そのため、隅田川珈琲は日本のノウハウから学び、中国国内の生産ラインを改良するために、設備投資をも行っている。 もちろん、販路開拓も怠っていない。 EC のほか、スーパー、コンビニ、ホテルなど、オフライン展開も積極的に行っており、現在 2 万以上の店舗や施設で同社の商品を購入することができる。 林浩氏は同社の販売戦略を次のようにまとめている。 「日常の飲み物としてコーヒーを求める人がいれば、その市場に進出する。」 (36Kr japan = 9-6-20)