デング熱など運ぶ蚊が北上 気候変動で感染症リスク増

蚊が媒介する感染症の国内発生リスクが増している - -。 気候変動の影響評価で、そんな指摘を含む報告書案を 9 日、環境省の有識者委員会がまとめた。 近年、大雨や台風などによる深刻な災害も相次いでおり、地球温暖化が都市インフラに影響を与える可能性についても確信度が高まったとした。 報告書は 5 年に 1 回、文献を調査してまとめている。 今回は前回の約 3 倍、1,400 件ほどの文献を調べた。 農林水産業や水環境、生態系、災害、健康、経済、都市生活の 7 分野、71 項目について、「重大性」、「緊急性」、「確信度」の三つの観点から気候変動の影響を評価。 31 項目で確信度が上がった。

蚊が媒介する感染症は、新たに対策を講じる「緊急性」の評価が「中程度」から「高い」に変わった。 デング熱やジカ熱などの原因ウイルスを運ぶヒトスジシマカの国内の生息域は、気温上昇で北上。 2016 年に青森県まで拡大していることが確認された。 日本脳炎ウイルスを媒介する外来性の蚊が今後、鹿児島県以北に分布を拡大する可能性にも言及した。 東京大の橋爪真弘教授(環境疫学)は「感染例が出ても早期発見につながるよう、サーベイランスを強化し、医師たちにもデング熱の診断知識を広めておく必要がある」と語る。

2018 年の西日本豪雨などの気象災害で、道路の崩壊や電気・ガス・水道などライフラインの寸断が起きたことも盛り込まれた。 気候変動が進めば、短時間強雨や強い台風が増えることから、都市インフラへの影響は確信度が「低い」から「高い」に変わった。 有識者委員会委員の高村ゆかり・東京大教授は「今回は国レベルの気候変動影響評価だが、影響の大きさは地域や産業によって差がある。 報告書を参考に自治体や事業者も、リスクを評価し、適応策を進めてほしい」と話す。 報告書は一般からの意見募集を経て年内に正式決定。 それを受けて国は来年度に気候変動適応計画を改定。 自治体もそれぞれの計画の改定・策定を進める。 (水戸部六美、asahi = 9-10-20)

重大性・緊急性・確信度、すべて高いとされた主な項目

【農業生産基盤】 降雪量減少による用水不足
【水供給】 渇水
【亜熱帯の沿岸生態系】 サンゴの白化、マングローブの立ち枯れ
【熱中症】 救急搬送者数・死亡者数の増加
【水道・交通】 強い台風の増加によるインフラ・ライフラインへの影響
(環境省有識者委員会の気候変動影響評価報告書案から)


環境インフラ輸出で官民の協議会設立、脱炭素化を支援

再生可能エネルギーや省エネ技術など環境インフラの海外展開をめざす企業や自治体など約 280 団体が参加する官民連携の協議会が 8 日、発足した。 7 月にまとまった次期インフラシステム輸出戦略骨子で、途上国の脱炭素化への移行支援が基本方針として盛り込まれたことに対する取り組みだ。 協議会では、再エネ・省エネ設備、廃棄物発電など環境性能の高いインフラ輸出に向けて、企業、自治体、政府が一体となって情報を共有し、相手国とのビジネスマッチングを図ることをめざす。

途上国の脱炭素化に向けては、8 月に小泉進次郎環境相とベトナムのチャン・ホン・ハー天然資源環境相が政策対話を実施。 日本がベトナムの脱炭素化に向けた長期戦略の策定支援や再エネの主流化などに協力していくことで合意した。 新型コロナウイルスの影響で世界経済は停滞。 復興の過程で温室効果ガスの排出が急増することがないよう、環境に配慮した経済社会の立て直しが求められている。 協議会の設立式で小泉氏は「世界の環境インフラのニーズが増加するいま、世界に貢献できる日本の取り組みや技術を発信して、マーケットを創出、拡大する絶好の機会だ」と述べた。 (水戸部六美、asahi = 9-8-20)


コロナ後経済社会「再設計」を 日本議長の気候変動会合

日本が議長国を務め、新型コロナウイルス禍からの復興と気候変動対策を話し合う閣僚級会合が 3 日、オンラインで開かれた。 小泉進次郎環境相は、新型コロナ前に後戻りしない経済社会の「再設計」を提唱。 据え置いたまま国連に提出した温室効果ガスの排出削減目標 (NDC) の上積みも視野に意欲をにじませた。 新型コロナによる経済停滞で温室効果ガスの排出量は一時的に減っているが、リーマン・ショック時も景気回復に伴って増えてその後、過去最高を記録した。

小泉環境相はこの経緯を念頭に、コロナ禍と気候変動の両課題を同時に乗り越えるには「経済社会の再設計が不可欠」と指摘し、脱炭素社会、循環経済、分散型社会という三つの移行を提案。 再生可能エネルギー由来の水素の活用や、コロナ禍で増えたデリバリー需要に対応する物流の電気自動車の普及など日本の取り組み例を紹介した。 国連のグテーレス事務総長はビデオメッセージを寄せた。 第 26 回国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP26) までに、NDC の上積みを各国に要請。 日本には海外の石炭火力への融資からの撤退、国内の石炭使用の段階的廃止の早期実現、2050 年二酸化炭素 (CO2) 排出実質ゼロへの約束などを期待するとした。

小泉環境相は、50 年までに CO2 排出実質ゼロを掲げる自治体の急増など、NDC 提出後に「多くの進展をしている」とし、削減目標の見直しについても「次回のパリ協定の 5 年ごとの提出期限を待つことなく」と述べ、COP26 までの再提出の可能性にも含みを持たせた。 オンライン会合は、新型コロナの影響で来年 11 月に延期された COP26 までに、機運を維持する目的で、日本が提案。 197 のすべての締約国・地域に呼びかけ、温室効果ガスの主要排出国の中国を含む 90 超の国・地域が参加した。 日本が気候変動分野の閣僚級会合で議長国を務めるのは、京都議定書が採択された 1997 年の COP3 以来となった。 (水戸部六美)

【解説】 日本は CO2 削減目標を引き上げられるか

このままでは世界の平均気温は、産業革命前に比べて 3 度以上高くなる。 COP26 の成否は、パリ協定が目指す 1.5 度未満にとどめるために、各国が一層の削減を約束できるかにかかっている。 コロナ禍は、温暖化対策強化の必要を改めて気づかせる機会になった。 閣僚級オンライン会合の目的も、1 年延期された COP26 までに世界がその意欲を失わず、高めていくことにあった。 会合の全体議長を日本が務めたことは、大きな意義がある。

グテーレス国連事務総長は、ビデオメッセージで、日本が海外の石炭火力発電への融資をやめ、国として 2050 年までに脱炭素化すると約束し、国内の石炭使用を早期に廃止し、再生可能エネルギーを大幅に増やすことに期待を示した。 日本ができていない、遅れている分野への苦言であると同時に、小泉環境相の下でようやく動き始めた「脱石炭」や「脱炭素」を後押しする意味が込められているように見える。

小泉環境相は「気候変動に関する閣僚級会議で、日本が議長を務めるのは、京都会議以来だ」と強調した。 京都議定書を採択した地球温暖化防止京都会議 (COP3) は、23 年前の 1997 年に開かれた。 当時、誘致した環境庁(当時)や条約事務局、NGO など、温暖化対策を進めたい勢力には、一つの思惑があった。 日本が議長を務めることで、温暖化対策に後ろ向きな国内の産業界や関係省庁の動きを抑えられるのではないか、という期待だ。 今回も、会合を呼びかけた環境省や条約事務局、欧州連合 (EU)、企業、自治体、NGO などからは、この機会を日本の対策強化につなげたい、もしくは、つなげてほしいとの期待がにじむ。

日本は 3 月、削減目標を更新しないまま再提出し、世界を失望させた。 今回の小泉環境相のメッセージも文言自体はその時と変わらない。 だが、石炭火力の問題などは、その後に動き出した。 議長国・日本が、COP26 までに目標を引き上げるであろうという期待は、国内外から一層高まった。 裏切ることはできない。 (編集委員・石井徹、asahi = 9-4-20)


SDGs って何? 親子で学べるサイト、ユニセフが開設

環境アセス

記事コピー (8-27-18〜9-2-20)


味の素グループ、国際的な環境イニシアティブ「RE100」に参画

〜 2050 年度の電力の再生可能エネルギー 100% 化を新たな目標として設定 〜

味の素株式会社(GC 部)

味の素グループ(味の素株式会社 社長 : 西井孝明 本社 : 東京都中央区)は、このたび「電力の再生可能エネルギー(以下「再エネ」) 100% 化」を目指す企業で構成される国際的な環境イニシアティブ「RE100」への参画を表明しました。 The Climate Group が *CDP とのパートナーシップのもと主宰する同イニシアティブへの参画により、当社グループは 2050 年度の再エネ 100% 化を目標として新たに設定します。 (* 投資家、企業、都市、州、および地域が環境インパクトを管理するためのグローバルな開示システムを運営する NPO)

RE100 は、情報技術や自動車製造など多様な分野からのグローバル企業が参加するイニシアティブであり、2050 年度までに企業が自らの事業の使用電力を 100% 太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱などの再エネで賄うことが目標として設定されています。 なお今回の参画に当たっては、持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループである、日本気候リーダーズ・パートナーシップ (JCLP) に支援を受けました。

当社グループは 2020 - 2025 中期経営計画において、地球・環境との共生に向けた取り組み目標として、2030 年度に温室効果ガス排出量を 50% 削減(2018 年度比基準)することを掲げています。 その一環としてさらに先を見据えた目標を持つ RE100 の活動主旨に賛同し、同イニシアティブへの参画を通じてサステナビリティへの取り組み強化を図ります。

当社グループではこれまでも再エネ利用を積極的に推進しており、2017 年度には本社と国内営業拠点などで使用するすべての電力を対象に「グリーン電力証書」を購入しました。 またブラジル、タイ、ベトナムなど海外の工場ではバイオマスボイラーを設置して、サトウキビの搾りかすやもみ殻などの非可食部分や未利用部分を燃料としたエネルギーの利用を推進してきました。 RE100 への参画にあたり、2050 年度の再エネ 100% 化を目標として新たに設定するとともに各事業拠点における再エネ調達を加速させ、CO2 排出削減を含む様々な環境対応策に取り組む企業として、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。

参 考

<RE100 の概要> RE100 は、世界で影響力のある企業が、事業で使用する電力の再生可能エネルギー 100% 化にコミットする協働イニシアティブです。 RE100 はThe Climate Group が CDP とのパートナーシップのもとで主宰しています。 日本では 2017 年 4 月より日本気候リーダーズ・パートナーシップ (JCLP) が地域パートナーとして、日本企業の参加を支援しています。

<JCLP の概要> 日本気候リーダーズ・パートナーシップは、持続可能な脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきであるという認識の下に設立した、日本独自の企業グループです。 持続可能な脱炭素社会への移行に先陣を切る事を自社にとってのビジネスチャンス、また次なる発展の機会と捉え、政策立案者、産業界、市民などとの対話の場を設け、日本やアジアを中心とした活動の展開を目指します。

味の素グループは、"アミノ酸のはたらき" で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指しています。 私たちは、"Eat Wel, Live Well." ”をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現してまいります。 味の素グループの 2019 年度の売上高は 1 兆 1,000 億円。世界 35 の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は 130 以上にのぼります(2020 年現在)。詳しくは、www.ajinomoto.co.jp をご覧ください。 (PR Times = 8-4-20)


宮代の環境 NPO 水田「ほっつけ」守り 20 年 「日本水大賞」大臣賞輝く

宮代町で江戸時代にできた堀上田(ほりあげた)と周辺の自然環境を保護している NPO 法人「宮代水と緑のネットワーク」が、活動を始めて 20 年目に入った。 長年の功績が認められ、6 月には国土交通省などが主催する「日本水大賞」で農林水産大臣賞を受賞した。 代表の茂木俊二さん (67) は「活動を評価してもらいうれしい。 励みになる。」と話している。

町では江戸時代、沼底を掘った土を盛り上げて新田を開発。 細長い田んぼと水路が交互にある特徴的な風景をつくっていたという。 地元では「ほっつけ」と呼ばれ、現在はわずかに残るだけとなった。 ネットワークは町の環境基本計画検討委員会の委員だった有志が、2001 年 4 月に設立。 東京へのアクセスのよさから開発が進み、失われてしまう自然環境を守ろうと、活動に乗り出した。

活動場所の中心は笠原小学校の南側にあるほっつけと周辺。 田んぼにはメダカやドジョウ、タニシなど多様な生きものが生息する。 無農薬で米作りをするのは、生物多様性を守るため。除草剤も使わない。 田植えや稲刈り体験会を開いて多くの人に豊かな環境を知ってもらい、ホタルの乱舞を復活させようと幼虫の飼育や放流活動、観察会もしている。

希少な野草の保護も重要な活動の一つ。 ほっつけのあぜには、県の準絶滅危惧に指定されているナガボノシロワレモコウやオグルマが生えている。 開発されると聞いて別の場所から移植したチョウジソウやナンバンギセルなどもある。 順調とはいかないことも。移植しても元あった場所と土や水が変わったことで、根付かず町内で見かけなくなってしまった種類もあった。 それでもメンバーは毎月 2 回、セイタカアワダチソウなど外来種やツル植物を抜くなど地道な作業を続けている。

中心となるメンバーは現在、30 人ほど。多かったころの半分ほどに減少したが、周辺の自治体からも関心の高い人が活動に加わり、支えてくれている。 茂木さんは「もともと人の手が加わって守られてきた環境なので、活動を継続していかないと消滅してしまう。 受賞をきっかけに理解が広がり、協力してくれる人が増えてくれたら」と話している。 (寺本康弘、東京新聞 = 7-30-20)


プラごみ一括回収へ 新区分で 22 年度以降目指す

生鮮食品のトレーや文具、玩具など家庭から出るプラスチックごみ(プラごみ)について、政府は「プラスチック資源」という新しい区分で一括回収するよう市町村に要請する方針を固めた。 プラごみのリサイクル率の向上が狙い。 2022 年度以降の開始をめざす。 家庭からでるプラごみのうち、洗剤のボトルなどのプラ製容器包装はすでに 8 割弱の自治体が回収し、リサイクルにまわっている。 しかし、それ以外のプラ製の文具や玩具などは可燃ごみや不燃ごみなど自治体によって回収区分が異なり、焼却・埋め立て処分されている。 プラ製容器とそれ以外のプラごみを一括回収することで、回収率を上げて、リサイクル率を高める。

現状、プラ製容器包装は、回収して、混入したごみを選別し、圧縮するところまでが自治体の費用負担となっている。 新制度では、リサイクル施設内で選別できる設備を強化。 自治体が一括回収したプラごみを直接、リサイクル施設に持ち込める仕組みも検討する。 35 年までに使用済みプラを 100% 再使用や再利用で有効活用するなど、国が 19 年に策定した「プラスチック資源循環戦略」の具体化に向けた取り組みの一つ。 21 日に開かれる環境省と経済産業省の合同会議で新制度を含む原案を示す。 (水戸部六美、asahi = 7-19-20)


長野県内で広がる環境保全活動、経済活性化にも一役

7 月からのレジ袋の有料化を機に長野県内の企業などで環境保全活動が広がっている。 企業が高校で国連の持続可能な環境開発目標 (SDGs) を学ぶ授業を実施したほか、地元商店ではエコバッグで買い物をした人に商品券が当たる取り組みも。 環境活動がコロナ禍で苦しむ事業者支援になる例もあり、地域経済活性化につながっている。

7 月上旬、千曲市の長野県屋代南高校。美術専攻の生徒を対象に「地域をつなげる! エコバッグから始める SDGs ストーリー」と題した授業が始まった。 講師の一人は長野県労働金庫更埴支店(千曲市)の中村賢二支店長。 7 月からのレジ袋有料化などの具体例を交え、世界で関心が高まる環境問題をわかりやすく説明した。 授業は全 8 回を予定し、環境問題以外の SDGs についても勉強する。 生徒が授業から発案したデザインをプリントしたエコバッグを作るのが、最終ゴールだ。 バッグの素材はシャツ製造のフレックスジャパン(千曲市)が提供し、縫製は社会福祉法人のいなりやま福祉会(同市)が担う。

コロナ禍では県内企業と同様に同福祉会も売り上げの減少に苦しんでいたなかで、エコバッグの縫製作業は貴重な仕事となったという。 長野労金の中村支店長は「今回の企画が地域経済の下支えにもつながった」と話す。

一方、コロナ禍で落ち込む地元経済の活性化につなげようとする動きもある。 上田商工会議所(上田市)と上田市商店会連合会(同)は 6 月、地元商店で使える商品券をプレゼントする「マイバッグでお買い物キャンペーン」を実施した。 6 月に買い物した 5 千円以上のレシートと自分のエコバッグの写真を郵送すると、当選者は市内の約 300 の商店で使える千円の商品券がもらえるというものだ。

キャンペーンにあわせて、上田商議所が支援する事業者のフェイスブックを活用して、地元の作家らが作ったエコバッグを販売する企画も実施した。 上田商議所の今井裕氏は「レジ袋有料化を経済の活性化にもつなげることができた」と語る。 県は 08 年度から啓発活動などを通じてレジ袋の削減を推進しており、県内のエコバッグ持参率は 7 割にのぼる。 このため、県はレジ袋にとどまらないプラスチックの削減を進めるべく、19 年度から「信州プラスチックスマート運動」を開始。 生態系にも影響を及ぼす海洋プラの削減を目指す。

海洋プラスチックの多くが陸から排出されるため、海がない長野県も無関係ではない。 不要なレジ袋を断るほか、マイバッグやマイボトルの推奨、リサイクルなどを呼びかける。 運動初年度の 19 年度はボランティアを集めて県内 10 箇所で河川のゴミ拾いなどを実施した。 今後は県をまたいだ河川清掃活動の実施も検討していき、運動を県外にも発信する狙い。

県の 2 月の意識調査ではスーパーでレジ袋をもらわない人は、「おおむね実践している」人も含めると 81.3% にのぼった。 ただ、コンビニエンスストアでは、レジ袋をもらわない人は「おおむね実践している」人も含めて 45% にとどまる。 レジ袋有料化などを好機ととらえ「スマート運動を一層普及させたい(県環境部資源循環推進課の伊東和徳課長)」としている。 (下村凜太郎、nikkei = 7-17-20)


地球環境、劇的に改善 コロナ対策で CO2 排出減

新型コロナウイルスの世界的流行に伴う外出制限や営業規制で二酸化炭素 (CO2) の排出量が激減し、地球環境が劇的に改善している。 アジア各国で大気汚染が急減し、欧米諸国では観光客らの減少で河川の水質が向上したとの報告が相次ぐ。 各国で経済再開が進み、逆流が懸念される中、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは緊迫感を持って温暖化対策に取り組むよう要求。 国連も「温暖化は続いている」と警告し、脱炭素化と経済発展の両立を訴えている。 (kyodo = 7-11-20)

◇ ◇ ◇

コロナの影響? 東京周辺の CO2、増加鈍る 衛星観測

大気中の二酸化炭素 (CO2) 濃度の増加が、今年 1 - 4 月の東京周辺では鈍っていた。 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の観測によるもので、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞が原因とみられる。 現在、大気中の CO2 濃度は 410ppm (0.041%) 程度。 植物の光合成や呼吸の影響で季節変動を繰り返しながら、長期的には年に 2ppm の割合で増えている。 この傾向は人間活動の影響と考えられている。

4 月は増加が多い月で、いぶきの観測では 2016 年は東京周辺で約 8ppm 増えていた。 しかし今年は約 3ppm と半分以下。16 - 19 年 4 月の平均と今年 4 月を比べても同様の傾向だった。 1 - 3 月で同じ比較をしても同様の傾向だった。 JAXA は、外出自粛などによる社会活動や経済活動の停滞が影響した可能性があるとみている。 北京やニューヨークといった世界の大都市でも似た傾向が見られた。

JAXA 第一宇宙技術部門の平林毅・宇宙利用統括は「この情報を異なる専門分野の方が利用することで、さらなる価値や社会の貢献が生み出されることを期待している」と話している。 JAXA は、新型コロナウイルスの影響による自然環境や経済活動の変化の解析データを ウェブサイト で公開している。 (小川詩織、asahi = 6-28-20)


洋上風力、全国 30 地点整備へ 再エネ拡大へてこ入れ

民間投資を活用した洋上風力発電の建設が加速する。 経済産業、国土交通両省は今後 10 年で全国 30 カ所への拡大をめざし、再生可能エネルギーを優先活用するルールを作るなど民間が投資しやすい環境を整える。 有望な再生エネルギーとされながら普及しない洋上風力をテコ入れし、年間 3 - 4 件を事業認定する。 国際的に批判の強い石炭火力発電所の休廃止を進めるうえで、再生可能エネルギーの拡大が欠かせない。 梶山弘志経済産業相が近く洋上風力を拡大する方針を発表する。

2021 年度から 30 年度にかけ、毎年 100 万キロワット程度の洋上風力発電の整備を進め、合計でおおむね原発 10 基分に相当する 1,000 万キロワットにまで増やす目標を打ち出す。 1 事業エリアで平均 30 万キロワット程度の発電容量を確保する計画となる。 政府がまず手掛けるのは民間の再生エネ事業者に投資を促す環境の整備だ。 洋上風力発電は大型の設備になると高さが 200 メートルを超える。 発電設備を効率よく設置するため、国交省が中心となって建設に必要な部材を集中管理する拠点を全国に複数設ける。 基地港も整備する。 インフラを整えることで、民間の投資意欲を引き出す狙いだ。

完成後の運営も優遇する。 経済産業省は送電網のルールを見直し、送電量が大幅に増えても、洋上風力を制限しない対策を講じる。 送電容量が余った場合に再生エネがその枠を利用できる「ノンファーム型接続」を 21 年から全国で実施する。 発電量が突然、制限されるおそれを抱える不安定な事業環境を改善する。 現在、洋上風力発電所は福島県、千葉県銚子市、北九州市、長崎県五島市の沖合に 4 カ所ある。 このうち銚子市沖と五島市沖に秋田県沖の 2 カ所を加えた 4 つの海域で特に準備が進んでいる。

五島市沖は 6 月から事業者の公募が始まった。 残りの 3 カ所では今秋にも始まる見通し。 4 カ所の合計の発電容量は 100 万キロワットを超える。 青森県や北海道などにも有望とされる海域がある。 四方を海に囲まれる日本は洋上風力の導入余地が大きいとされ、数千万キロワット分の導入が可能とする民間試算もある。 現状で稼働しているのは 2 万キロワットにとどまる。

欧州最大級の英国は昨年末で 1,000 万キロワットに迫る。 韓国は 40 年までに 2,500 万キロワットに能力を拡充するとの予測もあり、日本も長期的に韓国並みの水準をめざすべきだとの声も出ている。 政府の長期計画では、30 年度の再生エネの構成比率を全体の 22 - 24% と見込んでいる。 18 年度の実績は 17%。 洋上風力が実際に営業運転を始めるには事業者の選定から 5 - 8 年はかかるとされる。 今回の取り組みを軌道に乗せることで、30 年度以降の再エネの構成比率を目標値から少しでも上乗せすることをめざす。 (nikkei = 7-8-20)


シャープ、1kW 超の定格発電電力をほこる EV 用太陽電池パネルを製作

シャープは 7 月 6 日、移動体への太陽電池搭載の可能性を検証するため、電気自動車用の太陽電池パネルを製作したと発表。 本パネルは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) が実施した事業において開発した、高効率な太陽電池モジュール(変換効率 31.17%)と同等のセルを活用して制作したもの。 セルは約0.03mm の薄いフィルム状であり、車体の曲面形状に沿って効率よく搭載できることから、1kW を超える約 1,150W の定格発電電力を実現したという。 パネルは、公道走行用実証車として、日産自動車の電気自動車「e-NV200」に搭載する。

シャープによれば、1kW を超える定格発電電力を達成した本パネルは、走行距離や走行時刻などの利用パターン次第では、年間の外部電源からの充電回数をゼロにできると試算しているという。 NEDO は今後、実証車による実証結果を、トヨタ自動車が実施したシャープ製の太陽電池パネルを搭載したプラグインハイブリッド実証車による公道走行実証のデータと併せて、IEA PVPS task17 などの国際的な調査活動に活かすとしている。 さらに、新規事業として、車載用 III-V 化合物太陽電池の実用化に向け、さらなる高効率化とコストダウンを推進するとのこと。

シャープは今後、航続距離や充電回数などを評価し、車載用太陽電池の普及活動に生かすとともに、太陽電池の新規市場創出とエネルギー・環境問題解決を目指すとしている。 (ASCII = 7-6-20)


古い石炭火力発電所の発電量 9 割程度削減へ調整 政府

政府は、石炭火力発電の在り方を大きく見直す方針を固めました。 二酸化炭素の排出が多い、古い石炭火力発電所による発電量を 2030 年度までに 9 割程度、削減する方向で調整に入りました。 石炭火力による発電をめぐっては、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に基づいて脱炭素に向けた取り組みが求められるなか、二酸化炭素の排出量が多いとして国際的に見直しの動きが強まっています。

一方、国内の発電量に占める石炭火力の割合は、2018 年度で 31% にのぼり、主力の電源となっています。 こうした中、政府は石炭火力発電の位置づけを大きく見直す方針を固めました。効率が低く二酸化炭素の排出量が多い古い方式の石炭火力発電所による発電量を、2030 年度までに 9 割程度、削減する方向で調整に入りました。 具体的には、電力会社が発電できる量に上限を設けて、古い発電所を休止や廃止するなどして、段階的に引き下げていく方法などが検討されています。

一方、二酸化炭素の排出を抑えた効率がよい石炭火力発電所は新設も認めることにしています。 9 割程度の削減は、発電所およそ 100 基分に当たりますが、災害などの際に大規模な停電を防ぐためにすべてがすぐに廃止されないような仕組みも検討することにしていて、今後、有識者による会議を設置することにしています。 こうした方針について、梶山経済産業大臣が 3 日にも明らかにすることにしています。

ヨーロッパなど「脱石炭」加速

石炭火力発電をめぐっては、ヨーロッパの国などを中心に、すべての発電所の廃止を掲げる「脱石炭」の動きが加速しています。 このうちイギリスは、2010 年に 28% だった石炭火力発電の割合を、2025 年までにゼロにする方針を掲げています。 フランスは、2022 年までに石炭火力発電を廃止する方針のほか、2017 年の時点で石炭火力の依存度が日本よりも高かったドイツも、遅くとも 2038 年までに廃止するとしています。 このほかカナダは、排出される二酸化炭素を回収して地下に埋める技術が導入されていない従来型の石炭火力発電は、2030 年までに段階的に廃止する方針です。

一方、日本は石炭火力を選択肢として残しつつ、技術開発によって二酸化炭素の排出削減を目指す立場をとってきました。 2030 年に発電量に占める石炭火力の割合を 26% 程度と見込み、2050 年に向けて効率の低い石炭火力を段階的に削減していく方針を示してきました。

日本では主力電源 見直しで削減加速か

国内の発電量のうち石炭火力が占める割合は、2018 年度は 31% で、天然ガス火力の 38% に次ぐ、主力の電源になっています。 福島第一原子力発電所の事故を受けて原発の稼働が止まってからは、その割合が上昇しました。 これは、燃料となる石炭の価格が原油や天然ガスと比べても安く、世界各地で産出されるため安定して調達できるメリットがあるためです。 しかし、いわゆる化石燃料の中でも二酸化炭素の排出量が多いという大きなデメリットがあるため、電力会社などは燃焼温度を高めて発電効率を向上させた石炭火力発電の導入を進めてきました。

経済産業省によりますと、高効率とされる石炭火力発電所は、全国におよそ 30 基あり、古い方式で効率が低いとされる発電所は、およそ 110 基に上ります。 国際的に「脱石炭」の動きが強まる中、政府はこれまで新しい技術で排出量を減らす実効的な取り組みが重要だとし、具体的な計画は示してきませんでした。 おととし改定した政府の「エネルギー基本計画」では、2050 年に向けた対応として、非効率な石炭を段階的に削減するとしてきましたが、今回の見直しは、その取り組みを加速するねらいがあります。 また、石炭火力への依存を大きく減らすことによって、今後は再生可能エネルギーや原子力も含めた長期的なエネルギー政策の見直しも課題となります。

原発の代替は困難か

9 年前の福島での原発事故で国内の原発は停止し、火力発電所の比率が以前より高まっています。 こうした中、国は 2030 年度までには 30 基前後の原発を再稼働させたい考えですが、事故を教訓につくられた新しい規制基準の審査に合格して再稼働した原発はこれまで 9 基にとどまっています。 また審査中のものは 11 基、審査に合格したものの地元了解が得られていないものが 7 基ありますが、いずれも具体的な再稼働のめどはたっていないのが実情です。 仮に石炭火力の削減を進める中で、電力需要が増加した場合などは、原発を代替の電源にすることは簡単ではなく、再生可能エネルギーの普及も含めエネルギー全体の構成をどうするか、根本的な議論が必要になってきます。

「温暖化対策に消極的」と批判も

日本の石炭火力発電の利用をめぐっては地球温暖化対策に消極的だとして国際的に批判されてきました。 去年 12 月、スペインで開かれた、温暖化対策を話し合う国際会議「COP25」では、開幕にあたって国連のグテーレス事務総長が石炭火力発電の利用をやめるよう各国に呼びかけました。 これについて小泉環境大臣は、COP の演説の中で「日本へのメッセージだと受け取った。 日本が国際的に批判されていることは承知している。」と述べたものの、「石炭火力発電に関する新たな政策をこの場で共有することは残念ながらできない」と話し、具体的な方針を示しませんでした。

また、梶山経済産業大臣は、閣議のあとの記者会見で「石炭火力発電など化石燃料の発電所は選択肢として残していきたい」と述べました。 2 人の大臣の発言を受けて COP の会場では、国際 NGO のグループが温暖化対策に消極的だと判断した国に贈る「化石賞」に日本を 2 度、選ぶなど批判が高まりました。 温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにすることなどを目標に掲げた「パリ協定」がことし本格的に始まったこともあり、石炭火力発電をめぐってパリ協定の目標と矛盾しない説得力のある政策を打ち出せるかどうか問われています。

環境省の担当者は「パリ協定の目標を達成するには非効率な石炭火力発電を削減するだけではまだ不十分だ。 再生可能エネルギーの拡大や二酸化炭素の回収、貯留などの技術革新を進めていきたい。」と話しています。 (NHK = 7-2-20)


1,500 台の家庭用燃料電池で「仮想発電所」を構築、再エネの出力変動対策へ実証実験

大阪ガスが家庭用燃料電池エネファーム約 1,500 台を統合制御し、系統需給調整に活用する実証を開始。 再生可能エネルギーの出力変動対策としての有効性を検証する。 大阪ガスは 2020 年 6 月 5 日、ユーザー宅の家庭用燃料電池エネファーム約 1,500 台を統合制御してバーチャルパワープラント (VPP) を構築し、系統需給調整に活用する実証を開始すると発表した。 事業期間は 2020 年 6 月 - 2021 年 2 月(予定)である。

今回、経済産業省が公募する「令和 2 年度需要家側エネルギーリソースを活用した VPP 構築実証事業費補助金」の「VPP アグリゲーター事業」に参画する。 本実証事業のアグリゲーションコーディネーターは中部電力ミライズであり、大阪ガスはリソースアグリゲーターとして実証事業を行う。 太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーは、日射量や風の強弱などにより発電出力が変動する。 一方、エネファームは発電出力を自由に制御でき、再生可能エネルギー大量導入社会における系統需給調整に貢献できるリソースとして注目されている。 大阪ガスは、2016 年に発売したエネファーム type S から IoT 機能を搭載し、現在約 5 万台が同社のサーバとつながっている。

本実証事業では、IoT 化で培った遠隔制御技術のノウハウを生かし、再生可能エネルギーの出力変動を含む系統需給状況に対応してエネファームの出力が制御できることを検証する。 具体的には、アグリゲーションコーディネーターからの指令に基づき、調整力を供出する実証を通じて、多数台エネファームの遠隔制御の技術検証(指令量に対する調整力供出精度)を実施する。 系統の需給状況に応じた多数台エネファームの遠隔制御の技術検証(需給状況への貢献量の運用精度)も実施する。 (スマートジャパン = 6-23-20)


50 年までに CO2 排出ゼロ 100 自治体が宣言

環境省は 19 日、2050 年までに二酸化炭素 (CO2) の排出を実質ゼロにすることを表明する自治体「ゼロカーボンシティ」が 100 に達したと発表した。 地球温暖化に歯止めをかけるため、自治体も脱炭素へとかじを切っている。 環境省によると、ゼロカーボンシティは 19 年 9 月時点で 4 自治体のみだったが、今年 6 月 17 日に大阪府泉大津市が加わったことで、札幌市、横浜市、福岡市など計 100 自治体となった。 総人口の半数に当たる約 6,400 万人がこれらの自治体で暮らすことになる。

こうした自治体を増やすため、公的機関が再生可能エネルギーを導入する時のノウハウをまとめた ガイド もつくった。 環境省は外務省、防衛省とともに、電力を再エネで賄うことを宣言する国際企業連合「RE100」にアンバサダーとして参加。 30 年までに本省も含めたすべての所管施設の電力を再エネに切り替えることを目指している。 今年 4 月からは、再エネの電力を供給する事業者から買うなどし、新宿御苑など 7 施設を再エネ 100% にした。

再エネはコストが壁と言われてきたが、昨年度と比較可能な 5 施設中、3 施設は料金単価が変わらず、2 施設は下がったという。 例えば新宿御苑は再エネ導入前は 1 キロワット時 17.6 円だったが、再エネ 100% にしたところ 17.1 円になった。 一括して事業者と契約する、最安値の事業者をマッチングしてくれる民間サービスを使うなど工夫した結果だといい、こうしたノウハウをガイドにまとめた。 小泉進次郎環境相はこの日の閣議後会見で「ガイドが一つの起爆剤となって、さらに再エネ活用の取り組みが進むことを期待している」と述べた。 (水戸部六美、asahi = 6-20-20)


横須賀の石炭火力、中止を 手紙 190 通、環境相に届く

地球温暖化対策の強化を訴える神奈川県横須賀市の若者組織が、同市で進む石炭火力発電所の建設中止を求めて、地元選出の小泉進次郎環境相宛ての手紙を募ったところ、190 通が集まった。 この組織はスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんと連帯する「フライデーズ・フォー・フューチャー (FFF) 横須賀」。 2 月に発足したが、新型コロナウイルスの影響で活動が難しくなり、小泉氏宛ての手紙をインターネット上で募ることにした。

小泉氏は 5 日の閣議後会見で「若者から届いた手紙を私も拝見した。 5 歳の方の手紙もあった。」などと述べた。 同市在住の大学 4 年生で、FFF 横須賀のメンバーの鈴木弥也子(ややこ)さん (21) は「手紙を読んでもらえたのはうれしかったが、地元の石炭火力には言及していない。 これで終わりにしないで、オンラインでもいいので対話する機会をつくってほしい。」と話した。 (水戸部六美、asahi = 6-7-20)

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小泉環境相 石炭火力輸出「脱炭素の移行、原則に」 報告書を公表

小泉進次郎環境相は 26 日、閣議後の記者会見で石炭火力発電を新興国に輸出する条件について「売れる売れないではなく、脱炭素への移行が促進されない限り輸出しないという方針転換をしなければならない」と述べた。 政府は 6 月にも石炭火力を含むインフラシステム輸出戦略の骨子を策定する予定で、環境省は輸出要件を厳格化する内容を盛り込みたい考え。 環境省は同日、輸出支援の現状を議論する検討会の報告書を正式にまとめて公表した。 報告書では今後の公的支援のあり方について脱炭素の移行を促すことが求められているとした。 具体的には二酸化炭素 (CO2) の排出量を抑える技術や、CO2 を回収し地中に貯留する CCS などの例をあげた。 (nikkei = 5-26-20)

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新興国の「脱炭素移行支援を」 環境省報告書

石炭火力発電の輸出支援について議論する環境省の検討会は 14 日、新興国の脱炭素型社会への移行を促す必要があるとの報告書をまとめた。 異常気象の頻発などで温暖化対策の重要性が世界的に高まっていることを踏まえ、石炭火力発電の輸出条件の厳格化を促す。 政府が 6 月に策定するインフラシステム輸出戦略の骨子に反映させたい考えだ。

報告書はインフラ輸出支援については「脱炭素社会に向けた長期戦略の策定など政策的な支援を併せてしていくこと」と提言した。 東南アジアなどの新興国では石炭火力は依然主要なエネルギー源で、温暖化ガス削減には排出量を抑えられる技術支援も重要になる。 石炭火力の輸出制限強化の具体策までは踏み込まなかった。 (nikkei = 5-14-20)