三菱自動車 岐阜の子会社「パジェロ製造」工場の生産停止方針

業績が低迷している三菱自動車工業は、立て直しに向けて国内の生産体制を見直し、岐阜県にある子会社、「パジェロ製造」の工場での生産を止める方針を固めました。 三菱自動車は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで世界的に車の販売が大幅に減少したことから、昨年度の決算で最終的な損益が 250 億円余りの赤字に陥りました。

このため会社は国内の生産体制を見直してコスト削減を図るため、岐阜県坂祝町にある子会社、「パジェロ製造」の工場での車の生産を止める方針を固めました。 工場などで働くおよそ 1,000 人の従業員は、配置転換などで雇用を維持したい考えで、生産している車種の一部を愛知県岡崎市の工場に移すことにしています。 この工場はかつて四輪駆動車ブームをけん引した「パジェロ」を長年、生産してきましたが、去年 8 月に国内向けの生産を終えました。

昨年度は主にミニバンや海外向けの「パジェロ」、合わせておよそ 6 万 3,000 台を生産しました。 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による販売の落ち込みの影響もあって、今月はほとんどの日で生産を停止していました。 三菱自動車は、経営資源を主力の東南アジア市場に集中させるとともに、人員の再配置を検討していて、内容を詰めて、今月 27 日に公表する見込みです。 (NHK = 7-22-20)


豊肥線、8 月の全線開通に向け試運転 熊本地震で被災

2016 年 4 月の熊本地震で被災し、熊本県内の一部区間で不通となっている JR 豊肥線が来月、全線開通する。 JR 九州は 21 日、復旧工事を終えた不通区間で初めて列車の試運転をした。 豊肥線は九州を横断して熊本と大分を結ぶ。肥後大津(熊本県大津町) - 阿蘇(同県阿蘇市)間約 27 キロは、地震やその後の大雨で計 51 カ所にレールの寸断などの被害を受け、不通になっていた。 地盤を整える土木工事や線路の敷設などが 20 日までに完了し、約 4 年 3 カ月ぶりにレールを走る音が阿蘇の山あいに響いた。 試運転列車は不通区間を3往復し、信号機や遮断機の動作やレールの状態を確認した。

試運転に使われたのは 2 両編成の 147 形ディーゼル車。 警笛を鳴らしながら田園風景などを走り抜けた。 乗務した運転士の市原昌之さん (44) は「立野から赤水の景色と雰囲気が(地震前と比べて)変わったと感じた。 お客さんや地域の方々に喜んでいただけるように最後まで準備を怠らずに頑張りたい。」と意気込みを語った。 22 日以降は訓練のための運転を続け、8 月 8 日の全線開通に備える。 (大木理恵子、asahi = 7-21-20)


ANA、伊丹に自動手荷物預け機導入 17 日から、全国展開完了

全日本空輸 (ANA/NH) は 7 月 13 日、伊丹空港に自動手荷物預け機「ANA バゲージドロップ (ABD = ANA Baggage Drop)」を 17 日から導入すると発表した。 伊丹は 5 空港目で 8 台設置し、全国 79 台の導入が約 5 年がかりで完了する。 伊丹空港では、ABD 導入で ANA の出発カウンター全体のレイアウトとデザインの変更が完了。 空港到着から搭乗までの流れがわかりやすくなる。 ANA は新デザインのカウンターによる手続きなど、新たな搭乗の流れを「FAST TRAVEL (ファストトラベル)」と呼んでおり、羽田と新千歳、福岡、那覇、伊丹へ順次導入しており、手続きをわかりやすくすることで、待ち時間の短縮を狙っている。

ANA は伊丹空港内の施設を順次リニューアルしており、2019 年 2 月 1 日にマイレージサービスの最上級会員向け「ANA スイートラウンジ」と、一般会員向け「ANA ラウンジ」が新装開業。 同年 9 月 3 日には、マイレージ会員専用の保安検査場を備えた室内型カウンター「ANA プレミアムチェックイン」が 2 階にオープンしている。 ABD は 1 階に 6 台、2 階に 2 台設置する。

また、中国から拡散した新型コロナウイルス感染症の対策として、空港や機内でソーシャル・ディスタンシング(対人距離)を確保したり、マスク常用やこまめな手洗い、消毒などを呼びかけている。 空港のチェックインカウンターにビニールカーテンを設置するなど、自社の取り組みを「ANA Care Promise」と名付けて告知を強化しており、ABD の利用が空港での待ち時間短縮や他人との接点減少につながるとして、利用を呼びかけていく。

ABD は、2015 年 7 月 1 日に羽田空港へ初導入。 国内幹線空港へ順次展開しており、2 空港目の新千歳に 2017 年 11 月 8 日、3 空港目の福岡は 2018 年 6 月 28 日、4 空港目の那覇へは 2019 年 11 月 5 日に導入しており、5 空港目の伊丹で全国展開を終える。 導入台数は羽田が 39 台でもっとも多く、那覇が 16 台、新千歳が 10 台、福岡が 6 台となっている。 また、伊丹空港を運営する関西エアポート (KAP) は、民営化前の 2016 年 2 月に着工したリニューアルをまもなく終え、8 月 5 日にグランドオープンする。 当初は 7 月に予定していたが、新型コロナウイルスの影響などで後ろ倒しになった。 (Tadayuki Yoshikawa、AviationWire = 7-13-20)


JAL、駐在員向け広州チャーター 成田発 159 人利用

赴任者と家族 159 人利用
定期便は羽田発着

日本航空 (JAL) は 7 月 10 日、成田 - 広州間のチャーター便を運航した。 中国国内の工場を再稼働させるための長期赴任者などを対象にしたもので、現地の商工会が中心となって企画した。 旅客扱いは成田発のみで、折り返しの広州発は貨物便として運航する。

広州チャーターにはボーイング 787-9 型機(3 クラス 239 席 : ビジネス 28 席、プレミアムエコノミー 21 席、エコノミー 190 席)を投入し、広州行き JL8875 便は長期赴任者や駐在員らと、その家族 159 人(うちが利用。 同便が出発した 62 番搭乗口では、利用客の密集を避けるため 20 人ずつのグループに区切り、搭乗手続きが進められた。 JAL の地上係員は乗客を 1 人ずつ検温し、体温が 37.3 度以下であることを確認した。

検温などに時間を要したため、同便は予定より 10 分遅い午前 10 時 10 分に成田を出発。 同 30 分に離陸し、パイロット 3 人、客室乗務員 9 人で運航した。 広州着は予定より 20 分早い午後 1 時 25 分となる見込み。 現地発は乗客を乗せない貨物専用便で、工業部品や衣類など 22 トンを運ぶ。 このうち日本向けは 1 トンで、残り 21 トンは米国向けとなる。 成田行き JL6768 便は午後 3 時 15 分に広州を出発して、午後 8 時 30 分に成田へ戻る。

定期便は羽田発着

中国の航空当局 CAAC (中国民用航空局)は、中国国内の工場再稼働に向けた商用チャーターに関するスキームを 5 月 25 日に示しており、広州チャーターもこれを活用。 通常、中国路線は定期便を運航している航空会社がチャーター便を申請しても認可されないが、国際線運航の条件を定めた「FIVE-ONE 政策」の期間中は認められる。 同政策では、国際線の運航は航空会社 1 社につき 1 路線を 1 週間に 1 便のみに制限している。

JAL の広州線は通常、羽田から旅客便を運航している。 3 月 29 日開始の夏ダイヤで、羽田 - 広州線 (JL87/88) を 787-8 で 1 日 1 往復運航予定だった。 同路線は旅客便としては運休しているが、貨物便を運航している。 現在運航する JAL の中国路線は成田 - 大連線のみで、木曜のみ 1 往復を設定している。 7 月 11 日からは土曜も増便し、週 2 往復となる。 JAL によるとチャーター便が成田発着となったのは、大連線の運航実績があることに加え、日本政府が中国と韓国から日本へ向かう便を成田と関西の 2 空港のみに制限していることも関係しているという。

広州を含む華南地区の日系企業には、広州に戻れない赴任者や新規赴任できない日本人が数多くおり、直行便の要望が寄せられていた。 また、広東省や広州市とその周辺市の各政府も、日本などからビジネスマンを呼び戻したい意向を持っており、今回のチャーター便は広州市が認可した。 広州到着後は 14 日間の政府指定ホテルや自宅での隔離が要請される。 JAL の国際線は、7 月から 9 月までは依然として計画の約 9 割が運休・減便となる。 一方で 7 月 3 日からは成田 - シンガポール線を往路週 3 便、復路週 2 便で再開。 8 月 1 日からは成田 - ボストン線も再開し、羽田 - ホノルル線は臨時便を運航する。 (Yusuke Kohase、AviationWire = 7-10-20)


くま川鉄道、豪雨で全ての車両が浸水 文化財の橋も流失

熊本県を襲った 4 日の集中豪雨で、人吉市などが出資する第三セクター・くま川鉄道(人吉温泉 - 湯前)も、橋が流されるなど大きな被害を受けた。 復旧には相当な時間がかかるとみられる。 熊本県によると、災害当時、くま川鉄道が保有する車両 5 両は人吉市の人吉温泉駅内に停車していたが、球磨川の氾濫ですべての車両が浸水した。 また、くま川鉄道の川村 - 肥後西村にある 1937 年建造の国登録文化財「球磨川第四橋梁(322 メートル)」が流失しているのが確認されたという。 5 日にあった県の災害対策本部の会議で報告された。 県幹部は「相当長期間、全面的に運休することになると思う」と話した。 (asahi = 7-5-20)


あおり運転・厳罰化あす施行 … 加害者は若年男性で単独乗車が最多

悪質ドライバーによる「あおり運転(妨害運転)罪」を新設した改正道路交通法が、いよいよ 6 月 30 日から施行される。 通行を妨害する目的で急ブレーキや幅寄せなど計 10 類型の違反行為について、刑法の暴行罪より重い法定刑を定めたもので、1 回の違反で直ちに免許を取り消されるなどの厳罰化による抑止効果を図るのが狙いのようだ。 きょうの「読売」と「毎日」が「あおり運転あす厳罰化」などのタイトルで取り上げている。 それによると、あおり運転の対象となる行為は、

  1. 対向車線からの逆走や接近
  2. 前方で急ブレーキ
  3. 車間距離を詰める
  4. 急な割り込みや車線変更
  5. 左からの乱暴な追い越し
  6. 不要なパッシングの継続
  7. 不要なクラクションの反復
  8. 幅寄せや前方での蛇行運転
  9. 高速道で低速走行
  10. 高速道で駐停車

の 10 類型という。

また、「毎日」によると、悪質なあおり運転の加害者の実態を調査したところ、加害者は男性が 96% を占め、単独乗車が 78%。 年代別では 10 代が最多で、20 代の 2 倍、60 代の 7 倍に上っており、若年層は感情をコントロールする能力が未熟な場合があるとも伝えている。 さらに、発生場所は 8 割近くが一般道だそうだが、渋滞が多い都心ではなく、おそらく交通量の少ない地方の片側一車線道路で制限速度を守って走行している場合が考えられる。 (福田俊之、Response = 6-29-20)


暗礁乗り上げたリニア 静岡県と JR、水めぐる相互不信

品川(東京) - 名古屋間を最速 40 分でつなぐ JR 東海のリニア中央新幹線の開業が、目標としてきた 2027 年から遅れる公算が大きくなった。 総事業費 9 兆円の巨大プロジェクトにブレーキをかけたのは、環境への悪影響を懸念する沿線自治体だ。 具体的な開業時期はなお見通せず、JR 東海は開業が遅れるほどリスクは増すことになる。

静岡県の川勝平太知事は 26 日、静岡県庁の玄関で JR 東海の金子慎社長を出迎え、午後 1 時半から 2 人きりで約 1 時間 20 分会談した。 やりとりはインターネットで生中継された。 会談後、報道陣に答えた川勝知事は、県内の工事の 6 月中の開始を認めない考えを強調した。 これがリニア新幹線の「27 年開業」を掲げてきた JR へ、事実上の「延期通告」となった。

リニア新幹線は静岡県内では北部の山中を 8.9 キロ横切る。 この「静岡工区」を含む南アルプストンネル(約 25 キロ)は屈指の難工事とされるが、静岡工区では同意が得られず、計画から 3 年近く遅れている。 金子社長はトンネル掘削に向けた準備工事に 6 月中に着手できなければ、「27 年の開業は難しくなる」と、5 月末以降、期限を切った形で開業延期の可能性に言及。 トップ会談で一部でも同意を取り付けようと、打開の糸口を探ってきた。 JR 東海と静岡県のトップ会談でも両者の溝は埋まりませんでした。 記事の後半では、静岡での工事着工が難航している理由を探ります。

工事現場、水源と重なる

静岡県が懸念するのは、トンネルの工事現場が水源と重なる大井川への影響だ。 下流域で農業などに広く使われ、県人口の約 6 分の 1 の暮らしに関わるとされるだけに、水量が減らないか、減った場合の補償をどうするか、両者で協議が続いてきた。 転機となったのは 17 年秋。 JR と利水者や静岡県幹部の間で進めていた協定調印を目前に、川勝知事が会見で JR の姿勢を「不誠実そのもの」、「猛省を促す」と痛烈に批判した。 JR 幹部は「突然のことで本当に驚いた。 ちゃぶ台返しされた。」と振り返る。

JR は 18 年秋、トンネル工事に伴って流出する水の「全量」を川へ戻す県の求めに応じたものの、県側はさらに水の戻し方に注文をつけるなど交渉は難航した。 大井川をめぐっては、1980 年代にダムの影響で水量が減った地元住民が「水返せ運動」を展開した歴史がある。 「水」に敏感にならざるをえない県民感情も川勝知事の姿勢を支える。 川勝知事は「水」の問題を解決する手段として JR に金銭的な地域振興策を求めたこともある。 ところが地元支持者の反発を受けて方向修正。 JR 内部には「発言が二転三転する。 真意がわからない(幹部)」と川勝氏への不満が渦巻く。

一方で静岡県側から見た JR 東海への不信も根強い。 リニア新幹線が通過する 5 県で駅がないのは静岡だけ。 地元に「メリットがない(川勝知事)」工事を頼む立場なのに丁寧さに欠けるとして、県関係者は「JR 東海には『迷惑をかける』という意識がない」とこぼす。 政府内でも「上から目線だ」と、JR の姿勢に交渉難航の一因があるとの見方もある。

開業の遅れ、政府にも誤算に

開業が遅れれば、影響は多方面にわたる。 起点となる品川や名古屋をはじめ、駅ができる地域では 27 年をターゲットとして大規模な再開発の計画が相次ぐが、修正を迫られる可能性がある。 延期後の具体的な開業時期は、少なくとも静岡工区に着工するまでは不透明だ。  遅れれば遅れるだけ、JR は経営体力をそがれることになる。 建設にかかる事業費は全額を JR 東海が負担する計画だ。 品川 - 名古屋間で約 5.5 兆円、大阪延伸まで含めると 9 兆円にのぼるが、工期が長引けば増える可能性は高い。

さらに気がかりなのが、新型コロナウイルスによる旅客への影響だ。 JR 東海にとっての「ドル箱」の東海道新幹線の収益にも直撃した。 6 月 1 - 17 日の利用者は前年同期比 77% 減で、緊急事態宣言が解除されても戻りは鈍い。 9 割減だった 4、5 月はそれぞれ 1 千億円強の減収になったという。 利用者の多くは出張などのビジネス客とされ、オンライン会議などが増えることで利用者数が「コロナ前」に戻る保証もない。 人口減少も含め、7 年以上後に開業するリニア新幹線にどこまでの需要があるのか。 3 兆円の財政投融資をつぎ込む「国家的」なプロジェクトだけに、開業の遅れは政府にとっても誤算となる。 (初見翔、矢吹孝文、asahi = 6-26-20)

◇ ◇ ◇

リニア開業は引き続き困難? 静岡知事、着工に同意せず

JR 東海が建設を進めるリニア中央新幹線の静岡工区が未着工となっている問題で、静岡県の川勝平太知事が 11 日、工事が行われる大井川上流を視察。 これまで通り、早期着工を認めない考えを示した。 JR 東海は、6 月中に同意を得られなければ 2027 年に予定している品川 - 名古屋の開業は困難としている。 川勝氏はこの日、南アルプスの山中にある工事現場に向かう林道の整備状況や、トンネル本体を掘るためのヤード(作業場)の予定地などを JR 東海の宇野護副社長の案内で見て回った。

視察後、JR 東海が求めるトンネル予定地周辺の樹木伐採や整地を「トンネルを掘るための工事だ」とし、着工に難色を示した。 川勝氏は近く JR 東海の金子慎社長と会談する見通しで、流域市町と協議して最終的に態度を決める考えだ。 流域市町はトンネル工事で大井川の水量が減ることを懸念しており、国土交通省の有識者会議が、トンネル本体の着工を前に影響の有無や工法を協議している。 JR 東海はヤード整備を「トンネル本体とは切り離した準備工事だ」として、6 月中の着工に同意するよう県に求めてきた。 (宮川純一、asahi = 6-11-20)

前 報 (12-24-19)


物流支える外国人船員、コロナで 20 万人足止め

新型コロナウイルスの流行による国境閉鎖で、世界の物流を支える外国人船員が上陸できない状況が続いている。 シンガポールなど主要港では船員交代の動きも出ているが、国連は下船できない船員が世界で最大 20 万人にのぼるとして、各国に対応を求めている。

6 月 12 日午後、シンガポールのチャンギ空港には、白い防護服に身を包んだインド人の男性たちが続々と集まってきた。 この日、シンガポール沖に停泊中の船を下りた船員たちだ。 「多くの国で上陸しようとしたが、できなかった。 いつ下船できるかわからず、ストレスは大きかった。」 南アフリカからマレーシアを経由してきたタンカーの船長、ラビ・ナガールさん (40) は、そう振り返った。 4 カ月契約で船に乗り込んだが、結局約 8 カ月を船上で過ごしたという。 「家に帰れると思うと、とてもうれしい。 3 歳半の長男にものすごく会いたい。」 インドは国際定期便の離着陸を禁止しているため、船員の派遣などを担う船舶管理会社が用意したチャーター機で到着した船員と交代。 同機でインドへ飛び立った。

シンガポールは新型コロナの感染拡大を受け、3 月下旬に政府が外国人の入国を原則禁止。 船員も病気の場合などを除き、上陸できなくなった。 船員の勤務が長期化したことや、国内での感染が落ち着いてきたことなどから、5 月下旬に規制を緩和。 上陸後、空港に直行して出国するなどの交代の手順を定め、6 月に入って運用を始めた。 海事港湾庁は 12 日までに 500 を超える船からの 4 千人超の交代を認可。 クァ・レイフーン長官は「シンガポール沖での長期停泊を促すことはない。 基準に合う交代は進めていく。」と言う。

それでも課題は残る。 船舶管理会社エグゼクティブグループの B. S. ティーカ最高経営責任者 (CEO) は「船員は上陸後、特別なバスで空港に直行して出国するので、船の到着と飛行機のスケジュールを合わせるのが難しい。 費用も課題だ。 船員たちが世界の物流を支えていることを理解してもらい、世界の多くの港で交代が進むことを期待している。」と訴える。

船員交代を巡っては 4 月以降、国際労働機関 (ILO) が繰り返し対応を呼びかけ、6 月 8 日には「15 万 - 20 万人が海上に取り残されており、中には本来の契約終了から 4 カ月以上も働いている者もいる」などと発表。 12 日には国連も声明を出し、「新型コロナ対応に不可欠な医療物資や食料品など、世界の貿易の 80% 以上を海運が担っている。 世界は船員なしには機能しないのに、その貢献は知られていない。」 「グテーレス事務総長は、船員らを『大事な労働者』とみなし、交代が安全に行われるよう各国に対応を求める」と説明した。

船員交代の停滞は、海外との物流の 99% 以上を船に頼る日本にも影響している。 国内の海運会社でつくる日本船主協会は、水際対策で政府が外国人の入国を制限した際、船員に限って特例での入国を認めるよう要望。 その結果、空港から港へ公共交通機関を使わず移動することや、乗船前後は宿泊施設で一定期間待機することなどを条件に入国が認められた。

だが、交代は十分ではない。 日本人船員は全国で 2 千人ほどで、全世界の船員の 0.1% 程度。 国土交通省によると、日本の船会社が運航する船に乗る船員約 5 万 5 千人のうち 96% が外国人で、旅客便の激減などで国内外の港への移動が難しいのが主な理由だ。 海運大手日本郵船によると、自社の船の船員は 2 万人弱で、うち日本人は 600 人。3 月以降、交代できたのは外国人と日本人合わせてのべ約 200 人で、通常の 1 割程度にとどまるという。 多くの船員が当初の契約期間より長く乗船しているのが実態だ。

日本郵船では、本来は寄港予定のなかった港の沖合に船を寄せ、そこに新たな船員を乗せた小型船が行き来することで船員を交代させたケースもある。 荷主の理解を得るなど手間も費用もかさむが、やむを得ない措置だという。

船長経験のある日本郵船の実務責任者、小山智之・専務経営委員は「乗船が長期化すると船員のモチベーションが下がる。 事故が起こりやすくなる傾向も報告されている。」と危惧する。 小山氏によると、貨物船の船内で感染拡大する事例は世界的にも報告されていない。 現時点では物流が滞る事態も起きていないが「世界中の船員が何とか踏ん張っている状態で、長期化すれば影響がどう出るかは分からない。」 陸上とはメールなどでのやり取りはできるが、船上の通信環境は十分ではなく、家族との交流にも制限があるという。

船主協会では、今後乗船する船員を対象に PCR 検査を優先的に受けられるよう政府に要望することも検討する考えだ。 小山氏は「船員も物流を支えるエッセンシャルワーカー(命や暮らしを守る仕事に就く人)の一員として理解してほしい」と訴える。 (西村宏治 = シンガポール、田中美保、asahi = 6-18-20)


中部空港、国際線の一部再開へ 6 月 16 日にマニラ便

中部空港は 11 日、4 月 1 日から全便を運休していた国際線の 1 部路線が再開されると発表した。 フィリピン航空がマニラ便を 16 日から運航する。 国際線の運航は 77 日ぶりとなる。 空港会社によると、168 席のエアバス機で 16 日にマニラから到着、17 日に中部空港を出発、さらに月内に 2 往復運航する。 ただ、新型コロナウイルスに伴う入国制限が続いているため、利用客は双方からの帰国者が中心になるとみられる。 7 月以降のスケジュールは未定という。

中部空港の国際線では他にもフィンランド航空がヘルシンキ便の運航を 7 月から再開させる方針だ。 4 月 10 日から閉鎖されている LCC (格安航空会社)専用の第 2 ターミナルも、ジェットスター・ジャパンの福岡便の運航再開に合わせて 19 日から営業が再開される。 空港が徐々に本来の姿を取り戻しそうだ。 (初見翔、asahi = 6-11-20)


ANA、不採算の国際線削減へ 社長「7 月末にも公表」

ANA ホールディングス (HD) の片野坂真哉社長は朝日新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの影響で需要が激減している国際線を中心に、不採算路線を削減する方針を明らかにした。 今後、具体的な削減路線を詰め、新しい事業計画を 7 月末にも公表するとしている。

片野坂氏は今後の航空需要について、コロナ前の想定に比べて、「今年度末でも国内線で 7 割、国際線で 5 割にとどまる」との見通しを示した。 そのうえで、「需要が激変するならそれに合わせたスリムな態勢をつくらないといけない」と指摘。 「国際線が苦しければ国内線に機材を集める。 不採算のところを狭めることは不可避だ。」とし、国際線を中心に路線の見直しを進める考えを示した。

また、政府が第 2 次補正予算案に盛り込んだ大企業への資本注入策の活用については、「創業以来、純民間企業として自立してきたので(政府出資は)想定していない」と否定した。 いまのところ、金融機関から融資枠を含めた 9,500 億円の資金調達のめどがついているといい、「資金調達は続ける。 自分の足で(経営し)金融機関と話し合っていく」と強調した。 (田中美保、高橋尚之、asahi = 6-8-20)


米、中国航空会社の乗り入れ停止 - 16 日から旅客便対象

→ 乗り入れ停止はトランプ大統領の判断次第で前倒しも
→ 米航空会社の中国便再開を中国が認めないことへの対抗措置

トランプ米政権は 3 日、中国航空会社の旅客機による米国乗り入れを停止するとの命令を告知した。 米航空会社の中国便運航再開を中国が認めていないことへの対抗措置だとした。 乗り入れ停止は 6 月 16 日に発効するが、トランプ大統領がそれより前に実行させる可能性もあると、米運輸省は声明で説明した。 乗り入れ停止は貿易や新型コロナウイルス、香港の扱いを巡り緊張している米中関係の新たな火種となる。 中国が香港国家安全法の制定に動く中、トランプ大統領は先月 29 日、貿易面での香港の優遇措置を撤廃する「プロセスを開始する」と表明した。 米中の第 1 段階の貿易合意や米航空機メーカー、ボーイングの対中販売が危険にさらされかねない状況にある。

米運輸省によれば、中国の航空会社 4 社が米国便の運航を継続する中でも中国は米航空会社の中国便再開を認めていない。 新型コロナウイルス感染拡大に伴い停止していた運航について、米航空会社は最短で 6 月 1 日の再開を求めていた。 同省は中国政府が二国間の航空協定に違反していると指摘した。 ただ命令は完全な禁止措置ではなく、中国が米航空会社に中国便の再開を認めた場合、中国航空会社も同じ航空便数だけ米国に乗り入れられるとしている。命令の対象は中国国際航空と中国東方航空、中国南方航空、廈門航空。 在米中国大使館に電子メールでコメントを求めたが、返答は得られていない。 (Alan Levin & Ryan Beene、Bloomberg = 6-4-20)

◇ ◇ ◇

米政府、中国が米航空会社の中国便運航再開を阻止と批判

[ワシントン] 米政府は 22 日夜、中国政府が米航空会社の中国路線運航再開を阻止していると批判し、中国の航空 4 社に運航スケジュールの提出を求めた。 トランプ米政権は、中国の航空会社への規制には踏み切っていないものの、中国側との協議で合意がまとまらなかったとしている。 米航空会社の中国向け運航再開を許可するよう中国当局に申し入れている米運輸省は今週、通知に関する規定に従っていないとして、中国のチャーター便数便の運航を一時的に遅らせた。

米政府のウェブサイトでロイターが確認した命令文書で運輸省は、デルタ航空とユナイテッド航空が中国便の運航を 6 月に再開したい意向だが、中国の航空会社は新型コロナウイルスが世界的に流行している間も米国便の運航を続けていたと指摘。 中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、海南航空および各社の子会社に運航スケジュール、その他詳細情報を 5 月 27 日までに提出するよう命じた。 運輸省は、中国航空会社の運航に「関連法の違反や公共の利益に悪影響をもたらすこと」が見つかる可能性があると警告した。 ユナイテッドはコメントを控えた。 その他米中の航空会社、中国民用航空局 (CAAC)、中国外務省のコメントは現時点で得られていない。 (Reuters = 5-24-20)


世界の航空業界、続く苦境 愛知の部品メーカーも打撃

新型コロナウイルスの影響で人の動きが止まり、世界の航空業界の苦境が続いている。 各国が観光や経済活動を徐々に再開し始めているが、旅客数が戻るには時間がかかりそうだ。 航空機自体の需要も減り、愛知県などに集積する日本の航空部品メーカーも打撃を受けている。 独ルフトハンザ航空は今月 15 日から航空便を現在の週約 500 便から約 900 便に増やす。 声明で「観光とビジネス客のアクセスを増やす」と意気込んだ。

英航空情報会社 OAG によると、欧米などで人の移動制限の解除が進むなか、6 月に入り世界で約 60 の航空会社が運航を再開した。 だが、全体の便数は前年同期に比べて 65% 減の状態。 国際航空運送協会 (IATA) は、国際線の需要が 2019 年水準まで回復するのは 24 年になると予想している。 各社は生き残りへ必死だ。 ルフトハンザは 5 月末にドイツ政府が株の 20% を握る代わりに、総額 90 億ユーロ(約 1 兆 800 億円)の公的支援を受ける救援策に合意した。 手元資金が 1 時間に 100 万ユーロ(約 1 億 2 千万円)減る状態だったという。 難局を政府の借り入れ保証や出資でしのぐケースは、フランスやイタリアでも起きている。

米航空大手も、政府から雇用維持を条件に給与補助など計 500 億ドル(約 5.4 兆円)にのぼる金融支援を受けた。 だが、長期的なビジネス縮小は避けられず、相次ぎ大規模な人員削減に追い込まれている。 すでに 4 万人が無給で休んでいるデルタ航空は、早期退職を募る方針。 運航を一部再開しても、4 - 6 月期の運航は通常の 2 割に満たない見込みだ。 アメリカン航空やユナイテッド航空も管理部門の人員を約 3 割減らす考えだ。

国を代表する航空会社にばかり支援が集まる状況には疑問の声もある。 欧州の格安航空会社 (LCC) 大手「ライアンエア」のオライリー CEO は、ライバルのルフトハンザなどを「まるで補助金中毒」と批判し、各国政府に平等な支援を訴える。 一方、豪州やタイでは政府支援を得られなかった航空会社が破綻するケースも出てきている。 4 月には豪州 2 位のヴァージン・オーストラリアが経営破綻。 5 月 19 日にはタイ国際航空が会社更生法を申請した。 ANA ホールディングスは、従業員約 4 万人規模の一時帰休を実施。 政府系金融などから必要な際に借り入れられる枠を増やして資金不足に備えている。 (和気真也、ワシントン = 江渕崇)

航空会社の不振は、航空機メーカーにも波及している。 米ボーイングは 5 月 27 日、米国内で 6,770 人のレイオフ(一時解雇)に着手すると発表。 中型機「787」の生産を半減させ、大型機「777」も 3 割減らす。 カルフーン CEO は「我々の産業はいずれ復活するが、わずか 2 カ月前の水準に戻るまで何年もかかるだろう」と述べた。 ボーイングの取引先は約 1 万 7 千社。 エンジンを手がける米ゼネラル・エレクトリック (GE) も、航空部門の 1 万 3 千人削減に追い込まれた。

日本への影響も大きい。 「787」は部品の 35% が日本でつくられる。 三菱重工業や川崎重工業、スバルは、4 月から 5 月にかけて愛知県内で主翼や胴体などを製造する工場の稼働を相次いで一時停止した。 愛知県内のある部品メーカー幹部は「発注元の重工から今年秋以降に生産がストンと落ちる計画を示された」と影響の長期化を懸念する。 ボーイング向けが売り上げの半分以上を占める別の部品メーカーも「半年や 1 年では回復しないだろう。 航空機以外の新しい仕事にも挑戦する必要がある。」と話す。

コロナ禍前から多角化を試みてきた企業もある。 機体組み立ての東明工業(愛知県知多市)は 10 年ほど前から災害時の避難所で使うベッドやトイレといった防災関連商品を製造。 さらに近年はラーメン店の経営まで乗り出してきた。 ただ、コロナ禍でそのラーメン店も打撃を受けた。 防災用に開発した「間仕切り」は、コロナの感染防止用に自治体や大手企業から引きがあるが、余剰人員を解消できるほどではないという。 今のところは雇用調整助成金などを活用して雇用は維持しているものの、同社は「コロナ以前から業界が右肩下がりだったところに追い打ちをかけられた」と嘆く。

さらに、三菱航空機(愛知県豊山町)が開発中の国産初のジェット旅客機スペースジェットも、最新の試験機を飛行試験の拠点である米国に運べず、過去 6 度延期された開発スケジュールをさらに見直す。 航空業界の不況で受注が減る可能性があり、量産を視野に投資してきた部品メーカーにとっては、これも痛手だ。 (初見翔、asahi = 6-3-20)


三菱自、6 月も生産一時休止 岡崎や水島など 3 工場

三菱自動車は 29 日、新型コロナウイルスの影響による需要の低迷で、国内 3 工場で 6 月も生産を一時休止すると発表した。 減産は計 8,500 台になるという。 スポーツ用多目的車 (SUV) のアウトランダーなどをつくる岡崎製作所(愛知県岡崎市)では 6 月 2 - 12 日、SUV の RVR をつくる水島製作所(岡山県倉敷市)のラインでは 3 - 12 日、子会社のパジェロ製造(岐阜県坂祝町)では 2 - 12 日の生産をやめる。 三菱自は 3 月下旬から一時停止など生産調整を続けており、今回分を含めた累計の減産は約 4 万 7 千台になるという。 三菱自の 2020 年 3 月期決算は、販売の低迷に新型コロナの影響が加わり、3 年ぶりの赤字となった。 (asahi = 5-29-20)


関西鉄道各社、急ぐ資金調達 利用激減、コスト減らせず

関西の鉄道各社が投資家向けに社債を発行するなど資金調達を急いでいる。 新型コロナウイルスによる外出自粛などで利用者が激減し、売り上げが落ち込んだため。 便数を減らすといったコスト改善も進めるが、すぐには利用客の回復は見込めず、この先の財務状況の悪化を避けたい考えだ。

JR 西日本は 21 日、1,900 億円の社債を発行した。 1 回の発行規模としては同社で過去最大という。 同社では 2 月以降、乗車率が 1 割に満たない新幹線が相次ぐなど利用者が急減。 2020 年 1 - 3 月期は運輸収入が前年同期に比べて 371 億円減少し、本業のもうけを示す営業損益が 305 億円の赤字(前年同期は 171 億円の黒字)となった。 財務にも影響が及び、3 月末時点の現金残高は約 800 億円で前年よりも 4 割減った。 利用者の減少に歯止めがかかっておらず、4 月の運輸収入は前年同月比 76% 減で、3 月よりも減少幅が広がった。

こうした厳しい経営環境から、同社は社債を発行することにした。 返済期限は 3 - 50 年で、金利は年 0.020 - 1.031%。 社債で得た資金は、20 年度中に返済期限を迎える社債や借入金の返済にあてる。 同社はほかにも 3、4 月に短期資金を調達する計 1 千億円のコマーシャルペーパー (CP) を発行。 今月は金融機関から借り入れも実施する。 調達額は計約 4 千億円にのぼるという。 担当者は「収入が激減しており、手元資金を十分に確保するねらい」と説明する。

関西の私鉄各社も同様に資金を確保しつつある。 阪急阪神ホールディングス (HD) や京阪 HD、南海電気鉄道は 100 億 - 300 億円の CP を発行した。 阪急阪神は、4 月の利用者が 4 - 5 割減少し、「初めて経験する厳しい経営環境で、必要に応じてさらなる資金調達を進める。(大塚順一執行役員)」 京阪も 4 月の利用者が 6 割減、南海も関空特急「ラピート」の乗車率がふるわず、減便に追い込まれた。 各社の動きの背景にあるのは、コスト削減の余地の少ない鉄道の事業構造だ。 営業費用の大半を車両や線路などの修繕費、人件費、減価償却費といった固定費が占める。 これらは売上高の増減に関係なく、常に一定の資金支出を伴う。

例えば JR 西の場合、修繕費、人件費、減価償却費の 3 項目で営業費用全体の 62% になる。 一方、電車を走らせる動力費は 5% 程度で、減便しても支出削減の効果はわずか。 各社は売上高が急に減るなか、手元資金を厚くしなければならない必要性に迫られた。

利用者が感染拡大前の水準に戻る時期はいまだ見通せない。 緊急事態宣言の解除に伴い、JR 西は 6 月 1 日以降に山陽新幹線「のぞみ」の定期列車をすべて運行する。 だが、感染対策として乗車率が上昇するのを防ぐのが目的だ。 長谷川一明社長は「長距離移動を中心に利用が抑制的になり、V 字回復するとは思わない。 影響が長期間残ることを覚悟している。」と話す。 鉄道会社の経営に詳しい岩井コスモ証券の清水範一氏は、「ホテルや百貨店も含めて事業が全面的に打撃を受けている。 在宅勤務による利用者の減少や第 2 波の影響にも備えて資金を調達している。」と分析する。 (神山純一、asahi = 5-26-20)

◇ ◇ ◇

JR 東、新幹線 4 割減の見直し検討 宣言解除で利用者増

東北・北海道、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線の運行本数を約 4 割減らすとしていた方針について、JR 東日本が見直しを検討している。 新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が 39 県で解除された後、新幹線や在来線特急の利用者が増えているためだ。 解除される地域が広がれば利用客がさらに増える可能性もあり、JR 東は 21 日から予定していた 28 日以降の指定席販売を見合わせる。 利用状況を見極め、今後の方針を発表する。

JR 東は、感染拡大で利用客が減り続けたことから、新幹線の運行本数を 6 割に減らした 28 日以降の臨時ダイヤを発表。 中央線と常磐線の特急も 2 割減らすとしていた。 しかし、39 県で宣言が解除された後の 15 - 18 日には、新幹線と在来線特急の利用客が前週から 2 - 3 割増えたという。 一方、11 - 15 日の通勤時間帯、山手線の利用客は 2 月初旬から 64% 減で大型連休明けの前週(63% 減)とほぼ変わらなかった。 主要駅では、宣言が続く首都圏で利用者に大きな変動はなかったが、解除された地域は 11 - 15 日の秋田駅が前年比 57% (前週 34%)、仙台駅で同 36% (前週 31%)など、減り幅が縮小する傾向がみられた。 (一條優太、asahi = 5-19-20)

◇ ◇ ◇

JR 九州が 5,000 本超運休 5 月末まで、観光列車は全便

JR 九州は 15 日、九州新幹線、在来線特急、快速などを対象に同日から 5 月 31 日まで計 5,108 本の列車を運休すると発表した。 新型コロナウイルスの感染拡大で需要が落ち込んだことによるコスト削減が目的。 観光列車は全便運休するほか、在来線普通列車の減便路線を拡大するなどした。 (布谷真基、西日本新聞 = 4-15-20)

◇ ◇ ◇

グランクラス、座席販売中止 東北新幹線など車内販売も

新型コロナウイルスの感染拡大で 7 都府県に緊急事態宣言が出されたのを受け、JR 東日本と JR 西日本は 8 日、東北、上越、北陸、山陽の各新幹線の車内販売を 9 日から 5 月 31 日まで休止すると発表した。 JR 東は在来線特急での車内販売も取りやめる。 東北、北海道、上越、北陸新幹線で最上級の「グランクラス」についても、この期間中は座席の販売を見合わせる。 6 月以降の対応は決まっていない。 すでに購入したグランクラスの座席は、飲食が付かないタイプはそのまま乗れる。 飲食が付くタイプも乗車は可能だが、飲食のサービスは受けられない。 JR は、グリーン車や普通車に変更して差額の払い戻しを受けるよう呼びかけている。

一方、JR 東海は現時点で東海道新幹線の車内販売を取りやめる予定はないという。 北海道新幹線の新青森 - 新函館北斗間では、昨年 3 月に車内販売を取りやめている。 JR 東は、このほかにも「SL 銀河」などの飲食や体験を楽しむ「のってたのしい列車」 1 千本を 10 日から 5 月 31 日に運休する。 (asahi = 4-8-20)

◇ ◇ ◇

新幹線 141 本、追加運休 新型コロナ影響 JR 3 社

JR 東海、JR 西日本、JR 九州は 6 日、新型コロナウイルスの影響で利用客が減少しているとして、東海道・山陽・九州新幹線の運行を追加で休止するとそれぞれ発表した。 東海、西日本の 2 社は大型連休後の 5 月 7 - 31 日の臨時列車を中心に、九州は 4 月の定期列車と 5 月の臨時列車を対象に、3 社で計 141 本を運休する。 乗車券などの購入者には手数料不要で払い戻しに応じる。 3 社は既に、5 月の大型連休などに計 318 本の新幹線を運休すると発表していた。 (jiji = 4-6-20)