ウナギ稚魚、今年は豊漁 高騰のかば焼き値下がりも

昨年の漁期に記録的な不漁となったニホンウナギの稚魚、シラスウナギが豊漁だ。 水産庁によると、今年の漁期前半に当たる昨年 11 月から 1 月末までの国内採捕量は8.9 トンと、前年同期の 0.1 トンを大きく上回った。 ウナギのかば焼きの価格は近年高騰してきたが、「土用の丑の日」で需要が増える夏場には昨年より値下がりの可能性が出ており、小売店や家計には朗報となりそうだ。 採捕された稚魚は養殖池に入れて早ければ約半年で成魚として市場に出荷される。 漁期前半に国内の養殖池に入れた量は輸入稚魚を含めて 11.4 トンと、前年同期からほぼ倍増した。 中国や台湾でも採捕は順調だという。 (kyodo = 3-10-20)


「スルメイカが食卓から消える日」 半世紀で最悪の不漁

サンマに続いて、庶民の海産物の代表格となるスルメイカが大不漁だ。 今年度の漁獲量はこの半世紀で最低のペース。 価格は高騰し、漁船の廃船が相次ぐ。 漁師からは大幅な漁獲制限をしてでもまずは資源量の回復を、との声があがるが、日本だけでは解決できない事情がある。

「イカの町」で知られる北海道函館市。 繁華街には活イカ料理を目玉にする飲食店が並ぶ。 「いか清」の室田秀文店長 (42) は「昨年は海が荒れていないのに、イカが入荷しない日が何度もあった。 お客さんに申し訳なくてね。」と嘆く。 10 年ほど前は 1 千円ちょっとだった 1 人前の刺し身の価格は、昨年は 2 千円超えの日もあった。 漁師からは、「イカを捕りに行ってももうけにならない」と漁をあきらめる声が届く。

昨年 10 月には、恒例の「函館いか祭り」で、捕れたてのイカを売る「朝イカ販売」が中止になった。 不漁は加工食品メーカーの経営にも影を落とす。 約 50 社でつくる、函館特産食品工業協同組合の金木茂治副理事長 (67) は「イカ加工はどん底の状態」と話す。 市は、別の魚の加工に必要な設備の費用などを補助する制度を 2018 年度に設けたが、「函館の人や観光客がここでブリを食べようとはならない。(金木副理事長)」 今年度の利用は 1 月末までで 7 社にとどまる。 一方、加盟企業は近年、年 1 - 2 件のペースで廃業しているという。

背に腹は代えられないと、イカの輸入量は急増している。 昨年 1 年間の函館港のイカ輸入額は、前年比 4 倍増の約 72 億円。 過去 40 年間で最高額に達した。

不漁は全国に広がる。 水産庁によると、00 - 14 年度は 15 万 - 30 万トンほどあったスルメイカの水揚げ量は、15 年度以降に激減。 昨年 4 月 - 12 月末の水揚げ量は 2.1 万トンで、1951 年以降で最低だった 18 年同期を 3 割も下回る。 石川県漁業協同組合では、赤字操業を避けようと、ほとんどの漁船が漁期を 1 カ月残し、昨年末に早々と漁を打ち切った。 10 年ほど前は 20 隻あった主力の中型イカ釣り船は、今は 13 隻。 さらに 2 隻が廃船を検討中という。

水産庁によると、スルメイカを中心とするイカの 1 人当たりの年間消費量は、08 年は魚介類でトップの 995 グラムだった。 それが不漁の影響で 18 年は 387 グラムに落ち込み、サケ、マグロ、ブリ、エビに続く 5 位に。 石川県漁協小木支所の白坂武雄参事は「スルメイカが食卓から消える日が来るのではないか」と心配する。

漁獲枠を絞る水産庁 漁師「もっと減らして」

なぜ大不漁なのか。 国立研究開発法人「水産研究・教育機構」によると、環境面では、東シナ海や日本海の産卵域の水温が 15 年以降、スルメイカの成長に最適とされる 18 - 23 度から外れることが長期化したことが大きい。 さらにこれに、中国や北朝鮮の漁獲の活発化が加わったという。 資源を回復させようと、水産庁は新年度の漁獲枠を過去最低の 5 万 7 千トンに絞る方針だ。 1 月末の会議で方針を示すと、漁師らからはもっと枠を減らすよう求める声が相次いだ。

水産庁は今年度まで 4 年連続で枠を減らしてきた。 この間、実際に捕れたのは枠の半分以下だったが、資源は減り続けた。 過去最低とはいえ、新年度の枠は今年度の水揚げ量の倍以上。 大間漁協(青森県)の古川明裕・いか釣部会長は「こんな緩い枠で資源が戻るわけない。 1、2 年で資源が回復しなければ、我々は全滅してしまう。」と危機感をあらわにした。

水産庁が漁獲枠を絞り切れないのには訳がある。 中国の漁獲量は公表されていないが、研究者の間では、日本の 10 倍近い年 20 万トン前後とも言われている。 そんな中で「日本だけが漁獲量を制限しても意味がない(幹部)」からだ。 大不漁に陥った北太平洋のサンマ漁では昨年、初めて国際的な漁獲制限が導入された。 だが、スルメイカ漁の主漁場の日本海は、中国や韓国などと排他的経済水域 (EEZ) をめぐって意見の対立が続く。 水産庁幹部は「役人レベルの交渉では、漁獲制限の合意は取り付けられない」と嘆く。 (大日向寛文、三木一哉、asahi = 3-3-20)


黄砂が大陸から飛来 22 日(土曜日)夜は要注意

ここ最近の 1 週間では、中国大陸で黄砂が観測されていて、22 日には日本列島上空にも飛んでくる可能性があります。 22 日)は低気圧が日本付近を通過した後、大陸からの寒気が流れ込んできます。 この気団に乗る形で大陸からの黄砂が日本上空に達する予想です。 ウェザーニュースの 22 日 21 時の予想によると、北日本や西日本で比較的多くなる予想です。 今回は黄砂が飛来する時間帯が夜の暗い時間が中心となるため、空が黄色く見えるといったことはなさそうですが、23 日朝にかけては黄砂が地上に達する可能性もあります。

黄砂は低濃度でもアレルギー症状が出やすくなったり、気管支など呼吸器系に影響が出るという報告もあります。 また、この時期は花粉症の方は症状が悪化することもあるため注意が必要です。 黄砂で汚れる可能性があるため、洗車を控えたり、洗濯物を部屋干しにするなどの対策を行うと良さそうです。 (ウェザーニュース = 2-21-20)


東京外大のゼミ、「純ジャパ」問うアンケート 学長謝罪

東京外国語大学国際社会学部のゼミが今月、SNS などを通じて行った「日本人」意識に関するアンケートについて、「差別的」といった批判がネットであがり、同大は 14 日付で、「甚だ不適切な部分があった。 深くおわびする。」との文書を林佳世子学長名で出した。

アンケートは 2 月上旬、都内で 11 日に開かれたゼミ主催イベントを前に、不特定多数に向けて行われた。 イベントは、外国にルーツがある人が日本社会で直面する問題がテーマ。 プロスポーツ選手の名前を挙げたうえで、「見た目は外国人風の人を日本人と捉えますか?」、「在日朝鮮人と日本人の間に生まれた子どもを日本人と捉えますか?」、「純ジャパ以外の日本人を『混ジャパ』と呼ぶことに抵抗はありますか?」などと 2 択で質問。 ネットを中心に「差別的」、「多様なルーツを持つ人が直面する問題を、粗雑に扱っている」などと批判の声があがっていた。

ゼミの担当教員は、平和構築などが専門の同大大学院教授。 同大では今後、学内の審査会でアンケートについて検証し、担当教員への対応を含めて必要な措置を講じる。 同大の担当者は「説明が不十分なまま設問が始まっているので意図や狙いがよく分からない上、差別を助長しかねない設問もある。 人に対してアンケートをする時は事前に審査を受けるなど、再発防止策を進めていきたい」と話した。 (山下知子、asahi = 2-17-20)


所得税、年収 850 万円超で負担増 1 月から控除見直し

今年 1 月から所得税の仕組みが見直され、高収入の会社員らの負担が増える。 「控除」のうち会社員らが対象の「給与所得控除」が縮小されるからだ。 一方、すべての納税者が対象の「基礎控除」は手厚くなり、自営業者や近年増えているフリーランスの人の多くが減税となる。 今回の見直しは 2018 年度の税制改正で決まった。 控除は課税対象となる所得を算出する際、収入から一定額を差し引くしくみだ。 会社員や公務員には、スーツ代などを仕事にかかる必要経費とみなして差し引く「給与所得控除」がある。 収入が高い人ほど控除額が増え、昨年までは年収 1 千万円超で年 220 万円の控除が上限だった。

今年からは、これをどの年収でも一律 10 万円減らした上、上限を「年収 850 万円超で年 195 万円」に下げる。 一方で、すべての納税者から一律 38 万円が合計所得から差し引かれていた「基礎控除」も見直し、年間の合計所得 2,400 万円以下の場合は 10 万円増やして、一律 48 万円差し引くことにした。 この結果、年収 850 万円以下の会社員の税負担は昨年と変わらないが、それより年収が多いと増税となる。 年収 900 万円で年 1.5 万円、1 千万円で 4.5 万円の負担増だ。 会社員や公務員の約 4% にあたる約 230 万人が増税対象。 ただし、22 歳以下の子どもがいる人や介護が必要な障害のある家族のいる人は負担が増えないようにする。

IT 関連の技術を生かすなどフリーランスとして企業に属さず仕事をする人が増えている。 こうした人と、給与所得控除を受けている人との格差を是正するねらいがある。 また、1 月からは年金受給者向けの「公的年金等控除」も見直し、収入が多い年金受給者の高齢者も負担が増える。 昨年までは収入が高くなると控除額も上限なく増える仕組みだったが、今年からは基礎控除が 10 万円増える分、一律で 10 万円減らしたうえで、年金収入が年 1 千万円を超える人の控除額に年 195 万 5 千円の上限を設ける。 約 3 千人が増税対象となる。

年金以外の年間所得が 1 千万円を超える人は控除額を一律 10 万円、2 千万円を超える人は同様に 20 万円引き下げる。 こちらは約 20 万人が増税対象だ。 (岩沢志気、asahi = 1-26-20)


成人年齢引き下げ … 成人式どうする? 19 歳の折衷案も

13 日は成人の日。 20 歳の若者たちを祝福し、自覚を促そうと、この時期に成人式を開く自治体も多い。 ただ、民法が改正され、2022 年 4 月には成人年齢が 18 歳に。 引き下げ後、成人式の対象年齢も見直すのか自治体が頭を悩ませている。

大学受験や就職への配慮などから、「20 歳の式」の継続を決めたところも出始めている。 「これまで通り多くの方に参加していただき、20 歳になったお祝いをしてまいりたい。」 昨年 12 月、東京都八王子市の石森孝志市長は定例会見でこう話し、22 年度以降も 20 歳を対象にした式典を続けることを表明した。 実施まではまだ 3 年あるが、早くから準備する人がいることを考慮し、早めに決めたという。

理由の一つが、市政モニター対象のアンケートだ。 引き下げ後について、20 歳を対象にするべきだと答えた人は 56%、18 歳が 38%、19 歳が 1%。 18 歳だと受験や就職活動と重なる人が多くなることも踏まえ、20 歳のままの方が、より多くの人が式典に参加できると判断した。 「成人式」の名称は使わず、「二十歳を祝う会」になるという。 市長は「成人ということなら、やっぱり 18 歳。 成人式はなくなります。」と述べた。 一方で、18 歳を対象にした新成人の自覚を促す啓発イベントを催すことを検討している。

仙台市や岐阜市、大阪府豊中市なども、20 歳での開催を決めている。 受験や就職への配慮のほか、「中学時代のクラス会的な意味合いが強いが、18 歳だと卒業後の経過が短い(東京都三鷹市)」といった理由からだ。 一方、三重県伊賀市は昨年 12 月、引き下げ後は 18 歳を対象にする方針を明らかにした。 「社会は 18 歳を成人として扱う。 成人式は自覚する節目。 20 歳のままだと何を祝うのか明確ではない。」と同市教委の担当者。

ただ、従来通り 1 月の実施では、就職や受験と重なる可能性も出てくるため、開催時期については今後検討していくという。 これまで 8 月に成人式を開催してきた九州のある自治体では、19 歳を対象とする方向で調整中。 来年度、対象者にアンケートをして、正式決定するという。 18 歳では受験や就活の時期に重なるが、20 歳では間があいてしまうため、「なるべく早いうちに式をして、自覚を持ってもらえれば」という。

若者たちが帰省するお盆の時期に合わせて夏に開催してきた大分県九重町では、22 年度は 20 歳のみを対象とするか、18 - 20 歳の 3 学年をまとめた式にするかで検討中だ。 この時期なら受験や就職には影響が少ないものの、懸念材料は会場の確保だ。 対象者は 1 学年 100 人ほど。 町で最大のホールは 400 人を収容できるが、来賓や保護者の参加を考慮すると「ギリギリになる」と見こむ。 今後、他の市町村や町民へのアンケートなどを踏まえて決めるという。 (佐藤純、河井健、関口佳代子)

「20 歳の式」、望む声多く

成人式のあり方を決めた法律はなく、何歳を対象とするかは自治体や実施団体の判断に任されている。 文部科学省の、主に 17 年の式を対象にした調査では、「実施年度に 20 歳になる人」とする自治体が 99% を占め、残り 1% は「前年度に 20 歳になる人」だった。 国は市町村が検討する際の参考にしてほしいと、関係府省庁で 18 年秋から会議を開催。 呉服、写真館、美容室の業界団体や PTA 団体、いち早く方針を決めた自治体、実行委員会の OB・OG 会などの意見を聞いてきた。

すると、ほとんどの団体が「20 歳の式」の継続を希望。 18 歳の開催については、「受験や就職など多忙な時期になる(京都市など)」、「入学準備金の上に晴れ着となると、経済的負担が相当出てくる。 メリットが一つもない。(全国高校 PTA 連合会)」などと反対が目立った。 昨年 6 月の全国調査では、回答した 1,037 自治体の 3 分の 2 が対象年齢を「検討中」とした。 すでに方針を決めた 67 自治体については、9 割以上が 20 歳を選び、18 歳を対象としたのは 2 自治体だった。 会議は3月末までに、考え方をまとめた報告書を公表する。

成人式のあり方を検討する自民党のワーキンググループ(船田元座長)は昨年末、法務相に提言を提出した。 「各自治体の判断で、20 歳までの間の適切な時期に行うべきである」としながら、「20 歳の人々を対象として、現在の成人の日の前後に開催するのが望ましいという意見が多かった」と記した。 (編集委員・氏岡真弓、asahi = 1-12-20)

成人式に詳しい田中治彦・上智大元教授(社会教育学) : 20 歳は新成人の年齢として法的根拠がなくなる。 18 歳成人式のメリットは高額な和装ではなく学生服で出席できることだ。 子どもの貧困が問題になるなか、誰でも気軽に参加できる形が望まれる。 入試直前を避けて人生の転機となる 3 月などに移せばよい。

自民党「成人式等に関するワーキンググループ」座長の船田元衆院議員 : 私個人は、成人式は 20 歳にするのがよいと思う。 18 歳の場合、成人の日の前後で式をすると受験などで余裕がない。 ただ 18 歳に引き下げたのだから、成人としての自覚を促すため、学校や公民館、職場で講義や講演会などをする必要がある。


不急の 110 番、全体の 2 割 … 「家の中にゴキブリ」お門違いも

警察庁は、10 日の「110 番の日」に合わせて昨年(1 - 11 月)の 110 番通報の状況を発表した。 受理件数は全国で 829 万 9,775 件(前年同期比 5 万 9,937 件減)。 このうち携帯電話やスマートフォンなど「移動電話」からの通報は過去最高の 74% を占めた。 警察庁によると、緊急性のないものは 152 万 4,542 件(同 7 万 9,179 件減)で、全体の 18.4% 。 警察の対応が不要な通報も多く、「家の中にゴキブリがいる」、「今日は何日ですか」などの電話があった。 同庁は、緊急性のない相談や要望は、相談ダイヤル「#9110」の利用を呼びかけている。 (yomiuri = 1-10-20)


リチウムイオン電池、発火事故相次ぐ リサイクル処理時

不燃ごみなどに混入したリチウムイオン電池が、リサイクル処理施設で発火したとみられる事故が、急増している。 リチウムイオン電池に使われている可燃性の有機溶媒に、処理時に強い圧力がかかると燃えるためだ。 国や自治体、事業者は対応を迫られている。

吉野彰さんらが発明者として昨年のノーベル化学賞を受賞したリチウムイオン電池は、コードレスの電子機器や家電の多くに搭載されている。 2001 年以降、電池メーカーと、電池を使う機器メーカーに回収・再生利用が義務づけられた。 しかし、不燃ごみや、使用済み小型家電、プラスチック容器の回収の際、ケースに覆われて電池に気付かないまま混入していたり、機器から電池を取り出さないままだったりする。 最近は加熱式たばこなど電池内蔵型の機器も増えている。

ごみを回収する自治体や、処理するリサイクル事業者は、収集後に選別しているものの完全には難しい。 破砕後、金属、プラ、燃えるごみなどに分けて再利用や焼却をするが、リチウムイオン電池が混入したままだと、可燃性の有機溶媒が破砕で潰された際に発煙、発火することがある。 プラ容器のリサイクルに限っても、日本容器包装リサイクル協会が会員約 900 自治体からの報告を集計したところ、リサイクルのための再生処理施設で起きた発煙、発火トラブルは、13 年度は 32 件、14 - 16 年度は 40 件台だったが、17 年度 56 件、18 年度 130 件、19 年度は昨年末時点で 230 件と急増している。 状況からリチウムイオン電池が原因と考えられる件数は、18、19 年度ともに 7 割以上を占める。

同協会の担当者は、「処理工場で出火すればリサイクルが滞ることになり、事業者にとっては死活問題。 リチウムイオン電池を含む小型家電製品の捨て方の周知徹底など、緊急の対策が必要だ」と話す。 環境省と経済産業省は、消費者がわかりやすい回収ルートの整備や、リチウムイオン電池の危険性や出し方などについての周知といった、発火を防ぐ具体策について検討を始める。 (神田明美)

製品に内蔵「わかりにくい」

混入したリチウムイオン電池による発煙、発火に、自治体やリサイクル事業者には危機感が広がる。 愛知県一宮市の市リサイクルセンター。 昨年 11 月 13 日、不燃物を破砕後に金属やプラスチックに分ける機械へ運ぶコンベヤーで出火した。 建物も損傷し、不燃物・粗大ごみ処理工程は今年度は復旧できないという。 出火元の断定は難しかったが、市は消防、警察と検討し、「リチウムイオン電池の可能性がある」と公表した。

同センターの炎の検知数は、2014 年度から 16 年度は年 30 件前後で推移したが、17 年度は 74 件、18 年度は 174 件に急増した。 搬入された不燃ごみを破砕処理する前に、手作業で仕分けると、リチウムイオン電池が内蔵された機器や、電池が出てくる。 ぼやで焦げたリチウムイオン電池が見つかることもある。

東京都武蔵野市のごみ処理施設クリーンセンターでは、17、18 年度の 2 年間、消防署が消火にあたった火災が計 6 件あった。 市は 18 年夏から、不燃ごみや容器包装プラスチックを収集するパッカー車に入れる前に、職員が袋を開けてリチウムイオン電池が入っていないか確認する作業を強化した。 同市では電池類を「危険・有害ごみ」で回収するが、リチウムイオン電池が内蔵され、自分で取り外せない小型家電も「そのまま危険・有害ごみに出してほしい」と呼びかける。

市ごみ総合対策課の斎藤尚志課長は「製品にリチウムイオン電池が内蔵されていることがわかりにくい。 電池の回収場所もより多くわかりやすくしないと、発火事故はなくならないだろう。」と話す。 リチウムイオン電池が内蔵されている加熱式たばこや電子たばこ。 日本たばこ協会などは 2 月から首都圏の一部のたばこ店で、加熱式たばこ「glo」、「Ploom」の回収を始め、年内に全国へ広げる。 小型家電リサイクル認定事業者協議会は新年度、リチウムイオン電池内蔵の製品について、安全な取り出し方などの情報を共有する方針だ。 (神田明美、asahi = 1-9-20)


サンマの水揚げ、半世紀ぶり過去最低 前年比 66% 減

2019 年の全国のサンマの水揚げ量は、前年より 66% 減って 4 万 517 トンだった。 記録が残る 1960 年以降では、69 年の約 5.2 万トンを下回り、半世紀ぶりに過去最低を更新した。 サンマ漁師の業界団体「全国さんま棒受網漁業協同組合」が 7 日、発表した。 記録的な不漁で価格も高騰し、「庶民の魚」のイメージが薄らいできた。 漁が本格化する 8 - 12 月の水揚げ量を集計した。 産地市場の卸売価格は 10 キロ当たり 3,160 円で、前年の 1.7 倍に跳ね上がった。 サンマは例年夏から秋にかけて公海から日本近海に来遊する。 ところが、昨年は来遊が遅れて、9 月末時点の水揚げ量は前年比で 1 割強にとどまった。 10 月中旬に入ってからは水揚げが回復したが、挽回できなかった。

主な漁港では、花咲(北海道)は前年比 61% 減、大船渡(岩手県)は 63% 減、気仙沼(宮城県)は 69% 減、銚子(千葉県)は 86% 減と、軒並み大幅に減らした。 不漁はここ数年続いている。 原因として、日本近海の海水温の上昇で、冷たい水を好むサンマが近づかなくなったことに加え、中国や台湾の漁船によるサンマ漁の本格化による資源の枯渇が指摘されている。 乱獲を防ぐため、水産庁は、今年の国際会議で中国などに漁獲制限の強化を呼びかける方針だ。 (大日向寛文、asahi = 1-7-20)

◇ ◇ ◇

サンマ大不漁に回復の兆し 出足は戦後最悪 → 価格も安定

サンマの大不漁に薄日が差してきた。 遠い公海にいた群れがやっと日本に近づき、10 月下旬の水揚げ量は昨年の半分近くまで回復。 価格も落ち着いてきた。 サンマの水揚げ量日本一の花咲港(北海道根室市)は 11 月 2 日、この秋一番の活況に包まれた。 1 日あたりの水揚げ量は、8 月に漁が本格化してから最大の 1,184 トン。 サンマを移す港の水槽が足りなくなり、水揚げを中断する船も。 サンマを満載したトラックから水が道路にあふれ出した。 夏までは北太平洋の公海にいるサンマは、秋になると産卵のために親潮に乗って南下する。 今夏のサンマの群れは例年よりも遠い海域にいたため、日本列島に近寄るのが遅れたとみられる。

ある大型船の船主 (51) は「これまでとれなかった分、よい漁が長続きして欲しい」と話す。 東北の三陸地方でも、まとまった量のサンマが水揚げされるようになってきた。 今年のサンマ漁の出足は戦後最悪だった。 漁業情報サービスセンターによると、8 - 10 月の全国の水揚げ量は約 2 万トン。 前年同期の 2 割にとどまった。 しかし、10 月下旬は前年の半分近い 9 千トンまで回復。 10 月 30、31 日は、堅調さの目安となる「1 日 1 千トン」を超えた。 2 日連続の突破は今秋は初めてだ。 東京・豊洲市場の 10 月 31 日の中心取引価格は 1 キロあたり 486 円。 1 カ月前の 9 月 30 日のほぼ半額まで下がった。

定食チェーンの大戸屋は、「炭火焼き定食」を扱う期限を 10 月末から 11 月末に延ばした。 漁業情報サービスセンター漁海況副部長の渡邉一功さんは「今年の漁は今がピーク。 脂が乗ったものが増え、食べごろ。」と話す。 ただし、サンマの旬は 9 - 10 月とされる。 大手スーパーの関係者には「100 円を切る特売ができるほどの大漁ではない。 売り場の盛り上がりは乏しい。」との声もある。 (大野正美、大日向寛文、asahi = 11-3-19)

前 報 (9-7-19)


U ターンラッシュ本格化 空港や新幹線ホームに人の波

年末年始をふるさとや旅先で過ごした人たちの U ターンラッシュが 4 日、ピークを迎えた。 JR 東京駅に到着する新幹線は朝からほぼ満席で、ホームや駅構内は大きな荷物を手にした乗客らで混み合った。 東京都江戸川区の会社員黒沼空さん (43) は妻子とともに盛岡市内の実家で新年を迎え、東北新幹線で東京に戻った。 長女の雫(しずく)ちゃん (4) は盛岡で雪だるまづくりを体験して、「雪遊びが楽しかった」と笑顔で話した。

JR 各社によると、各地から東京駅に向かう新幹線は 3 日から混雑が始まり、4 日も指定席は終日ほぼ満席。 混雑は 5 日まで続く。 海外からの帰国もピークに。 この日だけで成田空港では約 6 万人、羽田空港で約 3 万人の入国が見込まれる。 国内線では、羽田などに向かう上り便の予約状況は全日空で 95.6%、日本航空で 94.7%。 混雑は 5 日も続く見通しという。 (asahi = 1-4-20)


緊急地震速報が携帯・スマホに通知される条件は

1 月 3 日(金) 3 時 24 分頃、茨城県と千葉県で最大震度 4 を観測する地震がありました。 この地震による津波の心配はありません。 この地震について、気象庁は緊急地震速報を発表しています。 夜中に携帯電話やスマホで緊急地震速報の通知を受け取って驚いた方も多いかと思います。 緊急地震速報が鳴る条件を解説します。

"最大予測震度が 5 弱以上の場合に発表"

携帯電話やスマホに緊急地震速報の通知が出るのは、エリアメールや緊急速報メールという、携帯電話会社(通信キャリア)のサービスです。 気象庁が緊急地震速報(警報)を発表した地域内にある端末に向けて、一斉に通知が発信されます。 緊急地震速報(警報)の発表される条件は、「最大震度が 5 弱以上と予想される地震」において、「震度 4 以上が予想される地域」が発表されることになっています。(他にも詳細条件あり)

実際に観測された震度の情報

今日の地震では、

茨城県南部では震度 4 から 5弱程度
千葉県北東部、茨城県北部、千葉県北西部では震度 4 程度
埼玉県南部では震度 3 から 4 程度

の揺れが予想されたため、これらの地域で携帯やスマホが鳴動したというわけです。 実際観測された震度は、最大で震度 4 でした。

緊急地震速報にはもう一種類

携帯電話会社が発信するエリアメールや緊急速報メールとは別に、緊急地震速報の通知を受け取るサービスもあります。 ウェザーニュースでも PC 向け、スマホ向けに専用のアプリを提供しているほか、緊急地震速報利用者協議会のサイトから各事業者のサービスを確認可能です。

これらは気象庁が発表する緊急地震速報(予報)という情報を元にしています。 緊急地震速報(警報)の基準よりも小さい揺れであっても発表され、より詳細な情報を確認することが可能ですが、1 つの地震について精度の低いうちから数回(5 - 10 回程度)情報が更新されるなど、利用に際してはその特性の理解が必要といえます。 ウェザーニュースの緊急地震速報については、スマートフォン向けは「地震津波の会」アプリを、PC 向けは「The Last 10-Second」アプリをご利用ください。 (ウェザーニュース = 1-3-20)


年末年始、キャッシュカードの利用制限 4 日未明まで

12 月 31 日深夜から 2020 年 1 月 4 日未明にシステムの整備をするため、多くの金融機関の ATM (現金自動出入機)利用が制限される。 他行の ATM でキャッシュカードでの引き出しや預け入れができなくなるほか、他行あてに振り込む際、受取人の口座名義を入力する必要がある。

全国銀行協会によると、金融機関の ATM をつなぐシステムのメンテナンス。 金融機関によっては期間が長くなる。 多くのキャッシュカードは、自行の ATM では通常通りに出入金できるが、自行以外だとできなくなる。 ゆうちょ銀行やコンビニの ATM の場合、提携先の金融機関であれば他行カードを使える場合もある。 また、ATM やインターネットバンキングで他行あてに振り込む際は、振込先の銀行名・支店名・口座番号の入力など通常の手続きに加え、受取人口座名義も自分で入力する必要があるという。 (寺西和男、asahi = 12-30-19)


どうなる来年の元日営業 コンビニ・外食・デパート・スーパーの動向
賛否両論の元日営業 身近な 65 社を徹底調査

同じ業界内でも方針に分かれ
休業する店舗の多くが客数の少ないエリアに立地
年中無休だった業界にも広がる「元日休業」

元日営業に賛成派 : 「やっぱりいつでもやっていたほうが便利」
元日営業に反対派 : 「働き方改革に逆行している」
街の人の賛否が分かれているのが「元日に店を営業するのか否か」
第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣氏 : 「去年に比べても年末年始休むお店がかなり増えてる」

慢性的な人手不足にともなう働き方改革で、来年の元日はコンビニエンスストアでも休業する店舗も。 「一体どこが開いていて、どこが閉まっているのか 」についてコンビニ・外食・百貨店・スーパーマーケットなど、身近な 65 社の「元日営業」について徹底調査した。

まずは、コンビニ各社。 元日に一部店舗の休業を決めたのが、セブンイレブン、ローソン、デイリーヤマザキの 3 社。 セブンイレブンは、2 万 1,002 店舗中、首都圏の直営店 50 店舗を休業。 元日の営業率は、99.8%。 ローソンでも、102 店舗を休業とする実証実験を行い、消費者の反応などを見ていく方針だ。 一方、ファミリーマートとミニストップでは、全店舗、元日営業を宣言。 しかしファミリーマートの一部店舗では、店長は元日は休み。 本部から無償で社員を派遣し通常営業する予定。

また元日の営業を巡り方針が割れているのが、外食業界。 まず、元日を原則営業するのは、「デニーズ」や「すき家」、「マクドナルド」に「ロッテリア」。 一方、一部店舗で、元日休業するのは、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」をはじめ、「てんや」や「一風堂」、「フレッシュネスバーガー」に「大戸屋」。 そして、ラーメンチェーンの「幸楽苑」は去年から、元日を全店休業(元日営業率 0%)。 また今年の大晦日は去年より 1 時間早い、午後 2 時に閉店。

幸楽苑店員・高田好子さん「(元日)営業した方が利益はあがるとは思うんですが、従業員みんなのモチベーションを上げたり、家族との時間を多く取ることができるようになって、お正月も休みでよかったと思います。」 それまでは、「全店舗・年中無休」がウリだった。 去年の年末年始の営業に関する告知では、「今夜はおそば屋さんで年越しそばを食べてください」の文言とともに大晦日を時短営業とすること、さらに元日についても「2億円事件」と、売上 2 億円を失っても従業員を休ませたいとして理解を求めた。

全 52 店舗中、22 店舗で元日を休業する居酒屋チェーン「金の蔵」。 実は休業する店舗の多くが都心のオフィス街や、郊外の客数が少ないエリアに立地。 金の蔵広報・西川絢さん : 「売り上げは弊社の場合そこまで大きな変化はないです。 お休みにした方がメリットは大きいと思います。」

一方「元日から外食したい」という方にオススメなのが、「かっぱ寿司」、「くら寿司」、「スシロー」など、ほぼ全店が元日営業している大手寿司チェーン店。 築地海鮮新宿すしまみれ新宿靖国通り店店長・多田茂樹さん : 「この時期に開いてると喜んでいただいてるお客さんがいっぱいいますよね。 売り上げの取れる時期でもあるし通常の倍は売れるんじゃないですかね。」 家族や親族が集まる正月は寿司店にとって、かき入れ時なのだそうだ。  また、「いきなりステーキ」も、元日から営業。 「自分へのご褒美に」と、大きな肉を安く食べられるフェアを開催。

百貨店各社を見ていくと「小田急」、「京王」、「高島屋」など多くが元日休業する一方、営業するのが「西武」と「そごう」。 「お正月の過ごし方、ニーズにあわせて買い物をしたいというお客さんに応えるため」としている。 同じ理由で、スーパーマーケットの「イオン」は、元日もほぼ営業(元日営業率 99.8%)。 "元日に出掛けたい場所" として選ばれている。

一方、「イトーヨーカードー」と「ヨークマート」では働き方改革を意識し、来年初めて 51 店舗で元日を休業。 年中無休だった業界に広がりつつある、「元日休業」。 今後の動向に注目したい。 第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣氏 : 「今後しばらくは年末年始は休業するお店がコンビニも含め広まっていくのかなと思う。 むしろ年末年始を休むと本当は営業したくなかったお店も(損益が少なくなり)休業しやすくなるという環境になると思います。」 (FNN FNN めざましテレビ = 12-29-19)


鳥取県が消えるぐらいの人口減 子ども諦めるロスジェネ

今年、新たに生まれた日本人の赤ちゃんが推計 86 万 4 千人にとどまり、初めて 90 万人を下回る。 人口の自然減は 51 万人余りで、鳥取県の人口に近い人が減ったことになる。 加速する人口減少は、日本社会の持続可能性に黄信号をともしている。

「人口の多い団塊ジュニア世代がほぼ出産年齢を過ぎ、いよいよ人口の少ない世代が親となっている。 縮小する親世代が、さらに小さな子世代を生む『縮小再生産』が始まっている。」 国立社会保障・人口問題研究所の元副所長、金子隆一・明治大学特任教授は話す。 「令和まで結婚・出産を遅らせる『改元効果』は、あってもわずかでは。 特定の出来事ではなく、経済状況の影響かもしれない。」 いま親になることが多い 30 代半ばから 40 代後半は、90 年代半ばからの景気低迷期に社会に出た就職氷河期世代、ロストジェネレーションと呼ばれる。 非正規採用が多く、賃金水準も他の年代より低い。

「子どもは欲しいが、男性の正社員も少なく職場結婚が難しい。(43 歳、女性契約社員)」 「家族を持ちたいが、まずは正規採用が先。(42 歳、男性パート)」 不安定雇用に悩むロスジェネ世代の証言だ。 この世代以降も非正規率は高く、社人研が 15 年の調査で未婚者に「結婚への障害」を尋ねると、男女とも「資金」が 4 割強で最多だった。

政府は、子どもが欲しい人の望みがかなった場合の「希望出生率」 1.8 の実現を目指す。 裏返せば、子を持ちたくても諦める人が多いことを意味する。 そんな状況を、家族社会学者の落合恵美子・京都大学教授は「家族からの逃走」と表現する。 「男女とも結婚や出産で失うものが多い。 保育所不足や教育費の高さに加え、引きこもりなどで子が自立できない恐れもある。 国の支援が弱いため、家族を持つことに二の足を踏んでしまう。」

安倍首相は 2 年前、少子高齢化を「国難」と呼んで衆院を解散した。 その後、働き方改革や幼児教育・保育の無償化などの政策、スローガンを掲げてきたが、出生数を見る限り効果は出ていない。 「生産年齢人口の減少対策は、女性の就労促進、仕事と出産・子育ての両立を可能にする政策・制度、さらに移民受け入れが必須だが、どれも不十分です」と落合教授は指摘する。 親となる世代が減っている以上、仮に出生率が回復しても、数十年は人口が減少する厳しい時代が続く。 ただ、もし出生減に歯止めがかからなければ、今世紀後半になっても人口は下げ止まらずに減り続ける。 いま有効な手立てを採らなければ、この国の未来はやせ細っていく。 (編集委員・真鍋弘樹、asahi = 12-25-19)

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2018 年の人口自然減、44 万人 人口動態統計

厚生労働省は 28 日、2018 年の人口動態統計(確定数)を発表した。 同年に国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は 91 万 8,400 人、死亡数は 136 万 2,470 人で、出生数から死亡数を引いた自然減は 44 万 4,070 人だった。 )asahi = 11-28-19)


災害時に東・西日本の電気融通倍増へ 岐阜に巨大変換所

中部電力が岐阜県高山市の山あいに、巨大地震などの災害時に東日本と西日本で電気を融通させる大規模施設を急ピッチで建設している。 東西で電力の周波数が異なり、東日本大震災では電気を融通できなかった教訓を生かそうと、電力 9 社(沖縄電力除く)がタッグを組んだ。 2021 年 3 月の運転開始をめざす飛?変換所は、高山市の国有林を整地した約 6 万平方メートルに建設が進む。 500 トンを超える変圧器のほか、心臓部となる高さ約 8 メートルの「サイリスタバルブ」と呼ばれる交直変換装置などが並ぶ。

電力の周波数は、東日本(50 ヘルツ)と西日本(60 ヘルツ)で異なる。 東日本大震災では、電力を融通できる容量が少なく、首都圏などで計画停電を招いた。 周波数を統一するには膨大な費用と時間がかかるため、電力 9 社は、容量を増やそうと周波数を変換する施設の新設を決定。 東西の境にあり、西日本への送電ができることから高山市の山中が候補になった。 15 年 10 月から工事が始まり、総工費は約 1,400 億円を見込む。 60 ヘルツの交流の電気を一度直流に変え、約 90 キロ離れた東京電力の新信濃変電所(長野県)に送って、50 ヘルツに変換して融通する。

稼働すれば、国内で最も容量の大きな変換拠点となり、東西で融通できる容量は 90 万キロワット増えて、これまでの約 2 倍の 210 万キロワットになる。 飛騨変換所は豪雪地帯を想定し、気温マイナス 30 度、2 メートルの積雪に耐えられる設計になっている。 設備はほぼ完成し、正常に動くかどうかを確認する試験が続く。 運転後は無人の施設になる。 中部電力の洞浩幸・飛騨直流連系工事所長は「万が一の大災害後に安心して電気を使ってもらうための施設として、計画通りの営業運転をめざす」と話す。 (山下周平、asahi = 12-24-19)


地震で大火災、避難難しい密集市街地 品川区など未解消

地震時に大規模火災の恐れがあり、避難も難しい「新重点密集市街地」に指定された全国 5,745 ヘクタールのうち、解消のメドとされる 2020 年度末時点で、少なくとも 3 割超の計 1,821 ヘクタールが残る見通しとなった。 関係する自治体への取材で判明した。 国土交通省は 11 年、住生活基本計画の中で新重点密集市街地を 20 年度末までにおおむね解消する目標を定めた。 朝日新聞は、12 年 3 月時点で新重点密集市街地があった 17 都府県 41 市区町にアンケートを実施。 解消のめどなどを尋ねた。

その結果、東京都品川区や横浜市、大阪市、愛知県安城市、長崎市など 11 都府県の 22 市区町は、20 年度末までの「解消が難しい」と回答した。 面積は東京ドーム約 390 個分にあたる計 1,821 ヘクタールで、居住人口は約 30 万人に上る見通しだ。 東京都中野区や和歌山県かつらぎ町、大分市など 11 市区町は 18 年度末までに解消。 東京都豊島区や川崎市、香川県丸亀市など 5 市区は 20 年度末までに「解消する見通し」と答えた。 名古屋市が無回答。 京都市は「11 年度以降調査をしていないが、近く調査する予定」、神戸市は「来年度に公表予定」とした。

解消が進まない理由では、▽ 用地買収で地権者からの合意が得にくい、▽ 住民が高齢化し、建て替えの意欲が低い - - の二つが目立った。 新重点密集市街地は 18 年度末時点で、2,878 ヘクタールと半減した。 大幅に解消が進んだ自治体の一つが首都直下地震の恐れがある東京都で、12 年 3 月から 76% 減の 399 ヘクタールだった。 都は新重点密集市街地を含む地区を「不燃化特区」に指定。 古い木造住宅の解体や建て替え時の設計費用を助成する独自制度を設け、マンション建設など民間の再開発を呼び込んだ。

一方、大阪府は 16% 減にとどまる。 18 年度末時点では 1,885 ヘクタールで全体の 6 割超を占める。 府内の対象 7 市すべてが 20 年度末までの解消が困難で、うち豊中市や守口市など 4 市は解消が一切ないままだ。 名古屋市も同様で、18 年度末まで変化がない。 国交省は 20 年度末までの緊急対策として、住宅を建て替える場合、耐火や準耐火の建物にすることを自治体が条例などで義務づけている区域の空き家について、解体費用の補助率を引き上げた。 新年度予算に 51 億円を計上し、建て替えを促す。 (asahi = 12-22-19)