カニ漁船主の娘婿は元技能実習生 漁に励み後輩の相談相手にも

ズワイガニ漁が熱気を帯びる但馬の各漁港で、主力の底引き網漁などを支えるインドネシア人技能実習生の存在感が増している。 現在は総勢 104 人が働き、全船員の 2 割超。  2006 年に兵庫県内で初めて受け入れを始めた新温泉町では、日本人船主の娘と結婚した元実習生が家族の一員となって漁に励み、後輩たちの良き相談相手にもなっている。

1 月中旬、諸寄漁港(同町諸寄)。 沖合底引き網漁船「美寿丸(19 トン)」に乗り込み、出漁する船員ウギア・レストゥ・ギナンジャルさん (27) を、妻の濱根綾華さん (29) が見送った。 船主兼船長は綾華さんの父秀樹さん (57) だ。 ウギアさんは、インドネシアの水産高校を卒業し、台湾のマグロ漁船で働いた後、日本の技能実習制度に応募した。 「賃金などの待遇が良いと親戚に勧められて決めた」という。 現地の送り出し機関で約 3 カ月、日本語を勉強し、試験に合格。 受け入れ先の浜坂漁協(同町)が派遣した職員の面接を経て 2012 年 7 月、19 歳で来日した。

雪を初めて見た但馬で、ズワイガニ漁は想像を絶する厳しさだった。 一夜に何度も網を入れ、山のようなカニが甲板に引き揚げられるたびに洗い、選別して水槽へ。 炊事も任され、寝る間も惜しんで働いた。 「1 年目は言葉も分からないからパニックになった」と振り返る。 実習最後の 3 年目を 迎えた 14 年 7 月。 実習生が暮らす諸寄漁港の宿舎を、美寿丸の日本人船員と共に綾華さんが訪れ、ウギアさんに「見た目が優しそう」と一目ぼれ。 程なく交際が始まった。

しかし、技能習得が本分の実習生との恋愛が知れると、周囲から猛反対された。 実習を終えてインドネシアに帰国したウギアさんを追って 15 年 8 月、綾華さんは単身渡航。 イスラム教への改宗と結婚手続きを済ませて帰国すると、もう反対する人はいなかった。 妻に先立たれた秀樹さんは当初、綾華さんと大げんかしたというが「本人たちが決めたことだから」と 2 人の意志を尊重。 新たな家族として同居を始めたウギアさんを漁船の甲板長に据え、「若く素直なムコさんのおかげで、全盛期の半分ほどに落ち込んでいた水揚げ量が復活した」と喜ぶ。

ウギアさんは漁協の依頼を受け、後輩の実習生たちの仕事や生活の困り事、悩みなどの相談に応じるようにもなった。 綾華さんとの間には一男一女が誕生。 子育てを協力しながら永住許可の取得を目指す。 「大変な実習を乗り越えられたから今がある。 日本に来て良かった。 家族の幸せのために頑張りたい。」とはにかんだ。

インドネシア人技能実習生は 104 人 組合長「漁業で不可欠の存在」

但馬地域の漁業では、日本人船員の高齢化や過酷な労働環境で人手確保が困難な状況を背景に、インドネシア人技能実習生の受け入れは 14 年前から増加の一途をたどる。 浜坂漁協(新温泉町)と但馬漁協(豊岡市、香美町)が窓口となる 5 漁港で現在、沖合底引き網漁船を中心とした船員 471 人のうち実習生は 104 人を占める。 第 13 次まで受け入れを重ねる浜坂漁協では、所属する沖合底引き網漁船やイカ釣り漁船全 17 隻に各 1 - 4 人の実習生 44 人が乗員。 川越一男組合長 (65) は「浜坂の漁業で彼らは不可欠の存在。 気質も勤勉で穏やか。」と話す。

滞在 1 - 5 年の実習生らは、各漁協が漁港内や近隣に用意した宿舎で生活。 船員手帳を取得し、定められた賃金で働く。 休漁日には地元の祭りやイベント、学校行事に参加するなど住民と交流を深めている。 外国人の就労拡大を目的に昨年 4 月に新設された在留資格「特定技能」の取得者はまだいない。 (金海隆至、神戸新聞 = 2-5-20)


外国人労働者 過去最多の 165 万人超 技能実習生が大幅増

日本で働く外国人労働者は去年、技能実習生が大幅に増えたことなどから 165 万人を超えて、過去最多を更新しました。 厚生労働省が企業からの届け出を集計した結果、去年 10 月末の時点で日本で働く外国人労働者は 165 万 8,804 人でした。 これは前の年と比べて 19 万人余り、率にして 13% 増えて、過去最多を更新しました。

国籍別では、
▽ 中国が最も多くおよそ 41 万 8,000 人
▽ 次いでベトナムが 40 万 1,000 人
▽ フィリピンが 17 万 9,000 人でした。

在留資格別で見ますと、
▽ 最も多いのは日系人や日本人の配偶者で 53 万 1,000 人余り
▽ 次いで技能実習生がおよそ 38 万 3,000 人
▽ 技術職や研究者など高度な知識や技術を持った人が 32 万 9,000 人などとなっています。

技能実習生は前の年に比べて 24% 増えて、増加率では最も高くなっています。 また去年 4 月から新たに設けられた「特定技能」は 7 か月間で 520 人でした。 厚生労働省は「外国人材の受け入れ拡大を進めていることが背景にあり、安心して働ける環境を整えたい」としています。 (NHK = 2-4-20)


技能実習生を時給 610 円で働かせる 縫製業を送検 残業は時給 500 円 葛城労基署

奈良・葛城労働基準監督署は時給 610 円でベトナム人技能実習生を働かせたとして、ティー・ワイ・プロダクツ(奈良県大和高田市)と同社の代表取締役を最低賃金法第 4 条(最低賃金の効力)違反などの疑いで奈良地検に書類送検した。

同社は主として女性子供服製造業を営んでいる。 代表取締役は平成 30 年 1 月 1 日 - 10 月 31 日までの間、3 人の技能実習生に対し、最低賃金以上の賃金を支払わなかった。 同労基署によると、実習生の手取りは 6 - 7 万円程度で、寮費や光熱費、社会保険料を控除した額とされていたが、実際には手取り額が固定となっており、基本給は明確でなかったという。 この間の時給は平均すると 610 円で、奈良県の最低賃金額を下回っていた。 (労働新聞 = 2-3-20)


殺人未遂疑いで技能実習生逮捕 同僚ベトナム人を刃物で刺す

同居する男性の右胸などを刺して殺害しようとしたとして、郡山署は 28 日午後 6 時 15 分ごろ、殺人未遂の疑いでベトナム国籍、郡山市、技能実習生、容疑者 (22) を逮捕した。 逮捕容疑は同日午前 3 時 30 分ごろ、自宅で同居するベトナム国籍で技能実習生の 30 代男性と口論になり、男性の右胸などを刃物で刺して殺害しようとした疑い。

同署によると、男性は同市の病院に搬送されたが命に別条はない。 容疑者は男性を刺したことは認めているが、殺意については否認しているという。 同署などによると、同日午前 3 時 55 分ごろ、日本人男性から「知人のベトナム人 2 人が包丁で刺し合いになっている」と 119 番通報があった。 2 人は約 2 年前に技能実習生として来日し、同じ職場で働いていた。 (福島民友新聞 = 1-29-20)


ベトナム人実習生とテト・パーティー 西尾などの 6 社

旧正月に合わせて、日本で働いているベトナム人技能実習生らを慰労する「テト・パーティー」が 26 日、西尾市花ノ木町の西尾コンベンションホールで開かれた。 「テト」は、ベトナムの旧正月を表す言葉で、ベトナムではこの時期、家族でお祝いをすることが多いという。 ただ、実習生らが帰国するのは難しいため、西尾市の部品ライン製造会社の大野精工など同市内外の 6 社が、自社で働くベトナム人をもてなした。

パーティーには 100 人以上の実習生らが参加。 会場にはベトナム料理が用意され、コンサートやカラオケなどを楽しんだ。 西尾市を拠点に活動する和太鼓奏者山田純平さんらの演奏もあり、実習生らも和太鼓を体験した。 大野精工の大野龍太郎社長は「たくさんの人に楽しんでもらえた。 来年、再来年と内容を充実させていきたい。」と話した。 (中日新聞 = 1-28-20)


外国人技能実習生の受け入れに際し違反行為が発覚
7 社の技能実習計画認定を取消

出入国在留管理庁と厚生労働省は 1 月 24 日付で、機械製造業、縫製業などを手がける 7 社に対し、技能実習計画の認定の取消を通知した。 認定取消を受けたのは、下記 7 社。

(株)イケガミ - 石川県小松市、池上茂雄代表
(株)コノミヤ - 大阪市鶴見区、芋縄隆史代表
(有)サンエイ - 香川県さぬき市、中田進代表
(株)ビクトリー - 石川県輪島市、片岡哲弥代表
北海機材工業(株) - 札幌市中央区、神子島隆幸代表
三木鋼業(株) - 香川県高松市、三木高彦代表
(株)ロング・ライフ - 千葉県松戸市、五島充代表

調べによると、7 社は外国人技能実習生の受け入れに際し、設定計画に従って技能実習を行わせていなかったり、賃金を支払っていなかったなどの事案が確認された。 さらには、時間外労働に対する割増賃金を支払っていなかったり、労働に関する法令違反にともない、事業者が罰金刑を受けるなどの事案も確認されたという。 個別の事案の詳細については明らかにされていない。 厚生労働省の職員によると、7 社は今後 5 年間、技能実習計画の認定を受けることができない。 (長谷川大輔、Net IB = 1-27-20)


人手不足解消はサッカーで 経験者を外国人実習生に

電線加工機などを手掛けるライオンパワー(石川県小松市)は、外国人技能実習生の採用に「サッカー枠」を設ける。 サッカー人気を背景にベトナム人を受け入れ、同社のサッカーチームに所属させてモチベーションの維持につなげる。 実習生が失踪することなく会社に定着できるよう促し、社内の競争力の強化と将来的な高度人材の確保を狙う。 2021 年 4 月にサッカー経験のあるベトナム人の技能実習生を 3 人受け入れる。 人材は学校やクラブチームなどでサッカー経験のあるベトナム人を現地の送り出し機関に集めてもらい、面接をした上で受け入れる。

仕事はプリント基板の組み立て作業などを想定している。 優秀な実習生がいた場合は、最長で 5 年間の在留が認められる特定技能へ移行。 成果に応じて正社員並みかそれ以上の賃金を払うことも検討するという。 ベトナムに着目したのは、現地でサッカー人気が高まっているからだ。 19 年の東南アジア競技大会では U-22 ベトナム代表が優勝し、熱狂はピークに。 18 年には日本サッカー協会がベトナムのサッカー連盟と協定を結び、ノウハウの共有など交流も始まった。

同社は 03 年から社会人サッカーチーム「LionPower 小松」を運営している。 高瀬敬士朗社長は、J リーグの湘南ベルマーレのヘッドコーチを務めた異色の経歴をもつ。 実習生は監督の社長から、直々にサッカー指導を受けられる。 今年 4 月には国内でも「サッカー枠」としてサッカー経験者の首都圏の大学生が 1 人入社する。 日本に来た技能実習生の失踪者は増加している。 18 年には全体の約 2% にあたる 9,052 人が失踪。 14 年の 4,847 人から約 1.9 倍に増えた。 多くが技能実習意欲が低いものとみられる。

そこでサッカーを通じてコミュニケーションを円滑にし、モチベーションを保つことで失踪を防ぐ意図がある。 日本語を早く話せるようになる期待も大きい。 チームに所属すれば、外国人枠として県リーグにも出場の機会がある。 高瀬社長は「これからはさらに働き方を見直す。 意欲があり成果を残せば誰でも給料をもらえるような賃金制度に変え、会社の競争力を強めていく」と話した。 (前田悠太、nikkei = 1-24-20)


日新電機がミャンマー籍技能実習生受け入れを支援

日新電機は 15 日、自社のサプライヤーなどに対し、ミャンマーからの技能実習生の受け入れを支援すると発表した。 すでに 2019 年末に 5 人の実習生が採用されており、1 月から実施される研修を経て、8 月にも日本で実習を始める。 実習生を受け入れるのは、オーランド(京都府、従業員 43 人)をはじめ、日新電機のサプライヤーなどで作る日新電機協力会(組合員 29 社)の 4 社。ミャンマーの送り出し機関「ミャンマー・ケントク・エージェンシー」と、監理団体「関西経済交流会」が、訪日に先立って日本語や生活教育を実施。 並行して日新電機の現地法人、日新電機ミャンマーが、図面教育や実機を用いた金属加工などの技能教育を実施する。

日本での滞在期間は 3 - 5 年を予定。 帰国後には、就職支援として現地法人での採用や、さらに学びたい実習生に対する日本での受け入れ支援も行う方針だ。 日新電機ミャンマーは 19 年 6 月、産業用装置・部品受託生産事業の拡大や、ミャンマーにおける電力機器市場への参入を目指して、設立された。 資本金は 150 万米ドル(約 1 億 6,500 万円)で、日新電機タイが 55%、日新電機が 40% を出資。 20 年 4 月の操業開始を目指し、準備を進めている。 (NNA = 1-17-20)


東南アジア技能実習生の実態調査踏まえフォーラム JICA

国際協力機構 (JICA) は、技能実習生の多い ASEAN 6 カ国(インドネシア、フィリピン、べトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)で初めて、送出側で総括的な調査を行った。 この結果を踏まえて 16 日、「外国人材の受け入れ x ODA」を考えるフォーラムを東京・麹町の同機構本部で開催する。 技能実習生を送り出す途上国と、技能実習生を受け入れる日本の地域の間には信頼関係の構築と強化を通じた双方の持続的発展モデルが必要とされる。 調査はこうした現状を把握するため、2019 年 9 月から帰国した技能実習生への聞き取りを行った。

調査の結果によると、総じて海外への労働人材創出に積極的ではあるが、各分野のライン省庁や関連機関との連携に問題があることがわかった。 また、途上国からの労働人材創出が買い手市場から売り手市場に移りつつあり、送出先国として韓国や台湾など労働力が不足する競合国への労働人材送出が増えているという。 このほか、来日前の日本語教育の質にバラつきがあったり、帰国した実習生へのケアが十分でないため就業や就職につながりにくなどの声も挙がった。 今回のフォーラムでは、調査の中間発表と送出側から見た課題を解決するために必要なアクションや JICA への期待などをパネラーが提言する。 (農業協同組合新聞 = 1-15-20)


群馬県大泉町の新成人、外国人が過去最高の 28% に

群馬県大泉町の新成人のうち、外国人住民の割合が過去最高の 28% に達することが、町のまとめでわかった。 これまで最高だった 2017 年度(18 年 1 月)の 24.4% を大幅に更新した。 町によると、新成人の総数は前年を 24 人下回る 493 人。 このうち、外国人は前年より 20 人多い 139 人と全体の 28.2% となり、日本人は逆に前年より 44 人少ない 354 人だった。

町人口の 4 万 1,987 人(12 月 31 日現在)に占める外国人住民は 7,977 人、約 19% と過去最高で、初の 20% 台に迫る勢い。その人口と比べても、外国人の新成人比率は際だって高い。 町教育委員会生涯学習課の提橋啓子係長は「日本人の場合、出生率の低下に加え、大学への進学などによる町外への流出があり、新成人が減っている。 一方、外国人は技能実習生の増加などで新成人も増えたと考えられる」と話している。 (長田寿夫、asahi = 1-9-20)


ベトナム人実習生、民族衣装で成人式参加 大崎

(鹿児島県)大崎町中央公民館で 5 日成人式があり、町内在住のベトナム人技能実習生 10 人が初めて参加した。 民族衣装のアオザイに身を包み、清楚な雰囲気を演出。 終了後は日本人の参加者と記念撮影も行い、「楽しかった」と笑顔を見せていた。 全員がジャパンファームの実習生。 今年は新成人対象者 148 人中、外国籍の割合が 28 人(昨年 10 月現在)と 2 割に上っていたため、町がベトナム人実習生が多数いる同社に参加を打診。 「日本文化に触れるいい機会。 協力したい。」との申し出があり実現した。 (南日本新聞 = 1-6-20)


新たなふるさとで成人式に ベトナム人実習生 ズイさん

長崎県五島市三井楽町の農業法人で働くベトナム人技能実習生、グエン・スアン・ズイさん (20) が 4 日、三井楽地区の成人式に出席する。 五島に来て 1 年余りがたち、日本文化を深く知りたいとの思いがあるからだ。 将来の夢は、母国と日本の橋渡しをする通訳。 新たなふるさとで、「大人」への一歩を踏み出す。 ズイさんは 2018 8年秋、農業分野では市内初の実習生として来島。 同期 2 人と共に、サツマイモの生産や加工を手掛ける「アグリ・コーポレーション(佐藤義貴代表)」で技術を学び始めた。 1 年後に後輩 3 人も加わり、現在はベトナム人 6 人が日本人従業員と一緒に業務に励んでいる。

ズイさんはベトナム北部のタイビン省出身。 実家は農家だが、叔母が日本語通訳をしていることもあり、自身も幼い頃から通訳を目指していた。 現在の仕事は「きついけど、面白い。」 職場の日本人の同僚たちと冗談を言って笑い合うと、疲れは吹き飛ぶ。 熱や腹痛で会社を休んだ時には、同僚が食事や薬を寮に持ってきてくれたことも。 優しさが身に染みた。 佐藤代表はズイさんの働きぶりを「明るく、真剣に取り組んでいる」と評価。 「農業はもちろん、片付けや時間を守ることなど、日本の働き方もしっかり学んでほしい」と願う。

ズイさんの趣味は写真撮影。 休日にはカメラを片手に、自転車で島内を走り回り、気に入った景色や住民の姿を撮っている。 母国の友人とは会員制交流サイト (SNS) でつながり、写真を投稿するとコメントが寄せられるという。 ベトナムに成人式はなく、年齢による子どもと大人の明確な線引きもないという。 だが昨年、市から式の案内状が届き、「日本にしかない文化を体験したい」と出席を決めた。 研修期間は残り 2 年弱。 通訳として「日本とベトナムを仲良くしたい」という夢を追い、日々の勉強にも取り組んでいる。 「真面目な大人。 将来のことを考える大人。」 ズイさんは自らが目指す理想像を、そう語った。 (長崎新聞 = 1-3-20)


ベトナム人実習生を逮捕 同僚刺した疑い 岐阜県警

ベトナム人技能実習生の同僚男性を刃物で刺して殺そうとしたとして、岐阜県警北方署は 29 日、殺人未遂の疑いで同県本巣市神海、ベトナム国籍の技能実習生、ドー・スァン・ロック容疑者 (22) を現行犯逮捕した。 地元消防によると、同僚は搬送時は意識があったという。 北方署によると、同容疑者は「殺すつもりはなかった」と容疑を一部否認しており、同署が経緯を調べている。

逮捕容疑は 29 日午後 5 時 55 分ごろ、会社の社員寮で、男性 (22) の額や腹、左太ももを刃渡り 16 センチの包丁で刺したとしている。 隣の部屋にいた別の同僚が争うような物音に気付き、部屋を訪れたところ、包丁を持って立っている同容疑者を発見。 この同僚から電話で連絡を受けた知人が 119 番通報したという。 会社はガーデニング用の堆肥や土壌の改良剤などを製造しているという。 (sankei = 12-29-19)


ベトナム実習生とクリスマス会 神埼市千代田町

神埼市千代田町の姉集落センターで 22 日、地域のクリスマス会が開かれた。 近所で働くベトナム人実習生も参加し、歌や踊り、しめ縄作りなどを通して、地元の人と一緒に楽しいひとときを過ごした。 地域の人に読書に親しんでもらおうと同センターで月に 2 回、"臨時図書館" を開いている「家読姉(うちどくあね)」の世話人たちが、文化交流の場を持とうと開催した。

親子連れや "図書館" の利用者のほか家具工場で働くベトナム人 3 人も加わり、参加者は約 30 人。 「家読」のメンバーによる読み聞かせや紙芝居の後、参加者全員でクリスマスの歌を歌い、ツリーも飾り付けた。 踊りを披露し、大きな拍手を受けたグェン・ティ・ハィンさん (21) は「ベトナムのクリスマスではこんなに大勢集まらないので、今日はとても楽しい」と喜んでいた。 最後のしめ縄作りでは、ベトナムの 3 人もお年寄りが縄をなう様子を興味深そうに見入っていた。 縁起物の旗やエビなどを飾り付け、自分用の正月飾りに笑顔を見せていた。 (佐賀新聞 = 12-24-19)


外国人「特定技能」伸び悩み 技能実習生は増加の一途

低賃金など職場環境の劣悪さが問題視されてきた「技能実習」の在留資格を得る外国人が増え続けている。 年末には 40 万人台に達する勢いだ。 一方で、外国人労働者の受け入れ拡大のために創設された在留資格「特定技能」は、初年度に最大約 4 万 7 千人と試算されていたにもかかわらず、13 日時点で 1,732 人にとどまる。 国内外の態勢が整わない中での「見切り発車」で、送り出し国の対応が進んでいない。

政府は「労働力不足に対応するため」として、昨年 12 月 8 日に新たな在留資格「特定技能」を設ける「改正出入国管理法」を成立させた。 当時、政府は初年度だけで最大約 4 万 7 千人、5 年間で最大約 34 万 5 千人がこの資格を得ると試算していた。 特に導入初年度は、特定技能の資格を得る人の半数以上が技能実習からの移行組と想定されていた。 特定技能は介護や外食業、農業など 14 分野を対象として 4 月にスタートしたが、この資格を得た外国人は 12 月 13 日時点で 1,732 人。 政府の初年度想定の約 3% にすぎない。 申請中の人も現時点で約 3,700 人にとどまる。

成立から制度開始まで約 4 カ月しかない「急ごしらえ」だったことから、送り出し国に想定された 9 カ国のうち、現在までに準備が整ったのはフィリピン、カンボジア、ネパール、インドネシアの 4 カ国にとどまる。 技能実習生の最大の送り出し国であるベトナムは、まだ国内手続きを整備中だ。 一方で、技能実習生は増加の一途だ。 今年 6 月末時点で約 36 万 7 千人で、半年で約 3 万 9 千人増えた。 過去最多になる勢いだ。

背景には、職種がこの 25 年間で約 60 増えて計 81 種になったことがある。 特に 15 年に「総菜製造」が加わったことで、ほかの外国人労働者などから実習生への移行が進んだとみられる。また特定技能を得るには技能試験が必要だが、技能実習は受けなくていいことも影響しているとみられる。 ただ技能実習をめぐっては、賃金未払いや長時間労働に耐えかねた実習生が失踪する事態も多発している。 出入国在留管理庁が監理団体や企業への対策を強化しているにもかかわらず、こちらも増加傾向だ。 昨年の失踪者数が 9,052 人だったのに対し、今年の失踪者は上半期だけで 4,499 人にのぼる。

出入国在留管理庁は、3 年の技能実習の実績があれば試験を受けずに特定技能への資格変更ができることから、「移行する人がいずれ増える」と見込んでいる。 (板橋洋佳、asahi = 12-17-19)


元技能実習生の中国籍女逮捕 特殊詐欺容疑、広島で確保

高齢女性からキャッシュカードをだまし取ったとして、大阪府警は 16 日、詐欺容疑で中国籍の住所、職業不詳李瑶瑶容疑者 (20) を逮捕した。 9 日に公開手配され、16 日に広島市内で確保された。 元技能実習生で、カードを受け取る「受け子」を勧誘していたとみられる。 府警によると、昨年 10 月に中国籍の女 (23) = 詐欺罪で逮捕、起訴 = と一緒に佐賀県の実習先の食品加工会社から失踪。 女は受け子で、府警は李容疑者が勧誘したとみている。 李容疑者は 10 月 19 日に広島県福山市のビジネスホテルを出て以降、行方が分からなくなった。 (kyodo = 12-16-19)


コンテナで絶命した元実習生 日本に残された「私の夢」

日本で技能実習生として 3 年間働いたそのベトナム人女性は、「また戻ってきたい」と言って今年 6 月に帰国した。 10 月、彼女は英ロンドン近郊で亡くなった。 トラックのコンテナからベトナム人 39 人が遺体で見つかった密入国事件で、犠牲になった一人だった。 「また日本に来てくれていたら …。」 かつての同僚らが朝日新聞の取材に語った。

この元実習生はファム・ティ・チャー・ミーさん (26)。 ベトナムの首都ハノイから南へ 330 キロ離れたハティン省カンロックの出身。 2016 年 6 月に日本にやってきて、神奈川県相模原市にある食品会社の工場で働き始めた。 チャー・ミーさんが日本語で将来の夢について書いた文章とイラストが会社に残されていました。

「私の夢は化粧品の店を開くことです」、「名前は『さくら』」、「壁はしろとピンクにぬります」

工場には従業員が 500 - 600 人いて、そのうちベトナム人実習生は当時は 30 人いた。 総務課長として日本での生活をサポートした佐藤友教さん (34) は「周りはほとんど日本人の職場。 仕事だけでなく、日本語もがんばってくれました。」とチャー・ミーさんとの思い出を振り返った。 彼女が任された仕事は、コンビニ向けの総菜の調理だった。 機械を操作して 1 人で 200 キロ分のパスタソースを作ることもあったという。 年々増えていった実習生の相談に乗ったり、帰国間際には日本語で工場の館内放送をこなしたりするほど、中心的な存在になっていた。

佐藤さんは「大事な仕事を安心して任せられる存在。 人なつっこくてみんなから信頼されていた。」と話す。 チャー・ミーさんは週 40 時間勤務で、忙しい時は残業があり、給料は 20 万円近くになることもあった。 会社の寮では 3DK の部屋に 5 人で暮らし、自炊をしてお金を節約していた。 給料の半分以上をベトナムの両親に送り、残った分でやり繰りしていたという。

節約しつつも、日本での生活も楽しんでいた。 工場で通訳を務めるグエン・ティ・ホアさん (25) は「旅行が好きで日本のきれいな場所を教えて欲しいとよく言われた」と振り返る。 東京のお台場や東京ディズニーランドにみんなで遊びに行ったという。 最後の旅行は今年 2 月、実習生の同僚 4 人とスキーに行った長野県の北志賀高原だった。

「帰国するのはさびしい。 もっと日本にいたい。」

契約期間が終わり、帰国する 4 日前の 5 月 30 日、職場で開かれた最後の食事会。 チャー・ミーさんは、隣に座った佐藤さんにそう打ち明けたという。 佐藤さんは「信頼を感じて、彼女のこの言葉がうれしかった」と話す。 現行の技能実習制度では、実習生が日本に滞在できる期間は 3 年間。 だが、本人が希望して会社も受け入れる場合には、一度帰国した後に滞在を 2 年延長できる仕組みがある。 佐藤さんによると、チャー・ミーさんはこの仕組みを使って再び日本に来る意思を示していた。 そのため、職場のメンバーはチャー・ミーさんが戻って来ると考えていたという。

ところが、次に入った彼女に関する知らせは、英国での事件で亡くなったというものだった。 佐藤さんは実習生の紹介元の監理団体から知らされた。 ベトナムと先進国の賃金格差を現場で知っているだけに、やるせなさが募った。

「密入国だと分かっていたのなら踏みとどまってほしかった。 でも、家計を支える覚悟だったのかもしれない。」

ホアさんは「お父さんとお母さんのことをすごく心配していて、お金をいっぱい稼ぎたいと言っていた。 でも英国じゃなくて日本に来ていたらこんなことになっていなかったのに。」と涙声で話した。 職場の仲間たちはお金を出し合い、遺体を英国からベトナムへ運ぶ費用にあててもらおうと十数万円を家族のもとに届けたという。 チャー・ミーさんは 3 年前、工場で働き始めるにあたって「私の夢」と題した作文を会社に出していた。 原稿用紙 2 枚分。 会社に保管されていたものを見せてもらった。

「私の夢は化粧品の店を開くことです。」
「生まれた所は化粧品屋があまりありません。 私はベトナムの女の人にもっときれいになって欲しい。」

手書きの日本語で、そんな思いをつづってた。 チャー・ミーさんがなぜ日本を再訪しなかったのかは分からない。 ただ、ベトナムの家族によると、英国でネイリストとして働こうとしていた。 10 月 21 日、死ぬ間際のコンテナの中から、「息ができない。 お父さんお母さんごめんなさい。」とのメッセージを母親あてに通信アプリで送ったのを最後に、誰とも連絡が取れなくなった。 (宋光祐、asahi = 12-13-19)

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トラックの遺体、ベトナム人か = 「息できない」と連絡 - 英

【ロンドン】英ロンドン東方の町グレイズで 23 日、トラックの冷蔵コンテナから 39 人の遺体が見つかった事件で、死者の多くがベトナム出身者である可能性が強まっている。 警察は当初、遺体はいずれも中国人と発表していた。

コンテナで発見された遺体は男性 31 人と女性 8 人。 BBC 放送が 26 日伝えたところでは、在英ベトナム人団体「ビエットホーム」は事件発覚後、20 人近い行方不明者に関する情報を得た。 このうち 26 歳のベトナム人女性は 22 日夜、「お父さん、お母さん、ごめんなさい。 私の外国旅行は失敗した。 死にそう。 息ができない。」との内容のテキストメッセージを両親に送った後、連絡が途絶えたという。 (jiji = 10-26-19)

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トラックのコンテナから 39 人の遺体 … 密航者か

【ロンドン = 広瀬誠】 英警察当局は 23 日、英南東部グレイズの工業団地で、トラックのコンテナから 39 人の遺体が見つかったと発表した。 当局は、トラックの運転手で英領北アイルランド出身の男 (25) を殺人容疑で逮捕した。 英メディアは、遺体は集団密航者の可能性があると伝えている。 発表によると、遺体のうち 38 人が大人、1 人が 10 歳代とみられ、当局は身元を調べているが、長時間がかかる見込みだという。

当局は、コンテナは 23 日にベルギーから英グレイズ近くに船で到着し、約 1 時間後に事件が発覚したとみている。 当局は死因や、コンテナが運ばれてきた経路などを調べる方針だ。 英 PA 通信によると、ブルガリア外務省は 23 日に声明を出し、トラックはアイルランド人が所有する会社により、ブルガリア国内で登録されていたと明かした。 英国では、2000 年に南東部ドーバー港で、ベルギーから来たトラックの中から中国人の密航者 58 人の遺体が見つかる事件が起きている。 (yomiuri = 10-23-19)


JA つくば市の子会社、ベトナム人実習生に上限超え労働 最長は月 180.5 時間

JA つくば市の子会社「ファーマーズつくば(茨城県つくば市東岡)」で、ベトナム人技能実習生 7 人が 2016 年 2 月 - 18 年 9 月、時間外労働時間の上限を大幅に超えて働き、帳簿に記載していない収入から現金で給料が支払われたことが分かった。

同社は耕作放棄地などを使ってコメやネギなどを生産。 実習生らは当時、時間外労働の上限(1 カ月 45 時間)を超えて作業しており、最長では 1 カ月 180.5 時間に上った。 また技能実習適正化法では、実習計画を基に決めた実習時間を延長する(時間外労働を行う)場合、月 80 時間以上の延長は変更申請が必要だが、同社は申請していなかった。 時間外労働の上限を超えた分の給料は、正規の給料とは別に現金(計約 591 万円)で支払われていた。 当時の社長はコメの販売代金などの収入を会社の帳簿に計上せず、この支払いに充てていた。

JA つくば市は昨秋以降の内部調査で事実を確認し、当時の社長は今年 1 月末に辞任。岡本秀男組合長らは監督責任を取り報酬を減額した。 JA つくば市は「組合員に迷惑をかけた。 再発防止に取り組んでおり、ファーマーズ社にも法令順守を指導したい」としている。 (宮田哲、mainichi = 12-8-19)


三菱ふそう、外国人技能実習生から初の特定技能 1 号が誕生

三菱ふそうトラック・バス (MFTBC) は 12 月 4 日、外国人技能実習制度「自動車整備作業」の特定技能 1 号を取得した実習生 2 名が就労を開始したと発表した。 外国人技能実習制度は、外国人実習生が日本の産業における技能や知識を習得・習熟し、開発途上国等へ移転することを目的として 1993 年に創設。 特定技能 1 号は、同制度の「自動車整備職種」に、今年 4 月より追加法整備された在留資格。 在留期間が最長 5 年となり契約社員としての就労が可能になる。

MFTBC では、2016 年 10 月より技能実習生を採用。 現在は、ベトナム、フィリピン、インドネシア国籍の計 190 名が全国の拠点で技能実習を行っている。 今回就労を開始した 2 名は、2016年 より技能実習生として実習を開始し、技能実習 2 号を修了し特定技能に移行した。 同社では、外国人技能実習制度により、海外へ日本の高い点検整備技術の展開をサポートするとともに、車両整備に精通したグローバル人材を育成し、アジア各国を中心とした地域に優れた整備技術を展開していく。 また、3 年間の「技能実習 1 号・2 号」を修了した実習生の希望者に対して、特定技能 1 号へ移行し雇用を継続していく。 (纐纈敏也、Response = 12-4-19)


外国人実習生、けがのち「解雇」 失業状態 9 カ月 … 先の見えない日々

福岡県内の土木現場で働いていたベトナム人技能実習生のグエンさん (24) = 仮名 = は仕事でけがをした上、雇用主の建設会社とトラブルになり、北九州市の労働組合の施設に「保護」されている。 けがの後、風邪で仕事を休んだところ「解雇を示唆された」と、会員制交流サイト (SNS) を通じて外部に助けを求めた。 会社側は西日本新聞の取材に対し、グエンさん側の主張の多くを否定し、解決には至っていない。 失業状態となって 9 カ月。 先の見えない日々が続く。

グエンさんは 1 月、同県内の道路建設現場で工事中によろめいて転倒。 側溝の型枠に残されていたくぎが手に刺さり、病院で 1 週間超のけがと診断された。 労働安全衛生法では 4 日以上の労働災害は遅滞なく労働基準監督署に報告する義務があるが、グエンさんが勤める建設会社は報告しなかった。 労基署は、労災を隠したとして同法違反容疑で会社と社長を書類送検。 社長は「義務を知らなかった」と説明し、検察は証拠不十分で不起訴とした。

グエンさんによると、けがの後、風邪で休むと社長は「(ベトナムへの)帰りの飛行機代を差し引くので最後の給与はない」と解雇を示唆。 思い悩んで SNS に投稿した。 外国人労働者問題に携わる札幌の支援者の目に留まり、労働組合「ユニオン北九州(北九州市)」に連絡。 ユニオン関係者が 2 月、会社の寮からグエンさんを連れ出した。 一緒に働いていたベトナム人男性 (26) も数日後、寮を出てユニオンに保護された。

2 人は 2018 年に来日し、九州豪雨の被災地でも河川の復旧作業に従事した。 その際もグエンさんはフォークリフトに接触して負傷、もう 1 人の男性も長さ約 2 メートルのコンクリートブロックが足に落ち、けがをした。 2 人とも数日 - 5 日間、仕事を休むことになり「その分給料を減らされた」という。 ユニオンが「当時も労災を隠したのではないか」と問い合わせたが、建設会社は元請けに「仕事を休むようなけがではなかった」と説明しており、言い分はすれ違っている。

今は別の実習先を探す 2 人は、西日本新聞の取材に「毎日現場でしかられた。 もう少し優しくしてほしかった。」と肩を落とす。 福岡労働局によると、18 年の実習生の労災(休業 4 日以上)は同県内で 26 件発生し、このうち製造業が 14 件、建設業が 7 件。 ユニオン北九州の本村真委員長は「氷山の一角だ。 受け入れる能力が十分でない零細業者で問題が多発している。」と言う。 グエンさんの会社も従業員は数人規模。 本村さんは「受け入れ要件を厳しくするなど改善を促さない限り問題は続く」と訴えている。 (竹次稔、山下航、西日本新聞 = 12-2-19)


技能実習生と友好咲かせて 地域彩る花壇整備

友好の象徴、花開け -。 愛媛県八幡浜市保内町川之石地区住民が、地元企業に勤めるベトナム人、中国人技能実習生の若者とともに地域の花壇で花を育てている。 普段から地域行事などで交流する仲。 「美しく咲いて、日本での楽しい思い出の一つになれば」と願う。 (愛媛新聞 = 11-28-19)


生活環境を整える覚悟なき受け入れは「奴隷制度」と変わらない 技能実習制度

記事コピー (11-25-19)


ボートピープルから神父に 技能実習生救う活動に奔走

ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王 (82) が関心を寄せる難民や移民などの問題について、その支援に奔走するベトナム出身の神父が名古屋市にいる。 自らもインドシナ難民として来日し、工場で働いて苦学した経験があり、技能実習生らの相談にのりながら、23 日からの法王来日に意を強くしている。

今月 10 日の日曜日、名古屋市中村区のカトリック五反城(ごたんじょう)教会の聖堂は約 400 人のベトナム人で埋まった。 3 年前からこの教会で主任司祭を務める大海明敏(おおみ・あきとし)神父 (55) = 民族名ホアン・ミン・マン = が毎月 1 回開くベトナム語のミサだ。 愛知県内のほか静岡など近県から大勢が集まり、信徒でない人も多い。 ミサ前には、罪を告白して赦(ゆる)しを得る「告解」の順番を待つ長い列ができる。

ミサに来た技能実習生のベトナム人男性 (25) は、来日後に受ける講習中に病気になり、実習先の会社から実習を拒まれたという。 教会の支援で入院し最近退院したが、実習先が見つからず、大海神父が弁護士らを交えて受け入れ先を探している。 来日のために多額の借金がある男性は、このままでは帰国を迫られるが、「とにかく日本で働きたい」と訴える。

大海神父は 1983 年、ベトナムを船で脱出。 インドネシアの難民キャンプで 1 年過ごした後、84 年に来日した。 来日当初は、大阪のプラスチック工場で働き、「布団のない部屋」で暮らした。 今のベトナムの若者の話を聞く度に「私が来たころと(外国人を巡る)実情はたいして変わっていない」と感じる。 大海神父は若い頃、照明器具を作る別の会社に移り、大阪で夜間の専門学校に通った。 「社長さんがいい人で、私は運が良かった」と振り返る。

南山大学(名古屋市)の神学科に進んで 99 年には神父になり、神戸などの教会に赴任。 02 年には日本国籍を取得し、ボートピープルとして海を越えた経験から姓を「大海」にした。「明敏」はベトナムの民族名の漢字表記から取った。 フランシスコ法王が 15 年に発表した回勅(かいちょく、世界への宣言文)は「ともに暮らす家を大切に」と題され、社会的弱者への視線が鮮明だ。 大海神父は「弱い立場にある者を受け入れるよう説いている。 言葉や習慣の違いから困っているベトナム人らを、信徒でなくとも受け入れるのは、正しいことだ。」と語る。

今年 6 月から教会に通い始めた、とび職の技能実習生、グエン・バン・トイさん (31) は、長女 (6) と次女 (4) を母国の実家に残し、妻 (27) も京都で技能実習生をしているという。 貯金して母国に自宅を建てるため、早朝から夕方まで工事現場で働くきつい日々。 「話を聞いてもらえる人がいることで、毎日がんばれる」と話している。 (前川浩之、asahi = 11-19-19)