「熊野筆」から見る、日本人の「匠の精神」 = 中国メディア

中国メディア・東方網は 20 日、「熊野筆から見る、日本の匠の精神」とする記事を掲載した。 記事は、日本には「匠の精神」が至る所で垣間見られるが、「筆の都」として知られ、日本の毛筆や化粧ブラシで 80% 程度のシェアを持つ広島県熊野町もその一つであると紹介。 その歴史は約 180 年にのぼり、江戸時代にまで遡ることができると伝えた。

また、「毛筆」というと書道の筆を思い浮かべがちだが、メイクにおいても必需品でもあり、熊野のメイクブラシはハリウッドのメイクアップアーティストも使っていると説明。 熊野筆のブラシでメイクをすると、通常のブラシよりも自然な仕上がりになると評判だとしている。 そして、現地にある「筆の里工房」には長さ 3.7 メートル、重さ 400 キロという世界最大の毛筆が展示されており、その制作には馬の尻尾の毛約 200 頭分が使われていると紹介。 1994 年の開館時に 3 人の職人が半年かけて完成させた、シンボル的な存在だと伝えている。

また、現地の毛筆製作過程について、良質な毛を選ぶ所から始まり、もみ殻を混ぜて揉んで毛の油脂を落とし、ハサミで長さを切り揃え、穂首を紐で縛って柄に差し込み、糊固めをして乾燥させるところまで全部で 12 の工程があり、すべて手作業で行われていると紹介した。 そのうえで、毛筆制作 50 年あまりという職人が「50 年を一日のごとく筆づくりに専念してきた。 それでも自分は一人前とは言えない。」と語ったことを紹介。 非常に謙虚であり、生涯にわたり学び続け改善していくという姿勢こそがいわゆる「匠の精神」なのだと評している。 (今関忠馬、SearChina = 11-21-19)


中国で拘束の元稲沢市議に無期懲役判決 麻薬密輸罪

3 キロ超の覚醒剤が入ったスーツケースを中国から日本に運ぼうとしたとして、麻薬運搬罪に問われ、死刑を含む求刑を受けた元愛知県稲沢市議の桜木琢磨被告 (76) に対する判決公判が 8 日開かれ、広東省の広州市中級人民法院(地裁に相当)は、桜木被告に無期懲役の判決を言い渡した。 弁護側は控訴する方針。 桜木被告の弁護士によると、同法院は、桜木被告はスーツケースの中に覚醒剤が入っていることを認識したうえで密輸を企てたと認定。 罪状も起訴時の麻薬運搬罪ではなく麻薬密輸罪を適用した。 桜木被告は法廷で「判決を受け入れない」と話したという。

起訴状によると、桜木被告は現職の市議だった 2013 年 10 月、広州の空港で手荷物検査を受けた際、主犯格とされるアフリカ出身の男から預かったスーツケースから覚醒剤が見つかった。 検察側は 14 年 7 月に桜木被告を起訴。 同年 8 月、「懲役 15 年以上か無期懲役または死刑」を求刑して結審した。 しかし、同法院は判決の言い渡しを結審から 5 年以上も延期するという異例の展開となり、長期拘束が続いていた。 中国では密輸などの目的で 50 グラム以上の覚醒剤を所持した場合、最高刑は死刑となっている。 だが、75 歳以上の被告は原則的に死刑適用の対象外としている。 (広州 = 益満雄一郎、asahi = 11-8-19)


すしに着物に温泉風呂 … 中国・大連に "京都の町並み" 出現!?

中国で京都の町並みを再現した巨大リゾートが建設されている
近くの人気ホテルには着物を着た従業員が日本流のおじぎでお迎え
小京都プロジェクトは早ければ 2024 年に完成予定

中国に京都を再現!?

日本への旅行客が増加する中国で今、京都の町並みを再現した巨大リゾートが建設されている。

「京都のような町並み。 こいのぼりにやぐら。 一見日本のように見えますが、実はこちら中国なんです。」(木村大久記者)

季節外れのこいのぼりの横ではためく中国国旗。 ここは中国東北部、遼寧省の大連市郊外。 中国国内の観光客をターゲットに、日本風の別荘やホテルなどを展開する巨大リゾートの開発が進められている。 京都の町並みを再現するというプロジェクトの名前は、ずばり小京都。 総面積 63 万平方メートルの敷地に約 1,000 億円をかけて建設している。 手がけるのは中国の不動産開発会社だが、設計は日本の事務所に依頼する徹底ぶり。

プロジェクトを生むきっかけとなった、近くの人気ホテルに入ってみると …、着物を着た従業員が日本流のおじぎでお迎え。 また、レストランには刺身やすしなど、日本を意識した料理の数々が並ぶ。

「日本を感じました。服装、食べ物、環境、すべて日本式です。」 「もう 3 回来ました。 これからも家族と 2 か月か 1 か月に 1 回は来るようにしたい。」(ホテル利用客)

さらに隣接するエリアには、200 もの別荘も。 地下からくみ上げた温泉風呂付きで、建築材料の大半を日本から取り寄せたという建物にはこんなこだわりも。

「中国ではあまり見られない雨どいがつけられるなど、こだわりが見られます。」(木村大久記者)

日本らしいきめこまやかな設計が好評を博し、高いものでは 1 億 5,000 万円前後もするが、あっという間に完売したという。 実は本家、京都の外国人観光客のトップを占めるのは中国人で、中国ではまさに日本ブームの真っただ中。 地元政府が土地の取得などで全面的にバックアップしたという。

「日本式の街としては最大級です。 主なターゲットは国内の観光客です。 中国と日本を驚かせる街になるでしょう。」(大連樹源グループ取締役、張洋氏)

7 年前には、反日デモが吹き荒れた中国。 日中関係の改善をうかがわせるこの小京都プロジェクトは、早ければ 2024 年に完成予定だ。 (FNN = 11-4-19)


中国に帰省するたびに質問を受けたこと「日本人から差別されるか?」 = 中国メディア

現代は過去のどの時代よりも国際交流が活発な時代と言える。 仕事や留学のために日本に住む中国人は数多く存在するが、中国メディアの今日頭条はこのほど、「日本には中国人留学生に対する差別は存在するか」と問いかける記事を掲載した。 記事はこのテーマについて、以前に日本に留学していたという中国人の見解を紹介している。 この中国人は留学生時代に、中国に帰省するたびに「中国人は日本人から差別されるか?」と質問を受けたと説明した。 この質問が多かったという事実から、多くの中国人がこのテーマに関心を持っていることがわかる。

この問いに対して、かつて日本に留学していたこの中国人は自身の経験に基づいて「差別は基本的には存在しない」と説明。 一方で、差別はないが日本人は他人と「かなりの距離を置く」ゆえに冷たいと感じられたことを紹介し、中国人が日本の大学内で本当の意味での友人を作るのは「相当難しい」とした。 また、人間関係における日本人の距離感は「中国人を差別している」という印象を一部の中国人に与えていると主張する一方、これは「差別を受けている」のではなく、実際には中国人の「自意識過剰」なのであり、日本人の冷たさを「差別」とするのは強引なこじつけであると論じた。

さらに日本社会全体における中国人差別についても触れ、留学生時代にアルバイトをしていた時、客に釣り銭を少なく渡してしまう失敗をしても、大部分の日本人は微笑んで理解を示してくれたという経験を紹介し、日本社会全体においても「中国人に対する差別は基本的には存在しない」という見方を示した。 (村山健二、SearChina = 11-2-19)


任天堂「スイッチ」のマリオ、中国政府が販売認可

【広州 = 比奈田悠佑】 中国政府でメディアやゲーム販売などを監督する国家新聞出版広電総局は 29 日、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のソフトについて、中国での販売を許可する通知を公表した。 これまで地方当局の認可は得ていた。 新たに中央政府の当局のお墨付きを得たことで、中国での正式販売に大きく近づいたものと見られる。

国家新聞出版広電総局は、29 日付で任天堂のスイッチのソフト「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」について販売を承認する通知を出した。 同ソフトは 4 月に広東省の関連当局から「テスト版」の承認を得て、任天堂は騰訊控股(テンセント)と組んでスイッチを中国で販売展開する計画を明らかにしていた。 今回の中央政府当局の承認を受け、任天堂とテンセントは近く発売時期や販売方法を発表するとみられる。

ただ中央政府当局による販売許可が出ても、すぐに中国で販売できるかは、なお不透明な部分も残る。 ゲームによる青少年の心身への悪影響を強く懸念する中国政府は、2018 年から特に厳しい管理を徹底しているためだ。 同年 8 月にはカプコンの「モンスターハンター:ワールド(モンハン)」を販売停止にしたほか、新作ゲームの審査自体を一時凍結するなどの手段にも出ている。 国家新聞出版広電総局は今回、モンハンを審査し、販売を承認した。 (nikkei = 10-29-19)


日本に好印象、中国で過去最高 46% 日本側改善進まず

NPO 法人「言論 NPO」などは 24 日、日中関係に関する日中共同の世論調査の結果を発表した。 首脳の交流が再開するなど両国の関係改善が進むなか、日本人の中国に対する印象の改善が進んでいない実態が明らかになった。 調査は 9 月に 18 歳以上を対象に行われ、日本は 1 千人から、中国では 1,597 人から有効な回答を得た。

中国の印象について「良い」、「どちらかといえば良い」と答えた日本人は 15% (前年 13.1%)で 3 年連続で改善したものの、「良くない」、「どちらかといえば良くない」と答えた 84.7% (同 86.3%)を大きく下回った。 現在の日中関係について「悪い」、「どちらかといえば悪い」と答えた日本人は 44.8% (同 39%)で、5 年ぶりに悪化した。 24 日に北京で会見した工藤泰志代表は、香港の激しい抗議デモの報道が続いていることなどから、「中国と直接的な交流がない人が、メディアの情報に影響された」と分析した。

一方、日本に好印象を持つ中国人は、2005 年の調査開始以降で最高の 45.9% (同 42.2%)に増加した。 ただ、10 ポイント以上上昇した前年に比べて改善幅は小幅にとどまった。 中国側で調査した中国国際出版集団の高岸明副総裁は、双方の印象の改善が期待に届いていないとして「両国の感情改善の土台はまだ脆弱だ」と語った。 (北京 = 高田正幸、asahi = 10-24-19)


中国の高齢者施設にノウハウ提供、広島の産学官

フィットネス事業のプローバウェルネス(広島市)は 21 日、中国・上海の企業に高齢者向け健康施設の開業・運営ノウハウを提供するコンサルティング契約を結んだ。 同社と県立広島大学、広島県三原市の産学官で研究した「ゲーム感覚のフィットネスが介護予防につながる」といった知見を提供。 中国企業が来春、重慶市に計画するフィットネス施設の開業を支援する。

プローバは県立大などとアミューズメント機器を使った介護予防について研究、2016 年に三原市にゲーム要素を取り入れたフィットネス「健康づくりラボ」を開いた。 ここに市民が楽しみながら参加する中で「継続的な介護予防に有効」ということが分かった。 現在は「ラボラトリオ」として自社運営し、約 160 人の高齢者が健康作りや介護予防に生かしている。 このノウハウを上海養韻健康管理(上海市)に提供する。 同社の金日総経理は「中国では 50 年に 60 歳以上が 5 億人を超す。 ラボラトリオのシステムは中国の高齢化社会で有力なビジネスモデルになる。」と話した。 (nikkei = 10-21-19)


ギョーザで中国開拓、製造機と飲食店両輪に 東亜工業

東亜工業(浜松市)はギョーザ製造機の最大手だ。 1970 年代に製造機を生産し始めた先駆者で、店がこだわり抜いてつくるギョーザを再現する技術に強みがある。 国内ではギョーザを出す飲食店を運営。 製造機と飲食店を両輪にしたビジネスを海外でも進める方針で、まず中国などの開拓に乗り出している。

8 月、中国・遼寧省のある商業施設に請井正社長の姿があった。 ギョーザを出すグループの飲食店「浜太郎」を出店するため、担当者との交渉に臨んでいた。 中国以外でも検討しているが、商談が成立すれば海外 1 号店となる見通し。 浜松でつくられるギョーザは皮が薄く、具材にキャベツをたくさん使う。 口当たりが軽く「浜松餃子」と呼ばれる。 浜太郎はその人気店となっている。 2010 年に始めた事業で、浜松市では 4 店運営している。

中国での飲食店事業の試みはギョーザの製造機だけでなく飲食店でも、海外に成長の機会を見いだそうとするものだ。 1963 年創業の同社にとって、新しい歴史の 1 ページとなる。 同社はもともと自動車部品用の金型を製造する下請け企業からスタートした。 その下請けから脱却したかった先代が、浜松ゆかりのギョーザの製造機を開発し、76 年に売り出した。 同社の製造機はギョーザの大きさや形、具の量や皮の厚さに至るまで再現できるといわれる。 主力の小型機「餃子革命」の生産能力は 1 時間 1,500 個。 手づくりの 5 倍以上で、他社製よりも多いという。

請井社長は「製造機を受注生産するなかで、顧客のきめこまかな要望をくみ取ってきた」と話す。 個人店などの需要も取り込み、国内の累計出荷台数は 6,000 台で、推計シェアは 6 割だ。 90 年代、韓国や台湾への製造機の輸出が本格化した。 その後、海外で日本のラーメン人気が高まり、ギョーザに追い風が吹いた。 情報発信に伴い、注文が自然と舞い込み始めたという。 そして 12 年、中国・大連市に製造機を生産・販売する東亜自動化設備(大連)を設けた。 中国や香港、台湾にはこの拠点から販売している。 現在では 40 を超す国・地域に輸出し、海外総出荷台数は約 800 台で、シェアは 3 割という。

製造機を手掛ける東亜工業の 19 年 7 月期の売上高は 7 億円で、前の期から 15% 増えた。 「浜太郎」を展開する子会社の 18 年 11 月期の売上高は 2 億 7 千万円で、13% 伸びた。 「日本のギョーザが世界で愛される存在になることを目指したい」と請井社長。 飲食店のビジネスで日本のギョーザのファンをつくれば、製造機の販売にもつながると期待している。 消費者も事業者もつかめるか。 まずは本場・中国での挑戦となる。 (新沼大、nikkei = 10-20-19)


中国企業が買収の東芝「白物」 意識変化で急成長

東芝から中国家電大手の美的集団に売却された白物家電の「東芝ライフスタイル」が、再起をかけて奮闘している。 社員らは売却後の不安を乗り越えて新製品の開発やコスト削減に取り組み、2018 年度は黒字化にこぎつけた。 「東芝」ブランドと美的の販売網を組み合わせ、さらなる成長軌道を描こうとしている。

社員に広がった不安

東芝が、赤字が続いていた白物家電子会社の東芝ライフスタイルを美的に売却したのは 16 年 6 月末。東芝ライフは売却直後に社員の意識調査を実施した。 「これからどうなるのか。」 調査では、中国資本に売却された会社の先行きや、職場環境の変化に対する不安の声が目立った。 売却前は国内外の競合他社に押されて売上高が低迷。 原発や半導体も抱える総合電機メーカーの中で白物への投資は優先順位が下がり、商品や広告費を絞る悪循環に陥っていた。 2 千人規模のリストラもあり、残った社員の間に不安が募っていた。

今は美的が 8 割、東芝が 2 割を出資する。 社員らは、意思決定までに会議や検査を繰り返し、石橋をたたいて渡るような「東芝流」から、走りながら考えるスピード重視の「美的流」への対応を求められた。 部署の数を減らして意思決定を迅速にし、人事評価も成果を反映しやすい制度に変わった。

商品開発に変化

その効果は商品開発に表れてきた。 「冷房の風が苦手な人へ、涼しさだけを届ける。」 東芝ライフは今年、こんなうたい文句で家庭用エアコンの新製品を売り出した。 多数の穴が開いた風向板に冷風を通すことで、冷房の風を和らげるのが特徴だ。 この風向板はもともと、美的のエアコンに採用されていたアイデアだ。 美的の順徳工場(広東省)が東芝ライフの新製品の設計を担い、東芝ライフの技術者が中国に通いながら、日本市場向けに穴の形や配置を見直した。 梅雨がある日本の気候にあわせて、制御の耐性も強くした。

売上高 4 兆円規模の美的グループは、大規模な部品調達による原価低減に強みがある。 東芝ライフの冷蔵庫のコストを 2 年間で 2 割削減できた例もある。 美的への売却前は高価格帯で採算のとりやすい家族向けの大型家電が中心だったが、今では低価格帯の単身世帯向けの製品も展開できるようになった。

エアコン販売が急増

新製品に加えて低価格モデルも増やした効果で、16 年に 26 万台だった東芝ライフのエアコンの販売台数は 18 年に 56 万台に増えた。 パナソニックやダイキンが強い国内市場で、東芝ライフのシェアは 5% ほどにとどまるが、鈴木新吾・エアコン事業部長は「美的の協力も得て、これまで日本になかったような製品ができた。 今年は週単位で販売台数の上位につけるなど、以前は考えられなかった成果が出ている。」と話す。

東芝ライフの売上高は、16 年度の 2,400 億円から 18 年度は 2,620 億円に増え、赤字続きだった純損益は 2 年で約 60 億円改善。 18 年度に黒字に転換した。 小林伸行社長は「19 年度前半も堅調。 将来の成長への基盤固めを進める。」と意気込む。 商品開発や営業の機会が増え、社員の意識も変わってきた。 買収から 1 年後の社員の意識調査では「チャンスが広がった」などと前向きな意見が増えた。 黒字化という第一関門は越えたが、美的が提示する目標は甘くない。 エアコンだけで年 4 千万台を売る美的からは「年 100 万台の達成、さらにもっと上をめざせと言われている。(鈴木氏)」 当面の目標を年率 10% の増収、売上高経常利益率 5% (18 年度は 0.1%)に置いている。

カギ握る海外市場

さらなる成長への鍵を握るのが、海外市場への売り込みだ。 美的の販売網を生かしてアジアや中東に攻勢をかけ、洗濯機はベトナム市場に年 30 万台強を出荷してトップシェアになった。 昨年からドイツの国際家電見本市 IFA に出展を始め、欧州市場への進出もにらむ。

美的にとっても、東芝ブランドは世界戦略の一翼を担う重要な存在だ。 得意の低価格帯モデルに加え、機能や品質を重視した上位モデルの強化をねらえる。 順徳工場の敷地内にある東芝ライフのエアコン工場で、美的の従業員は東芝ライフが使うベージュ色の作業着を着る。 他の生産ラインと区別し、東芝ブランドの品質管理を徹底するためだ。 美的のコスト競争力や販路を武器に、足場を固めて飛躍できるか。 実力が試されるのはこれからだ。 (高橋諒子、asahi = 10-17-19)


日本の折り鶴、香港で広がる デモの代わりに抗議の意思

政府への抗議運動が続く香港で、市民たちが街角で日本から伝わった折り鶴を作る活動が広がっている。 警察が実弾を使って負傷者が出ているほか、「覆面禁止法」の施行で一般市民のデモ参加が難しくなるなか、平和的な手法で抗議の意思を示し続けるのが狙いという。 「折り鶴に協力してください。」 香港郊外にある葵芳駅前のショッピングモールで 11 日夜、若者たちが帰宅途中の市民に協力を呼びかけた。 色紙を受け取った人々は芝生の広場に座り込んで作業を始めた。 折り方が分からない人に、手ほどきをする若者もいる。

「折り鶴」は香港で「紙鶴」と呼ばれている。 日本で平和の象徴とされていることや、願いを込めて「千羽鶴」を折る習慣が、香港の人々にも知られている。 9 月下旬ごろから繁華街の広場に折り鶴を並べて抗議する活動が始まり、各地で散発的に行われてきた。 妻と 2 人の子どもとで参加した男性 (33) は、逮捕されたデモ参加者の釈放を祈って 30 個の鶴を折った。 「子どもたちが大きくなっても、平和で自由な香港であってほしい」と語った。

九竜半島側の海辺の公園では 13 日、自由や民主主義を願う集会が開かれた。 そこでは、市民の協力で集まった数千個の折り鶴を広場に並べて「香港に自由を」などの文字を書いた。 SNS で集会を呼びかけた男性 (29) は「デモに参加できなくても、市民の気持ちが冷めたわけじゃないと訴えたかった」という。 (香港 = 西本秀、asahi = 10-15-19)


韓国で売れなかった中国 SF 「三体」、日本での大ヒットが中国で話題に

中国が誇る国宝級 SF 作家・劉慈欣氏の代表作「三体(早川書房刊)」第一部の邦訳が、今年 7 月に日本で発売されて以降、中国小説の翻訳ものとしては異例の大ヒットを飛ばしていることが、中国で話題になっている。 日本語版は発売後 1 週間で 10 回以上重版し、あっという間に 10 万部が売れたという。 近年の日本の出版不況を考えれば奇跡に近い。 日本よりかなり早く出版された韓国版は初版 400 部しか売れず、劉慈欣氏自身を困惑させたこととは対照的だ。

多くの日本人読者が読後の感想をネットに上げており、ほとんどが高評価。 アニメ映画『君の名は。』の新海誠監督も、「三体」を新幹線に持ち込んでいる写真をツイッターに投稿していたことは、中国にも多い同監督ファンの間で話題になった。 9 月には都内の東急全線の車内広告が「三体」一色になったことも、中国の SF ファン、劉慈欣 ファンを大いに喜ばせた。 しかし、なぜ韓国では見向きもされなかった「三体」が日本でここまでブームになったのか。 中国人ファンが疑問に思うのも不思議ではない。 実際、「三体」は読者を「挫折させる」小説としても有名で、中国のネット掲示板でも「三体」が読了できない、という「嘆き」のコメントも少なくない。

ある読者に言わせれば、最初の 1 割を読んだところで挫折するが、皆が素晴らしいというのでまた読み始め、3 割読んだところで再び挫折するが、先に読み終えた人たちの絶賛が耳に入り、またさらに読み続け、半分を読み終えれば一気に読了でき、何度でも読み返したくなる本だという。 在米華人 SF 作家のケン・リュウ氏の翻訳で、英語圏 SF の最高峰の賞でもあるヒューゴー賞を中国人作家作品として初めて受賞したという話題性や、バラク・オバマ米大統領(当時)の愛読書という評判が、挫折組の半分くらいを救済したかもしれない。

オバマ大統領は「三体」第三部(英訳)の発売が待ちきれず、劉慈欣氏に何度もメールしたが、劉氏はまさかホワイトハウスからメールが来るとは思わず、最初の二通のメールはスパムメールとしてゴミ箱に入れていた。 結局、中国の外交部に頼んで劉氏と連絡をとってもらい、出版前の原稿を出版社からわざわざ取り寄せて読んだという。 タイトルの「三体」は、古典力学の「三体問題」から着想を得ている。 宇宙にある三つの物質が互いに引き合えば、どういった運動をするか、という 18 世紀からの天体力学のテーマ。 SF ファン以外の読者にとっては「三体問題」自体もとっつきにくいし、第一部でページを割かれている文化大革命時代の描写も若い読者にとっては響かない。

しかし、読み進めていけば、緻密に伏線が敷かれた推理サスペンス的な展開に次第に引き込まれていくことになる。 三体運動によって過酷な自然環境を強いられている三体星が、地球の道徳価値観と相いれない、ナチス・ドイツのような専制社会であるといった設定や、文革で父親を殺された恨みから人類滅亡を願う主人公のキャラクターは、欧米では政治的文脈で読まれがちだが、日本の読者は純粋にエンターテインメント小説として評価する声が多く、主人公の一人の Wang Miao と警官の史強の関係にいわゆる「カプ萌え(BL 同人誌的ブロマンス要素を読み取りドキドキすること)」を感じる感想などもあり、読み方が幅広い。

日本でのヒットは、ケン・リュウ氏の英語翻訳版からの日本語翻訳がベースであったことも大きいのかもしれない。 同氏の翻訳は中国人読者をして「原作より読みやすい」と言わしめた名訳といわれている。 「三体」現象について、中国の劉慈欣ファンたちは同国の現代文化輸出の成功例だと胸を張る。 すでに中国で最も国際的影響力のあるソフトパワーの一つとなっているといっていいだろう。 日本の読者たちが今読んでいるのはまだ「三体」の第一部のみ。 第二部、第三部は加速度的に面白くなると期待して損はない。 (東方新報/AFP = 10-11-19)


中国メーカー製品が日本のグッドデザイン賞に選出、そのうち 1 つはなんと「紙箱」 = 中国メディア

中国メディア・東方網は 3 日、中国の IT・家電大手シャオミ(小米)の 3 製品が、日本のグッドデザイン賞の中でも特に優れた製品が選ばれる「グッドデザイン・ベスト 100」に入選したと報じた。 記事は同賞について、1957 年創設のアジアで最も権威あるデザイン賞であるとともに、世界 4 大デザイン賞の 1 つだと説明。 受賞者に与えられる「G」を象ったロゴマークは優良なデザインを保証するものとして、広く認知されているとした。

そのうえで、今年の「グッドデザイン・ベスト 100」に選ばれたシャオミの 3 製品について紹介。 まず、乾燥機つき洗濯機が選ばれたとし、「コンパクトな内部構造とミニマルな外観」で 10 キロの洗濯と 7 キロの乾燥機能を実現したうえで、スマートフォンでの遠隔操作も実現したという審査委員の評価を伝えた。 次は、スマートフォンで家の中のあらゆる家電製品を操作できる「スマートホームコントロール・プラットフォーム」である。 これについては、視覚的に明瞭なデザインでユーザーに優しく、人びとの暮らしに大いに利便性をもたらしたことことなどが評価されたと紹介している。

そして最後に挙げたのは、主役の製品ではなく、主役をしっかりと守る役目を果たす「紙箱」だ。 わずか 1 枚の紙を綿密なデザインによって 3 次元の形状に変え、さまざまな形の製品を包装するケースとして活用することで、資源消費やコストの大幅カットを実現し、かつリサイクルも可能であるというエコロジー面が高く評価されたとした。 シャオミの製品は 5 年前にスマートフォンと TV ボックスでグッドデザイン賞を獲得してから、毎年 IT 製品、家電製品で同賞に選ばれ続けている。 今年は紹介された 3 製品が「ベスト 100」に選ばれたほかにも、ワイヤレス充電器、プロジェクター、煙探知機など 15 製品が同賞を獲得している。

これまで「パクリ大国」との誹りを受けてきた中国の製造業だが、着実にオリジナリティの追求、新たなアイデアの創出が進んでいることがうかがえる。 (今関忠馬、SearChina = 10-5-19)


「宇治茶」名乗れなくなる? 中国で商標登録のおそれ

日本を代表する茶の産地「宇治」の地名が、中国で現地企業に商標登録されるおそれがあることが、京都府宇治市などへの取材で分かった。 すでに老舗茶舗「福寿園(本社・木津川市)」が中国で登録し、京都府茶協同組合に譲渡手続き中だった。 中国で商標取り消し請求と中国企業の再登録申請が出ており、宇治の茶が中国では「宇治茶」を名乗れなくなる可能性も出てきた。

市や福寿園によると、同社は 2010 年に茶を含む商標として「宇治」を中国商標局に登録。 目的は宇治茶のブランド名の保護だった。しかし、11 年の東京電力福島第 1 原発事故以降、放射性物質の安全性を証明する書式が両国で統一されていないことなどから宇治茶を輸出できなくなった。 中国商標法の規定では継続して 3 年以上使われない商標は取り消されるため、中国企業が 17 年に取り消しを請求、今年 8 月に認められた。 福寿園は異議申し立ての行政訴訟の手続きをした。

一方、17 年 8 月には取り消しを見越した中国企業が「宇治」を再申請。 福寿園も同様の対抗措置をしたが、1 日遅かったため、登録取り消しが確定した場合は次の登録者は中国企業になる可能性が高いという。  市は「宇治」が歴史的・文化的に著名な地名であることを、府などと連携し中国当局にアピールする。 茶協同組合も手続きの費用を補助し、宇治茶の歴史、宇治茶生産・販売の実績などの資料をまとめるなどして援護する方針。

市農林茶業課は「日本食ブームの中国で、全く違う産地の茶が『宇治茶』を名乗れるようになればブランドイメージへの打撃は計り知れない。 市も全力で取り組む。」としている。 (鈴木健太郎、mainichi = 10-3-19)


日本で 3 年働いたら、日本に対する印象が大きく変わった = 中国メディア

中国メディア・今日頭条は 23 日、日本で 3 年働いたところ、日本に対する印象が当初とは大きく変わってしまったとする記事を掲載した。 記事は、日本は中国から近く、費用も比較的低価格で済むことから多くの人が日本に留学し、そのまま日本で仕事をしていると紹介。 そして、日本に初めてやってきた時には「日本人はとても礼儀正しく、サービスも本当に周到で、街はきれい、すべてのものが新鮮さにあふれている」といった印象を持つと伝えた。

そのうえで、「しかし、日本で 3 年も仕事をしてみると、当初日本に対して抱いていたイメージは徹底的に変わってしまうのだ」とし、相変わらず日本の街はきれいで、サービスも周到ではあるのだが、これらをもはや魅力に感じなくなってしまったと説明している。 そして、3 年間日本で生活してきたことで、日本人は確かに礼儀正しいものの些かよそよそしく、深い人付き合いをしようとしないことが分かったと紹介。 みんな自分のことを黙々とやっているようで、時として孤独感を覚えると評した。

また、日本人のサービスも確かに周到ではあるが、時として少し煩瑣に感じるようになったとした。 さらに、日本で仕事をしていると、何事もルールや手順にのっとって進めようとするため非常に時間がかかり、フラストレーションがたまると伝え、「ここでの仕事時間が長くなるほど、ますます中国国内で生活したくなるのだ」とした。

日本における融通の利かなさは、時としてネイティブの日本人でもイラっとすることがあるのだから、中国からやってきた多くの人にとっては大きなストレス要素になることは想像に難くない。 中にはとっくに形骸化したルールも多い。 いきなり中国のように融通を利かせようとすれば必ず無理は出てくるだろうが、日本の国内ももう少し効率化や柔軟性について考えてもいいのかもしれない。 (今関忠馬、SearChina = 9-29-19)


中国人の男は「カリスマ」 … 詐欺団に日本語で指示

日本の詐欺グループが中国東北部の吉林省からオレオレ詐欺の電話をかけていた事件で、グループのリーダーは、日本に在住歴がある 30 歳代の中国籍の男だったことが捜査関係者への取材でわかった。 男は内部で「カリスマ」と呼ばれていたという。 警視庁などはこれまでに、この男に次ぐナンバー 2 とみられる住所・職業不詳の西矢季広(としひろ)容疑者 (44) ら男女 14 人を逮捕。 グループが 2017 年 5 月以降、全国の高齢者から総額約 1 億 8,000 万円を詐取したとみて裏付けを進めている。

警視庁幹部によると、西矢容疑者らは昨年 3 月、中国吉林省延吉(えんきつ)市のマンション一室から、百貨店の社員を装って名古屋市の 70 歳代の女性宅に電話をかけ、「クレジットカードを不正使用された疑いがある」などとうそを言い、キャッシュカード 3 枚をだまし取った疑い。 グループのメンバーは約 50 人で、延吉市内の複数の拠点マンションに数人ずつ集まって電話をかけていた。 西矢容疑者は電話をする「かけ子」の取りまとめ役だったという。

グループを束ねていた「カリスマ」と呼ばれる中国籍の男は日本語で西矢容疑者らに指示し、日本人のメンバーを集めて中国に呼び寄せていたという。 以前は遼寧省大連に拠点を置いていたとみられる。 警視庁は、このグループが長期間にわたって、中国を拠点に詐欺を繰り返したとみている。 (yomiuri = 9-20-19)


日中で話題の千と千尋ポスター 作者は元 TV カメラマン

中国本土の映画館で今年 6 月に正式上映された「千と千尋の神隠し」。 その中国版ポスターは「映画の世界観を完全に表現している」と日中両国で話題となった。 手がけたのが黄海さん (42)。 気鋭のデザイナーは、日本の漫画からも刺激を受けながら作品を生み出している。 中国でいま、映画監督からも、観客からも、最も作品を待望される映画ポスターのデザイナーだ。

中国本土の映画館で 6 月に初めて正式上映された宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」。 その中国版ポスターを手がけ、日中両国で話題をさらった。 福建省出身。 アモイ大学でデザインを学んだ。 テレビ局のカメラマンをへて、2002 年に北京の広告会社へ。 07 年、「趣味で作った」という一枚の映画ポスターが人生を変えた。 美しい配色、スタイリッシュな構図。 これまでにないアートのようなポスターの登場に中国の映画業界は騒然とした。

映画の世界観を一枚に込める。 大切にするのは映画と対話する時間だ。 何日も何カ月も「作品が発するメッセージ」に出あえるまで映画を見続ける。 そのメッセージをもとに、頭の中に構築されていくイメージを作品にする。 「たとえるなら、映画は一輪の花。 私は花びらを分け入り、一番奥にある蜜を見つけ、外に運び出すミツバチのような存在です。」 中国で絶大な人気を誇る「となりのトトロ」や「万引き家族」など、話題作を次々と手がける。

北京のオフィスには、手塚治虫の漫画「火の鳥」や水木しげるの「妖怪大図鑑」が並ぶ。 「大好きなものをたくさん持つこと。 それが創造の原動力になる。」 夕暮れ時の故宮の散歩もまた大好きなことだ。 (宮嶋加菜子、asahi = 9-17-19)

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中国で「千と千尋」大ヒット上映中 独自ポスターも話題

宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が、中国で大ヒットしている。 中国メディアによると、21 日の上映開始から 4 日で、興行収入が 2.1 億元(32.7 億円)を突破した。 日本では 2001 年に公開されたが、中国本土ではこれまで映画館での正式上映はされていなかった。 中国語の題名は「千与千尋」。 北京や上海など、中国各地の映画館で上映されている。

北京紙「新京報」などによると、初日の興行収入は約 5,400 万元(約 8 億 4,200 万円)で、同じ日に上映が始まった米ウォルト・ディズニーのアニメ映画「トイ・ストーリー 4」の約 3 倍を記録。 24 日までに 2.1 億元を突破した。 中国でもスタジオジブリの作品の人気は高いが、中国本土での正式上映は 18 年 12 月の「となりのトトロ」が初めてだった。 「千と千尋の神隠し」はジブリ作品の中でも特に人気で、中国ではこれまで多くの人が DVD などで鑑賞し、無断で複製した海賊版も広く出回っていた。

公開開始から 18 年経った作品がなぜここまで人気なのか。 新京報は「中国人の多くは作品の内容をすでに知っているが、スクリーンで特別な感動を味わいたい人が多い」、「小さいころ千と千尋を見て育ち、多くの人生経験を積んだ今、再び見たいという人も多い。 高齢者から子どもまで、幅広い世代に支持されている。」などと分析している。

興行収入だけでなく、中国版の映画ポスターも話題だ。 中国版ポスターは 2 種類あり、中国人デザイナー黄海さんが作製した。 「映画の世界観を完全に表現している」、「ポスターを見るだけで涙が出る」などと、ネット上で人気に。 黄さんは、「となりのトトロ」や是枝裕和監督の「万引き家族」、アカデミー作品賞を受賞した「グリーンブック」の中国版ポスターも手がける著名デザイナーだ。

黄さんは中国メディアの取材に対し、「千と千尋の重要なテーマは『成長』。 主人公の少女が、成長の過程でぶつかる壁や大人になることへの不安は多くの人が共感できる」とし、「自分を見失わず、前を向いて人生を進んでほしい、という思いを込めてポスターを作った。」と語っている。 (上海 = 宮嶋加菜子、asahi = 6-27-19)


ここは本場の中国? 首都圏の「新チャイナタウン」

日本では、次々と「新チャイナタウン」が誕生している。 横浜、神戸、長崎の三大中華街は有名だが、主に日本人の観光客向けを対象にした中華街と異なり、「中国人による、中国人のための中華街」といえる。 その代表格は、東京・池袋と埼玉・西川口だ。

池袋駅北口を出ると、雑居ビルのあちこちに中華料理店が林立している。 店内に入ると、飛び交う会話は中国語ばかり。 観光客向けではないため、値段はリーズナブルで家庭料理も多い。 日本で手に入りにくい品物が並ぶスーパーや中国語の書店、カラオケ店もある。 日本で暮らす中国人の会社員や自営業者、留学生らが中国本土と同じように食事や酒を楽しみ、カラオケを歌い、食材を買っていく空間が生まれている。 埼玉県川口市では、西川口駅から徒歩数分で、中華料理店や中国の食品を扱うスーパーがあちこちにある。 新疆ウイグル自治区のウイグル料理、山東料理、雲南料理など、日本ではメジャーではない地域の料理店も目立ち、「食の中国一周」ができそうなほどだ。

中国で改革開放政策が本格化した 1980 年代以降、日本政府の「留学生 10 万人受け入れ計画」もあり、多くの中国人が日本に留学するようになった。 バブル経済が崩壊した 1990 年代後半から、新宿、渋谷に比べて家賃が安いアパートが多く、通学する日本語学校にも近い池袋に中国人が集まるようになった。 卒業後も日本で働き、自立して店を構えようとする中国人も増えた。 治安が悪化したイメージが強かった池袋は当時、空き物件が目立ち、最初は外国人経営者の店舗を敬遠していたビルのオーナーも、中国人経営者に物件を開放するようになった。

働く中国人たちが増え、家庭を持つようになると、日本で定住するために郊外の住まいが必要になった。 そこで池袋から近い川口市周辺に中国人が住むようになり、ここでも庶民的な中華料理店が増える。 西川口駅周辺はかつて、風俗街で有名だったが、2000 年代半ばの摘発で多くが姿を消した。 そこに中華料理店やスーパーなどが次々と登場した。 こうした店では、観光客向けの「よそゆき」ではない中華料理が楽しめるとあって、日本人客も訪れている。 東京・高田馬場周辺や横浜市南区、千葉市などでも中国人向けの中華料理店は増えている。 (東方新報/AFP = 9-12-19)


アジアの日系百貨店は「オワコン」か? 中国やタイ資本に猛追される理由

アジアの日系百貨店

記事コピー (9-9-19)


女性専門の病院、中国で開設へ 鹿児島の病院がモデル

乳がんや子宮がんなど、女性対象の医療に特化する病院が、鹿児島市の相良病院をモデルにして、中国・大連市に開設される。 医師不足が深刻とされる中国で女性患者の受け皿を目指す。 同病院によれば、中国で女性を対象に絞った医療機関は珍しいという。 新病院の名称は「相良耘泰(うんたい)大連医院」。 実業家で同院の理事長になる王豊戈(ほうか)さんや、相良病院グループでつくる社団法人の相良吉昭・代表理事らが 8 月 27 日、会見して説明した。 相良病院は乳がん治療を中心に、甲状腺科や女性内科などの女性専門の医療を強みとする。 同病院を見学した王理事長らが連携を働きかけた。

社団法人がノウハウの提供やコンサルタントの役割を担う運営会社を鹿児島市に設立。 社団法人の東京事務所では、遠隔で画像診断もするという。 新病院設立に関わる医師で IT 企業の陸炬(きょ)理事長は「中国では医師が足りず、診断に十分な時間もとれない。 医師に対する患者側の信頼感も低い。」と指摘。

王理事長は「日中関係は良好で、来年は習近平国家主席の来日も予定され、開設にはいい時期だ」と話した。 新医院は市中心部に建設され、150 床。 検査から診療、治療、リハビリテーションまで幅広く対応する。 来年 8 月のオープンを予定している。 相良代表理事は「人口減で病院は競争の時代。 このような取り組みで病院のブランド化や企業色を出せる。」と語った。 (木脇みのり、asahi = 9-6-19)