海藻食べると心筋梗塞リスク低下 8 万人を 20 年調査

ワカメやコンブなどの海藻を食べると、心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患になるリスクが低くなるという研究結果を、国立がん研究センターや筑波大のチームがまとめた。 海藻に含まれる食物繊維やたんぱく質が影響している可能性があるという。 チームは 1990 年代以降、岩手や沖縄など 9 県に住む 40 - 69 歳の男女約 8 万 6 千人(男性 4 万 707 人、女性 4 万 5,406 人)を追跡調査。 食事に関する調査に協力してもらい、20 年間の健康状態を調べた。

海藻を食べる頻度を「ほとんど食べない」、「週 1 - 2 日」、「週 3 - 4 日」、「ほとんど毎日」の4群から選んでもらった。 食べる量は聞いていない。 20 年間に 1,204 人が虚血性心疾患になり、生活習慣やほかの食べ物などの影響をのぞいて分析すると、男女ともに海藻を食べる頻度が高いほど、虚血性心疾患になるリスクは低くなった。 「ほとんど毎日」の群は、「ほとんど食べない」の群に比べてリスクが男性は 0.8 倍、女性は 0.6 倍に低くなった。 チームは男女差について「大きな差ではない」とみているという。

動物の研究では、海藻に含まれる食物繊維が脂質代謝を改善し、たんぱく質が血圧を下げる作用があると報告されている。 チームの山岸良匡(かずまさ)・筑波大教授(社会健康医学)は「人でも、海藻の摂取が虚血性心疾患になるリスクを下げることがわかった。 海藻は日本人になじみ深い食材だ。 さらに調べることで、生活習慣病予防につなげられる可能性がある。」と話す。 成果は、米国臨床栄養学会誌電子版に掲載された。 論文は、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31518387 で読める。 (松浦祐子、asahi = 10-10-19)


人工乳房の代替品、国内販売へ リンパ腫リスク低め

乳がん手術後の乳房再建や豊胸のための人工乳房(インプラント)を入れた女性の一部に特殊なリンパ腫が起きた問題で、厚生労働省は 8 日、リンパ腫のリスクが低いとされる代替の製品を新たに承認したと発表した。 今後、公的医療保険が適用され、国内で販売される見通し。

新たに承認を受けたのは、アラガン(本社・アイルランド)社製の人工乳房。 袋の表面がざらざらしたタイプの人工乳房で特殊なリンパ腫が起き、同社は 7 月、自主回収して販売を停止していた。 今回表面がなめらかな別のタイプの承認を新たに受けた。 国内で乳房再建を目的に承認を受けて販売されている人工乳房は、アラガン社製のみ。 同社は表面がざらざらしたタイプの製品しか販売していなかったため、保険診療での人工乳房を使った再建手術は現在、ほぼ中断されている。 (富田洸平、asahi = 10-9-19)

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人工乳房の手術中止呼びかけ リンパ腫問題でメーカー

乳がん手術後の乳房再建や豊胸のため、人工乳房(インプラント)を使った女性の一部に特殊なリンパ腫が起きている問題で、米食品医薬品局 (FDA) から対象製品の自主回収を要請されたアラガン(本社・アイルランド)の日本法人は医療関係者に、この製品を埋め込む手術を中止するよう呼びかけを始めた。

医薬品医療機器総合機構 (PMDA) によると、国内で乳房再建を目的に承認を受けて販売されているインプラントは、アラガン・ジャパンの製品のみ。 同社は現在、自主回収の対象となったタイプの製品だけを販売しており、インプラントによる保険診療での乳房再建は一時的に中断されることになりそうだ。 同社は、別タイプの製品を今秋にも販売するとしている。 インプラントを使った乳房再建には公的保険が適用されていて、国内で年間約 6,500 件が実施されている。

FDA が自主回収を求めたのは、同社のインプラントのうち表面がざらざらした「テクスチャード」と呼ばれるタイプ。 表面がなめらかな「スムーズ」タイプは対象外だ。 インプラントを使った人の特殊なリンパ腫はテクスチャードタイプで多発し、スムーズタイプだけを使った人での報告はこれまでないという。 テクスチャードタイプはスムーズタイプに比べ、変形や位置のずれが起きにくいという利点があり、国内で主流になっている。 同社は昨年からスムーズタイプの販売を止めていたが、この問題を受け、関連学会が販売の再開を求めていた。 同社は 9 月から、スムーズタイプの受注を始めるとしている。 (田村建二、asahi = 7-26-19)

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人工乳房で血液がん、国内で初報告 手術は 17 年前

乳がん手術後に行う乳房再建や、豊胸手術に用いる人工乳房で起きる血液がんが国内で初めて報告されたとして厚生労働省は 7 日、製造販売業者に添付文書の改訂と医療機関への情報提供の徹底を指示した。 指示を受けたのはアラガン・ジャパン社。 人工乳房は国内では、同社の 2 製品が承認されている。

人工乳房を入れた後、周囲にできる被膜組織に血液がんの一種、リンパ腫がまれに生じることが知られている。 今回の事例は、乳房再建術などを専門とする日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が今年実施した調査でわかった。 学会などによると、患者は 17 年前に乳房再建手術を受け、現在、リンパ腫の治療中。 同社の製品と類似した未承認の人工乳房が使われていたという。

人工乳房を入れた後に起きるリンパ腫は進行が遅く、早期に見つかれば被膜と人工乳房を取り除くことで、治癒が期待できる。 厚労省の指示を受けて同社はこの日、添付文書の「使用上の注意」に、人工乳房の周囲に腫れや痛みなどの症状があれば速やかに医療機関を受診することを追記した。 同社によると、フランスやカナダでは今回の製品が販売中止になっているという。 (姫野直行、asahi = 6-8-19)


はしか、欧州で異常な増加 予防接種の拒否は親の権利?

先進国ではほぼ撲滅したとされてきたはしか(麻疹)に感染する人が、欧州で増えている。 世界保健機関 (WHO) によると英国、ギリシャ、チェコ、アルバニアの 4 カ国が今夏、初めて「はしか排除国」の認定を取り消された。 感染の広がりの背景に、親が子どもの予防接種を拒否する傾向が指摘されている。 この 4 カ国は過去 1 年の伝染状況から 8 月、排除国認定を外されており、2012 年にこの認定手続きが始まって以来、初めてのケース。 欧州の 53 カ国中、排除国に認定されているのは 35 カ国で、日本や米国も認定されている。

欧州では今年 1 - 6 月、昨年 1 年間の感染件数、約 8 万 4 千を上回る約 9 万の感染が確認され、37 人が死亡した。 16 年の約 5 千と比べると既に 17 倍で、この数年で急増している。 WHO は予防接種率の低下と関連があるとみている。 オランダはまだ排除国に認定されているものの、予防接種率が 16 年に 94% に低下し、17、18 年は 93% に下がった。 1996 年にはしか排除に必要とされる 95% 以上になり、2015 年まで高水準を維持していた。 接種に懐疑的な人たちが問題にするのは、接種に伴う「副反応」だ。 けいれんや急性脳炎など重篤な状況になる可能性は極めて低いとされているが、「情報開示が不十分」などと疑念を膨らませている面もあるという。

ネットで拡散

オランダ中部ルンテレンでコンサルタント会社を営むフランク・ルーシンクさんは、14 年前の出来事をきっかけに接種反対派になった。 1 歳の息子がはしかの予防接種を受けた翌日、突然体を震わせ始め、目の焦点が合わなくなった。 駆け込んだ病院で医師に死亡する可能性があることを告げられた。 一命は取り留めたが、その後は 4 人の子どもに予防接種を受けさせるのはやめ、有機の野菜を食べさせ、体調不良時は鍼灸などの方法で健康を維持するようにしたという。 予防接種の危険性を訴える活動を始めると批判を受けたが、近年は賛同者が増えたと感じる。 「暮らしに余裕ができ、予防接種の問題に気づくようになったのではないか」と話す。

オランダ小児科医協会のカロリー・イリー会長 (58) は、近年、接種懐疑派が予防接種の危険性などを強調した情報をネットで拡散した影響があるとみる。 はしかを軽くみる情報が広まっていることにも危機感を持っている。 オランダ西部ハーグに住むニコレ・ゴメルスさんの次男ミシャ君 (6) は 5 年前、まだ予防接種を受けられない生後 6 カ月ではしかになった。 保育園で、年上の女児から感染。 女児の両親は予防接種を受けさせていなかったという。 ミシャ君は一時、深刻な症状に陥り、2 週間入院した。 ゴメルスさんは「避けられる病気だった。 注射しない権利は理解できるが、他人が健康でいられる権利を奪うことまでは認められない」と話す。

ポピュリズムと関連か

各国政府は対応を急いでいる。 WHO に「はしか流行国」とされているドイツでは 7 月、はしかの予防接種をさせなかった親に最高 2,500 ユーロ(約 29 万円)の罰金を科す規制を閣議決定した。 「はしかは多くの人が考えがちな『無害な子どもの病気』ではない」などと説明する。 英紙タイムズによると、英国でも小学校入学時に予防接種を義務化する動きがある。 一方、地元メディアなどによると、同じ「流行国」のイタリアでは政権を担う市民政党「五つ星運動」などを中心に、17 年に始まった予防接種の義務化を無効にしようとする議論が起きている。

米国のトランプ大統領もかつて、ツイッターで予防接種の安全性に疑問を呈す投稿をしたことがあり、ポピュリズムの広がりと接種反対の動きを関連づける指摘もある。 オランダでは、「予防接種済み」なことを保育園の入園条件にすることを国会で議論する見通しだが、対応を先行させる保育園も出ている。 北部で約 10 の保育園を運営する企業は 7 月、はしかの予防接種を受けていない園児の受け入れをやめた。 代表のアリン・アルベルツさん (66) は「来られなくなる子どものことを考え悩んだが、子どもたちが安全に過ごせる場を提供する義務があると考えた。」

ただ、接種反対派から脅すようなメールが連日のように来ており「個別の判断ではなく、政府が制度化してほしい」と話す。 アムステルダム大学のロランド・ピエリック教授(法哲学)は「接種するかどうかを親が選ぶ自由は、できる限り尊重すべきだ」とした上で、「低い予防接種率は国民の健康へのリスク。政府が責任をもって対策を検討し、科学的根拠のない意見をあるかのように発信することを許すべきではない」と指摘する。 (ブリュッセル = 津阪直樹、asahi = 10-4-19)

前 報 (5-28-19)


結核の仲間の病原菌、正確に特定 薬の選択が容易に

長引くせきやたん、発熱などが特徴の「非結核性抗酸菌 (NTM) 症」を起こす病原菌について、DNA から正確に見分ける方法を、大阪大学のチームが開発した。 NTM は種によって薬の効きやすさが異なり、適切な治療につながるという。 NTM は結核菌の仲間で、身近な水場や土壌にもいる。 人から人へは感染しないとされる。 およそ 200 種が知られ、NTM 症を起こすと確認されているのは約 140 種。 細菌の種や亜種によって効果がある薬が違うが、亜種を見分けるのは難しかった。

チームは細菌の遺伝子配列を読み、175 種について、亜種まで網羅したデータベースをつくった。 従来のデータベースで同定できるのは 32 種だった。 今回のデータベースを使うと、これまでの方法ではできなかった細菌の特定も、可能になったという。 NTM 症は 2014 年時点の調査で 10 万人あたり 14.7 人と、7 年前と比べて罹患率が 2.6 倍になったという報告があり、急激に増えている。

大阪大学微生物病研究所の中村昇太特任准教授(生命情報科学)は「相手(菌種)がわからないままだと、薬が効かなかったら切り替えなければならず、投薬計画を立てるのが難しかった。 実際に病院内の検査室で検査する環境が整えば、患者の治療に使うことができる。」と話している。 成果は英科学誌「Emerging Microbes & Infections (https://doi.org/10.1080/22221751.2019.1637702) に掲載された。 (杉浦奈実、asahi = 8-28-19)


「肥満ワクチン」開発に光 マウスの腸内細菌減らしたら

大阪市立大や東京大などの研究チームが 23 日、肥満に関連する腸内細菌をワクチン注射で減らしたところ、高脂肪食を与えたマウスの体重増加を抑えられたと発表した。 食べても太りにくい「肥満ワクチン」につながる可能性があるという。 米消化器病学会誌に掲載された。 チームは、肥満や糖尿病との関連が報告されている腸内細菌(クロストリジウム・ラモーサム)に注目。 腸の粘膜で免疫を活性化させるワクチンをつくった。

実験では、無菌マウスにヒトの肥満患者の腸内細菌を移植し、高カロリーのえさを与えた。 ワクチンを注射したマウス 9 匹は、腸内細菌がふんとして排出されて減り、ワクチンを注射しないマウス 7 匹と比べて、体重増加が約 12% 抑制された。 腸内細菌が減少したマウスの体内では、小腸などで体内にブドウ糖を吸収するはたらきが活発化せず、肥満や糖尿病を抑える効果が期待できるという。 大阪市立大の植松智(さとし)教授(ゲノム免疫学)は「これまでと全く異なる新しいタイプのワクチンができた。 特定の腸内細菌を減らすことで、将来的に食べても太りにくい肥満ワクチンにつながる可能性がある。」と話している。

このワクチンは、腸や消化器などの粘膜で免疫の働きを高める仕組み。 あらかじめ注射しておくと、体内の細胞が免疫の働きを記憶。 病原体や、免疫反応を引き起こす物質(抗原)に反応して、抗体たんぱく質を活性化させることができる。 この仕組みは特許化し、製薬会社と共同研究しているという。 チームはこの仕組みが、肺炎球菌の感染を抑制したり、コレラ毒素による下痢を抑制したりすることも確認した。 論文はサイト (https://doi.org/10.1053/j.gastro.2019.08.021) で読める。 (田中誠士、asahi = 8-23-19)


抗生物質効かない緑膿菌、新手法で殺菌 名大院など開発

抗生物質への耐性を持つ緑膿(りょくのう)菌を殺菌する新手法を、名古屋大大学院理学研究科などのチームが開発したと発表した。 緑膿菌が生存するのに必須な鉄を取り込む仕組みを利用し、薬剤を菌内に注入。 薬剤に近赤外光を当てて活性酸素を出し、菌を死滅させるという。 緑膿菌は院内感染などが問題となっており、今後、肺や目などの感染に対する治療をめざしていくという。

緑膿菌は水や土の中にいて、免疫力が低下した時に感染する。 細胞壁を作らせない攻撃法を持つ抗生物質などに対して耐性を持つようになり、治療できない状況だとして、世界保健機関 (WHO) は、新たな抗菌薬の開発の緊急性が最も高いものの一つとしている。 名古屋大大学院生の四坂勇磨さんらは、緑膿菌が増えるために鉄が必須であることに着目。 鉄を菌内に運ぶたんぱく質に、色素の一種「ガリウムフタロシアニン」がくっつくことを突き止めた。 鉄の代わりにこの色素を取り込ませ、色素に近赤外光を当てると、菌にとって有害な活性酸素が発生するという。

この色素は、道路標識、新幹線の塗料などに使われている。 チームの荘司長三・名古屋大教授(生物無機化学)は「緑膿菌は、自ら増えるために鉄を必要とする。 その鉄を取り込む経路を止める方法は、耐性化されにくいと考えている。」と話す。 この成果は、米国化学会の専門誌の電子版 (https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acschembio.9b00373) に論文として掲載された。 (木村俊介、asahi = 8-15-19)


肝がん、抗がん剤後に「兵糧攻め」で生存期間 2 倍に

近畿大学などの研究チームは 31 日、治療が難しい肝臓がんについて、抗がん剤でがんを小さくした後に、残ったがん細胞に栄養を運ぶ血管を塞いで「兵糧攻め」にする方法で、患者の生存期間が約 2 倍になったと発表した。 臨床研究結果をまとめた論文が、スイスの専門誌「Cancers」に掲載された。 臨床研究の対象は、腫瘍がたくさんあったり、大きかったりする肝がん。 こうした肝がんの治療法に、カテーテルを使って抗がん剤とスポンジのような物質を入れて血管を塞ぎ、がん細胞への栄養を断つ方法がある。

ただ、この方法では、正常な細胞も死んで肝機能が低下するうえ、がん再発も多かった。 そこで、従来の「兵糧攻め」治療をする前に、がんが血管を新しく作るのを邪魔する働きがある「レンバチニブ」という抗がん剤を使い、がんを小さくしてから、血管を塞ぐ治療をした。 すると、生存期間の中央値は従来の 21 カ月に比べ、今回は 38 カ月になった。 がんが残ることが減り、肝機能の低下も抑えられた。 臨床研究の対象患者 30 人のうち 5 人ではがんが消えたという。

2018 年 3 月に保険で使えるようになったこの抗がん剤レンバチニブには重篤な副作用として、脳症や死亡が報告されている。 今回の研究ではそういった事例はなかったという。 普通はこの抗がん剤が使われるのはさらに肝がんが重くなってからだった。 近畿大医学部の工藤正俊教授(消化器内科)は「結果として、単に順番を入れ替えるだけで、極めて高い効果を得られた。 薬物を先行するので、負担が少ない。」と話した。 (杉浦奈実、asahi = 7-31-19)


回転寿司チェーン店で寄生虫『アニサキス』による食中毒 店を営業禁止処分に

岐阜県多治見市の回転寿司のチェーン店で 7 月 20 日、51 歳の男性がアニサキスによる食中毒になり、東濃保健所は 27 日から店を営業禁止処分としました。 岐阜県多治見市上山町の回転寿司チェーン「魚屋の寿し 魚錠多治見店」で 7 月 20 日午後 5 時半ごろ、食事をした 51 歳の男性が胃の不快感を訴えてその後病院に入院しました。 男性は検査でアニサキスによる食中毒になったことがわかり、連絡を受けた店が 26 日になって東濃保健所に通報しました。 男性は快方に向かっています。

岐阜県によりますと男性は店でカンパチ、サバ、マアジ、イワシ、バイガイ、サザエ、中トロ、トロ鉄火の寿司、あさりの味噌汁を注文して食べたということです。 食中毒の発生を受けて東濃保健所は食品衛生法に基づき、「魚屋の寿し魚錠 多治見店」を 27 日から営業禁止処分にしました。 アニサキスは魚介類に寄生する寄生虫の一種で、発症するとみぞおちや下腹部に激しい痛みが生じたり、吐き気や胸のむかつきなどの症状がでるということです。 (東海テレビ = 7-27-19)


トクホ広告、ルール作成へ 「拘束力なし」から格上げ

健康づくりに役立つと国が認めた特定保健用食品(トクホ)について、公益財団法人「日本健康・栄養食品協会」は 23 日、広告の業界ルールを定めると発表した。 表示に関する公正競争規約をつくり、来年度からの導入を目指す。 同協会は健康食品関連企業 679 社が会員の業界団体。 トクホの適正な広告のための自主基準を 2007 年に設けているが、拘束力はなかった。

自主基準では、国の許可表示の正確な引用を求め、例えば「血圧が高めの方に適した食品」という許可表示を、「血圧の高い方におすすめ」、「血圧への作用が確認されました」などと広告に表示してはならないとする。 広告に使うデータは、▽ 出典を明記、▽ 消費者に誤認を与えるようなグラフの極端なトリミングを避ける、▽ 医師や専門家を起用する場合は病気の治療や予防ができるかのような誤認を与えない、などと定める。 協会はこの基準を元に公正競争規約をつくる方針だ。 公正競争規約は、景品表示法に基づき消費者庁と公正取引委員会の認定を受けて各業界が定める自主ルール。 違反には警告などの措置をとることができる。

協会の青山充事務局長は「現状の自主基準ではお願いベースで話をするしかなかったが、公正競争規約に格上げすれば、より強く改善を求める措置を取ることができる」と説明する。 今後、規約案を作成し、消費者団体、学識経験者などとの意見交換をした後、消費者庁と公正取引委員会に申請する。 トクホは国が商品の安全性と有効性、表示内容を審査し許可を出す制度で、現在 1,066 点が許可されている。 同協会の会員 112 社がトクホを手がけ、売り上げベースでトクホ市場全体の 9 割を占める。 (大村美香、asahi = 7-23-19)


手足口病が流行、登園のめやすは? 食欲や熱に注意して

手足口病の子どもの患者が、ここ 10 年で最多のペースで増えています。 自宅で看病する際や、保育園などへの登園を再開させるとき、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。 専門家によると、手足の発疹が残っていても登園は可能な場合もあるのだそうです。 手足口病は、ウイルスが原因となる感染症。 3 - 5 日の潜伏期の後に、口の中や手のひら、足の裏などに 2 - 3 ミリの水ぶくれのような発疹ができる。 38 度くらいまでの軽い発熱を伴うこともある。

ワクチンはなく、かかったら対症療法か、自然に治るのを待つしかない。 原因となるウイルスは複数あり、一度かかったことのある人や大人でもかかる可能性がある。 国立感染症研究所が発表した直近(7 月 1 - 7 日)の全国の 1 医療機関あたりの平均小児患者数は 9.79 人で、前回流行した 2017 年の約 1.7 倍で、36 都府県で警報レベルだ。 都道府県別では福井、石川、香川などで特に目立つ。

東京都内のクリニックで診察する小児科医の森戸やすみさんのもとにも、手足口病の子どもが多く訪れている。 「基本的には 1 - 2 日の軽い発熱で治まるが、口の中の発疹が痛くて食欲がなくなる子もいる」と森戸さんは話す。 食欲がない時は、刺激の少ないものや、のみ込みやすいものを与え、水分が不足しないように注意する。 痛みがつらそうな時は痛み止めを処方してもらうと良いという。

通常、発疹は数日程度で消えるが、数週間してから爪がはがれるケースもある。 まれに髄膜炎や脳炎などを引き起こすこともあり、頭痛や嘔吐などの症状には注意が必要だ。 家族への感染を予防するにはどうしたらいいのか。 手足口病は、せきやくしゃみで飛び散る唾液や、便などに含まれるウイルスによってうつる。 そこで、手洗いを徹底する、タオルの共用を避けることが大切だ。 ペーパータオルも有効だという。

症状が治まった後でも、数週間以上、便などからウイルスが排出されている。 オムツを交換する際にも注意が必要だ。 保育園などを休んでいた場合、いつ登園を再開すればよいのだろう。 子ども同士の接触が多い保育園などでは、集団感染が起こりやすい。 地域や園によっては、診断後、登園するには医師が記入した登園許可書などが必要な場合もある。

厚生労働省が定める「保育所における感染症対策ガイドライン」は、登園のめやすとして、熱が下がり、発疹の影響がなく食事が取れることを挙げている。 森戸さんは「熱がなく食欲があれば、手足の発疹が残っていても登園は可能なことが多いので、医師に相談しましょう。 食欲が落ちた子は、ふだんの半分以上は食べられるようになってからにしましょう」と話す。 (松本千聖、三上元、asahi = 7-20-19)


免疫が膵臓攻撃する難病、腸内の細菌変化が発症に影響か

体内の免疫システムが誤って自分自身の膵臓を攻撃して起きる難病「自己免疫性膵炎」の発症に、大腸内の細菌の変化が関係していることを、近畿大の研究チームが明らかにした。 発症のメカニズムの一端が分かってきたことで、新たな治療法の開発につながると期待される。 10 日、免疫学の国際専門誌に論文が掲載された。

この病気は、ウイルスや細菌など外から入り込んだ敵を攻撃する免疫システムが、自分自身の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つ。 高齢男性に多い指定難病で、国内の患者は約 6 千人とみられる。 黄疸(おうだん)などの症状が出るほか、糖尿病を起こす。 だが、詳しい発症メカニズムは分かっていなかった。 近畿大医学部の渡辺智裕准教授(消化器内科)らの研究チームは、腸内の細菌の群れ「腸内細菌叢(腸内フローラ)」に注目。 自己免疫性膵炎のマウスの腸内細菌を調べると、正常なマウスに比べ細菌の種類が減り、多様性がなくなっていることがわかった。 また、軽い膵炎のマウスに重症のマウスの便を移植して腸内細菌を入れ替えると、症状が重くなった。

膵炎マウスの便を移植されたマウスの膵臓では、免疫細胞の一種「形質細胞様樹状細胞」が増えていた。 この細胞により産生され、ウイルスなどの免疫防御に重要な役割を果たすたんぱく質「I 型インターフェロン」などの増加も確認した。 ウイルス感染がないのにこうしたたんぱく質が産生された結果、膵臓が攻撃されているとみられる。 渡辺准教授は「将来的には自己免疫性膵炎の治療に腸内フローラの制御が有効ではないか」と話した。 (杉浦奈実、asahi = 7-10-19)


日傘で熱中症を防ごう 男性にもお勧め、選び方のコツは

暑さや紫外線を防ぐアイテムとして注目を集める日傘。 日焼けしたくない女性を中心に使われてきたが、男性用の売り場も目立つようになってきた。 暑さ対策として環境省も男女問わず使用を呼びかけている。 観測史上初めて都内で 40 度以上を記録するなど、「一つの災害(気象庁)」と言われた昨夏の猛暑では、熱中症で搬送される人が相次いだ。 環境省は「日傘を男女問わずに使おう」と PR している。

大同大学(名古屋市)の渡辺慎一教授は 8 月の屋外で、日傘のほか帽子やアームカバーなどが紫外線を遮る効果を調べた。 日傘を差した場合、頭のてっぺんで 94%、顔で 79% の紫外線を防ぐことができた。 つば付き帽子よりもやや低かったが、肩や胸などは帽子よりも広い範囲で紫外線を防いでいた。 全身でみると 51% ほどで、帽子をかぶりアームカバーを付けた状態と同じくらいの効果があった。

また、渡辺教授は、気温や湿度、日射の影響を考慮した、熱中症が発生する危険度を表す指標「暑さ指数 (WBGT)」を用いて、日傘の効果を調べた。 晴れの条件で素材と色の異なる 3 種類の日傘を用いて、差した場合と差さない場合の暑さ指数を比べたところ、差した場合では平均 0.9 - 1.8 度下がった。 時間によっては最大で 2.9 度下がっていた。 曇りの場合は晴れより小さいものの、効果は確認できた。

日本生気象学会は WBGT をレベルに応じて「危険」、「厳重警戒」などと位置づける「日常生活における熱中症予防指針」を示している。 WBGT が 3 度低下すると、このレベルが一つ下がる。 渡辺教授は「日傘は熱中症の危険度を 1 ランク下げると言えるだろう」と話す。 「炎天下で無防備だと消耗してしまう。 自分の身を守るすべとして日傘がある。」と使用を呼びかけるのは「男も日傘をさそう会」会長の宮武和広さんだ。 インターネット専業の老舗傘店「心斎橋みや竹」を営む。 自身も 20 年以上の日傘ユーザーで、男性の日傘利用を広めるため活動している。

宮武さんによると、日傘は紫外線カット、暑さの緩和に加えて、帽子と違い髪形が崩れないという利点がある。 ただ、現在のところ使っているのは主に女性。 環境省によると、女性の 7 割が日傘を使うのに対し、男性は 1 割程度だという。 宮武さんに男性にも参考になる日傘選びのポイントを教えてもらった。

初心者は、持ち歩きしやすい折りたたみ傘がお薦めだ。 晴雨兼用であれば、突然の雨にも対応できる。 雨傘より小さいサイズでも、十分役に立つという。 機能を実感するには、生地に遮光・遮熱加工がされたものを使ってみるとよい。 日本洋傘振興協議会が一定の基準を満たした傘につけている「遮熱・遮光マーク」、「遮光マーク」が参考になる。

慣れてきたら、明るい水色など見た目に雨傘と間違えられない色や柄を選んでみる。 曇りの日などは「日傘だ」と一目で分かった方がかえって差しやすいという。 ファッションの一環として、何本か違うタイプを持ち、日によって変えても楽しめる。 数年前までは男性用は黒や紺などが多かったが、最近は傘メーカーも様々なデザインのものを売り出しているという。

兵庫県の銀行員小林篤さん (34) は、夏でもスーツを着崩したくなくて、6 - 7 年前から日傘を愛用している。 「お得意様のところに、汗をだらだらかいていくより自己管理ができているイメージになるのでは。体力的にもいい」と手放せないアイテムだ。 まだ少数派ということもあり周りの視線は感じるが、「逆にいい効果。 背筋がぴんとする。」 ただ、「立ち振る舞いは大切。」 人混みではたたむなど、使い方には気をつけているという。 (杉浦奈実、asahi = 7-8-19)


30 人中 4 人のがん消える 光免疫療法、治験結果を公表

光をあててがん細胞を壊す「光免疫療法」について、実用化を目指す米国の「楽天メディカル」は 1 日、都内で事業説明会を開き、新たな臨床試験(治験)の結果を公表した。 手術や抗がん剤などの治療で効果がなかった米国の 30 人の頭頸部がんの患者を対象にした第 2a 相の治験の結果、4 人はがんが消え、9 人は縮小していた。 この治療法と関連があるとみられる重篤な有害事象は 3 人にあったという。

この治療法は、米国立保健研究所 (NIH) の研究員が開発した。 近赤外光をあてると反応する化学物質と、特定のがん細胞に結びつく性質があるたんぱく質(抗体)を結合させた薬を注射。 抗体はがん細胞とくっつく。 それに近赤外光をあてると、がんに集まった薬と光が反応し、がん細胞を壊し、これをきっかけに免疫細胞は活性化する。 NIH と契約を結んだベンチャー企業(その後、楽天メディカルに社名変更)が、2015 年から治験をしてきた。 同社は昨年 12 月から、さらに多くの患者を対象に有効性や安全性を確認するための第 3 相の治験を、米国や日本などで始めている。

今年 4 月には厚生労働省から、新薬や新しい治療法を短期間で審査する「先駆け審査指定制度」の対象に指定もされた。 同社はこの結果もふまえて、頭頸部がんへの治療法としての承認取得を目指すという。 この日の説明会では、5 月末に東京都から第 1 種の医薬品や医療機器を製造販売することができる許可を得たことも発表。 三木谷浩史会長兼 CEO (最高経営責任者)は「総合的なバイオベンチャーとして一日も早く、光免疫療法を患者のもとに届けたい」と話した。 (松浦祐子、asahi = 7-2-19)


新薬 3 千万円超は高すぎ? 不透明な原価計算に国がメス

国内最高額となった新薬の登場を機に、薬の公定価格「薬価」の算定方法の見直しを求める声が強まっている。 製薬会社の情報開示が不十分で、原価計算が適正かなどがチェックできないからだ。 高額薬は国が負担する社会保障費の増加にもつながるため、厚生労働省は来年度の薬価改定に向けて、新たな算定方法を検討する方針だ。

見直し議論が盛り上がったきっかけは、遺伝子治療技術を使った白血病など向けの製剤「キムリア」の薬価が 5 月、過去最高の約 3,349 万円に決まったことだ。 新薬の価格は、参考になる類似薬がない場合、「原価計算方式」で決まる。 製薬会社が報告する、@ 製品総原価(原材料費や研究開発費など)、A 営業利益、B 流通経費、C 消費税 - - の合計をベースに、薬に画期性や有用性があれば「補正加算」を上乗せする。 補正加算は、@ - C の合計に、製品に応じて一定割合をかけて、額を算出する。

総原価などは、いわば製薬会社の「自主申告」で、詳しい内訳は企業秘密が含まれるなどとして明かされないことが多い。 そこで厚労省は昨年度から情報開示を促すため、総原価の内訳の開示度に応じて補正加算が増減するようにした。 「開示度 80% 以上」なら満額だが、「50 - 80% 未満」なら 4 割減、「50% 未満」なら 8 割減になる。 それでも、キムリアの開示度は 50% 未満。 そのため補正加算は、開示度が 80% 以上だった場合より約 1,100 万円少ない、約 277 万円だった。販売するノバルティスファーマ社は朝日新聞の取材に「できる限り開示した。 通常の医薬品と違う製剤なので、コストを示すのが難しい。」と説明している。

これに対し、薬価を決める中央社会保険医療協議会(中医協 = 厚労相の諮問機関)の委員の一人は「補正加算を 8 割減らしてまで、開示を拒むのはおかしい。 かなりの部分がブラックボックスだ。」と、元々の原価自体の不透明さを指摘する。 これまでに開示度に応じて補正加算を決める仕組みの対象となった 15 製品のうち、9 製品の開示度が 50% 未満で、 3 製品が 50 - 80% 未満だった。 新薬の開示度が 50% 未満だったファイザーは「原価の開示は競合上の事由で難しい」、中外製薬は「開示すると、別の新薬の薬価戦略も想定されてしまう」と話す。

業界関係者からは「原価の中身をさらしたら、もっと薬価を安くする算定方法が作られるかもしれない」と警戒する声も聞かれる。 ただ今後、遺伝子治療や再生医療など新たな医療技術に対応した新薬が相次いで登場する可能性もあり、中医協でも「(もっと)情報開示を促す制度を、もう一度考える必要がある」との意見が出た。 厚労省は、国が負担する社会保障費を抑える観点からも検討を進める考えだ。 (西村圭史、asahi = 7-1-19)

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白血病新薬、保険適用へ キムリア 3,349 万円 医療財政の影響懸念も

厚生労働省は 15 日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に、一部の白血病など血液がんを治療する新薬「キムリア」の価格を 3,349 万円とする案を提示した。 中医協の了承を経て、22 日にも保険適用される見通しだ。 患者から採取した免疫細胞の遺伝子を改変してがんへの攻撃力を高める「CAR-T 細胞療法」と呼ばれる国内初の治療法。 投与は1回だけで済み、既存の治療法が効かない患者にも効果が高いとされる。 保険適用で治療費の大部分がカバーされることになる一方、医療財政への影響を懸念する声も上がりそうだ。

治療対象は、血液がんの「B 細胞性急性リンパ芽球性白血病」の 25 歳以下の患者と「びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫」の患者で、抗がん剤が効かなかった人などに限定。 高熱や低血圧など副作用が起きる可能性があり、治療は副作用に対応できる病院のみ。 日本人も参加した治験は、白血病で約 8 割、リンパ腫で約 5 割の患者が大幅に症状が改善した。 (sankei = 5-15-19)


透析希望しない患者に「確認書」案 中止問題で学会

公立福生病院(東京都福生市)で透析を中止した女性が亡くなった問題を受け、終末期患者の透析治療のあり方を示す提言の改定を検討する日本透析医学会は 28 日、現時点の提言の方向性を示した。 終末期ではない患者が透析を希望しない場合の対応についても盛り込む方針。 横浜市でこの日始まった同学会の学術集会で、岡田一義・提言作成委員長が、学会員に改定案を示した。 会員からの意見を募り、今年度中にまとめる予定という。

岡田さんは「患者には説明を受けて、自らの意思で医療を受ける権利と拒否する権利がある」ことを前提に、「すべての治療の選択肢を示すべきだ」とした。 案では、腎移植や透析のほかに、尿毒症などのリスクを説明したうえで透析をしない「保存療法」の選択肢も提示する。 いよいよ透析が必要な段階になっても、患者が透析をしないことを望んだ場合は、「意思確認書」を作り、患者と家族に署名してもらう。

意思確認書には、透析をしなければ亡くなる可能性や、希望すれば透析ができることなどを明記。 作成後も、病状の変化に応じて、意思を確認することが重要とした。 終末期ではない患者が透析を希望しない場合はまず、正常な意思決定ができているかを確認。 医療チームと患者、その家族で意見が一致しない場合は、複数の専門家からなる委員会または、多職種からなるチームで議論をする。

患者が透析をしない選択肢を選んだ場合の緩和ケアのあり方も盛り込み、認知症の人の意思決定支援についても検討するという。 公立福生病院では、透析を始めなかった、あるいは中止した 20 人を超える患者が死亡した。 その一部で患者の意思確認の書類や治療法の説明の記録に不備があったとして、東京都が 4 月、文書で指導した。 亡くなった患者の中には、終末期でない人も含まれていたという。 この件を調査した学会は 5 月末、調査結果と声明を発表した。 2014 年に公表した透析の意思決定プロセスの提言が、終末期の患者を主に想定していたことなどから「現在の状況にそぐわない点がある」と見直すことになった。 (asahi = 6-28-19)


米国で「老化抑制剤」の特許取得 高山「日本自然発酵」

日本自然発酵(岐阜県高山市)の扱う健康食品の原料「植物発酵物」が 3 月、米国で「老化抑制剤」として特許を取得した。 広報担当者は「健康大国の米国で認められたことは励みになる。 弊社製品が老化の抑制に貢献できれば。」としている。 1990 年に設立された会社で、従業員 139 人。 発酵食品の研究と製造販売を手がけている。 植物発酵物は、70 種類以上の野菜や海藻などを独自の製法で発酵させたペースト状のもの。

同社はマウスを使って実験を重ね、視力低下や毛並みの悪化といった「老化」を抑える効果を確かめ、2017 年 6 月に米国で特許を申請していた。 日本でも同じような特許を 16 年に取得済み。 同社は植物発酵物を使い、「あもう酵素」などの商品として日本とアジアの一部で販売している。 インターネットのサイト (https://www.nshk.jp/) でも扱っている。 (asahi = 6-17-19)

〈編者注〉 特許取得ということですから、おそらく製法に対してではないでしょうか? あくまで補助食品ですから、もちろん FDA が薬品として認めたわけではありません。 この点は留意しておくべきでしょう。


A 型血液を O 型に変える方法開発 万能輸血の夢に近づく

事故や手術の際に必要になる輸血。 だが、血液型が合わないと拒絶反応が起き、命に関わる。 カナダのブリティッシュコロンビア大の研究チームは、A 型の血液を、拒絶反応の起きにくい O 型に変える方法を開発した。 世界的には O 型と A 型が半分以上を占めており、将来、献血や輸血の幅が広がるかもしれない。

輸血の目安となる ABO 式血液型は、赤血球の表面についた抗原という物質の構造の違いで 4 種類に区別している。異なる血液型が混ざると、組み合わせによっては抗原が攻撃されて赤血球が壊れてしまうが、O 型の赤血球はもともと抗原を持たないため、どの血液型にも輸血できる。 このため、多くの科学者が、世界的に多い A 型の赤血球から抗原を取り除き、「万能血液」を作ろうとしてきた。

研究チームは今回、A 型の抗原と似た構造の成分を栄養源とする腸内細菌から DNA を切り出して、酵素をつくった。 2 種類の酵素を同時に使うと、少量でも効率よく抗原を赤血球から切り離すことができたという。 酵素が抗原以外に影響を与える恐れもあるため、今後調べるとしている。 論文は 10 日付の英科学誌ネイチャー・マイクロバイオロジー電子版 (https://www.nature.com/articles/s41564-019-0469-7) に掲載された。 (ワシントン = 香取啓介、asahi = 6-13-19)