7 月の実質賃金は 0.9% 減、7 カ月連続マイナス

現金給与総額は 0.3% 減の 37 万 7,334 円 - 2 カ月ぶりマイナス
7 月の実質消費支出は 8 カ月連続プラス - 市場予想と同じ

厚生労働省が 6 日に発表した 7 月の毎月勤労統計(速報)によると、物価の影響を除く実質賃金は 7 カ月連続で前年を下回った。 減少率は市場予想を上回った。

キーポイント

  • 7 月の実質賃金は前年同月比 0.9% 減(ブルームバーグ調査の予想中央値は 0.7% 減)、7 カ月連続マイナス - 前月 0.5% 減
  • 名目賃金にあたる 1 人当たりの現金給与総額は 0.3% 減の 37 万 7,334 円(同予想は 0.1% 増)、2 カ月ぶりマイナス - 前月 0.4% 増
  • 定期給与は 0.6% 増、特別給与は 2.2% 減
  • 総実労働時間は 0.7% 減
  • 前年の調査対象と同じ共通事業所で比較した名目賃金の「参考値」は 1.0% 減 - 2017 年 7 月以来 24 カ月ぶりのマイナス

総務省が同日発表した家計調査では、7 月の消費支出(2 人以上の世帯)が実質ベースで前年同月比 0.8% 増と 8 カ月連続のプラスとなった。 増加率は市場予想と同じだった。 消費支出の内訳では、住居(6.3% 増)、保健医療(8.5% 増)、交通・通信(2.0% 増)などが増加に寄与した。 (関根裕之、Bloomberg = 9-6-19)

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4 月の実質賃金 1.1% 減 4 カ月連続で減少

厚生労働省が 7 日発表した 4 月の毎月勤労統計調査(速報、従業員 5 人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同期比 1.1% 減少した。 4 カ月連続で減少した。 相対的に賃金の低いパートタイム労働者の比率が上昇したことなどが影響した。

名目賃金にあたる 1 人あたりの現金給与総額は 0.1% 減の 27 万 7,261 円だった。 基本給にあたる所定内給与が 0.1% 増える一方、残業代などの所定外給与は 1.1% 減だった。 ボーナスや通勤手当など特別に支払われた給与は 3.2% 減だった。 パートタイム労働者の時間あたり給与は 1.9% 増の 1,151 円だった。 パートタイム労働者比率は 0.56 ポイント上昇の 30.95% だった。 (nikkei = 6-7-19)

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実質賃金 2.5% のマイナス、15 年 6 月以来の低水準 = 3 月の毎月勤労統計

[東京] 厚生労働省が 10 日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、3 月の実質賃金は 2.5% のマイナスだった。 前年同月を下回るのは 3 カ月連続で、マイナス 2,8% だった 2015 年 6 月以来の低水準となる。 名目賃金に当たる現金給与総額も 27 万 9,922 円と、前年同月を 1.9% 下回った。

厚労省は、前年同月の「特別に支払われた給与」が高めの伸びだった反動に加え、労働者のうち、パートタイムの比率が上昇した影響が出たとしている。 調査対象の入れ替えでパートタイム労働者の比率が高まり、3 月は 31.56% と 0.77 ポイント上昇した。 入れ替え前後の新旧比較で「1 月に現金給与総額でマイナス 0.9%、『きまって支給する給与』ではマイナス 0.6% の断層が生じた(賃金福祉統計室)」ことも影響したとみられる。 勤労統計調査のうち、所定内給与は 24 万 2,384 円で、前年同月を 0.9% 下回った。 所定外給与は 1 万 9,791 円で 3.1% のマイナスだった。 (Reuters = 5-10-19)


人手不足倒産は日本経済にとって「好ましい」

人手不足倒産は日本経済にとって「好ましい」、と久留米大学商学部教授の塚崎公義は説きます。

人手不足倒産が増えています。 内訳を見ても、「後継者難」が減り、「求人難」など文字通りの人手不足倒産が増えているわけです。 倒産は、当該企業の社長にとっては最悪の事態であり、大変な御苦労と悲しみを抱えておられるでしょうから、同情申し上げます。 しかし、そもそも事業を営むということはハイリスク・ハイリターンに挑むということですから、優勝劣敗で淘汰される場合もありましょうし、不運に見舞われる場合もあるでしょうが、勝者と敗者が出てくることは仕方のないことでしょう。

もちろん、不用意に「好ましい」などと記すのは気が引けますが、日本経済を全体として捉える視点から、敢えてそうすることとします。 まず、人手不足倒産が深刻化するほど景気が良いということを素直に喜びましょう。 景気回復によって需要不足型倒産が少なくなっているので、倒産件数全体としては低水準です。 需要不足倒産や、大型倒産に伴う連鎖倒産や、金融危機による「貸し渋り」が招いた倒産などが多発する経済と比べると、人手不足倒産が増える経済は遥かにマシでしょう。

そもそも、人手不足は良いこと

そもそも、人手「不足」という言葉が問題です。 良くないことが起きているようなイメージの言葉ですから。 企業経営者にとっては困ったことかもしれませんが、労働者にとってはライバルが少ないということですから、嬉しいことのはずです。 失業の恐怖が少ないだけでなく、需要と供給の関係で労働力の価格である賃金も上昇していくことが見込まれます。 ブラック企業も社員を引き止めるためにホワイト化せざるを得ません。 そこで筆者は「人手不足」、「労働力不足」といった言葉の代わりに「仕事潤沢」といった明るい言葉を使いたいと考えています。 もう少しセンスの良い言葉が見つかれば良いのですが。

人手不足なら、日本経済が効率化する

人手不足になると、各社が省力化投資を始めます。 たとえば飲食店は、今までアルバイトに皿洗いをさせていたのを、自動食器洗い機に洗わせるようになるでしょう。 それにより、日本の飲食業が効率化し、労働生産性が上がるわけです。 高い給料の払えない生産性の低い企業から、高い給料の払える生産性の高い企業へ、労働者が移動するということも、日本経済を効率化させるでしょう。 非効率な企業が倒産することによって労働者が移動するとすれば、今回のタイトルどおり日本経済にとって「好ましい」という事になるわけです。

それ以前に、人手不足であれば失業対策の公共投資が不要です。 失業対策の公共投資は、労働生産性が低いものが多いので、それが不要になること自体が日本経済全体としての効率化になるわけですね。

倒産企業の労働者にとっても「良いこと」かも

倒産した企業の労働者というと、普通であれば失業して露頭に迷う可哀想な人なわけですが、人手不足倒産の場合には、そうではないでしょう。 すぐに次の仕事が見つかるはずですから、失業の心配はありません。 しかも、新しい仕事は以前の仕事よりも条件が良い場合も多いでしょう。 これまでの勤務先は、待遇が悪いから労働者が集まらずに倒産したので、その会社から普通の待遇の会社に移るならば待遇は改善するはずだ、というわけですね。

労働者が今まで待遇の悪い会社にいた理由は、ケースバイケースでしょうが、労働者が「情報弱者」で自分の待遇が世の中より悪いことを知らなかった場合や、待遇が悪いことは知っていたけれども、世話になった会社に恩があるので転職を言い出せなかった場合などは、「倒産したからこそ転職できた」ということになるわけですね。

倒産より合併等の方が遥かに良いが …

倒産より、合併や事業譲渡などの方が、日本経済にとっては遥かに好ましいでしょう。 倒産は膨大な無駄を生みます。 企業の財産である「顧客からの信頼」や「ノウハウ」等が雲散霧消してしまうのはもったいないことです。 加えて、まだ使える機械がスクラップ業者に二足三文で買いたたかれたりもするでしょう。 そこで筆者としては、経営者に「倒産前に、事業譲渡等を検討して欲しい」と考えています。 経営者としては、最後の最後まで倒産を回避して自分が経営者として会社を立て直したい、という気持ちがあるでしょうから、容易なことではないでしょうが。

もっとも、この点に関して筆者が注目しているのは、増えているとは言っても人手不足倒産の件数自体は非常に少ないということです。 たとえば東京商工リサーチによれば、今年 1 月から 7 月までで求人難、従業員退職、人件費高騰で倒産した企業は 100 社弱にとどまっています。 おそらく、多くの企業が事業譲渡などによって倒産を回避した結果なのだと、筆者はこの結果を前向きに捉えている次第です。 (塚崎公義・久留米大学商学部教授、WedgeInfinity = 8-26-19)


6 月機械受注、前月比 13.9% 増 鉄道車両の大型受注で

内閣府が 14 日発表した 6 月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比 13.9% 増の 9,603 億円だった。 増加は 2 カ月ぶりで、市場予想の中央値である 1.5% 減を大きく上回った。 伸び率は比較可能な 2005 年 4 月以降で最も高くなった。 製造業の受注は減少した一方、非製造業が大きく伸びた。 内閣府は「非製造業の運輸業・郵便業で、鉄道車両の大型受注案件が複数みられたことが大きく影響した」と分析した。

6 月の受注額は製造業が 1.7% 減の 3,644 億円だった。 減少は 2 カ月連続。 その他製造業で、火水力原動機や通信機などの受注が減った。 非製造業は 30.5% 増の6,147 億円。 増加は 2 カ月ぶり。 大型案件のほか、その他非製造業で電子計算機等や原子力原動機の受注が増えた。 前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は 12.5% 増だった。

基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。 「6 月は高い伸び率となった一方、前月がマイナスだったことなどを踏まえて、判断した」という。 4 - 6 月期は前期比 7.5% 増の 2 兆 7,169 億円だった。 増加は 3 四半期ぶりだが、3 月末時点の見通しよりは低い伸び率となった。 製造業は 2.5% 増、非製造業は 13.1% 増だった。 7 - 9 月期は前期比 6.1% 減と、2 期ぶりに減少する見通し。 製造業は 2.8% 増。 工作機械や産業機械などの増加で 2 期連続で増加する見込み。 非製造業は 12.5% 減と鉄道車両などの受注減で 2 期ぶりの減少となる見通し。 (nikkei = 8-14-19)

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6 月鉱工業生産、3 カ月ぶり低下 前月を 3.6% 下回る

経済産業省が 30 日発表した 6 月の鉱工業生産指数(2015 年 = 100、季節調整済み)の速報値は 101.1 で、前月を 3.6% 下回った。 低下は 3 カ月ぶり。 基調判断は「生産は一進一退」で、前月から据え置いた。 (asahi = 7-30-19)

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日本メーカー、相次ぐ業績悪化 = 中国経済減速が影響

中国経済の減速を受け、日本メーカーの業績悪化が相次いでいる。 長引く米中貿易摩擦の影響で、中国内の消費が鈍化し、設備投資も停滞しているためだ。 半導体関連装置や電子部品を手掛ける日本企業が苦戦しており、中国市場の動向が各社の業績を左右している。

「経営環境が厳しさを増している。」 キヤノンは今月 24 日、2019 年 12 月期連結営業利益予想を 2,150 億円とし、590 億円下方修正した。 想定を上回る中国市場の低迷が要因だ。 主力のデジタルカメラに加え、企業向けの半導体関連装置の販売が振るわなかった。 半導体関連装置大手のアドバンテストと東京エレクトロンは、19 年 4 - 6 月期の連結業績がともに減収減益だった。 半導体メモリーの市況悪化で中国企業などが設備投資を抑制していることが響いた。

モーター製品大手の日本電産は同 4 - 6 月期の連結営業利益が前年同期比で 4 割減少。 中国向け家電・産業用部品の収益が悪化した。 永守重信会長は、中国経済について「期待されているほど良くはなっていかない」と警戒感を隠さない。 日本工作機械工業会によると、19 年上期(1 - 6 月)の大手国内メーカーなどの工作機械受注額は、中国向けが前年同期比で半減した。 特に電気・精密向けの落ち込みが目立った。 飯村幸生会長は「ある程度の長期化を覚悟しないといけない。」と述べ、中国経済減速の影響がしばらく続くとみている。 (jiji = 7-27-19)


4 カ月ぶり円高水準、一時 105 円台前半 米 NY 市場

週末 9 日の米ニューヨーク外国為替市場では、米中貿易摩擦の長期化への懸念から、ドルを売って「安全資産」とされる円を買う動きが強まった。 円相場は一時 1 ドル = 105 円 27 銭と、ほぼ 4 カ月ぶりの水準まで円高が進んだ。 午後 5 時(日本時間 10 日午前 6 時)時点では 1 ドル = 105 円 59 - 69 銭と前日同時刻より 43 銭の円高ドル安。

トランプ米大統領は 9 日、中国との通商交渉について「合意の準備ができていない」などと発言し、9 月に予定する高官級協議の中止も示唆した。 中国の情報通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)とも「ビジネスをしない」と強硬姿勢を示し、市場では米中対立が泥沼化しかねないとの懸念が強まった。 今月初めにトランプ氏が中国への追加関税「第 4 弾」を表明して米中摩擦が再燃して以来、対ドルで約 4 円も円高が進んだことになる。

ニューヨーク株式市場では大企業で構成するダウ工業株平均が反落。 下げ幅は一時、280 ドルに達した。 終値は前日比 90.75 ドル (0.34%) 安い 2 万 6,287.44 ドル。 ハイテク株の多いナスダック市場の総合指数も下落し、同 80.02 ポイント (1.00%) 低い 7,959.14 で取引を終えた。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 8-10-19)

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株下落が止まらぬ東京市場 円高が重し、もろさを露呈

トランプ米大統領による対中追加関税「第 4 弾」の表明を機に再燃した米中貿易摩擦で、日本の金融市場の動揺が続いている。 日経平均株価の下落幅は、7 日までの 4 営業日で計 1 千円を超えた。 前日の米国市場は懸念が和らいだとしていったん株価は上昇したが、続いて取引が始まった日経平均は下落。 円高が重しになっている東京市場のもろさを露呈した。

7 日の日経平均は 4 営業日続けて値下がりし、一時下げ幅が前日比 180 円に迫った。 終値は前日より 68 円 75 銭安い 2 万 0,516 円 56 銭で、2 カ月ぶりの安値水準。 為替市場で円を買う動きが続いており、一時 1 ドル = 105 円台後半まで円高ドル安が進んだのが主因だ。 自動車や電機など国内経済の屋台骨である輸出企業を中心に、企業業績が下ぶれしていく懸念が強まっている。

一方、前日のニューヨーク株式市場は、大企業でつくるダウ工業株平均が 6 営業日ぶりに反発した。 終値は前日比 311.78 ドル (1.21%) 高い 2 万 6,029.52 ドルとなった。 主要指数の S & P 500、ナスダックもそろって反発。 アジアの市場では、インドネシアやフィリピンなどの主要指数が値上がりした。 こうした市場が好感したのが中国人民銀行(中央銀行)の動きだ。 人民元レートの対ドル基準値を、市場の実勢より人民元高に設定。 過度に元安が進むのを防ぐ意思を示した。 米財務省が 5 日に中国を「為替操作国」に認定し、米中摩擦の激化への懸念から世界同時株安を招いたが、通貨安競争に突入する懸念は和らいだ。

ただ、トランプ米大統領が中国への追加関税を発動する姿勢は変えておらず、円高が重しになる東京市場では「リスク要因が多いなかで、いずれも先が見通せていない。(大手証券)」 日本銀行の政策余地が乏しいなか、この日ニュージーランドの中央銀行が大幅利下げに踏み切ったことも円高圧力に働いた。 「安全資産」とされる国債を買う動きから、金利低下も続く。 長期金利の指標である 10 年物国債の流通利回りが、再びマイナス 0.2% まで低下する場面もあった。

今後、夏場は国内外の市場参加者が少なくなるため、相場が大きく動きやすくなるとされる。 政府と日本銀行は 5 日に緊急会合を開き、財務省の武内良樹財務官は「これからマーケットの動きを非常に真剣にみていきたい」と市場を牽制。 「米株などの一時的な反発も相場が安定していく決め手にはならない(大手証券)」といい、不安定な相場の動きが当面続きそうだ。 (山口博敬、湯地正裕、asahi = 8-7-19)

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東京円が急騰 105 円台、東証は下落 米中摩擦再燃で

5 日の東京金融市場は、円相場が 1 ドル = 105 円台まで急騰して 7 カ月ぶりの円高水準となり、日経平均株価の下げ幅が一時 500 円を超えた。 米中貿易摩擦の再燃で、世界経済の先行き懸念が高まったため。 中国の人民元は対ドルで 11 年ぶりの水準に下落し、米株価も大幅続落。 金融市場の不透明感が高まっている。

混乱の発端は 1 日のトランプ米大統領のツイッターでの発言。 中国からの輸入品への追加関税「第 4 弾」を 9 月 1 日に発動すると表明。 これを受け、米中間で 9 月に予定した協議再開に中国が同意しない可能性も報じられた。 いったんは小康状態にあった貿易摩擦が再燃し、世界の景気悪化が進むとの見方から、5 日の東京市場は投資家の「リスク回避」の動きが鮮明になった。

「安全資産」とされる円を買う動きが強まり、円相場は 1 月上旬以来の水準となる一時 1 ドル = 105 円 70 銭台に到達。 先週からの急騰幅は 3 円を超えた。 貿易摩擦が長期化するとの見通しから、米連邦準備制度理事会 (FRB) の追加利下げ観測も強まり、米金利が低下。 日米の金利差縮小で円高に拍車がかかった。 円高が進めば、電機や自動車など輸出企業の業績の重しとなる。 日経平均は一時 500 円超も下落し、終値も前週末比 366 円 87 銭安い 2 万 0,720 円 29 銭に。 上海などアジアの株式市場も全面安となった。

安全資産とされる日本国債も買われ、長期金利の指標となる 10 年物国債の利回りは一時、マイナス 0.2% と 2016 年 7 月以来の低水準に。 先行きも「株式市場などは乱高下になりやすい状況が続く(国内大手証券)」との見方が強い。

また、元売りドル買いの動きが強まり、5 日の上海外国為替市場で人民元相場は一時、1 ドル = 7.0 元台と 2008 年 5 月以来、11 年ぶりの水準に低下。 通貨当局の中国人民銀行はこれまで、1 ドル = 7.0 元を事実上の防衛ラインに口先介入をしてきた。 米国の追加関税の効果を打ち消せるよう、元安容認に出たとみられる。 トランプ氏はツイッターで「為替操作だ」と批判。 今後、通貨安競争が進む恐れもある。 元安を警戒し、5 日のニューヨーク株式市場はダウ工業株平均が大きく続落して始まり、下げ幅は一時、500 ドルを超えた。 (笠井哲也、福田直之、ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 8-5-19)


4 - 6 月 GDP は 3 四半期連続増、 内需けん引 - 名目は過去最高

設備投資は 1.5% 増、個人消費は 0.6% 増、政府消費は 0.9% 増
内需を中心とした緩やかな回復が続いている - 茂木再生相

2019 年 4 - 6 月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は、3 四半期連続でプラス成長となった。 個人消費や企業設備投資など堅調な内需を背景に、伸び率は市場予想を上回った。 名目 GDP は前期比 0.4% 増の 557.8 兆円と過去最高を更新した。 内閣府が 9 日発表した。

キーポイント

4 - 6 月期実質 GDP は前期比 0.4% 増、年率換算 1.8% 増
個人消費は 0.6% 増(予想は 0.7% 増)
設備投資は 1.5% 増(予想は 0.8% 増)
輸出は 0.1% 減、輸入は 1.6% 増
住宅投資は 0.2% 増
政府消費は 0.9% 増
名目 GDP は前期比 0.4% 増の 557.8 兆円、年率換算 1.7% 増 - 過去最高

茂木敏充経済財政・再生相は GDP 発表後の記者会見で、世界経済の動向には細心の注意を払う必要があるものの、日本経済は「内需を中心とした緩やかな回復が続いている」との認識を改めて表明。 ただ、「海外のリスクがどうなっていくのかはマインドに影響していく分はある」ため、「リスクが顕在化した場合には躊躇なく対策を打つ方針」と語った。

エコノミストの見方

東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミスト : 設備投資がそろそろ陰ってくると思ったが意外に頑張ったこと、政府消費が伸びていること、輸入の反動増が大きいかと思ったがそうでもなかったことなど、幾つかサプライズがある。 数字の上ではそのあたりが上振れ要因になった。 個人消費はコンセンサス通りだが、連休効果もあって消費もしっかり戻ってきている分が影響している。 公共投資は補正予算効果が進捗し始めた。 7 - 9 月期も駆け込み需要で伸びていくが、国内需要は現時点ではそれほど落ちていないということが言える。

日本総合研究所の成瀬道紀副主任研究員 : 消費が強いのは雇用所得環境の改善に加え、改元に伴う 10 連休や消費増税前の耐久財消費材の売り上げ伸長と、もともと実力もあったところにプラス要因が加わった。 設備投資は 1 - 3 月が弱めだったので、若干プラスになるだろうと考えていた。 7 - 9 月までは耐久消費財の伸びが続くだろう。

予定外だったのはトランプ大統領の対中追加関税第 4 弾の発動だ。 それ以前の GDP 予測ではシリコンサイクルも今後回復し、輸出も持ち直すと思っていたが、9 月の追加関税発動により外需の方が怪しくなって、不透明性が高まっている。 7 - 9 月まではプラス成長を維持するものの、10 - 12 月はマイナスに転じる見通し。 消費税後の反動減があるほか、世界経済も米中摩擦の影響で悪くなってくると下振れリスクが高まる。

第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト : 一番大きいサプライズは政府消費支出。 その他の部分はほぼ予想通りの内容。 政府消費支出は要因が書いてあるわけではないのでもう少し分析しないとコメントは難しい。 ヘッドラインの数字だけ見ると景気はしっかりしているように見えるが、そこまで強くはないだろう。 米中貿易摩擦の影響で輸出は明らかに弱く、消費も 10 連休や増税前の駆け込みなど特殊要因に押し上げられた部分が大きい。 リスクは明らかに下振れ方向だ。

今日の数字をもって景気の先行きに楽観的にはなれない。 米中貿易摩擦は激化しており 10 月には消費増税もある。 日銀にとっては、内容はともかく、マイナス成長にならなかったのはとりあえずポジティブと捉えているのではないか。 マイナス成長になると何らかの政策対応をとの声が高まっていただろう。

詳細

国内需要は 3 四半期連続のプラス成長、外需寄与度は 2 四半期ぶりのマイナス - 内閣府担当者
エアコンなどの家電が個人消費に寄与、建設などのセクターで設備投資が増加
外需の寄与度低下の主因は、原油やエネルギーを中心とする輸入の増加
1 - 3 月期の実質 GDP 成長率は前期比年率 2.8% に上方修正(従来 2.2%) - 内閣府

背景

日本銀行は 7 月に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、実質 GDP 成長率見通し(政策委員の中央値)を、19 年度は 0.8% から 0.7%、21 年度は 1.2% から 1.1% に引き下げた。 海外経済などを巡る下振れリスクを警戒。

政府は 7 月の年央試算で、19 年度実質 GDP 成長率を 1 月時点の政府経済見通し 1.3% から 0.9% に引き下げた。 6 月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が、景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す「下げ止まり」に据え置かれた。 「下げ止まり」は 2 カ月連続。 (占部絵美、Bloomberg = 8-9-19)


税収最高の 60 兆円超 18 年度、バブル期上回る

国の 2018 年度の税収が 60 兆円超になることが 26 日、分かった。 バブル期の 1990 年度(60.1 兆円)を超えるのは確実で過去最高となる。 18 年度は世界経済が好調で株式の配当収入などが増え、所得税が伸びた。 財務省は 18 年 12 月に閣議決定した第 2 次補正予算案で 18 年度の税収を 59.9 兆円と見込んでいたが、数千億円上振れする見通しだ。 所得税は 4 千億円ほど上振れる。

法人税収は伸び悩んだ。 サービスなど非製造業の業績が底堅く税収増に寄与したものの、米中貿易摩擦の影響を受ける製造業の業績が振るわなかった。 地銀の業績も厳しく、税収の下押し圧力となった。 その結果、税収全体の上振れ幅は 17 年度の 1.1 兆円から、18 年度は数千億円にとどまるもようだ。 政府は 10 月の消費税率の 10% への引き上げを前提に、19 年度の税収を 62.5 兆円と見込んでいる。 ただ、世界経済の先行き次第では法人税収が減る可能性がある。 (nikkei = 6-26-19)


外為 12 時 円上昇、106 円台迫る 対ユーロは 120 円 99 銭

21 日午前の東京外国為替市場で円相場は上昇した。 12 時時点は 1 ドル = 107 円 09 銭近辺と前日 17 時時点に比べ 58 銭の円高・ドル安だった。 米国の早期利下げ観測が強まり、円買いが先行した。 米長期金利が日本時間 21 日の時間外取引で再び 2% に迫る水準に低下し、円の対ドル相場は一段高となった。 午前 10 時の中値決済に向けて「円の先高観の強まりで、国内輸出企業が月末に向け慌てて円買い・ドル売りに動いている。(国内銀行の運用担当者)」との声もあった。

9 - 12 時の円の安値は 107 円 37 銭近辺で、高値は 107 円 06 銭で値幅は 31 銭程度だった。 円は対ユーロでも買われている。 一時は 1 ユーロ = 120 円 99 銭近辺に上昇し、3 日以来となる 120 円台に上昇した。 12 時時点は 121 円ちょうど〜 01 銭と同 64 銭の円高・ユーロ安だった。 円の対ドルでの買いが、対ユーロにも及んでいる。 ユーロは対ドルで小幅に上昇している。 12 時時点は 1 ユーロ = 1.1299 ドル近辺と同 0.0002 ドルのユーロ高・ドル安だった。 (nikkei = 6-21-19)

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日経平均、下げ幅 200 円超す トランプ氏「中国がディール破った」と一部報道

9 日午前の東京株式市場で日経平均株価が一段安となった。 一時前日に比べ 250 円ほど安い 2 万 1,350 円近辺まで下げた。 トランプ米大統領が米中貿易協議を巡り「中国はディール(取引)を破ったなどと述べた」と米ブルームバーグ通信が日本時間 9 時 30 分すぎに伝え、嫌気されたようだ。 外国為替市場で円相場が 1 ドル = 109 円台後半まで上昇したのも、先物の売りを促した。 (nikkei = 5-9-19)


底堅い設備投資、「増える」が 64 社 100 社調査

最近の国内景気を支えてきた企業の設備投資。 2019 年度の国内の設備投資額(一部企業は海外を含む)が、前年度より「増える」、「やや増える」と回答したのは計 64 社だった。 投資を増やす企業に、主な目的(二つまで)を聞くと、最多だったのは「能力増強(29 社)」。 続いて「老朽化した設備の更新(20 社)」、「合理化や省力化(17 社)」が多かった。 明治ホールディングスの川村和夫社長は「人手不足が懸念されるなか、省力化した生産ラインを投入していく」と話す。

「減る」、「やや減る」としたのは計 9 社。高水準だった前年度からの反動を、理由に挙げる企業が目立った。 今は底堅い設備投資だが、米中の貿易摩擦が続いた場合、慎重姿勢が広がる恐れもある。 日本生命の朝日智司常務は「海外経済の先行き次第では、設備投資にも悪影響が及ぶ可能性が高まる」と指摘する。 来年夏の東京五輪後の状況も見通せない。 五輪関連の建設投資は、景気の押し上げ要因になってきた。 鹿島の押味至一社長は「大会前に完成予定の工事が多くあるため、19 年度の施工高は堅調だが、20 年度は踊り場になる。 国内だけではなく海外の受注に着目し、バランスをとっていく予定」という。 (長橋亮文、asahi = 6-18-19)

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景況感が急速に悪化、「足踏み」が過半に 100 社調査

国内の景気、どうみる?

全国の主要企業 100 社を対象にした朝日新聞のアンケートで、国内の景気が「足踏み(踊り場)状態にある」と答えた企業が 57 社にのぼり、昨年 11 月の前回調査の 32 社から 2 倍近くに増えた。 対象企業の景況感は急速に悪化しており、大半が米中の対立を懸念材料として挙げている。 調査は春秋の年 2 回行っている。 今回は 5 月 27 日 - 6 月 7 日に実施し、5 割弱の企業には、経営陣に面談して取材した。

国内景気について「緩やかに拡大している」と答えた企業は 32 社にとどまり、前回の 65 社から半減した。 「緩やかに後退している」は前回の 1 社から 10 社に増え、「後退している」も 1 社あった。 昨年秋ごろから中国経済が減速し、今年 5 月上旬には米中貿易摩擦が再燃。 景気認識が大きく変わったことが見てとれる。

「足踏み」と答えた 32 社に理由を 2 つまで挙げてもらったところ、「個人消費」が 27 社で最多だった。 実質賃金が思うように上がらないなか、食料品を中心に相次ぐ値上げが消費者心理を冷やしていることが背景にあるとみられる。 アサヒグループホールディングスの小路明善社長は、「個人消費は安倍政権の成長戦略の土台だが弱含みが続いており、景気を押し上げるまではいかない」と指摘する。 このほか、「輸出」を挙げた企業も 20 社あり、中国経済の減速も影響しているとみられる。

また、今後の国内景気への懸念材料(2 つまで)を聞いたところ、「海外経済の先行き(74 社)」、「個人消費の停滞(32 社)」、「消費税率の引き上げ(20 社)」の順で多かった。 今の世界の景気については、「緩やかに拡大」と「足踏み(踊り場)状態」がそれぞれ 39 社となり、見方が分かれた。 懸念材料として「米中の貿易摩擦による中国経済の減速」を挙げのは 87 社に達し、多くの企業が米中対立の行方を注視していることを示した。 東京製鉄の西本利一社長は「中国国内にある半導体関連産業向けの機械や原料への設備投資が大きく減っており、鉄鋼需要にも悪影響が出ている」と話す。 (高橋末菜、asahi = 6-17-19)


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記事コピー (asahi = 4-22-19 & 6-5-19)


後継者難の企業束ね「連邦経営」 力合わせて生き残る

埼玉県ときがわ町にある工場。 足を踏み入れると、すぐに甘い香りに包まれた。 焙煎された落花生を粉砕器に入れ、細かく砕く工程が続いていた。 これを自家製のペーストに仕立てていく。 水を一滴も入れず、保存料や着色料、香料も使わない。 「だから、豆そのものの味を引き出せるんです。」 案内してくれたダイショウの森本政英副社長 (48) は言う。

同社はピーナツバターなどの製造・販売を手がけ、従業員約 20 人の小さな会社だ。 ピーナツバターでは 30 年の歴史があり、売上高はこのところ増え続けている。 2019 年 2 月期は 7.3 億円と、4 年前の 4 割増。 好調な経営の背景には、会社のかたちを変えた大きな出来事があった。 「M & A (企業合併・買収)により、当社はヨシムラ・フード・ホールディングスに入ることになりました。」

14 年の年明け早々。 当時の社長は社員を集め、こう宣言した。 いきなりの発表に、営業主任だった森本さんは面食らった。 中小企業を次々と傘下に収め、毎年、売上高を約 2 割ずつ増やしている企業があります。 実力はあるのに後継者不在で存続が難しい企業の M & A (企業合併・買収)により、グループ全体の成長につなげる「連邦経営」。 その現場を取材しました。

社長は亡くなった創業者の妻。 高齢で後継者もなかった。 原材料高などのリスクも常につきまとう。 社長は取引銀行と相談し、ヨシムラ・フード・ホールディングス (YFHD、東京) を紹介されたという。 YFHD は、吉村元久最高経営責任者 (CEO、55) が 08 年に設立した持ち株会社だ。 すでに食品に関わる中小企業 6 社を傘下に収めていた。 吉村氏は「製造は強くても、営業やマーケティングが弱く、成長の制約になっている中小企業は多い」と話す。 「人と同じで、会社にも得手不得手がある。 ならば、互いの弱みは補い合うことで、それぞれの強みが生きるようなしくみをつくろうと考えたのです。」

ダイショウは関東では知名度があるが、東北や西日本での販売力が乏しかった。 YFHD のグループに入ると、同じグループの宮城の乾麺メーカーと愛媛の冷凍カキフライメーカーが、それぞれの販路でダイショウの製品を売り込んだ。 自社での営業も強め、製品を取り扱ってくれるスーパーを全国規模で開拓した。 別のグループ企業の力も借り、業務用製品の販売も強めた。

工場でのコストも、グループの規模のメリットを生かして減らしている。 洗剤やゴム手袋などの消耗品は、グループで共同調達。 数十万円する洗浄機や細菌検査キットは、グループの他社から借りている。 ダイショウでは経費が「1 割は減った(森本さん)」という。 YFHD が買収する会社の多くは、ダイショウのように後継者がいなかったり、単独での成長が難しかったりといった課題があった。

中小企業経営者の高齢化が進み、後継者難の問題は深刻化している。 後継者がいないばかりに、業績がいいのに廃業せざるをえないケースもある。 政府は今後、大量の「廃業予備軍」が生まれると警戒する。 そうした状況をとらえ、実力はあるのに存続が危うくなった企業を束ね、生き残りを図る - - それが YFHD の発想だ。 また、YFHD は投資ファンドではないため、買収した会社を中長期で支援する形態だ。 会社を残したい経営者は、買収されるとしても安心感がある。 グループ内の部門責任者を、買収された会社から登用するなど、各社のやる気を高める人事上の工夫もしている。

YFHD は 16 年に東京証券取引所の新興企業市場・マザーズに上場。 17 年には東証 1 部に昇格した。 すでに 18 社がグループに入っている。 グループ企業が増えれば、各社の経営に目が行き届きにくくなるリスクもある。 19 年 2 月期は、シューマイ製造会社でギョーザ製造も請け負ったことをきっかけに、需給の管理などが難しくなり採算が悪化。 原材料高などもあり、純利益が前年同期より 3 割以上減った。

それでも、シンガポールの食品販売会社を新たに買収し、グループの商品を海外に売り込む足がかりをつくるなど、M & A による成長をめざす戦略に変わりはない。 後継者問題を抱える企業経営者の中には、M & A で自社を譲り渡すことに前向きな人も出てきているという。 吉村氏は「社会的ニーズを肌で感じている。 年間 3 - 5 社は引き受けたい」と語る。 (榊原謙、asahi = 5-31-19)


鉱工業生産 4 月 0.6% 増 電子部品低調、回復鈍く

経済産業省が 31 日発表した 4 月の鉱工業生産指数速報(2015 年 = 100、季節調整値)は 102.8 と、前月に比べて 0.6% 上昇した。 増産は 2 カ月ぶり。 自動車や生産用機械などの生産が増えた。 一方で電子部品・デバイスなど輸出関連の品目は低調だった。 中国経済の減速を受けて減産が続いた業種も目立ち、1 - 3 月の停滞からの回復は鈍い。

QUICK がまとめた民間予測の中心値(0.2% 上昇)は上回った。 業種別では 15 業種中、10 業種が上昇した。 最も上昇に寄与したのは自動車で、前月比 3.2% 上昇した。 国内向けに普通乗用車などが増産となった。 前月に大きく落ち込んだ生産用機械はアジア向けのディスプレー製造装置などが回復し、5.3% 上昇した。 経産省は「5 月の大型連休を前に、生産を 4 月に前倒しした可能性がある」と指摘した。 一方で出荷指数も 1.7% 上昇の 102.6 と 2 カ月ぶりに前月を上回ったことから「需要が良かったことが生産に寄与した面もある」と分析した。

もっとも、業種別の生産では汎用・業務用機械は 7.1% 低下、電子部品・デバイスは 7.7% 低下だった。 中国向け輸出がけん引役となってきた品目は引き続き減産基調が続いた。 先行きは強弱入り交じっている。 メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、5 月は前月比 5.6% の上昇、6 月は 4.2% の低下となる。 経産省はこうした見通しをもとに生産の基調判断を「一進一退」とし、前月の「このところ弱含み」から上方修正した。 経産省は「このところの米中貿易摩擦などの影響はまだ織り込まれていない」と指摘した。 4 月の在庫指数は 103.8 で、前月比横ばいだった。 (nikkei = 5-31-19)

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機械受注、1 月は 3 カ月連続減少 設備投資先送りの懸念

[東京] 内閣府が 13 日に発表した 1 月機械受注統計は予想以上の落ち込みとなり、昨年 11 月以来の受注額減少に歯止めがかからない結果となった。 製造業・非製造業ともに減少し、設備投資は来年度に調整局面に入るとの見方が急速に強まってきた。 設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比 5.4% 減の 8,223 億円となった。 3 カ月連続で減少した。 ロイターの事前予測調査では 1.7% 減と予想されていたが、予想以上の減少となった。 前年比では 2.9% 減だった。

機械受注の減少は、輸出の減速が影響している可能性がある。 製造業からの受注は昨年 11 月から下げ止まらない。 特に電気機械、情報通信機器は減少が続いており、自動車・同付属部品も 1 月は大幅な落ち込みとなった。 他方、堅調だった非製造業(除く船舶・電力)も 1 月は大きく減少。運輸業やその他非製造業、通信業からの受注が落ちこんだ。

世界的に設備投資が落ち込んでいる可能性があり、外需は 2 カ月連続で 18.1% もの減少となっている。 国内でも調査機関からは、日銀短観などの設備投資計画は強めだが、先送り姿勢が強まっている可能性が指摘されている。 すでに公表されている 1 - 3 月期の受注見通しは前期比 0.9% 減と 2 四半期連続の減少となっている。 この減少見通しの達成には、2 月、3 月の受注額が前月比それぞれ前月比 5% 程度の伸びを確保する必要がある。 しかし関連指標では、2 月の工作機械受注(内需)が前月比 10.9% 減となり、大幅に落ち込んでいる。

これまでは人手不足が省力化投資を活発化させ、設備投資を支えるとの見方が多かったが、仮に景気が悪化すれば、人手不足感が一服する可能性もある。 農林中金総合研究所では、19 年度入り後の設備投資は、企業業績の悪化や五輪特需の剥落等を受けて調整局面に入る可能性があるとの見方を示している。 (Reuters = 3-13-19)