ごみ出しルール知って 中国・ベトナム人の技能実習生向け 稚内市がパンフ作製

【稚内】 市は市内で増加している中国人とベトナム人の技能実習生に、ごみ出しのルールを知ってもらおうと、ベトナム語と中国語版のパンフレット「稚内市ごみと資源物の出し方」を作製した。 ごみ出しを巡り、地域でトラブルが起きたことを踏まえた措置で、実習生を受け入れている市内の水産加工会社などに配布した。 市内には水産加工会社を中心に、技能実習生が年々増加している。 市内の技能実習生は 7 月末現在、中国人 155 人、ベトナム人 150 人の計 305 人となっている。

市によると、一部地域で市指定の有料ごみ袋を使わずに、スーパーなどのビニール袋でごみを出したり、未分別のごみが目立ったりし、住民が改善を求めていた。 市が市民向けの出前講座で使用していたパンフレットを、技能実習生を受け入れている道漁連の関連団体に翻訳してもらい、作製した。 A4 判のカラーコピー 3 枚 1 セットで、一般ごみや生ごみ、資源ごみなどの分別方法やごみステーションに出す時間帯を説明している。 (北海道新聞 = 8-18-19)


看護師目指す外国人、落ちても「特定技能」へ 政府検討

介護の人材不足を解消するため、政府は経済連携協定 (EPA) で来日した外国人が目指す試験に落ちても帰国せず、在留資格「特定技能」に移行して介護現場で働けるようにする取り組みを進めている。 すでに介護福祉士の候補者は移行できるようにしたほか、看護師の候補者も移行対象にすることを検討している。 厚生労働省によると、介護人材は 2025 年度に約 34 万人不足する見込み。 4 月に導入した新しい在留資格「特定技能」では、介護分野は 5 年間で 6 万人の受け入れを見込むが、不足解消のめどは立っていない。

一方、EPA に基づく在留資格は、介護や看護の現場で働きながら、介護福祉士や看護師の資格取得をめざすものだ。 合格すれば在留資格を上限なく更新できるが、不合格なら介護福祉士候補者は最長 5 年、看護師候補者は最長 4 年で帰国しなければならない。

制度が始まった 08 年度以降、介護福祉士の候補者はインドネシア、フィリピン、ベトナムから 18 年度までに約 4,300 人が来日。 計 1,724 人が試験を受けたが、約 4 割にあたる 739 人が不合格だった。 政府は 5 月、得点が合格点の 5 割以上などの条件を満たした人が希望すれば、日本語試験などを経ずに「特定技能 1 号」に移行できるように運用要項を改正。 特定技能 1 号は最長 5 年働けるため、あわせて最長 10 年働けるようにした。

さらに今後、看護師試験に受からなかった人も、一定の条件を満たせば特定技能に移行可能にすることを検討している。 看護師候補者は、同じ 3 カ国から 18 年度までに計 1,300 人が来日し、合格者は計 413 人だった。 候補者は医療機関で看護師を補助して働き、患者の入浴や排泄(はいせつ)などの介助も行うため、厚労省の担当者は「介護とつながる部分も多い」と即戦力になることを期待する。

このほか介護分野の在留資格には、最長 5 年働ける「技能実習」や、留学生として養成施設で学んだ人が介護福祉士試験に合格すると得られる「介護(更新上限なし)」がある。 政府は、技能実習や特定技能で 3 年以上の介護経験を積むなどして介護福祉士試験に合格した人は、在留資格「介護」に移行できるようにする方針。 技能実習生が 3 年以上の経験を積めば無試験で特定技能に移行できるようにすることは、すでに決めている。 (石川春菜、asahi = 8-11-19)


技能実習、5,160 事業所で法令違反 違法残業など

厚生労働省は 9 日までに、2018 年に実施した外国人技能実習生が働いている事業所への調査で、5,160 事業所で違法残業や賃金未払いなどの法令違反を確認したと発表した。 前年から 22% 増え、5 年連続で過去最多を更新した。 特に悪質だとして労働基準監督署が書類送検などしたのは 19 件。 前年から 15 件減ったが、厚労省は「実習生を巡る労働問題に注目が集まり、厚労省への情報提供が増えている」とみている。

厚労省は 18 年、外部からの情報提供や実習生本人の相談をもとに 7,334 事業所を調査した。 調査数は前年から 23% 増えた。 うち 70.4% に当たる 5,160 事業所で法令違反が見つかった。 最も多かったのは「労働時間」に関する違反で 1,711 件あった。 使用する機器の安全対策不足など「安全基準」が 1,670 件、残業代の不払いなど「割増賃金の支払」が 1,083 件と続いた。 複数の違反が見つかった事業所もある。

業種別に見ると、「機械・金属」での違反が最も多く、1,937 事業所と全体の 4 割弱を占めた。 「食料品製造」の 936 事業所、「繊維・衣服」の 502 事業所が続いた。 縫製業の事業所で全 6 人の実習生に対し、計約 1 千万円の賃金を所定の日に支払わなかったり、労使協定(36 協定)を結ばずに月平均 178 時間の時間外・休日の労働を 10 カ月間させたりしていた事例などがあった。 (nikkei = 8-9-19)


外国人実習生に残業 104 時間 延岡の経営者書類送検

外国人技能実習生に 1 カ月当たり最長で 104 時間を超える時間外労働をさせ、適正な割増賃金を払わなかったとして、延岡労働基準監督署は 5 日、労働基準法違反の疑いで延岡市日の出町の縫製業「ニッポー」の男性経営者 (43) を書類送検した。 (宮崎日日新聞 = 8-6-19)


技能実習生の送出機関が 13 機関に増加 バングラデシュ

ダッカ : バングラデシュ政府は 2019 年 5 月下旬から 6 月下旬にかけて、日本へ技能実習生を派遣する送出機関として新たに 11 機関を認定した。 これにより、認定送出機関の数は 2 から 13 へ大幅に増加した。

日本の厚生労働省とバングラデシュの海外移住者福利厚生・海外雇用省は、2018 年 1 月に「技能実習に関する協力覚書」を締結しており、技能実習生の送り出しや受け入れに関する要件を満たすことを条件に、バングラデシュから日本へ技能実習生を派遣している。 この技能実習制度は、日本からバングラデシュへの技能などの移転を適正かつ円滑に行い、国際協力を推進することを目的としている。

この覚書では、両国が定めた認定基準に基づき、バングラデシュ政府が送出機関の認定を適切に行うことも定めており、同覚書の締結後は、バングラデシュ政府が認定した 2 つの送出機関が技能実習生を日本へ派遣していた。 日本の外国人技能実習機構 (OTIT) は今般、新たにバングラデシュ政府が認定した 11 機関を加えた送出機関リスト PDF ファイル を公表している。

法務省の在留外国人統計によると、2018 年 6 月末時点で、日本には 1 万 4,948 人のバングラデシュ人が在留し、そのうち技能実習生は 106 人(在留資格「技能実習 1 号ロ」と「技能実習 2 号ロ」の合計)となっている。 送り出しに時間を要することもあったバングラデシュから日本への技能実習生の派遣が、送出機関の大幅な追加により、迅速化すると見込まれる。 (安藤裕二、JETRO = 7-30-19)


技能実習 1 カ月 220 時間超の違法残業 縫製業者を書類送検 庄内労基署

山形・庄内労働基準監督署は、外国人技能実習生に対して違法な時間外労働を行わせたとして、縫製業の潟tォーティーン(山形県鶴岡市)と同社役員を労働基準法第 32 条(労働時間)違反の容疑で山形地検鶴岡支部に書類送検した。平成 30 年 11 - 12 月、技能実習生 6 人に対して最長 142 時間 45 分の違法残業を行わせている。

同社は、1 カ月の残業の上限を 42 時間とする時間外・休日労働に関する労使協定(36 協定)していたが、それを大幅に超える違法残業を行わせた疑い。 また、同役員が事業主を務める「緑衣料(山形県東田川郡三川町)」も同法違反の疑いで送検されている。 実習生 3 人に対して違法な残業をさせていた。 上限である 42 時間の上限を超えて、最長 226 時間 45 分の違法な長時間労働を行わせている。 同労基署は、情報提供に基づいて捜査を開始していた。 (労働新聞 = 7-24-19)


イオンリテール、技能実習生を初採用 総菜売り場で勤務

イオンリテールは外国人技能実習生を初めて採用する。 7 月下旬にベトナム国籍の 12 人が入社し、関東や近畿で運営するスーパーに配属される。 総菜部門の製造強化や国内の人手不足を見据えた取り組みで、今後も状況を見ながら受け入れ人数や店舗を増やす方針だ。 入社するのは 20 代中心のベトナム人女性。 現地や日本で日本語を学び、仕事の基礎などの講習を受けている。 入社後、8 月から千葉県や京都府の計 3 店舗に配属され、店内の総菜部門で商品加工などを担当する見通し。

基本、3 年間勤務する予定。 1 年以内に技能試験に合格することで、2 年目以降の在留資格を取得する。 今後は 11 月にも東海地方の店舗でベトナム人技能実習生の受け入れを始める計画。 店舗の要望を聞きつつ、実習生の人数を順次増やす。 日本にいる外国人労働者数(2018 年 10 月時点)は約 146 万人で、うち技能実習生は約 30 万 8 千人。 小売業界の労働力不足の解消につながると期待されているものの、現行の外国人技能実習制度は改善すべき点が多いとの声がある。

埼玉県が地盤のスーパー、ヤオコーでは現在、200 人超の外国人技能実習生が加工センターや店内の鮮魚加工部門で働いている。 ただ制度の要件上、商品の陳列や発注などの業務はできない。 川野幸夫会長は「日本人従業員と同様に店内の単純作業から始め、徐々に専門的な仕事を覚え、管理職の仕事に就くなどステップアップできる制度が必要だ」と指摘する。 (nikkei = 7-17-19)


月 6 万円の過酷労働、病気で半身不随 日本恨んだ実習生

外国人労働者受入れ側の体制

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今治・ベトナム人労働者問題で表面化した監理団体の無責任

外国人労働者受入れ側の体制

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外国人を不当にこき使う繊維・衣服産業の疲弊

外国人労働者の実態

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死亡した技能実習生らに捧げる祈り 東京・港区に供養塔

日本で亡くなったベトナム人の技能実習生や留学生らを弔っている浄土宗の寺院「日新窟(にっしんくつ、東京都港区)」で供養塔が完成し、30 日、落慶法要があった。 両国の僧侶約 20 人が、亡くなったベトナム人にそれぞれの言葉で祈りを捧げた。 同寺は、約 150 人のベトナム人の位牌(いはい)を預かってきた。 半数が技能実習生や留学生で 2 割が中絶の水子という。 病死や自殺、事故で亡くなる若者が増え、位牌を安置する場所に困っていたため、寄付なども受け供養塔を建立したという。

この日は僧侶の荻須真尚さん (43) が、集まった 200 人近くのベトナム人の実習生や留学生を前に「夢と希望を持って来たのに、つらいことばかりだと思うが一人で悩まず、助けを求めてほしい」と語りかけた。 同寺院の僧侶吉水慈豊さん (49) は「今後、国際寺院として、色々な外国人や低所得の日本人も供養塔に受け入れたい」と話す。 (平山亜理、asahi = 6-30-19)

前 報 (2-23-19)


今治タオル 外国人技能実習生で風評被害

タオルの製造・販売を行うオルネット(愛媛県今治市)は 6 月 25 日、同社が外国人技能実習生を劣悪な環境で働かせているのではないかというネットの噂を、否定する声明を発表した。 きっかけは NHK が 6 月 24 日に放送したドキュメンタリー番組『ノーナレ』。 番組では、愛媛県のタオル縫製工場で働くベトナム人技能実習生たちが取り上げられた。 婦人服や子供服の製造という名目で雇われた 28 人だったが、実際にはタオルの製造をさせられているとして、このうち 4 人が昨年、NHK に助けを求めていた。

7 時半から夜 10 時過ぎまで働かされ、何かあれば「ベトナムに強制帰国させる」と脅されるという。 残業時間は過労死ラインの 2 倍以上である 180 時間にも上るが、支払われる残業代は 40 時間分のみ。 厳しいノルマが課せられ、会社の敷地の、窓のない狭い寮に 28 人で生活していたことも明かされた。

助けを求めた 4 人は支援団体によって保護された。 会社には行政の調査が入ったが、その後も労働環境の改善は見られないという。 その後、さらに数人が保護されたが、会社に残ったうちの 1 人が今月下旬、脳出血で倒れ、意識不明の状態が続いている。 ネットでは番組に衝撃を受けた視聴者が多く、「今治タオルもう買わない」などの声も挙がった。 番組内で企業名は伏せられていたが、報道された会社の外観などから、実習生が働いていたのは森清タオルだと断定する声が高まった。

こうした批判を受け同社は 25 日、公式サイトに、

「6 月 24 日に NHK の『ノーナレ』という番組で今治のタオルの縫製工場が取り上げられました。 当社ではないかという問い合わせが何件か寄せられていますが、当社は関連会社を含め、技能実習生の雇用をしておりません。 今後もみなさまに愛される会社を目指して参りますので、よろしくお願いいたします。」

という声明を掲載。 ネット上での噂を否定した。

また、タオル工場の労働環境について最初に取り上げた E テレ『バリバラ』の公式ツイッターも同日、

「昨夜の『ノーナレ』でバリバラに出演してくれた技能実習生たちをあらためて取材しました。 ただ、取り上げた会社とは無関係な会社がネットに出ています。 問い合わせや苦情が殺到し、困っておられます。 控えて下さいますようお願いします。」

と注意喚起している。 (キャリコネ = 6-25-19)


工場火災、ベトナムから悲痛の声 20 代女性技能実習生と連絡取れず

福井県永平寺町の織物製造「豊島繊維」の工場で 4 人の遺体が見つかり、従業員 4 人が負傷した 6 月 20 日の火災で、連絡が取れない従業員の中に 20 代女性のベトナム人技能実習生がいることを受け、ベトナム本国でもインターネット上で実習生の身を案じる悲痛な声が広がっている。

ベトナム在住とみられるキリスト教関係の人が 21 日、フェイスブックに福井新聞オンラインの記事のリンクとともにベトナム語で火災について投稿、1 千件以上シェアされた。 「神様の慈悲を」、「誰も予想できないことだ」などとベトナム語でコメントが 300 件以上寄せられている。 福井県内にいる多くのベトナム人実習生も心を痛めているとみられる。 22 日には坂井市内の繊維会社から 20 - 30 代のベトナム人女性実習生 7 人が会社の男性社員に連れられ、火災現場を訪問。 壁が燃え落ちた工場をじっと見つめていた。 (福井新聞 = 6-23-19)


「なぜ吐く、死ね」異国の生活 仲間を手にかけた実習生

2DK のアパートで共同生活を送っていた中国からの技能実習生。 女性 3 人の異国暮らしは、わずか 1 カ月で幕を下ろした。 1 人は被告に、1 人は遺体に。 一体何があったのか。 群馬県伊勢崎市で昨年 10 月 27 日、同居していた李雪さん(当時 25)に暴行を加えて死なせたとして、傷害致死罪に問われた劉秋穎被告 (30) の裁判員裁判。 18 日から前橋地裁(水上周裁判長)で開かれた公判で、被告が次第に孤立を深め、仲間に手をかけてしまうまでの過程が明らかにされた。

被告は中国東北部・吉林省の農村部出身。 北京へ出稼ぎに出たこともあるといい、たどり着いたのが日本だった。 被告と被害者は中国で開かれた研修で知り合い、他の仲間と伊勢崎市内の物流会社へ。 昨年 9 月末から共同生活を始めた。 同居する被告と他の 2 人が反目し始めたのは、それから間もなくだった。 被告が、職場で自分の悪口を言っている李さんの姿を目にして以来、些細なことで言い争うようになった。

検察の調べに、同居していた女性は「ケンカを売ってくるのはいつも劉被告」と供述。 一方、被告は「(2 人から)教養のない人、30 年生きてきた意味がないなどと言われ、ひたすら謝っていた」と話した。 事件当日の朝、被告が洗面台でたんを吐いた。 2 人は「掃除したばかりなのに」と大声で責め立てた。 言い争う声を聞いた別の部屋の同僚らが様子を見に来ていったん収まったが、しばらくして被告がもう一度たんを吐くと、李さんが言った。 「何吐いてんだ、死ね。」

被告は台所で包丁を手に取り、李さんが入っていたトイレのドアを開けた。 「包丁を見れば、彼女は怖がって動けなくなると思った。 その隙に、殴ってやりたかった。」 反撃されてもみ合いになり、被告は隣の浴室に押し倒された。 覆いかぶさられた被告は、包丁で李さんの頭や顔を何度か切りつけ、髪をつかんだまま首に左足、腹に右足を強く押し当てた。 しばらくすると動かなくなった。 死因は「窒息もしくは神経性ショック」とされた。

失神したと思った被告は血の付いた服を着替え、最低限の荷物を手に部屋を飛び出した。 「見つかったら復讐される。」 恐怖で頭がいっぱいだった。 「海に連れて行って。」 ふと目に付いた近くの家の庭先で子どもと遊んでいた女性に、片言の日本語で訴えた。 海で自ら死を選ぶつもりだった。 機転をきかせた女性が 110 番。 駆けつけた警察官に連行された。

公判で事実関係に争いはなかった。 弁護側は「被告は慣れない異国で心の支えがない中、日常的に些細なことで文句を言われていた」と情状酌量を求めた。 検察側は「精神的に追い詰められていたなら部屋を替えてもらうよう頼むこともできたはず」と指摘した。 被告は公判中、絶え間なく涙を流していた。 19 日の閉廷間際、裁判長から「最後に何か言いたいことは」と問われ、「私が死んで彼女が生き返るならそれでも構わない。 申し訳ない気持ちでいっぱい。 自分が許せない。 私の手元に 5 万円ある。 (遺族に)受け取ってほしい。」

20 日に言い渡された判決は懲役 5 年 6 カ月(求刑懲役 7 年)。 閉廷後、弁護人に日本語で「ありがとうございました」と伝え、手錠のはめられた手で握手を求めた。 (松田果穂、asahi = 6-22-19)


外国人実習生斡旋の「監理団体」、虚偽申請疑いで書類送検 兵庫県警

外国人技能実習生を職場に斡旋する「監理団体」の許可申請をめぐり、国に虚偽の書類を提出したとして、兵庫県警組織犯罪対策課などは 20 日、技能実習適正化法違反の疑いで、兵庫県姫路市の監理団体「国際バンク事業協同組合」の代表ら 2 人と、法人としての組合を書類送検したことが捜査関係者への取材で分かった。 同法違反容疑で監理団体を摘発するのは全国で初めてとみられる。

捜査関係者によると、代表らは平成 29 年、監理団体の許可を国に申請する際、実習生の支援を統括する「監理責任者」に、勤務実体のない第三者の名前を記した書類を提出し、許可を得た疑いが持たれている。 代表らは容疑を認めているという。 組合は 27 年に設立。 ベトナムやカンボジアなどから実習生を受け入れ、国内の工場などに斡旋していた。 昨冬、県警に情報提供があり、捜査を進めていた。 監理団体の運営は、29 年 11 月に同法が施行され、届け出制から許可制に変更された。 昨年 12 月には、実習生に対する虚偽の講習記録を報告したとして、同県加西市の監理団体の許可が取り消されている。 (sankei = 6-20-19)


誰にも優しいまちづくりを 外国人の技能実習生らが日本文化を体験

外国人や障害者に優しいまちづくりを考える「みんなにやさしいユニバーサルまちあるきツアーズ」が 16 日、多賀城市であった。 同市や塩釜市在住の外国人が、触れる機会の少ない日本文化を体験した。 水産加工会社などで働くインドネシア、ミャンマーなど 4 カ国の技能実習生ら 27 人が参加した。 多賀城市立図書館を見学し、多賀城史遊館で勾玉(まがたま)を手作りした。 実習生による歌や踊りの披露もあり、国際交流協会や婦人会などとの交流もあった。

実習生たちは普段、外出する機会が少ないといい、ミャンマー出身のキンチョーユインさん (30) は「勾玉作りは初めてで難しかった。 ツアーがあれば、また参加したい。」と語った。 市市民活動サポートセンターの主催。 まちあるきツアーズの第 2 弾として、30 日には「車いすでバスに乗って菖蒲田浜に行くツアー」がある。 定員は車いす利用者 3 人、ほか 10 人程度。 24 日までに申し込む。 連絡先は同センター 022(368)7745。 (河北新報 = 6-17-19)


「特定技能」はや争奪戦 三協デリカ、待遇改善へ

改正出入国管理法の施行で、4 月から認定が始まった在留資格「特定技能」を持つ外国人を採用するため、九州の企業が受け入れ体制の整備を急いでいる。 人手不足で特定技能の争奪戦は激しいため、自社で働く技能実習生が特定技能を取得できるように支援する企業も出てきた。 高待遇の企業に転職されることを懸念し、採用に慎重な企業も目立つ。

コンビニ向け調理麺を製造する三協デリカの福岡工場(福岡市)はこのほど、同工場で働く技能実習生向けの語学研修を始めた。 日本語会話能力を高めるためだ。 在留 2 年目以降の技能実習生は評価試験に合格すれば「技能実習 2 号」となり、特定技能の資格取得の試験を免除される。 実習生向けの社宅は現在 2 人部屋だが、特定技能には個室を用意するなど待遇改善を検討している。 上村史哉総務部長は「給与条件だけでなく働きやすい環境作りで、人材の定着を図りたい」と話す。

技能実習生を受け入れている企業は実習生に適切な支援をすれば特定技能に引き続き働いてもらえる可能性がある。 九州の外国人労働者に占める実習生の割合は 37.9% (2018 年 10 月時点、厚生労働省調べ)で、全国平均の 21.1% を上回る。 18 年 10 月までの 1 年間の増加率も全国と比べて高い。 九州の製造業の技能実習生受け入れを支援する PWJ 協同組合(福岡県筑後市)の野田高広代表理事は「九州は人材流出が激しく、実習生に長く働いてもらいたいという企業の声が多い。 資格移行の支援にも力を入れたい。」と話す。

特定技能の採用に慎重な企業もある。 熊本地震の復興工事などを請け負う福岡県の建設会社社長は「技能実習生の受け入れは強化するが、特定技能の採用は考えていない」と言い切る。 特定技能は転職が可能で、給与水準が高く好待遇の東京や大阪の企業に流出する可能性があるからだ。 国は首都圏などに偏在が生じた場合の対策を検討しているが、具体策は決まっていない。

自動車部品を製造する戸畑ターレット工作所(北九州市)も特定技能の採用を検討している。 ただ「安易に転職されると、技術やノウハウの流出につながる(松本大毅社長)」とし、慎重な姿勢もみせる。 松本社長は「外国人にも長く働いてくれるか本人の意向を確認してから採用していきたい」と話す。 日本に留学している学生を採用し、現在 3 人が正社員として働いており、今後も増やす方針だ。 新資格の誕生を受けて多様なニーズを持った人材が働き始めると、企業の人材採用の戦略も多様化しそうだ。 (荒牧寛人、nikkei = 6-14-19)


留学生 1,600 人不明 東京福祉大に受け入れ停止指導

文部科学省などは 11 日、東京福祉大(東京・豊島)で学部研究生ら留学生約 1,600 人が所在不明になっているとの調査結果を公表し、「大学の責任は重大」として研究生の受け入れを当面停止するよう指導した。私学助成金の減額や不交付も検討する。 留学生の在籍管理の徹底を大学に求め、不法残留や不法就労の増加に歯止めをかける姿勢を強く打ち出す。

東京福祉大では 3 月、多数の留学生が所在不明になっていることが発覚し、文科省などが調査していた。 調査結果によると、同大は近年になって留学生の受け入れを急拡大。 2016 - 18 年度に約 1 万 2 千人の留学生を受け入れたが、うち 1,610 人が所在不明、700 人が退学、178 人が除籍になっていた。 同大の留学生は、社会福祉学部など正規課程のほか、日本語や日本文化を学ぶ留学生別科、正規課程の準備段階の学部研究生などに分かれる。

研究生は日本語能力が低い学生や学費支払いが難しい学生が多かった。 しかし同大は規模に見合う職員をそろえず、授業に出ない学生への指導が不十分だったという。 所在不明者の 7 割が研究生だったことから、文科省は研究生の新規受け入れを当面停止させた。 同様の問題の再発を防ぐため、留学生の在籍管理が不適切な大学には留学生の受け入れを認めない新制度を導入することも発表した。

新制度では、各大学が毎月、所在不明や退学、除籍になった留学生数を文科省に報告する。 指導後も改善しない場合、文科省は「在籍管理非適正大学」として法務省に通告する。 法務省は改善するまでの間、新規に入る学生への留学の在留資格の付与を停止する。 不法残留者が多い大学を「慎重審査対象校」として在留資格審査を厳しくする従来の制度も見直し、3 年連続で対象校になると同様に資格付与を停止する。 ほかに大学名を公表し、私学助成金の減額や不交付などの制裁も科す。 制度の詳細を詰め、19 年度中にも省令などを改正する。

文科省は新制度で、各大学が正規課程以外のコースなどで留学生を受け入れる場合、大学入学相当の日本語能力があるか確認する。 留学生別科についても、教員数など質を確保する新基準を策定する。 政府は留学生 30 万人計画を掲げて積極的な受け入れを進めてきた。 18 年度時点の留学生総数は 5 年前に比べて約 13 万人多い約 29 万 9 千人。 一方で不法残留する学生も 19 年 1 月時点で 4,708 人と急増していた。 (nikkei = 6-11-19)


不法就労、まさかの入管が要請か 「協力した」社長証言

技能実習先から逃げ出したベトナム人の不法就労を手助けした疑いで兵庫県警に逮捕された人材派遣会社の社長が「一斉摘発を狙う入国管理局に協力し、要請通りに雇用しただけ」と明かし、波紋を呼んでいる。 神戸地検は社長の勾留を請求せず、社長を逮捕 2 日後に釈放した。 入管は「一般論」と前置きした上で、「不法就労の事実が明らかな外国人について雇用を継続するよう指示することはない」とコメント。 識者らは「要請が事実ならおとり捜査に近い」と指摘している。

兵庫県尼崎市の人材派遣会社「ワールドビジネスパートナー」のソニンバヤル = 通称・五十嵐一 = 社長 (35) ら中国籍の 2 人が今月 3 日、出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で同県警に逮捕された。 容疑は昨年 4 - 9 月、不法残留や資格外の状態になっていたベトナム人 7 人を県内の携帯電話製造工場に派遣していたというものだった。 しかし翌 4 日、社長の弁護人の荻野数馬弁護士(大阪弁護士会)らが会見。 「逮捕は不当」と訴えた。

「一網打尽にしたい、と入管から要請」

荻野弁護士によると、事件の発端は昨年 6 月ごろ、約 10 人のベトナム人が会社に応募してきたことだったという。 社長は応募人数の多さなどに不審を感じ、大阪入国管理局(現・大阪出入国在留管理局)へ同社役員と出向き、応募者らの在留カードのコピーを提出。 その結果、在留カードが全て偽造と判明したという。 すると、入管の担当者が「応募を断っても他社に応募するだけ」、「しかるべきタイミングで一網打尽にしたい」と、積極的な採用を要請。 社長はこれに応じ、その後に追加採用した人も含め、同年 7 月ごろには不法就労状態のベトナム人約 30 人を工場に派遣するようになったという。

会社側は同月以降、ベトナム人摘発に向けた大阪入管との打ち合わせを会社内や入管神戸支局などで実施。 同年 9 月 11 日、ベトナム人約 30 人を工場に運ぶ車両 2 台を事前に決めたルートで走らせ、同県加東市の加東署前で偶然県警の検問に出会ったことにして入管に摘発させたという。 ベトナム人らはその後、入管施設へ収容された。

録音データや携帯電話の画面を公開

荻野弁護士らは 4 日の会見で、会社側と入管担当者との間で工場へ行く車両のナンバーや打ち合わせ日時を確認したやりとりだとする携帯電話のメッセージの画面、家宅捜索後に会社の役員が入管担当者に電話した際のものという録音データなどを公表した。 録音データには役員が「僕らは間違いなく大阪入管さんの協力依頼があったので雇用した」と述べ、電話の相手が「ありのままに(県警へ)お伝えしてもらったらええと思うんです」などと答える声が記録されていた。

県警は今年 3 月に会社を出入国管理法違反容疑で家宅捜索し、今月 3 日に社長と、ベトナム人の応募を仲介した疑いのある中国籍の無職の男 (34) = 勾留中 = を逮捕、5 日に送検した。 ただ、神戸地検は社長の勾留請求をせず、同日釈放した。 県警の捜査関係者は取材に「入管側から、会社との事前のやりとり内容までは伝えられていなかった」と明かし、「(要請が)事実であれば、入管が犯罪行為に加担したとの指摘を受けかねない。 地検はそうした事情を考慮して勾留請求を見送ったのでは」と話す。

入管は「回答控える」、一般論として指示否定

大阪入管は 7 日、「個別の事案についてはお答えを差し控える」としたうえで、一般論として「不法就労の事実が明らかな外国人について雇用を継続するよう指示することはない」、「(協力者に)証拠の提供や保秘などの依頼をすることはある」と説明するコメントを出した。 釈放された社長も 7 日、コメント文を出した。 「大阪入管の協力要請に従ってのことであり、違法な行為ではありません」、「大阪入管と、兵庫県警の意思疎通が不十分であったことが、今回の事態の原因だと考えております。」

社長は、中国内モンゴル自治区の遊牧民家庭に生まれたという。 故郷に高校を開いてくれた日本人篤志家にゆかりのある尼崎市に会社を設立したといういきさつを明かし、「入国管理局の皆様にはお世話になっており、今後もできる限り協力してまいります」、「日本社会や働く外国人のために尽くします」と書いた。 (岩田恵実、後藤遼太、五十嵐聖士郎、asahi = 6-7-19)

識者「事実なら入管側の刑事責任も」

今回の事件について、外国人労働者問題に詳しい指宿昭一弁護士(第二東京弁護士会)は「入管の要請が事実なら、違法状態をつくり出して泳がせたわけで、いわゆる『おとり捜査』に近い。 社長の刑事責任を問うなら、加担した側も同様に責任を追及されなければならない」と指摘。 「犯罪を未然に防ぐのではなく、一斉検挙で大勢を摘発した実績をつくろうという姿勢なのではないか」と入管の対応を疑問視した。

入管に長く勤務した職員 OB は「入管が不法就労者をあえて雇うよう要請することは通常あり得ない」としつつ、「少し待てばより多くの人数を摘発できる場合や、不法就労の証拠を固める必要がある場合、会社側に『引き留め』を依頼することはある。 どんな文言で協力を要請したのかが問題になるのでは。」という。

神戸大学の斉藤善久准教授(アジア労働法)は、今回摘発されたベトナム人が各地の技能実習先から逃げ出した人たちだった点に着目。 「失踪者が相次ぐのは、十分な審査もせずに多くの実習生を入国させ、労働現場で『使い捨て』される状況を生んできた入管当局の責任。 その意味で実習生たちは被害者でもある。」と述べ、入管行政のゆがみが背景にあると指摘している。

〈出入国在留管理局〉 日本人や外国人の出入国審査のほか、外国人の在留審査・管理、不法滞在者らの退去強制、難民認定などの手続きにあたる組織で、旧称は入国管理局。 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、高松、広島、福岡にあり、自治体や他官庁などとの調整も担う。 外国人労働者受け入れ拡大に対応するため、上部組織の法務省入国管理局が 4 月に「出入国在留管理庁」へ格上げされたのに伴い、名称が変更された。


「強制帰国」不当と提訴  広島  インドネシア人実習生

インドネシア人の技能実習生の候補者のリキ・アムルーラさん (26) = 西ジャワ州インドラマユ県出身 = が 2018 年 2 月に、実習前に講習を受けていた広島県内の監理団体から強制帰国をさせられたのは不当だとして、5 月 23 日、監理団体などに賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。 被告は「中亜国際協同組合(広島市)」と実習予定先のカキ養殖業「マルコ水産(東広島市)」。 リキさんは、実習中の賃金相当額や慰謝料など 700 万円を求めている。

リキさんを担当する弁護士によると、リキさんは 18 年 1 月 9 日に日本に入国、監理団体で 1 カ月の講習を受け、2 月 8 日から 3 年間、実習を予定していた。 しかし、リキさんの日本語の能力を理由に、監理団体から 1 月 31 日、翌日に帰国するように言い渡された。

当時、リキさんは監理団体から、日本語ができるようになったら再入国できると言われていた。 ところが 帰国後、リキさんは 18 年 3 月に監理団体の幹部と面談した際、「あなたはブラックリストに載っているから、もう来られない」と言われた。 さらに 19 年 1 月に再度面談した際は、「自分の意思で帰った」、「問題が早く終わってほしい」、「労働組合との関係は切ります」との内容の書面を書かされたという。

リキさんを支援する広島文教大学の岩下康子講師によると、実習生候補者は通常は 3 - 4 カ月は日本語を学ぶが、リキさんは「日本語ができなくていいから来てくれ」と監理団体から言われ、日本語を 1 カ月半ほど学び、渡航した。 「翌日帰国」を言い渡された日、リキさんは労働組合を交えて監理団体と交渉を行っていた。 労組関係者が席を外した後、監理団体から帰国を告げられた。 帰国まで外部との連絡手段を断たれていたという。

監理団体「中亜国際協同組合」の担当者は取材に、「訴状がなく、コメントできない」としながら、「本人の同意のもと、意思を尊重している。 強制帰国という認識ではない。」と説明。 担当者は、インドネシアを訪れて「本人、親、送り出し機関を含めて面談し、本人が日本語に自信がないということもあり、辞退することになった。 実施の意欲が本人になくなった時点で呼び戻すことはできない」と話した。

また担当者は、日本入国までの経緯について「(18 年) 4 月に日本に来るまで 5 カ月あった。 本人は 1 カ月半しか勉強していないと言っている」と話した。 同監理団体ではこれまで、けがなどにより、実習生が帰国することはあったが、日本語能力を理由にした帰国は初めてとしている。 (木許はるみ、米元文秋、じゃかるた新聞 = 6-3-19)


「豚肉じゃないと思えば?」 ムスリム社員動かした言葉

東京・八王子にあるコニカミノルタの研究施設「東京サイト八王子」。 その社員食堂で 5 月 20 日、小さな夕食会が開かれた。 午後 7 時ごろに始まった会には、ムスリムの社員 6 人と、他の社員や家族ら 60 人が集まった。 ラマダンでの日中の断食が解禁された後、まず食べるデーツ(ナツメヤシ)をほおばり、その後モロヘイヤのスープや鶏のグリルがのったビリヤニといったハラル料理(イスラム教に従い豚肉などを使わない料理)を味わった。

ムスリム社員による講義もあった。 マレーシア出身で入社 2 年目のダヤン・ヌル・ナディラさん (27) が「女性は顔と手以外が見せられないのですが、実は男性もへそからひざまでは見せることができません」と話すと、他の社員たちが興味深そうにうなずいた。 家族で参加した立山忠生さん (40) は「交流してみて感じたことは、違いはあまりないんだなということ。 ムスリムがどうこうでなくて、同じ会社の若い社員だなという風に感じました。」

世界で 16 億人ともいわれるムスリム(イスラム教徒)。 現在は断食月「ラマダン」の期間中(今年は 5 月 5 日の日没から約 1 カ月間)で、日中の飲食を控えています。 そんな中、日本の企業でムスリムの社員が開いた夕食会。 ある言葉にショックを受け、何とか相互理解を深めようと、思い立った末の行動でした。 この会を主催したのは、ウズベキスタン出身の社員、サロモフ・アブロルさん (34)。 サロモフさんは母国で日本語を学び、2006 年に来日した。 大東文化大の大学院を出て、11 年 4 月にコニカミノルタに入社した。 現在、同社の生産本部調達センターで、国内外で利用する社有車や机といった資材の調達戦略を立案する仕事に携わる。

入社したころ、社内でムスリムは珍しかった。 若手社員は社員寮で生活することが多いが、寮の食事はハラル料理ではないので食べられない。 本社の管理部門に相談すると「それはあなたの都合でしょ。」 同僚の日本人社員に、ムスリムは豚肉を食べられないことを相談すると「豚肉じゃないと思って食べればいいじゃん」と言われた。 ムスリムへの理解が進んでいないことにショックを受けた。 ただ、「ムスリムだから」と必要以上に気をつかわれるのも嫌だった。 悩んだ末、「理解が勝手に深まるわけはない。 バックグラウンドを自ら伝えるべきだ」と考えて始めたのが夕食会だった。

ラマダンでは、日中の断食後にとる食事「イフタール」は、ムスリムが親戚や仲間と絆を深め合う大切な場だ。 サロモフさんの後に入社した若いムスリム社員も増えた。 そうした社員と、他の社員とがイフタールをともにできれば、互いに理解を深められる。 そう考えた。 社内のポータルサイトを通じてイベントへの参加者を呼びかけると、あっという間に定員が埋まった。

コニカミノルタでダイバーシティー(多様性)について取り組む「違いを力に! 推進室」もサロモフさんに協力した。 同室は今年、「ダイバーシティー推進室」から改称。 岩本満美室長 (52) は、サロモフさんが起こした行動について「小さなスタートでも、自ら働きやすくするために会社に相談してくれたことが大きい」と意義を語る。 グローバル企業のコニカミノルタは、世界 150 カ国で事業を営み、国内外のグループの従業員の約 4 分の 3 が外国人。 国内に本拠を置くコニカミノルタ単体の従業員は約 5 千人で、外国籍の人は 1% 程度だが、直近の新入社員では約 15% が外国籍で、国内でも多国籍化が進みつつある。

サロモフさんは「自分たち(ムスリム)が発信することによって、他の宗教などのバックグラウンドをもつ人たちも様々な企画をやりやすい方向になれば」と話す。 実際に、サロモフさんたちのイベントに刺激を受け、ヒンドゥー教の祭りに合わせた企画が、社内で検討されているという。 (吉田貴司、asahi = 5-30-19)