闇夜にホタルの舞 夫婦がボランティアで育んだ輝き

和歌山県有田川町の田口川砂防公園で、ゲンジボタルが舞っている。 暗闇で淡い光が明滅し、初夏の夜を彩っている。 同園付近では、2004 年から、近くの小澤公和さん (67)、さよさん (65) 夫妻が中心となって活動するボランティア団体「田口川ホタル遊々(ゆうゆう)倶楽部」がホタルの飼育、放流に取り組んでいる。

数千匹のホタルを孵化(ふか)させる年もあり、ピーク時には数百匹のホタルが舞うまでになったという。 さよさんは、「子どもたちに昔懐かしいホタルの風景を見せて、伝えていきたい」と話していた。 見頃は 6 月初旬まで。 6 月 2 日まではホタル保護のため、車の通行規制が行われる。 問い合わせは同団体 (0737・52・3964)。 (金居達朗、asahi = 5-31-19)


熊本城の崩れた石垣 明治時代の修復箇所に集中と判明

熊本地震で被災した熊本城で、崩れ落ちそうな建物を「一本石垣」が支えている姿が注目を集めた飯田丸五階櫓の石垣について、明治期の地震で修復された南面と東面が大きく崩れていたことがわかった。 1 年かけて行った石垣の解体が 24 日にほぼ終わり、熊本城総合事務所が 27 日にあった熊本城文化財修復検討委員会で報告した。

崩落は前震の際に南面、本震で南面や東面が崩れ、「一本石垣」がかろうじて建物を支える状況になった。 1877 年の地震に伴う修復では、石垣の表面に四角い石が使われた。 構築当初や江戸時代の修復で使われた多角形のものと違い、石と石との接点が少ないため弱かったとみられる。 石垣の内側に詰める「栗石」についても、南側は上部に大きな石、下ほど小さな石が詰め込まれていてバランスが悪く、瓦の破片など異物も混入していた。 また、栗石に加えて内側には粘性の高い土を混ぜる手法がとられたが、石と石の間に土が入り石同士がかみ合いにくくなっていたとみられるという。

今後の修復について、委員からは、壊れず残った石垣もあるとして、新たな技術で何かを足して補強する前に、詳細に出てきた伝統的技術の実態を工学的に検証することが必要との声があがった。 崩落の恐れがあるとして現在進められている弘前城(青森県)の本丸石垣改修工事では、石垣が崩れても天守が倒壊しないよう様々な工法が検討されていることを例に「しっかり議論してこれというものを選ばないといけない」とした。 (矢鳴秀樹、asahi = 5-29-19)

前 報 (5-12-18)


サンマ、季節外れの水揚げ 根室・花咲港へ次々入港

秋の味覚の代表であるサンマの季節外れの水揚げが 28 日早朝、北海道根室市の花咲港で始まった。 今月中旬から北太平洋公海に出漁しているサンマの棒受け網漁の 18 隻のうち、5 隻が 27 日の夜から次々に入港した。 公海サンマ漁は、サンマが日本近海にやってくる 8 - 12 月の間に制限されてきたが、中国や台湾などの漁船が沖合で漁獲を増やし、日本の水揚げ量は減っていた。 業界団体の要望を踏まえ、今年から大型船の通年操業が可能になった。

ただ、結果は厳しい。 この日の全体の水揚げ量は、生のものが約 3 トン、冷凍が 5.3 トン。 予定量を大幅に下回り、1 匹あたり 100 グラム程度の小ぶりなものが多い。 ある漁船の機関長は「1 回の出漁には 400 万円くらいかかる。 このままだと完全に赤字。 次の出漁で大きな群れに出合えればよいのだが。」と話した。 (大野正美、asahi = 5-28-19)


チバニアンがピンチ 反対者が土地押さえ、申請に待った

新たな地質時代「チバニアン」命名に向け、研究グループが進めていた国際機関への申請ができない事態になっている。 反対する男性が、地層がある千葉県市原市の土地の賃借権をとり、申請に必須な「自由な立ち入りの証明」ができないためだ。 期限の 9 月までに提出できないと、国際機関の委員会は審査ができないまま解散、認定の機会を失う。 研究グループは「このままでは断念せざるを得ない。 二度目のチャンスはない。」と危機感を抱いている。

地球は誕生以来、N 極と S 極の逆転を繰り返してきた。 市原市の養老川沿いにある地層「千葉セクション」は、最後に逆転した 77 万年前の痕跡が確認できる希少な地層とされる。 研究グループは、日本初の国際標準模式地 (GSSP) への認定を目指し、科学的価値を審査する国際地質科学連合の委員会が審査している。 4 段階の審査を経て、認められれば 77 万 - 12 万 6 千年前の地質時代が「チバニアン(千葉時代)」と名づけられることから関心を集めていた。

イタリアにも二つの候補地があったが、2017 年 11 月、GSSP の 1 次審査で千葉セクションが残った。 昨年 11 月に 2 次を通過、科学的価値が確認された。 3 次では各国の研究者が、試料採取など研究活動ができる場所であることを証明しなければならないため、市原市は、公有地化と国の天然記念物指定に乗り出した。 市は、指定地域の 2 万 8,500 平方メートルのうち民有地 2 万 2,500 平方メートル(所有者 26 人)の買収交渉を開始。 地磁気逆転が確認できる最も重要な部分 155 平方メートルも、所有者が昨年 5 月に市への譲渡を約束する署名をしていた。 研究グループは市から「土地利用証明書」を受け取り、審査委に提出する予定だった。

ところが、ほどなく所有者は、申請に反対する「古関東深海盆ジオパーク推進協議会」の楡井久会長に窓口になってもらうとして市との交渉に応じなくなった。 7 月には楡井氏が 10 年間の賃借権をとり、拒めば土地に入れない。 楡井氏は市からの連絡に応じていない。 担当の市原市ふるさと文化課は「譲渡を確約してもらっていたのに交渉に応じてもらえなくなり、賃借権も設定され当惑している。 引き続き、協力を求めたい。」と話している。

楡井氏は茨城大名誉教授。 地元の地質に詳しく、かつて研究グループのメンバーでもあった。 しかし、15 年に海外の研究者らが訪れた際、磁場の向きを説明する杭の位置がずれていたことなどをあげ、現在は申請の資料を「捏造・改ざん」と主張し、競ったイタリアの研究グループや GSSP 審査の関係者へ文書を送るなどしている。 協議会名で、自らの主張を書いた看板を立てるなどしてきた。 取材に「賃借権設定は偽装を明らかにするため」とし、「申請をやめさせたい。 あの場所には友好のシンボルのイタリア村をつくるべきだ」と話した。

これまでの手続きは、国内外約 40 人の地質研究者が論文や資料をまとめ、審査する委員会などに提出してきた。 国際地質科学連合の審査委員長は論文や資料について、「科学的な問題はない」と表明している。 一方、楡井氏の指摘について「根拠がない」と退けている。 研究グループは「異議があるなら論文で科学的論拠を示してほしい」と一連の楡井氏の行為に抗議している。 国内の地球電磁気・地球惑星圏学会なども「研究グループの論文は科学的に妥当」と発表している。

研究グループは 9 月までに書類を出し、20 年 3 月の最終決定を目指している。 メンバーの国立極地研究所の菅沼悠介准教授は「地球誕生からの歴史に、初めて日本の地名由来の名前が刻まれる機会なのに、とても残念だ」と話す。 日本地質学会の木村学・元会長は「世界に誇る財産を認定することが大切で、できなければ科学にとって痛手だ。 100 年、200 年後も追加研究できるようにすることが今やるべきことだ」と述べた。 (中山由美、asahi = 5-25-19)

チバニアン〉 地磁気は逆転を繰り返しており、地層に残る磁力を帯びた堆積(たいせき)物を調べることで当時の磁極の向きが分かる。千葉セクションには、その最後に逆転した痕跡がある。国際地質科学連合は、地球の地質時代の境界を示す代表的な地層を選び、国際標準模式地 (GSSP) に認定。 千葉セクションが選ばれれば、新しい地質時代の名前として「チバニアン(千葉時代)」が付けられる。


沖縄ゆいレール、10 月に 4 キロ延伸 浦添まで 4 駅新設

那覇市内でモノレール「ゆいレール(那覇空港駅 - 首里駅)」を運行する沖縄都市モノレールは 24 日、首里駅から浦添(うらそえ)市の「てだこ浦西駅」まで延伸した区間(約 4 キロ)の運行を、10 月 1 日に始めると発表した。 車両編成を 2 両から 3 両に増やす方針も示した。 延伸区間には、▽ 石嶺、▽ 経塚、▽ 浦添前田、▽ てだこ浦西 - の 4 駅ができる。 総区間は 17 キロとなり、所要時間は約 40 分。

車両増は、今後も観光客が増え、混雑が予想されるため。 増やす時期は未定だが、車両購入などの資金支援を国や県、地元自治体に要請している。 また、改札での混雑解消のため、来春から JR 東日本の「スイカ」などの IC カードも利用できるよう改修する。 ゆいレールの昨年度の乗客数は 1,905 万 7,176 人(1 日平均 5 万 2,355 人)と過去最高を記録。 美里義雅社長は会見で「事業は好調だが、累積損失を抱えており経営努力を続ける」と話した。 (伊藤和行、asahi = 5-24-19)


300 万円の会社「30 億円」に ゾゾに伝えた買収条件

ベンチャー起業が宮崎県内でまだ珍しかった 2007 年、宮崎市で IT 企業「アラタナ」は誕生した。 当時 23 歳の青年が 300 万円で立ち上げた会社は 8 年後、30 億円で大手企業に買収された。 ベンチャーの先駆けは今、県内企業を牽引する存在になった。 「宮崎で成功した方が 100 倍おもしろいでしょ。」 アラタナ創業者で社長の浜渦伸次 (35) は、宮崎で起業した理由をこう話す。 東京で満員電車に揺られる日々よりも、「歩きや自転車で出社。 終業後は繁華街ニシタチにすぐに飲みに行って、終電も気にしない。 そんな暮らしがいい。」

宮崎市出身。 都城高専を卒業後、都内の大手 OA 機器会社に就職した。 製造するデジタルカメラにひかれ入社したが、配属は希望とは別の部署。 入社から 3 カ月ほどで退職した。 宮崎に戻ったが、やりたいと思える仕事はなかった。 組織に所属することなくカフェを開いたり、ウェブ関連事業を請け負ったりして過ごした。 帰郷してからはふるさとへの危機感が募った。

高専電気情報工学科の同級生 40 人は、ほぼ全員が就職などで県外に出ていた。 「県内で勉強して知識を付けても、優秀な人材は外に出て行く。」浜渦の知る限り、残ったのは浜渦と後にアラタナ取締役を務めた穂満一成 (36) だけ。 「同級生が戻って来られる千人規模の会社をつくる」と、アラタナを起業した。 若くして会社を起こした堀江貴文やサイバーエージェントの藤田晋の存在も起業を後押しした。

「人への投資が大事」

銀行から 300 万円を借り、資本金にした。 宮崎市中心部の若草通りの雑居ビルにオフィスを構え、300 万円は全て内装の改修費につぎ込んだ。 「銀行の人には怒られましたね。 でも、格好いいオフィスじゃないと人が来ない。 人への投資が大事なんで。」 最初に雇ったのはコピー機の営業に来た他社の男性。 「買ってもらうまでは帰らない。」 午前 0 時までオフィスに居座った。 その商魂のたくましさにほれ込み、「コピー機買うからうちで働いてよ」と勧誘。 コピー機を 150 万円で購入し、雇い入れたという。

ネット販売のサイト構築事業は好調だった。 ネット市場は年々拡大。 他企業が数百万円でサイトを作製する中、アラタナは月額 5,800 円で請け負った。 デザインにもこだわり、売り上げは年々伸びた。 だが、業績は赤字続き。 売り上げの増加以上に、人材への惜しみない投資を続けたためだ。 IT 業界で優秀だと聞きつければ浜渦が自ら SNS などで連絡をとった。 宮崎出身の俳優を起用した採用 CM を打ち、中途・新卒を毎年 10 - 20 人雇用した。

おかげで資金繰りには苦労した。 赤字を垂れ流す会社に、銀行は途中で愛想を尽かした。 銀行員と泣きながらケンカした末、融資を断られたこともある。 銀行以外から資金を調達するため、投資家を訪ね、夢を語った。 「うちの会社の価値は 2 億円ある。」 創業間もない頃から臆面も無く言った。 赤字まみれだったが、事業の成長性を熱弁すると、新興企業に投資する有名ベンチャーキャピタルファンドなど多くが出資してくれた。 5 年も経つと投資の話は絶えず舞い込むようになったという。

次は再開発「宮崎への恩返し」

15 年 3 月、800 社以上のサイト構築実績や技術力が認められ、国内最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ(現 ZOZO)に約 30 億円で買収された。 「会社を大きくするために一緒にやった方が良いという判断だった。 300 万円で起こした会社が 30 億円になるって夢ありますよね。」 浜渦は宮崎市に本社を残すことを買収の条件にした。

その後も、浜渦は社長として辣腕をふるう。 昨年 4 月、新卒給与を月 18 万円から月 25 万円へ引き上げた。 県内では給与水準の低さを背景に、高卒就職者の半数が県外に流出。 「シリコンバレーは人件費が世界一高い。 人件費が安いままだと、優秀な人材は集まらない。」 将来は全従業員の 3 割を年収 1 千万円の水準にする考えだ。

次なる野望は青島海岸にある。 アラタナの創業者らで設立した「青島プロジェクト」は、同市青島の旧橘ホテル跡地の再開発を手掛ける。 宿泊施設やレストラン、シェアオフィスが入る「AOSHIMA BEACH VILLAGE」を建設予定だ。 観光事業は門外漢だが、浜渦は楽しそうに笑う。 「再開発は宮崎への恩返し。 ベンチャーが無い時代に起業して、この会社ができた。 今度は起業家や旅人が集う『村』づくり。 きっとおもしろくなる。」 (敬称略、松本真弥、asahi = 5-21-19)

アラタナ> 2007 年 5 月、宮崎市で創業。 インターネット上で商品を販売する「EC サイト」の構築事業を展開。 在庫管理、集客のためのコンサルティングやサイトの運営サポートも行う。 15 年 3 月に国内最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ(現 ZOZO)に買収された。 現在、従業員数は約 120 人。


地方銀行 7 割が減益 収益モデル崩れ、日銀への恨み節も

地方銀行の経営が厳しさを増している。 全国の地銀の 2019 年 3 月期決算を朝日新聞が集計したところ、最終的なもうけを示す純利益が全体の 7 割で減っていた。 人口減で資金需要が先細るうえ、アベノミクスによる超低金利政策で金利収入は減少の一途。 経営改善のため、支店の削減や手数料値上げなど、利用者へのしわ寄せも広がる。

全国の地銀のうち、19 日までに決算が未発表の但馬銀行(兵庫)を除き、102 行分を集計した。 最終的なもうけを示す純利益(単体)は、7 割の 72 行が減益・赤字転落。 一般企業の売上高にあたる経常収益(同)は全体の 6 割が減っていた。 赤字は、不動産向け融資の不正があったスルガ銀行(静岡)と第二地銀の大正銀行(大阪)だった。

第一地銀(63 行)と比べ、規模の小さな第二地銀(39 行)は減益企業の比率が高い。 地域別では、甲信越(新潟・山梨・長野)は 6 行中 5 行、四国 4 県は 8 行中 7 行がそれぞれ減益になった。 一方で、観光や建設関連の産業が堅調な沖縄は 3 行中 2 行が増益だった。 多くの地銀に共通するのは、高齢化で預金が積み上がる一方で、人口や企業が減って成長見込みのある貸出先が少ない苦境だ。 アベノミクスによる異次元の金融緩和で超低金利政策が続き、追い打ちをかける。 金利収入は減少の一途で、地銀が取引先に貸す際の金利は 1% を切る。

「名古屋金利」とも呼ばれ、低金利競争が激しい東海地方に至っては「金利ゼロで貸す地銀もある(地銀関係者)」ほど。 お金を貸して利息を受け取る銀行の収益モデルが、成り立ちにくくなっている。 地銀からは日本銀行への恨み節も聞こえる。 西日本フィナンシャルホールディングス(福岡)の谷川浩道社長は「当初は短期間ということで(16 年から)マイナス金利政策が導入されたが、時間が経ち、金融機関の多くはへたりこんでいる」と嘆く。 日銀は少なくとも 20 年春ごろまで超低金利を続ける構えで、地銀には「冬の時代」が続く。

地域の資金需要が減るなか、新たな稼ぎにしてきたのがアパートローンなど不動産向け融資。 しかし、スルガ銀の不正などでずさんな融資の実態も明らかになり、今は厳しい目が注がれる。 日銀は 4 月、銀行の不動産業向け融資がバブル経済期以来の「過熱」状態との見方を示すなど、ブレーキがかかっている。 西京銀行(山口)は昨年 9 月からアパートローンの新規受け付けを停止した。

さらに、景気の減速感が漂い出し、地銀経営にも影を落とす。 売上高減少や人件費上昇などで業績が悪くなる取引先が目立ち始め、倒産に備える引当金など「与信費用」が増えている。 山口銀行(山口)の与信費用は前年の約 7 倍の 51 億円に膨らみ、吉村猛会長は「リスク管理の徹底が必要だ」と話す。 佐賀銀行(佐賀)は融資先で複数の大口倒産があり、与信費用を 45 億円積み増すなどし、純利益が前年比 8 割減になった。

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券の集計によると、上場地銀 78 行の与信費用は前年の約 3 倍に増えた。 笹島勝人・シニアアナリストは「米中の貿易摩擦が激しくなって景気が悪くなれば、企業業績も悪化して与信費用はさらに増える。 利益を一気に減らす可能性がある。」と話す。 多くの地銀は、貸し出しによる金利収入だけでは稼げず、国債などの運用や株式の売却で何とか黒字を保つ。 貸し出しや手数料などの本業だけだとほぼ半数の地銀が赤字、と金融庁はみる。

再編を進めたい思惑もあって、昨年 4 月には、全国のなかで計 23 県が地銀 1 行単独でも不採算になるとの試算も示している。 金融庁は、地銀の決算状況を踏まえ、将来の収益力や将来性が危ぶまれる地銀に業務改善命令などの行政処分を下す検討も始める。 (笠井哲也、北川慧一)

「融資から手数料へ」新たな収益源を模索

地銀の経営難で、利用者にもしわ寄せが広がる。 貸出利息で稼げないなか、力を入れるのが手数料の獲得。 本業の利益に占める比率は今は 1 - 2 割ほどだが、「融資から手数料へ」とばかりに、保険商品や投資信託の販売に懸命だ。 ただ、元本保証の預金とは違うため、「商品説明が不十分だった」などの不満を訴える顧客も後を絶たない。

口座振り込みや窓口での両替の手数料などを引き上げる動きも広がる。 岩手銀行(岩手)は 13 日、窓口などでの手続きの手数料を 7 月から上げると発表した。 無料だった当座預金口座の開設は、1 万円の手数料をもらう。 大量に硬貨を預け入れる際も、枚数に応じて手数料を取る。 百五銀行(三重)は 4 月から、3 万円以上の窓口での振込手数料(同一店宛て)を 324 円から 540 円にした。

同様な動きは、北都銀行(秋田)、紀陽銀行(和歌山)、肥後銀行(熊本)など各地に広がる。 「無償で提供していたサービスのコストを一部ご負担頂くことにした」と北都銀行の担当者。 日本銀行が昨年 4 月まとめた「金融システムリポート」によると、16 - 17 年度にかけて地銀のほぼ半数が何らかの手数料引き上げを実施していたという。

支店や現金自動出入機 (ATM) のあり方を見直す地銀もある。 ATM の維持コストを抑えるため、南都銀行(奈良)は 3 月から地銀で初めて、セブン銀行と ATM の共同運営を始めた。 約 140 ある店舗を 3 年ほどで 2 割減らし、行員も採用抑制などで全体の 2 割にあたる約 500 人減らす方針だ。 それでも、「今後 10 年を見据えると、経営環境の抜本的改善は見込みづらい」と橋本隆史頭取は話す。

佐賀銀行(佐賀)も経営効率化のため、福岡県内の 8 拠点の統廃合を昨年に決めた。 現金を使わないキャッシュレス決済など金融技術の革新(フィンテック)が進み、銀行以外の IT 企業との競争も激しくなる。 地銀は他企業との連携で生き残りを探っている。 メガバンクのみずほ銀行が 3 月に始めたキャッシュレス決済サービス「J コインペイ」には、地銀など約 60 の金融機関が参加する。 メガバンクだけでなく、地銀に口座を持つ人もスマホを使って決済できるようになる。

横浜銀行(神奈川)は 5 月から東京急行電鉄と協力し、駅の券売機を ATM 代わりにお金を引き出せるサービスを始めた。 現金を手軽に引き出したいとの利用者の要望に応える。 フィンテックで利用者の便利さを向上させる一方で、それを利益にどう結びつけるかが経営の課題。 横浜銀行を傘下に抱えるコンコルディア・フィナンシャルグループの川村健一社長は「いつかは来ると思っていた危機が、もう目の前にある。 地銀経営は大変な時代を迎えている。」と話す。(生田大介、鈴木友里子、asahi = 5-19-19)


孤立者 300 人超、全員が無事下山 大雨の屋久島

鹿児島県屋久島町で、大雨による土砂崩れのため孤立していた 300 人余りの登山者ら全員が 19 日夕までに、下山した。 町によると、大きなけがをした人はいないという。 当初はヘリコプターによる救助が検討されたが、天候が回復しないことなどから、県警が先導などする中、陸路で下山した。

気象庁によると、屋久島では非常に激しい雨が断続的に降り、19 日午前 7 時 40 分までの 24 時間に 446 ミリの雨を観測。町は町内全域に避難勧告を出していた。 土砂崩れは 18 日午後、島東部の複数箇所で発生。 登山者たちは、観光名所の縄文杉へと向かう登山口や、国の自然休養林「ヤクスギランド」などへ向かう道路沿いなどに足止めされ、観光バスの車内や小屋などで一夜を過ごした。 町は当初、孤立者は 262 人と説明していたが、確認を進めたところ、300 人を超える登山者らが取り残されていた。 (asahi = 5-19-19)


沖縄復帰 47 年 経済好調、米軍施設の集中は変わらず

沖縄が米国の統治下から日本に復帰して、15 日で 47 年になった。 観光客は増え、経済は好調だが、国土の 0.6% の土地に国内の米軍専用施設の 7 割が集中する状況は続く。 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設計画をめぐっては、県民投票で名護市辺野古沿岸部の埋め立てに反対する民意が示されたが、安倍政権は工事を続けている。

最初の区域への土砂投入が始まってから 14 日で 5 カ月。 6.3 ヘクタールのうち約 4 割が埋め立てられ、3 月からは隣の区域でも進む。 予定区域内では軟弱地盤が見つかり、政府は改良工事のため設計変更を申請する予定だが、玉城デニー知事は承認しない見通しだ。 一方、日本銀行那覇支店によると、県内景気は 5 年 8 カ月連続で拡大。 入域観光客数は昨年度 999 万 9 千人に達し、ホテルや商業施設の建設が相次ぐ。 玉城知事は「『自立』、『共生』、『多様性』の理念のもと、全国との所得格差の解消や過重な基地負担の軽減など課題の解決に取り組む」とのコメントを出した。 (伊藤和行、asahi = 5-15-19)


浸水した「マビ昭和館」令和に復活 高橋大輔乗せた車も

懐かしの旧車や生活用品などで昭和レトロな空間が広がる岡山県倉敷市真備町辻田の私設博物館「マビ昭和館」が、5 月 3 日に再開する。 西日本豪雨で展示品の多くが浸水。丸岡律夫館長 (77) は閉館も考えたが、地元の仲間や高校生らの支援を受け「再開が恩返しになる」と奮起した。

倉庫を改装した約 330 平方メートル。 フィギュア五輪メダリストの高橋大輔選手がパレードで乗ったオープンカー、今や国内にほとんどない小型トラックなど、高度経済成長期に活躍した旧車十数台が所狭しと並ぶ。 どれも被災したようには見えず、ピカピカだ。 丸岡さんは「被災前よりもきれいに磨いた」と胸を張る。

自動車整備会社役員の丸岡さんが 2012 年に開館。 30 年近くかけて収集した旧車やバイク、高倉健や石原裕次郎ら昭和の大スターの映画ポスター、生活家電、ミニカーやカメラなど約 1 万 5 千点を展示してきた。 毎月第 1 日曜のみの開館だが、これまでに 1 万人以上が訪れたという。

昭和館は浸水前に、まず近くのアルミ工場の爆発で被災。 爆風で入り口のシャッターが開かなくなり、展示品を出せないまま水が迫ってきた。 水がひいて館内を確認すると、旧車 26 台がすべて泥まみれになり、壁のポスターも散乱。 シャッターには高さ 1.8 メートルまで水が来た痕が残っていた。

「なかったと思えばいい …。」 丸岡さんは閉館を考えた。 一方、近所の人たちは「地域の名所をなくしてはいけない」と片付けの手伝いに連日駆けつけた。 交流があった自動車整備を学ぶ高校生や専門学校生らは修理を買って出た。 地元特産の竹細工や古銭など 3 千点、旧車も 1 台処分したが、25 台が再び動くまでになった。 被災を免れた展示品もすべて拭くなどして再開にこぎつけた。

3 - 5 日は午前 10 時 - 午後 4 時、「復活祭」と称して記念行事を開催。 地元の人たちによるバンド演奏や歌謡ショー、うどんや紅白餅のサービスもある。 「平成に始めた昭和を懐かしむ施設の再開が、令和の始まりに間に合ってよかった」と丸岡さん。 「被災前よりもよい状態でお披露目し、『元気になる真備』を表す場所にするのが務め。」 令和の始まりととともに、支援への恩返しを誓う。 (小沢邦男、asahi = 5-3-19)


皇后さまゆかりの日本酒が注目 予約で在庫は完売

皇后陛下雅子さま (55) にゆかりのある新潟県村上市で、皇后さまのお印(しるし)ハマナスの花の酵母を使ってつくられた日本酒が、注目を浴びている。 お印と市の花が同じハマナスという縁で、市内の酒造会社が約 2 年がかりで完成させた慶祝酒「雪華光(せっかこう)大洋盛」。 香りも飲み口も華やかな純米吟醸だ。 昨秋から今春までの醸造分は、予約で在庫が「完売」に。 皇后さまへの期待は高まるばかりだ。

「雪華光 大洋盛」は、全国でも珍しいハマナスの花酵母を使った純米吟醸。 ピンクを使ったラベルには、ハマナスのイラストや「慶祝」の文字をあしらった。 同市の酒造会社、大洋酒造の村山智社長は「花や果物のような華やかな香り。 すっきりした甘さでとても飲みやすい。」と話す。

発売まで 3 年近くかけたプロジェクトだった。 皇后さまの実家、小和田家は先祖代々、旧村上藩の藩士を務めた名家。 同市にあった皇后さまの本籍はご結婚で除籍となったが、同社は原籍の地に近く、ご成婚や愛子さまご誕生の際も慶祝の酒を発売してきた。

今回は、16 年 8 月に上皇さまが生前退位を表明したのを受け、皇后さまにちなんだ新たな祝いの酒を出そうと始動。 皇后さまのお印と、市の花が同じハマナスという偶然に注目し、ハマナスの花酵母を使った日本酒の開発にこだわった。

花には、一定の確率で日本酒をつくることができる酵母があるが、分離作業は「宝くじで当たりを引くくらい難しい。(関係者)」 村山社長も出身の東京農大を通じて試みたが、難航。 そこでハマナスの酵母を使った日本酒を手掛ける「福司酒造(釧路市)」に、酵母を分けてもらえないかと打診。 「慶祝のためなら」と快諾を受け、即位に合わせた仕込みに間に合った。

720 ミリリットルを約 7,000 本、1.8 リットルを約 500 本瓶詰めし、先月 19 日に発売したが、事前の報道で全国から問い合わせが殺到。 在庫分は完売。 新たな仕込みに入るのは今秋以降だ。 1 日には市内で慶祝行事が行われ、お祝いムードいっぱいだ。 村山社長は、「おいしいものも多く、ぜひ訪れていただきたい」と、皇后さまの訪問に期待を示した。 (中山知子、日刊スポーツ = 5-3-19)


鰊御殿近くで大規模なニシンの「群来」 北海道

北海道小平町鬼鹿の海岸に 28 日朝、ニシンの群れが押し寄せる「群来(くき)」が現れた。 沿岸で産卵、大量の精子が青い海を白く染めた。 「鰊御殿」と呼ばれる旧花田家番屋の南約 300 メートルの海岸で、地元の人が朝 7 時ごろに気づいた。 カモメの群れが飛び交う海面を見ると、緑白色の濁りが 50 メートル以上沖まで広がり、波打ち際は白く泡立っていた。 一帯は海藻が生えている藻場で、卵を産み付ける格好の場所らしい。 これまで群来が見られる年はあったが、「これだけ大きなのは 30 年ぶり」と漁師が言っていたという。 群来の向こうには残雪の暑寒連山が映え、珍しい光景に車を止めて写真を撮る人もいた。 (奈良山雅俊、asahi = 4-29-19)


宮崎の小ワイナリー、パリに攻勢 ブロックチェーン使い

宮崎県の小さく新しいワイナリーが、パリのレストランにワインを出荷する準備を進めている。 武器は仮想通貨の取引台帳にも使われる「ブロックチェーン」という技術だ。 欧州連合 (EU) との経済連携協定 (EPA) の発効で、ワインの関税はゼロに。 輸入が増えるとみられるなか、新たな価値をつけ、本格的な輸出につなげられるかを探る。

宮崎県綾町。 田畑に囲まれた一角に白壁の新しいワイナリーがある。 昨秋にとれたブドウを使った「香月(かつき)ワインズ」 2 作目のワインが貯蔵庫に並ぶ。 ラベルには QR コードが貼られている。 スマートフォンで読み込むと、畑でツタを伸ばすブドウや収穫作業、人力でブドウを搾る姿など、ワインができるまでの様子が写真や動画つきで表示された。 ブロックチェーンは、ネット上の一定量のデータを「ブロック」としてまとめ、時系列順にチェーンのようにつなげて管理する仕組み。 導入や運営のコストが低い一方で、改ざんは難しい。

2016 年から、綾町とブロックチェーンを使った野菜のトレーサビリティーシステム(生産履歴の管理)づくりに取り組むシステム開発会社「電通国際情報サービス(ISID、東京)」が、この技術を使って、ワインの生産工程を見える化しようと考えた。 パリでお客が QR コードを読みこむと、どのような環境でつくられて日本から届いたのか、記録されたデータを物語を読むようにさかのぼってみることができる。 小さなワイナリーでも、安全性の証明ができるというわけだ。

ワイナリー代表の香月克公(よしただ)さん (44) は「名付けて『エシカルワイン』。 珍しい完全無農薬のブドウでつくったワインを、僕らがブドウにかける思いも一緒に評価してもらえないかという挑戦です。」と話す。 エシカルとは「倫理的な」という意味。 環境破壊や貧困など社会課題の解決につながる商品やサービスを選ぶ「エシカル消費」が欧米を中心に広がる。 香月ワインズがある宮崎県綾町は化学肥料や農薬を使わないことをうたう条例を 1988 年に全国で初めて制定した。

香月ワインズでは綾町の理念よりさらに厳しく、動物性由来の肥料も使わずに酢や重曹、焼酎を使って、難しいとされる無農薬ブドウの栽培に成功した。 7 年かかった。 17 年に 1 トンを収穫。 野生酵母だけで発酵させる、より自然に近いつくり方で昨年、1 千本のワインを初めて販売した。

ただ、18 年産は 2.4 トンが実ったものの、収量は一般的な農家の数十分の 1 と生産性が低い。 ワインを 1 本 7 千 - 1 万円にしたが「倒産しないぎりぎりのライン」という。 香月ワインズにとって、エシカルワインの話は渡りに船だった。 香月さんは「極限まで環境に負荷をかけないこのワインに共感してくれる人が必ずいるはず」と語る。 香月さんのエシカルワインは 5 月 9、10 日、パリのレストランで 50 本が実験的に提供される予定だ。

国の調べでは、国内製造ワインのうち、輸出にまわるのは 1% にも満たない。 昨年の輸出量は 22 万 9,096 リットル。 アジア圏が中心で対 EU は輸出量の 3.9% の 9,149 リットルと少ない。 これまでワインには、EU から輸入する場合は 1 リットルあたり輸入原価の 15% または 125 円の安い方の税金がかかっていた。 日本から EU に輸出する場合は、アルコール度数によって違うが、だいたい 1 リットルあたり 20 円程度かかっていた。 国内で出回るワインの 7 割が輸入だが、関税が撤廃され、より EU からの輸入が増えると見られている。

無農薬の国産ブドウ 100% のワインも希少だが、ブロックチェーンを使った「エシカルワイン」の海外出荷は、業界関係者の中でもかなり珍しいとみられている。 ISID の鈴木淳一さん (42) は「香月さんの思い、哲学には大量生産のワインにはない精神的な豊かさがある」と話す。 エシカルへの感度が高いとされるフランスの消費者が、どれだけ関心を示すか注目しているという。 (小出大貴、asahi = 4-14-19)


「世界一美しい」スタバに熱視線 桜並木で至福の一杯

「#世界一美しいスタバ。」 SNS でそんなハッシュタグ付きで紹介されるコーヒー店が富山市内にある。 何がそんなに美しい?

「#世界一美しいスタバ。」 SNS 上でそんなふうに語られるカフェ、スターバックスは、富山市内にある富山環水公園店だ。 ガラス張りの店舗は、遠くで雪をいただく立山連峰と、近くで桜が咲く風景と、みごとに調和していた。 ガラス越しに、芝生と公園内を流れる運河が映える。 記者が訪れた 3 月下旬、東京都立川市の医師唐沢知行さん (33) は家族 4 人でテラス席に座って運河を背に記念撮影していた。 「美しい景色でリフレッシュになります。」

「世界一」の根拠はわからない。 ただ店は、米国本社主催の店舗のコンペ「ストアデザイン賞」で 2008 年度の最優秀賞を受賞したことがある。 世界で新たに開店、改装した店の中から「四季折々の景色が楽しめる」などと評価された。 鉄骨平屋建ての約 310 平方メートル。 デザインしたスタバ社員の田淵啓一郎さん (44) は「世界には有名な建築家が建てた店もあるのに、10 年たっても『世界一』と言ってもらえるのは勲章です。」

新規出店担当の阿波一宏さん (47) がこの場所を訪れたのは 06 年ごろ。 夏の新緑、冬の雪景色、春の桜並木 …。 いつでも穏やかな気持ちになれた。 撮った写真は数千枚に上る。 「癒やしの場を提供したい」と県の公募に応じて開店した。 当初、最優秀賞については店長会で受賞報告があった程度。 いつの間にか話題が広まった。

15 年の北陸新幹線開業や 17 年の県美術館の園内誘致などで、周辺は人気の観光スポットへ様変わりした。 公園を訪れる人は徐々に増え、07 年度の 70 万人から 17 年度は 265 万人に。 兼六園(金沢市、280 万人)に迫る勢いだ。 地元の自治振興会会長の竹嶋一恭さん (71) は「世界でも景色が良いところと言ってくださり、スタバ自体も観光地になってくれた。 知名度もうんとあがった。 地元を褒められるのはうれしいね。」 照れくさそうに笑った。 (後藤隆之、asahi = 4-12-19)


国交省、4 空港に最高評価 訪日誘客支援、地方への国際線拡大図る

・ 4 空港を「S」評価
・ 着陸料割引で国際線就航促進

国土交通省航空局 (JCAB) はこのほど、着陸料などを割り引き訪日客の誘致を図る「訪日誘客支援空港」全 27 空港について、2018 年度の評価をまとめた。 米子と松山、佐賀、熊本の 4 空港を、最も評価の高い「S」評価とした。 JCAB は今後も、各空港の国際線就航促進への支援を継続する。 東京女子大学現代教養学部国際社会学科の竹内健蔵教授を座長とする懇談会委員 8 人が、空港ごとに「S」、「A」、「B」、「C」の 4 段階で評価。 「計画への取り組み」と「目標到達」の 2 つを評価し、計画どおりに取り組み達成できた場合は「A」、計画どおりに取り組んだものの、達成できてない場合は「B」、計画どおりに取り組まず、目標を達成できてない場合は「C」評価とした。

A 評価のうち、他空港に模範となる取り組みがあった場合や、実績が著しく増加している場合は「S」評価とする。 B 評価のうち、委員の個別評価で C 評価が複数あった場合は「B マイナス」とした。 最も高評価の S 評価となったのは米子と松山、佐賀、熊本の 4 空港。 佐賀や松山は自治体や官民などでの連携を評価し、熊本は「『くまモン』や『復興割』というようなチャンスを十分に活かしている」とする意見があった。 米子は多方面での取り組みを評価する一方、「韓国線への依存はリスクが大きい(委員)」ことから、東南アジアなど多方面への展開を望む意見もあった。

最も低い C 評価となった空港はなかったものの、南紀白浜と山口宇部、長崎の 3 空港を、C に次いで低い B マイナスとした。 南紀白浜は、ロシア市場をターゲットとしている点は評価できるとした上で、「(他地域を含め)就航されない要因を分析する必要がある」とする意見があった。 山口宇部は、空港や航空会社を指定せずに働きかけているのは評価できるとする一方、「出遅れている印象が強い」との意見もあった。 長崎は「東アジアに最も近い地理的特性を活かさず、観光資源も生かされていない」と評価した。

着陸料割引で国際線就航促進

訪日誘客支援空港は 2017 年 7 月に認定し、27 空港を3カテゴリーに分類して支援。 訪日誘客に一定の実績があり、拡大への計画や体制がある 19 空港を「拡大支援型」、誘客に着実な計画や体制がある 6 空港を「継続支援型」、誘客に高い意欲を持ち、増加が期待できる 2 空港を「育成支援型」としている。 拡大支援型空港には静岡や仙台、熊本、茨城など 19 空港を認定。 稚内や釧路、函館など道内6空港は「北海道」として 1 カ所でカウントする。 継続支援型空港には長崎と那覇、大分、宮崎、花巻、福島の 6 空港、育成支援型空港には松本と下地島の 2 空港を認定した。

国際線着陸料は新規就航や増便を対象とし、拡大支援型空港のみで割り引く。 国管理空港では 2 分の 1 以上を割り引き、国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」や地方管理空港では 3 分の 1 を補助する。 また、新規就航に伴うチケットカウンターの設置・使用料やグラウンドハンドリング(地上支援)、デアイシング(除雪・除氷)の経費を 3 分の 1 補助する。 補助期間はそれぞれ、最大で 3 年間となる。 (Yusuke Kohase、AviationWire = 4-8-19)