四川・岷江大橋が倒壊 「安全性に問題あり」とされ制限付きで使用、通行を全面禁止してから 28 分後

四川省メディアの成都商報などによると、同省眉山市彭山区にある岷江大橋の一部が、7 月 27 日午後 9 時 45 分に倒壊した。 同橋の完成は 1994 年で、複数回にわたり安全性の問題が指摘されていた。 5 月 2 日からは、通行を認める車両に制限が設けられていた。 7 月 27 日午後 9 時 14 分には橋の変形が確認され通行が全面的に禁止された。 その 28 分後に橋の一部が倒壊した。

岷江大橋の全長は 494.7 メートルで幅は 12.5 メートル。 彭山区中心部と観光地である彭祖山や黄龍渓などとその周辺部を結ぶ幹線道路の一部として建設され、1994 年 5 月に供用を開始した。 しかし 2014 年 10 月の鑑定作業で、安全性に問題があると判断されたため補修工事を実施。 工事の結果、基準を満たしたと判定された。 しかし 17 年 3 月になり改めて鑑定を実施した結果、「観察しながら使用」されることになった。 詳細は報じられていないが、橋の安全性を完全には確認できなかったと考えられる。

18 年 3 月にも再び鑑定を実施し、補強工事が必要との結論が示された。 4 月には補強工事が始まる予定だったが、川が増水期を迎えるため不可能との理由で、5 月 2 日からは高さ 2 メートル以下の小型車や発動機のない車両と人の通行だけが認められることになった。 同時に 24 時間体制で橋の状態を監視することになった。

7 月 27 日になり、午後 9 時 14 分に橋の変形が発生したとして、午後 9 時 17 分には通行が全面的に禁止された。 その 28 分後の午後 9 時 45 分に橋の一部が倒壊した。 眉山市は彭山区に橋の倒壊の原因を調査するように要求。 彭山区は橋周辺を封鎖すると同時に、区内にある道路や橋梁の安全性を改めて確認すると発表した。 岷江大橋の倒壊で死傷者は出なかった。 (如月隼人、RecordChina = 7-29-18)


中国に現れた「暗黒郷」 秩序なきネット空間の主権争い

自由か、管理か。インターネット空間のあるべき姿を巡り、世界が揺れている。 5 月末、中国雲南省の省都・昆明の駅で、行き交う人の波に警官が鋭い視線を飛ばしていた。 一見しても気がつかないが、彼らがかける眼鏡には、先進の技術が詰め込まれていた。 顔認証機能付きの「ハイテク眼鏡」。 相手の顔を見ると、警察のデータベースと照合され、容疑者の疑いがあれば警告音が鳴る。 その間、わずか 3 秒以内。 警官の視界には、容疑者の人相とどの程度一致したかという情報が、まるで 2 メートルほど先のディスプレーを見ているかのような感覚で浮かぶ。

広東省深センの横断歩道に設置された監視カメラも、顔認証機能で道行く人々の顔を識別している。 信号無視をする人がいれば直ちに身元を割り出し、名前などの情報とともに見せしめのように警察のホームページなどに映し出す。 プライバシーのない監視社会は、SF の世界では「ディストピア(暗黒郷)」と呼ばれてきた。 それを地で行くような現実が、進歩する技術と共産党政権が握る約 14 億人分のデータによって生まれている。

4 月、国家主席の習近平は共産党の会議で、「ネットの安全がなければ国家の安全はない」と強調した。 中国は「グレートファイアウォール」と呼ばれる検閲システムなどを駆使して、体制に都合の悪い情報を排除し、ネット空間を「国家主権」という名の壁で取り囲む。

これに対し、インターネットを生んだ米国は「ネット空間は自由であるべきだ」との理念を掲げてきた。 しかし、2013 年、米中央情報局 (CIA) 職員だったエドワード・スノーデンは、米政府が大量の個人情報を収集していたことを暴露した。 IT の進歩で様々なサービスの利便性が高まる半面、消費者が個人情報を企業に握られることに慣れきっている現実もある。 いまやプライバシーは「ぜいたく品」。 カリフォルニア大バークリー校教授のスティーブン・ウイーバーはそう言いきる。

インターネット空間は、どうあるべきか。秩序が確立していないこの分野で、主導権を巡る国際的なせめぎ合いが始まっている。 = 敬称略(朝日新聞「チャイナ・スタンダード」取材班 = 7-27-18)


ジャッキー・チュンさんコンサート会場、逃亡犯続々逮捕

中国全土でツアーを開催した香港の大スター張学友(ジャッキー・チュン)さんのコンサート会場で、次々と逃亡犯が逮捕されている。 逃亡犯たちは会場の監視カメラによって発見。 中国では公共施設などで顔認証システムのある監視カメラの設置が進み、「監視の目」が強まっている。

張さんは 4 月から 7 月にかけて中国大陸でのツアーを実施。 スタート直後からコンサートを見に来た逃亡犯の発見、逮捕が相次いだ。 5 月 20 日の浙江省嘉興市の会場では、入場ゲートに設置された監視カメラの顔認証システムが 3 年前から詐欺容疑で逃亡を続けていた男性を識別。 男性がゲートを通過して数分後には会場の警察官が男性を見つけ、逮捕に至った。

7 月 13 日の山東省威海市でのコンサートも含め、これまでに七つの会場で逃亡犯が逮捕された。 中には 5 万人規模の会場から発見されたケースもあった。 中国メディアによると、「危ないと分かっていたが、どうしてもコンサートが見たかった」と話している逃亡犯もいた。 ネット上では張学友に「逃亡犯の宿敵」との異名もついた。

中国では、警察当局による監視カメラの精度向上の研究が進む。 公安部直属の中国人民公安大学は 7 月、顔認証システムの開発会社と連携し、人工知能 (AI) を使った映像分析の技術向上を目指す研究センターの設立を決めた。 中国には街頭や公共施設、個人のマンションなどあらゆる場所に約 1 億 7 千万台の監視カメラが設置され、その多くは AI を搭載した顔認証システムと連動。 こうした監視網は「天網(悪事を逃さないよう天が張り巡らせた網)」と呼ばれ、個人の監視や特定がより容易になっている。 (上海 = 宮嶋加菜子、asahi = 7-23-18)


中国の路線バス 熾烈な顧客獲得競争の末路

ビジネスをめぐる戦いが熾烈なものになることは珍しいことではない。 だが、あくまで踏み越えてはならない一線はある。 中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

* * *

今年 6 月、一組の夫婦に対し刑事罰が言い渡された。 河北省武邑県の裁判所における一審判決である。 メディアは一斉にこのニュースを報じた。 その一つである『検察日報(北京)』がつけた見出しはこうだ。

長距離バスの運転手夫婦が、ライバル企業から客を奪うため、バスに爆薬を仕掛ける

香港で量産されるカンフー映画では、ライバルの商家が互いにお抱えのチンピラを差し向けて、相手の店をメチャクチャに破壊するシーンかお約束のように登場するのだが、まさにそんな話の小型版だ。 ただ、小型版といっても爆弾を造ってしまってはシャレにならない。 犯人である夫婦は、河北省の労働者で、二人で一生懸命に働き、ついに大型バスを一台手に入れると、念願だった会社を立ち上げたのだった。 2016 年のことである。 北京と河北省を結ぶ路線は、需要もあり、二人会社はとても順調なスタートを切った。

だが、間もなくライバル社が同じ路線で運行を始めると、雲行きが変わった。 夫婦とライバル社は、熾烈な競争をおこなうだけでなく、時には客を取り合って殴り合う事件まで起こすようになってゆくのだ。 そうしたなか、夫婦は、ライバル会社に打撃になるよう、安全検査にひっかかるようなものを積み込み、検査官に密告するという方法を思いついた。 それが今回の事件につながったのである。

二人は花火を大量に買い、それを解体してペットボトルに詰め、それをリンゴの入った籠の中に入れると、客の目に留まりにくい席の下に放置し、安全検査官に密告したのだった。 爆破するつもりはなかったとはいえ、大量の火薬を放置したのだから、とんでもない事件になっていても不思議ではない。 夫婦はそれぞれ 3 年と 6 カ月、3 年と 4 カ月の刑を言い渡された。 (ポストセブン = 7-20-18)


中国最大の超大作が大コケ 映画『阿修羅』、初週で公開停止

中国映画史上最大の予算を投じ製作されたファンタジー映画『阿修羅 (Asura)』が、歴史的な興行不振を記録し、公開初週の週末に上映が打ち切られる事態となった。 アリババ影業集団が製作した同作は、チベット仏教の神話に着想を得た壮大な 3 部作の第 1 部として、13 日に公開された。 製作の背景には、伝統的な中国文化を題材とした作品を推奨する中国当局の働き掛けもあった。

国営メディアは、製作費が 7 億 5,000 万元(約 126 億円)だったと報じている。 これまで中国で製作された大作映画の大半は、この半分の予算で製作されていた。 映画チケット販売サイト「猫眼電影 (Maoyan)」によると、初週の週末興行収入は 4,900 万元(約 8 億 2,500 万円)余りにとどまった。 同作のソーシャルメディア公式アカウントは 15 日、同日午後 10 時をもって映画館での上映を打ち切ると発表した。

米ドル換算した推定損失額は 1 億 600 万ドル(約 116 億円)で、興行成績分析サイト「ボックス・オフィス・モジョ」によると世界映画史上 5 位に入った。 過去最大の赤字作品は 1 億 2,500 万ドル(約 140 億円)の損失を出した『シンドバッド 7 つの海の伝説』とされている。 国営英字紙チャイナ・デーリーによると、本作は製作に 6 年を費やし、映像面に多額の予算を投入。 上映時間 141 分のうち 2,400 シーンに特殊効果が使われているという。

香港のドル箱スター、レオン・カーフェイ(梁家輝)やカリーナ・ラウ(劉嘉玲)を起用した他、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの衣装を担当しアカデミー賞に輝いたデザイナーのナイラ・ディクソンといった大物外国人スタッフも参加した。 それでも、中国で最も影響力の大きいレビューサイト「豆弁 (Douban)」での評価は 10 点満点中わずか 3.1 点となっている。 あるユーザーは、「おぞましい! 単なる糞便の壮大な山だ!」とコメントした。 (AFPBB/時事 = 7-18-18)


中国で 100 万台のコンピューターがクリプトジャックされる 被害額は 200 万ドル

・ 中国で 100 万台以上のコンピューターがクリプトジャックされる
・ 犯人らは 200 万ドル相当の通貨を不正に得たとして逮捕された
・ 犯人らは犯行がバレないようにあえてマイナーな通貨を狙っていた模様

中国で仮想通貨マイニングを行うマルウェアが 100 万台以上のコンピューターをクリプトジャックし、200 万ドル(約 2.2 億円)相当の仮想通貨を採掘したと報じられました。 現地メディアが今週月曜日に報じたところによると、中国大連市の警察はコンピューターテクノロジー関連会社の社員 20 人を大量のコンピューターを遠隔操作し、違法にマイニングの利益を得たとして、逮捕しました。

犯人らは開発したマルウェアをブラウザ向けプラグインに埋め込んだとされています。 これらのプラグインはブラウザを高速化する目的などがあり、広告として中国国内で 500 万台のコンピューターで表示されていました。 警察によると、広告をクリックしてプラグインをインストールした 100 万台以上のコンピューターが次々に感染し 2 年間で合計 2,600 万の digibyte、decred、siacoin を採掘したそうです。

犯人らはバックエンドでマイニングを行い被害者らに気づかれないようにしていたため、膨大な計算能力を必要としないマイナーな通貨を選んでいたとされています。 さらに、犯人らはネットカフェなど 100 以上の関係者と提携関係を築いており、マルウェアを広めるためのネットワークを構築していたと警察は明かしました。 中国では以前にもネットカフェの保守会社がマルウェアを仕込み、不正に siacoin をマイニングするという事件があり、中国警察は警戒を強めています。 (CryptoTimes = 7-10-18)


中国の #MeToo 運動は、「絵文字」を駆使して政府の検閲を回避する

記事コピー (7-5-18)


中国でバス事故、18 人死亡 運転手に疲労蓄積か

中国・湖南省衡陽市の高速道路で 6 月 29 日夜、大型バスとトレーラーが正面衝突する事故があり、18 人が死亡した。 中国メディアによると、バスが中央分離帯を越えて反対車線に飛び出し、対向車と衝突した。 バスの運行会社は、運転手に疲労が蓄積するなど管理体制に問題があるとして、警察から指導を受けていた。

北京紙・新京報などによると、事故は 29 日午後 8 時 40 分(日本時間同 9 時 40 分)ごろ発生。 18 人が亡くなったほか、14 人がけがをした。 バスの運行会社がある河南省の地元警察によると、1 月以降、同社では運転手の疲労による速度超過など交通違反が相次ぎ、安全教育を行うよう会社に指導していた。 (上海 = 宮嶋加菜子、asahi = 6-30-18)


ロケット残骸が落下して大爆発、異臭発生か?

鼻を手で押さえて逃げる人も = 当局発表「死傷者なし」 - 貴州省

中国メディアの新京報によると、貴州省福泉市仙橋郷に 27 日午前 11 時半ごろ、円柱状の大きな物体が落下して「激烈な爆発」を起こした。当局は、四川省で打ち上げられたロケットの残骸と発表した。  白昼の出来事だったことで、多くの人が落下の様子を目撃した。 動画撮影をした人もいる。 円柱状の物体かかなり大きく見え、やや回転しながら落下した。 落下地点は農耕地で手前の建物にさえぎられて見えないが、着地したと思われる瞬間からしばらくして、大きな爆発を起こした。

爆発に伴い黄色い煙が大量に発生し、上昇してきのこ雲になった。 住民と見られる人々も写っているが、やや離れた場所にいてパニック状態にはなっていない。 人々は落下場所から遠ざかろうとするが、複数の人が手で鼻を押さえているので、異臭が発生していた可能性がある。 福泉市政府は同事態について、四川省にある西昌衛星発射場で打ち上げた長征 2 号Cロケットの残骸が落下したと発表した。 事前に住民の退避を実施しており、死傷者はなかったとした。

中国に限らず人工衛星打ち上げの際には、一部の例外を除き東の空に向けてロケットを打ち上げる。 地球の自転を利用して速度を稼ぐためだ。 中国の衛星打ち上げ場所は 2014 年に新たに完成した海南省の文昌衛星発射場を除き、国土西部の内陸部にある。 そのため、衛星を打ち上げると自国の陸地部にロケットの残骸が落下する。 落下場所は計算可能であるため、衛星打ち上げのタイミングに合わせて地元当局は住人を建物内などに退避させる。 残骸落下で建物などに被害が出た場合には、当局が補償することになっている。

ただし、中国の衛星打ち上げ用ロケットの大部分は、推進剤として猛毒の四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンを用いる。 そのため推進剤が残ったまま落下した場合、地上の人に健康被害を与える可能性は否定できない。 (如月隼人、RecordChina = 6-29-18)


中国・上海で小学生ら切りつけられ、2 人死亡

中国・上海市で 28 日昼ごろ、小学校近くの路上で小学生らが男に次々と包丁で切りつけられ、うち小学生 2 人が死亡しました。 地元警察の発表によりますと、午前 11 時半ごろ、上海市世界外国語小学校近くの路上で、男が下校途中の小学生の男児 3 人と保護者の女性を次々に包丁で切りつけました。 うち 2 人の男児が死亡したということです。

中国の SNS には、現場で男が警察に取り押さえられた瞬間とみられる映像が投稿されています。 男は 29 歳で、今月上旬に上海に来たということで、警察の調べに対し、「生活に不満があり、社会に報復したかった」と話しているということです。 上海領事館は、日本人の被害についての情報は入っていないと話しています。 (TBS = 6-28-18)


言っちゃった! 中国地方政府が政策文書で「外国人がユーチューブ、ツイッターを使えるようにする」 慌てて削除

中国メディア・中国新聞網は 21 日、海南省が先日発表した国際観光発展計画で「外国人がフェイスブック、ツイッター、ユーチューブを正常に利用できるようにする」との文言を盛り込んだことを伝えた。 一方、同省はウェブ上で公開していた同計画の文書を削除している。

記事は、同省人民政府弁公庁が 21 日に「海南省の観光国際化レベル向上 3 年行動計画(2018 - 2020 年)」を発表し、国際航空路線の増加、複数の地方空港の国際空港化、フェリー路線の開通などの青写真を描くとともに、20 年までに同省を訪れる外国人観光客数年間 200 万人、東南アジアを中心とした外国人材 5 万人の雇用といった目標を打ち出したこと紹介した。

また、「同省は海口、三亜の 2 つの重点観光都市を活かして外国人観光客の密集エリアづくりを計画している。 エリア内では外国人が国外で流行している SNS のフェイスブック、ツイッター、ユーチューブを正常に利用できるようにするとのことだ」と報じている。 中国政府はフェイスブックなどの SNS の国内利用について、特別な規制をかけていないと主張している。 同省の計画に盛り込まれた文言は「中国ではフェイスブック、ツイッター、ユーチューブが正常利用できない」状況があることを公に認めたとも受け取れる。

この件について多くの中国メディアがネット上で報じていたが、その後軒並み記事が削除された。 中国新聞網の記事も、23 日午前 10 時ごろまで閲覧できていたが、程なく閲覧不能となった。 海南省政府のウェブサイトも同計画の全文を掲載していたが、すでに削除されている。 残っていたキャッシュから確認できた計画文書中には、確かに中国新聞社が報じていた内容が記載されていた。 (今関忠馬、SearChina = 6-24-18)


中国環境省、汚染対策での当局者の怠慢を取り締まり 今月 58 人拘束

[上海] 中国の生態環境省は今週、環境汚染対策で怠慢、あるいは不正な行為をした当局者の取り締まりを進めていると明らかにした。 地方当局に環境汚染対策の徹底を促す狙いがある。 調査官らは過去 3 週間にわたり、国内 31 の省・地域で、環境汚染対策が形式だけでなく、適切に行われているかを調査。 2015 年に中央政府が始めた調査で発覚した数千件もの環境規制違反に当局がどう対処しているかを詳細に調べている。

生態環境省によると、すでに 6 月前半だけで、環境規制違反を是正しなかった 641 社に対し、総額 5,800 万元(892 万ドル)の罰金を科したほか、当局者 58 人を拘束した。 現在も調査を継続している。 同省はまた、環境汚染データの改ざん、汚染への対応が過度に遅い、問題解決を急ぐあまり適切な対処方法を取らないなどの当局の行為についても非難した。 (Reuters = 6-22-18)


中国、新車に RFID チップを搭載 - - 全ドライバー追跡へ

  • 中国は新車に RFID (Radio Frequency Identification) チップを搭載する計画を進めている。 渋滞解消や公害防止、公共の安全が目的。
  • 車の所有者はチップをフロントガラスに取り付けることになる。 同時に中国は国内の半導体産業の育成を図る。
  • 計画は 2019 年に本格展開され、それまでは希望者を対象に行われるとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えた。
  • 中国は「監視国家」と言われる環境を作りつつある。 車および顔認証テクノロジーが犯罪者の摘発以上の用途に使われることへの懸念が高まっている。

中国はまもなく、新車の移動の追跡を始める。 2019 年から中国では、新規登録された全ての車のフロントガラスに RFID チップを取り付けることが義務化される。 渋滞解消や公害防止、公共の安全がその目的。 ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。 この計画では、車のナンバープレートとカラーも登録される。 道路沿いに設置された読取装置が RFID チップを検知、通行情報は公安省に送られる。

中国の渋滞は極めてひどい状況、北京では 500 万台の車が走行している。 世界保健機関 (WHO) によると、中国では 2013 年、交通事故で 26 万人以上が死亡した。 だが、2018 年 7 月 1 日から希望者を対象に開始されるこの計画には、習近平主席が描くもう 1 つの狙いがある - - 中国国内の半導体産業の育成だ。

International Business Strategies によると、中国は「世界の工場」となっているにもかかわらず、中国で使用される半導体の 90% が輸入、もしくは中国国内にある外資系企業で製造されている。 数百億ドルもの資金が、国内での半導体の研究開発のための投資資金として投入されると伝えられた。

中国のスマートフォンメーカーZTE は、アメリカが同社への半導体等の部品の販売を禁止したことにより、事実上の倒産に追い込まれた。 その後、中国政府関係者は、国内半導体産業の急速な育成について何度も会議を開いたと報じられた。 だが中国は、車にコンピューターチップを搭載する最初の国ではない。 カリフォルニアでは、チップを埋め込んだナンバープレートのテスト運用が始まっている。 ドライバーは自動車の登録更新を自動で行うことができ、一方、警察は盗難車の追跡が可能になる。 (Tara Francis Chan、Business Insider = 6-21-18)


万里の長城の修復工事に疑問の声「まるで破壊行為」 - 中国メディア

6 月 18 日、中国メディアの騰訊網は、山西省大同市に現存している万里の長城の一部で行われている修復工事について「破壊行為ではないか」と疑問の声が出ていると報じた。  修復工事が行われているのは、同市新栄区に位置する城壁都市「得勝堡」。 明代を代表する長城として省の重点文化財に指定されている。 文化財を修復する場合は、政府関係部門による審査が必要なことに加え、本物としての価値を損なわないため「現状保存」とすることが原則とされている。

しかし、ネット上に投稿された写真からは、古く見えるように加工されたタイル状の物で全体を覆い尽くす工事が行われており、長城はまるで新たに建設し直した建物のように生まれ変わりつつあることが分かるという。 新栄区文物局によると、修復工事は関係部門の審査を経た上で行われており、すでに約 3 分の 1 が修復済みで、残る部分も覆いやすくするため重機などを使って壁面を削ってならす工事が行われているという。

記事は「長城は経年による劣化が進んでいるため修復工事を行うこと自体には肯定的な見方が多い」とした一方で、「『現状保存』の原則を無視した工事が行われているとなれば、それはやはり『破壊行為』にほかならない」と伝えている。 (RecordChina = 6-19-18)


東京ディズニーと上海ディズニー、開業 1 年の集客数が多いのはどっち? - 仏メディア

6 月 13 日、仏 RFI 中国語版サイトは 16 年 6 月オープンの上海ディズニーランドについて、「開業 1 年目の集客数が世界最多のテーマパーク」と報じた。 記事は「上海ディズニーの 1 年目の入園者数は延べ 1,100 万人を超えており、最も人気の高い東京ディズニーを上回る世界 1 位」と紹介。 これまでのぬいぐるみ売り上げが 100 万個を超えたことなどにも言及している。

記事はまた、ウォルト・ディズニーのロバート・アイガー会長兼最高経営責任者 (CEO) が過去に「上海ディズニーの期待を超える成功の絶対的なカギは現地化だ。 ディズニーと上海の協力は始まったばかり。 今後はさらに最新のアイデアと中国要素を結合させ、ゲストのために独特の体験を提供するテーマパークを打ち出す。」と述べたことも取り上げている。 (RecordChina = 6-14-18)

(注) 現在の「東京ディズニーリゾート」の年間来園者数は、おおよそ 3,000 万人


美人客室乗務員のレイプ殺人も 中国発! シェア経済の実態

シェア経済大国となった中国で、シェアビジネスに絡む殺人事件が起きた。 中国で成功例とみなされているシェアビジネスの 1 つに配車アプリがある。

配車アプリ「滴滴」は中国版 Uber

配車アプリといえば世界的にはアメリカ発の Uber が知られ、日本人にも馴染みが深い。 しかし中国では圧倒的な強さを誇るのが、中国版 Uber と称される「滴滴出行(以下、滴滴)」である。 アプリは使い易い。 スマホ上でアプリを開き、出発地点と行き先を打ち込む。 すると近くにいる車が配車され、その車の運転手の姓や電話番号、車のナンバーが表示される。 車が到着するまでのおおよその時間なども表示される。

この「滴滴」は、タクシー以外にも、正規の職業ドライバーのものではない車も配車している。 言わば白タクである。 その中には、白タクを生業としているドライバー以外に、会社勤めなどの正業を持ちながら、仕事終わりや休日に自家用車で小遣い稼ぎをする「パートタイムドライバー」も多い。

配車アプリが無いとタクシーはとまってくれない?

最近、北京市内では、「空車」で走っている流しのタクシーを拾おうと手を挙げても、通り過ぎられることが多い。 フロントガラス越しのドライバーがしかめ面をして、イヤイヤをするように手を振ったりする様子が見えると、不当に乗車拒否にあったような不快な気持ちになるが、このほとんどは、配車アプリを通じてすでに乗客を見つけた車である。 ドライバーにとっては、ワンメーターで降りるかもしれない乗客を拾うリスクを冒すよりは、あらかじめ乗車区間が分かって距離の見込める客を乗せた方が得、という心理も働くだろう。 だったらせめて「空車」の表示を消して走ってくれれば良いとは思うのだが。

北京を始め、中国の多くの都市では、公共交通機関を使って行ける場所には限りがある。 そのため、タクシーは日常的に使われる重要な足である。 そのタクシーが、配車アプリを使わないとつかまらないという事態が生じつつあるほど、配車アプリが普及した。 今や、それを使いこなすのは、便利さの追求という段階を超え、中国で生活する上の必需品とまで言える。

女性は白タクが好み?

先にも述べたが、「滴滴」はタクシーも白タクも配車している。 どちらを呼ぶかは、乗客の側がアプリ上で選択できる。 タクシーは車も古く車内が汚れているのに比べ、白タクは、ドライバーが自家用車を使っているだけに、車も新しく清潔なことが多い。 日本では、抵抗感の強い白タクだが、中国では、特に女性はタクシーよりもこの白タクを好む人も多い。

そんな中で起きたのが、今回の事件である。 中国の報道によれば、事件の概要は以下である。 今年 5 月 8 日朝、河南省鄭州の空港近く、道路脇の空き地で、下半身がむき出しになった女性の変死体が発見された。 遺体には 10 数箇所の刺された跡があり、性的暴行の痕跡もあった。

被害者は、格安航空会社の 1 つ祥鵬航空の客室乗務員の女性(21 歳)だった。 女性はこの 3 日前の 5 月 5 日の深夜、航空会社が用意したホテルから鄭州市内にある実家に戻り、翌日には友人の結婚式に参加する予定だったという。 女性が、ホテルを後にするときに乗ったのが、配車アプリ「滴滴」を使って呼んだ白タクだった。 しかしその夜、両親のもとに一人娘は戻っていなかった。

警察が容疑者として特定したのが、女性が「滴滴」を通じて呼んだ白タクのドライバーの男(27 歳)だった。 しかし、男は事件発覚から数日後、水死体で発見される。 警察は監視カメラの映像などから、男が女性を殺害後、川に飛び込み自殺を図ったと断定した。

容疑者の虚偽登録を見落としたアプリ会社

白タクとはいえ、「滴滴」はアプリを通じて配車するドライバーや車を審査した上で、登録を許可している。 実は、男は過去に交通事故の履歴があったため、父親の免許証を使って「滴滴」に登録していたことが分かった。 さらに男はうつ病を患っていたともされる。 「滴滴」はそれらを見落としていた。

「滴滴」は、事件の責任は避けられないと認め、被害者と遺族に対して謝罪するとともに、同様の事件の再発防止を徹底する旨の声明を発表している。 中国メディアが報じた写真に写っている生前の被害者は、客室乗務員の制服に身を包み、にっこり微笑んでいる。 赤い口紅がよく映える色白の女性である。 父親によれば、客室乗務員になるのが娘の夢だった、という。

事件が注意喚起のきっかけに

客室乗務員は中国でも憧れの職業の 1 つである。 羨望の的にあった女性が被害者となったことから、事件は、連日報じられた。 同時に、配車アプリを利用する潜在的な危険性についても、今更ながら注意喚起された。 ドライバーによるセクハラ、強盗、私自身も何度か経験したが、アプリ上で表示された車と違うナンバープレートをつけた車がやって来るという問題も頻発している。

「(不特定多数の客を対象にし、営利を得ている企業は)その商品の用途や機能に思いもよらない危険性が潜んでいないかを、考えなくてはいけません。」 そう強調するのは、シェアビジネスの取材を通じて知り合った張黔林弁護士(44 歳)である。 張氏は、シェア自転車に乗って事故にあった少年の遺族の代理人をつとめる。

中国の技術の進歩や社会の変化の速さには、目を見張るものがある。 同時に、急変化という熱病に罹り、浮き足立ってさえいるかのような社会には、今回のような事件が起きて、初めて、管理、監督、法律などの不備に気づくという側面が同居する。 皆が一斉に新しいモノに飛びつき、あっという間に広がる気質は、確かに活気を生む。 一方で、日本で報じられることはまれかもしれないが、その負の側面が引き起す問題や事件も、度々起きている。 (宮崎紀秀、Yahoo! = 6-10-18)


「スマートフォン・ゾンビ」専用道路、中国に出現

中国北部の西安に、ゆっくり歩くスマートフォン利用者専用の特別な歩行者道路が完成した。 新華社通信陝西省版のウェブサイトが 6 日、報じた。 新華社通信の陝西省版によると、西安市内の雁塔路には現在、「ファバー」専用の特別道路がある。 ファバーとは、電話を凝視し、周り全てを無視する人を指す。

この専用道路は赤、緑、青で塗られ、横幅は 80 センチ、長さは 100 メートル。 スマートフォンの絵が道に描かれ、普通の歩道とは違うことを示している。 雁塔路に面して建つ大型ショッピングモールがこの 1 カ月、専用道路の整備を後押ししてきたと新華社通信陝西省版は伝えた。

報道によると、周囲に注意を払わないこともある歩行者でごった返す歩道に、車がよく進入していたという。 ニュースサイト「The Paper」による地元住民へのインタビューでは、住民は専用道路の登場を歓迎している。 ウェイ・シャオウェイさんは、こんなものを見たのは初めてだが、「非常にいい」と語った。 「この辺を歩く皆が、専用道路は非常に安全だと思っている。 歩道の横には車が走っていて、車も歩道に進入してきて、時々道を邪魔してくるので。」

別の地元住民、フー・シュヤさんは「現代を歩く若者は足が速く、常に電話を見ている。 専用道路は、電話を良く見ている私たちのような人間を安心させてくれる。 一種の安全対策だ。」と話した。 しかし、中国で人気のある SNS 「微博(ウェイボ)」の利用者の中には、専用道路をもっぱら当惑しながら面白がっている。 ある利用者は、現代の若者にとって携帯電話は「清王朝時代に吸われていたアヘンと同じぐらい広まっている」と書いた。

別の利用者は、スマートフォン利用者はまるで「目の見えない人」のようだと書いている。 さらに別の利用者は、専用道路を使うファバーたちにも、お互いがぶつかってしまう危険性は変わらずあると指摘した。 (ケリー・アレン、BBC = 6-8-18)


中国、農村部の教師らデモ 報道容認、地方へ警告か

【北京・河津啓介】 中国で農村部の教師らによる待遇改善を求めるデモが相次ぎ、関心を集めている。 警察官が強引に教師を取り押さえる映像がインターネット上に流れ、非難が殺到した。 国内メディアも地方行政の不備を批判し、地元政府が対応の非を認める事態に発展した。

厳しい情報統制の対象となるデモの報道が一部容認されたのは、批判の矛先を地方にとどめるガス抜きと共に、中央集権を強める習近平指導部が、地方政府の引き締めを図る意図もありそうだ。 ネット上の情報を総合すると、4 月以降、内陸部の陝西省、湖南省、安徽省などで教師たちのデモが発生。 安徽省六安市では 5 月 27 日、農村部の教師ら約 200 人が、他地域で支払われている年間 2 万元弱(約 30 万円)の手当が未払いなどとして市庁舎へ向かった。 警察側ともみ合いになり十数人が連行され、警官が女性教師を後ろ手にして押さえつけたり、男性教師が手錠をかけられたりする映像がネットで拡散した。

当局の横暴な振る舞いは波紋を広げ、28 日に大手紙の光明日報が電子版の論評で「未払いは憲法や関連法に違反し、責任者にわずかな法治意識さえないことが背後にある」と痛烈に批判。 六安市政府は 29 日、手当の未払いは否定しながら、「少数の警官による粗暴な対応を心から謝罪する」と表明した。 北京や上海の教師は月給 6,000 元(10 万円)程度が平均的で、内陸部はその半分以下も珍しくない。 都市と農村の格差は古くからの課題だが、近年の景気停滞による地方の財政難が拍車をかける。 ある内陸部の教師は毎日新聞の取材に「私も賃上げを見送られたまま。 当局は、教師を不満を抱えた警戒対象と見ている。」と嘆いた。

共産党機関紙・人民日報系のネットメディアは 30 日、教育専門家の分析として「国家の統一的な政策と、地方政府の執行力のずれが浮き彫りになった」と伝えた。 習指導部は中央主導で農村を中心に民生向上に力を入れているが、一部地方の執行力に問題があり、不満を招いているという論理だ。 習指導部は今年 1 月、地方の公立小中学校の教師に「国家の公職員」の地位を与える方針を示した。 国家が教師を直接的に管理し、統制しやすくする狙いがあるとみられる。 (mainichi = 6-2-18)


半年で酒宴 112 回、白酒 600 本飲む 中国の地方警察

中国湖南省の最貧困地区にある警察施設で、幹部らが連日のように酒宴を開き、約半年間で白酒 600 本(1 本 = 500 ミリリットルで 80 元。 総額 4 万 8 千元 = 約 80 万円)を飲み干した。 警察は 5 月 31 日、幹部 5 人が処分を受けたとして、風紀を改めるとする反省文を公表した。 共産党機関紙・人民日報が伝えた。

報道によると、処分を受けたのは安化県公安局。 高級酒「マオタイ酒」の産地である約 700 キロ離れた貴州省まで警察車両で出向き、白酒 600 本を調達した。 警察施設には、高級な個室があり、酒宴は 112 回開かれたという。 90 回は上級部門や OB らに対する非公式な接待。 残る 22 回は規則に反して公金を使った飲み食いだった。

警察関係者の一人は「普通の店で買うと 1 本 200 元はするうえ、味も劣る」と釈明。 実際、白酒 600 本を買った 2016 年の接待費は、前年より 15% 減少していた。 警察施設内には「公務による接待では一律飲酒禁止」という注意書きもあったという。 習近平(シーチンピン)指導部は公務員の綱紀粛正を指示しているが、地方を中心に徹底されていないとされる。 (広州 = 益満雄一郎、asahi = 5-31-18)


密告社会・中国の "ご都合プライバシー" 不倫告発した警官の末路が語るもの

中国浙江省で 40 代の男性警察官が上司の勤務時間中の不倫現場を盗撮し、監督機関に通報したところ、「プライバシーの侵害」を理由に拘束される事件があり、中国社会で議論を呼んでいる。 習近平指導部が進める「反腐敗」、「反スパイ」キャンペーンで密告が奨励され、言論統制も強まるなど "監視社会" 化が進む中で、公権力者や国民の「プライバシー」はどこまで守られるのかが焦点だ。

GPS で執念の追跡

上海に拠点を置くネットメディア「澎湃新聞」が暴露した事件の概要はこうだ。 浙江省台州市黄岩区の公安(警察)分局に勤務する男性警察官は 2015 年、以前から反りの合わなかった男性上司の副局長が不倫しているとの情報を得た。 その後インターネットで GPS 追跡装置を購入し、16 年 5 月のある晩、上司の自宅をこっそり訪れ、自家用車 2 台のバンパー下部に装置を取り付けた。

その後 1 年余りにわたり、この警察官はスマホのアプリを使って上司の車の行動を追跡した。 執念の "捜査" の結果、上司が台州市内の集合住宅の地下駐車場で頻繁に女性と密会していることを突き止める。 警察官は駐車場に隠しカメラを設置し、3 カ月以上にわたって密会を撮影。 このうち 3 回は勤務時間中だったといい、17 年6 月末に区の党規律検査委員会に匿名で "調査資料" を送った。

告発は「正義の行動」?

ところが事態は、この警察官が予想しなかった方向へと進んでいく。 上司は告発の直後、車に取り付けられた追跡装置を発見し、派出所に通報。 思い当たる節があったためか、自ら女性との「不適切な関係」を認めた。 党の規律委員会は、規律違反による具体的な「好ましくない影響」は出ていないとして上司への処分は行わず、別部署に異動させるにとどめた。 一方、不倫を告発した警察官は追跡装置の売買記録などから特定され、「警察官の身分を利用して私的に尾行や監視を行い他人のプライバシーを著しく侵害した」などとして約 2 週間の禁錮・拘留処分を受けた。

警察官は当然この処罰に不満を抱き、上級の台州市党規律検査委や浙江省公安局などにも通報したが、逆に党は今年 2 月、警察官への調査を正式に決定。 これを受けて警察官は拘留処分取り消しを求めて行政訴訟を起こすなど混乱が拡大した。 警察官は、上司と女性が長期間にわたって不適当な関係を持ったのは党の規律に違反しており、「尾行と盗撮によって証拠を入手した行為はプライバシーの侵害と認定されるべきではない」と澎湃新聞に主張。 「一人の共産党員」として休日も返上し、規律違反の行為を把握したのは「正義の行動だ」と訴えている。

"やりたい放題" だった上司

一方、公安分局側は訴訟で、プライバシーは個人の権利であり「法律や道徳に違反するかどうかにかかわらず客観的に存在するものだ」と主張しているという。 ただ今回の報道では、警察幹部が BMW などの外車 2 台や別荘らしき住宅を保有し、勤務時間中に不倫するなどの "やりたい放題" の現状が結果的に暴露され、ネット上では「これでも監察部門は関心を持たないのか」、「これは盗撮ではなく監督だ」などと上司への処分を求める声がわき上がった。

その結果、区の党委員会は今ごろになって上司に対する調査を正式に決定し、停職処分を決定。 一方、告発した警察官も、上司以外の十数人に対しても私的な尾行や盗撮を行い、1,000 件以上の個人情報を不法に得ていたとして逮捕された。 「けんか両成敗」によって騒動の収束を図った形だ。

当局は監視し放題

警察官が上司を告発した背景には、確かに薄暗い動機があったとみられる。 ただ中国当局は「国家の安全」を錦の御旗として、民主活動家や人権派弁護士、ジャーナリストへの尾行や盗聴を日常的に行っている。 プライバシーどころか身体の自由すら奪われた人たちは枚挙にいとまがない。 一般の国民も、ネット上の発言などはプライベートなメールも含めて常に当局に監視されている。 公権力側の人間が「プライバシーの侵害」を持ち出すことには違和感を覚えざるを得ない。 (北京 = 西見由章、sankei = 5-29-18)