働く高齢者の年金減額縮小へ 就労継続を後押し

政府は一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す方針を固めた。 6 月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に明記する。 将来的な廃止も視野に高所得者の年金減額の縮小を検討する。 少子高齢化の進展で生産年齢人口の急激な減少が見込まれており、高齢者の就労意欲をそぐ同制度はふさわしくないと判断した。 2020 年度の法改正を目指す。 (nikkei = 5-24-18)


女性記者セクハラ被害調査 20 代最多、退職例も

前財務事務次官のセクハラ問題を受け、学者やジャーナリストらでつくる「メディアにおけるセクハラを考える会」は 21 日、新聞、テレビなど報道機関で働く女性のセクハラ実態の調査結果を公表した。 加害者は上司や同僚など社内が 4 割を占めたほか、捜査関係者が 12%、政治家や秘書ら政治関係者が 11% で、取材先からの被害報告が多く寄せられた。

同会代表の谷口真由美・大阪国際大学准教授が東京都内の日本外国特派員協会で会見した。 調査は 4 月に谷口さんがフェイスブックで情報提供を呼び掛け、10 日間で 35 人から 150 件の事例が集まった。 被害に遭った年齢は 20 代が 51% で最も多い。 場所は飲食店が 25%、職場 14%、取材現場 11% と続いた。 中には警察幹部の性的な冗談を苦に、うつ病を発症して退職した事例もあった。

谷口さんは「被害を訴えても社内で理解されない、報道しようとして上司に止められたという声もあった」とし、「セクハラは正面から向き合う問題だと認識してほしい」と訴えた。 「メディアから声が上がることで、社会の中で性被害が拾い上げられやすくなる」とも指摘した。 (今福寛子、神戸新聞 = 5-21-18)


大卒就職率、過去最高 98% 高卒も 27 年ぶり高水準

今春卒業した大学生の就職率(4 月 1 日現在)は 98.0% で、前年同期より 0.4 ポイント増えて調査を始めた 1997 年卒以来、過去最高となった。 厚生労働省と文部科学省が 18 日発表した。 上昇は 7 年連続で、過去最高は 3 年連続の更新だ。 厚労省は、景気回復や人手不足で企業の採用意欲が高まった影響だとみている。 調査は国公立 24 大学、私立 38 大学の 4,770 人を対象とした。 文系は同 0.9 ポイント増の 98.2%、理系は同 1.5 ポイント減の 97.2% で、調査開始から初めて文系が理系を上回った。

厚労省によると、理系には国家資格を取得した上で就職を目指す学生が多い。 こうした学生のうち資格試験に不合格だった人が、学生に有利な「売り手市場」が続くなかで就職活動を 1 年先延ばししても希望の就職先に入れると考え、今春の就職を見送った影響とみられるという。 一方、文科省によると、今春卒業した高校生の就職率(3 月 31 日現在)は前年同期より 0.1 ポイント増の 98.1% だった。 上昇は 8 年連続で、91 年卒以来 27 年ぶりの高水準だった。 やはり企業の採用意欲の高まりが影響したという。 (村上晃一、asahi = 5-18-18)


過労死 4 年前、野村不動産を調査 労基署、違法見抜けず

裁量労働制を違法適用していた野村不動産で男性社員が過労自殺していた問題で、新宿労働基準監督署(東京)が過労死の約 4 年前に同社を違法労働で調査していたのに、違法適用を見抜けなかったことがわかった。 過労自殺をきっかけに改めて調査し、ようやく気付いた。

裁量労働制は適用できる業務が法律で決まっているが、対象者の実際の働き方を詳しく見ないと適切な適用かどうか判断できず、取り締まりが難しいとされる。 主要野党は「いったん導入されると乱用が見抜けない」と指摘。 政府が働き方改革関連法案で導入を目指す、高収入の一部専門職を労働時間規制から完全に外す「高度プロフェッショナル制度」にも同じ懸念があるとして反対している。

裁量労働制は、実際に働いた時間に関わらず一定時間を働いたとみなし、残業代込みの賃金を払う制度。 野村不動産は 2005 年、会社の中枢で企画などの業務に就く人が対象の「企画業務型」を、課長級・代理級の全社員に導入したが、マンションの営業担当など本来は適用できない社員が多く含まれていた。

関係者によると、新宿労基署は 12 年に違法な長時間労働などの疑いがあるとして同社の東京本社を調査した。 その結果、一般社員の長時間労働については是正勧告した。 裁量労働制の適用者も調べたが、勤務時間の適正な把握や、働いたとみなす時間数の見直しだけを指導。 違法適用についての指摘はなかった。 同社はのちに、残業時間を含めた 1 日の「みなし労働時間」を 9 時間から 9 時間半に延ばした。

その後、16 年 9 月に裁量労働制を適用されていた東京本社の男性社員が自殺し、17 年春に遺族が労災申請したことをきっかけに、新宿労基署は改めて同社を調査。 男性を含め、全社的に違法適用していたことが発覚し、東京労働局は同 12 月に特別指導した。 同社は社員約 1,900 人のうち約 600 人に適用していたが、今年 3 月に廃止した。

政府はほかの調査に支障が出るとして、特別指導のきっかけが過労死だったことを認めていない。 野党側は、過労死が出ないと違法適用を見抜けないのではないかとの疑念を深めており、「過労死が調査のきっかけだったかは決定的に重要な事実で、その部分を隠して議論されると法案審議が成り立たない(国民民主・大西健介氏)」と調査のきっかけを明かすよう求めている。 12 年の調査について、新宿労基署は取材に「個別の事案についてはお答えできない」としている。 野村不動産も「回答を控えさせていただきます」とした。 (asahi = 5-17-18)


裁量労働制の 28 歳過労死 制度適用後すぐ 36 時間勤務

システム開発会社で裁量労働制を適用されていた男性社員(当時 28)が昨年 8 月に死亡したのは長時間労働が原因だったとして、池袋労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが分かった。 先月 27 日付。 遺族代理人の川人博弁護士が 16 日に会見して公表した。 川人弁護士によると、男性は「レックアイ(東京都豊島区)」で不動産業者向けのシステム開発や営業を担当。 昨年 7 月 1 日にチームリーダーに昇格し、実際に働いた時間に関わらず一定の時間働いたとみなして残業代込みの賃金を支払う裁量労働制が適用された。

納期が迫る仕事を抱え、7 月上旬は 4 日午後 1 時 - 6 日午前 1 時まで 36 時間連続で働くなど長時間労働が続いた。 男性は 6 日未明、ツイッターに「うおー! やっとしごとおわったぁー!! 社会人になってから 36 時間ぶっ通しで働いたの初めてやがな」と書き込んでいた。 その後体調を崩し、7 月 18 日に都内の自宅で死亡しているのが見つかった。 死因はくも膜下出血だった。 池袋労基署は、死亡前 2 カ月(6 月 12 日 - 8 月 14 日)の時間外労働を月平均 87 時間 45 分と認定。 このうち 7 月 11 日までの 1 カ月は約 136 時間にのぼり、「業務による明らかな過重負荷」として労災認定した。

川人弁護士は「裁量労働制の適用が徹夜勤務を招いた要因の一つ。 過労死につながった可能性は高い。」と話した。 レックアイの担当者は取材に「労災認定の事実を把握しておらず、コメントは差し控える」とした。 裁量労働制については、過労死遺族や労働弁護士などが「過労死を助長する」と強く批判している。 政府は今国会で審議されている働き方改革関連法案に裁量労働制の対象拡大を盛り込む予定だったが、法案の根拠の一つとなった厚生労働省の労働時間調査に不適切なデータが次々と見つかり、全面削除された。 (千葉卓朗、asahi = 5-16-18)


睡眠不足は乗務禁止 トラックやバス、6 月から義務化

トラックやバスの運転手は 6 月から、乗務前に必ず睡眠状態のチェックを受け、不足の場合は乗務できなくなる。 輸送業界は人手不足が深刻で、運転手が過酷な勤務を強いられ睡眠不足による事故も目立つことから、国土交通省が事業者への義務化を決めた。 貨物自動車運送事業法などに基づく省令を改め、事業者がドライバーを乗務させてはならない項目に「睡眠不足」を新たに盛り込む。 「疾病」や「疲労」などはあったが、睡眠不足は明記されていなかった。

事業者は、乗務前に運転手の健康状態や飲酒の有無などを確認する「点呼」の際に睡眠が十分かを確認することが義務となる。 睡眠時間には個人差があるため具体的な時間についての基準は定められていないが、睡眠不足のまま乗務を許可したと認定されれば運行停止など行政処分の対象となるため、事業者は厳しい対応を求められる。 具体的には、運転手と対面などでやり取りし、睡眠不足による集中力低下など安全に支障がでる状態にないか丁寧に確認して結果を記録として残さなければならない。 ドライバー側に対しても、睡眠不足についての正直な申告を義務化する。 (伊藤嘉孝、asahi = 5-14-18)


医療現場、3 人に 1 人がハラスメント経験 医労連調査

医療現場で働く 3 人に 1 人が、同僚や患者からパワハラやセクハラなどを受けた経験がある - -。 日本医療労働組合連合会(医労連)が 11 日、こんな調査結果を発表した。 調査は 2017 年 3 - 9 月に実施。 7,225 人(女性 5,340 人、男性 1,795 人、不明 90 人)から回答があった。 全体の 65% が 35 歳以下。 看護職が約 4 割を占め、ほかにリハビリテーション職や介護職が続いた。

過去 3 年間でパワハラ、セクハラなど、何らかのハラスメント行為を受けたことがあるか尋ねたところ、32% にあたる 2,282 人が被害を訴えた。 全体のうち、パワハラを訴えたのは 27%。 相手(複数回答)は、上司が半数近くを占めて最も多く、先輩が 33% で続いた。 セクハラ被害を訴えたのは全体の 12%。 相手(複数回答)は患者や家族が 50%、医師などを含む他職種が 16%。 「手や肩から腕、お尻を触られた」、「大きな声で性的発言をされた」などの声が寄せられたという。 妊娠や出産を機に嫌がらせを受ける「マタハラ」も 2% が経験していた。

アンケートを実施した医労連青年協議会の門岡瞬議長は「被害に遭っても患者や医師との関係性を重視して言いづらい雰囲気がある」と指摘。 「勤務環境の改善や相談窓口の啓発をしていきたい」と話した。 (有近隆史、asahi = 5-12-18)


生活保護世帯、3 カ月連続減 163 万 8,384 世帯

2 月に生活保護を受けた世帯は前月より 1,618 世帯少ない 163 万 8,384 世帯で、3 カ月連続で減少した。 厚生労働省が 8 日、発表した。 昨年 2 月と比べても 568 世帯少なく、受給世帯数が前年同月を下回るのは 1993 年 8 月以来 24 年 6 カ月ぶりという。 バブル崩壊以降、生活保護の受給世帯は増加傾向が続き、昨年 11 月には 164 万 2,971 世帯に達した。 ただ、最近は現役世代などで減少傾向にあり、厚労省の担当者は「高齢者世帯は増えているものの、世帯数全体の伸びは鈍化してきている」とする。 今年 2 月に保護を受けた人数も前月より 3,480 人減り、211 万 5,368 人だった。 (asahi = 5-8-18)


河野太郎外相 「相当ブラックだ」 激務の外務省、一部で残業時間月 200 時間超えも

河野太郎外相は 7 日の参院決算委員会で、外務省職員の残業時間が一部で月 200 時間を超えているとして、激務の軽減に取り組む考えを示した。 「相当ブラックだ。 省の中でできることを丁寧に洗い出したい。」と述べた。 自民党の元栄太一郎氏の質問に答えた。

自身が行政改革担当相当時、在外公館の最少定員を 6 人から 4 人に引き下げたことについて「4 人だと休みが取れないのが現実だ。 私が間違えたから、私が解消する。」と強調した。 職員が出張経費を立て替え払いする現行の精算方法に関しても「今どき、海外出張を個人が立て替える企業はブラック企業だ」と述べ、制度を見直す意向を表明した。 (sankei = 5-7-17)


Q : 社会保障(年金・医療・介護など)の財源、どう賄う?

A : 保険料と税金 そして借金

国民が安心して暮らすために欠かせない公的年金や医療、介護などの社会保障には、年間 120.4 兆円(2017 年度予算)ものお金がかかっている。 病院の窓口などで支払う自己負担分を除いた金額で、国民全体の年間所得(国民所得額)の 3 割に相当する。 120.4 兆円の約 5 割を占めるのが、主に高齢者が受け取っている公的年金で 56.7 兆円に上る。 医療は 38.9 兆円で約 3 割。残りは、介護や子育て関係などで 24.8 兆円だ。 これらの費用は、年金積立金の運用収入など 5.5 兆円を除き、保険料と税金・借金で賄われている。

日本では、「国民皆保険・皆年金」といって、学生や無職の人も含め、国民は基本的に公的年金・医療保険に入って保険料を納めなければならない。 加入者だけでなく企業も保険料を負担し、社会保障費の 6 割を捻出している。 4 割は税金・借金で、国と地方自治体を通じて社会保障に充てられる。 国の負担分は 32 兆円。 教育や公共事業、防衛など政策に使う 58 兆円の半分以上を社会保障に投入していることになる。 税収だけでは足りないため、国は国債を発行し、借金して賄っているのが現状だ。

社会保障の費用は、高齢化を背景に年金、医療、介護とも急増し、1970 年度の 3.5 兆円と比べ約 34 倍にもなった。 団塊の世代が全員 75 歳以上になる 2025 年には、150 兆円に達すると見込まれている。 ところが、社会保障の主な支え手である現役世代が少子化のため減っていることなどから、保険料収入や税収は思うように伸びていない。 どうしても借金に頼らざるを得ない構造になっている。

国と自治体の借金はすでに計 1,000 兆円を超えている。 いずれ社会保障に必要なお金が賄えなくなるかもしれない。 社会保障は、社会全体の支え合いが基本。 現役世代に負担が偏らないよう、経済的に余裕のある高齢者にもう少し負担してもらうなど、制度を見直す必要がありそうだ。 (樋口郁子、yomiuri = 4-30-18)


医師も働き方改革 学会が特別委 医療の質確保が課題

医療界が働き方改革に向き合い始めた。 日本救急医学会は 23 日、「医師の働き方改革に関する特別委員会」を設置し、長時間労働の是正について議論を開始した。 今年度中に方向性を示し、来年度末までに報告書をまとめる予定という。 医師法は、正当な理由がなければ医師は診療を拒んではならないとする応召義務を規定する。 厚生労働省によると、医師の時間外労働の理由のトップは緊急対応。 勤務医全体の 41% は労働時間が週 60 時間以上で、割合は職種別で最も高い。 診療科別にみると産婦人科 (53%) や救急科 (48%) で長時間勤務が多い。

だが専門性が高い医師の場合、労働時間の短縮は容易ではない。 この日の委員会では「労働としての診療と、自己研鑽の時間の区分は難しい」、「画一的な残業時間の上限は現実的ではない」などの意見が相次いだ。 研修医が過労自殺した新潟市民病院の田中敏春医師は「超過勤務が多いと『働くな』と言われるようになり現場が回らなくなった。 しわ寄せは患者にきている。」と話す。 患者代表として参加する「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の阿真京子代表は「安全性は譲れないが、患者側も多少の不便は受け入れる必要がある」とした。

委員長の松本尚・日本医科大教授(救急医学)は「医療の質を落とさないよう働き方改革を議論しなければならない。 単に国がまとめる働き方改革を医療に落とし込むのではなく、現場の意見を踏まえ、救急医としての適正な働き方を示していきたい。」と話す。

厚労省の検討会は、医師の時間外労働の上限について議論している。 今年度末には、具体案をまとめる予定だ。 約 17 万人の会員がいる日本医師会も今月 21 日、「医師の働き方検討会議」を設け、議論を始めた。 4 月に日医の検討委が、医師の労務管理や地域医療の維持などについての考え方を盛り込んでまとめた、働き方改革の提言などを受け、意見を出し合ったという。 6 月までに 3 回程度開いて働き方改革への意見を集約し、厚労省の検討会へ示す見込みという。(姫野直行、小坪遊、asahi = 4-23-18)


腰痛防止へ、ロボットスーツ導入 大和ハウスが全工場に

大和ハウス工業は、全国すべての工場で「ロボットスーツ」を使うことにしたと発表した。 重い材料などを持ち上げるときに、腰にかかる負担をやわらげるという。 工場の労働環境を改善する狙い。 ロボットスーツは、サイバーダイン社(茨城県つくば市)が開発・製造。 作業員が腰に着けると、重い物を持ち上げるときに、作業を支援する。 4 月から 9 工場に計 30 台を導入した。 奈良工場(奈良市)では、住宅の柱とハリをつなげるのに使う金属部品を仕分ける作業で使っている。 部品は 1 個約 5 キロ。 作業員は「体に合わせてスーツが動いてくれるので楽です」と話した。

機械による自動化を進めているが、人の手による作業も残る。 作業員の平均年齢は 40 歳を超えているが、雇用環境は厳しく若返りは簡単ではない。 河村太郎執行役員は「働きやすい環境を作るための対策を進め、若い人も働きたくなる職場にしたい」と話す。 今後、建設現場での導入も検討する。 大和ハウスはサイバーダイン社に出資しており、国内でのリースやレンタルの取り次ぎを担っている。 (中島嘉克、asahi = 4-15-18)


正社員の待遇下げ、格差是正 日本郵政が異例の手当廃止

日本郵政グループが、正社員のうち約 5 千人の住居手当を今年 10 月に廃止することがわかった。 この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。 「同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。 同グループは日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の 4 社でつくる。 廃止対象は、原則として転居を伴う転勤のない条件の正社員(約 2 万人)のうち、住居手当を受け取っている約 5 千人。 毎月の支給額は借家で最大 2 万 7 千円、持ち家は購入から 5 年間に限り 6,200 - 7,200 円で、廃止で年間最大 32 万 4 千円の減収になる。

廃止のきっかけは、民間の単一労組で国内最大となる日本郵政グループ労働組合(JP 労組、組合員数約 24 万人)の今春闘での要求だ。 同グループの社員の半分ほどは非正社員。非正社員の待遇改善を図る同一労働同一賃金の機運が高まっているとして、正社員だけに認められている扶養手当や住居手当など五つの手当を非正社員にも支給するよう求めた。

これに対し、会社側は組合側の考え方に理解を示して「年始勤務手当」については非正社員への支給を認めた。 一方で「正社員の労働条件は既得権益ではない」とし、一部の正社員を対象に住居手当の廃止を逆に提案。 組合側は反対したが、廃止後も 10 年間は一部を支給する経過措置を設けることで折り合った。 今の支給額の 10% を毎年減らしていくという。 さらに寒冷地手当なども削減される。

同一労働同一賃金は、安倍政権が今国会の最重要法案とする働き方改革関連法案に柱の一つとして盛り込まれている。 厚生労働省のガイドライン案では、正社員にだけ支給されるケースも多い通勤手当や食事手当といった各種手当の待遇差は認めないとしている。 政府は非正社員の待遇が、正社員の待遇に引き上げられることを想定。 非正社員の賃金を増やして経済成長につなげる狙いもある。 ただ、日本郵政グループの今回の判断で、正社員の待遇を下げて対応する企業が広がる可能性がある。 (土屋亮、asahi = 4-13-18)


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記事コピー (asahi = 2-23-17 〜 4-5-18)


働き方改革法案、自民党が了承 4 月上旬にも閣議決定へ

自民党厚生労働部会は 29 日、安倍政権が今国会の目玉法案と位置づける働き方改革関連法案を了承した。 政府は与党内の手続きを経て、4 月上旬にも法案を閣議決定し、今国会での成立を目指す。 政府は当初、2 月中の閣議決定を目指していたが、法案の根拠となる労働時間の不適切データ問題を受けて裁量労働制への疑念が深まり、裁量労働制の対象拡大を法案から全面削除する事態に追い込まれた。

野党は調査データの不備を結束して追及。 労働時間のデータに「異常値」が相次いで見つかり、厚生労働省は対応に追われた。 さらに、残業時間の罰則付き上限規制の対象から中小企業を外すよう求める声が自民党内から出て意見集約が難航。 中小企業の実態に配慮した助言・指導をするとの付則を労働基準法改正案に加え、ようやく了承にこぎつけた。

法案は、残業時間の上限規制と、非正社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」が柱だが、年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の導入も盛り込む。 裁量労働制の対象拡大は削除したが、政権はなお高プロの新設を目指している。 野党は労働時間規制を完全に外す高プロを「スーパー裁量労働制」と呼んで批判を強めており、後半国会の審議で与野党の対立が激化しそうだ。 (村上晃一、asahi = 3-29-18)

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働き方改革、「高プロ」ってどんな制度? 専門家に聞く

安倍政権が働き方改革関連法案に盛り込む予定の「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」は、年収が高い専門職を労働時間規制から外す新しい制度だ。 政権は裁量労働制の対象拡大を法案から削除する一方で、高プロの創設にはなお意欲をみせる。 野党が反対する高プロとはどんな制度なのか。 裁量労働制との違いは何か。 労働法が専門の緒方桂子・南山大法学部教授に聞いた。

- - 高プロはどのような制度でしょうか?

「高プロは年収が一定以上の人の労働時間規制を外す制度で、仕事に費やした時間と成果の関連性が薄いとして、厚生労働省が省令で定める仕事をしている人が対象になります。」

- - 高プロが導入されると、日本の労働時間規制は大きく変わると指摘されています。 制度のどこが新しいのですか?

「今の労働時間規制では、上級の管理職は『管理監督者』として扱われ、規制が緩められています。 経営者にほぼ近い状態で働いていると認められているためです。 高プロは、経営者に近いとは限らない労働者を規制から外すという意味で、全く新しい制度です。」 (聞き手 : 編集委員・沢路毅彦、asahi = 3-12-18)

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「裁量労働制の拡大」を削除へ 首相、「働き方」法案で

政府が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案について、安倍晋三首相は 28 日、裁量労働制の対象拡大を法案から全面削除することを決めた。 裁量労働制をめぐる労働時間の不適切データ問題による混乱の収拾を図り、法案の今国会での成立をめざすが、法案の根幹部分の変更は政権にとって打撃だ。 首相は 28 日深夜から、加藤勝信厚生労働相、自民党の二階俊博、公明党の井上義久の両幹事長らと首相官邸で会談。 残業時間の上限規制などに関連する 8 本の法案を束ねる働き方改革関連法案から、裁量労働制部分を全面削除する方針を伝えた。

首相は会談後、記者団の取材に応じ、「国民が(裁量労働制の労働時間の)データに疑念を抱く結果になった。 厚労省で実態を把握したうえで議論し直すようにしたい。」と削除する理由を説明した。 残業時間の上限規制や「同一労働同一賃金」、専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)は法案に盛り込んだまま、予定通り今国会に提出、成立をめざす方針だ。

加藤厚労相はデータ問題の実態把握について「それなりの時間がかかる」としたうえで、別建てとなる裁量労働制の法案について「今国会への提出は難しい」との見通しを示した。 法案の根幹部分について削除する大きな方針転換によって、裁量労働制の拡大を求めてきた経済界の反発も予想されるうえ、法案審査を控える自民党内にも不満の声が出始めている。 野党は攻勢を強めており、今国会を「働き方改革国会」と名付けた首相の責任も問われることになりそうだ。

衆院は 28 日夜の本会議で、一般会計総額 97 兆 7,128 億円の 2018 年度予算案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。 憲法の規定で予算案は参院に送られてから 30 日で自然成立するため、年度内に成立する。 高齢化で膨らむ社会保障費や、北朝鮮のミサイル対策などを盛り込んだ防衛費が過去最大となり、全体を押し上げた。 待機児童の解消に向けた保育施設の運営費や大学生らの給付型奨学金などの費用も計上している。 予算案の本会議採決に先立ち、立憲、希望、民進、自由、社民の野党 5 党は、河村建夫・予算委員長が「野党の要求を見過ごした」として解任決議案を提出したが、本会議で自公の反対多数で否決された。 (asahi = 3-1-18)


年金、約 10 万 4 千人に少なく支給 委託業者の入力ミス

日本年金機構は 26 日、所得控除のデータ入力を委託した情報処理会社の入力ミスで約 7 万人の 2 月支給額が違っていたと発表した。 入力を放置していた分を含め、約 10 万 4 千人に本来より計約 20 億 1,300 万円少なく支給されていた。 逆に約 4 万 5 千人には計約 8 千万円多く支払われていた。 対象者にはおわび状を送り、4 月 13 日の支給額で過不足分を調整するという。

この会社は東京都豊島区の「SAY (セイ)企画」。 所得控除に必要な「扶養親族等申告書」を昨年 12 月 11 日の期限までに正しく提出したのに支給額が本来より少ない人がいたため、機構が委託した約 528 万人分のデータを再点検し、約 31 万 8 千人分の入力ミスがあったことが分かった。 機構によると、2 月支給額(昨年 12 月、今年 1 月の 2 カ月分)が違っていた約 7 万人のうち、過少支給は約 2 万 5 千人で最高で約 1 万 2 千円少なかった。 過大支給は約 4 万 5 千人で、最高で 1 万円多かった。

これとは別に、約 8 万 4 千人分の申告書が入力されず放置されていたが、このうち約 7 万 9 千人が過少支給だったことも公表した。 最高額は約 5 万円だった。 扶養親族等申告書は毎年提出する必要があり、機構は今回の申告書を昨夏以降に約 824 万 5 千人(新受給者を含む)に送った。 だが、様式が大幅に変わった影響で SAY 企画の入力ミス以外に受給者の未提出や記入ミスも続出。 2 月支給分で、同社の放置分を含めて約 130 万人に過少支給されていた。 (佐藤啓介、asahi = 3-27-18)

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年金、適正な控除申告書放置も 過少支給、追加支払いへ

年金の 2 月支給分で約 130 万人が所得控除されずに税金を多く取られ、本来より少ない金額が支払われた問題で、控除手続きに必要な申告書を期限内に提出したのに「未申告」とされていた人がいることがわかった。 日本年金機構はミスを認め、この対象者には今月 15 日に不足分を支払うことを決めた。 控除に必要な「扶養親族等申告書」は昨夏に約 790 万人に送られたが、様式が大幅に変わった影響で未提出や受給者の記入ミスが続出した。 ほかに、昨年 12 月 11 日の期限までに受給者が正しく申告したのに、委託業者のデータ入力ミスで少なくなった人もいた。 この業者が入力した約 500 万人分のデータを点検。 不足分は 4 月 13 日支給の年金額で調整するとしている。

機構によると、このほかにこの業者が入力を忘れるなど何らかの理由で申告書が放置され、申告内容が反映されていない人が複数いることが新たに判明。 対象者の特定とデータ入力が済んだため、より早く不足分を払うことにした。 機構は対象人数を明らかにしていないが、対象者へは事前に「年金振込通知書」を送るとしている。 相談は専用ダイヤル (0120・051・217、平日午前 8 時半 - 午後 5 時)や年金事務所で受け付けている。 (佐藤啓介、asahi = 3-13-18)


3 メガバンク、新卒採用縮小へ みずほ FG は約半分に

みずほフィナンシャルグループ (FG) が、2019 年春の新卒採用(みずほ銀行、みずほ信託銀などの合計)を今春の約 1,400 人の半分の 700 人程度に抑えることが、24 日わかった。 三菱東京 UFJ 銀行も約 1 千人から 1 割減、三井住友銀行が 800 人から最大 2 割減とする方針。

みずほ FG の新卒採用は以前は 2 千人規模だったが、今春は 1,365 人に減らし、来春はさらに半減する。 みずほ FG は昨秋公表の構造改革案で、グループ従業員の約 2 割にあたる 1 万 9 千人を 27 年 3 月末までに削減し、国内約 500 拠点のうち約 100 拠点を 25 年 3 月末までに減らす方針を示した。 国内の銀行業は日本銀行のマイナス金利政策による超低金利や人口減で厳しい。 3 メガバンクはそろって人員規模縮小や、店舗削減・機能効率化を打ち出している。 (asahi = 3-24-18)


正社員の採用、リーマン・ショック前の水準上回る 2018 年度

2018 年春に正社員の採用予定がある企業は 65.9% と、4 年連続で 6 割を超え、リーマン・ショック前の 08 年度(08 年 3 月調査時)を上回った。 帝国データバンクが「2018 年度の雇用動向に関する企業の意識調査」を、3 月 14 日に発表した。 「大企業」は 84.0% と採用意欲が高く、調査開始以降で最高を更新。 「中小企業」の採用予定も 61.3% と 2 年連続で増え、11 年ぶりに 6 割を超えた。 人手不足が深刻化するなか、正社員の採用意欲は上向いており、中小企業にも広がっている。

「業容拡大に対応」 正社員比率が上昇

調査によると、非正規社員の採用予定があると回答した企業の割合も、52.4% と 3 年ぶりに増加した。 正社員と同様に、非正規社員に対する採用意欲も強まってきた。 特に、非正規社員が人手不足の状態にある「飲食店」は 9 割、「娯楽サービス」、「飲食料品小売」は 8 割を超える企業で採用を予定している。 その一方で、「パート時給が高騰するなか、自社の時給を容易に上げられず、応募がほとんどない(長野県の電子応用装置製造)」といった、厳しい状況もみられる。

2018 年度の正社員比率は、企業の 20.7% が 17 年度より上昇するとみている。 その要因は、「業容拡大への対応」が 51.5% と最も高く、「退職による欠員の補充」が 37.3%、「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」 31.1% と続く。 「非正規社員から正社員への雇用形態の転換」も 28.3% あった。 また、従業員の働き方に対する取り組みでは、「長時間労働の是正」が 46.3% でトップ。 次いで、「賃金の引き上げ(賃金規定の整備・改定など)」の 44.9%、「有給休暇の取得促進」が 40.3% と続いた。

「働き方改革」の 6 つのポイント

帝国データバンクは、この調査から下記の、従業員の「働き方改革」の 6 つのポイントが浮かび上がった、としている。

  1. 心身の健康維持に向けた取り組み
  2. 仕事と家庭の両立に向けた取り組み
  3. 多様な人材を生かす取り組み
  4. 人材育成への取り組み
  5. 柔軟な働き方を支える環境整備への取り組み
  6. 公正な賃金制度構築への取り組み

これらが、企業の生き残りに向けて重要な要素とみている。 なお、調査は 2018 年 2 月 15 日 - 28 日に実施。 有効回答企業数は 1 万 70 社(回答率 43.5%)。 05 年 2 月以降、毎年実施しており、今回で 14 回目。 (J-cast = 3-19-18)


JR 西、残業代 20 億円未払い 1 万 4 千人に支払いへ

JR 西日本は 16 日、全社員の約 4 割にあたる約 1 万 4,200 人に対し、未払いの残業代を支払うと発表した。 2015 年 3 月 - 17 年 3 月の 25 カ月間で計約 19 億 9 千万円にのぼる。 17 年 3 月に大阪労働局天満労働基準監督署の是正勧告を受け、その後の社内調査で発覚したという。 自己申告などで会社が把握した労働時間と、パソコンなどに残る実際に働いた時間にずれがあり、仕事でパソコンを使う約 1 万 7,700 人に同社が聞き取り調査などをした。

その結果、約 80 万 1,200 時間分の未払いがあることが判明。 最も額が多いのは、50 代の駅助役の男性(約 456 万円分)のケースで、1,192 時間(月平均 47 時間)の残業が把握できていなかった。 男性がもともと申請していた約 40 時間を加えると、残業時間は月 80 - 90 時間となり、同社と労働組合が合意している月 45 時間の時間外労働時間の取り決め(36 協定)を超えていたという。

この駅助役を含め、500 時間(月平均 20 時間)以上多く残業していた社員は 15 人いた。 聞き取り調査に対し「(上司からの強制はないものの) 36 協定の上限時間を意識して申告する時間を抑えていた」と話す社員が複数いたとしている。 同社は「調査結果を真摯に受け止め、適正な労働時間管理に努める」と話した。 是正勧告を受け、パソコンの使用記録をもとに上司が労働時間を管理する仕組みを導入して再発防止に取り組んでいるという。(波多野大介、asahi = 3-16-18)


祝日が土曜 → 独自に振り替え休日 味の素、働き方改革で

味の素は 2019 年度から、祝日が土曜日の場合に独自に振り替え休日を設定すると発表した。 働き方改革の一環で、休日数を年 124 日(うるう年は 125 日)に固定することが目的。 実質的に 17 年度比で 2 日の休日増となり、月約 2,900 円 (0.8%) のベースアップに相当するという。 今春闘で、年間の休日数の固定化を要求していた労働組合に対し、13 日に経営側が回答した。

約 4 千人の全社員が対象。 土曜日が祝日で振り替え休日がなかったり、土日が正月三が日と重なったりした場合に、別の日を休みにして休日数を減らさないようにする。 年間の所定労働時間は 1 人あたり 14 時間 30 分短縮される。 味の素は、20 年度までに 1 人当たりの年間労働時間を平均 1,800 時間に縮めることを目指し、17 年度に 1 日の所定労働時間を 20 分短くして 7 時間 15 分に変更。 18 年度には目標を前倒しで達成できる見通しという。 (筒井竜平、asahi = 3-14-18)


保育士の給料上がる? 加算金、若手への振り分け可能に

私立の認可保育園で働く経験 7 年以上の保育士に月 4 万円加算する処遇改善制度について、政府は保育園ごとの判断で加算金を若手保育士に振り分けられるようにする方針を決めた。 若手の処遇を手厚くして離職を食い止め、待機児童問題の解消を進める狙いだ。 内閣府などが近く都道府県などに通知を出し、4 月から実施する考えだ。 保育士不足が待機児童解消の大きな壁となっており、政府は低賃金を改善しようと今年度からこの加算金を導入した。 ただ、経験 7 年以上の人が大勢いても、加算対象は全体のおよそ 3 分の 1 が上限だ。 また、保育園ごとの判断で加算金を他の保育士に振り分けられるが、同様のキャリアを持つ人に限っている。

保育の現場からは「不平等で職場のチームワークが壊れる」など不満の声があがり、勤務条件を統一するために加算金の申請を見送る園も出ている。 このため政府は振り分け可能な対象を、経験 3 年以上の人に広げる。 ただ、キャリアアップの意味合いを残すため、加算対象の半分の人は月 4 万円を満額受け取ることを条件とする。 このため同じキャリアでも賃金差は残ることになる。 また、加算条件となっている国指定の研修の受講については新年度から 5 年の間に受講すればいいことに変更する。(西村圭史、asahi = 3-4-18)


子育て社員の同僚に手当、業務のカバーに配慮 レナウン

アパレル大手のレナウンは 19 日、子育て中で短時間勤務の従業員の同僚向けに、月 3 千円の「ほほえみサポーター手当」を 3 月から支給すると発表した。 業務をカバーすることがある同僚に配慮した措置。 対象は店頭で働く販売員で契約社員が多く、約 50 人に支給する。 2 月中に労使協定を締結する。 子育てのため遅番や土日勤務を減らしている従業員の同僚も手当の対象になる。

労働問題に詳しいコンサルタントによると、短時間勤務の従業員の同僚の人材評価で配慮するケースはあるが、手当の支給は珍しいという。 レナウンでは、子どもが小学校を卒業するまで、労働時間を 1 日 6 時間とする短時間勤務や、始業や終業時間を 30 分ずらせる制度があり、約 30 人が利用する。 レナウンは「手当によって、子育てする社員も、周りで働く人も双方がより協力しやすくなる職場を目指す(広報)」という。 アパレル業界では人手不足が深刻で、待遇改善で人材をつなぎとめる狙いもある。 (高橋末菜、asahi = 2-19-18)


企業が学生探す「就活」 「逆求人型」が採用変えるか

就職活動の本番は「採用広報解禁日」の 3 月 1 日から始まります。 学生が志望企業に応募し、選考試験や面接を経て採用に至るのが従来型の就活です。 それとは別に、「ダイレクト・リクルーティング(逆求人型採用)」が広がり始めています。 従来型では、大量の学生を集めてふるい落とす方法が取られています。 ですが作業量が膨大で、学生、企業ともに負担は小さくありません。 企業側は、費用をかけて合同企業説明会に出展しても、求める人材に必ず巡り合えるわけではありませんでした。

逆求人型の場合、まず、学生が経歴や自己 PR を専用サイトにアップして公開。 それを採用担当者らが検索、閲覧します。 採用したい学生を見つけると、連絡して面談。選考、採用に至ります。 効率的に絞り込むのに人工知能の力を借りるオプションもあります。 逆求人型サイトで有名なのは、大阪のベンチャー、アイプラグ社の「OfferBox (オファーボックス)」、求人広告会社アイデム社の「JOBRASS (ジョブラス)」が挙げられます。 両社とも 2012 年にサービス開始。 料金は定額制ないしは成功報酬制で企業から徴収します。 利用する企業は現在、OfferBox で約 3,400 社に上ります。

両社とも登録する学生は就活生全体の 2 割ほどに達しています。 学生にとっては、思いもよらぬ企業からスカウトの声がかかることもあり、選択肢を増やせる利点があります。 まだ従来型の就職活動を補完するのにとどまっていますが、就活の手法を根本から変える可能性もあります。 (就職四季報プラスワン = 2-17-18)


三陽商会、契約社員 1 千人を正社員に 優秀な人材確保へ

アパレル大手の三陽商会は 14 日、売り場の販売員ら契約社員約 1 千人を、7 月から無期雇用の正社員に切り替えると発表した。 主力だった英ブランド「バーバリー」のライセンス契約が切れ、衣料品販売で苦戦。 人件費の削減も進めたが、今後は優秀な人材を確保し業績回復につなげる。

契約期間が 1 年を超すことが条件で、全国の百貨店などの売り場で働く約 800 人と、デザイナーなど約 270 人が対象となる。 退職金や賞与などの制度設計は今後つめる。 記者会見した岩田功社長は「販売員の確保が大変。 安心して働いてもらうことでモチベーションがあがり、定着につながる。」と期待をよせた。 同社がこの日発表した 17 年 12 月期決算では、本業のもうけとなる営業損益は 19 億円の赤字(前年は 84 億円の赤字)、純損益も 10 億円の赤字(同 113 億円の赤字)だった。 18 年 12 月期は、インターネット販売の強化や百貨店以外の商業施設への出店を進め、純損益は 25 億円の黒字化を見込む。 (高橋末菜、asahi = 2-14-18)