スマート衣料で妊婦の心拍計測 産後うつ研究に、東洋紡など共同開発

東洋紡は 9 日、東北大学やユニオンツールと共同で、妊婦用のスマート衣料を開発したと発表した。 導電性の素材を使用し、妊婦は着るだけで心拍数などを計測できる。 今後は東北大で産後うつの研究に活用し、早期発見や発症の予測につなげる狙いだ。 開発したのは下着型のスマート衣料。 生地の裏に東洋紡のフィルム状導電素材「COCOMI (ココミ)」を使い、胸部にユニオンツールが開発したセンサーを取り付けている。 (nikkei = 1-10-18)


アダストリア、41% 減益 3 - 11 月最終、秋冬衣料振るわず

カジュアル衣料大手のアダストリアが 28 日発表した 2017 年 3 - 11 月期の連結決算は、純利益が 65 億円と前年同期に比べ 41% 減った。 秋冬商品の在庫処分に伴う値下げで粗利益率が悪化した。 オフィスの移転などで販管費もかさんだ。 売上高は 10% 増の 1,632 億円だった。 既存店売上高は微減だったが、店舗数の増加が貢献した。 ブランド別では「ニコアンド」や「スタディオクリップ」が好調だった。

ネット通販の売り上げは約 2 割伸びた。 ただ、ネット通販は価格を比べやすいため、消費者の低価格志向が強い。 ネット通販の普及も値下げ拡大につながっているとみられる。 粗利益率は 56.5% と 2.2 ポイント下がった。 オフィスの移転費用に加え、システム整備費用などが増えた。 売上高販管費比率は 52.2% と 2.6 ポイント上昇。 営業利益は 68 億円と 49% 減った。 18 年 2 月通期の業績予想は据え置いた。 売上高は前期比 13% 増の 2,305 億円、純利益は 5% 減の 110 億円を見込んでいる。 (nikkei = 12-29-17)


バングラ、工場閉鎖続き女性就労率低下

アジアの衣料メーカー

記事コピー (6-30-16 〜 12-27-17)


JICA の企画展で年の瀬に思った未来のこと

年の瀬が近づくと、忙しいのに「来年はどんな年になるだろうか」とふと思うことも多い。 そんな時に、自分が見落としていたことに気が付くこともある。 独立行政法人・国際協力機構(JICA、ジャイカ)の JICA 地球ひろば(東京・市谷)で開かれている「『衣』を通じて見る世界 ファッションをミライのアクションに」展は、そうした気付きを促すようなユニークな企画展だった。

この企画展は JICA が "ひろば" で年に 3 回催している企画の一つ。 主に中・高生を対象に、身近なファッションを通じて世界の現状と課題に向けた取り組みを知ってもらうことが目的とのこと。 しかし、その内容はもっと広い世代、そして服の仕事にかかわる人にとっても、ファッションの先行きを考えるための示唆を与えてくれるように思えた。

会場ではまず、「あなたが今着ている服はどこで誰がつくったもの?」との問いかけ。 ジャケットやスカート、T シャツ、靴などのイラストが描かれたカードをめくると、それらを作っているアジアやアフリカの低開発国の製造現場の説明が出てくる。 そこでは安い賃金で長時間働く人々、その多くが児童であること。 また農薬が大量に使われるため、土地や川などが深刻な汚染にさらされていることなどが具体的なデータで分かりやすく示される。

たとえば、シャツを作る工場の賃金は 1 日約 40 円でしかなく、3,000 円のシャツの賃金コストは 18 円にしかならないという。 一般的には大量に生産することで賃金コストが下がることは事実だとしても 18 円というのは法外な安さで、残りの 2,812 円のうちで正当なコストがあると仮定しても、利益の大きさがうかがえてため息が出てしまうほどだ。

次の「コットンから見る世界」では、服の生地の代表格である綿の栽培から糸ができる工程が、綿花畑の再現、糸の紡ぎ車など実物によって展示されている。 そして「T シャツをつくるのに必要な水の量、綿の量」では、一枚の T シャツのためにたとえば驚くほどの量の綿花が実物で示される。 ここでは展示されていないが、綿の栽培には大量の防虫剤も必要なのだ。

こうした大量の水や防虫剤は、綿を大量に単一栽培するから必要になる。 その結果として土地は水不足と有毒化学物質の大量汚染にさらされ、土地の荒廃と健康被害を引き起こす。 そうしたことへの対策の責任を製造業者は負わず、もちろん製造コストにも含まれてはいない。

「女の子が働くインドのコットン畑」では、品種改良に欠かせない人工授粉のための、力はいらないが根気良さが必要な作業のために、賃金が安くてすむ少女たちが多く使われていることが分かる。 続く「ファッションの課題」はミニジオラマ風の展示で、生産、製造の現場、消費する人々、それぞれの側にまつわる課題と、その解決に向けて始まっている試みを紹介している。

たとえば、綿花栽培による土壌汚染に対してはオーガニックコットンの栽培、女性や子供の低賃金労働に対してはフェアトレードの拡大など。 資源の大量消費・廃棄にはリサイクルやアップサイクル …。 こうした対策は耳新しいわけではないのだが、特に消費者の側のファッション感覚ではあまり意識されていないと思わざるを得ない。

会場では JICA の青年海外協力隊の経歴をもつ職員が、体験談などを交えながらガイド役を務めている。 その一人、バングラデシュで活動していた佐藤友紀さん (30) は、2013 年に起きた 8 階建て商業ビル「ラナプラザ」の崩壊事故を現地で見聞きした。 ビルの大部分が有名ファストファッションの縫製工場で死者 1,138 人、負傷者 2,500 人以上という悲惨な事故だっただけに、国内での反響もすさまじく、外国人はジャーナリストでも激しい怒りをぶつけられるおそれがあったため現場には近づけなかったという。

任務の仕事はファッションとは関係なかったが、この事故に触発されて他の製造現場などを訪れた。 レザー素材を作るための皮のなめし工場では、皮膚障害や強い悪臭を引き起こす化学薬品を使っているのにもかかわらず、特別な保護服もマスクもなしで人々が黙々と働いていた。 廃液処理でも、裸足で手袋もしないで …。

「そんな事実を、服を買う側の世界の人々はほとんど知らないと思う。 だから大きな事故が起きても、すぐには改善されないでしょう。」と佐藤さん。 JICA でファッションをとり上げるのは初めてとのことだが、今回の企画展の発案者の一人として積極的に関わったという。 いま起きていることを見落としたり、無意識にせよ知らんふりをしたりしていては、よき未来はやってこない。 そのことを年の瀬に見た小さな展覧会で強く思った。 企画展は 2018 年 1 月 12 日まで、日・祝日休み。 入場無料。 (上間常正、asahi = 12-25-17)


貧困地域にアパレルの恩恵 「スタジオ 189」 全工程をガーナで製作

ファッションの力をコミュニティーの発展に役立てるというのは、よくある話ではない。 だがそれこそが、アパレル新興企業「スタジオ 189」の設立理念だ。 同社は旧来の友人同士であるアブリマ・アーウィア氏(イタリアの高級ブランド「ボッテガ・ヴェネタ」の元マーケティング担当役員)と著名女優、ロザリオ・ドーソン氏(最近ではネットフリックスのマーベル作品に出演)によって創業された。

アーウィア、ドーソン両氏は、国連のプロジェクト「エシカル・ファッション・イニシアチブ (EFI)」に賛同し、2011 年にスタジオ 189 を立ち上げた。 「エシカル」は「倫理的な」という意味で、EFI は作り手への正当な賃金と勤務時間、安全な労働環境を尊重し、環境にも配慮した衣料品の製作・提供を推進する。 「製作工程の全てを地域の中で、特にアフリカのガーナで行うことがコンセプト(アーウィア氏)」といい、スタジオ 189 の理念は EFI が掲げるスローガン「施しではなく、仕事を」と一致する。

同社は 13 年に初のコレクションを発表。 以降、伝統的な手工芸に基づいたスタイルを生み出し、貧困地域のコミュニティーが世界経済から、従来のように利用されるのではなく恩恵を受けられるよう尽力してきた。 「スタジオ 189 は社会的な企業で、援助よりも大きな効果を上げられると信じている」とアーウィア氏は話す。

同社は米ニューヨーク・マンハッタンとガーナの首都アクラに本社を構える。 同社が手掛ける昔ながらの手工芸と現代のシックさが融合した衣料品やアクセサリーは、大きな模様や鮮やかな色、ゆったりとしたデザインが注目を集める。 女性向けの上着(250 - 750 ドル = 約 2 万 8,150 - 8 万 4,450 円)や男性向けのシャツ(195 ドル)のほか、男女兼用のデザインも多い。

アーウィア、ドーソン両氏は 11 年、コンゴ(旧ザイール)にある暴力を受けた女性を支援するコミュニティー「シティ・オブ・ジョイ」を訪れた際に、スタジオ 189 の発想を得た。 自分たちの著名度とファッションの知識を生かして、アーウィア氏の生まれ故郷でもあるガーナで衣料品を製作する場を設けたいとの思いが生まれた。

社会全体からみれば小さな規模かもしれないが、同社は成功を収めつつある。 起業家としてのキャリアを目指す人に研修プログラムを提供し、工場の労働者には将来の学費に充てられるよう十分な賃金を払っている。 アーウィア氏は「自分の足で立つ、という考え方を支援していく」と語る。 (Troy Patterson、Bloombrg = 12-18-17)


化粧品と衣料品、"ファッション生産" で明暗

鉱工業指数から読み解く

街はすっかりクリスマス仕様。 店頭には華やかに飾られた商品が並び、買い物心をくすぐる。 年末年始はイベントも多くあるため、新しい服や新作コスメが気になる方も多いのではないだろうか。 経済解析室が毎月公表している鉱工業指数。 実は業種別指数だけではなく、衣料品、化粧品といった、より細かな分類の指数も作成している。 今回は、そんな身近で毎日身に付けるものでもある「衣料品」と「化粧品」の最近の動向について、少しご紹介したい。

左のグラフは、美容に関する産業を総合的に見るために経済解析室が試算した「ビューティー・ビジネス・インデックス (BBI)」のうち、製造(生産)部門をまとめた美容関連製造業指数と、その内訳の一部である化粧品類と衣料品類の指数の推移を示したものだ。 美容関連製造業全体は上昇基調だが、その内訳指数の動きには大きな違いがある。 好調が続いているのは化粧品類で、それとは対照的に、衣料品類は低下基調が続いている。

化粧品の生産増は、輸出も貢献

生産が伸びている化粧品について、その出荷先(国内 or 輸出)を見てみよう。 化粧品の出荷先はそのほとんどが国内向けではあるのだが、ここ数年の、化粧品出荷指数の前期比に対する寄与度(影響度)をみると、確実に輸出向けの増加の影響が強くなっていることが分かる。

実は、今年第 2 四半期の化粧品の輸出向けの出荷量(輸出向け出荷指数)は、2010 年からのわずか 6 年半で 2.5 倍にまで増加している。 海外での日本ブランド化粧品の需要拡大の勢いが、好調な化粧品生産の一端を担っているようだ。 もちろん国内向けも好調だ。 最近は化粧品をドラッグストアで購入する方が多いようだが、ドラッグストアの商品別で食品部門に次いで伸びているのが、ビューティーケア部門で、化粧品の小売も順調に伸びている。

輸入に圧迫される衣料品の国内生産

一方、生産の低迷が続いている衣料品について、輸入を含めた国内総供給を見てみる。 ここ数年の衣料品総供給量の推移を見ると低落傾向が続いており、国産品は輸入品にも圧迫され、低下している。 同時に、意外にも多少低下スロープは緩やかとは言え、輸入品の供給量も低下している。

総供給指数の前期比に対する国産と輸入の寄与度(影響度)を確認すると、ほとんどの期間で輸入の寄与が大きく出ており、衣料品総供給の変動は、すなわち輸入の変動ということになる。 つまり、衣料品総供給の低下は、国産の低下もさることながら、輸入の低下によって生み出されていることが分かる。 織物・衣服・身の回り品小売業の販売額自体は、マイナスにはなってはいないものの、かつての花形であったデパートの婦人服は長期低迷となっており、衣料品の需要が好調ということはないようだ。

国内生産、そして供給量全体も低迷している衣料品、他方で、輸出に勢いがあることもあって国内生産が増加している化粧品と、同じファッション関連品でもその動きには違いが出ている。 イマドキは、流行のコーデより、メイクやスキンケアに力を入れる肌美人を目指すというのが、世の流れなのだろうか。 (明豊、NewSwitch = 12-12-17)


クロスプラス、衣料 OEM 企業を買収へ

クロスプラスは 8 日、アパレルの OEM (相手先ブランドによる生産)などを手掛けるサードオフィス(東京・目黒)を買収すると発表した。 企業再生支援のリヴァンプ(東京・港)から、2018 年 2 月 1 日付でサードオフィスの株式を取得する。 買収額は明らかにしていない。 サードオフィスは男性向け衣料の受託生産と卸売りが主力でセレクトショップなどに強い。 クロスプラスは買収を通じ、商品の拡充と販路の拡大を狙う。 サードオフィスの 17 年 1 - 3 月期の売上高は 13 億 1,000 万円。 (nikkei = 12-8-17)


マツオカコーポレーション 衣料 OEM 国内最大手

縫製加工を行うアパレル OEM (相手先ブランドによる生産)の国内最大手で世界でも 12 位に入る。 中国や東南アジアで年間 5,700 万枚の衣料品を生産している。 ユニクロ、東レ、コロンビアなどが主な顧客だ。

1990 年、他社に先駆けて中国に進出した。 98 年に国内工場を閉鎖し、2004 年ミャンマー、08 年バングラデシュ、15 年ベトナムでも生産を始めた。 上場で調達した資金で新工場の建設や人材の確保を進める。 18 年末までにアジア各地で順次、新工場が立ち上がり、生産能力は 17 年 3 月期比で 43% 増える見通しだ。 欧米の大手 SPA (製造小売り)も開拓する。 3 年後にアパレル OEM の売上高で世界のトップ 10 入りを目標にしているという。 18 年 3 月期の連結業績見通しは売上高が前期比 10% 増の 567 億円、純利益はほぼ横ばいの 25 億円。 配当性向は「当面 20% を目指す。(松岡典之社長)」 (nikkei = 12-5-17)


良品計画が営業最高益 3 - 11 月、5% 増 衣料品の値下げ奏功 客単価の伸び率は鈍化

生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画の 2017 年 3 - 11 月期の連結営業利益は、310 億円程度と前年同期比 5% 増えそうだ。 この期としては最高益となる。 国内で値下げを打ち出したニットやダウンジャケットなど衣料品がけん引する。 値下げに伴う客単価の伸び率鈍化を客数の増加で吸収する。 中国事業の成長も全体の収益を押し上げている。 売上高にあたる営業収益は 13% 増の 2,800 億円強になりそうだ。

国内では特に衣料品の販売が好調だ。 今春から本格的に値下げを始めた効果が大きい。 秋冬商品では従来の 3,980 円から 2,990 円に価格を見直した「ウールシルク洗える V ネックセーター」が好調。 肌触りの柔らかいセーター類のほか、軽量羽毛を使った「フレンチダウンブルゾン」も人気を集めている。 衣料品部門の既存店売上高は 6 月以降、前年同月比 2 ケタ増収が続いている。 値下げに加え、前年に残暑が長引いて肌着類や紳士向けシャツが欠品した反省から在庫管理を徹底した効果もあるようだ。 足元でも 10 月に衣料品を購入した客数は 15% 増だった。

生活雑貨では、化粧品など日用品が好調だ。 出先でもオイルの香りを楽しめる携帯型「アロマディフューザー」など独自性のある商品が顧客の支持を集めている。 既存店の客単価は衣料品の値下げなどで伸び率は下がっているものの、生活雑貨と食品の好調が下支えして 4 月から 10 月まで単月ベースでプラスを維持している。

売上高の 4 割ほどを占める海外事業も回復傾向だ。 200 店舗以上を手掛ける中国で 7 - 9 月の既存店売上高は現地通貨ベースで 7% 伸びた。 化粧品が人気を集め、2% 増にとどまった 4 - 6 月に比べて伸びが目立つ。 18 年 2 月期通期の業績予想は据え置く公算が大きい。 従来予想では営業収益は前期比 13% 増の 3,778 億円、営業利益は 11% 増の 426 億円を見込んでいる。 (nikkei = 11-29-17)

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無印良品、秋冬シーズンの衣料品 110 品目、値下げ

良品計画は 8 月 25 日、無印良品の秋冬シーズンに販売する衣料品約 110 品目を値下げする。 同社は 2017 年 1 月から、衣料品や家電、布団など約 200 品目の価格を見直してきた。 品質は維持しつつ、生産時の無駄を省く、適切な素材を選定し直すなどの方法で、購入しやすい価格を実現させている。

主な対象商品は、裏毛ロングパンツ(紳士、8 月発売済、2,980 円 → 1,290 円)、えらべるトランクス&ボクサー(8 月 24 日発売、1,490 円 → 990 円)、軽量フレンチダウン ポケッタブルスタンドカラーベスト(紳士・婦人、9 月発売予定、5,980 円 → 3,990 円)、ウールシルク洗えるクルーネックセーター(紳士、9 月発売予定、4,980 円 → 3,990 円)、ウールシルク洗える V ネックセーター(婦人、9 月発売予定、3,980 円 → 2,990 円)など。 旧価格は昨年販売していた同等品の価格。 価格はすべて税込み。 (流通ニュース = 8-24-17)


ネット通販と差別化、リアル店舗が「ハイテク化」

VR (仮想現実)などの先端技術を使い、より楽しいお買い物体験を提供して客を呼び込もうという動きが広がっている。 ネット通販での買い物が 15 兆円規模にふくらむなか、来店の機会づくりに利用し、アマゾンなど大手ネット通販との差別化を図る狙いがあるようだ。 低価格衣料ブランドの GU (ジーユー)が、9 月中旬にオープンした「ジーユー横浜港北ノースポート・モール店(横浜市都筑区)」は、今までにない買い物体験が売りだ。

商品タグを店内の鏡にかざすと、タグに埋め込まれた IC チップ内の情報が読み込まれ、その服のスタイリング写真や購入者の口コミ情報が鏡上に次々と映し出される。 手を振ることで、鏡に映った画面を操作できる。 グループで来店した女性客は「このコーデいいね」、「色違いもいいじゃん!」と盛り上がった。 カートに付いたタブレット端末では、写真や口コミのほか、在庫も確認できる。 交通系 IC カードにも使われる「RFID」という技術で、元々は在庫管理の効率化のために導入されたものを応用した。

広報によれば、最近はスマホの情報を見ながら店内で買い物する客が増えているといい、そのニーズを店作りに反映。 「手触りやサイズ感を見られるのは店舗の強み。 そこにデジタルのよさを融合して『ワクワク感』のある空間作りを目指した。」 今後、他店舗にも仕組みを広げたいという。 家具やインテリア雑貨を扱うフランフランでは 9 月末、青山店(東京都港区)に VR ルームを新設した。 ゴーグルを付ければ、まるで部屋で家具の配置を試しているような体験ができる。 予約制だが自宅の部屋の図面を持ち込めば、その部屋が再現される。 4 月に先行導入した梅田店(大阪市北区)でも好評で、青山店では利用者が後を絶たない状況だという。

大型家具は部屋に置いたときのサイズ感が重要だが、洋服のように簡単に試すことができない。 その点、VR だと簡単にイメージがつかめ、購入につながりやすいという。 広報担当者は「VR を機に店に来ていろいろ試して発見し、買い物を楽しんでもらえれば」と期待する。

ファッションビルを展開するパルコは、自宅でスマホやパソコンを使って VR 体験ができる取り組みを今年春に試験的に実施。 立体映像が現れ、市販の VR 用のゴーグルを使えば、実際に店内を歩いている気分で買い物が楽しめた。 ネット通販のほか、商品を取り置きして、あとで店舗に足を運んで購入することもできる仕組みにした。 「大手ネット通販は利便性の優先で買い物がおもしろくない。 店で選ぶような楽しさを提案した。(広報)」

他にも、家具量販店のイケアは、AR (拡張現実)アプリをつくった。 スマホのカメラ機能で画面に映る自宅の部屋の中に、検討中の家具の 3D (3 次元)映像を映し出して、サイズ感などイメージを確認できる。 セレクトショップのアーバンリサーチは、大型液晶画面の前に立つだけで試着体験ができるシステムを一部店舗で展開する。 VR や AR で楽しく買い物をしてもらい、財布のひもを緩めさせようという小売り各社の取り組みは、今後も続きそうだ。(植松佳香、asahi = 11-26-17)


空き校舎に縫製工場 … 京丹後市「雇用に期待」

京丹後市は 21 日、少子化などによる学校再編で 2012 年に閉校した三津小学校(京丹後市網野町)の旧校舎に、和装品の縫製工場が進出すると発表した。 市内の空き校舎を民間企業が工場として活用する最初のケースで、来年 2 月に操業予定。 過疎化が進む地域の学校跡に、にぎわいが戻ることになりそうだ。 市によると、進出するのは「豊匠(伏見区)」。 写真スタジオを全国で運営する親会社「スタジオアリス」向けに、七五三や成人式用のレンタル着物などを製作している。 市が 15 年、閉校した 5 小学校舎の利用を希望する企業を募り、豊匠と 10 年間の賃貸契約を結ぶことになった。 賃料は年 400 万円程度で調整中という。

校舎は鉄筋コンクリート 3 階建て延べ約 1,700 平方メートルと体育館約 600 平方メートル。 教室などがあった 2、3 階に縫製工場が入り、子ども向けの着物や振り袖を作る。 体育館は倉庫兼集出荷場として利用する見込み。 市によると、同社は中国に置いている生産拠点を新工場に移し、当面、地元を中心に 15 人程度を雇用。 最大で 30 人に増員する予定という。 また、市は同社と校舎 1 階を避難所として活用する協定を 12 月 1 日に締結する。 市商工振興課は「生産拠点を海外に移す流れが続いていたが、工場の国内回帰は地域雇用の面でもありがたい」としている。 (yomiuri = 11-22-17)


11 月商戦「ブラックフライデー」 日本でもじわり拡大

米国発祥の 11 月の大型セール「ブラックフライデー」が日本でも拡大している。 昨年に国内大手で初めて本格導入したイオンは、前日が祝日のため 1 日前倒しでセールを開始。 楽天もポイント付与率を最大 36 倍とし、米ギャップは対象ブランドを増やす。 個人消費が力強さを欠くなか、年末に向けた安売り合戦が熱を帯びそうだ。 イオンはグループのスーパーやショッピングセンターで、23 - 26 日にセールを実施する。 紳士スーツなど一部の衣料品を半額にするほか、割安な限定品などを扱う。 昨年は期間中の売り上げが 2 割伸びるなど成功した。

楽天は 24 日午前 10 時から 27 日まで 72 時間にわたり「楽天市場」でポイント付与率を最大 36 倍に高めるなどのセールを開催する。 家電ベンチャーのバルミューダ(東京都武蔵野市)の炊飯器や鮮魚のノドグロなど「黒」にちなんだ商品や高額品を中心に日替わりで目玉商品を用意する。 米ギャップは 22 - 26 日に関連イベントを日本で開く。 展開する「ギャップ」と姉妹ブランド「バナナリパブリック」の商品を対象に、最大 50% オフで販売する。 スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ (H & M) も日本で初めて実施した昨年に続きセールを開く。 26 日まで一部商品を最大 70% オフにする。

米国では例年、11 月第 4 木曜日の「感謝祭」明けの金曜日から、小売り各社がセールを始める。 クリスマス商戦の幕開けとされ、販売店が黒字になることからブラックフライデー(黒い金曜日)といわれる。 (nikkei = 11-22-17)


体臭を見える化する機器と抑制する衣料品

11 月 2 日、3 日にベルサール東京日本橋を会場に開催された「TREND EXPO TOKYO 2017」。 2 日間合計で 1 万人を超える来場者を集めた。 30 社以上がブースを構えた地下 2 階の展示会場では、最新のトレンドを体感、体験しようと大勢のビジネスパーソンでにぎわった。 ここでは、最新トレンドを展示した各社のブースをレポートする。

コニカミノルタ 〜 体臭をスマホで見える化

コニカミノルタは、体臭を「見える化」できる世界初の測定機器「KunKun Body」を展示。 自分が匂っていないかどうかを知るための、大人のエチケット用機器だ。 マーケティングのためにクラウドファンディングを実施したところ、目標をはるかに上回る約 4,800 万円の資金が集まり、製品化が決まったという。

特定の種類の匂いのみを測定できるセンサーを搭載するのが特徴で、香水臭などにごまかされることなく、ミドル脂臭、汗臭、加齢臭を測定できる。 測定した匂いの強さはBluetooth で接続したスマートフォンのアプリに、色や数字で表示される。 会場では実際に自分の体臭を測って驚いたり安心したりしている人の姿を多く見かけた。 個人消費者向けの機器だが、この仕組みを応用して部屋の匂いを測定したい、車内の匂いを測定したい、特定の物の匂いを測定したい、といった多くの引き合いが来ており、BtoB でも有望な技術だという。

ゴールドウィン 〜 消臭効果がある衣料品を展示

スポーツウエアなどを手掛けるゴールドウィンは、消臭機能のあるウエアブランド「MXP」の製品を展示。 実際に手にとって感触を確かめることができた。 MXP は臭いの原因になる成分を中和する特殊な素材を使った衣料品で、これを着ることで臭いを抑えられるというものだ。 雑菌の増殖を抑える効果もあり、繰り返し洗ってもこれらの効果は持続するという。 ゴールドウィンが長年開発してきた登山ウエアの技術がベースになっていて、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士が着る宇宙船内服にも使われた素材「マキシフレッシュプラス」を使っている。

男性用・女性用があり、下着だけでなく靴下、T シャツ、カットソー、スウェットパーカーやパンツなど幅広いアイテムをそろえている。 会場では世界初の体臭測定機器「KunKun Body」の隣にブースを構えていて、KunKun Body で自分の体臭を測ったら、その臭いを MXP の衣服で抑えようという使い方を共同で提案していた。 (湯浅英夫、シバタススム、日経トレンディ = 11-20-17)


東レ、衣料用新素材開発 熱や紫外線遮断、夏も快適

東レは 14 日、熱や紫外線を効果的に遮断し、夏でも快適に着られる衣料用の新素材「BODYSHELL EX (ボディシェル EX)」を開発したと発表した。 ポリエステル繊維のもととなるポリマーに、光の透過を抑えるセラミックス粒子をより多く配合できるよう工夫した。 ランニングやトレッキング、ゴルフといった屋外スポーツ向けを中心に、アウターやパンツの素材として生地を供給。 18 年度に 50 万平方メートル、21 年度には 100 万平方メートルの販売を目指す。

ボディシェル EX は、中国子会社の東麗繊維研究所が日本向けに開発した。 セラミック粒子が光の透過を抑えるため、白い生地でも透けにくく、日焼けを防げるのも特徴。 従来の透けにくい素材に比べて、同じ時間光を当て続けた際の温度上昇を 3 度ほど抑えられるという。 同日、大阪本社で行われた発表会には、17 年の同社のキャンペーンガールを務める夢乃さんが登場。 ボディシェル EX で作ったカットソーとパンツを着た夢乃さんは「軽くて伸縮性があり着心地がいい」と話した。 (sankei = 11-15-17)

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東レ繊維事業 4 - 9 月期、衣料分野で低迷続く

東レの 2017 年 4 - 9 月期の繊維事業は、売上高が前年同期比 5.7% 増の 4,228 億円、営業利益が同 2.7% 増の 355 億円だった。 自動車関連など産業用途の一部で需要が堅調だったものの、衣料用途は引き続き低調に終わった。

全社では売上高が同 9.5% 増の 1 兆 482 億円、営業利益が同 2.3% 増の 780 億円、経常利益が同 0.9% 増の 767 億円、純利益が同 11.0% 減の 475 億円だった。 売上高、営業利益、経常利益は上期としては過去最高額を更新した。 通期(18 年 3 月期)の繊維事業は、売上高 9,250 億円、営業利益 750 億円を見込む。 20 年 3 月期を最終年度とする中期経営計画で掲げる糸綿、テキスタイル、製品の一貫型ビジネスを引き続き推し進めるほか、原価改善にも力を入れる。 (WWD = 11-10-17)


JR 制服談合、百貨店など 9 社に課徴金 計 4,500万円

JR 東日本と西日本が発注する従業員の制服の納入をめぐる入札で談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は、大手百貨店の三越伊勢丹、大丸松坂屋、そごう・西武(いずれも本社・東京)など 9 社に、総額約 4,500 万円の課徴金を求める方針を伝えた。 この 9 社を含む 12 社には再発防止を求める排除措置命令の方針も通知した。 JR 東西の社員数は約 9 万人。制服は 100 種類以上あり、年度ごとの発注額は約十数億円という。

関係者によると、各社は数年前から、JR 東西の発注に合わせ、担当者が事前に見積額を調整するなどして、納入予定の会社を決めていた独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがある。 各社は東西に分かれて入札に参加していたが、双日ジーエムシー(東京都)、丸紅メイト(同)、東洋紡 STC (大阪市)の 3 社が東西どちらの受注にも絡んで、調整をしていたとみられる。 事前に違反を申告した双日ジーエムシーは課徴金を免れるが、残りの 2 社は求められる見通しだ。 公取委は通知後、意見を聴いた上で今年度内に最終的な結論を出す。 (矢島大輔、asahi = 11-11-17)


小松精練、韓国財閥と連携拡大 カーシートなど非衣料にも力

小松精練は韓国の大手財閥、コーロングループとの連携を拡大する。 2015 年から同グループの繊維事業会社と衣料分野を中心に協業してきたが、合成皮革やカーシートなどに強みを持つ他の 2 社とも 1 年以内に包括提携を結ぶ。 コーロンの素材技術と小松精練の加工技術を組み合わせ、新たな機能や風合いの製品を展開。 非衣料分野でも相乗効果を引き出す。

既に協業しているコーロンファッションマテリアル (KFM) とは、互いに強みを持つエリアや製品でこれまで補いあってきた。 今後は人工皮革を手掛けるコーロンインダストリー、カーシートに強みを持つコーロングローテックとも包括提携を結んで新素材を開発する。 KFM も含め、20 年に合弁事業で 30 億円の売上高を目指す。 人材交流を進めるほか、今後 1 - 2 年で合弁企業の事業分野や設立地域を詰める考えだ。

8 日には日本では初めてとなる共同の展示会を東京の銀座で開いた。 コーロンの糸や生地を加工して、小松精練が生み出した衣服や素材など約 150 点を出展。 小松精練の池田哲夫社長は「1 つの生地でどれだけ多彩な素材ができるかにこだわった」と説明する。 例えばコーロンの人工皮革を使った素材「KOMAPELLE (コマペレ)」は 60 点あるが、元の生地は 8 種類だけだ。 小松精練の染色加工技術で厚みや手触り、強度などが異なる素材にした。 コマペレのほか、コーロンの糸を使ったスエード調の素材「KOMASUEDE (コマスエード)」も主力と位置づけ、カーシートを中心に市場を開拓する。

人工皮革のカーシートは世界的に高級車向けの需要が伸びている。 だが小松精練はカーシート分野で出遅れ、「人工皮革は超後発。(池田社長)」 同業他社がシェアを固めている日本市場には簡単に入り込めないだけに、コーロングループとの提携に活路を求めた。 今後、幅広い技術を駆使して既存製品にはないカーシートなどを開発する。 「越境クラスターで、日本の繊維産業に作れないものを手掛ける」と池田社長は意気込む。

コーロン側もかつて日本の大手合繊メーカーに人工皮革の技術指導を受けた経験を持つが、多彩な素材を生み出す技術は乏しかった。 小松精練の染色加工技術に対し「世界一の技術。 ビジネスのさらなる拡大につなげたい。(コーロンインダストリーのパク・ドンムン社長)」と期待する。 小松精練が独自の製品や技術を持ち、コーロングループも事業展開する分野としては建設資材やメディカルなどもある。 まずは強みとする衣料を中心にしつつ自動車に手を広げ、さらに新たな協業も模索する考えだ。 (nikkei = 11-8-17)


カンボジアの縫製業界、人件費増に悲鳴 政府にコスト削減策を要請

カンボジアは、2018 年 1 月からの最低賃金引き上げに伴うコスト増に縫製業界から悲鳴が上がっている。 業界団体のカンボジア衣料品製造協会 (GMAC) は、同国政府にコスト削減に向けた措置を講じるよう求める。 現地紙プノンペン・ポストなどが報じた。 縫製業はカンボジアで輸出の 7 割以上を占める主要産業だ。 GMAC はコスト削減に向け、商業省が縫製品の輸出に課す輸出管理費を現在の半額にすることに加え、同国輸出入検査・不正防止総局の貨物検査料を現在の1コンテナ当たり 50 ドル(約 5,640 円)から、関税局の検査料の同 15 ドルと同水準への引き下げを求めている。

また、月間売上高の 1% を翌月 15 日までに申告納付する前払事業所得税については、09 年からの一時免除期間が今年末で期限を迎えるため、5 年間の期限延長を要請した。 GMAC は、政府が安定した税収確保を望んでいることは理解できるとする一方、最低賃金の引き上げで経営負担が重くなるなか、事業コストを引き下げ、ビジネス環境の改善を図ることも必要だと強調した。

同国は、18 年 1 月から最低賃金を月額 170 ドルに引き上げる。 16 年は同 140 ドル、17 年は 153 ドルに引き上げられており、右肩上がりで上昇が続いている。 GMAC のモニカ副事務局長は、最低賃金が毎年引き上げられて製造業者は利益を生み出すことに苦慮していると嘆く。 縫製業界の雇用者への合計給与支払額は、15 年が 13 億ドル、16 年が 14 億ドルに拡大したと指摘する。 18 年は引き上げに伴い、年間で 1 億 6,800 万ドルのコスト増が見込まれ、縫製業界にとって大きな打撃になると懸念を示した。(sankei、シンガポール支局 = 11-3-17)


楽天の衣料品事業 SNS 使いブランド再構築、画像認識活用し海外販売も強化

楽天がファッション事業のブランド力強化に乗り出した。 同社の仮想モール「楽天市場」には、ファッション関連では約 1 万 4,000 店が出店しているほか、委託販売モデルとして、約 1,500 ブランドが参加する「楽天ブランドアベニュー (RBA)」も展開している。 競合他社が攻勢をかける中で、インフルエンサー活用やコンテンツ拡充、ナビゲーション進化、海外販売強化という 4 つの柱を掲げて事業全体を底上げする狙いだ。

規模が右肩下がりの国内ファッション市場だが、ネット販売の占める割合は毎年拡大しており、昨年には 1 割に達した。 楽天市場においても、ファッションは主力商材。 流通総額のうち、約 4 分の 1 を占める。 ただ、ファッションのネット販売において、メディアで取り上げられることが多いのは、圧倒的にスタートトゥデイが運営する「ゾゾタウン」。 幅広い層からの支持を受け、取扱高を大きく伸ばしている。 また、クルーズの「ショップリスト」も、若年層に浸透している。

調査会社のデータでは、楽天におけるファッション関連の流通額は、ゾゾタウンにおける取扱高(2017 年 3 月期は約 2,120 億円)の 2 倍以上とされる。 ただ、楽天でファッション事業を統括する、牛嶋信滋執行役員 EC カンパニー衣料品事業部は「ユーザーへの認知度という点でいえば、ゾゾは衣料品に特化しているということもあり、注目を浴びているのは事実だろう」と認知度が遅れを取っていることを認める。

こうした中で、同社ではブランディング戦略を進めている。 同社全体でも、スペインの名門サッカーチーム・FC バルセロナとのスポンサー契約や、NBA との協業などで、楽天ブランドそのものの認知向上を進めているが、衣料品においても「サイトの作り方やデザインの方法、見せ方を変えていくだけではなく、『楽天のファッションは面白い』ということを、SNS などあらゆるメディアで情報を提供していく(牛嶋信滋執行役員)」とする。

購買のきっかけとして重要性が高まっている、インスタグラムなどのソーシャルメディアはもちろんのこと、雑誌などの従来型メディアも活用。 10 月には、講談社の衣料品雑誌「ヴィヴィ」と組み、スマートフォン専用のデジタル雑誌「ビーヴィヴィ」を創刊しているが、これも「認知の構造そのものを作り直す(同)」ための一環だ。 牛嶋執行役員は「女性の場合、学生のうちはお買い得で独自性のある PB を買うことが多い一方、働くようになるとカジュアルな衣料品ブランドを好む傾向がある」と分析する。 ゾゾタウンで扱っているような、カジュアルな衣料品ブランドは RBA で、さらにプライベートブランド (PB) は楽天市場に出店する各店舗で扱っているという多様性をアピールする。 (通販新聞 = 10-26-17)


アマゾンが自社ブランドのスポーツウエア生産へ、業界に衝撃 - 関係者

米アマゾン・ドット・コムはプライベートブランド (PB) のスポーツウエアへの進出に向け、大手スポーツ衣料サプライヤーを起用している。 事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 すでに競争や値引きに揺れる業界にさらに衝撃を与えることになりそうだ。 ギャップやユニクロ、コールズの衣料品を生産する台湾のベンダー、聚陽実業(マカロット・インダストリアル)がアマゾンのために衣料品を生産していると、関係者 1 人が明らかにした。 別の台湾のサプライヤー、儒鴻(エクラ・テキスタイル)もこの取り組みに参加している。

関係者の 1 人によると、今回のプロジェクトは新しく、長期契約はまだ締結されていない。 匿名を条件に語った複数の関係者によれば、メーカーは試験の一環としてアマゾンのために少量の製品を生産している。 アマゾンはすでにオフィス衣料やジャケット、ドレスなど PB のファッションに進出している。 エクラはナイキ、 ルルレモン・アスレティカ、アンダーアーマー向けに衣料を生産しており、高性能スポーツウエア生産で重要な専門技術を持っている。

ブルームバーグが 13 日にアマゾンのスポーツウエアの取り組みについて報じた後、ルルレモン株は一時 4.9% 下げ、アンダーアーマー株は一時 2.8% 下落。 ナイキ株は値下がり後に回復し、0.3% 高で引けた。 アマゾンにコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。 (Lindsey Rupp、Daniela Wei、Bloomberg = 10-16-17)


三井不動産、衣料品のネット通販に参入 11 月に開始 ららぽーととネットを融合

三井不動産は 5 日、衣料品のネット通販事業に参入すると発表した。 全国 13 カ所で展開する商業施設「ららぽーと」に入居する衣料品系のテナントの大部分に参加してもらい、11 月にサービスを始める。 E コマース市場が 15 兆円を超えて拡大を続けるなか、1 千万人超の会員カードの顧客基盤を活用して実店舗とネットの融合を加速する。 名称は「Mitsui Shopping Park & Mall」で、11 月 1 日に立ち上げる。 サイトでは会員カード「三井ショッピングパークカード」のポイントも利用できる。 出店者数は未定だが、セレクトショップ大手のユナイテッドアローズ、ジュン(東京・港)などの参加が決まっている。

ららぽーとはテナントなどで約 2,300 社の取引関係を持つ。 三井不はサービス開始に当たって在庫管理の基幹システムを構築し、EC サイトの出店者に提供する。 三井不は自社で物流施設を持つが、今回の EC サイトでは施設を使わずにシステム提供にとどめる。 経済産業省によると、EC サイトの国内市場は 2016 年に前年比 9.9% 増の 15.1 兆円。 10 年に 2.84% だった商取引全体に占める EC の割合は 5.43% に高まっている。 スタートトゥデイが運営する衣料品通販サイト「ゾゾタウン」が急成長するなど、衣料品分野の EC 取引も活発だ。 (nikkei = 10-5-17)