中国、北部 28 都市が 17 年末の大気汚染改善目標を達成

[上海] 中国環境保護省は 10 日、冬季の大気汚染防止対策を進めるなか、北部の 28 都市すべてが 2017 年 10 - 12 月の改善目標を達成したと発表した。 ただ今年の前半については、比較的温暖な気候が目標達成のリスクになるとの見方も示した。 28 都市は 17 年 10 -18 年 3 月に、微小粒子状物質「PM2.5」の平均濃度を 10 - 25% 減らすよう命じられており、工業生産の抑制や交通、石炭の使用制限などの対策を実施している。

環境保護省は全 28 都市が 17 年第 4・四半期の目標を上回り、PM2.5 の平均濃度は地域全体で 1 立方メートル当たり 71 マイクログラムと、前年同期に比べて 34.3% 減少したとしている。 ただ、気象専門家らの話を引用し、1 - 2 月には比較的温暖な気候などが予想されることから、大気汚染の除去が一段と難しくなるとの見方を示した。 (Reuters = 1-10-18)

◇ ◇ ◇

中国、新たな環境指数を発表 北京市が最高評価

[北京] 中国は 26 日、国内の省・直轄市・自治区による環境に優しい開発への取り組みなどを示す新たな指数「緑色発展指数(グリーン・ディベロップメント・インデックス)」を発表し、北京市が最も高い評価を得た。 同指数は国家統計局、国家発展改革委員会 (NDRC)、環境保護省、共産党中央組織部が共同で発表。 それによると、2016 年の評価では、31 の省・直轄市・自治区のうち、北京市がトップとなり、福建省、浙江省が続いた。

一方、評価が最も低かったのは新疆ウイグル自治区、続いてチベット自治区だった。 北京市に隣接し、環境汚染が深刻な複数の都市が位置する河北省は 20 位となった。 国家統計局の寧吉哲局長は指数を毎年公表する方針だとした。 一方、環境に対する市民の満足度では、北京は 31 省・市・自治区中、30 位だった。 最も満足度が高かったのはチベット自治区となった。 (Reuters = 12-26-17)

◇ ◇ ◇

中国工業地帯を襲う天然ガス不足、環境対策が裏目に

記事コピー (12-24-17)

〈編者注〉 上記の現地レポートを読むと、北京市が環境評価のトップと言われても、周辺地域では工場操業を諦めさせ、暖房の無い生活を強いた中での結果であったとしたら、良い記録を残すためのつじつま合わせと言われても致し方ありません。


中国、高速道路で太陽光発電 世界初の実験

【上海・林哲平】 中国山東省済南市で 12 月 28 日、高速道路に埋め込んだ太陽光パネルで発電する試みがスタートした。 中国メディアによると、高速道路での太陽光発電の実験は世界初。 この電気を使って走行中の電気自動車 (EV) に自動充電する計画も構想中で、「夢のシステム(中国メディア)」と沸き立つが、専門家からは実現を疑問視する声もある。

実験は高速道路の運営会社と上海市の同済大学が共同で実施。 設備は郊外の車道約 1 キロで太陽光を透過するコンクリートの下に太陽光パネルを埋め込み、絶縁体を敷いた 3 層構造になっている。 運営会社によると、年間に 100 万キロワット時を発電し、道路の照明などにあてられる。 道路を利用した太陽光発電の実験は近年、欧米で相次いで進んでいる。 2016 年に一般道での実験をスタートしたフランスは、総延長を 1,000 キロに拡大する計画だ。 中国は大気汚染改善のため EV の普及を国策として進めていて、これを猛追する。

太陽光発電の電気を走行中の EV に無線で自動充電するシステムの構想について、高速道路の運営会社幹部は「全国の高速道路で実現すれば、どこでも『充電バッテリー』として使える」と話す。 だが発電の汎用性を疑問視する声もある。 新エネルギーに詳しい日本メーカーの技術者は通常の道路の 10 倍以上とされるコスト面での課題のほか、平行に置かれたパネルでは光を十分に受けられない可能性を指摘。 「慢性化する渋滞や悪天候を考えれば、発電時間は限られる」と話した。 (mainichi = 1-4-18)


「中国のエルサレム」で統制と闘うキリスト教徒 浙江省温州

記事コピー (1-1-18)


日本人の多くが度肝を抜かれ、恐れおののいた中国の都市 北京や上海ではなくこの街だった! = 中国メディア

中国の都市というと、北京や上海が真っ先に思い付くという人は多いことだろう。 今も昔もこの 2 都市は中国を語るうえで欠かすことのできない中核都市であることは間違いない。 しかし、今の中国を語るうえで絶対に見なければならない都市がある。 それは、広東省深セン市だ。 中国メディア・今日頭条は 27 日、深センの発展ぶりに日本人が驚嘆したとする記事を掲載した。

記事はまず、近ごろ「夢を見るか、現実に留まるか」というキャッチコピーの企業広告が東京に出現して多くの日本人の注目を集めたとし、広告を出したのが世界最大のドローン企業で深センに本社を置く中国企業の DJI だったと紹介した。

そして、1980 年以前は香港の向かいにある小さな漁村にすぎなかった深センが、この 36 年間で平均 23% という驚異的な経済成長率で大きく発展を遂げ、今や 1,100 万人の人口を抱えるスーパー大都市になったと説明。 2016 年の GDP は 3,000 億米ドルで、ボストン、シドニー、横浜、ベルリンなど世界の大都市を超える経済規模を誇っていると伝えた。

また、深センには DJI のほか、華為、騰訊、鴻海、BYD など世界的に有名な企業が数多く存在し、国際的な大企業のゆりかごとなっているほか、世界最大のハードウェア研究開発・製造センターになっていると紹介。 そのスピード感を「シリコンバレーの 1 カ月は、深センの 1 週間だ」と形容している。

一方、「この科学技術と未来の都市は、あろうことか日本人にはほとんど知られていない」としたうえで、深センの現状を目の当たりにした日本のネットユーザーが「われわれは中国をみくびっていた」、「たかだか数年でこんなにたくさんの企業を生むとは、恐ろしい」、「iPhone の製造拠点というイメージしかなかったが、今やイノベーション都市になりつつある」、「今年深センに 2 度行った。 中国のアキバと呼ばれる場所に行ったが、とんでもない。 規模が天と地ほど違った。」、「深センが持つ最大の特徴は、ハングリー精神だ」といったコメントを残したことを紹介した。 (今関忠馬、SearChina = 12-29-17)


上海市、2035 年までに人口を 2,500 万人に制限 「大都市病」対策

[上海] 中国の国務院(内閣に相当)は、2035 年までに上海市の人口を 2,500 万人に制限する方針を示した。 「大都市病」と呼ばれる環境汚染や交通渋滞などの問題を解決する狙い。 25 日にウェブサイトで公表した。 国務院はウェブサイトで、人口管理は上海市の 2017 - 35 年の基本計画の一環で、既に承認されているとし「2035 年までに、上海市の居住者数は約 2,500 万人とし、建設用地は 3,200 平方キロメートルを超えないこととする」と説明した。

中国では、都市部の環境汚染や交通渋滞、教育や医療などの公共サービス不足の問題が「大都市病」として取り上げられている。 また、国内主要都市では住宅価格が急騰し、不動産バブルの懸念も浮上している。 新華社が昨年報じたところによると、上海市の 2015 年末時点の人口は 2,415 万人だった。 上海市は、環境や史跡の保護を一段と強化する方針も示している。 (Reuters = 12-26-17)


「貧しさ競う地方役人」 中国を代表する作家が告発する中国社会と言論統制の実態

記事コピー (12-22-17)


中国の監視網がたちまち人を特定 AI 付き監視カメラ全国に

中国は「世界最大の監視カメラ・ネットワーク」と呼ばれるものを構築しつつある。 国内各地に監視カメラ 1 億 7,000 万台がすでに設置され、さらに今後 3 年間で推定 4 億台が追加される見通しだ。 監視カメラの多くに人工知能が搭載され、顔認証技術などを備えている。 BBC のジョン・サドワース記者が南西部にある貴陽市の警察を訪れ、ハイテク制御室を取材。 高度な監視カメラシステムがどれくらいのスピードで自分を見つけだすのか、試してみた。 (BBC = 12-11-17)


我が子のパスポート切断 … 中国、弁護士家族へ嫌がらせ

2015 年に中国各地で一斉に拘束された人権派弁護士らの家族に対し、当局の嫌がらせが相次いでいる。 体制に逆らったとみなせばその肉親にも連帯責任を負わせる手法が、「依法治国(法に基づく統治)」を訴える習近平(シーチンピン)指導部の下で続いている。 15 年 7 月以降、弁護士や活動家 320 人以上が連行され取り調べを受けた事件で、ともに弁護士で最初に拘束された包竜軍さん (47) と妻の王宇さん (46) がこのほど、取材に応じた。 昨夏の保釈後は、息子の将来に影響しないよう沈黙を守ってきた。

だが、先月 13 日、息子の包卓軒さん (18) が天津空港から出国しようとし、公安当局に「国家の安全に危害を与える恐れがある」と阻止された。 旅券が使えないよう、顔写真のページの両角を切り落とされた。 行き先は日本だった。オーストラリアの大学に進学できる見通しがたち、その前に日本で一人旅をしようとした。 卓軒さんは幼い頃から日本のアニメに親しみ、日本語を独学。 村上春樹や東野圭吾を愛読し、映画「君の名は。」を日本語で楽しんだほどで、訪日を心待ちにしていたという。 (北京 = 延与光貞、asahi = 12-9-17)


中国でコーヒー文化広がる、スタバの追い風に 競合も市場参入

[上海/ロサンゼルス] 上海の中心街に小さなカフェがある。 ここにはカウンターの上にコーヒー豆が入ったガラス瓶が並ぶ。 カウンターの向こう側でスタッフはさまざまな種類のコーヒーを淹れている。 上海ではこだわりのコーヒー店が何千とある。 中国でカフェ文化が花を咲かせる中、米コーヒーチェーン大手のスターバックスなどが拡大しているほか、他社の市場参入で競争は激化している。

スターバックスは中国のコーヒー市場を占領している。 米国では小規模なコーヒー店や、より安価なコーヒーを提供する競合による「第三の波」にさらされているが、中国の店舗数は 3,000 を超え、急速に伸びている。 スターバックスは 5 日、上海でコーヒー豆を焙煎する設備を持つ店舗を開店した。 こうした店舗の開設は海外で初めて。 こだわりのコーヒーやパン・菓子類を置く高級店だ。 スターバックスのハワード・シュルツ会長はこうした店舗を中国で 10 年以内に 1 万軒に増やすと述べた。 「中国(市場)は 10 年以内に米国よりも大きくなる」と発言した。

中国のコーヒー専門店市場は 252 億元(38 億 1,000 万ドル)規模だ。 英調査会社ユーロモニターによると 2016 年にスターバックスは市場の 54.8% を占めた。 競合である米マクドナルドのマックカフェやウィットブレッドのコスタ・コーヒーを大幅に上回る。

競合のコーヒー店との競争が激しい米国と異なり、スターバックスの中国における主な課題は、お茶派をコーヒー派にかえることだった。 ここにきてこうした現象が変わってきたもようだ。 ユーロモニター(上海支店)の Yu Limin 氏は「現在、小型ブランドや個人のコーヒー店が増えている。 爆発的な成長率を記録している。」と指摘した。 (Reuters = 12-6-17)


中国のシェア自転車、廃棄車両の山 破綻や経営悪化続く

中国で爆発的にヒットしたシェア自転車の運営が曲がり角を迎えている。 一部は日本など海外にも進出を果たすほどだが、現地では過当競争で利益が上がらず、破綻や経営悪化が相次ぐ事態に。 大手も例外でなく合併が話題に上る。 無秩序な駐輪に頭を痛める地方政府が規制を始め利便性も減少。 交通の邪魔になる車両は「墓場」と呼ばれる保管場に運び込まれている。 青色の車体で親しまれた小藍単車(ブルー・ゴー・ゴー)の創業者李剛氏は 11 月半ば、公開書簡で倒産を表明した。 外国進出も果たしたが、サービス開始から 1 年での退場。 競争の厳しさを切々とつづった。 (北京 = 福田直之、asahi = 12-5-17)

◇ ◇ ◇

中国、シェア自転車が快走 スマホで解錠・登録者 1 億人

かつては自転車王国だった中国も、今や米国を抜いて世界最大の自動車市場。 そんな中国で自転車ブームが巻き起こっている。 牽引役は「シェア自転車」だ。 GPS で位置を把握・管理し、利用者はスマートフォンのアプリで解錠し、乗り捨て自由だ。 サービスは海を渡り、日本でも始まる。 ただ、過当競争で道が乗り捨てた自転車だらけになるなど課題も多い。

北京の目抜き通り・長安街。 天安門にかかる毛沢東の肖像画の前を、サービス提供者ごとに塗装されたオレンジ色や黄色、青色のシェア自転車が走り抜ける。 繁華街・王府井の入り口には、利用者を待つシェア自転車がぎっしりと並ぶ。 かつての自転車王国の光景が復活している。 仕組みは、日本のレンタル自転車とひと味違う。 スマホにダウンロードしたアプリで利用を登録。 路上のシェア自転車についた QR コードを、スマホのカメラで読み取ると鍵が開く。 乗り捨てたいところで降り、鍵を閉めれば電子決済され、使用終了と便利だ。 (北京 = 福田直之、asahi = 8-3-17)


習近平氏「トイレ革命」指示 国民生活重視を演出

【北京 = 高橋哲史】 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は 27 日までに、観光業の発展に向け各地にきれいなトイレを整備する「トイレ革命」を推進するよう指示した。 トイレの改善は人々が暮らす環境そのものの問題として、整備の遅れた農村など全国的な運動に広げる構えをみせる。 国民生活の隅々にまで目配りする偉大な指導者を演出する宣伝工作の一環との見方も出ている。

国営の中央テレビは 27 日午後 7 時(日本時間同 8 時)のニュースで、トイレ革命を習氏の「重要指示」としてトップで伝えた。 習氏は「トイレは決して小さな問題ではない。 観光地や都市だけでなく、農村部でもこうした大衆生活の品質の足りない部分を補っていかなければならない。」と強調した。 臭くて汚いと外国人の評判が悪かった中国のトイレは、2008 8年の北京五輪を境に北京や上海などの大都市では大幅に改善した。 しかし、地方都市や農村部には不潔なだけでなく、外から丸見えといった外国人には近寄りがたいトイレがまだ多く残る。

国営の新華社通信によると、習氏は 12 年秋に最高指導者の地位に就いて以降、トイレの問題を極めて重視してきた。 地方を視察するたびに農村に入り、農民に水洗のトイレを使っているかどうかをじかに尋ねてきたという。 15 年には習氏の指示で、観光行政を統括する国家観光局が全国の観光地に 3 年かけてきれいなトイレを整備する「トイレ革命」に着手した。

今年 10 月末の時点で、すでに目標を大きく上回る約 6 万 8,000 カ所のトイレを改修したり、新設したりした。 今回の重要指示には観光振興にとどまらず、なお貧困にあえぐ農村部にもトイレ革命を広げ、習氏が国民生活の質の向上に心を砕いている姿を印象づける狙いがちらつく。 習氏のトイレへのこだわりは、文化大革命のさなかに陝西省の農村に下放され、青年期の 7 年をすごした経験にさかのぼるとの指摘がある。 当時の習氏を知る人たちの証言をまとめた本には、習氏が男女共用で簡単な仕切りがあるだけだった村の公衆便所を壊し、男女別々の個室式トイレにつくり直したエピソードが紹介されている。

ただ、最高指導者が「革命」と銘打ってトイレの改善に力を注ぐ姿には違和感を覚える庶民も少なくない。 30 代の女性は「もっと優先的に取り組んでもらいたい課題はたくさんある」と話す。 中国では、建国の父である毛沢東が 1950 年代に「四害」と呼ぶハエ、蚊、ネズミ、スズメを駆除する大衆運動を展開した。 生活に密着した問題で大衆の関心を誘うやり方に、危うさを感じる声も聞かれる。 (nikkei = 11-27-17)


大規模爆発で死傷者、建物の倒壊も 中国東部の寧波 国営メディア

中国東部・浙江省の港湾都市、寧波で 26 日、大規模な爆発があり死傷者が出たほか、周辺の建物数棟が倒壊したり、車両が破壊されたりする被害が出た。 地元当局の情報として国営メディアが伝えた。 国営中国中央テレビ (CCTV) がウェブサイトで報じたところによると、爆発が起きたのは同日早朝。 地元テレビでは、爆発で破壊されたりゆがんだりした車や、立ち上る灰色の煙、現場周辺に散乱した建物などの残骸が映し出された。 ヘルメットをかぶった複数の男性が現場から負傷者を運び出す様子も放映された。

CCTV は複数の目撃者の話として、「多数の負傷者」が出ており、これまでに少なくとも 30 人が病院に搬送され、現在も救助活動が行われていると報じている。 爆発が起きた寧波の江北区の地元警察は、爆発の原因の調査がすでに開始されたとソーシャルメディアで明らかにした。 (AFP/jiji = 11-26-17)


中国高速鉄道の手抜き工事が再び物議 「黒幕」は誰なのか - 米華字メディア

11 月 19 日、米華字メディア・多維新聞網は、先日明らかになった中国高速鉄道の手抜き工事問題について、「いったい黒幕は誰なのか」とする記事を掲載した。

先日、中国の「名刺」とも言える高速鉄道に手抜き工事のスキャンダルが持ち上がった。 開通して 1 年に満たない滬昆高速鉄道の貴州エリアでトンネルの水漏れなど施工の品質問題を指摘する内部文書が明らかになり、世間の注目を集めたのだ。 これまでの報道によると、中国鉄路総公司の特別検査グループによる調査で、プロジェクトの施工業者、監督管理機関、設計業者、第三者検査機関いずれにおいても問題が見つかった。 問題が見つかった複数の施工業者は中国鉄建の子会社であり、中国鉄建は今年上半期の報告書に「業界の性質や施工環境により、企業の生産過程における安全品質に終始一定のリスクがある」と明記していたという。

また、監督管理機関には検査や監督上の怠慢や隠蔽、設計業者には地質調査作業の不足や設計変更の手落ち、図面提供の大幅な遅延、現場との整合不足、第三者検査機関には検査結果と実際の状況の著しい乖離といった問題が見つかったという。 さらに、建設事業者である滬昆客専貴州公司についても、設計や現場の管理不行き届き、漏水したトンネルの施工管理不足、開通後における線路周辺の環境パトロール・保護不足といった問題の存在が指摘された。

記事は「問題発覚後、中国鉄路総公司の工事管理センター責任者は『旅客の安全を第一に考えてきた。 どんな安全リスクも決して容認せず、工事における品質問題は絶対なおざりにしない』と語った。 滬昆高速鉄道は、中国の『八縦八横』と呼ばれる中長期鉄道整備計画における大動脈の一つ。 中国高速鉄道は、中国製品の名刺的な存在になりつつあるが、路線の計画、施工、品質管理の一つでも問題が起きればその名誉に傷がつき、長年の努力が水泡に帰すことになりかねない」と論じている。 (RecordChina = 11-21-17)

◇ ◇ ◇

中国高速鉄道はいったいどうしてしまったのか、主要路線で重大問題が発覚 - 米華字メディア

11 月 15 日、米華字メディア・多維新聞網は、中国高速鉄道のイメージを損ないかねない品質上の大きな問題が発生したことを伝えた。 記事は、中国中央テレビ (CCTV) の報道を紹介。 13 日午前に微博上で「設計時速 300 キロメートルで中国高速鉄道最大のスパンを誇る滬昆高速鉄道の貴州区域に架かる北盤江特大橋の両端にあるトンネルで深刻な漏水が見つかり、時速 70 キロの低速走行しかできなくなっている」との情報が流れた。 この情報には中国鉄路総公司の内部文書とされる資料が添付されており、「6 月末から 7 月はじめにかけて、同鉄道の貴州区域で運行の安全や秩序、効率を脅かす品質上の問題が連続して発生した」と書かれていた。

その後、中国鉄道総公司の関係者は情報は事実であると認めたが、微博上の情報はすでに削除されているという。 滬昆高速鉄道は上海から昆明まで中国大陸の東西を貫く重要な高速鉄道路線。 総距離は 2,252 キロメートルで、中国の東西方向に走る路線では総距離、速度レベル、通過する省・直轄市が最大、最多となっている。 品質問題が発覚後、同公司は特別調査グループを作り、問題のトンネルの調査に乗り出したとのことで、一部で問題が見つかったという。

記事は「中国高速鉄道は今や中国人にとって最も民族的な自信を得られるものとなっており、『中国新四大発明』の 1 つとも称されている。 今回の品質問題発覚は、飛ぶように発展している中国の高速鉄道の顔に泥を塗るものだと言わざるを得ない。」と評している。 (RecordChina = 11-18-17)


トランプ氏、中国でツイートどうやって? 規制かいくぐる

中国のみなさん、すばらしい歓迎をありがとう! 訪中しているトランプ米大統領は 8 日夜、自身のツイッターでこうつぶやいた。 中国のインターネットはツイッターなどの世界的なソーシャルメディアには接続できない。 トランプ氏はこの規制をかいくぐって発信した模様で、どのように接続したのか関心を集めている。

「中国ではツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアは禁止されているが、大統領はツイッターのアカウントに接続できる限りは発信する。」 米政府高官は北京に向かう専用機で記者団にこう強調していた。 中国で接続規制を回避するには、仮想プライベートネットワーク (VPN) を使うのが一般的。 ただ、国際ローミングしている米国携帯の一部は中国内でもソーシャルメディアが使える。 先の高官は、大統領がどのようにツイッターに接続するかは明らかにしなかった。(北京 = 峯村健司、asahi = 11-9-17)

◇ ◇ ◇

トランプ大統領 中国でツイッター使えるかと関心集まる

トランプ大統領の中国訪問に関連して、中国では、トランプ大統領が繰り返し投稿を行っているツイッターを利用できるのかに関心が集まっています。 中国では、インターネットについて独自の厳しい規制が行われていて、通常のネット回線では、欧米や日本などで人気の SNS の多くは利用できず、「ツイッター」も使うことができません。 その一方、規制をかいくぐりアクセスをする方法もあることから、トランプ大統領がツイッターでさまざまな内容をつぶやいていることは、中国でも多くの人に知られています。

このため中国版ツイッターのウェイボー上には、「トランプ大統領は、中国でツイッターを使うことはできるのか」という書き込みや、「トランプ大統領が、中国でツイッターを使えなければ両国の関係に影響するので、きっと使えるはずだ」などと当局の規制をやゆするような書き込みも見られます。 実際には、トランプ大統領は、特別な専用回線などを使ってツイッターを利用すると見られていますが、中国では、トランプ大統領がツイッターを利用できるのかや何を投稿するのかに関心が集まっています。 (NHK = 11-8-17)


中国、廃棄物の密輸取り締まりを強化 税関総署

[上海] 中国税関総署は 7 日、廃棄物の密輸取り締まりを強化したと発表した。 容疑者 39 人を逮捕し、廃プラスチック・鉱物系廃棄物 3 万 3,000 トンを押収したとしている。 中国政府は今年、環境汚染対策の一環で、有害な「外国のごみ」の取り締まりに着手した。 これまでに 3 回の「一斉取り締まり」を行い、廃棄物 30 万 3,000 トンを密輸した疑いで、259 人を逮捕したという。 取り締まりは、広東省など 5 省や上海などの都市で実施した。

容疑者は、廃プラスチックや鉱物系廃棄物を密輸し、無認可の国内業者に売却。 廃棄物を買い取った業者は、環境基準を満たさずに廃棄物を処理することが多く、大気汚染・水質汚染・土壌汚染の原因になっているという。 中国は廃物輸入大国で、昨年輸入した廃プラスチックは 730 万トン(37 億ドル相当)と、世界全体の 56% を占めた。 同国では、来年から銅系スクラップの輸入が禁止される。 (Reuters = 11-7-17)


なぜ東京のほうが上なんだ! 雄大な自然がある中国が「世界渡航先ランキング」で負ける理由が解せない = 中国報道

広大な国土を誇る中国には風光明媚な自然があり、世界自然遺産も数多く存在する。 日本とはまた違った雄大な自然には独特の魅力があり、中国人にとっても大きな誇りであるようだ。 実際、中国は世界的に見ても「観光大国」と言えるが、マスターカードがまとめた 2017 年の世界渡航先ランキングを見てみると、1 位はバンコク、2 位はロンドン、3 位はパリと続き、東京は 9 位だったが、中国の都市はトップ 10 には 1 つも入らなかった。

中国メディアの今日頭条は 2 日、中国には豊富な観光資源があり、多くの外国人が観光に訪れているとしながらも、世界渡航先ランキングではなぜトップ 10 に入ることができないのかと疑問を投げかけた。 記事は、中国のインバウンドは当初、外貨獲得が目的だったが、経済の発展に伴って目的は変化し、外国人旅行客に対するマーケティングは成熟し、客を受け入れる宿泊業や飲食業も発達したと指摘。 今では中国と世界各国を結ぶ直行便が就航し、実際に多くの外国人が中国を訪れているとした。

しかし、中国を訪れる外国人を国別に見てみると、韓国やベトナム、日本、ミャンマー、モンゴル、マレーシア、フィリピン、シンガポールなどが多く、欧米からの外国人は決して多くはないと指摘。 中国には豊富な観光資源と悠久の歴史、そして世界に誇る中華料理という美食もあるとしながらも、それでも世界渡航先ランキングでトップ 10 に入れなかったのは、中国の都市部の魅力が東京やソウルに比べて劣っているためだと主張した。

北京や上海はもはや東京に勝るとも劣らないほどの発展を遂げたのは事実だが、観光で何度も訪れたくなる都市かといえば、それは疑問だ。 発展はしているが、「北京ならでは」、「上海ならでは」というコンテンツが欠けているようにも見える。 しかも、中国の都市部は交通渋滞や大気汚染も深刻化するなど、観光客にとって優しくない部分も多く、マスターカードがまとめた世界渡航先ランキングでトップ 10 に中国の都市が入れなかったのは、こうした点が理由なのかもしれない。 (村山健二、SearChina = 11-6-17)

〈編者注〉 編者としては、旅行先の人気度は "バックパッカー" の数で測るべきだと考えています。 彼らが最大のインフルエンサーではないでしょうか。 もちろん、彼らの最大の関心事は "安全性" でしょう。 併せて "環境" を加えると、中国が積極的に足を向けるところとは思えません。 中国の各都市が東京に及ばないことを嘆く前に、東京より上位にある東南アジアや中東の都市にすら及ばないことを、肝に銘ずべきでしょう。

サーチナの編集者は遠慮されてか言及しておられませんが、中国には致命的な問題があります。 世界各国で見られる中国人観光客の行状から感じる、他を思いやる心 (hospitality) の欠如、更には、私たちが一般に使っている、インスタ、FB、ツィッターなど SNS が全く使えないことでしょう。 今や、最も影響力のあるツールが使えないのが最大のハンデであることを、中国人自身はきっと気づいておられるのではないでしょうか。


これは信じられない! 高速鉄道を運営する中国鉄路が大幅な赤字 - 中国メディア

2017 年 11 月 2 日、中国のポータルサイト・今日頭条に、中国鉄路総公司が大幅な赤字であることを伝える記事が掲載された。 先日、中国鉄路総公司の 2017 年第 3 四半期の財務報告が発表された。 それによると、2017 年 9 月 30 日までで、中国鉄路の総資産額は 7 兆 4,502 億 5,000 万元(約 128 兆円)で、総負債額は 4 兆 8,250 億元(約 83 兆円)だった。 2017 年第 3 四半期までの営業利益は 366 億 3,100 万元(約 6,300 億円)で、税引き後の損益は 11 億 4,000 万元(約 196 億円)となった。

記事は、負債額 4 兆 8,250 億元は、負債率でいうと 64.74% で、この 3 年間ほとんど変わっていないと指摘。 中国鉄路はこれまで、毎年 6,000 億元(約 1 兆円)のペースで新路線建設のため投資してきたが、昨年からは新規建設距離数が大幅に減少しており、負債率だけが変わらない状況だと分析した。 ではなぜ中国鉄路は損益を出しているのか? 記事は、春節や国慶節などの長期休暇では、チケット購入が難しく満席になるのに、利益が出ないのはおかしいのではないかと疑問を呈した。

この点について記事は、中国は国情が異なると分析。 外国では鉄道が衣食住と同様の消費品だが、中国では国の経済を引っ張る生産ラインとしての側面が強く、損益はこの生産ラインのための代価なのだと主張した。 また、インフラの 1 つとして赤字は民衆のためでもあると主張。 普通列車の料金は物価が上昇している中でこの 20 年値上がりしておらず、多くの出稼ぎ労働者の益になっており、社会の安定剤の役割をなしているとした。 それで、中国鉄路は中国社会の安定のために努力しているのだと論じた。 (RecordChina = 11-3-17)


14 歳ロシア人モデルが中国で死亡 「奴隷労働」か 保険入らず病院行けず - 中国メディア

10 月 30 日、中国メディアの環球網によると、ロシアから中国に来てファッションモデルの仕事をしていた 14 歳の Vlada Dzyuba さんがこのほど、上海で行われたファッションショーで 13 時間働いた後に倒れて意識不明となり、搬送先の病院で死亡するというショッキングな出来事があった。 死亡の原因は「極度の疲労」と慢性髄膜炎だという。

記事がロシアメディアの報道として伝えたところによると、Vlada さんの母親は、娘とモデルエージェントとの契約には「奴隷条項」が含まれていたとし、1 日に 12 時間も仕事をすることがよくあったと話している。 そうした条件に同意したのは、トップモデルになりたいという夢があったからだという。 記事によると、Vlada さんをめぐっては、「1 週間に 3 時間だけ働くという契約だったが、毎日 13 時間の仕事をさせられていた」、「体の具合が悪くなっても、医療保険に入っていなかったため病院へ行くこともできなかった」などとも報じられているという。 (RecordChina = 10-30-17)


中国政府が「借金の踏み倒し人物」をウェブでさらす理由

中国の当局の通知によると、中国の債務者は借金の返済を怠った場合に、ペナルティーとしてネットにさらされることになる。 この措置は、数年かけて構築が進んでいる消費者信用スコアシステムの 1 ステップで、中国共産党中央宣伝部の中国銀行監督管理委員会から通達が出された。 このシステムには議論があるものの、融資体制が整っていない中国では必要不可欠だ。 債務を返済していない人が政府のウェブサイトに名前を掲載されることは、最近の通知で確認された。 今年末までには省政府レベルに導入し、市やそれより小さい行政区まで広げる方針。 情報は地方の裁判所から提供され、銀行の融資審査にも使われる。 銀行の "ブラックリスト" 作成に役立つ情報になるだろう。

中国の信用スコアシステム構築にあたって大きな課題は、現在使われているモデルが数多くあり、それぞれの運営元が支配権を持っていることだ。 2015 年、独自の信用スコアシステムを試作する企業として、テンセントやアリババのアント・フィナンシャルなど、テック企業 8 社が選ばれた。 これらの企業は消費行動や SNS の利用動向を基にシステムを構築した。 しかし、テック企業は自身の EC ビジネスを運営しているため、データを他のプラットフォームに提供することには消極的だ。

とは言え、信用スコアは、個人がローンを利用するために欠かせない情報の一つだ。 少額融資を必要とする人は、しばしば高い利率を支払わなければならず、複数の融資機関から借りることを余儀なくされるため、コストがかかる。 中国が「ソーシャルクレジット(ソーシャルの信用度)」と呼ぶ仕組みは、欧米の視点からはプライバシーの侵害に映る。 ソーシャルクレジットスコアモデルは金融データだけでなく、ソーシャルの交流や消費動向も活用する。 買ったものがおむつなのかアルコールかなのかによっても、個人の信用度は左右される。

しかし、中国政府はこのプロセスを推進しており、市民の側も反対の声をあげていない。 構築中のプラットフォームは 2018 年には約 300 の商業銀行とつながる予定で、規制当局は小さな取引まで監視できることになる。 (Forbes = 10-29-17)


マクドナルドが中国で改名、ダサすぎるとブーイング「これはひどい …」

マクドナルドが中国での社名をこれまでの「麦当労」から「金拱門」に改名した。 この改名にブーイングの嵐が起きている。

10 月 25 日、中国メディアによると、中国で展開しているファストフードチェーン・マクドナルド(中国)が社名をこれまでの「麦当労」から「金拱門」に改名した。 金拱門は「ゴールデンアーチ」のこと。 マクドナルドの M マークから取ったとみられる。 スティーブ・イースターブルック CEO (最高経営責任者)は「ローカライゼーション戦略を通じて中国人の需要を満たしたい」との考えを示している。 しかし、中国ではこの社名変更にブーイングの嵐が起きている。 (RecordChina = 10-27-17)

以下は中国版ツイッター・微博(ウェイボー)に書き込まれたコメントの一部。

「ダサすぎる!」
「とんでもなくダサい。」
「何これ、テキトーすぎない?」
「ひどい社名だ。」
「いきなり田舎っぽくなったな。 『おい、今どこにいる?』、『金拱門だよ』って。(笑)」

「これで中国市場を失ったな。」
「売り上げに響くと思う。」
「『ママ、ぼく金拱門が食べたいよ』とか。(笑)」
「『いらっしゃいませー、金拱門へようこそ!』って、冗談としか思えない。」

「何か中国市場を誤解していないか?」
「中国人に対しても誤解がありそう。」


「ネット出前」中国爆走 遅配は罰金、配送員の事故多発

習近平(シーチンピン)政権が 2 期目を迎える中国経済。 24 日に閉幕した共産党大会の期間中に発表された 2017 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) 成長率は、年間目標の 6.5% 前後を上回り、国家統計局は「経済は穏やかさを増している」と自信を深める。 消費主導の経済への移行が順調に進むが、新たなひずみも目立ってきた。

お昼時の北京。 赤、青、黄色のジャンパーをまとった人々が街中を電動バイクで駆け抜ける。 スマートフォンで注文したレストランの料理を配達してくれるネット出前の配送員だ。 16 年時点でネット出前の利用登録をしているのは全国で 2 億人を超える。 スマホで決済まで完結できる便利さが受けている。 配送員の収入も悪くない。 中国中央テレビによると、1 回 6 - 7 元(102 - 119 円)の配送を 1 日 30 - 40 回繰り返し、1 カ月休まず働けば、業者が保証する賃金 4 千元程度と合わせて収入は 1 万元を超える。 働いただけもうかる仕組みに、地方から出稼ぎに来た人々が飛びついた。

しかし、配送員の表情は浮かない。 「遅配や苦情があれば、給料から罰金を引かれる。 バイクも自分で用意しなければならない。」 東北部出身の 20 歳代の男性は、取材にそう語った。 一定時間内に届けられないと 20 元、苦情があれば 500 元の罰金をとられるという。 遅配を避けたい配送員が猛スピードで運転するため、交通事故が頻発している。 新華社ネットによると、江蘇省南京市では今年 1 - 6 月、出前によるバイク事故が 3,242 件起き、3 人が死亡。 2,473 人がけがをした。

習政権推進の新ビジネス、「格差」前提

ネット出前は、1 期目の習政権が推進してきた技術革新による経済成長を象徴する新ビジネスだ。 16 年は全国で 1 千万人以上が配送員として登録していたとされ、大量の雇用を生み出している。 新ビジネスの発展について、李克強(リーコーチアン)首相は 9 月の政府の会議で「経済発展の新たな原動力をもたらしただけでなく、雇用をしっかり支えた」と称賛した。 (北京 = 福田直之、asahi = 10-25-17)


中国「違法ワクチン」、幼児の体に起きた悲劇

人命軽視、ずさんすぎる薬品行政の実態

中国で 5 年に 1 度の共産党大会が始まった。 ここで習近平国家主席を中心とする指導体制の 2 期目の指導部が決まる。 その大会の開幕式で、習氏は 3 時間半に及ぶ演説をし、5 年間にわたった 1 期目について、「数多くの大事を成し遂げ、党と国家の事業に歴史的な変革を起こした」と自賛した。 その成果の 1 つとして「人民の生活が不断に改善された」と述べた。 しかし昨年明らかになった「違法ワクチン事件」の取材を振り返ると、習氏の言葉とは裏腹に、庶民の命や生活を蔑ろにするこの国の体質は、何も変わっていないことがわかる。

「山東違法ワクチン事件」とは?

今年 1 月、山東省済南市の中級人民法院(日本の地方裁判所に相当)で開かれた裁判の判決を、多くの人が注目しているのを私は知っていた。 ニュースが報じた法廷内で、被告として並んで立っていたのは中年の女とその娘。 女の名は、ホウ紅衛。 薬品の売買資格を持たないにもかかわらず、薬品メーカーから横流しされた予防接種用のワクチンを売っていた。 娘、孫hは事情を知りながら母を手助けしていた。 ホウはかつて病院で働いた経験があった。 そのコネを使いワクチンを仕入れ、山東省を拠点に 20 以上の省にまたがる販売網を築いていた。

ワクチンは本来、効能を保つために冷蔵状態で保管、輸送しなくてはならない。 当然、そのためにはコストがかかる。 しかしホウは、ワクチンを冷蔵保管していなかった。 その分、ワクチンは安価だったのだろう。 判決によれば、2013 年 6 月から 2015 年 4 月までの 2 年足らずで、約 12 億円を売り上げていたという。 ホウは同様の事件で有罪判決を受けた執行猶予期間中の犯行だったというから呆れるが、前の刑の未執行分も合わせ、懲役 19 年の実刑判決を受けた。 この事件が中国で最初に報じられたのは昨年 3 月 20 日。その時、ホウの扱っていたワクチン 12 種類のリストなども報じられ、「山東違法ワクチン事件」と称された。

ホウの顧客には地方の衛生当局や病院も含まれていた。 これまでに明らかになったところでは、ホウのワクチンの仕入先の企業など 291 人が起訴され、公務員 174 人が職務怠慢や汚職などで処分されている。 大スキャンダルだった。

事件が報じられてから 4 日後の 3 月 24 日には、警察と衛生部門が首都北京で合同記者会見を開いた。 この場で、国家食品薬品監督管理総局の幹部、李国慶司長が、「短期間であれば冷蔵保存を外れてもワクチンの安全性に問題はない」と断言した。 それに先立ち 22 日には、WHO (世界保健機関)の中国事務所も「ワクチンは適切に保管されなかったとしても、中毒症状を起こすことはほとんどない。 したがって今回の事件の安全上のリスクは極小である」というリリースを発表している。 この手際のよさは、事件の公表にあたり国民の不安を打ち消す十分な準備をしていたと見るべきだろう。

「山東違法ワクチン事件」のワクチンが流通した時期に予防接種を受け、副反応とみられる症状が出ている子どもがいた。 ホウの倉庫があった済南市から約 80 キロ離れた泰安市。 そこにある大学病院を私は訪れた。 そこ子供は、2013 年の 5 月生まれ。生後 3 カ月を過ぎたころの 8 月、予防接種を受けた。 打ったのは 3 種混合ワクチン、HIB、ポリオの 3 種類のワクチン。 すると直後に嘔吐や発熱が始まり、さらに 1 週間、昏睡が続いたという。 一命は取り止めたものの、3 歳になる今、話すことも自分で食べることもできない。

李さんは娘の症状はワクチンの接種が原因だと考えた。 「いわゆる "専門家" たちがレストランに集まり診断しました。 子どもの足をたたいたりして、これはワクチンが原因ではないと。 診断書に誰も署名せず、偶然の反応と。 偶然とはどういう意味と聞いたら、『たまたま(発病時期が)一致した』と。」 じゃあ、ワクチンと関係あると認めたようなものではないですか、と尋ねると、李さんは続けた。 「彼らは偶然だと言いました。 『子どもの身体にもともと悪いところがあって、注射を打ったからそれを刺激した。 それで症状が現れた』と。」

その"専門家"たちは、この診断だけでワクチンの副反応ではないと結論を出したというのだ。 病気がワクチンの副反応によるものと認定されなければ、補償も受けられない。 (宮崎 紀秀、東洋経済 = 10-22-17)

詳細は、東洋経済の本文