公害で死者、中国・インドなどで年 900 万人 英誌推定

大気汚染や水質汚染などの公害を原因に、インドや中国など世界で年間約 900 万人が死亡していると推定する論文が、英医学誌ランセットに発表された。 2015 年のすべての死亡者の約 6 分の 1 を占める数字で、実際の被害はさらに大きい可能性もあるという。 論文は、各国の研究者約 40 人でつくるランセット誌の委員会が世界保健機関 (WHO) などのデータを元に推定の数字をはじき出した。 15 年の公害による死者を原因別にみると、大気汚染が最も多く約 650 万人。屋外だけでなく室内でも、粒子状物質など汚染物質を吸い込むことで心臓疾患や肺がんなどによる死亡につながる。 また石炭などの化石燃料は健康被害に加え、地球温暖化にも影響すると指摘した。

次に多いのが水質汚染。汚染された水を飲まざるをえないことで、胃腸の病気や寄生虫により約 180 万人が死亡したと推定。 3 番目は「職場の汚染」で、労働者がアスベスト(石綿)といった発がん物質などに職場でさらされ、約 80 万人が死亡したとしている。 さらに、鉛汚染による死者が約 50 万人と推定した。 ただ、重金属などほかの土壌汚染は今回の研究には含まれない。 健康影響の研究が進んでいない化学物質もあり、委員会は「900 万人」が過小評価の可能性があるとしている。

国別ではインドが最も多く 250 万人、次いで中国が 180 万人。死亡者の 92% は低所得か中所得国に集中。 両国のほかパキスタンやバングラデシュ、マダガスカルなど急速に発展が進む国では死亡原因の 4 分の 1 が公害だと推定された。 委員会は「よいニュースは多くの公害は根絶できることで、公害防止は費用対効果も高い」と指摘。 メチル水銀の汚染で日本で起きた水俣病の教訓を受け、水銀汚染の防止に向けて今年 8 月に発効した国際条約「水俣条約」についても紹介している。 (小堀龍之、asahi = 11-7-17)


地球温暖化 温室効果ガス、削減達成でも 3 度上昇

石炭火力依存の日本名指し 今世紀末、国連予測

世界各国が掲げる温室効果ガスの排出削減目標を達成しても、地球温暖化が進んで今世紀末の気温上昇が 3 度に達し、深刻な被害が生じる恐れがあると警告した報告書を国連環境計画が 1 日までに公表した。 政府に加え、企業や自治体の早急な対策強化の必要性を強調し、排出量が多い石炭火力発電を推進する国として日本も名指ししている。

2020 年から始まる「パリ協定」では、台風の強大化、干ばつ、生態系の破壊といった温暖化の悪影響を避けるため、産業革命前からの気温上昇を 2 度未満に抑えることを目指す。 各国は自ら削減目標を設定し、国連に提出している。 報告書は、このままでは今世紀末に気温が 3 度上昇すると予測。 30 年時点で、各国の削減目標に加え、日本の年間排出量の 10 倍程度を追加で減らさなければ、2 度未満に抑えることは極めて難しいと分析した。

米国がトランプ大統領の予告通り 20 年にパリ協定を離脱すると、見通しはさらに暗くなる。 一方で報告書は、今ある技術を普及させることで、十分な削減量を確保できると指摘。 具体策として、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入や省エネ家電の拡大、森林破壊をやめ、植林を進めることを挙げた。 石炭火力発電所の建設計画を進める国として、中国やインドと共に日本を挙げ「新規建設をやめ、既存の施設も早期に閉鎖することが極めて重要だ」と強調した。 (mainichi = 11-1-17)


温暖化進めば、北海道で竹も … 東北大などチーム

地球温暖化で平均気温が上昇すると、竹が生育できる地域が北海道まで広がるとの予測を、東北大や国立環境研究所などの研究チームが発表した。 竹は温暖な地域に生育し、成長が速い。 周囲の植物を枯らすなど本来の生態系を壊してしまう恐れがあるため、対策が求められるという。 専門誌に論文が掲載された。 チームは、竹林のある地域の気温や日射量を調べ、温暖化した場合の竹の分布域の変化を予測した。

温室効果ガスの削減が進まないと、日本の平均気温は 21 世紀末までに、産業革命前より最大 4 度、1980 - 2000 年の平均に比べて最大で 3.5 度上昇すると考えられている。 この場合、東日本で竹の生育に適した地域の割合は、現状の 35% から最大 83% に拡大する。 現在はほとんど竹が生育していない北海道も、沿岸部など広範囲で生育が可能になるという。 (yomiuri = 10-19-17)


揚水発電、水くみ上げ昼夜逆転 太陽光普及で思わぬ現象

夜の間に余った電気で水をくみ上げ、電力需要の多い昼間に山から落として電気を作る揚水発電。 九州で最近、その役割が変わりつつある。 太陽光発電の普及で余った電力を消化するため、昼間のくみ上げが大幅に増えた。 全国の電力会社でも珍しいという。 宮崎県木城町の山間部にある九州電力・小丸川(おまるがわ)発電所。 九州最大の揚水発電所で、120 万キロワット(約原発 1 基分)の発電能力がある。 8 月から大がかりな修繕が始まったが、期間を通常より 1 カ月半短縮させた。 揚水発電の重要性が増しているためだ。

このほか、九電は天山(佐賀県)、大平(熊本県)と計三つの揚水発電所を持つ。 合計で発電能力は 230 万キロワット。全体の約 12% だ。 揚水発電はこれまで、昼間の電力不足を補うために使われることがもっぱらだった。 夜に水をくみ上げておき、日中に電力需要が伸びた時に水を落として水車で発電する仕組みだ。 だが、2014 年ごろから昼間のくみ上げ回数が急増し、15 年に昼夜の回数が逆転。 16 年度は昼間のくみ上げが 7 割近くを占めた。 太陽光発電の急速な普及が要因だ。 日照時間が長く雪も少ない九州は、国の補助制度の後押しもあり、13 3年ころから急増。 今年 5 月のピーク時は、需要の 7 割をまかなうまでになった。 (高橋尚之、asahi = 10-14-17)


英洋上風力発電、原発よりも電気料金が安価に

英国で、建設予定の洋上風力発電所から供給される電気の料金が、計画中の原子力発電所からの電気の料金を下回ることが明らかとなり、広大な原発の建設が疑問視されている。 ビジネス・エネルギー・産業戦略省は先月、新たな洋上風力発電所 3 か所の建設に伴う国の補助金受給のための入札結果を公表した。 英国北部ヨークシャー地域の沖合に建設予定の世界最大規模となる洋上風力発電所「ホーンシー・ツー」の建設は、デンマークの洋上風力発電大手ドン・エナジーが落札した。

ドイツのエネルギー関連会社イノジーとノルウェーの国営電力会社スタットクラフトは、イングランド東部リンカンシャー州沖での「トリトン・ノール」洋上風力発電所の建設を、ポルトガルの風力発電開発会社 EDP レノバベイスとフランスのエネルギー大手エンジーから構成される合弁企業は、スコットランド・マリー沖での洋上風力発電所の建設を落札した。 これらの企業は、実際の発電量に対して国から対価が支払われるいわゆる「行使価格」に入札した。

イングランド南西部で建設計画中のヒンクリーポイント C 原子力発電所については、メガワット時あたり 92.50 ポンド(約 1 万 3,700 円)の買い取り価格が確保されているが、新たな洋上風力発電所 3 か所のうち 2021 - 2022 年に操業開始を予定している発電所はメガワット時あたり 74.75 ポンド(約 1 万 1,200 円)、2022 - 2023 年が操業開始予定の発電所については 57.50 ポンド(約 8,600 円)と、その価格は同原発よりもかなり下回っている。 同省の声明によると、新たな洋上風力発電所 3 か所の発電容量は合わせて、360 万世帯に電力を供給するのに十分な 3 ギガワット以上となる予定。 (AFP/時事 = 10-6-17)


生物 289 種が大津波で北米へ、二枚貝やホヤなど

東日本大震災の津波で太平洋に流れ出た船などに付着し、生きたまま米国やカナダに流れついた生物が 289 種類にのぼることが米オレゴン州立大などの研究でわかった。 自然に分解されにくいプラスチックなどの人工物の影響が大きく、漂流の間に繁殖したとみられる例もあったという。 29 日付の米科学誌サイエンスに論文が掲載された。 研究チームは 2012 - 17 年、北米大陸の西海岸やアラスカ、ハワイに到達した船や桟橋、ブイなど 634 の漂着物について、付着したり中に入り込んだりした生物を調査。 二枚貝やフジツボ、ホヤの仲間やイシダイなどの日本由来の生物 289 種類を確認した。

震災から 6 年近くたって生きた状態で漂着したものもあった。 それまで現地に生息していなかった種もいたという。 明治三陸地震(1896 年)や昭和三陸地震(1933 年)の津波では漂着物の報告がなく、20 世紀中盤以降に普及したプラスチックなどの材料で長距離を移動しやすくなったとみられるという。 チームは、地球温暖化で台風の強さが増すなどして人工物が流出しやすくなれば、外来種が海を渡る可能性も高まると指摘する。 (竹野内崇宏、asahi = 9-30-17)


アップル、日本で太陽光発電開始へ 自社店舗・拠点向け

米アップルは 22 日、日本で太陽光発電を始める方針を明らかにした。 新電力「第二電力(大阪市)」と組んで国内約 300 棟のビルの屋根を借り、ソーラーパネルを置く。 生み出した電気は他社や家庭へは売らず、アップルの店舗や研究拠点で使うという。 パネルを設置する時期や地域は今後詰める。

米アップルの最高幹部が、日本メディアの取材に対して明らかにした。 アップル日本法人によると、アップルは「電気を消費する製品を生産するメーカーとしての責任」として、米国などで太陽光発電に参入し、再生可能エネルギーを自社に供給している。 ただ日本ではこれまで、火力発電など化石燃料由来の電気を主に使っていた。 しかし、日本でも「再エネ 100% を達成させる」として、自社での発電に踏み切る。 ビルの所有者にも、パネルの設置により賃料が入る利点がある。 (上地兼太郎、asahi = 9-22-17)


EV モーター省エネ競う 電力損失 4 割減/高速でも高効率

電気自動車 (EV) の心臓部である駆動用モーターの省エネに向けた開発が進んでいる。 大阪府立大学とダイキン工業はモーターを回す動力を生む磁性材料などを工夫、電力損失を最大 4 割削減できるメドが付いた。 金沢工業大学と三菱電機は走行速度が変わっても効率よく回転する新型モーターを考案した。 EV の普及へ国内外で開発競争が激しくなっており、エアコンや産業用モーターの実績を生かして実用化を目指す。

大阪府立大の森本茂雄教授と井上征則准教授、ダイキン工業は共同で、EV とハイブリッド車 (HV) 向けの高効率モーターを開発した。 モーターの駆動に使う永久磁石を 2 層にするなど配置を工夫。 新しい磁性材料も組み合わせて、駆動力を生む磁場と電流がうまく働くようにする。 直径約 30 センチのモーターを試作して自動車の燃費などを調べる試験走行のパターンで評価した。

モーターの鉄心などに使う電磁鋼板や永久磁石に新しい材料を活用すれば、国内大手自動車メーカーが販売する HV 用駆動モーターに比べて電力損失を最大 4 割削減できるメドが付いた。 今後は長期間にわたる耐久性などを評価して実用化を進める。 大阪府立大などの研究成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) によるプロジェクト「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」で進めた。 プロジェクトにはトヨタ自動車やデンソーなども参加している。

金沢工大の深見正教授と小山正人教授、三菱電機の共同チームは 2 つの駆動原理を組み合わせた新型のモーターを開発した。 モーターは主に電磁石で動くタイプと永久磁石を使うタイプがある。 新型モーターは 2 つのタイプを組み合わせた。 街中を走る低速走行と有料道路などを走る高速走行では、モーターに求められる回転速度とトルク(回転力)が違うためだ。 低速時には大きなトルクが必要だが、高速時には回転速度が要求され、効率の低下につながる。 2 つのタイプのモーターを組み合わせることで問題を解決した。 直径 20 センチのモーターを試作して性能を調べたところ、効率が高まる可能性を確認できた。 2025 年ごろの実用化を目指す。

EV を巡っては、中国政府が 18 年にも自動車メーカーに一定以上の生産を義務付ける方針だ。 英国とフランスもガソリン車の新規販売を将来禁止する意向を打ち出した。 EV は動力源の効率が高く、温暖化ガスの排出も少ない。 走行距離の問題からリチウムイオン電池に注目が集まるが、駆動モーターの開発も主戦場になりそう。 EV は車体の部品点数がガソリン車の 2 分の 1 から 10 分の 1 と減り、車の性能を左右する部品の種類が絞り込まれるからだ。

モーターの開発で日本はエアコンや家電、工場向けなどで実績がある。 EV への参入を狙い、自動車以外の他業種による研究開発も進むとみられる。 世界最大の EV 市場を持つ中国では様々なアイデアのモーターが次々と発表されている。 ある日本の研究者は「とんでもないモーターが登場しそうだ」と危機感を抱く。 高効率モーターが開発されれば EV の性能が飛躍的に向上するだけに開発競争は激しい。 (nikkei = 9-18-17)


黄砂や PM2.5 観測 JAXA、衛星「しきさい」公開

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 14 日、今年度に打ち上げ予定の気候変動観測衛星「しきさい」を公開した。 黄砂や PM2.5 など、大気中に浮遊する粒子状物質(エーロゾル)を観測する。 黄砂予測や、地球温暖化予測モデルの精度向上などにつながるという。 JAXA 筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で公開された衛星は高さ 4.7 メートル、幅、厚み約 2.6 メートルの長方形。 H2A ロケットで北極と南極を結ぶ極軌道に投入後、約 5 年間運用される。 JAXA が進める地球環境の変動を観測する衛星の一つで、海水温など水循環の変動を観測するため 5 年前に打ち上げられた「しずく」に続く 2 機目になる。

「しきさい」は可視光から近赤外線まで 19 チャンネルの波長で、地上で 250 メートルのものまで識別できる観測装置を搭載している。 これでこれまで陸域では難しかった黄砂の観測ができる。 杢野(もくの)正明プロジェクトマネジャーは「気象庁にもデータを提供して、黄砂予測に役立ててもらう予定」と言う。

また、地球温暖化予測モデルにはまだ誤差が大きいことから、「しきさい」の観測でその誤差の縮小が期待できるという。 気候変動を研究している東京大学大気海洋研究所の鈴木健太郎准教授(大気物理学)は「エーロゾルは雲のもとになって地球の冷却効果を担っていると考えられる。 これが二酸化炭素の増加による地球温暖化にどの程度の相殺効果を与えているのかを知る上で、陸域のエーロゾルも観測できる『しきさい』に期待したい」と話している。 (三嶋伸一、asahi = 9-14-17)


VW、2030 年までに全車種 EV か HV に CEO 表明

独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) のミュラー最高経営責任者 (CEO) は 11 日、フランクフルトで記者会見し、2030 年までにグループ全体で約 300 ある全車種で電気自動車 (EV) かハイブリッド車 (HV) を用意すると発表した。 実現のために、工場改修や充電設備の設置などに 30 年までに 200 億ユーロ(約 2 兆 6 千億円)を投資する計画も打ち出した。

ミュラー氏は、25 年までにアウディやポルシェなどグループ全体で EV を 50 車種、家庭でも充電できるプラグインハイブリッド車を 30 車種、投入する方針を表明。 25 年までに EV を 30 車種以上投入するとしていた従来の計画より上積みした。 その後も順次増やし、遅くとも 30 年までには全車種に EV か HV を設ける。ミュラー氏は「(自動車)業界の変革をリードする」と強調した。

この計画に向け、EV などに必要な蓄電池を 25 年までに 500 億ユーロ規模で調達する方針も明らかにした。 VW は 16 年のグループ世界販売台数が 1,031 万台で初の世界首位に立った。 15 年の排ガス不正問題を受けてディーゼル車から EV に軸足を移していたが、電動化にさらにかじを切ったことで部品メーカーなども対応を迫られそうだ。 (フランクフルト = 寺西和男、asahi = 9-12-17)

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英国、2040 年からガソリン車とディーゼル車を販売禁止へ = 現地紙

[ロンドン] 英政府は、2040 年からガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を 26 日に発表する見通し。大気汚染対策の一環で、電気自動車 (EV) への完全移行を目指す。 現地有力紙などが報じた。 フランス政府も先に、40 年までにガソリン車とディーゼル車の販売終了を目指す方針を発表している。 英紙タイムズによると、英政府はモーターとガソリンあるいはディーゼルエンジンを組み合わせたハイブリッド車 (HV) の販売も 40 年までに終了する方針。 デイリー・メール紙は、20 年からは、最も大気汚染が深刻な道路で大気質の改善が見られない場合、地方自治体がディーゼル車に課税することが可能になると伝えた。 (Reuters = 7-26-17)

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仏、2040 年までにガソリン車とディーゼル車の販売停止目指す

[パリ] フランスのユロ環境連帯移行相は 6 日、2040 年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を停止するとの目標を発表した。 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」順守のために提案した、一連の施策の一環。 また、50 年までには、温室効果ガスの排出量を排出権取引や他の削減活動で完全に相殺する「カーボン・ニュートラル」を達成するとした。

同相の提案には、六つのテーマにわたる 23 の施策が盛り込まれたが、大半は具体性を欠いている。 同相は、ガソリン・ディーゼル車販売停止などは難しい課題で、達成には「革命」が必要だと認めつつ、実現は可能で、仏メーカーも責務を負うとした。 トランプ米大統領はパリ協定離脱を表明したが、マクロン仏大統領は同協定を推進することに力を注いでいる。 (Reuters = 7-7-17)


中国、暖冬で PM2.5 など大気汚染の発生リスク高まる可能性

中国の環境保護省は、地球温暖化の影響で今年の秋と冬の気候が例年よりも温暖で多湿となることから、スモッグの発生リスクが高まる可能性があるとの見通しを示した。 3 日にウェブサイトで警告した。 同省は先月、大気汚染対策の目標達成に向け、今年 10 月から来年 3 月にかけて、国内 28 都市で大気汚染物質「PM2.5」の平均濃度を前年比で 15% 以上減らす方針を示していた。

同省は 3 日、警報システムの改善に取り組むほか、排出量削減に向けた緊急措置の導入を加速させる方針も表明。 予報期間も現在の 7 日間から 10 日間に拡大する方針とした。 「深刻な汚染が国民の心臓や肺に到達することが懸念されている。 環境保護省はこの問題を最優先課題として全力で取り組む。」としている。 (Reuters = 9-4-17)


地球温暖化で起こる異常気象 360 度動画で "体験"

9 月 17 日、神奈川・川崎にあるショッピングパーク「ラゾーナ川崎」にて、エネルギーや環境問題について考える体験型教育イベントで、360 度動画を使った展示が行われます。 「まなぼう! あそぼう! COOL CHOICE ひろば in ラゾーナ川崎プラザ」は、川崎市、東芝未来科学館、三井不動産株式会社が実施します。 本イベントは、官民連携を行い環境に配慮した消費生活のあり方を考えるイベントを実施することで、スマートライフの実践を提唱することを目的としています。

「まなぼう! あそぼう! COOL CHOICE ひろば in ラゾーナ川崎プラザ」では、紫外線を利用したアクセサリー作りや、手回し発電で LED 電球を点灯させたりといった、地球温暖化対策を進める国民運動「COOL CHOICE」の取り組みを知りながら体験できるイベントとなっています。 「COOL CHOICE VR 体駿」では、地球温暖化が進むことで引き起こされると言われている異常気象を 360 度動画で体験できます。 対象年齢は 13 歳以上となっており、体験時間は 5 分から 10 分です。 (MoguraVR = 8-23-17)


水銀汚染のない世界へ 水俣条約を発効

国際的な水銀規制のルールを定めた「水俣条約」が 16 日、発効した。 水銀による環境汚染や健康被害を防ぐため、採掘や使用に加え、輸出入なども含めた包括的な管理に取り組む。 条約には、▽ 新規の水銀鉱山の開発禁止、▽ 一定量以上の水銀を使った蛍光灯や体温計などの製造・輸出入の禁止、▽ 水銀廃棄物の適正管理 - - などが盛り込まれた。 2013 年に熊本県で開かれた国際会議で採択、今年 5 月に締約国が 50 を超え、発効が決まった。 今月 8 日時点で日本や米国、中国や欧州連合 (EU)、アフリカ諸国など 74 の国と地域が締結している。

条約名には、メチル水銀によって深刻な神経障害を引き起こした水俣病のような健康被害を二度と繰り返してはならないという決意が込められている。 日本の水銀使用量は 1960 年代のピーク時で年 2,500 トンだったが、この数年は年 10 トン未満。 一方、南米やアフリカなどの途上国を中心に世界では 2005 年に約 3,800 トンが使われた。 小規模な金採掘現場では、金を取り出すために水銀が今も使われ、労働者や地域の人たちの健康被害が心配されている。

9 月 24 - 29 日には、スイス・ジュネーブで第 1 回締約国会議 (COP1) が開かれ、途上国への資金提供の仕組みなどが議論されるほか、熊本県の高校生や水俣病患者の支援団体が参加し、世界に向けたメッセージを発信する。 (戸田政考、asahi = 8-16-17)


クールビズ 28 度は室温? エアコン設定? 4 割近く誤解

室温 28 度でも快適に過ごせるように軽装を促す「クールビズ」。 この「28 度」をエアコンの設定温度ではなく、室温だと正しく理解していたのは 4 - 5 人に 1 人にとどまることが、三菱電機ビルテクノサービス(東京)が実施したネット調査で明らかになった。 6 月下旬 - 7 月中旬に、オフィスに勤務する 20 - 70 代の男女計 1 千人にウェブアンケートで聞いた。

クールビズについて、衣服を軽装にして「室内温度を 28 度になるように調整すること」と正しく答えられた人は 23.8% にとどまり、「エアコンの設定温度を 28 度にすること」と誤解していたのが 4 割近くいた。 他にも、「エアコンの設定温度を 25 - 28 度の間で設定すること (25.4%)」、「エアコンの設定温度を変更しないようにすること (6.9%)」とした人もいた。 夏場に室温を 28 度に保つには、エアコンの設定温度をさげないといけないが、実際のエアコンの設定温度は、26 度が全体の 24.8% で最も多かった。 勤務するオフィスの冷房に対しては、男性は 39.8% が「ちょうど良い」と最も多かったが、女性は「寒い」が 41% で最多だった。 (戸田政考、asahi = 8-8-17)

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環境相「クールビズ、室温 28 度には根拠ある」

山本公一環境相は 12 日の閣議後の記者会見で、地球温暖化防止のため職場で軽装を促す「クールビズ」の設定温度について「(室温) 28 度には根拠がある」と述べた。 11 日に首相官邸で開かれた副大臣会議では、導入時に環境省の担当課長だった盛山正仁法務副大臣が「何となく 28 度という目安でスタートした」と発言したが否定した形だ。

この会議では関芳弘・環境副大臣が盛山法務副大臣の前に「(28 度は)実はかなり不快だ。 無理があるのではないか。 科学的知見を加えるよう検討する。」と発言をしたとされる。 山本環境相は 12 日、「(関環境副大臣は)そうした発言をしていない」と否定。 「室温 28 度」を疑問視するやり取りについては「国民運動として進めているのだから、ああいう会合に出ている方はぜひ意識してほしい」とくぎを刺した。

山本環境相は設定温度について、クールビズを始めた当時のオフィスの室温が平均 26 度で、ネクタイの有無で体感温度が 2 度変わるとの研究結果を基にしていると説明。 労働安全衛生法などに努力義務として明記してあるとも語った。 山本環境相は「クールビズを進めることで省エネにつなげるのが大目的だ」と強調。 同法の事務所衛生基準規則では「空調の設定温度」ではなく「室温」としており、「室温を 28 度にしてほしい」と訴えた。 (nikkei = 5-12-17)

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クールビズの冷房 28 度、当時の環境省課長「なんとなく決めた」 科学的根拠なし

今年も 5 月から始まったクールビズ。 環境省は「冷房時の室温 28 度」を推奨しているが、導入当時に担当課長として関わっていた盛山正仁法務副大臣が 5 月 11 日、この温度設定に科学的根拠がないことを明らかにした。 テレ朝ニュースなどが報じた。

首相官邸で開かれた副大臣会議で、盛山氏はクールビズについて「科学的知見をもって 28 度に決めたのではない。 何となく 28 度という目安でスタートし、それが独り歩きしたのが正直なところだ。 働きやすさの観点から検討しては。」と見直しを提案。 これを受けてある副大臣が、「28 度は無理があるのではないか。 実はかなり不快な温度。 科学的に検討を加える。」と述べた。

毎日新聞によると、萩生田光一官房副長官も「(28 度では)人によっては汗をかいて洗濯物が増える。 もう少し緩やかな、根拠のあるものに変えていこう。」と語った。 また菅義偉官房長も 11 日の記者会見で、「環境省が丁寧に検討を進めていくことになる。 室温は、28 度をメドにするという決まりになっているので、みなさんの過ごしやすい温度でいいのかなと思う。」と述べた。

労働安全衛生法などを基に「28 度」に

クールビズは 2005 年夏、地球温暖化対策のため始まった。 毎年 5 月 1 日から 9 月 30 日まで、上着やネクタイを着用しないなど軽装で過ごすことで、官公庁やオフィスで冷房を節約しようと、冷房時の室温を 28 度にするよう促している。

クールビズの公式サイトによると、環境省は、室内の温度を 17 度以上 28 度以下と定めた「建築物環境衛生管理基準」と労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」を基に、『冷房時の室温 28 度』を決めた。 「各家庭やオフィスなどで、夏の冷房の設定温度を 26.2 度から 28 度に 1.8 度上げると想定すると、大きな削減効果が期待できます」と謳っている。 クールビズは、当時環境大臣だった小池百合子東京都知事が取り組んだことでも知られている。

ハフポスト日本版は 5 月 11 日、環境省に話を聞いた。 地球温暖化対策課の担当者は、温度設定に科学的知見があったどうかについて、「労働安全衛生法の事業所衛生規則で定められている事業所の室温の上限が 28 度だったので、目安として設定した。 クールビズの導入時に環境省として科学的知見があったのかは定かではない」と説明。 設定温度の見直しの可能性は、「現時点で検討はしていない」と否定した。

その上で、「28 度はあくまでも目安。 温度だけではなく、無理のなく快適に過ごせる範囲で冷房の過度な使用を控えもらい、省エネにつなげたいと考えている。」と述べた。 (M田理央、Huffpost = 5-12-17)


中部電・石炭火力に再び「待った」 環境相、温暖化巡り

中部電力が愛知県武豊町で計画している石炭火力発電所(107 万キロワット)の環境影響評価(アセスメント)手続きで、山本公一環境相は 1 日、「事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案すること」を求める意見書を世耕弘成経済産業相に出した。 同計画には 2 年前にも地球温暖化対策の観点から「現段階では是認できない」との意見が出ており、初めて 2 回続けて「待った」をかけた。

この計画では、老朽化していた石油火力発電施設を廃止し、燃料が安い石炭火力に置き換える。 ただ、石炭火力は最新鋭でも石油火力より温暖化の原因となる二酸化炭素 (CO2) の排出が 2 割程度多い。 通常は稼働率も高く、現在よりも多くの CO2 を出すのは確実とみられる。 山本環境相は意見書で、世界各国が協力して取り組む温暖化対策の枠組み「パリ協定」を達成することの重要性を強調。 大量の CO2 を排出する石炭火力の事業リスクは極めて高いと指摘した。 (小坪遊、戸田政考、asahi = 8-1-17)


プラグ抜く、風量は「弱」 省エネのつもりが逆効果かも

連日の猛暑で、冷房が大活躍する季節です。 電気代を節約するため、「省エネ」を心がけている人も多いのではないでしょうか。 でも、省エネのつもりが実は効果が乏しかったり、逆効果だったりする誤解も多いようです。

いきなりクイズです。 「すべての電化製品には待機電力がかかるため、プラグを抜いたほうが省エネになる。」 この答えは … 「x」。

一般に広く知られる省エネの方法のようにも感じますが、そもそも洗濯機やドライヤーは、ほとんど待機電力を消費しません。 最近では、電子レンジなども待機電力があまりかからない製品が増えています。 テレビの予約録画など、電源を入れていない時の機能を想定した家庭用電化製品(家電)もあります。 また、エアコンは待機時に内部の冷媒を循環させており、プラグを抜いた状態から急に使うと故障する恐れがあります。 そのため、頻繁に使う夏場や冬は抜くべきではありません。 「とにかくプラグを抜けばいい」というものではなく、機器ごとの特徴を正しく把握することが大切です。

このクイズは、熱機器メーカーのリンナイ(名古屋市)が 4 月にインターネット上で行った「省エネ理解度テスト」の 1 問です。回答があった 20 - 40 代の男女 987 人のうち、12 問中 8 題以上正答した「優等生」は 19% にとどまりました。 「日頃から省エネを意識している」と答えた人でも、そうでない人と正答率はほとんど変わらなかったようです。

ほかに「エアコンの風量は弱く設定するほど省エネになる」というのも正しくありません。 設定温度に達するまで時間がかかって余計に電力を消費するためで、「自動」に設定するのが最も省エネになりやすいそうです。 こうした問題は、節約や節電方法などで多くの著書がある消費生活アドバイザーの和田由貴さんが作りました。 和田さんは「まるっきり無知ではありませんが、正しい情報はよく知らないという人が多かった」と分析します。

なぜ「誤解」が生まれるのでしょうか。 家電の性能が進化し、これまでの「常識」が変わってきた面もありますが、インターネット上などであふれている情報にも注意が必要です。 和田さんは以前、「エアコンをつけたり消したりするより、24 時間つけっぱなしにしていた方が電気代が安くなった」という投稿が SNS 上で拡散されているのを見つけました。 それを読んだ友人が試したところ、逆に電気代が大きく上がってしまったと言います。

和田さんは「その人の使い方、部屋の日当たりなどの環境、機器の種類など条件次第で変わるので、安易に飛びつくべきではありません」と呼びかけています。 資源エネルギー庁によると、冷蔵庫、照明、テレビ、エアコンで家庭の消費電力量の 4 割ほどを占めています。 この4点を中心に、効果が大きく見込めるものから正しい省エネ取り組むことを和田さんはすすめています。 「まずは、こうした製品の買い替えを検討したり、取り扱い説明書で省エネに関する記載を確認するなど、正しい使用方法を意識したりすることから始めてみましょう。」

買い替え、一番の近道に

電気をこまめに消す、水を出しっぱなしにしない - -。 こうした意識も大切ですが、古い家電はいっそのこと買い替えてしまうのが省エネへの一番の近道になる、と環境省はアピールしています。 家電の省エネ性能は年々進化しています。 例えば、家庭で最も多く電力を消費するとされる冷蔵庫。 環境省によると、容量が 550 - 599 リットルで 10 年前と現在のモデルの製品を比較した場合、一般的に消費電力量は半分ほどになっています。 環境省の担当者は「年間の電気代は 1 万円ほど安くなり、買い替え費用を踏まえてもお得になる場合もあります」と、その効果を説明します。

家電売り場に行くと、冷蔵庫やエアコン、テレビ、照明などの製品には省エネ性能の高さを示す「統一省エネルギーラベル」がついており、性能を選ぶ際の参考になります。 環境省が提供しているスマートフォン向けのアプリ「COOL CHOICE」には、このラベルにカメラをかざすことで 10 年前の製品との省エネ性能の差が表示される機能もついています。 担当者は「家電の上手な選択は、家計の節約にも地球温暖化対策にもつながります。 こうしたツールを使って買い替えも検討してみてほしい。」と話しています。 (佐藤啓介、asahi = 7-29-17)

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「プラグを抜くと省エネ」は間違い!? 意外と知らない省エネのマメ知識

6 月の環境月間を機に、リンナイは「『省エネ』に関する意識調査」を実施した。 また、この調査の実施に合わせて、「省エネ理解度テスト」を作成し、公開している。 12 問中 8 問以上正解で、「省エネ優等生」という判定となるが、皆さんは優等生になれるだろうか? 筆者は、省エネ住宅に関する取材経験もあるので、ちょっと自信がある。 そこでさっそく「省エネ理解度テスト」をやってみたところ、12 問中 10 問正解。 全問正解できなかったのが残念だが、「省エネ優等生」となった。

さて、皆さんも早速リンナイの「省エネ理解度テスト」に挑戦してみよう! リンナイによると、12 点満点で平均点は 6.1 点、8 点以上の「省エネ優等生」に該当するのは 19% しかいなかったのだとか。 意外に正解するのが難しいということだ。 ちなみに、SUUMO ジャーナル編集部の部員 3 名にもやってもらったところ、2 名は 8 問正解、1 名は 5 問正解となかなかの成績だった。 では、気になる正答をお知らせしよう。

(10) 待機電力と、(11) LED 電球は、筆者と編集部が全員間違えた問題だ。 (10) では、「家電は待機電力がかかる」ということは分かっていたが、最新の家電製品では、待機電力がかからないものも増えているようだ。 「すべての電化製品」と問われているところがミソだったのだ。 (11) も「LED 電球に換えると電気代が抑えられる」、「長持ちする」という常識はあるものの、「約半分」ではなく「1/6 - 1/8 程度」まで下がるというのがミソ。

(1) と (8) は、編集部員で不正解が多かった設問。 (1) のエアコンの風量は、エアコンをつけた直後は、風量が強い方が早く設定温度まで下がるため、風量を弱くしたからといって省エネになるとは限らない。 リンナイの解説では「自動に設定しておくのが省エネになる」としている。 (8) の消費電力は「夏の日中が最多」という「日中」が実はミソだった。 日中は家族が家にいないので、むしろ「夕方から夜」に家庭では消費電力のピークが来る。 筆者は正解したのだが、「冬のほうが消費電力は多いのでは?」と思って x にしたので、実際には理解不足だったわけだ。

(5) と (6) で、ひっかかった編集部員も複数いた。 (5) のパソコンは起動時に大量の電力を消費するが、(6) の照明は点灯時にそれほど多く電力を消費しない。 しかも、照明の場合は数が多いので、こまめに消灯したほうが効果は大きいのだ。 リンナイの解説を見ると、こうした理由がよく分かって省エネの参考になるので、ぜひ見てほしい。

さて、今回の調査結果を見ると、省エネへの意識は高く (67.5%)、「水を流しっぱなしにしない (75.1%)」、「使っていない部屋の照明はこまめに消す (69.5%)」、「冷蔵庫のドアはなるべくすぐ閉める (64.0%)」といった省エネ行動を取っている人が多いことが分かる。 一方で、非省エネと分かっていても、「暖房冷房をつけたままで寝る (33.5%)」といった行動も取ってしまっている。 過ごしやすい温度の中で、思わず寝落ちする人もいるかもしれない。 でも、省エネ行動をしている異性に「好感が持てる」人は 70.5% もいるので、ぜひ省エネ行動を実践してほしい。 (SUUMO ジャーナル = 6-15-17)


アラスカの陸の氷河、30 年で半分に 温暖化で後退進む

米アラスカ州南部のバルディーズで、陸の氷河が地球温暖化で後退しつつある。 地球全体で海面上昇し、沿岸の海岸浸食や高潮被害を大きくしたり、生態系へ影響を及ぼしたりするおそれが懸念されている。 アラスカ湾の奥、バルディーズ港に面したコロンビア氷河。 標高約 3 千メートルの山岳地帯から始まり、最後が海で終わる「潮間氷河」の一つ。 1980 年以前は全体で約 66 キロあったが、米航空宇宙局 (NASA) の観測では、過去 30 年で海側の端が 20 キロ以上北へ後退していると判明、量も約半分になったという。 (バルディーズ = 小坪遊、asahi = 7-26-17)

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過去最大級の氷山、南極から分離 三重県とほぼ同じ面積

南極から過去最大級の氷山が分離し漂流を始めたと、地球温暖化の影響を調べている英国の研究プロジェクト「MIDAS」のチームが 12 日、発表した。 分離した氷山は 1 兆トン以上で、面積は三重県とほぼ同じ約 5,800 平方キロ。 分離する前から海上にあったため、チームは「すぐに海面の上昇に影響を与えるわけではない」とみている。

チームによると、氷山は元々、大陸を覆う氷床が海に押し出されてできた棚氷「ラーセン C」の一部。氷の厚さは 200 - 600 メートルで、これまでに 200 キロ以上の亀裂が観測されていた。 今月 10 - 12 日の間に完全に分離した。 ラーセン C の面積の 12% 以上が失われたという。 世界各国でつくる「南極研究科学委員会」の研究チームは「将来、氷山の分離はより頻繁に起きるだろう。 生態系への影響調査が欠かせない。」との声明を出した。 (杉本崇、asahi = 7-13-17)

前 報 (1-6-17)


短時間強雨の発生数、3 割増 76 年からの 10 年と比較

1 時間に 50 ミリ以上の雨が降る「短時間強雨」の年間発生回数について、1976 年からの 10 年と直近 10 年の気象庁の観測結果を比べたところ、全国平均で約 34% 増えていることが分かった。 九州北部豪雨は甚大な被害を招いたが、豪雨や土砂による災害は今後も増える可能性がある。 毎時 50 ミリ以上の雨は「滝のような雨」とされ、土砂災害の危険が高まり、地域によっては避難準備が必要とされる目安。 都市部の排水機能の多くはこの雨量を基準に設計され、50 ミリを超えると地下街などに雨水が流れ込む恐れが出てくる。

気象庁の地域気象観測システム「アメダス(1 千地点あたりに換算)」のデータによると、毎時 50 ミリ以上の雨の年間発生回数は、観測が始まった 76 年から 85 年の 10 年は計 1,738 回だったが、2007 年から 16 年の 10 年は計 2,321 回で、1.34 倍に増えていた。

また、気象庁は今後の見通しについて、20 世紀末と今世紀末を比較し、分析。 気温が上がれば大気中の水蒸気量が増えるため、大雨は増加するとされるが、同庁は、地球温暖化の要因とされる「温室効果ガス」の排出が今後も最悪のケースで続くと想定した場合、日本の年平均気温は 4.5 度上昇し、短時間強雨の年間発生回数が 2 倍以上になると予測した。 東日本の太平洋側で気温が 4.3 度上昇するため、現在の年平均気温が 15.4 度の東京は鹿児島県の屋久島(19.4 度)と同程度になるという。

首都大学東京の藤部文昭特任教授(気候学)は 1979 年から 2013 年のアメダスのデータを分析。 平均気温が 1 度上がると短時間強雨は 4 - 13% 程度、平均海面水温が 1 度上がると 7 - 19% 程度増えていたという。 「地球温暖化が進めば激しい雨が増えるという傾向に矛盾はない。 今後も短時間強雨はさらに増える可能性がある」と話している。 (山本孝興、asahi = 7-24-17)