技能実習生向けに日本語能力試験およびビジネス日本語
e-ラーニングのコンテンツすべてが利用できる月額制 LMS サービスを開始

アテイン株式会社

日本語能力試験学習サイト「Attain Online Japanese」の運営、e-ラーニング制作を手掛けるアテイン株式会社(本社 : 東京都千代田区、電話 : 03-3255-4721、代表本多成人、資本金 1 億 1,470 万円)は、技能実習生の日本語習得を支援する e-ラーニング教材「オンライン日本語 日本語能力試験学習コース」の提供を 2017 年 10 月 20 日(金)から開始します。 月額 980 円(税別)。

日本語能力試験対応の学習教材制作に力を注いできたアテインは、技能実習生の日本語習得を支援するために、日本語学習サイト『Attain Online Japanese』上において「オンライン日本語 日本語能力試験学習コース」を提供いたします。 受講者は、日本語能力試験 (JLPT) の全てのレベル (N1 - N5) に合わせた全てのオンライン講座を、月額わずか 980 円(税別)で何度でも視聴可能です。 高速ブロードバンド回線によるオンデマンド配信なので、時間や場所に拘束されません。 どなたでも簡単に操作することができ、学習者は目的に合った講座を探し出してすぐに学習を始めることができます。 (Cnet = 10-2-17)

- 「Attain Online Japanese」について -

アテインが運営する「Attain Online Japanese」は、日本語学習者のための e-ラーニングサイトです。 お蔭様で世界中の日本語学習者の方々にご愛顧頂いております。

<ご利用料金> 初期費用 10 万円、月額 980 円/1 人 * 「Attain Online Japanese」上の全てのコンテンツを利用することができます。

- 「オンライン日本語 日本語能力試験学習コース」について -

「オンライン日本語 日本語能力試験学習コース」は、弊社オリジナルの日本語学習教材です。 世界中で受験されている日本語能力試験の各レベルに合わせて制作いたしました。 日本語を勉強したい外国人の皆様を対象に、日本語学習の初心者から上級学習者までご利用いただけます。 日本語の「話す・聞く・読む・書く」を学習することができます。 現在、入門編・漢字編・N5・N4・N3・N2 を公開しております。 * N1 コースは現在制作中です。

<著者紹介> 王安h、大連外国語大学・国士舘大学学士号取得、早稲田大学修士号取得、中国英語専門 TEM-8 資格取得


販売職で初となる外国人技能実習生の在留資格認定!

プリモ・ジャパン株式会社

日本及びアジアでブライダルジュエリー専門店を展開するプリモ・ジャパン株式会社(本社 : 東京都中央区、代表取締役社長 : 澤野直樹)では、2017 年 10 月 1 日より、当社台湾子会社に所属する女性社員 1 名を、「外国人技能実習制度」の枠組みにおいて当社に受け入れ、1 年間の実習計画に基づき育成することになりました。 販売・サービス職において、同制度のもと在留資格が認定された前例は無く、事実上、初めての試みであります。

◆ 当社独自の実習計画により、従来の制度対象外であった販売・サービス職において在留資格認定へ

「外国人技能実習制度」の適用範囲について、同制度の総合支援機関である公益財団法人国際研修協力機構では、農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、その他(主に製造業関連)の 75 職種を対象としています。 ここに販売・サービス職は含まれておりませんが、当社では同制度の趣旨である「技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼」との考え方に共感し、「マネジメント能力」、「品質管理」、「顧客志向/サービススキル」の 3 つの方針で独自の実習計画を策定。

東京入国管理局により、同制度に資するとの判断である「技能実習 1 号イ(企業単独型、来日後 1 年間有効)」の在留資格が、当該社員に対し 9 月 8 日付で認定されました。

◆ グローバル規模での事業拡大に不可欠な高度人財を育成

当社では現在、ブライダルジュエリー専門店を、日本・台湾・香港・中国本土で計 102 店舗運営し、海外売上比率は 20% を超えております。 当社が販売するセレクトオーダー式のブライダルジュエリーは、一生身につけていただくことを前提に、高い商品品質はもちろん、対話の中でお客様のご要望を丁寧に伺うなど、きめ細やかな接客技能が求められます。 当社が今後、アジア各地で事業の更なる拡大を進めるためには、「グローバル視点でのマネジメント能力」を有し、かつ海外で高く支持される「日本基準の商品管理及び接客技術」を体現できる人財を、長期視点に立ち育成することが必要不可欠です。

当社では今回の認定を機に、今後も継続的に同制度のもとでグローバルに活躍する社員の育成を進めるとともに、微力ながら当社進出地域における小売業の発展に寄与したいと考えております。 (@press = 9-20-17)


【法廷から】 「あなたの人相が恥ずかしい」 裕福な生活夢見て来日した中国人夫婦の亀裂と悲しき末路

東京都品川区の京浜運河で昨年 6 月 27 日、スーツケースの中から中国籍の女性遺体が見つかった事件の裁判員裁判が、8 月 28 日から 9 月 11 日にかけて東京地裁で開かれた。 女性の夫で殺人罪などに問われた中国籍の男が法廷で明かしたのは、ともに裕福な生活を夢見て来日した過去と、カネを巡る口論に端を発した夫婦の悲しい末路だった。 2 人は互いに何を思っていたのか。

収入欲しさで実習先から脱出

「貧乏な生活から抜け出したかった」、「中国で家を買って、吉林省の親や子供にいい生活をさせてあげたかった」。 周世超被告 (38) は法廷で、日本で働く意味を繰り返し中国語で語った。 検察側の冒頭陳述や被告人質問によると、妻の楊梅さん = 当時 (34) = は平成 25 年 9 月に、周被告は 26 年 12 月にそれぞれ技能実習生として来日。 周被告は吉林省で農業をしていたが収入に不満で、夫婦で「500 万 - 600 万円ためる」ことを目標に来日した。

その後、周被告は各地で問題となっているように、研修先の鳥取県の農場から数カ月で逃げ出し、その後飲食店での勤務を転々とする。 「実習生時代に手元に入るのは月 8 万円程度。 少なくて日本に来た意味がないと思った。」 法廷でも不満を語った。

カネを求める妻、仕事に没頭する夫

楊さんも別の場所で働いていたため別居していたが、周被告が鳥取を出た後は同居を開始。 28 年 6 月からは殺害現場となった東京・西日暮里のマンションに暮らす。 ところが同居後は、楊さんの態度が「別人のようになった」と周被告は主張する。 「(周被告の)人相が悪いのが恥ずかしい」、「生きている間に遊んでお金を使わないと」。 容姿でののしられることもあれば、2 人の夢をあっさり裏切る発言もあったという。 稼ぎを得て気持ちが変わったのか、理由は分からない。 2 人の会話はなくなった。 しかし周被告は「稼ぎのため」に我慢する。 このころは青果市場で、早朝から遅くまで休みなく働いていた。

まもなく事件は起こる。 「15 万円ほしい。」 6 月 21 日、楊さんが周被告に金を求めた。 周被告が口座から引き出した現金を渡したが、22 日には「15 万円じゃ足りない」と怒り、「ダイヤの指輪を買う。 足りない。」と求めたという。 貯金という 2 人の目標は「もうなくなったようでした」と周被告は振り返る。 そのまま口論になり、周被告が掛け布団を楊さんにかぶせた上、口の辺りを手で圧迫。 しばらく力を込めた後、楊さんが動かなくなっていることに気付いた。 その後、スーツケースに楊さんの遺体を詰め、京浜運河に投棄したのだった。

殺意認めず、傷害致死罪適用

公判で検察側は「遺体の状況から首を強く圧迫し窒息死させている」と殺意を強調する一方、弁護側は「大声で罵倒しながら平手打ちしてきた被害者の口を布団で押さえただけ」として、殺意を否定していた。 また検察側と弁護側がそれぞれ別の医師を証人に請求し、検察側証人は「首を圧迫されたことによる窒息死の可能性が高い」、弁護側証人は「窒息死のほか不整脈で死亡した可能性も否定できず、死因は不詳」と、異なる見解を述べていた。

島田一裁判長は、「死体は腐敗が進んでいることから医師の解釈に差があると考えられる」として死因は不詳と認定。 「布団の上から首を圧迫していると明確に認識していたと認めるには疑問が残る」として、殺人罪は成立せず傷害致死罪にとどまるとして懲役 10 年を言い渡した。

直視できないもの

被告人質問で楊さんについて聞かれると、ときどき声を荒らげながら、「性格が悪くなった」、「言葉を発するとすぐに手が伸びてきてたたかれた」と非難を繰り返した上、「不倫相手がいたようだ」とも漏らした周被告。 事件当日は楊さんの口を押さえながら、「これからは互いに干渉せず生活しよう」と語ったという。 以前描いた幸せな家族像は、いつの間にかかなわぬものになってしまったようだ。

ただ一方で、証拠調べで遺棄に使ったスーツケースが法廷のスクリーンに映し出されると、あからさまに目をそらし、深いため息を繰り返していた。 ごくありふれた形のスーツケース。 妻の最期を思い出したのだろうか。 周被告は判決を聞き終えると、うなだれたまま法廷を去っていった。 (社会部 加藤園子、sankei = 9-13-17)

◇ ◇ ◇

中国籍の夫、殺人を否認 品川運河スーツケース遺体事件

昨年 6 月に東京都品川区の運河でスーツケースに入った女性の遺体が見つかった事件で、殺人や死体遺棄などの罪に問われた中国籍の夫、周世超被告 (38) の裁判員裁判の初公判が 28 日、東京地裁(島田一裁判長)で開かれた。 周被告は殺人罪の成立を否認した。 死体遺棄罪は認めた。 起訴状によると、周被告は昨年 6 月 22 日ごろ、荒川区の自宅で中国籍の妻、楊梅さん(当時 34)の首を圧迫し、窒息させて殺害。 スーツケースに入れて品川区の京浜運河に遺棄したとされる。

周被告は逮捕後の警視庁の調べに「金銭問題でケンカになり布団をかぶせた」と供述。 初公判で弁護側は「首を圧迫したのは遺体をスーツケースに入れる前だった」と主張した。 2 人は 2007 年に中国で結婚。 それぞれ技能実習生として来日後、所在不明になっていた。 (nikkei = 8-28-17)

前 報 (7-16-16)


一体なぜ? 日本で中国人が命を落とす事件多発、大使館は安全意識強化を呼び掛け - 中国メディア

9 月 5 日、日本で中国人が命を落とす事件が相次ぎ発生したことを受け、中国新聞網は「大使館が在日中国人に安全意識の強化を呼び掛けている」とする記事を掲載した。 日本ではこのところ、中国人の失踪や中国人が殺害される事件がたびたび起きている。 7 月は神奈川県秦野市の山林でスーツケースの中から中国人姉妹の遺体が見つかったほか、北海道を旅行で訪れた中国人女性が失踪。 女性は 8 月下旬に遺体で発見された。

また、神奈川県横浜市在住の中国人留学生も 8 月に行方不明となり、その後静岡県富士宮市で遺体が発見。 さらに 8 月下旬は静岡県富士市にある中国人研修生らの寮で中国人女性を殺害したとして同じ寮に住む中国人の男が逮捕され、今月 1 日にも愛知県岡崎市在住の中国人の男が中国人の妻を殺害したとして自ら 110 番通報する事件があった。

記事は「北海道で失踪した旅行者のケースもあるが …」と前置きした上で、留学生や技能実習生にトラブルが起こるリスクが高いことを説明。 「日本に限らず、不慣れな土地でトラブルに直面することは珍しいことではない。 孤独感を和らげたりその国の文化を知るためにも、SNS を利用して華人団体の活動や現地文化を紹介するイベントに参加してみては?」などとアドバイスするとともに、日本にある中国大使館がガイドブックを作成するなどして安全意識の強化、自身の身を守る能力の向上を繰り返し呼び掛けていることを伝えた。 (RecordChina = 9-5-17)

◇ ◇ ◇

富士の中国人女性殺害 容疑で同じ寮の中国人男逮捕

静岡県富士市田子にある中国人研修生らの寮の一室で、この部屋に住む中国籍の女性会社員、孔令華さん (35) が死亡しているのが見つかった事件で、静岡県警富士署は 30 日、殺人の疑いで同じ寮の別棟に住む中国籍の会社員、王塁容疑者 (27) を逮捕した。

逮捕容疑は 21 日午前 6 時 50 分ごろから午後 8 時・10 時ごろまでの間に、孔さんの首を刃物で刺して殺害したとしている。 王容疑者は現場で首や腹部周辺をけがして倒れており、30 日に入院していた病院を退院したことから逮捕した。 2 人は技能実習生として昨年 5 月 22 日に来日、知人同士だったことが分かっており、県警が詳しい経緯を調べている。 王容疑者と孔さんはそれぞれ別の製紙関連の企業に勤めていた。 (sankei = 8-31-17)


帰国者の 96% が高い評価に 技能実習で調査

厚生労働省は、平成 28 年度の帰国技能実習生フォローアップ調査結果を明らかにした。 中国人やベトナム人などの実習後帰国者 1 万 8,040 人(有効回答 3,151 人)を調べたところ、技能実習で学んだことが「役に立った」とする回答が 96% に達している。 帰国後、雇用されているか、雇用が決まっている割合が合計 41%、すでに起業している割合が 14% に。 現在仕事を探している者が 29%。 仕事の内容としては、71% が実習と同じか、実習と同種としている。 (労働新聞 = 9-1-17)


外国人実習生を奴隷のごとく働かせる日本企業、実習生側の「問題」も - 華字紙編集長

8 月 22 日、中国のポータルサイト・今日頭条に、外国人技能実習生を受け入れている日本企業の 7 割が実習生を奴隷のごとく働かせているとする日本新華僑報網・蒋豊(ジアン・フォン)編集長のコラム記事が掲載された。 記事はまず、日本の厚生労働省が先日発表した調査で、外国人技能実習生を受けている企業 5,672 社のうち 70.6% で労働基準法などの法令違反があり、実習生に対する長時間労働や賃金未払いといった悪質なケースも見られることがわかったと紹介した。

その上で「日本政府は外国技能実習制度について、将来祖国に戻って経済発展を促す人材を育てる目的だと宣伝し続けている。 しかし、企業の法令不順守、行政の監督不行き届きなどにより、その制度は今や廉価な労働力に対する長時間就労強要の代名詞となっている。 調査の結果から、日本企業は実習生を廉価な労働力と見なしているばかりか、彼らの合法的な権利を侵害し、奴隷のように扱っている。」と論じている。

一方、実習生が労働基準監督機関に訴え出るケースが少ないことに触れたうえで、「自らの権利を守る意識が弱い」と実習生側の問題点も指摘。 多くの実習生が受けている被害は、本来、回避可能なものであり、この状況が「違法な搾取を行う日本企業のリスクを大きく引き下げている」と伝えた。 記事は「今回の調査結果を日本の各地方行政が事態を重く見るようになること、そして実習生が自分の権利を守る意識を十分に持つようになることを願う」としている。 (RecordChina = 8-23-17)


<仙台銀> 外国人実習生受け入れ仲介 流通産業協組と業務提携

仙台銀行は、外国人技能実習生受け入れ事業に取り組む流通産業協同組合(東京)と業務提携の覚書を結んだ。 同組合が金融機関と業務提携するのは初めて。 同組合は 2002 年 7 月設立。 中国やベトナム、インドネシア、フィリピンなどから 2,000 人を超える実習生を受け入れ、組合加盟企業に派遣している。

覚書に基づき、仙台銀は取引先企業に外国人技能実習制度の仕組みを説明したり、受け入れを考える企業に同組合を紹介したりする。 仙台市青葉区の仙台銀本店で 9 日、調印式があり、同行の佐藤彰常務と同組合の山村洋行代表理事が署名した。 佐藤常務は「制度を知っていても利用方法が分からない企業は少なくない。 海外展開を目指す足掛かりにもしてほしい。」と話した。 (河北新報 = 8-16-17)


日本の交通ルール指南 砺波署 技能実習生向け教室

外国人技能実習生を対象にした砺波署の交通安全教室が 10 日、砺波市栄町の砺波まなび交流館で開かれた。 来日して間もない実習生たちが自転車乗車時のルールなどを学んだ。 市内の受け入れ機関に所属する中国、インドネシア、ミャンマー、カンボジアの若者ら男女 28 人が参加。

交通課署員が自転車の左側通行や「止まれ」の標識について説明した。 市内では、4 日夜にフィリピン出身の男女 4 人が車にはねられ死傷する事故があったばかり。 三人の通訳を介した署員の指導にも熱がこもった。 外出時には部屋に施錠することや、身分を証明する在留カードの携帯など生活安全課の署員による指導もあった。 (山森保、中日新聞 = 8-11-17)


時給 400 円で深夜まで奴隷労働 「メイド・インジャパン」は外国人技能実習生の犠牲の上に成り立っている

外国人技能実習生をめぐる問題は後を絶たない。 岐阜県にある「外國人相談センター」には、年間 100 人ものアジアから来た若者たちが、全国から助けを求めて逃げてくるという。 日本の工場などで技術を学び、母国の経済発展を担う人材を育てる目的で来日している実習生は、現在約 21 万人。 8 月 1 日放送の「ガイアの夜明け(テレビ東京)」が彼らの窮状を伝えると、あまりの待遇のひどさがネットで話題になっていた。

7 時から 24 時までほぼ休みなく、未払い賃金・残業代は 1 人 600 万円

岐阜県大垣市の縫製工場で働く 5 人の中国人女性が訴えたのは、長時間労働と賃金・残業代の未払いだ。 会社が書かせた勤務表には、8 時半から 19 時までとあるが、実際は 7 時から 24 時まで。 日曜日以外ほぼ毎日働き、7 カ月で 1 日しか休みがなかったという。 彼女たちは、

「明け方 4 時に帰ってきて 2 時間しか寝られない時もあった。」
「給料は 3 か月もらっていない。」
「残業代は 2 月から 4 か月(未払い)。」、と口々に苦境を訴える。

給料明細はすぐに取り上げられてしまうため、スマホで隠し撮りしていた画像を見ると、時給は最低賃金を大きく下回る 400 円。 残業時間は 197.25 時間とはっきり明記されていた。 給料はこれだけ働いてたったの 13 万 8,900 円だ。 未払いの賃金は 1 人当たり 620 万円以上にのぼる。 彼女たちは、同センターの責任者・ケンカイさん(58 歳)が組織する労働組合に加入し、賃金と残業代の支払いを会社に求めた。 ところが社長は「払う金がない」と言い、そのまま倒産してしまった。

数十日後、寮になっていたアパートも契約解除。 彼女たちは住む場所まで奪われた。 ケンカイさんはこれを、倒産での賃金未払いを立て替える、国の制度を利用した計画倒産と見ている。 原資は企業が負担した保険料だが、会社の記録を元にした未払い分の 8 割しか出ない。 彼女たちはケンカイさんの元に身を寄せており、未払い分を取り戻すまで中国には帰れないと涙ぐんでいた。

「制度に大きな欠陥」と専門家も指摘

技能実習生の問題に取り組む指宿昭一弁護士は、「制度に大きな欠陥がある」と指摘する。 違法があれば移れるという建前にはなっているが、実際に声を上げて(会社を)移れるケースはまれで、「移る先を見つけようがないし、誰も協力してくれない」のだという。 実はほとんどの実習生は、渡航費や研修費などで 60 万円 - 100 万円の借金をしてやってくる。 職場は選べず、低賃金で長時間労働でも我慢して働き続けるしかない。 まるで奴隷のようだ。 「唯一逃れる手段は逃げること」で、それが失踪のケースの多くだと説明した。

中には、カンボジア人実習生たちに訴えられ、素直に支払いに応じた婦人服の縫製工場もある。 その会社社長は、「景気が悪くなって、加工賃が 1 着 1,200 円に下がっている。 2,000 円くらいもらわないと …」などと、自身もつらい立場を明かしていた。 服を 1 着作るのは結構な技術を要するが、1 着 1,200 円とはなんとも切ない。 そこから利益を出すためには何百着も作らなくてはならず、低賃金で長時間労働が蔓延してしまうのだろう。

「18 世紀かよ」などと、驚き、嘆きの声

それにしても、時給 400 円はあんまりだ。 番組を見た視聴者からは、「18 世紀かよ」などと、驚きの声が、多数あがっていた。 「(中略)己の利益しか考えていない経営者のなんと多いことか。 日本ってどうしてこんな国になってしまったんだろうなぁ。」

彼女たちが主に作っていた服は、「メイド・イン・ジャパン」をウリにする婦人服ブランドだ。 品質に厳しいが納期は短く、5 日で 500 枚以上つくったこともあるという。 番組では名が伏せられていたが、タグの映像からネットユーザーに特定され、ツイッターで晒される事態にもなっている。 「メイド・インジャパン」は時として、外国人実習生たちの犠牲の上に成り立っていたのだ。 やはり暗然としてしまうが、こうした現実を日本人がもっと知るべきという番組の姿勢に対して、「さすが! もっとやってほしい!」という称賛の声も多数上がっていた。 (okei、キャリコネ = 8-4-17)


藤竜也 x ルー・ユウライ、中国人不法滞在者の苦悩を描く日中合作映画出演

日本を代表する名優・藤竜也と、ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた「孔雀 我が家の風景」で知られる中国人俳優ルー・ユウライの共演で、日中合作映画「CHENG LIANG」が製作されることが決定した。

映画は、第 42 回トロント国際映画祭短編部門に出品される近浦啓監督作「SIGNATURE」のその後を描いた近浦監督の長編デビュー作。 母と祖母の期待を背負い、希望を抱いて日本企業に技能実習生としてやってきた中国人青年チェン・リャンは、低賃金で過酷な就労現場に絶望し、失踪する。 祖国に借金があり日本で不法滞在者となったチェンは、他人になりすまして山形の小さな蕎麦屋で働き始める。 そこで蕎麦職人の弘と出会い、人生に一筋の光を見出していく。

チェン役をルー、弘役を藤が演じるほか、その娘役を演劇界で活躍する女優・松本紀保が演じる。 さらに、撮影監督を「永い言い訳(西川美和監督)」、「海よりもまだ深く(是枝裕和監督)」の山崎裕、美術監督を 2016 年に紫綬褒章を受章し、「リップヴァンウィンクルの花嫁(岩井俊二監督)」、「あん(河瀬直美監督)」を手掛けた部谷京子が務める。

ルーは、藤の出演作が「大学時代に映画を学ぶための『教科書』でした」と明かし、「常に藤さんの演技に感銘を受けてきましたので、共演できることは本当に夢のようなことだと感じています」と喜びを語る。 一方の藤は、前日譚となる「SIGNATURE (シグネチャー)」を「パワフルで存在感のある作品」といい、「ルー・ユウライさんの切ない風情に胸を打たれました」と賛辞を贈っている。 「CHENG LIANG」は、8 月中旬に山形県の大石田町でクランクインし、東京近郊、中国河南省で撮影後、9 月末にクランクアップ予定。 2018 年秋に全国公開を予定している。 (映画.com = 8-2-17)


外国人労働者 108 万人 「移民」認めぬまま進む現実

空港のホテルでの客室清掃。神社みやげのまんじゅうの製造。 旅館に卸す仕出し弁当や、デパ地下で売られる海苔(のり)巻きの調理。中学校での外国語指導助手 (ALT)、ネットで利用者を募る家事手伝い …。 フィリピン・マニラ出身のセリンさん (56) が日本で就いた仕事や職場を数えると、両手でも足りない。 仕事を選ばずに働いていたら、人手不足の職種を転々とすることになった。 最も長く勤めたのは高齢者介護の仕事だ。 外国人向け介護者育成学校に通った。 デイサービス、老人ホーム、病院など、ほぼすべての種類の施設で働いている。

2000 年代に日本人と結婚して滞在資格を得た。収入は手取りで月 15 万円から 20 万円ほど。 介護保険や年金などは日本人と同様に払っている。 セリンさんの働きぶりが示すように、外国人労働力を頼りにする職種が増えている。 民間シンクタンク「三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング」が、労働現場で外国人労働者が占める割合の「外国人依存度」を試算した結果、調査した産業の平均は 09 - 16 年で 1.9 倍に増えていた。

総務省の労働力調査と、外国人を雇用する事業所の厚生労働省への届け出を元に計算すると、16 年時点では全就業者の 59 人に 1 人が外国人だった。 7 年前と比べ、卸売・小売業(76 人に 1 人)は約 2.5 倍、農林業(85 人に 1 人)は 3.1 倍に。 医療・福祉では 463 人に 1 人だが、依存度は 2.7 倍に高まった。 昨年 10 月末の外国人労働者数は約 108 万人、外国人を雇用する事業所は約 17 万といずれも過去最高だ。 半面、外国人労働者の在留資格別割合は近年ほとんど変化がなく、就労目的は 18.5% にとどまる。

「留学生、技能実習生、日系人や日本人の配偶者など、就労が主目的ではない外国人によって国内産業が支えられている。 日本の総人口が減り続ける中、国家としての取り組みが遅れている」と同社研究員の加藤真さんは語る。 外国人労働者をめぐる数字は、日本が事実上、「移民国家」に足を踏み入れている現実を突きつける。

世界に目を向ければ、グローバル化で人々の国境を越えた往来が増えるにつれ、各国で排外意識が頭をもたげている。 米国のトランプ大統領誕生、そして英国の欧州連合 (EU) 離脱決定の背景にも、移民に対する人々の反発があった。 外国人労働力への依存が強まる日本は、目の前の現実を直視せぬまま、問題を先送りしているように見える。(編集委員 = 真鍋弘樹、asahi = 7-28-17)


スマホ不正契約、中国実習生に有罪 地裁判決 群馬

スマートフォン(スマホ)の販売店員と客が共謀し、不正に回線契約を結んだ事件で、詐欺と私電磁的記録不正作出・同供用などの罪に問われた住居不定、中国人技能実習生の程敬輝被告 (30) の判決公判が 20 日、前橋地裁(中野哲美裁判官)であった。 中野裁判官は「携帯電話販売店の審査制度を悪用し、店員と共謀するなどして犯行に及んでおり、計画的かつ巧妙な犯行」などとして、懲役 3 年、罰金 30 万円、執行猶予 4 年(求刑・懲役 4 年、罰金 30 万円)の有罪判決を言い渡した。

判決によると、程被告は昨年 8 月 27 日、愛知県高浜市内の販売店で、従業員と共謀し、他人名義の国民健康保険証などを示し、スマホ 3 台分の新規の回線契約を結び、だまし取るなどした。 中野裁判官は、執行猶予の理由について「前科前歴がないほか、反省の態度も示している」などと説明した。 (杉直樹、mainichi = 7-21-17)


留学生らの口座悪用 ネット通販詐欺振込先

インターネットショッピングで代金を振り込んだのに、品物が届かない「ネットショッピング詐欺」。 近年、増加しており、愛知県警サイバー犯罪対策課が犯行手口を分析した結果、悪用された振込先口座の半数以上が、ベトナム人や中国人名義だったことが分かった。 技能実習生や留学生が帰国間際に口座を売却することがあるという。 県警は詐欺の基盤として悪用される「犯罪インフラ」になっているとみて、取り締まりや注意喚起に力を入れている。

「売却は違法」愛知県警啓発

「口座を売ると逮捕されてしまいます」 「帰国する前などに口座を売るのは絶対にやめて」

今月 5 日、愛知県犬山市の日本語学校「名古屋教育学院」であった県警による講話で、サイバー犯罪対策課の足立達信警部がベトナム人留学生ら数十人に、身ぶり手ぶりを交えて呼び掛けた。 寸劇や手作りしたイラストを使い、口座や在留カード売却の違法性を訴えると、留学生らは神妙に聞き入った。 学院の林翰波(かんぱ)学院長 (45) は「残念ながら口座を売ってしまう人は実際にいる。 われわれも呼び掛けているが、県警からの啓発は非常にありがたい。」と話す。

同課は、今年 1 - 6 月末に受理したネットショッピング詐欺被害に関する振込先口座を調査。 口座名義人の氏名から国籍を推定したところ、日本人名が 44%、次いでベトナム人が 37%、中国人が 19% で、ベトナムと中国を合わせると半数を超えた。 ネットショッピング詐欺は、実在する企業のサイトを模した「偽サイト」や、そもそも詐欺を目的につくった「詐欺サイト」を通じて被害に遭うケースがほとんど。 代金の振込先が企業名ではなく、中国人やベトナム人など外国人の個人名の場合には注意が必要という。

昨年、県警に寄せられたサイバー犯罪相談受理件数は過去最多の 6,855 件(前年比 821 件増)。 そのうち、ネットショッピング詐欺などは、全体の 6 割にあたる 4,048 件(前年比 682 件増)に上った。 一件あたりの振込金額は数千円から 30 万円余。 少額被害の場合は通報しない人もいるとみられ「受理件数は氷山の一角(県警幹部)」との声もある。 サイバー犯罪対策課の小竹一則次長は「ウイルス対策ソフトが危険サイトをブロックしてくれることがある。 安全に利用するために自衛策を講じてほしい。」と呼び掛けている。

帰国前勧誘「買います」

インターネットバンキングから何者かに金を抜き取られる手口の「不正送金事件」でも、ベトナム人や中国人の個人名義の口座が送金先の口座として悪用されている実態がある。 愛知県警サイバー犯罪対策課の分析によると、今年 1 - 6 月末、不正送金被害で送金先として悪用された 23 口座のうち、口座名義人がベトナム名だったのが 16 口座、中国名は 2 口座で、主に外国人口座が使われていた。

名古屋・中川署とサイバー犯罪対策課が 11 日、銀行通帳を譲り渡したとして犯罪収益移転防止法違反容疑で逮捕した 2 人の女も、ベトナム国籍の技能実習生だった。 二人は共謀し、ゆうちょ銀行に開設された容疑者名義の貯金口座の通帳とキャッシュカードを譲り渡したとされる。 会員制交流サイト (SNS) や中国語版チャット、ベトナム人のフェイスブックなどを通じて「口座買います」という広告が出ており、それらを見た技能実習生や留学生が帰国間際に口座を売るケースがあるとみられる。 (梅田歳晴、中日新聞 = 7-16-17)


神戸の中小企業、外国人留学生「採用大作戦」 海外展開の布石にも

県内大学卒業生の 7 割が県外に就職する現実

兵庫県の中小製造業が外国人留学生の採用に乗り出している。 人手不足の解消に加え、海外現地法人の幹部候補としても期待する。 井戸敏三兵庫県知事が「県内大学卒業生の 7 割が県外に就職する」と指摘するように、兵庫県では 20 - 30 代前半の人口流出が課題。 県内企業にとっても悩みの種だ。 そのため留学生を積極採用し、後継者の育成や技能継承、さらにはグローバルでの事業拡大の一助としたいところだ。

「11 人に説明し、うち 3 人が個別企業説明会に申し込んだ -。」 流通科学大学(神戸市西区)とみなと銀行が 6 月に共催した「外国人留学生向け合同企業説明会」。 そこに参加した西山酒造場(丹波市)の採用担当の安江香大阪事務所リーダーは手応えを感じた。 同社は 160 年以上続く酒蔵。清酒「小鼓」が主力で、世界 24 カ国に輸出しているため、「酒造りを知った上で将来的に輸出に関わる業務も担える人材を」と期待する。

流通科学大では中国、ベトナムからの留学生が多く学ぶ。 就職部の辻田勝治部長は「ベトナムなどに現地法人がある会社から、将来の現法幹部候補や、現在日本で働くベトナム人のケアができる学生を採りたいという声が多い」と、説明会を開催した理由を話す。 みなと銀行も外国人採用に悩む企業を多く顧客に持つことから、服部博明頭取は「県内の就業人口を増やし中小企業の生産性向上を支援したい」と話す。

丸十(加古川市)は精密板金加工を手がける。 16 年春、ベトナムに生産工場を新設。 松尾將勝社長は「現在ベトナム人実習生が 12 人おり、通訳や手順書作成などを担える人材が必要。 ベトナム人正社員も 2 人いるが手先が器用で覚えが早く即戦力」と評価。 人材を拡充し、ベトナムをはじめ東南アジア諸国連合 (ASEAN) での事業拡大を見据える。

一方、精密板金加工を手がける大島(三木市)は 10 年前から延べ 20 人のベトナム人実習生を受け入れてきた。 ベトナムの生産拠点に実習生を送り込んできたが「ベトナム工場も 10 年間で事情が大きく変わり、日本での実習後に帰国してすぐに管理・監督できる立場には就けない(宮田隆宏営業部次長)」という。 そのため国籍を問わず正社員採用に注力することにしたという。

日本の就職活動に不慣れな留学生は中小企業の求人情報を得にくいのが現状。 説明会では「板金とは何か」という質問の回答だけでほぼ時間が経過してしまった企業もあった。 流通科学大の辻田部長は「留学生の約半数は日本企業への就職を希望するが、なかなか難しいのが現状」と頭を抱える。 服部みなと銀頭取が「(今回の取り組みを)県内の他大学にも広めていきたい」と意気込みを見せるように、留学生の採用拡大には継続的な取り組みが必要となる。 (神戸・大原佑美子、日刊工業新聞 = 7-14-17)


取材班からの報告 「移民ネグレクト」を越えて

始まりは昨秋、同僚記者が聞き込んできた小さな情報でした。 「福岡市の一角に、ネパール人の若者たちが身を寄せ合って暮らす『リトル・カトマンズ』があるらしい。」 確かに、街角で中国語や韓国語とは異なるアジアの言葉を耳にしたり、旅行者風ではない褐色の肌の人々を見掛けたりすることが、ここ数年で急に増えました。 法務省に取材すると、日本で暮らすネパール人の増加率は福岡県が全国でも突出して高く、過去 10 年で約 20 倍に激増していました。

昨年、初めて 100 万人を突破した外国人労働者の 2 割は、実は留学生です。 途上国から来た彼らの多くは、アルバイトなしでは学費や生活費が賄えません。 入管難民法の就労制限(週 28 時間以内)を守れば生活が困窮し、破れば摘発対象となります。 一方で、深夜の食品工場や運送会社の配送センター、コンビニエンスストアや居酒屋など、日本の若者が敬遠する人手不足の職場で、時に不法就労で働く留学生たちが貴重な労働力として日本社会を支えているのが現実です。 外国人受け入れに反対の人も含め、多くの日本人がその恩恵を受けています。

ネパールに飛んだ記者は、留学ビジネスの過熱ぶりを目の当たりにしました。 「日本に行けば楽に稼げる」という業者の甘言に誘われて、途上国から多額の借金を抱えて来日。 苦学に耐えきれず、「出稼ぎ留学生」、「偽装難民」と化す若者もいます。 彼らを食いものにする「名ばかり学校」も存在します。 政府の「留学生 30 万人計画」を背景に乱立した日本語学校は玉石混交で、日本語教育を担う日本語教師の待遇は厳しい。 「やりがい搾取だ」という嘆きも耳にしました。

100 万人のうち、さらに 2 割は外国人技能実習生です。 担い手の減少が止まらない農漁業や製造業の現場で、欠かせない戦力となっています。 例えば、かつおぶし。 宮崎県沖の日向灘でインドネシア人実習生が釣ったカツオを、鹿児島県枕崎市の工場で中国人実習生が加工している。 アジアの若者たちがいなければ、みそ汁の味が変わってしまうという話も聞きました。

日本は、建前上は労働移民を認めない「移民鎖国」を続けてきました。 安倍晋三首相は「いわゆる移民政策はとらない」と繰り返します。 でも実際は、国際的な定義で 1 年以上滞在する「移民」を積極的に呼び寄せてきました。 経済協力開発機構 (OECD) の統計では、2014 年の 1 年間で、日本は世界第 5 位の移民流入国です。

国際貢献の名の下に、留学生や技能実習生として安価な労働力を受け入れ、社会保障や教育のコストを生まないよう数年で帰国させる。 事実上の単純労働者を、「表玄関」ではなく「勝手口」から招き入れている。 外国人を労働力としか見ず、生活者としての支援を放置する。 移民がいるのにいないふりをする。 いわば「移民ネグレクト」が日本の国策です。

福岡市の街頭でアジアから来た若者たちにアンケートをしました。 約 4 割が「親しい日本人はいない」と答えるなど、地域に溶け込めていない実態が浮き彫りになりました。 ネパール人の 21 歳男性は、胸の内を語ってくれました。 「福岡は外国人に優しいと聞いてきたが、学校とバイトの往復で忙しい。 日本人の友人がほしい。 僕と一緒にサッカーをしませんか。」

アジア各国では人材の争奪戦が過熱しています。 日本にアジアの若者たちが集まる理由は「先進国だから」だけではありません。 「働ける国」だからです。 このままでは、そう遠くない将来、「外国人を受け入れるか」ではなく、「外国人が日本に来てくれるか」が焦点になるのではないか。 1 年弱の取材を終え、そう感じています。 (坂本信博・社会部、西日本新聞 = 7-4-17)


外国人実習生失踪、復興現場に 摘発は地震後 2 倍

(熊本)県内で外国人技能実習生の失踪が増えている。 2016 年の外国人失踪者は、13 年の 65 人から 2 倍近い 119 人に急増。 そのおよそ 9 割が実習生だ。 熊本地震後は実習先を離れて被災地で働き、入管難民法違反(不法残留)の疑いで摘発されるケースもある。 県警は、失踪した実習生を雇い入れた側の違法性も指摘している。

「不法滞在で捕まると 3 年以下の懲役か、300 万円以下の罰金です。」 6 月中旬、熊本市東区のベトナム人実習生の研修センター。 熊本東署の担当者の説明に、実習生約 30 人が「オー」と驚きの声を上げた。 「家族のためにお金を稼ぎに来た。 日本の法律をしっかり守って生活していきたい。」という実習生のチャン・トゥ・タオさん (25) は 4 人家族。 ベトナムの物価は日本の 3 分の 1 程度しかない。

そうした事情から、実習生は増加。 法務省入国管理局によると、2016 年 12 月時点の県内の実習生は 4,235 人。 13 年の 2,677 人から 6 割ほど増えている。 県警がことし 1 月 - 5 月末に把握した外国人失踪者は 78 人。 ほとんどが農業実習生で、国別ではベトナムや中国が多い。 失踪の理由について県警外事課は「高収入を求めて実習先から逃げる実習生が多いようだ」と分析。 不法残留となった実習生は正規の職に就けないため、人手不足や人件費に悩む事業者が違法に雇うケースが後を絶たないという。

県内では昨年 4 月の熊本地震発生後、不法残留などの疑いで摘発される実習生らが増えている。 地震前の 15 年は 12 人だったが、16 年は 24 人に倍増。 地震が発生した昨年 4 月から今年 5 月末までに不法残留容疑で摘発した 25 人でみると、このうち 20 人が益城町や熊本市などの被災地で瓦のふき替えや解体作業にあたっていた。 26 日には、不法残留の疑いでベトナム人の男 4 人が県警に逮捕された。 このうち 2 人は実習生。 在留期限が切れた後、国内の業者に雇われて熊本地震で被災した家屋の解体などに従事していた。

調べに対し、「被災地で働く方が実習よりお金が稼げるので魅力的だった」と供述しているという。 実習生を巡っては、契約した金融機関の口座や携帯電話が第三者の手に渡り、別の犯罪に使われる可能性も指摘される。 同課は「不法就労した実習生だけでなく、不法残留と知りながら雇った事業主も罰せられる」とした上で、「不法就労する前に、困り事があれば警察も相談に応じる」と実習生に呼び掛けている。 (九重陽平、横山千尋、熊本日日新聞 = 6-28-17)