「外国人実習生」受け入れ 8 割 全国自治体調査

働き手確保に危機感

外国人技能実習生が住む市区町村が少なくとも 80% 近くに上ることが、共同通信が行った自治体アンケートで 23 日分かった。 深刻化する人手不足を補う形で広がる実態を示した。 外国人の受け入れ拡大を求める市区町村も 30% を超えた。 受け入れ理由のトップは働き手の確保で、人口減少が進む中で人材確保への危機感が浮き彫りとなった。

一方、外国人が多国籍化し教育や生活の困窮など多様な問題が浮上。 実習生の待遇改善を求める声も強い。 受け入れ拡大を「どちらともいえない」とした市区町村は 55% に達し、外国人住民の広がりへの戸惑いも明らかになった。 アンケートによると、今年 1 月時点で実習生(研修生も含む)が住民登録していることを明らかにしたのは 77% の 1,240 市区町村で、県内はこのうち 14 市町。 467 自治体は外国人の中で実習生が最も多かった。 永住者は 87% の 1,396 市区町村で暮らしており、定住化もうかがわせた。

外国人住民の受け入れ拡大について「不要」、「どちらかといえば不要」とした市区町村は計 13%。 一方「必要」、「どちらかといえば必要」は計 32% で、不要と考える自治体の 3 倍近くに達した。 拡大を求める理由は「働き手の確保」が 67% (複数回答)でトップ。 次いで「国際化」が 50%、「税収増」が 29%。 拡大は不要の理由は「職員の不足」が「現状で十分」と並び 48% で最も多く対応の悩みをにじませた。 拡大を求めた市区町村の割合を都道府県別でみると、香川が 63% でトップ。 大分が 58%、愛媛も 53% で続き、農林水産業や製造業の盛んな地域で目立った。

ただ実習生では、42% (複数回答)の市区町村が待遇改善を要望。 業種・期間拡大の 16% や制度維持の 15% を上回り、見直しを求める声が強い。 最近 3 年間で増えた外国人は、43% (複数回答)の市区町村がベトナム、14% がフィリピンと回答。 中国やブラジルは減少傾向で、多様化が進む現状をのぞかせた。 アンケートは 5 - 7 月にかけて行い、93% の 1,612 市区町村と全都道府県から回答を得た。 (kyodo = 7-25-16)

在留資格 外国人が日本に入国し、活動するために出入国管理および難民認定法が定めた 27 種類の滞在資格。 2015 年末現在で計 223 万人。 内訳は 70 万人の永住者がトップで、原則 10 年滞在すると、ほかの資格から切り替えができる。 2 位の特別永住者は 35 万人で、戦前から日本に住む在日韓国・朝鮮・台湾人が対象。 留学生の 25 万人、技能実習生の 19 万人と続き、日系人が多い定住者は 16 万人。 実習生は工場や農場などでの技能習得が目的とされ、職業の変更や家族の呼び寄せができない。


運河女性遺体 30 歳男「スーツケースに入れ海に捨てた」

入管難民法違反容疑で逮捕された中国籍容疑者供述

東京都品川区の京浜運河でスーツケースに入った女性の遺体が見つかった事件で、入管難民法違反(不法残留)容疑で警視庁に逮捕された中国籍の 30 代の男が「女性の遺体をスーツケースに入れて海に捨てた」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。 警視庁捜査 1 課は裏付けを進めるとともに、死亡の経緯も確認している。

捜査関係者によると、男は荒川区在住で、死亡した中国籍の楊梅さん (34) と内縁関係にあったと説明している。 今月初めに「女性を知っている」と同庁に出頭し、逮捕された。 6 月 27 日、品川区東品川 2 の京浜運河に浮かんでいたスーツケース内で女性の遺体が見つかり、指紋で楊さんと確認された。 スーツケースの中には重りとみられる大きな石が入っていた。 同課によると、楊さんは 2013 年 9 月に技能実習生として来日。 京都府内の自動車部品製造会社で働いていたが同僚 2 人とともに行方不明になり、14 年 3 月に勤務先が京都府警に届け出ていた。 (神保圭作、深津誠、春増翔太、mainichi = 7-16-16)

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品川区スーツケース遺体 事情知るとみられる中国人の男出頭

6 月、東京・品川区の京浜運河に浮かんでいたスーツケースから、中国人女性の遺体が見つかった事件について、事情を知っているとみられる中国人の男が、出頭していたことがわかった。 6 月 27 日、品川区の京浜運河で、スーツケースから、中国人の楊梅さん (34) が遺体で見つかっていたが、7 月上旬、警視庁に出頭した 30 代の中国人の男が、「楊さんを知っている」と話したという。 警視庁は、男を入管難民法違反の疑いで逮捕したが、死体遺棄事件についても事情を知っているとみて、くわしく話を聴いている。 楊さんは、2013 年に中国から技能実習生として入国し、京都府内の工場で働いていたが、2014年に失踪し、捜索願が出ていた。 (FNN = 7-11-16)

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スーツケース女性遺体、中国の実習生 京浜運河で発見

東京都品川区の京浜運河で先月、スーツケースに入った女性の遺体が見つかった事件で、警視庁は 7 日、身元は中国籍の職業不詳楊梅(ヤンメイ)さん (34) と判明した、と発表した。 捜査 1 課によると、遺体の指紋などから、2013 年 9 月に技能実習生として来日した楊さんと特定した。 来日後に京都府内の車部品製造会社で働いていたが、14 年 3 月、仕事場の寮からいなくなったとする届け出が京都府警にあったという。

遺体はスーツケースに入った状態で先月 27 日に見つかった。 検視の結果、死因は不詳で、死後 1 週間程度経過していたという。 目立った外傷はなかったが、捜査関係者によると、脳に出血の痕があったという。 遺体発見時、楊さんはキャミソールにハーフパンツ姿。 スーツケース内にはおもりのためとみられる複数の石が入っており、警視庁は事件に巻き込まれたとみて調べている。 (asahi = 7-7-16)


不法滞在者「帰国促して」 入管、中韓大使館などに要請

法務省入国管理局が韓国や中国など 5 カ国の大使館に対し、不法滞在している自国の出身者に自主的な帰国を促すよう要請したことが 29 日、同省関係者への取材で分かった。 不法滞在者が 2 年連続増加したことを受けた異例の対応。 自ら出頭するなど一定の条件を満たせば身柄を拘束せずに出国させる「出国命令制度」を周知するため、ホームページで説明したり、翻訳パンフレットを配布したりするよう求めた。 入管によると、今年 1 月 1 日時点の不法滞在者は約 6 万 3 千人。 国・地域別では韓国の約 1 万 3 千人が最も多く、中国、タイ、フィリピン、ベトナム、台湾、インドネシアと続いた。

このうち入管が要請したのは、ベトナムを除く 5 カ国の大使館と、台湾の大使館に当たる台北駐日経済文化代表処。 出国命令制度は、不法滞在者の大幅削減を目指して 2004 年の入管難民法改正で創設された。 適用を受ければ、通常 5 年間の入国拒否期間が 1 年間に短縮されるメリットがある。 不法滞在者は 1993 年の約 29 万 8,600 人をピークに毎年減少していたが、昨年から 2 年連続で増加。 アジア各国へのビザ発給要件を緩和したことや、技能実習生の失踪が増えたことが背景にあるとみられる。 入管は取り締まりを強化するとともに、外国人を雇用する事業者に在留カードに記載された就労制限を確認するよう呼び掛けている。 (kyodo = 6-29-16)


日本での難民申請 2,356 人 認定は 1 人 今年 1 - 3 月

日本で今年 1 - 3 月に難民認定を申請した外国人は 2,356 人で、このまま推移すれば過去最多だった昨年 1 年間の 7,586 人を上回り、年間 1 万人に迫るペースとなっていることが、法務省への取材で分かった。 一方で、難民の受け入れ数はきわめて少ない状況が続いている。 同省によると、申請者が特に目立っているのはネパール、インドネシアなど。 難民と認定された人はこの 3 カ月間で 1 人のみ。 人道的な配慮で在留を認めた人も 13 人にとどまっている。

日本も加盟する難民条約は、「人種や宗教、政治的意見などで迫害を受けるおそれがある人」を難民と定める。 受け入れに積極的な国は武力紛争から逃れてきた人たちを難民と認めているが、日本では厳格に解釈されている。 申請が増える一方で認定が少ない理由について、法務省は「就労や定住を目的に申請を繰り返す人が多いため」と説明する。 昨年秋から、申請を繰り返す人の審査を早めるなど効率化を図っているが、申請の増加に追いついていないのが現状だという。 (金子元希、asahi = 6-20-16)


偽造カードでたばこ大量購入 容疑者ら、中国に転売か

偽造クレジットカードでたばこを大量購入した詐欺などの疑いで、日本人と中国人の計 10 人が大阪府警に逮捕され、一部が起訴されたことが捜査関係者への取材でわかった。 大阪、愛知、岡山など 5 府県のコンビニエンスストアで数百万円分を買い、中国向けに売却したとみられる。 メンバーは「日本のたばこは中国で人気」と話しているという。 起訴状によると、指示役の大阪市平野区の無職武村斉星(さいせい)被告 (33) や、岐阜県美濃加茂市の無職陳涵(チェンハン)被告 (21) らは昨年 5 - 7 月、偽造カードでたばこ約 400 カートン(200 万円相当)を購入したとされる。

捜査関係者によると、他の 8 人は中国人留学生や技能実習生らで、インターネットのソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) を通じて知り合い、ネット経由で中国から、米国のカード会社から流出したとみられるカード番号などの個人情報を磁気データで購入した。 パソコンと専用ソフトで、別に入手した中国の銀行のカードにデータを書き込み、偽造カード十数枚を作成。 車で 5 府県のコンビニ約 30 店舗を回り、たばこを買い込んだ。 (中島嘉克、楢崎貴司、asahi = 6-19-16)


労基法違反 縫製 7 社を家宅捜索 中国人実習生、月 100 時間超残業も 大野労基署・福井

大野労働基準監督署は 14 日、労使協定で定められた時間を超えて中国人実習生を残業させたとして、縫製会社「ラコーム(勝山市滝波町 1)」などを労働基準法違反容疑で家宅捜索した。 捜索先はラコームと関連会社の計 7 社に及ぶという。 容疑は、昨年 10 月 - 今年 2 月、中国人実習生数十名を労使協定で定められた時間を超えて残業させたとしている。 月 100 時間を超える残業をした実習生もいるとみられる。

同社の事業所にはこの日、午前 9 時過ぎから青色の作業着を着た同監督署職員 8 人が入り、関連資料などを押収した。 同社の織田昭一社長が取材に応じ、中国人実習生を違法に長時間残業させていた事実を認めた。 その上で、「残業しないと給料が安いため、実習生から働きたいと言われて応じた」と弁解した。 同社の社会保険労務士によると、中国人実習生との労使協定では残業時間は月 50 時間までと定められていた。 超過した残業代は、内職の手当として外注費に計上し、実習生に賃金を支払っていたという。 4 月に労使協定を改め、年 6 カ月に限り残業を月 100 時間まで延長したという。 (立野将弘、mainichi = 6-15-16)


(佐賀)県内企業、外国人労働者 3,200 人超

人手不足で拡大

法令違反も潜在 雇用環境の改善急務

人手不足を背景に、佐賀県内でも外国人労働者を受け入れる企業が広がり、1 年前より 350 人増えて 3,200 人を超えている。 一方、佐賀労働基準監督署が立ち入り調査した技能実習先企業の 7 割(2014 年)で賃金不払いや上限を超えた長時間労働などの不法行為が見つかっている。 外国人労働を巡る問題は表面化しにくく、雇用環境の改善が急務となっている。 「他業種よりも賃金など条件面で見劣りするため、社員が集まらない。 短期間でも外国人に頼らないと仕事が回らない。」 数年前から中国人実習生を雇う県内の縫製会社は打ち明ける。

県内の外国人労働者は昨年 10 月末、留学生を含め 3,264 人。 製造業を中心に卸売や小売、飲食業など 525 社が受け入れている。 中国人が千人と最も多く、ネパール人 700 人、ベトナム人 640 人と続く。 うち外国人技能実習制度で来日した実習生が 4 割を占める。 技能実習制度は本来、新興国への技術移転が目的。 ただ、3 年前からフィリピン人実習生 6 人を雇い入れている金属加工業者は「それは建前にすぎない」と言い切る。 「うちの実習生も残業をしたがる。 日本でお金を稼ぎたい外国人と、低賃金で労働力が確保できる企業の利害で成り立っている側面もある。」と制度のほころびを認める。

政府は経済界の要請も受け、実習生の受け入れ期間延長や介護にも対象を広げる方針だが、雇用環境の整備は遅れ気味だ。 佐賀労基署が 14 年に立ち入り調査した実習先企業 46 社のうち、32 社で法令違反が見つかった。 12 社が労使で定めた残業時間の上限を超えて働かせていたほか、残業代を支払っていなかった企業も 6 社あった。 外国人を雇用している企業の半数は 30 人未満の小規模事業所で、労基署は「人員体制面で管理が行き届いていないことが要因」とみる。 労基署への相談は年数件だが、管内に外国語に対応した相談窓口はなく、「表面化していない問題がないとは言えない」という。

「休みを取ったら上司に蹴られた」、「安全靴を履かずに建設現場で働き、けがをした」- -。 佐賀市で日本語教室を開く越田舞子さんは実習生からこんな相談を受けることがある。 「日本語が十分に話せなかったり、渡航費を親類から借りて来日したりして、誰にも相談できずに我慢して働き続けている人もいる。」 問題の根深さを指摘する。

12 日、アバンセで技能実習制度学習会

技能実習制度の在り方を考える学習会が 12 日午前 10 時から、佐賀市のアバンセで開かれる。 県内の労働組合でつくる「はたらくものの命と健康を守るネットワークさが」が企画し、越田さんと、外国人労組「首都圏移住労働者ユニオン」書記長の本多ミヨ子さんが課題を語る。 参加無料。 問い合わせは県労連、電話 0952・25・5021 へ。 (佐賀新聞 = 6-11-16)


外国人建設就労者受け入れ事業

中国出身の王さん、再入国後に研修を複数受講 国交省

15 年 4 月に始まった国土交通省の「外国人建設就労者受け入れ事業」で、再入国した外国人が自らの技能を高めようと積極的に取り組む事例が出てきた。 特定監理団体の富藩国際事業協同組合(富山市、中田幸男理事長)を通じて中国から受け入れた人材が、組合の助成金なども活用して昨年 12 月の入国から既に五つの技能教育を受講。 所属する建築板金会社の即戦力としての期待に応えられるよう、自己研さんを重ねている。

新潟県糸魚川市の清水板金(清水章代表取締役)は、同協組を通じて過去に地元の商工会議所経由で技能実習生として受け入れた大連出身の王佳星さん (31) に再入国してもらった。 中国でも建設関係の仕事に従事していたという王さんの意欲は高く、再入国後、労働安全衛生法に基づく特別教育の「自由研削砥石」、「丸のこ」、「アーク溶接」、新規教育の「職長・安全衛生責任者」、技能講習の「玉掛け」の計 5 つを受講。 建築板金の 2 級技能士の受験も目指しているという。 同事業で再入国者の受け入れを昨年 10 月に開始した同協組が国交省から認められているのは、型枠、建設機械施工、建築板金、鉄筋施工、とびの 5 職種。

これまでにベトナムと中国から 13 人が再入国し、2 人が待機中だ。 本年度はさらに 6 人が再入国する予定だ。 技能実習生の監理団体として 20 年近い実績がある同協組では、建設、機械、電子、職人などの分野で 2,500 人近い人材を受け入れてきた。 実習生の技能を高められるよう、組合主催の研修に加え、外部で技能講習を受けた場合、所属会社への助成金を出すなどの支援を行っている。 年 1 回、実習生の中から最優良、優良の技能者も選定。 本人だけでなく、母国の送り出し機関を通じて家族も表彰している。

同協組は今後、外国人建設就労者受け入れ事業で再入国した人材も表彰対象に加え、日本で働く外国人技能者のモチベーション向上を図る考えだ。 事業を所管する国交省は、「送り出し機関を巻き込んだ素晴らしい取り組みだ。 外国人建設就労者受け入れ事業のモデルとなることを期待している。(労働資材対策室)」と評価している。 (建設工業新聞 = 6-8-16)


実習生に不法就労あっせん、男 3 人逮捕 愛知県

技能実習生の 2 人を指定された実習先ではない工場で働かせたとして、中国籍の男 3 人が 6 日、出入国管理及び難民認定法違反の疑いで逮捕された。 逮捕されたのは、中国籍の無職・顧連和 (28)、鄭明亮 (26)、鄭暁路 (38) の 3 容疑者。

警察の調べによると、3 人は今年 2 月、中国籍の技能実習生の男女 2 人を指定された実習先ではない愛知県尾張旭市の工場へ紹介し、不法な就労をあっせんした疑いがもたれている。 顧容疑者などが管理していたとされる口座には、実習生 2 人から紹介料などとみられる十数万円が振り込まれていた。 調べに対し、顧容疑者は「間違いない」などと容疑を認めているが、2 人は否認しているという。 警察は、3 人が中国籍の知人に仕事を紹介し、報酬を得ていたとみて余罪を追及している。 (中京テレビ = 6-7-16)


<適少社会> 実習生頼り 出身国激変 透ける限界

ベトナム中部の農村地帯出身のチァン・ティ・フォンさん (21) は 2015 年 4 月から塩釜市の水産加工事業所で技能実習に励む。 4 人きょうだいの末っ子で父はコメ農家。 「日本は他の国よりもお金が稼げる。 みんな行きたいと話している。」と母国での評判を語る。 フォンさんは、塩釜市の水産加工場に実習生を派遣する監理団体「塩釜魚市場水産加工業協同組合」に採用された。 「帰国したら通訳の仕事をしたい。」 加工場で積極的に日本語を話し、語学力を磨く。

震災が水産加工業界の人材難に拍車を掛けた。 組合顧問の宮城正博さん (67) は「操業再開後、以前の職員に声を掛けても戻ってこない。 募集を掛けてもほとんど集まらない。」と嘆く。 穴を埋めるように実習生への依存が強まる中、出身国の構図は大きく変わりつつある。 背景には中国の急速な経済成長がある。 ここ数年で日本円による収入の 4 割が目減りするほど人民元高が進んだ。

組合は実習生の受け入れ枠を拡大する特区制度を活用し、現在の 64 人を 17 年度に 100 人まで増やすことを計画する。 20 年余り主軸だった中国人ではなく、ベトナム人を優先的に採用する方針という。 内海勝男会長は「子育てや介護を理由に(3 年の)期限前に帰国するケースが増えた。 経済成長や少子化で中国からの派遣は将来難しくなる。」と説明する。 中国人実習生の減少は全国的な流れだ。 12 年には全体の 7 割を占めていたが、15 年は 5 割に減った。 一方でベトナム人は 3 倍、フィリピン人は 2 倍に急増した。

他国の人材派遣企業は日本の労働市場をどう評価しているのか。 東京で 4 月中旬、世界有数の人材派遣国フィリピンで船員派遣事業を展開する財団のドリス・マグサイサイ・ホー最高経営責任者 (CEO) が講演した。 外国人労働の制約が多い国ほど不法就労や失踪を招くことを、各国の事例を示しながら説明。 「外国人が安定した労働環境で技術を習得し、定期的に帰国して家族と暮らせるようにすることが重要だ」と、厳しい法規制を敷く日本の市場改革に期待感をにじませた。

国際労働力問題を専門とする首都大学東京の丹野清人教授は安価な労働力を期間限定で求める技能実習制度は限界が来るとみる。 「ベトナムなど日本に人材を供給している国々は経済が急成長しており、いずれ日本は見向きもされなくなる。」 人口減に伴う労働力不足の解消を外国人に求めるならば、真剣に移民制度を議論すべきだと主張する。 中国人からベトナム人、フィリピン人。円の力にものをいわせた人材確保はどこへ行き着くのか。 人口流出が続く被災地では、ミャンマー人やネパール人の売り込みが始まっている。 (河北新報 = 6-4-16)


IT 業界 注目集まる中国の人材 採用面接解禁

大手企業では来年春に卒業予定の大学生らを対象にした採用面接が 1 日、解禁されましたが、IT 業界では専門的な知識を持った中国の人材に注目が集まっていて、国際的な獲得競争が激しさを増しています。 日本の IT 業界では、国内の人材だけでは高まる需要に追いつかず、技術者の不足が深刻化しています。これに対して中国では大学に IT を学ぶ学部が設けられるなど、専門的な知識を持つ学生が多いとされています。

このため、最先端の人工知能を搭載した給与計算ソフトなどを開発している都内の IT 企業では 6 年前から中国の大学を卒業した学生の採用に踏み切りました。 この企業ではこれまでに 300 人を採用し、社内の公用語を英語にして、中国人社員も自由に意見を出すことができる環境を整えました。 その結果、4 年前に採用した中国人社員のアイデアで膨大なデータを素早く処理することができる技術を新たに開発し、これまで 1 時間以上かかっていた計算時間を 1 分 30 秒ほどに短縮することに成功しました。

この企業では入社 1 年目でも最低年収 600 万円を確保し、評価に応じて 2 年目で年収 1,000 万円にも達する制度を新たに設け、今では中国人の社員は製品開発に欠かせないといいます。 一方、中国の学生にも外国に就職先を求める事情があります。 中国ではここ十数年で大学の数が急増し、就職環境が厳しさを増しているのに加え、国内の景気の減速で、人気のある企業への就職は容易ではありません。

こうした状況のなか、中国の人材を積極的に獲得しようというのは日本企業だけではありません。 アメリカのニューヨーク大学は 3 年前、上海にキャンパスを新設し、中国の優秀な人材の獲得に乗り出しています。 大学は欧米の企業と提携し、学生に数週間から数か月のインターン研修を課すなど、卒業後アメリカ企業にとって即戦力となりうる人材の育成に力を入れていて、国際的な獲得競争が激しさを増しています。 中国人の男子学生は「学校は卒業後の進路を重要視していて、学生のサポートをしてくれる。 卒業後、外資系企業に就職したあと、アメリカでの将来を考えたい」と話していました。 (NHK = 6-2-16)


(徳島)県内事業所の中国人実習生が急減 経済格差縮小 2 年で 552 人

徳島県内の事業所で働く外国人技能実習生が減っている。 日本との経済格差の縮小を背景に中国人の実習生が減り始めている上、最低賃金が高い東京などの大都市に集中する傾向が顕著になっているためだ。 県内の事業所は労働力不足を補おうと、ベトナムなど東南アジアからの実習生受け入れを積極的に進めている。 徳島労働局によると、県内の技能実習生は 2015 年 10 月時点で 1,984 人。 入国 1 年目から労働者として扱われる現行制度になった 10 年 7 月以降、ピーク時の 2,287 人(11 年)に比べて 303 人減った。 中でも中国人の減少が大きく、13 年の 1,865 人が 14 年は 1,593 人、15 年は 1,313 人と、ここ 2 年間で一気に 552 人も少なくなった。

新興国への技術移転を建前とした技能実習制度は、地方の中小企業にとって貴重な労働力を確保する手段となっている。 中国人実習生が減れば経営にも大きな支障が出るが、県中小企業団体中央会は「県内は孫請けのような立場の企業が多く、賃金を上げて中国人を確保するのは難しい」とする。 そこで、県内の事業所が新たな実習生の確保先として目を付けたのが、日本との経済格差が大きい東南アジア。 特にベトナム人実習生は 13 年に 102 人だったのが、15 年は 427 人と 2 年間で 4 倍以上に増えた。

神山町のシイタケ生産業者 5 社でつくる神山椎茸生産販売協同組合は、15 年からベトナム人の受け入れを始めた。 約 20 年間にわたって中国人を採用してきたが、3 年前から希望者が減ってきたという。 現在は 27 人の実習生のうちベトナム人が半数の 14 人を占める。 組合はベトナム人用に寮と食堂を新たに設け、寮には無線 LAN の設備を整えた。 神原紀仁副理事長は「賃金では都会が上。 働きやすい環境を PR しなければ、実習生は来てくれない。」と話す。

組合のベトナム人実習生の第 1 期生となるグェン・ティ・チャンさん (20) は「お金を稼いで実家に送るために来た。 想像以上に親切で働きやすい。」と話しており、グェンさんから評判を聞いた親戚のファン・ティ・ガさん (19) が第 2 期生としてやって来た。 課題になるのが実習生の権利保護。 相談窓口が整っている中国人に比べ、ベトナム人への対応は十分進んでいない。 同局監督課の西泉ひとみ課長は「実習生向けの母国語相談ダイヤルの周知を徹底するなど、権利保護に取り組みたい」と話している。 (徳島新聞 = 5-24-16)


協和プレス工業 外国人技能実習生受け入れ 和歌山

板金プレス加工会社の「協和プレス工業(紀の川市長田中)」は、1996 年から毎年、外国人技能実習生を受け入れている。 実習生は、会社全体で取り組んでいる国家資格、「工場板金技能士」の取得に向けた勉強会などにも積極的に参加。 同社管理部の野村侑加部長は「研修生を受け入れ共に働くことで、社内の活性化につながっている」と話す。

受け入れ当初は、社内に具体的な研修プログラムがなかったため研修生も定着せず、03 年に一時受け入れを中断した。 しかし、以前に研修で来社した中国の男性から「もう一度日本で最新の技術を学びたい」という思いをつづった手紙が届き、翌年に、受け入れを再開。 日本語や学科、実技教育の充実を図った。 これまでに中国などから延べ 35 人を受け入れ、技能実習制度 3 年間の定着率はほぼ 100%。 中には 2 級の工場板金技能士を取得した研修生もいるという。

教育の特徴が、自社内で資格取得した 1 級の板金技能士らによる勉強会だ。 「教育のリレーという形で、自らの経験や技術を後輩に伝えています」と野村部長。 試験前には「合格」と書かれたはちまきで気合を入れて、業務にあたる従業員の姿もあるという。 14 年 5 月からは、タイの技能実習生受け入れを開始した。 日本での生活が 3 年目を迎えるシンノーイ・クワンプラチャーさん (22) は「会社のみんなは優しいし、仕事も楽しい。」 同じく 3 年目のポーティラーチャー・アッタポンさん (22) は「日本の環境は働きやすい。 タイに戻ったら経験も生かして大学に行きたい。」と語る。

野村部長は「勉強会などを通じて、職場内のコミュニケーションは良好。 研修生は技能実習の経験を基に、自国に戻って活躍してほしい。」と話している。 (倉沢仁志、mainichi = 5-21-16)


実習生に休日月 1 日しか与えず 残業代の不払いも 倉敷労基署が縫製業者を送検

岡山・倉敷労働基準監督署は、技能実習生に対して賃金と残業代の一部を支払わず、休日も月に 1 度しか与えなかった縫製業を営む「(有) デリーズ(岡山県倉敷市)」と同社取締役を労働基準法第 32 条(労働時間)違反などの容疑で岡山地検に書類送検した。 技能実習生からの相談により、違反が発覚している。

同社は、中国人技能実習生 5 人との間で平成 25 年 12 月 1 日 - 平成 27 年 10 月 23 日までの間、時間外・休日労働の上限を定める協定(36 協定)で残業時間を 1 日 2 時間、1 カ月 30 時間、1 年 200 時間としていたにもかかわらず、最長で 1 週 30 時間、1 日 3 時間 40 分の時間外労働を行わせていた。 26 年 1 月 12 日 - 27 年 10 月 10 日には、週 1 日の法定休日を 1 月当たり 1 日程度しか与えていなかった。 5 人合計で延べ 180 日間の違法な休日出勤となっている。

賃金と残業代の不払いも明らかになっている。 平成 25 年 12 月 1 日 - 27 年 8 月 31 日までの間、岡山県内の最低賃金を下回る賃金だったばかりか、残業代についても 1 年目は 1 時間当たり 400 円、2 年目以降は同 500 円としていた。 1 年目の残業代については、毎月支払わず、実習 1 年目が終了した時点でまとめて支払っていたことも明らかになっている。 5 人の支払い不足分は、賃金が 380 万 8,845 円、残業代が 847 万 1,419 円に達している。

27 年 7 月に、実習生から寄せられた相談から違法残業や賃金不払いが発覚した。 同労基署は、10 月に本社へ強制捜査を実施している。 その中で、同年 5 月の定期監督時に、同社が「残業は一切させていない」と労働基準監督官に話したことや、その際に提出した出勤簿や賃金台帳が改竄されたものだったことが発覚している。(労働新聞 = 5-17-16)


爆買い中国人向けの薬、無許可で貯蔵容疑の中国人逮捕

警視庁は、中国籍の楊国龍容疑者 (28) = 東京都中央区佃 2 丁目 = を医薬品医療機器法違反(販売目的貯蔵)の疑いで逮捕し、13 日発表した。 組織犯罪対策 1 課によると、楊容疑者は「爆買い」で来日する中国人らに薬を販売していて、中国人向けの SNS を通じて注文を募り、宅配便などで送っていた。 発送先は空港近くのホテルが多かったという。

逮捕容疑は今月 11 日、都知事らの許可を受けず、自宅にビタミン補給剤や湿布など計 69 種類の医薬品約 2 万 8 千点を貯蔵していたというもの。 「日本の薬が中国人に人気があるところに目をつけた」と述べ、容疑を認めているという。 同課は、楊容疑者が昨年 5 月からの 1 年間で、約 120 人に計約 1 千万円分の薬を売っていたとみている。 (asahi = 5-13-16)


外国人の家事代行、東京都が検討へ 実現すれば 3 地域目

東京都は、地域を限って規制を緩める「特区制度」を使い、外国人による家事代行サービスを解禁することを検討する。 実現すれば神奈川県、大阪市に次いで 3 地域目となる。 慎重姿勢だった都が検討することで、対象地域がさらに広がる可能性が出てきた。 10 日の政府の国家戦略特区の会議で表明する。

都は家事負担軽減は女性の働きやすさにつながるとして、家事代行の人材育成などに取り組み、外国人のサービス解禁には慎重だった。 ただ、人口減で労働力不足が見込まれ、先行する 2 地域の状況を踏まえ、検討することになったとみられる。 出入国管理法は家事代行を目的とする外国人の入国を原則、認めていないが、特区では 1 年以上の実務経験など一定の条件を満たすなどした場合、在留資格が与えられる。 (津阪直樹、asahi = 5-10-16)


「外国人技能実習制度」見直し法案、「構造的問題が放置されている」日弁連が批判

外国人技能実習制度の問題点などについて考える集会(主催 : 日本弁護士連合会)が 4 月 25 日、東京・永田町の参議院議員会館で開かれ、現在国会で審議されている外国人技能実習制度の見直し法案について、弁護士たちが「構造的な問題が放置されている」などと強く批判した。

制度の目的と実態がかけ離れている

外国人技能実習制度は、日本の技能を学んで、そのノウハウを母国で活かしてもらうことを目的に、外国人を受け入れるというもの。 建設や農業、漁業などの職種が対象になっており、全国に約 19 万人の実習生がいるという。 ただし、労働環境が劣悪だという批判が起きている。

現在審議されている見直し法案は、以下のように現状の改善を図ろうとしている。

(1) 実習期間を現在の 3 年から最長 5 年へ延長する、(2) 管理団体の許可制・実習実施機関の届出制を導入する、(3) 監督・保護機関として、外国人技能実習機構を設立すること、などだ。 また、実施管理者が、暴行・脅迫・監禁などによって、実習生の意思に反して技能実習を強制した場合の刑事罰も盛り込まれている。

これに対し、日弁連・人権擁護委員会外国人労働者受入れ問題 PT 事務局長をつとめる指宿昭一弁護士は集会で、「構造的な問題点を放置したままで、制度の存続、拡大は容認できない」と強く批判した。 日弁連が問題にしているのは、技能実習という制度の目的と実態が完全にかけ離れていることだという。 実習生には職場移転の自由が認められず、対等な労使関係の構築も難しいとして、指宿弁護士は「実際は、労働力を確保するための制度であることは、誰の目にも明らかだ」と指摘した。

「職場移転の自由」が制限されている

この集会には、実習生として来日した中国人女性(40 代)も登壇して、通訳を介しながら、かつて体験した過酷な労働環境を語った。 女性は 2012 年に実習生として来日し、岐阜県内の縫製工場で働きはじめた。 だが、来日 1 年目の月収は 5 万円、2 年目は 6 万 5,000 円、3 年目も 7 万円程度だったという。 休みもほとんどとらせてもらえず、1 年目は年間 8 日、2 年目は年間 1 日、3 年目は労働組合が交渉するまで休みがなかったそうだ。

もちろん、このような労働条件は違法だ。 しかし、女性が労働条件の改善や残業代の支払いを訴えても受け入れられなかった。 また、中国から送り出した機関との間で違約金 20 万元(約 340 万円)の契約をさせられていたため、故郷に逃げ帰ることもできなかった。 技能実習制度では、違約金は禁止されているが、女性には知らされていなかった。 女性は「ずっと前から技能実習生の問題がある。 なんで、日本政府は解決できないのか。」と訴えた。 (弁護士ドットコム = 4-25-16)


<熊本地震>災害に遭うたび、日中は助け合い思いあう - 程永華駐日本中国大使

22 日、熊本地震を受け、程永華(チョン・ヨンホア)駐日本中国大使は同日、福岡市に訪れ、震災後救援活動を展開した在日華人や留学生および機関を慰問した。 中国の英字新聞・チャイナデイリーが伝えた。

報道によると、現在熊本には 4,000 人の中国人が生活している。 在日華人のほか、留学生や技能実習生も数多い。 熊本地震発生後、日本全国の在日華人をはじめ、被災地の華人も立ち上がり支援活動に尽力した。 こうした活動に程大使は福岡総領事館で、「今回の地震で、2008 年の四川大地震と 2011 年の東日本大震災時に日中の民間が互いを思いあい助け合ったことを思い出した」と述べた。 被災者の支援に関して、熊本大学の中国人留学生も大きな力を発揮し、活動に参加した学生は「非常時に国籍や民族は関係ない」と語っている。 (RecordChina = 4-23-16)

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外国人被災者へ避難情報を発信 大阪大のウェブサイト

熊本地震の被災地にいる外国人向けに、大阪大は避難情報を外国語に翻訳し、大学のホームページに載せる取り組みを始めた。 外国人向けの避難所を開設している熊本市国際交流振興事業団と連携し、避難施設や交通情報を現地の外国人に活用してもらう。 外国人の防災対策を研究する塚本俊也特任教授が自治体のホームページなどから情報収集し、大学の留学生や外国語学部生ら学内外の約 30 人が英語、中国語など 10 言語に翻訳している。

熊本県によると、昨年末現在、県内の在留外国人は約 1 万 800 人。 避難生活を送る人も多く、熊本市国際交流会館には 7 カ国約 30 人が避難しているという。 避難所にいる通訳や、食べ物の戒律があるイスラム教徒向けの支援食など外国人特有の情報も掲載。 塚本特任教授は「被災時の情報は日本語が主で、外国人住民の不安は大きい。 大学の人材を生かした支援ができれば。」と話す。 情報は阪大未来戦略機構第五部門の ホームページ に掲載している。 (asahi = 4-21-16)

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外国人対象の避難所 熊本市が開設

この避難所は 17 日から熊本市が開設したもので、熊本市中央区にある「熊本市国際交流会館」には、現在、中国や韓国、カナダ、それにバングラデシュなど 9 か国の人たちおよそ 40 人が避難しています。 避難しているのは、いずれも熊本市在住の人たちで、国際交流会館の職員 20 人余りが交代しながら食料や毛布などを手配したり、災害情報を英語と中国語に翻訳したりして対応しています。

先月、実習生として中国から熊本市に来た 29 歳の女性は「地震は本当に怖かった。 日本語が分からなくても、食べ物や水の提供場所など職員が教えてくれて助かっています。」と話していました。 また、子どもを連れたバングラデシュ人の母親は「ここは安全で食料やミルクも提供してくれるので、日本の方には感謝しています」と話していました。 (NHK = 4-18-16)


外国人実習生も自転車安全に 草津署がルール指導

草津署は 9 日、外国人技能実習生向けの交通安全教室を栗東市小柿のアヤハ自動車教習所で開いた。 市内の 2 企業で技術を学ぶ中国とインドネシア国籍の 20 代の男性計 21 人が、署員や教習所の指導員から日本の交通ルールを教わった。

自転車のルールとして、▽ 基本は車道、▽ 左側通行、▽ 歩道を走る際は歩行者優先、▽ 飲酒や音楽を聴きながらの運転はしない、▽ 子どもにはヘルメットを着ける - という原則を学んだ。 その後、教習所内のコースで自転車に乗り、標識の意味や右側通行の危険性を確認した。 インドネシアから来日 4 カ月のロジウンさん (26) は、「インドネシアでは二人乗りや無灯火運転は違反にならない。 日本のルールをしっかり守りたい。」と話した。 (鈴木啓紀、中日新聞 = 4-10-16)


島根の企業、人手不足外国人が助っ人 定着へ生活支援など

人手不足が深刻な島根県で、外国人の活用が拡大している。 企業が生活支援や処遇改善などに力を入れて定着を図り、自治体も外国人の受け入れを促進する。 賃金未払いなどの問題を防ぐため、経営者団体は雇用主への啓発活動に動き始めた。 自動車部品製造のダイハツメタル(兵庫県川西市)は主力工場の出雲工場(島根県出雲市)で、2015 年 6 月からベトナム人技能実習生 10 人を受け入れている。 今後 2 年間で 20 人を追加採用する方針だ。

同工場では実習生を各職場に数人ずつ配置している。 休日は日本人の同僚がボウリングや祭りに誘うなど、職場に溶け込めるようコミュニケーションに気を配る。 3 月には出雲市が開いた外国人住民の防災研修に実習生を参加させた。 「地域活動に参加し生活に慣れてもらう(同社担当者)」のが狙いで、参加したヌエン・ヴェト・クイさんは「母国で大地震を経験したことがなく参考になった」という。

小規模企業が多い縫製業界は島根県中央アパレル協同組合が 8 社に 58 人を紹介している。 製造業以外にも受け入れは広がっており、ベトナムからの 8 人がいる畜産の松永牧場(島根県益田市)は、6 月に 3 人増員する。 外国人の受け入れは最長 3 年間滞在できる「技能実習生」と、国の帰国支援事業に基づく日系ブラジル人の 2 種類が主流。 実習生はアジアからが多く、日本で習得した技術を母国の産業発展に役立ててもらう。 受け入れ企業も国際化や生産への貢献などが期待できる。

日系ブラジル人の派遣社員を約 1,300 人雇用しているのは、村田製作所グループの出雲村田製作所(出雲市)。 社員食堂にはブラジルの食事メニューをそろえ、売店にも同国の商品が並ぶ。 人材会社が通訳を配置し、子弟の就学支援の NPO 設立などで支援する。 出雲市では多文化共生推進プランを策定し、外国人の定住を促すなど積極的に受け入れる姿勢をみせる。 人口減の中で外国人も地方創生の重要な担い手と位置付ける。

ただ、外国人の受け入れ拡大はトラブル増加も懸念される。 島根県では過去に賃金不払いが問題になった。 3 月に初の「外国人材活用セミナー」を開いた県経営者協会の森脇建二専務理事は「労働基準法や労働安全衛生法といった法令を守る意識を強く持つことがまず必要」と指摘している。 (nikkei = 4-8-16)