脱原発「当たり前」、緑の党の支持下落 ドイツ

24 日投開票のドイツ総選挙で、緑の党が「2030 年までに全電力の需要を再生可能エネルギーで賄う」との公約を打ち出している。 結党以来の主張だった「脱原発」が国の方針として定着。 緑の党は支持率が下落傾向にあり、さらに野心的な公約を掲げて党勢回復を狙っている。 ドイツでは再生可能エネルギーの発電割合が約 3 割だが、石炭火力も 4 割、天然ガスも 1 割を占める。 公約では現在 100 以上ある石炭火力発電の設備のうち、効率の悪い 20 設備を即座に停止し、30 年までに全て廃止する目標だ。

再生可能エネルギーシフトには経済界から、「供給が不安定で、急速な拡大は経済活動に影響する(ドイツ産業連盟のデニス・レントシュミット博士)」との懸念があるが、緑の党のベルベル・ヒューン連邦議会議員は「蓄電池の開発や電力需要のコントロールで、安定化させることは可能だ」と強気だ。 ドイツ政府は東京電力福島第一原発の事故をきっかけに、22 年までの全原発停止を決めたが、今回の選挙では、議席獲得が予想される政党のうち、新興右翼政党「ドイツのための選択肢 (AfD)」を除くすべての政党が「脱原発」を前提として、再生可能エネルギーの拡大を掲げている。

世論調査では、他政党も環境や気候保護をテーマにしているので「緑の党はもはや重要ではない」との意見に 57% が「ほぼ同意する」と回答。 新たな目標の設定は、存在意義をかけた闘いと言えそうだ。 (ベルリン = 高野弦、asahi = 9-10-17)


南シナ海の島に魚市場 日本、中国牽制で建設支援

インドネシアを訪問中の和泉洋人首相補佐官は 6 日、同国のスシ海洋水産相と会談し、両国が合意していたインドネシアの離島開発や水産業振興への日本の支援の具体案として、中国が広域に領有権を主張する南シナ海にあるインドネシア領ナトゥナ諸島で漁港や魚市場の建設を来年にも始めることを確認した。 ナトゥナ諸島の排他的経済水域 (EEZ) は、中国が領有範囲だと主張する「九段線」と一部が重なり、中国側とのあつれきが生じている。 日本には同諸島の開発に力を入れたいインドネシア政府を支援することで、中国を牽制する狙いがある。

具体的な協力案として、水産物を離島から主要港へ運ぶ船や漁業監視船の建造、海洋データ観測における日本の衛星技術の活用なども挙げられた。 両国は昨年 12 月、インドネシアの海洋立国化を支援するために閣僚級で話し合う枠組み「日本インドネシア海洋フォーラム」を発足させ、海洋における安全保障や産業育成の協力について話し合ってきた。 (ジャカルタ = 古谷祐伸、asahi = 9-6-17)


三井不動産、NY に超高層ビル 自社最大規模の開発

三井不動産は 1 日、米ニューヨークのマンハッタンに、地上 58 階建て(高さ約 300 メートル)の超高層オフィスビルを建てると発表した。 総事業費は 4 千億 - 4,500 億円で、9 割を同社が、残りを現地企業が負担する。 日本の不動産会社の海外投資案件としては、三菱地所による米ロックフェラー・グループの買収額を上回って過去最大となり、三井不動産の開発案件としても日本国内を含めて最大規模になるという。

オフィスビルは、マンハッタンの約 11 ヘクタールの大規模再開発地域「ハドソンヤード」内に建て、2022 年に完成する予定。 同社は同地域で地上 51 階建てのオフィスビルの建築も進めている。 ニューヨークは東京と比べてオフィスビルの供給が少ないため、希少性が高く、長期間の安定した賃料収入が見込めるという。 (asahi = 9-2-17)


米の好感度急落 = 中国と同水準に - 各国世論調査

【ワシントン】 米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、米国に好感を持つ人の割合が世界的に低下し、中国とほぼ同水準になったとする世論調査結果を公表した。 同センターの担当者は「米国の名声の主要な比較対象がソ連だった日々は過ぎ去り、代わりに今は米中が好感度を争っている」と解説した。

同センターが今春、世界規模で実施した調査結果によると、米国に好感を持つ人は平均で 50% で、前回調査から 14 ポイント低下。 中国との差は 12 ポイントから 2 ポイントに縮小した。 調査対象 36 カ国のうち米国が 6 ポイント以上の差で中国を上回ったのは、前回の 25 カ国から 12 カ国に減少。 一方、米国が優位だった国のうち、英国、フランス、ドイツなど 7 カ国は差が 6 ポイント未満の「実質同水準」となり、スペイン、メキシコ、オーストラリアなど 6 カ国では中国が逆転した。 (jiji = 8-26-17)


西サハラの出席めぐりつかみ合いの争いに TICAD

日本政府が主導した第 6 回アフリカ開発会議 (TCAD6) で決めたアフリカ支援策の進み具合を確認する閣僚会合が 24 日、モザンビークの首都マプトで始まった。 日本などが国家として認めていない西サハラが出席を要求して他国の代表団ともみあいになる混乱があり、24 日に予定されていた全体会合は取りやめになった。

開会式は同日午後 4 時半に予定されていたが、会場の入り口前で、モロッコ代表団が西サハラから来た関係者の入場を防ごうと立ちはだかった。 モロッコは西サハラの領有権を主張し、実効支配している。 西サハラの関係者は「私たちはアフリカ連合に加盟している。 会場に入れないのはおかしい。」と憤った。 その後、両者はつかみ合いの争いに発展。 他国の代表団も入り交じっての混乱になり、開催国のモザンビークの外相らが仲裁した。

西サハラは 1976 年に「サハラ・アラブ民主共和国」として独立を宣言。 だが、日本を含め多くの国は国家として認めておらず、共同議長国の日本政府は会合の招待状を送っていないという。 結局、開会式は 2 時間半遅れて午後 7 時過ぎに始まったが、24 日に予定されていた全体会合や日本とカメルーンの会談が取りやめになる影響が出た。 開会式の演説で質の高いインフラ投資に取り組むと訴えた共同議長の河野太郎外相は「西サハラに関してはアフリカ側に調整をお願いしていた。 (全体会合が)短くなったのは残念」と話した。 閣僚会合は 25 日に閉幕する。 (マプト = 石原孝、asahi = 8-25-17)


中国、米国の光ファイバー製品の関税措置を見直し - 緊張高まる中で

トランプ米大統領の影響

記事コピー (11-13-16 〜 8-22-17)


猛暑の台湾で大規模停電 人為的ミス、668 万戸影響

15 日午後 4 時 50 分ごろ、台湾各地で大規模停電が発生した。 台湾電力などによると、北部の台北市から南部の高雄市まで、ほぼ全域の 17 県市で、台湾の全契約世帯の半数にあたる 668 万戸が停電した。 段階的に回復しており、15 日中には復旧する見通しという。 台湾当局によると、人為的なミスで燃料供給が止まり、発電施設が停止した。 この日は日中の気温が 35 度を超す猛暑日で、消費電力が上がったため、供給電力が逼迫し、大規模停電につながったとみられる。

台北では一部の信号が止まり渋滞が発生。 地元メディアによると、金融機関の現金自動出入機も止まり、エレベーター内の閉じ込めも多数起きた。 一方、台湾の主要産業である精密機器産業などには大きな影響は出ていない模様だ。 所管する台湾当局の李世光経済部長(閣僚)や台湾電力の責任者は同日夜、急きょ会見して謝罪。 李部長の辞任が決まった。 現政権の脱原発政策の行方にも影響を与えそうだ。 (台北 = 西本秀、asahi = 8-16-17)


アトレと三井物産、台北に衣料などの商業施設 18 年秋開業

JR 東日本グループのアトレと三井物産は台湾の台北市で商業施設を開発すると 8 日に発表した。 現地の不動産大手と組んで衣料や雑貨など約 200 のテナントを集め、一部のフロアにはアトレとして海外初となる店舗を設ける。 2018 年秋の開業をめざす。 施設の名前は「ブリーズ(微風)南山」で超高層ビル「台北 101」の近くに建てる。 延べ床面積は約 5 万 4 千平方メートルで、台湾初出店となる衣料ブランドなどを多く呼び込む。 全体の約 2 割のフロアはアトレが入り、日本の衣料店や飲食店など約 50 テナントを誘致する。

施設の開発・運営はアトレと三井物産、台湾の長僑投資開発(台北市)との合弁会社が担う。 資本金は 7 億円。 今回の開発費や売上高目標は明らかにしていない。 アトレは東京・恵比寿や中目黒などで国内 43 店の駅ビルを運営。 三井物産は台湾で高速鉄道事業に携わった経験を持つ。 アトレの一ノ瀬俊郎社長は同日の記者会見で「台湾は日本への関心が高い。 3 社の強みを生かして独自のカラーを出した施設をつくる」と抱負を語った。 (nikkei = 8-8-17)


スリランカの港 中国が 99 年間の運営権

中国が海洋進出を進めるうえで重要な拠点になると見られるスリランカ南部の港が、99 年間にわたって中国に譲渡されることが正式に決まり、中国のインド洋での存在感が一段と高まることになりそうです。 スリランカ南部のハンバントタ港は、中国がおよそ 14 億ドルを融資して建設が進められている南アジア最大級の港ですが、民間企業の進出が進まず、スリランカ政府は中国への借金の返済にめどが立たないことから、中国側と協議を続けてきました。

その結果、29 日に 11 億ドルの借金を事実上免除する代わりに、中国企業が港の管理会社の株式の 70% を保有し、99 年間の運営権を持つことで双方が合意しました。 ハンバントタ港をめぐっては、当初、ことし 1 月に合意文書が交わされる予定でしたが、港の警備を中国側が担うとなっていたことに政府内から「中国による植民地化だ」などと反対の声が上がったほか、インドなど周辺国からも懸念が示されたため、今回の合意では警備はスリランカ政府が行うと変更されました。

ハンバントタ港はシーレーン = 海上交通路に面していて、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な拠点になると見られていて、中国のインド洋での存在感が一段と高まることになりそうです。 (NHK = 7-30-17)

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「大成功」演出の裏で … 中国「一帯一路」会議、亀裂も

世界 130 カ国以上の代表団を集めて開かれた中国主導の「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」の国際会議で、中国が示した貿易に関する文書について、欧州連合 (EU) の複数の国が支持しなかったことが 16 日までに分かった。 中国は会議を「大成功」とアピールしているが、インドが参加を拒否するなど、中国主導の貿易や経済協力への警戒感もあらわになった。

会議は 15 日まで 2 日間開かれ、最終日には共同声明を採択。 習近平(シーチンピン)国家主席は閉幕式で「友好的な雰囲気のなか率直に意見交換し、多くの素晴らしい意見が出た」と語っていた。 しかし、AFP 通信などによると、貿易に関する分科会に参加したドイツ、エストニア、ハンガリーなどの EU 加盟国が文書への署名を拒否。 物資調達の透明性や環境基準への懸念について、中国側から十分な説明がなかったためという。 中国側は数日前に文書を示し、「修正はできない」と説明していたという。

北京にある EU 代表部の担当者も朝日新聞の取材に「EU は最終的に文書を支持しなかった。 回ってくるのが遅く、交渉の時間がなかった。」と説明した。 中国外務省の華春瑩副報道局長は 16 日の会見で「貿易協力の提案文書は宣誓のようなもので、意欲のある国が参加する。 十分な協議を経て、多くの国の支持を得た。」とだけ説明した。

一方、インド政府は「国家主権と領土保全への懸念を無視した計画を受け入れる国は一つもない」と反発し、明確に会議への参加を拒絶した。 パキスタンと領有権を争うカシミール地方が、一帯一路の事業「中パ経済回廊」の対象に含まれたためだ。 中国によるパキスタンやネパールなど周辺国への投資攻勢に危機感を抱いているとみられる。 中国外務省の華副報道局長は「習主席は和平の道を建設し、各国は主権や領土を尊重すべきだと訴えた。 インドの懸念には明確に応えた。」と反論した。 (北京 = 延与光貞、ニューデリー = 奈良部健、asahi = 5-16-17)

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中国、「一帯一路」に 17 兆円投資へ 参加国に 5 年間で

中国は自らが主導するシルクロード経済圏構想(一帯一路)の参加国に、今後 5 年間で最大 1,500 億ドル(約 17 兆円)を投資する方針をまとめた。 14 日から北京で始まる一帯一路首脳会議で示す貿易協力の草案を朝日新聞が入手した。 また、参加国から今後 5 年で 2 兆ドル相当を輸入し、一部の国と自由貿易協定 (FTA) を結ぶ方針だ。 一帯一路は、中国主導でアジア、中東、欧州にまたがる地域のつながりを強め、各国の経済発展を促す構想。 各国をつなぐインフラを整備し、貿易の円滑化を進めようとしている。 初の首脳会議には、29 カ国の首脳が参加する。

この構想は、習近平(シーチンピン)国家主席が 2013 年秋に陸と海の二つのシルクロード経済圏構想を提唱し、中国から関連地域への投資が本格化した。 具体的には、中国 - ラオス鉄道やパキスタン国内の高速道路に加え、中国とロシア、ミャンマーなどを結ぶ石油や天然ガスパイプライン建設を推進。 海上でもマレーシアや地中海沿岸などでの港湾整備に巨額の投資をしている。 (北京 = 福田直之、asahi = 5-12-17)

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中国の「一帯一路」会議、28 カ国参加へ 野心的構想に懐疑的見方も

[北京] 中国が今月 14 - 15 日に北京で開催するシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議には 28 カ国の首脳や政府高官が集う見通し。 野心的なこの構想を同国が積極的に推進する中、参加国の間では懐疑的な見方も出ている。 現代版シルクロード経済圏を構築する同構想は 2013 年に習近平国家主席が打ち出したもので、大規模なインフラ投資を柱にアジア、アフリカ、欧州に経済連携を広げることを狙いとしている。 ただ、具体策に欠けるとの批判もある。

欧州連合 (EU) の上級外交官は「中国の構想については大いに懐疑的な見方がある。 このようなインフラ計画は欧州の一部にとっては魅力的だが、中国が影響力拡大を狙っていることは周知の事実だ。」と語った。 中国は同会議で共同声明を出す準備を進めており、この事情に詳しい外交筋は「会議はまさに習近平と一帯一路を称賛する狙いがある」と述べた。

中国政府当局者は、会議中には輸送やエネルギー、通信関連プロジェクトでの協力などについて、50 以上の文書が署名される見通しだと明らかにしている。 政府によると、中国企業は 14 - 16 年に「一帯一路」に基づき、海外諸国で 3,049 億ドル相当のプロジェクトに署名している。 中国は同構想を通じて影響力の拡大を狙っているとの見方を否定。 新華社通信は英語版の解説記事で、「欧米の懐疑論者は、中国がゼロサム的な考え方を持たず、共に利益となる思考法を推進していることに気付いていない」とした。

一帯一路構想にはリスクも伴う。 スリランカでは関連プロジェクトについて抗議が起きており、イスラム過激派の脅威に直面するパキスタン政府は一帯一路の主要部分である中パ経済回廊を守るため軍の特別部隊を設置した。 同回廊はインドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方も通過するため、インドは反発。 ジャイトリー財務相は先週訪問先の日本で「主権問題があるため、大きな不安を抱いている」と語っている。 一方、北朝鮮は同会議に代表団を派遣すると明らかにしており、シリアも閣僚級の代表が出席する。 (Reuters = 5-11-17)


サンマ漁上限枠、合意できず 中韓ロが賛同せず

日本など 8 カ国・地域が参加する北太平洋漁業委員会 (NPFC) の会合が 13 - 15 日に札幌市で開かれ、日本が提案したサンマ漁の国・地域別の上限枠設定について話し合ったが、合意に至らなかった。 ただ、1 年間は中国や台湾などがサンマ漁の許可船を増やすことを禁じ、来年 7 月に日本で開く次回会合で再び資源管理について議論する。

会合には日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、米国、バヌアツ、台湾が参加した。 日本の提案は、NPFC の科学委員会が今年まとめた資源評価や、過去の漁獲量をもとに、全体の上限を 56 万トンとして、日本は 24 万トン、台湾 19 万トン、中国 5 万トンといった枠を設けるというものだった。 中国やロシア、韓国が賛同しなかったという。 (上地兼太郎、山村哲史、asahi = 7-15-17)


中国がイーロン・マスク氏を葬る日 - 圧倒的なバッテリー生産量の猛威

イーロン・マスク氏は米ネバダ州の砂漠に世界最大のバッテリー工場を完成させようと急いでいる。 しかし、それを生産量で圧倒する構えの国がある。 中国だ。

ブルームバーグ・インテリジェンスが 6 月末に発表したリポートによれば、中国企業のバッテリー工場増設計画を合わせると、生産能力は 2021 年までに年間 120 ギガワット時以上となる。 ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンス (BNEF) の試算では、これは年間ベースでマスク氏が最高経営責任者 (CEO) として率いる米テスラの「モデル S」約 150 万台、あるいはトヨタ自動車の「プリウス PHV (プラグインハイブリッド)」 1,370 万台にバッテリーを供給するのに十分な量だ。

「ギガファクトリー」と呼ばれるテスラのネバダ工場の生産能力は、完成予定の 18 年で最大 35 ギガワット時にすぎない。 リチウムイオンバッテリーは長い間、スマートフォンやラップトップコンピューター、他のパーソナル機器に使用されてきたが、需要は向こう 5 年で爆発的に増えると予想されている。 電気自動車の普及のほか、風力や太陽光などの自然エネルギーの増減をならすために電力会社が超大型の蓄電システムを導入するためだ。 テスラの生産台数は 16 年が約 8 万 4,000 台。 18 年には 50 万台に引き上げる計画を示している。

テスラのギガファクトリーは規模も話題性も世界一かもしれないが、中国政府は自国が優位なバッテリー市場におけるシェアをさらに高めるために大攻勢を仕掛けている。 世界のリチウムイオンバッテリー生産の約 55% は既に中国が拠点となっており、米国は 10% にとどまる。 中国のシェアは 21 年までに 65% に拡大すると、BNEF は試算する。 BNEF のアナリスト、コリン・マッケラシャー氏は「これは産業政策に関する話だ。 中国政府はリチウムイオンバッテリーを 2020 年代以降の極めて重要な産業と位置付けている」と指摘した。

世界のバッテリー生産能力は全体としては 21 年までに 273 ギガワット時に増える見通し。 現在は約 103 ギガワット時で、2 倍余り増加することになる。 巨大なチャンスであり、中国はそれを逃すまいとしている。 データ提供会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのマネジングディレクター、サイモン・ムーアズ氏は「3 年前に発表されたギガファクトリーが世界のバッテリー生産競争に火を付けた。 中国はそれを強力に推進している。」と述べた。 (Joe Ryan、Bloomberg = 7-7-17)


ワインの関税、即時撤廃へ 車は 7 年で撤廃 日本と EU

日本と欧州連合 (EU) の経済連携協定 (EPA) の交渉は 5 日、主要部分の関税交渉がほぼ決着した。 EU がかけている自動車の関税は 7 年間かけて撤廃し、ワインの関税は互いに即時撤廃する。 ナチュラルチーズは日本が一定の輸入枠を設けて 15 年をかけて関税を引き下げる方向だ。 2013 年春に始まった交渉は最大の関門を突破した。 EU 本部のあるベルギーのブリュッセルで 5 日、岸田文雄外相とマルムストローム欧州委員(通商担当)が最後の閣僚会談を開き、交渉内容のとりまとめに入り、6 日の首脳会談で大枠合意する。

日本から輸出する自動車にかかる 10% の関税は、撤廃までの期間をめぐり日本側が 5 年前後、EU 側は 10 年以上を主張していた。 日本側は、ライバルの韓国がすでに無税になっており、7 年で撤廃する案を受け入れる。 家電製品の関税は一部の品目で即時撤廃し、テレビは 5 年で撤廃する方向だ。 日本からの輸出が多いホタテなどの魚介類も EU 側は引き下げに応じる姿勢だ。 (伊藤舞虹 = ブリュッセル、山村哲史、asahi = 7-5-17)


中国企業手掛けたケニアの橋、完成前に崩落 総工費 14 億円

ケニア西部で総工費 1,200 万ドル(約 14 億円)をかけて中国企業が建設していた橋が、完成を目前にして崩落したことが 4 日までに分かった。 現場は同国のケニヤッタ大統領が 2 週間前に視察したばかりだった。 崩落したのはケニア西部ブシア郡で中国の建設会社が建設していたシギリ橋。 これまで政府の開発プロジェクトから置き去りにされてきた地域にあり、2014 年には川を渡ろうとしたボートが転覆して十数人が死亡する事故も起きていた。

ケニヤッタ大統領は大統領選挙が 8 月に迫る中、再選を目指してインフラ開発を公約の柱に据えている。 6 月 14 日にシギリ橋の建設現場を視察した大統領は、集まった有権者を前に、この橋は同地域が長年否定されてきた開発をもたらすと演説していた。 同大統領が公約に掲げるインフラ開発プロジェクトは、中国企業と中国からの出資に大きく依存する。 総工費 38 億ドル(約 4,300 億円)をかけて 6 月に開通した鉄道のマダラカ・エクスプレスにも、中国企業が出資していた。 (CNN = 7-4-17)


主要中銀が一斉にタカ派メッセージ、市場に衝撃

[ロンドン] 世界の主要中央銀行当局者は今週、まるで言い合わせたかのように将来の量的緩和 (QE) の巻き戻しと利上げの可能性に言及し、金融市場の注目を集めつつある。 こうしたメッセージが発信されるまで、少なくとも株式と債券は堅調に推移していた。 米連邦準備理事会 (FRB) が利上げしてもなお、欧州中央銀行 (ECB) と日銀を中心とする大規模緩和によって、世界的な流動性は潤沢だと想定されていたからだ。

だからこそ 27 日、ECB のドラギ総裁がタカ派姿勢に転じた様子を見せると、主要国の資産市場に及ぼしたその影響たるや、FRB が今月実施した利上げの比ではなかった。 ドイツ国債利回りは水準が 2 倍となり、米国債その他ほぼすべての国債に対するスプレッドは縮小。 いくつかの大手行はユーロ相場に追い風が吹き始めたことを理由に、ドル高局面の幕切れを宣言した。

SEB の資産配分責任者ハンス・ピーターソン氏は、主要中銀と彼らの超緩和政策は「極めてゆっくりと方向転換している」と指摘。 「市場が長期的にどう反応するかはまだ分からない。 というのも投資業界で働く人々全てが中銀の支えなしの世界で生きたことがないのだから。」と付け加えた。 ドラギ氏の発言に続き、FRB のイエレン議長は高水準の資産価格に警鐘を鳴らし、別の FRB 当局者は資産縮小について「自動操縦」で行われると述べた。 さらにイングランド銀行(英中央銀行、BOE)のカーニー総裁は今は利上げを考える時期ではないとの従来の立場から、近く利上げを議論しなければならないという意見へと軌道修正した。

もっとも市場はこれらの材料に反射的に身構えながらも、世界的に物価や賃金の伸びが低調なことから、実際の金融引き締めは遅れるのではないかとの慎重な見方も維持している。 物価や賃金の伸び悩みは中銀の各政策担当者も公に認めている。 市場が織り込む BOE が来年 3 月までに利上げする確率は 80%、カナダ中銀は 70% となっている。 しかし FRB の追加利上げは向こう 1 年ないと見込まれ、ECB の利上げも 1 年以内では視野に入ってきていない。

過去 8 年で FRB と ECB、BOE、日銀が買い入れてきた債券の総額は約 15 兆ドルと、米国の経済規模のほぼ 75% に達する。現在も ECB と日銀がおよそ半分ずつという形で、毎月 2,000 億ドル前後が購入されている。 これから半年ぐらいで FRB がバランスシートを縮小するのに伴って、500 億ドルが消えてしまうとしても、それは周到に実施されるだろう。 つまり結論として、少なくともあと 1 年は世界の流動性が意味のあるほど減少することはないと想定される。

SEB のピーターソン氏は、中銀の潤沢な資金供給が打ち止めとなるのは大きな変わり目だろうとしつつ、彼らが透明性が高く市場に十分配慮したやり方で緩和を縮小していく限り、それは自然な流れだとの見方を示した。 (Marc Jones、Reuters = 7-1-17)


クールジャパン機構、海外ベンチャーキャピタルに初出資

[東京] クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)は 15 日、創業間もないベンチャー企業へ投資(以下シード投資)を行う、米投資ファンド「500 Startups」に 1,000 万ドル(約 11 億円)を上限に出資すると発表した。 クールジャパン機構にとっては初の海外ベンチャーキャピタルへの出資となる。 クールジャパン機構は 2013 年 11 月に設立された官民ファンドで、「日本の魅力」の事業展開と称し自動車、家電など従来型産業に加え、アニメ、日本食、ファッション、インバウンド関連など幅広い分野に投資を行っている。

500 Startups は米シリコンバレーに本社を置き、60 カ国 1,800 社以上にシード投資を行っている。 資金提供にとどまらず、自社の起業家向け教育プログラムを通じ、ベンチャー企業の育成を行っている点に特色がある。 今回、クールジャパン機構と 500 Startups が組むことで、創業間もないベンチャー企業から株式公開を目指す段階になっている企業など、あらゆるステージのベンチャー企業の海外進出支援を行っていくとしている。

同機構の投資戦略グループシニアディレクター小川剛氏は「500 Startups はシード投資の専門家であり、企業を育てる仕組みを持っている。 種まきをして、育ったものをわれわれが支援するという補完関係がうまく成り立つと確信している。 このタッグを生かしてクールジャパン分野で海外進出する企業を増やしていきたい。」と話している。 (Reuters = 6-15-17)


EU と中国、共同声明見送り 通商分野の溝、浮き彫りに

ブリュッセルで 2 日に開かれた欧州連合 (EU) と中国の首脳会議で、両首脳はトランプ米政権が離脱を決めた地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」について、全面的に履行することで合意したが、予定していた共同声明の発表は見送った。 通商分野での対立を解決できなかった。 EU のユンケル欧州委員長は会議後の共同会見で「米国の不幸な決定について、中国と同じ見解を持ててうれしい。 中国と EU はパリ協定の実行に向け進んでいく」と述べ、パリ協定の履行では両者の姿勢が一致していると強調した。 今後、地球温暖化対策で経済的にも技術的にも協力を強化していくという。

だが通商分野では、両者の溝が浮き彫りになった。 中国の李克強(リーコーチアン)首相は会見で、EU 側が成果を強調したパリ協定に言及せず、WTO (世界貿易機関)で不利な扱いをされているとして不満を表明した。 中国は WTO に加盟した 2001 年、「非市場経済国」と 15 年間みなされることを受け入れた。 非市場経済国は、国内価格に比べて大幅に安く外国に輸出する不当廉売の疑いがかけられた場合、他国の価格を判断基準にされるため結論は不利になりがちだ。

のため、中国は 15 年経った 16 年 12 月から、平等な扱いを受けられる「市場経済国」として認めるよう求めてきた。 李首相は会見で「EU は(市場経済国と認める)義務を履行するべきだ」と訴えた。 これに対し、EU は中国による鉄鋼の過剰生産を問題視。 市場価格を不当に安くしているとして、市場経済国と認定するのに難色を示している。 首脳会議でも EU 側は鉄鋼問題の解決を求めたが、合意に至らなかった。

会議後の会見の開始は予定より約 3 時間遅れた。 EU 側が期待した共同声明は見送られ、冷や水をかけられた形になったユンケル氏は「私は短い会議より長い会議を好む。 短い会議は、たいてい深い決裂が結論だからだ」と釈明。 EU 首脳会議のトゥスク常任議長は「プロパガンダ(宣伝)ではなく歴史上、最も将来に期待を持たせる首脳会議だった」と言うのが精いっぱいだった。 (ブリュッセル = 津阪直樹、北京 = 福田直之、asahi = 6-3-17)


G7 首脳宣言、「保護主義と闘う」明記 パリ協定では結束できず

[タオルミナ(イタリア)] イタリア南部のシチリア島タオルミナで開かれた主要 7 カ国 (G7) 首脳会議が 27 日、首脳宣言を採択して閉幕した。 首脳宣言には、「保護主義と闘う」ことやルールに基づいた国際貿易システムを目指す方針が明記された。 また、ロシアのウクライナ介入をめぐり、必要に応じて G7 がロシアへの経済制裁を強化する方針も確認した。

一方で、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」については米国が支持を表明せず、同協定の履行を目指す残りの 6 カ国と溝を残す形となった。 トランプ米大統領は 27 日、ツイッターで、パリ協定への対応で最終的な判断は来週行うと明らかにした。 米国を除く G7 の 6 カ国は首脳会議で、オバマ前大統領が合意したパリ協定の受け入れに依然消極的なトランプ大統領に対し、協定を尊重するよう圧力を掛けたが、トランプ大統領が屈することはなかった。

メルケル独首相は「気候変動に関するあらゆる協議は非常に困難だった。 米国がパリ協定に残るかどうかの意思表示はなかった。」と記者団に語り、不満をあらわにした。 一方、今月就任したばかりのマクロン仏大統領は、トランプ大統領を「現実主義者」と評価し、トランプ大統領は G7 での話し合いを経て最終的にパリ協定を支持するとの見方を示した。 トランプ大統領とマクロン大統領は今回、初めて G7 に参加した。

議長国イタリアのジェンティローニ首相は、「(首脳会議の)結果に満足している」とした上で、一部の議題を巡り米国と意見が合わなかったことを認めた。 米大統領選当時から保護主義的な思想を掲げてきたトランプ大統領は今回、首脳宣言に「保護主義と闘う」との文言を盛り込むことを認めた。 トランプ大統領は帰国の途上、「あらゆる問題について、とりわけ貿易に関して素晴らしい話し合い」が持たれたとツイート。 首脳宣言に「貿易を歪める慣行の排除」が盛り込まれたことを評価した。 保護主義については言及しなかった。

26 日の首脳会議では安全保障問題が主要議題となり、首脳らはテロ撲滅に一段と取り組むことで合意。 インターネット業界に対し、過激思想に関連したコンテンツの規制を大幅に強化するよう求めた。 首脳宣言の文書はわずか 6 ページで、昨年の 32 ページに比べると格段に少ない。 外交筋は、G7 首脳らはより多くの人々に理解されるように簡潔な文書を望んだと説明している。

トランプ大統領は首脳会談後にシチリア島の米軍基地で演説。 首脳会議を「非常に生産的な会議だった」と振り返り、他国と米国との絆を深めたと成果を語った。 テロ撲滅に取り組む方針も確認した。 大統領はその後、専用機で帰国の途に就いた。 歴代大統領の慣例となっていた、外遊を締めくくる記者会見は行わなかった。 (Reuters = 5-28-17)

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貿易、気候変動で溝 = 米大統領、関税下げ要求 - G7、協調姿勢示せず

【タオルミナ】 イタリア南部タオルミナで開かれている先進 7 カ国 (G7) 首脳会議(サミット)は 26 日午後(日本時間 27 日未明)、初日の経済討議を終えた。 「米国第一」を掲げるトランプ大統領は、各国首脳に関税引き下げを求めた。 G7 は貿易や気候変動で溝を露呈し、経済分野での協調姿勢を示せなかった。

貿易の在り方をめぐる議論で、トランプ氏は「特定の輸入品に対して米国の関税がゼロならば、同じ水準まで引き下げるべきだ。 そうでなければ、米国もその水準に合わせるまでだ」と強調。 関税の引き下げを各国に要求した。 側近のコーン国家経済会議 (NEC) 委員長が初日の討議終了後、同行記者団に明らかにした。

G7 は「自由で公正な貿易・投資が互いに利益をもたらし、成長と雇用創出の主要な原動力になる」との考えで一致した。 安倍晋三首相は、新興国によるダンピング(不当廉売)や非関税障壁などを念頭に「不公正な貿易慣行に結束して対抗し、自由で公正な市場をつくるために具体的に行動していくべきだ」と訴え、各国と認識を共有した。

しかし、焦点となった「保護主義への抵抗」をめぐっても G7 首脳の議論は紛糾。 過去の首脳宣言には盛り込まれてきた文言だが、貿易赤字の削減を目指す米国の反発などを反映し、27 日に採択する宣言からは削除される公算が大きい。 気候変動でも、地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を検討するトランプ氏に、各国首脳が協定にとどまるよう働き掛けたが、歩み寄れなかった。 議長国イタリアのジェンティローニ首相は記者団に「気候変動問題では結論が出なかった」と述べた。 (jiji = 5-27-17)

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G7 開幕、テロ対策声明へ トランプ氏初参加で対立か

主要 7 カ国首脳会議(G7 サミット)が 26 日、イタリア南部シチリア島のタオルミナで開幕した。 「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領が初参加。 昨年まで自由貿易や地球温暖化問題で足並みをそろえて国際社会に発信してきた G7 は様変わりしそうだ。

会期は 2 日間。 26 日の会合ではまず、世界で相次ぐテロへの対策やシリア危機などを議論する。 英中部マンチェスターのコンサート会場で 22 人が死亡する自爆テロ事件が起きたばかり。 犯行声明を出した過激派組織「イスラム国 (IS)」打倒に向けた対策が主題になりそうだ。 議長を務めるジェンティローニ伊首相は開会に先立ち、「テロや安全保障について重要な声明を出す」と語った。

核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮問題については、日本の安倍晋三首相が G7 が一致して圧力を強めるよう呼びかけ、各国が「新たな段階の脅威になっている」との認識で一致したという。 (タオルミナ = 山尾有紀恵、斎藤徳彦、asahi = 5-26-17)

米、日本の鉄鋼製品に制裁関税 トランプ政権下で初

米国際貿易委員会 (ITC) は 5 日、日本や韓国、ドイツなど 8 カ国・地域の鉄鋼製品が米国で不当に安く売られ、米国の産業に損害を与えていると最終認定した。 認定を受け、米商務省が対象製品に対して反ダンピング(不当廉売)関税をかける。 トランプ政権下での日本企業への関税適用の決定は初めてとなる。

対象となるのは、機械部品や建設資材などとして使われる炭素鋼や合金鋼と呼ばれる製品。 日本企業では、JFE スチールなどが 48.67%、東京製鉄やその他の企業が 14.79% の関税をかけられる。 米鉄鋼メーカーの要請を受け、ITC はオバマ前政権下の昨年から調査を進めていた。 (ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 5-6-17)


「WHO の台湾不参加、深刻な脅威に」 駐日代表が寄稿

今月 22 日からジュネーブで開かれる世界保健機関 (WHO) 総会の招待状が、台湾に届いていない。 昨年発足した蔡英文(ツァイインウェン)政権が、中国と台湾が「一つの中国」に属するという原則を受け入れていないため、中国が圧力をかけているとみられる。 総会の登録締め切りは 8 日に迫っている。 台湾の元行政院長(首相)で、台北駐日経済文化代表処代表の謝長廷(シエチャンティン)氏(駐日代表)が、台湾が参加することの必要性を訴え、国際社会の支持を求める文章を朝日新聞に寄稿した。 全文は以下の通り。 (asahi = 5-3-17)

今年の「世界保健機関 (WHO)」の年次総会 (WHA) が 5 月 22 日よりスイス・ジュネーブで開催される。 台湾は 2009 年より 8 年連続でオブザーバーとして WHO 総会に参加している。 ところが今年は WHO から招待状が届いていない。 全ての人々の福祉を保障するために開催される WHO 総会に台湾が引き続き参加することに対して、日本各界および国際社会の皆様のご支持が得られることを期待している。

台湾は国際社会の広い支持を得て、09 年に WHO から招かれ第 62 回 WHO 総会にオブザーバーとして出席した。 それ以来、台湾は WHO 総会および WHO 関連技術性会議に積極的に参加し、台湾および世界の防疫ネットワークを強化するとともに、医療・衛生面に関する課題に直面した国を支援し、共に WHO の目標実現に向けて全力で取り組んできた。

今年、台湾は公衆衛生上の緊急事態対処計画 (WHE) への参加など、引き続き専門的かつ実務的に WHO に参加し、「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」の三つの目標(SDG3・あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)を実践するために世界と共に努力していく。 台湾がもし WHO から欠けたら、世界の保健ネットワークに重大な漏れ穴ができて、保健に対する深刻な脅威となりかねない。

特に台湾は台北飛行情報区を管轄しており、毎年 6 千万人を超える旅客が出入国し、そのうち台日間では 600 万人以上の旅客が往来している。 もしも台湾が WHO から欠けたら、MERS (中東呼吸器症候群)やエボラ出血熱、ジカ熱などの感染症が発生した際に拡大する恐れがある。 また、台湾は渡り鳥が必ず通る所でもあり、鳥インフルエンザの感染拡大リスクも軽視できない。

蔡英文総統は 4 月 27 日付のロイター通信のインタビューの中で、「WHO は非政治的な機関であり、世界のすべての国の人々の健康問題および衛生問題に関心を払うことであり、何ら政治的なことはない。 台湾は国際実務への積極的な参加者として、我々には貢献できることがあり、同時に台湾の人々も健康および衛生の面から WHO 総会への参加を必要としている」と強調した。

WHO は世界の保健ネットワークを構築するために台湾の参加を必要としている。 同様に、台湾も WHO を必要としている。 台湾は過去 8 年間、WHO の活動への参加を通して、他国と台湾の経験を分かち合い、即時通報、疾病情報の取得を行い、世界の保健に対してより大きく、より良い貢献を果たしてきた。 台湾が WHO 総会および WHO 関連メカニズム、会議、活動などに引き続き参加することにより、「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」の三つの目標を完全に実践することができるのであり、そうしてこそ台湾、WHO、国際社会の 3 者が共に勝利を得る局面を達成することができるのである。

【略歴】 謝長廷 : 台湾大学を卒業後、日本の京都大学大学院に留学。 弁護士を経て台北市議会議員、立法委員(国会議員)、高雄市長、行政院長(首相)を歴任。 2016 年 6 月より台北駐日経済文化代表処の代表(大使に相当)。 台北出身。