野田総務相「アベノミクスの効果、予想下回っている」

野田聖子総務相は 30 日の BS 朝日の番組収録で、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の効果は不十分だとし、「立ち止まって検証すべきじゃないか」と述べた。 野田氏は「異次元(の金融緩和)をやってきて、ある程度の効果はあったとしても予想を下回っている。 これでは厳しい。」と指摘。 「若い人にどんなツケを回すか、うすうす国民は分かっている。」とも述べ、金融緩和の出口戦略を含めてアベノミクスを総括し、次の経済政策を展開する必要性を訴えた。 また、2015 年の自民党総裁選では推薦人が立候補に必要な 20 人に 1 人足りない 19 人だったと明かし、来年の総裁選について「出馬の準備を進めている」と改めて意欲を示した。 (asahi = 8-30-17)


6 月の小売販売額、2.1% 増 自動車や夏物衣料が好調

経済産業省が 28 日発表した 6 月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比 2.1% 増の 11 兆 5,660 億円だった。 8 カ月連続で前年実績を上回った。 経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。

業種別では自動車小売業の寄与度が最も高く、前年同月との比較では 8.5% 増加した。 新型車の投入効果が続き、軽自動車を含めて好調を維持した。 織物・衣服・身の回り品小売業も 5.1% 増だった。 前年同月と比べて気温が低めに推移したが、専門店では夏物衣料が販売を伸ばした。 医薬品・化粧品小売業は 5.5% 増だった。 ドラッグストアの新規出店効果に加え、雨が少なく日照時間が長かったことから紫外線 (UV) 対策関連の商品などが伸びた。

大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で 0.1% 増の 1 兆 5,694 億円だった。 既存店ベースでは 0.2% 増となった。 百貨店は訪日外国人や富裕層向けの販売が好調だったほか、夏のセールを前倒しで実施したことが寄与し 0.2% 増と 20 カ月ぶりに前年同月を上回った。 一方、スーパーは主力の飲食料品が伸びたものの衣料品が振るわず横ばいとなった。 コンビニエンスストアの販売額は 2.9% 増の 9,731 億円だった。 前年にチケット販売が好調だった反動もあり、サービス売上高は 9 カ月ぶりに減少に転じた。 (nikkei = 7-28-17)


人手不足への対応課題 内閣府、経済財政白書で指摘

内閣府は 21 日、2017 年度の経済財政白書を公表した。 政権交代した 12 年 12 月から続く景気拡大局面について「戦後 3 番目の長さとなった」と、巻頭言で石原伸晃経済再生相が宣言。 ただ、人口減少が進む中で今後も成長を続けるには、人手不足への対応が課題になると強調している。 白書では、「戦後最長(02 年 2 月 - 08 年 2 月)」、「いざなぎ(1965 年 11 月 - 70 年 7 月)」、「バブル(86 年 12 月 - 91 年 2 月)」という過去の景気拡大局面と比較しながら今回を分析した。

有効求人倍率が 4 月に、バブル期最高値を超える 1.48 倍と改善する一方で、1 人当たりの名目賃金の伸びは期間中の平均が 0.4% で、バブル期の 3.6% に比べると低い。 雇用や企業業績の安定性を優先し、リスクを避ける労使の姿勢などが背景にあると記した。

また、これまで労働力人口の増加を下支えしてきた団塊の世代(47 - 49 年生まれ)が、70 歳以上に達する 17 年以降は労働市場からの撤退が見込まれると指摘。 人手不足が成長の制約になりかねず、▽ 長時間労働を前提とした働き方の是正、▽ 時間や場所を選択できる柔軟な働き方の導入、▽ 正社員と非正社員の処遇の格差の是正、といった抜本的な働き方の見直しが必要だとした。 ただ、白書が示した対策は、安倍政権が進める働き方改革や人材への投資に沿った内容で、新味は薄い。 (関根慎一、asahi = 7-21-17)


出光と昭シェルの経営統合に道筋、高裁も創業家の抗告を棄却

東京高等裁判所は 19 日、出光興産の計画する公募増資の差し止め請求を却下した東京地方裁判所の仮処分決定に対し、出光創業家が申し立てた即時抗告を棄却する決定を下した。 高裁によって公募増資が認められたことにより、出光にとって昭和シェル石油との経営統合への道が開かれることになる。

決定要旨によると、東京高裁は、新株発行の主要な目的が資金調達でなく、経営陣が自らを有利な立場に置く不当な目的とまでは断定できず、「著しく不公正な方法」ということはできないとし、東京地裁と同じ結論を出した。 公募増資は、第三者割当増資に比べて経営陣に反対する株主の支配権を弱めさせる確実性が低く、出光は借入金の返済資金を用意する必要性が高いことなどを理由に挙げた。

出光は 3 日、発行済み株式総数の 3 割に相当する新株を発行して資金を調達すると発表。 新株が発行されれば、昭シェルとの合併計画に反対していた創業家の持ち株比率は 3 分の 1 を下回り、合併決議を単独で否決できなくなる。 創業家は 4 日、新株発行は経営陣の支配権維持を主要な目的としており、「著しく不公正な方法」と主張し、発行の差し止めを求めていた。

調査・コンサルティング会社サークルクロスコーポレーションの塩田英俊シニアアナリストは、今回の高裁の判断により出光と昭シェルの「統合の可能性は非常に高まった」と評価する。 塩田氏によると、公募増資の払込期日を 20 日に控えており、増資計画を「ひっくり返す望みは、ほぼなくなった」と指摘した。 出光は 12 日、公募価格を 1 株 2,600 円に決定し、20 日に 1,186 億円を調達する予定。 調達資金のうち 255 億円をベトナムのニソン製油所など海外投融資に充当するほか、112 億円を国内投資、155 億円を研究開発資金に振り向け、残りを昭シェル株取得時に調達した短期借入金の一部返済に充てる計画としている。

東京高裁に先立ち新株発行の差し止め請求を認めない決定を下した東京地裁は 18 日、出光は昭シェル株取得時の借入金の返済期限を 12 月に控えて、新株発行による資金調達の必要性が認められる一方、支配権を巡る争いで経営陣が自らを有利な立場に置く不当な目的が存在したと一応認められると指摘した。 高裁の決定を受け、出光創業家代理人の鶴間洋平弁護士は電子メールで、新株発行を計画している出光の経営陣に対し「強く抗議」するとともに、昭シェルとの経営統合には「断固として反対し続ける所存」との声明を発表した。 ただし、最高裁への抗告はないとしている。 (占部絵美、稲島剛史、Bloomberg = 7-19-17)

初 報 (11-17-15)

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石油元売り「民族系」、「外資系」対立の終わり

出光興産と昭和シェル石油が 9 日に発表した業務提携は、日本の石油業界の一時代が終わった象徴といえる。 両社は先に合意した合併が出光創業家の反対で進んでおらず、可能な分野から提携の果実を狙うが、合併の方針は変えていない。 4 月には旧日本石油を源流の一つとする JXTG ホールディングスも誕生したばかり。 時代がかった「民族系」、「外資系」という元売り業界の区分は名実ともなくなる。

戦争体験から欧米メジャーへの対抗

「日本人にかえれ。」 2011 年 6 月、出光は創業 100 周年にあわせ新聞にこんな文言を盛り込んだ一面広告を出している。 言葉の主は出光佐三氏。 映画にもなった小説「海賊とよばれた男」で広く知られ、出光では「店主」と呼ばれてきた人物だ。 佐三氏率いる前身の出光商会は戦前、日本石油(当時)の販売店からスタートした。 国内市場は先行する国内資本と外資系が圧倒的に強い。 そこで佐三氏は英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどが欧米大手が支配する中国大陸の成長性に着目した。

出光は敗戦で海外事業を失い、どん底を経験したが立ち直る。 日石を含め国内勢は欧米大手との提携で元売りに復帰するなか、出光は独自路線にこだわり 1949 年に外資に頼らず元売りに「昇格」。 欧米がイラン制裁を決めたなか、佐三氏がイラン産原油の輸入を強行した「日章丸事件」も有名な話だ。 北九州市にある出光の博物館では当時のフィルムを誇らしげに放映していた。

佐三氏に限らず石油業界の重鎮はナショナリストが多い。 産業を支える石油をいかに自前で調達するかは時代を超えた課題だ。 それに加え、一定以上の世代になると「ABCD 包囲網」に直面し、原油を確保しようと太平洋戦争に突き進んだ体験が染みついている。 外資頼みへの警戒感は強い。 「民族系」という言葉を操る石油首脳の言葉には誇りさえ感じられた。

日石と出光、競争から提携へ

長く業界の盟主として君臨した日石の代表格は建内保興氏だ。 太平洋戦争が始まった 1941 年に日石に入社し、2 度の石油危機も経験して 80 年に社長に就任。 88 年の「日本石油百年史」の巻頭では「自主原油を確保し、従来の精製・販売と併せた一貫体制の実現を図るとともに、事業の多角的展開を推進」と書いている。 90 年代には、日石と米カルテックス(現シェブロン)との精製合弁会社の株式を日石が取得。 念願の精製「自主権」を回復し、強固な国内販売網との一貫体制を実現した。

90 年代まで激しい販売競争を繰り広げた日石と出光だが、近年は元売りとしては業務提携を通じて過度の競争は避ける傾向があった。 むしろ民族系のライバルは「外資系」の昭シェルや、米エクソンモービルの子会社だった東燃ゼネラル石油。 昭シェルや東燃ゼネは別会社で運営する精製部門のコスト競争力が高い。 外資系の提示する卸価格が市況の参照にされることが多く、民族系の販売担当者も 2010 年代前半まで東燃ゼネを「プライスリーダー」と認めていた。

昭シェル、東燃ゼネとも日本では 100 年以上の歴史がある。 外資流を日本に紹介する役割を担ってきた面もある。 だが、エクソンそして英蘭シェルは石油需要が増えない日本に見切りをつけ、株式売却を決断。 日石の流れをくむ JX ホールディングス (HD) は東燃ゼネと統合し、JXTGHD が誕生。 出光も昭シェルとの合併を根気強く続ける構えだ。 エクソンやシェルの出身の幹部も日本を去り、佐三氏の言葉通り日本の石油会社は「日本人にかえる」ことになる。

変わる「ABCD」

エクソンやシェルは 14 年後半からの原油安で大規模リストラを実施し、固定費を圧縮した。 と同時に液化天然ガス (LNG) の開発や、シェール鉱区のコスト削減で原油価格に左右されにくい収益体質を築いた。 両社とも 17 年 1 - 3 月期の業績は大幅増益だ。 日本の運命を左右した「ABCD」 4 カ国のうち、米国 (A)、英国 (B)、オランダ (D) は日本の元売りから消えた。 アジアで成長を狙うとすれば、中国 (C) の国有石油会社との競合は避けられない。 「民族系一色」になった日本の石油会社が、メジャーとはひと味異なる事業モデルを提示することができるか問われる。 (加藤貴行、nikkei = 5-9-17)


銀座の路線価が最高額を更新 … 官製バブル、いずれ崩壊?

2017 年分の路線価は、全国平均が前年を 0.4% 上回り、2 年続けて上昇した。 とくに全国最高価格となった東京・銀座は 1 平方メートルあたり 4,032 万円で、バブル期ピークの 3,650 万円(1992 年)を超え、最高額を更新した。 全国の主要都市でも地価は上昇傾向だ。 「新バブル」は日本経済にとって朗報か、それとも崩壊の奈落に沈む予兆なのか。

観光・五輪・異次元緩和 空前のカネ余り

仕事がら歩く機会の多い東京・大手町のオフィス街で最近よく迷うようになった。 次々とビルが建て替えられ、景観ががらりと変わってしまったからだ。 30 年ほど前、日本の地価は全国で異常に高騰した。 日本の土地の時価総額で「米国を四つ買える」と言われたほどだ。 当時ほどの熱狂はないにせよ、東京都心の一等地はいま、再び投資ブームにわいている。

地価上昇の "物語" を紡ぐ三つのキーワードがある。 「観光大国」、「オリンピック」、「超金融緩和」。 いずれも政府・日本銀行の政策を原動力とする「官製バブル」の色彩が濃い。 円安を追い風に中国などアジア各国から観光客が押し寄せる。 訪日観光客は昨年初めて 2 千万人の大台を突破、2,400 万人に。 3 年後に迫った 2020 年東京五輪・パラリンピックではホテル不足が見込まれ建設ブームが起きている。 全国での客室の新増設計画は昨年、例年の 2 倍ほどの 7 万室を超えた。 バブル期並みの水準である。

さらに大阪では 2025 年をめざして万博誘致プロジェクトが動き出した。 まるで 1960 年代から 70 年代にかけての〈東京五輪 → 大阪万博 → 経済大国〉という成長シナリオの再現をめざすかのように。 訪日観光客を増やす円安環境も、不動産投資ブームを後押しする超低金利も、もとをたどれば日銀の異次元緩和政策にいきつく。 かつてない規模でお金を銀行に流しこみ、市場金利をゼロやマイナスに誘導する。

開始から 4 年超。 「ここまで長期化したことが業界の投資意欲を強めた」と都市未来総合研究所の平山重雄常務執行役員は話す。 こうして空前のカネあまりの世界ができた。 10 年長期国債はゼロ金利。 住宅ローン金利も 10 年固定で年率 1% を切るのが最近の通り相場だ。 これほど住宅ローンや投資資金が借りやすい時代はかつてなかった。 (編集委員・原真人、asahi = 7-11-17)

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銀座の路線価、バブル期を超す 1 平方 m で 4,032 万円

国税庁は 3 日、相続税や贈与税の計算基準となる 2017 年分の路線価(1 月 1 日時点)を公表した。 全国平均は前年を 0.4% 上回り、2 年連続で上昇。 上げ幅は 0.2 ポイント拡大した。 東京・銀座では、バブル期の水準を超え、路線価の最高額を更新した。 低金利で住宅需要が底堅いうえ、都市部での再開発や不動産投資、訪日客増加が引っ張ったとみられる。

都道府県別では、東京、愛知、大阪など 13 都道府県で上昇。 投資需要は地方中心都市にも波及し、北海道、宮城、広島、福岡など 10 都道府県で上げ幅が広がった。 上げ幅は宮城が 3.7% でトップ。 東京、沖縄が 3.2% と続いた。 宮城は仙台市の地下鉄東西線の開業、東京は五輪に向けた再開発、沖縄は人口増が影響したとみられる。 下落は 32 県で、うち 26 県で下げ幅が縮んだ。 一方で、地震のあった熊本は前年の上昇から下落に転じた。 岩手も下げ幅が広がった。 石川と岡山は横ばいだった。

都道府県庁がある都市の最高路線価では、東京・銀座の文具店「鳩居堂」前が 1 平方メートルあたり 4,032 万円で 32 年連続で日本一。 バブル経済後の 1992 年に記録したピーク(3,650 万円)を上回った。 上げ幅でも 26% でトップだった。 収益性の高さやブランド力が投資を呼び込んだ。 京都、札幌、横浜、大阪、金沢、神戸、仙台、福岡、広島で 10% を超えた。 上昇の都市は前年の 25 から高松、佐賀が加わり、27 に増えた。 日本不動産研究所は「企業の投資意欲が続けば、今後も緩やかに地価は上昇するだろう」と分析する。 (磯部征紀、田内康介、asahi = 7-3-17)

〈路線価〉 主要道路に面した 1 平方メートルあたりの土地の評価額(1 月 1 日時点)。 国土交通省が出す公示地価(同)の 8 割を目安に、売買事例や不動産鑑定士の意見なども参考に国税庁が算出する。 今年は約 33 万 3 千地点が対象になった。

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住宅地の全国平均、9 年ぶり下げ止まり 公示地価

国土交通省は 21 日、2017 年の公示地価(1 月 1 日時点)を公表した。 住宅地の全国平均は前年から横ばい(0.022% 上昇)で、9 年ぶりに下げ止まった。 ただ、地方を中心に、まだ全調査地点の 4 割超で値下がりが続く。 都市部への移住が進み、特に駅の近くなど利便性の高い場所が値上がりして地価全体を押し上げている。

住宅地では、3 大都市圏(東京、名古屋、大阪)が前年と同じ 0.5% の伸びだった。 4 年連続の上昇だが、頭打ち感も出ている。 その分、地方中核都市の札幌、仙台、広島、福岡の 4 市が 2.8% と高く伸びた。 「札仙広福」とも呼ばれ、3 大都市よりマンション建設を優先する開発業者も増えている。 特に仙台は、全国の上昇率トップ 10 のうち 7 地点を占めた。 いずれも 15 年 12 月開業の地下鉄東西線沿線。 ただ、同市内でも中心街へのアクセスが劣る地点は下落している。

3 大都市でも地方 4 市でもない地方圏(その他)は 0.8% の下落だった。 最近は下落率が縮んでいるが、1996 年から 22 年連続のマイナスとなった。 都道府県別で値上がりは 9 都県。 広島県は上昇に、昨春に大地震があった熊本県は下落に転じた。 一方、商業地の全国平均は 1.4% 上がった。 上昇は 2 年連続。 訪日客に人気の地点で値上がりが目立ち、買い物客が多い東京・銀座や大阪・道頓堀、名古屋・名駅、有名観光地の京都・八坂神社近辺などは 3 - 4 割の上昇率だった。

工業地の全国平均も 0.3% 上がった。 9 年ぶりの上昇で、高速道路のインターチェンジ付近など、ネット通販の拡大で需要が増す物流施設ができた地域で上がった。 すべての地価の全国平均は 0.4% 上昇。 07、08 年以来の 2 年連続の値上がりだが、上昇率は 08 年の 1.7% より小さい。 (石井潤一郎、asahi = 3-21-17)


企業の物価上昇見通し、0.8% に 景況感の改善で

日本銀行が 4 日に発表した 6 月の「企業の物価見通し」は、1 年後の物価上昇見通しの平均が 0.8% と、前回 3 月調査より 0.1 ポイント上がった。 1 年後の物価予想が上昇するのは 2 四半期ぶり。 景況感の改善や人手不足による賃上げなどで物価が上がりやすくなるとの見方が経営者の間で強まったとみられる。 日銀は 3 カ月ごとの全国企業短期経済観測調査(短観)にあわせ、企業の物価予想を調べている。 3 年後の見通しは 1.1% で前回より 0.1 ポイント上がり、5 年後も 1.1% で横ばいだった。 (asahi = 7-4-17)


景況感、3 四半期連続の改善 日銀短観

日本銀行が 3 日発表した 6 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数 (DI) がプラス 17 と、前回 3 月調査より 5 ポイント改善した。 3 四半期(9 カ月)連続の改善で、2014 年 3 月以来、3 年 3 カ月ぶりの高水準となった。 堅調な海外経済を背景に改善傾向が続いている。 短観は日銀が全国の約 1 万 1 千社に景況感を聞く調査で、DI は景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数。

大企業・製造業の業種別は、鉄鋼が前回より 16 ポイント改善。 東京五輪に向けた建設需要や、中国など海外向けが好調だった。 携帯電話など IT 関連部品や生産設備の伸びで、電気機械と生産用機械はともに 6 ポイント改善。 自動車は需要が一段落して 2 ポイント悪化した。 大企業・非製造業の DI は 3 ポイント改善のプラス 23 で、2 四半期(6 カ月)連続で改善。 再開発需要が堅調な建設が 5 ポイント改善し、不動産は横ばいだが高水準だ。 訪日客向け需要が持ち直し、旅客など運輸関連が 7 ポイント改善し、消費回復で小売りも 5 ポイント改善した。 (河合達郎、asahi = 7-3-17)

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日銀短観 大企業・製造業、景況感 2 期連続改善 円安で輸出好調 全産業、先行き悪化 3 月

日銀が 3 日発表した 3 月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数 (DI) が大企業・製造業でプラス 12 (前回 12 月調査はプラス 10)となり、2 四半期連続で改善した。 大企業・非製造業はプラス 20 (同プラス 18)と 2015 年 9 月以来 1 年半ぶりの改善。 米国など世界経済が持ち直し、円安傾向にあることで輸出企業を中心に景況感は上向いている。 一方、先行きの DI は全規模・全産業で悪化。 全規模・全産業で人手不足感を示す指数が約 25 年ぶりの水準にあることも影響し、慎重な見方が目立つ。

DI は、景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。 大企業・製造業の DI は 16 業種中、12 業種で改善した。 円安で乗用車輸出が伸び、国内でも新車販売が好調な「自動車」が 8 ポイント改善のプラス 18、中国向けのスマートフォン用電子部品の輸出が堅調な「電気機械」が 6 ポイント改善のプラス 10 だった。 悪化は 4 業種で、円安で原材料価格が上昇した「紙・パルプ」が 8 ポイント悪化のプラス 3 だった。

大企業・非製造業は 12 業種中、8 業種で改善。 国内景況感の改善と、訪日外国人消費の回復傾向を受けて「宿泊・飲食サービス」が 8 ポイント改善のプラス 17、「小売り」が 2 ポイント改善のプラス 5 だった。 一方、警備業界など人手不足による人件費上昇が重荷となりつつある「対事業所サービス」が 3 ポイント悪化してプラス 30 となった。 中小企業の景況感も改善した。 製造業の DI は 4 ポイント改善してプラス 5、非製造業も 2 ポイント改善してプラス 4 だった。 改善はともに 3 四半期連続となる。

3 カ月後の先行き DI は、大企業・製造業で 1 ポイント、非製造業で 4 ポイント悪化を見込む。 雇用人員判断では、「過剰」から「不足」を差し引いた DI は全規模・全産業で 4 ポイント下落のマイナス 25 と約 25 年ぶりの水準で、人手不足感の高まりを裏付けた。 3 月短観では 17 年度の想定為替レートも公表。 大企業・製造業は 1 ドル = 108 円 43 銭で、足元の 1 ドル = 111 円前後よりやや円高が進むと予想している。 (安藤大介、mainichi = 4-3-17)


シェアリングサービス国内市場 1.18 兆円、将来 2.63 兆円まで拡大へ

[東京] NTT 系列のシンクタンク、情報通信総合研究所(東京都中央区)は 28 日、住宅や自動車などを個人間で貸し借りする「シェアリングサービス」の国内市場規模は年間 1 兆 1,812 億円との推計結果を発表した。 将来的には 2 兆 6,323 億円まで拡大すると試算しており、今後、個人による遊休資産の活用はさらに活発化しそうだ。

市場規模はシェアリングサービスの利用状況などのアンケート調査をもとに、総務省の年代別人口、インターネット利用率調査を用いて推計した。 調査対象となったシェアリングサービスは、住宅などの「スペースのシェア」やフリーマーケットなどの「モノのシェア」、カーシェアなどの「移動のシェア」、クラウドソーシングなどの「スキルのシェア」、クラウドファンディングの「お金のシェア」の 5 分野。 (Reuters = 6-28-17)


日銀総資産、初の 500 兆円突破 年内にも GDP 規模に

日本銀行が保有する国債などの総資産が、5 月末時点で初めて 500 兆円を突破した。 大規模な金融緩和で大量の国債などを買い入れているためで、総資産は緩和開始前の 3 倍超になった。 日銀は今後も買い入れを続ける方針で、総資産は年内にも国内総生産 (GDP) と同じ規模になる可能性がある。

日銀が 2 日に公表した営業毎旬報告によると、総資産は 5 月末時点で 500 兆 8,008 億円で、前年同月末より 18%、約 75 兆円増えた。 全体の 85% に当たる約 427 兆円が国債。 名目 GDP に対する割合は 93% に達し、2 - 3 割台の米国や欧州を大きく上回る。 日銀は物価上昇率 2% の目標に向け、「年 80 兆円をめど」に長期国債を買い、株価指数などに連動する ETF (上場投資信託)も年 6 兆円ペースで買い入れている。 日銀は国債の品薄傾向に合わせ国債購入量を減らしているが、物価上昇率が 2% を上回るまでは総資産の拡大を続ける方針だ。 (藤田知也、asahi = 6-2-17)


日銀、景気判断 9 年ぶり「拡大」 物価見通しは引き下げ

日本銀行は 27 日の金融政策決定会合で、景気の基調判断を「緩やかな拡大に転じつつある」と上方修正した。 「拡大」の表現が入るのは、リーマン・ショック前の 2008 年 3 月以来、約 9 年ぶり。 17 年度の物価見通しは下方修正した。 大量の国債を買い入れて長期金利を「ゼロ % 程度」に誘導する金融緩和策は「現状維持」とした。 これまでの景気判断は「緩やかな回復基調を続けている」だった。 海外経済が堅調で輸出や生産が持ち直したことを反映した。 昨秋の米大統領選後の円安で企業収益も増えた。

会合では 3 カ月に 1 度公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」もまとめた。 物価上昇率の見通しは、16 年度は 1 月時点のマイナス 0.2% を同 0.3% に、17 年度はプラス 1.5% を同 1.4% へそれぞれ引き下げた。 今春闘での賃上げは振るわず、企業は値上げに踏み出しにくくなっているためだ。 18 年度はプラス 1.7% で変更せず、新たに示した 19 年度は同 1.9% とした。 目標の「物価上昇率 2%」の達成時期は「18 年度ごろ」で据え置いた。

実質国内総生産 (GDP) の成長率見通しは、16 年度は 1.4% で変えず、17 年度は 1.5% から 1.6% に、18 年度は 1.1% から 1.3% にそれぞれ引き上げ、19 年度は 0.7% とした。 金融政策は政策委員 9 人(総裁、副総裁 2 人、審議委員 6 人)のうち、賛成 7、反対 2 の賛成多数で決めた。 金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年 0.1% で据え置き、長期国債の買い入れ額は「年約 80 兆円をめど」で変えなかった。 黒田東彦(はるひこ)総裁は 27 日午後に記者会見し、会合の決定内容について説明する。 (藤田知也、asahi = 4-27-17)

日銀の新たな経済・物価見通し

・消費者物価指数

2016 年度-0.3 (-0.2)
17 年度1.4 (1.5)
18 年度1.7 (1.7)
19 年度1.9 -

・実質国内総生産 (GDP)

2016 年度1.4 (1.4)
17 年度1.6 (1.5)
18 年度1.3 (1.1)
19 年度0.7 -

* 前年度比 (%)。 かっこ内は 1 月の見通し。 19 年度は新たに示した。 物価は生鮮食品と消費増税の影響を除く。

日銀が今回まとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の主な内容

・景気は緩やかな拡大に転じつつある
・海外経済は緩やかな成長が続いている
・輸出・鉱工業生産は増加基調にある
・雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移している
・先行きの経済は緩やかな拡大を続ける
・物価はプラス幅の拡大基調を続け、2% に向けて上昇率を高めていく。 2% 程度に達する時期は 18 年度ごろ。


首都圏のマンション、契約率 66% 3 カ月連続で低迷

3 月に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の 1 都 3 県)で売り出された新築マンションの月末までの契約率は 66.2% で、3 カ月続けて好調の目安となる 7 割を切った。 売り出された戸数は前年同月比 26.6% 増の 3,408 戸だったが、1 戸あたりの平均価格が 5,588 万円と高止まりしており、売れゆきに響いた。 2016 年度(16 年 4 月 - 17 年 3 月)の月間契約率も平均 68.5% で、08 年度 (64.1%) 以来、8 年ぶりに 7 割を下回った。 1 平方メートルあたりの平均価格は 80.1 万円で、91 年度 (88.7 万円)以来の 80 万円台となった。 (asahi = 4-17-17)

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16 年 12 月の首都圏マンション発売戸数、13.2% 増 3 カ月ぶり増加

不動産経済研究所(東京・新宿)が 19 日発表した 2016 年 12 月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比 13.2% 増の 7,007 戸だった。 増加は 3 カ月ぶり。 契約戸数は 5,369 戸で、月間の契約率は 11.8 ポイント上昇の 76.6% だった。 17 年 1 月の発売戸数は 1,500 戸前後の見通し。

16 年 12 月の近畿圏の新築マンション発売戸数は 4.8% 増の 1,975 戸だった。 契約戸数は 1,367 戸で、月間契約率は 9.6 ポイント上昇の 69.2% だった。 17 年 1 月は 1,100 戸前後を見込んでいる。 同時に発表した 2016 年の首都圏の新規発売戸数は前年比 11.6% 減の 3 万 5,772 戸だった。 3 年連続で減少した。 1992 年(2 万 6,248 戸)以来 24 年ぶりの低水準だった。 17 年は 3 万 8,000 戸程度の見通し。 (nikkei = 1-19-17)

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9 月首都圏マンション発売戸数、前年比 40.9% 増 = 不動産経済研究所

[東京] 不動産経済研究所が 17 日発表したマンション市場動向によると、9 月の首都圏マンション発売戸数は前年比 40.9% 増の 3,424 戸となった。 10 カ月ぶりに増加した。 首都圏のマンション契約率は 72.0% と、好不調の分かれ目とされる 70% を 4 カ月ぶりに上回った。 1 戸当たりの価格は前年比 3.4% 上昇し、5,578 万円だった。 マンション販売在庫数は前月末比 108 戸減少し、6,120 戸となった。 10 月の発売戸数について、同研究所は 3,000 戸と見込んでいる。 (Reuters = 10-17-16)

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8 月首都圏マンション発売戸数、前年比 24.7% 減 = 不動産経済研究所

[東京] 不動産経済研究所が 14 日発表したマンション市場動向によると、8 月の首都圏マンション発売戸数は前年比 24.7% 減の 1,966 戸となった。 9 カ月連続で減少した。 首都圏のマンション契約率は 66.6% と、好不調の分かれ目とされる 70% を 3 カ月連続で下回った。 1 戸当たりの価格は前年比 3.6% 減少し、5,662 万円だった。 マンション販売在庫数は前月末比 270 戸減少し、6,228 戸となった。 9 月の発売戸数について、同研究所は 3,000 戸と見込んでいる。 (Reuters = 9-14-16)


機械受注統計、前月比 1.5% 増 2 カ月ぶり増加

内閣府が 12 日発表した 2 月の機械受注統計(季節調整値)によると、変動の大きい船舶・電力をのぞく民需の受注額は、前月比 1.5% 増の 8,505 億円だった。 増加は 2 カ月ぶり。 基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。 機械受注は企業の設備投資の先行指標。 内訳をみると、製造業が 6.0% 増で 2 カ月ぶりに増加。 パルプ・紙・紙加工品からの受注が伸びた。 非製造業は 1.8% 増と、3 カ月連続で増加した。 (asahi = 4-12-17)

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機械受注 1 月は前月比 -3.2%、製造業弱く予測下回る

[東京] 内閣府が 13 日に発表した 1 月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比 3.2% 減の 8,379 億円となった。 製造業の弱さが目立ち 2 カ月ぶりの減少。 ロイターの事前予測調査では 0.5% 増と予想されていたが、これを下回った。 前年比では 8.2% 減だった。 内閣府は、機械受注の判断を、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。 なお、季節調整替えが行われたため、前月までの数値は改定された。

製造業からの受注は前月比 10.8% 減で 4 カ月ぶりの減少。 非製造業は 0.7% 増と 2 カ月連続の増加と好調。 機械受注は、トランプ米大統領の就任後、企業に先行き不安もみられたものの 12 月の受注額は前月比 2.1% 増と増加していた。 1 月は、製造業の減少、なかでも素材系からの受注の悪化が目立った。 非鉄金属や化学工業で、前月までの増加の反動が出たもよう。 加工型は、はん用・生産用機械を除き全般に増加した。 他方、非製造業では金融業・保険業に加え情報サービス業からのコンピュターの受注が増加したほか、不動産業からの受注も運搬機械などが好調だった。

1 - 3 月の受注見通しは前期比 1.5% 増加となっており、実現すれば 3 四半期連続の増加となる。 設備投資が順調に回復傾向をたどっていることを示唆するが、1 月がマイナスとなったことで実現は微妙だ。 達成には 2・3 月がそれぞれ前月比 4.4% 増となる必要がある。 機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。 設備投資の先行指標として注目されている。 (Reuters = 3-13-17)

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12 月の機械受注、6.7% 増 2 カ月ぶりプラス

内閣府が 9 日発表した 2016 年 12 月の機械受注統計(季節調整値)によると、変動の大きい船舶・電力をのぞく民需の受注額は、前月比 6.7% 増の 8,898 億円だった。 増加は 2 カ月ぶり。 基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。

機械受注は、企業の設備投資の先行指標とされる。 内訳をみると、製造業は 1.9% 増と 2 カ月連続で増加。 好調な自動車生産を背景に、化学工業などからの受注が伸びた。 非製造業(船舶・電力を除く)は運輸業・郵便業などが押し上げ、3.5% 増と 2 カ月ぶりに増加した。 昨年 10 - 12 月期の受注額は、前期比 0.2% 減と 2 四半期ぶりに減少。 ただ、1 -3 月期の見通しは前期比 3.3% 増で、内閣府は「設備投資は今後底堅く推移する」とみている。 (asahi = 2-9-17)

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11 月の機械受注、5.1% 減 2 カ月ぶりマイナス

内閣府が 16 日発表した昨年 11 月の機械受注統計(季節調整値)によると、変動の大きい船舶・電力をのぞく民需の受注額は、前月比 5.1% 減の 8,337 億円だった。 減少は 2 カ月ぶり。 基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。 機械受注は、企業の設備投資の先行指標。 内訳をみると、非製造業(船舶・電力を除く)が 9.4% 減と 2 カ月ぶりのマイナスとなり、全体を押し下げた。 運輸業・郵便業や卸売業などが振るわなかった。 製造業は、電気機械や非鉄金属からの受注が伸び、9.8% 増と、4 カ月ぶりにプラスとなった。 (asahi = 1-16-17)

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機械受注 10 月は 3 カ月ぶり増加、製造・非製造業で明暗

[東京] 内閣府が 12 日に発表した 10 月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比 4.1% 増の 8,783 億円となった。 3 カ月ぶりの増加。 ロイターの事前予測調査では 1.0% 増と予想されていたが、これを上回った。 非製造業が 3 カ月ぶりに増加した一方で、製造業は減少を続けており、明暗が分かれた。 内閣府は、機械受注の判断を前月の「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。

10 月は 2 カ月連続の減少の後だけに、反動もあって増加した。 ただ、製造業は 3 カ月連続で減少。 半導体製造装置などが振るわず電機からの受注が減少したほか、非鉄金属が前月の大幅増の反動で減少した。 はん用・生産用機械も減少した。 一方、非製造業は 3 カ月ぶりに増加し、2013 年 5 月以来の高水準を回復。 「その他非製造業」や農林漁業、通信業などが寄与した。 外需は、水準は低いながらも 3 カ月連続で増加している。

10 - 12 月の見通しは前期比 5.9% 減の見通しとなっているが、内閣府では 10 月の実績を踏まえ、それほどの減少幅にはならないとみている。 11、12 月が横ばいで推移すれば、10 - 12 月期は前期比 1.0% 増と 2 四半期連続で増加すると試算している。 ただ、トランプ次期米大統領の政策をめぐる不透明感もあり、10 月までとそれ以降は金融市場の様相も企業の世界経済を見る目も異なっている。 機械受注と設備投資動向については 11 月以降の様子を見る必要がある。

機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。 設備投資の先行指標として注目されている。 (中川泉、Reuters = 12-12-16)

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9 月の機械受注、前月比 3.3% 減 2 カ月連続の減少

内閣府が 10 日発表した 9 月の機械受注統計で、変動の大きい船舶・電力をのぞく民需の受注額(季節調整値)は 8,437 億円で、前月より 3.3% 減った。 減少は 2 カ月連続。 基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と 4 カ月ぶりに下方修正した。 機械受注は企業の設備投資の先行指標となる。 製造業では需要が落ち込んでいる造船業や食品製造業が大幅に減少。 非製造業は情報サービス業が減った。 7 - 9 月期では前期比 7.3% 増。 10 - 12 月期の見通しは、円高で設備投資に慎重な動きが出て、前期比 5.9% 減と 2 期ぶりのマイナスの見込み。 (asahi = 11-10-16)


東海と北陸で景気「拡大」 日銀 4 月報告、生産堅調

日銀は 10 日公表した 4 月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国 9 地域のうち東海と北陸で景気が「緩やかに拡大している」と判断した。 強い回復を示す「拡大」を 2 地域以上に使うのは 2008 年 4 月以来。 他の 7 地域も景気は回復基調だ。 自動車や電子機器を含む企業の生産が堅調だ。 一方、住宅投資の鈍化や人手不足は経済回復の重荷となっている。

今回のリポートで初めて、調査対象となった企業などの声を詳細に掲載した。 北陸は前回報告(1 月)の「回復」から「緩やかに拡大」へと景気判断を引き上げた。 同地域が「拡大」の表現を使うのは、25 年 5 カ月ぶり。 電子部品などの生産が増え、北陸新幹線の延伸関連など公共投資も増加した。 東海は 16 年 1 月以降、6 回連続で「拡大」の表現を使った。 内田真一・名古屋支店長は「企業の設備投資はしっかりしている。 長期的視野で投資が進められている。」と説明した。

国内全体でも生産や公共投資がけん引役だ。 衛藤公洋・大阪支店長は「アジア向け半導体製造装置、米国や資源国向け鉱山機械など輸出の伸びが強めだ」と指摘した。 一方、住宅投資については供給過剰懸念が強まっているとの認識が各地域で強く、3 地域が景気判断を引き下げた。 日銀が今回調査から公表を始めた企業の声からは「販売価格の高さが嫌気され新築マンション販売が鈍っている(仙台)」など過熱感が映し出された。

人手不足への警戒も強い。 特に非製造業で厳しい認識があり、杉本芳浩・札幌支店長は「バスやトラックの運転手のほか仲居が確保できない。 事業をたたむ企業もある」と懸念する。 秋山修・福岡支店長も「人手不足で工事の進捗が遅れている。訪日外国人(インバウンド)で観光バスの需要が増えているが人手が足りない」と説明した。 (nikkei = 4-10-17)


基調判断は維持、消費と企業収益を上方修正 = 月例経済報告

[東京] 政府は 3 月の月例経済報告で、個人消費と企業収益の判断を上方修正したが、全体の基調判断は「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と据え置いた。 個人消費は前月までの「持ち直しの動きが続いているものの、このところ足踏みが見られる」から、「総じて見れば持ち直しの動きが続いている」に修正。 12 月に上方修正した後、2 月に下方修正したばかりだが、3 月は再び上方修正した。 企業収益については、10 - 12 月期法人企業統計で経常利益が前年比、前期比とも伸びており、「改善の動きが見られる」から「改善している」に上方修正となった。 (Reuters = 3-23-17)