宿泊客増加へ「3 本の矢」 出雲市長 3 期目会見 島根

出雲市の長岡秀人市長は 3 期目が始まった 17 日に会見し、「出雲の観光の最大の弱点は滞在時間が少ないことだ」と述べ、市内の宿泊客の増加に力を入れる考えを示した。 県観光動態調査(2016 年速報)によると、松江市と比べ、延べの入り込み客は約 170 万人多い約 1,200 万人だが、宿泊客は逆に 3 分の 1 に満たない約 62 万人にとどまっている。

出雲市を含む大山隠岐国立公園は昨年、訪日外国人を増やす取り組みを集中的に進める環境省の「国立公園満喫プロジェクト」に選ばれた。 長岡氏はこれに加え、市内の稲佐の浜や日御碕地域の日本遺産認定と松江・出雲地域の日本ジオパーク認定(いずれも申請中)の二つを加え、観光の「3 本の矢」として取り組む考えを強調。 「出雲市内で泊まって他の地域を観光してもらう。 この三つの矢を束ねたようなシンボリックなテーマを今後、出雲から発信したい。」と話した。 また 2020 年の日本書紀編纂(へんさん) 1300 年に向け、市として準備を進めることも明らかにした。 (今林弘、asahi = 4-18-17)

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人口集中と過疎、出雲で進む二極化 島根

出雲市長選と市議選が 4 月 2 日に告示される。 外国人住民の増加により昨年、山陰両県の 12 市で唯一人口が増えたが、市内に 42 ある地区別では約 7 割の地区で人口が減っている。 住民の集中と過疎化が隣り合わせだ。 春が一気に訪れたような子どもたちの声が室内に響き渡る。 今月中旬、出雲市小山町の市四絡(よつがね)コミュニティーセンター。 2 歳までの子どもたちがひな祭りを楽しむ恒例のパーティーに 25 組の親子が参加した。

「四絡では少子化問題はありません。」 そう話すのは企画した子育て支援の会「なかよしコアラ」代表の三吉章子さん (58)。 センターによると、四絡地区で 2015 年度に生まれた子どもは 200 人を超える。 人口千人当たりの出生率は県全体の 7.9 (15 年 10 月 - 16 年 9 月)を大きく上回る 17.5。 次々と建つ集合住宅に若い夫婦が移って来るからだ。 1 歳 7 カ月の娘と参加していた主婦 (34) は 3 年前の結婚をきっかけに、他地区から移り住んだ。 「暮らしの利便性を考えてここを選んだ」と話す。 (今林弘、asahi = 3-31-17)


中国 5 県の人口、3 万 2 千人減 昨年、広島で社会増 総務省推計

総務省が 14 日発表した中国 5 県の 2016 年 10 月 1 日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は 3 万 2 千人少ない 740 万 6 千人となった。 5 県全てで人口は減少し、出生より死亡が多い「自然減」だった。 広島県のみ就職や転勤、進学などで県外からの流入が上回る「社会増」だった。 生産が活発な製造業が外国人の技能実習生を受け入れる動きが目立った。

5 県人口の内訳は広島県で 283 万 7 千人、岡山県で 191 万 5 千人、山口県で 139 万 4 千人だった。 島根県で 69 万人、鳥取県で 57 万人だった。 減少率では 5 県のうち広島がマイナス 0.23% と最も少なく、山口がマイナス 0.74% と最も多かった。 広島県は 0.01% の社会増だった。 県によると外国人の入国者数が増加したことが影響した。 製造業の生産が活発なため、東南アジアから技能実習生を受け入れる企業の動きが目立ったとみられる。 県東部では日本語の語学学校に来る外国人留学生の動きも見られたことも社会増につながったという。

高齢化も進んでいる。65 歳以上の人口割合で 30% を超えたのは鳥取、島根、山口の 3 県。鳥取は初めて 30% を超えた。 15 歳 - 64 歳の生産年齢人口では島根が 54.5% と全国で最も低かった。 少子化も進んでいる。 15 歳未満の割合は中国 5 県全てで 0.1 ポイント下がった。 広島県は少子化対策として有配偶者率の向上、多様な保育サービスの充実、子育ての不安を解消するワンストップサービスの相談体制の確立などに取り組む。 大都市圏にはない「都市」と「自然」の両方の魅力を強みとした移住定住の促進を進める狙いだ。 (nikkei = 4-15-17)


武者装束で流鏑馬奉納 津和野・鷲原八幡宮 島根

津和野町鷲原(わしばら)の鷲原八幡宮で 9 日、町の無形民俗文化財の流鏑馬(やぶさめ)が奉納された。 小雨が降るあいにくの天候だったが、観光客らは満開となった馬場沿いの桜並木と勇壮な時代絵巻を楽しんだ。

地元の保存会が弓馬術礼法の小笠原流宗家の協力を得て開いた。 馬場は鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)を模して室町時代に造ったという県史跡で、長さは約 250 メートル。 途中 3 カ所の木製の的(約 50 センチ四方)に向け、疾走する馬にまたがった武者装束の射手が次々に矢を放った。 的に命中するたびに観客から歓声や拍手が起きた。 この馬場での流鏑馬は室町末期に始まったとされ、一時途絶えていたが 1976 年に復活した。 保存会の米沢●(●はうかんむりに「右」)文会長は「町の伝統文化を継承し、後継者も育てていきたい」と話した。 (礒部修作、asahi = 4-11-17)


奥出雲で地酒の魅力 PR 酒蔵開放し多彩な催し

地酒の魅力を PR するイベント「酒蔵参観日」が 8 日、島根県奥出雲町亀嵩の奥出雲酒造と隣接する道の駅・酒蔵奥出雲交流館で始まり、県内外からの来場者が酒かすの詰め放題や酒蔵見学といった多彩な催しを満喫した。 9 日まで。 「蔵参観」の愛称で親しまれる同イベントは、奥出雲酒造が日本酒を身近なものとして感じてもらおうと毎年この時期に開いている。 (山陰中央新報 = 4-9-17)


超高水圧加工玄米、認知症改善に有用性 島根県産技センターが確認

【松江】 島根県産業技術センターは、超高水圧加工玄米の摂取効果を検証した。 同玄米は水に浸した玄米を 6,000 気圧で粉砕加工したもので、認知症改善などに一定の有用性が認められたという。 専門家チームで健康への効果など検証作業を続けていた。

島根大学医学部の橋本道男特任教授は、50 人のモニターが 1 年間同玄米を摂取した結果、白米の摂取者と比べて骨密度低下の予防や改善などで効果があったと検証した。 同志社大学大学院脳科学研究科の杉本八郎教授はマウスで Y 字迷路試験などを行い、老化に伴う認知機能低下や運動機能低下などに対する予防効果が期待できるとした。 島根県産業技術センターと共同で同玄米を共同開発したエリーゼ(島根県飯南町)の木下仁志社長は「菓子や麺などの食品や、医療分野にも活用してもらえるように技術の多様化を進めていきたい」と話している。 (日刊工業新聞 = 4-7-17)


観光農園、地域活性に一役 ファーム今在家 島根

出雲市斐川町の春の代表的なイベントが、4 月に今在家地区で開かれる「斐川チューリップ祭」。 主催するのは農事組合法人「あかつきファーム今在家」。 イチゴやブドウ狩りが楽しめる観光農園も運営し、地域活性に一役買っている。

斐川町は斐伊川沿いに肥沃な土地が広がり、古くから米どころで知られる。 「あかつきファーム今在家」は 2003 年、農作業の効率化などを目的に今在家地区の農家によって設立された。 今は約 76 ヘクタールの農地で組合員約 80 人が米やタマネギ、キャベツなどを栽培。 野菜は地元小中学校の学校給食の食材にも使われている。

3 月下旬、記者が事務所を訪ねると、今月 8 日から始まるチューリップ祭の準備が進んでいた。 会場は約 1.6 ヘクタールの水田で、稲を刈り取った後の昨年 12 月中旬に球根を植え、組合員が交代で世話をしてきた。 毎年、祭りの時期に開花するか気をもむという。 今年はやや成長が遅めだが、組合長の久野晴見さん (66) は「約 40 万本の花が咲く予定。 たくさんの人に楽しんでもらいたい。」と話す。

チューリップ祭は 16 日までで、入場料大人 300 円、小学生 100 円。 チューリップの販売(8 - 9 日のみ)や松江フォーゲルパークのペンギンの散歩(9 日のみ)などのイベントもある。 問い合わせはあかつきファーム今在家 (0853・72・4914) へ。 (井潟克弘、asahi = 4-4-17)


旬の味どうぞ 松江で「岩がき小屋」オープン

松江市産の岩ガキを食べられる「岩がき小屋(松江市東朝日町)」が 1 日、オープンする。 冬場に人気を博した「カニ小屋」に続く企画で、同市島根町で取れた旬の岩ガキを提供する。 5 月 7 日までの約 1 カ月間オープンし、市民や観光客に楽しんでもらう。 かに小屋を運営した市内の経営者有志が昨年に続き実施。 松江市産の岩ガキの認知度向上と観光対策を兼ね、同市東朝日町の松江港の倉庫を借りて期間限定で開設する。

店内は、来店者が自分で岩ガキを蒸して、殻を取って食べるセルフ方式。 岩ガキは量り売りで、100 グラム当たり 220 円。 調理の手間を省くことで、手頃な価格を実現した。 3 月 30 日にあった内覧会には、観光関係者や市民ら 50 人が参加。 友人と訪れた松江市灘町の大学職員中村和可子さん (46) は「身が詰まっていて、濃厚な味でおいしい」と満足そうだった。

世話人の一人で、映像制作会社メディアスコープの中尾禎仁社長 (49) は「島根町産の岩ガキのおいしさを多くの人に伝えたい」と来場を呼び掛けた。 営業時間は平日が午後 5 時 - 10 時、土日祝日が午前 11 時 - 午後 10 時。 同店舗の問い合わせ先は、電話 090・4100・6942。 (山陰中央新報 = 4-1-17)


出雲大社参拝 近くに宿 温泉旅館とホテル併設、5 月開業

ホテル「ドーミーイン」を展開する共立メンテナンスは 5 月 15 日、出雲大社(島根県出雲市)の近くに客室数 160 室の宿泊施設を開業する。 高級温泉旅館と和風ホテルを同一敷地に設ける。 出雲大社はこれまで参拝だけして別の場所で宿泊する観光客が多かった。 近隣の日御碕や稲佐の浜などへの周遊と合わせ、滞在型観光を促す。

立地場所は出雲大社まで徒歩 8 分で、敷地面積は 6,990 平方メートル。 合計の延べ床面積は 1 万 1,040 平方メートル。 温泉旅館の「いにしえの宿 大社の湯 佳雲」は地上 4 階建てで一部は木造平屋建て。 「別邸」 4 室と離れ 2 室を含め 60 室ある。 別邸と離れは部屋に天然温泉の露天風呂を備える。 和風ホテル「お宿 月夜のうさぎ」は地上 7 階建てで、客室数は 100。 旅館とホテルの玄関は別だが内部でつながる。

出雲大社は縁結びの御利益が高いとされることもあり、共立メンテナンスは「パワースポットに関心の高い女子旅の市場は今後も拡大が見込める(リゾート営業推進室)」として進出を決めた。 1 泊の料金は温泉旅館が平日 1 泊 2 食付きの 2 人 1 室で 1 人 2 万 5,000 円から、ホテルは 1 人 1 万 9 千円からにする。 (nikkei = 3-31-17)


三江線沿線の住民調査、公共交通利用は 1 割程度 島根

来春廃止される JR 三江線の代替交通を検討するため島根、広島両県と沿線 6 市町などが発足させた「三江線沿線地域公共交通活性化協議会(法定協議会)」が 29 日、島根県川本町で会合を開き、公共交通の利用状況などについて沿線住民に聞いたアンケート結果を事務局が報告した。 外出時の移動手段について、住民の 7 割が自動車(自分が運転)と答え、鉄道や路線バスなど公共交通の利用は 1 割ほどにとどまった。

アンケートは 6 市町の計 1 万 1,500 世帯を対象に 1 月に実施し、回収率は 34%。 過去 1 年間に三江線を利用したのは 28% で、このうち約半数は年 5 回未満だった。 利用しなかった理由(複数回答)を、83% は「車を利用するため」とした。 次に多いのが「沿線で用事がないため (36%)」。 代替交通のバス運行(同)については、69% が「ダイヤが重要」と答え、次いでルート、本数の順に重視する意見が多かった。 協議会は結果を基に、具体的なバスの運行ルートや本数、ダイヤ、運賃などを決める。 (礒部修作、asahi = 3-30-17)


島根原発事故想定し避難訓練 境港 - 鳥取市バス乗車

中国電力島根原発(島根県松江市鹿島町)の事故を想定した鳥取県境港市の住民による避難訓練が 26 日行われ、鳥取県の広域住民避難計画に基づき、境避難先に指定されている鳥取市内の公共施設までの避難経路と手順を確認した。 避難計画に盛り込まれている避難経路や退域時の検査会場、避難先の施設を住民が確認する機会として、今回は境港市米川町の 14 人が参加した。 一行は境港第二市民体育館に集合してバスに乗車。 避難時に検査会場となる大山町名和の名和農業者トレーニングセンターを経由し、鳥取市へ向かった。

同市内では米川町の約 230 世帯、700 人の避難先となっている面影地区公民館と倉田体育館、倉田小学校体育館を視察。 施設の広さやトイレの設置状を確認した。 案内した鳥取市の担当者は「避難所の駐車場の数やペット同伴に対応できるかなど、計画の問題点を洗い出す必要がある」と指摘。 米川町防災会の坂田広胤会長も「いざというときは大挙して避難することになり、受け入れ態勢も大変。 実際に視察する機会は重要。」と話した。 (真田透、日本海新聞 = 3-27-17)


「島根でしかできない 50 のこと(英語、繁体字版)」がリリース

タイムアウト東京のガイドマップに、島根県を取り上げた「50 things to do in Shimane (島根でしかできない 50 のこと)」が新たに加わった。 誌面では、出雲、松江、石見、隠岐といったエリアから、観光地やレストラン、バー、ショップなどを紹介。 タイムアウト東京ならではの外国人目線に根ざした切り口で、定番スポットから地元民が認めるローカルなレストランやバー、陶磁器のショップなどを 50 の「TODO (= そこでしかできないこと)形式」で紹介している。

出雲大社だけでなく、稲佐の浜や出雲そば、ワイナリーなど、コンパクトなエリアにたくさんの魅力が詰まっている出雲エリア。 出雲大社駅舎の脇には、映画『RAILWAYS』の舞台にもなった一畑電車の旧車両が展示されているので、必見だ。 島根県の中心地、松江エリアでは、松江城周辺や大橋川沿いに点在するおしゃれな雑貨屋やカフェをはじめ、山陰きっての酒造である李白酒造や、老舗料亭「庭園茶寮 みな美」の鯛めし、島根牛を堪能できるお店など、街の見どころを多角的に紹介。 また、美肌の湯として名高い玉造温泉も取り上げている。

世界遺産の石見銀山や、伝統芸能の石見神楽などで知られる島根県西部の石見エリア。 歴史や伝統の香りを色濃く残しているこのエリアでは、ゆっくりと流れる時間のなかでこその様々な発見がある。 洋服や雑貨の販売、ギャラリースペースとカフェも併設している群言堂は、「暮らしの楽しさ」をコンセプトに、画期的な取り組みを行っている石見銀山生活文化研究所によるショップ。 また、島根県立石見美術館と島根県立いわみ芸術劇場で構成される複合文化施設のグラントワは、極めて耐候性が高いことで知られる伝統の石州瓦で建物を覆っている。この赤い石州瓦は石見エリアでは民家でも多く散見される。

2013 年の水害から復興し、美しい街並みと豊かな文化を取り戻して久しい津和野も、石見エリアの粋な魅力の一つ。 街の象徴でもある鯉は、側溝にその色とりどりの姿が泳ぐ殿町通りや、中庭にたくさんの鯉が放たれている「鯉の米屋」として知られる吉永米店などで、その立派な体躯を目にすることができる。

島根半島の北方、日本海に浮かぶ隠岐は、4 つの大きな島と、他の約 180 の小島からなる諸島。 円形で最も大きな島を「島後」と、西ノ島、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)の 3 島を「島前」と呼ぶ。 ダイナミックな侵食地形と離島独特の文化や歴史、生態系を持ち、世界的に価値のある地質や地形を含む地域として、ユネスコ世界ジオパークに認定されていることでも有名だ。 ローソク島や、国賀海岸、乳房杉など、圧倒的な大自然に包まれる隠岐の見どころを紹介している。

同マップは、英語版が 2017 年 3 月 17 日(金)から、繁体字版が 3 月 29 日(水)から、島根県内の観光案内所などで設置予定。 東京でも観光案内所やタイムアウトカフェ & ダイナーなどで配布される。 街で見かけた際には、ぜひ手に取ってみてほしい。 (Time Out Tokyo = 3-21-17)


断崖絶壁の国宝を救え 地震で参拝道に亀裂、寄付募る

昨年 10 月に鳥取県中部を襲った地震で、断崖絶壁に立つ三仏寺(さんぶつじ、同県三朝〈みささ〉町)の奥の院・投入堂(なげいれどう、国宝)への参拝道に亀裂が入り、参拝できない状態が続いている。 参拝道の修復に時間も費用もかかるため、三仏寺は 4 月に迂回(うかい)路を整備する方針を決め、寄付を募り始めた。 投入堂は標高約 500 メートルにあり、三徳山(みとくさん、標高約 900 メートル)のふもとの三仏寺本堂付近から上る約 1 キロの参拝道は、岩場が多く険しい。 昨秋の地震で三朝町は震度 5 強を観測。 参拝道の途中にある急斜面「クサリ坂」の大きな岩に幅約 10 センチ、長さ約 15 メートルの亀裂が入った。

亀裂の深さは 2 メートル以上あり、雨や雪の流入で亀裂部分が崩落する恐れもある。 すぐ横は絶壁で、三仏寺は安全が確保できないとして入山を禁止した。 その結果、地震直後から昨年 11 月までに計画されていた参拝登山の 14 ツアーがすべて中止になり、参拝客が激減。 紅葉シーズンで例年なら千人前後が訪れる祝日の 11 月 3 日も、昨年はわずか 80 人。 投入堂の参拝者から徴収する入山料の収入(大人 600 円など)が途絶え、寺の維持管理が難しくなっているという。

寺によると、亀裂の修復は山中での工事となり、機材や資材の運搬など作業自体が難しい。 期間は数年、費用も 1 億円程度かかる見込みだという。 このため、近くの岩場に鎖を付けたり、看板を設置したりするなど、約 200 万円をかけて迂回路を整備することにした。 17 日からクラウドファンディング (CF) で資金を募る。 (柏樹利弘、asahi = 3-20-17)


多彩な舞、会場魅了 浜田で神楽の里かなぎ共演大会

島根県の浜田、江津両市内の石見神楽団体が出演する「神楽の里かなぎ共演大会」が 18 日、浜田市金城町七条の金城総合体育館で始まり、来場者約 500 人が勇壮な舞に酔いしれた。 19 日も。 金城町内にある 10 の神楽団体でつくる同町石見神楽社中連絡協議会が毎年開き、12 回目。 例年は 1 日だけの開催で 10 演目程度を上演していたが、今年は多様な演目の継承につなげる目的で 2 日間の日程とし、17 団体が計 33 演目を披露する。

初日は、神迎えの儀式として舞われる「鈴神楽」で幕を開け、青原神楽社中(浜田市金城町)は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が九州を平定する様子を描いた「熊襲(くまそ)」をコミカルな掛け合いを交えて披露。 大都神楽団(江津市都治町)は、夫に別れを告げられた女性の恨みや憎しみを神楽化した「貴船」を熱演するなど、19 演目の舞を繰り広げた。

大会の実行委員長で波佐常磐倶楽部(浜田市金城町)の岡本謙二会長 (54) は「普段はなかなか見られない演目もある。 各社中による多彩な舞を楽しんでほしい。」と話した。 19 日は、都治神楽社中(江津市都治町)の「大蛇(おろち)」、佐野神楽社中(浜田市佐野町)の「武の内」など 14 演目が上演される。 (山陰中央新報 = 3-19-17)


廃炉原発課税条例を可決 島根 1 号機、県議会

島根県議会は 15 日、核燃料税条例の一部改正案を可決した。 中国電力は、島根原発 1 号機(松江市)の解体工程を示した「廃止措置計画」の認可を原子力規制委員会に申請中で、計画が認可されて廃炉作業に入った後も、引き続き課税できるようになる。 これまでの条例では、廃止措置計画が認可された後は1号機に課税できなくなるが、廃炉作業中も原子炉建屋内に使用済み核燃料が残ることなどから、防災や安全対策の費用が必要だとして県が課税を検討。 改正後は、廃炉作業中の原発にも課税し、計画認可後、1 号機の年間税収額を約 3 億 5 千万円と見込む。 (kyodo = 3-15-17)


島根の宝、企業呼び込む 県外から 2 社が進出

島根県の地域資源に着目した大阪府のシステム開発企業と、静岡県の健康食品企業の 2 社が、相次ぎ島根進出を決めた。 地域が誇る IT 技術や農産品にビジネスチャンスを見出した。 両社は今後、新たな商品や技術の開発、製造拠点として業容拡大を目指しており、産業振興や雇用拡大が期待される。 東証ジャスダックに上場するシステム開発企業「アイル(大阪市北区、岩本哲夫社長)」は今秋をめどに、松江市内に研究開発拠点を設けることを決めた。 松江発のプログラミング言語「Ruby (ルビー)」を活用しながら主力商品を開発する計画で、エンジニアの層が厚い同市は人材確保や研究拠点の適地だと判断した。

同社は 1991 年設立で、2007 年にジャスダックに上場。 中小企業向けの販売・在庫管理システムを手掛け、16 年 7 月期の売上高は 78 億 9,600 万円。 社員数は 525 人となっている。 Ruby は、ソフトウエアの設計図に当たるソースコードを書くプログラミング言語の一つで、他の言語に比べて少ない行数でプログラミングできる高い生産性が特徴。 同社はこうした利点に着目し、複数のインターネットショップを統括管理できる主力のクラウドサービス「CROSS MALL (クロスモール)」に、Ruby を全面的に採用。 今後は、他のサービスの更新時にも順次、Ruby を取り入れていく方針という。

4 月に松江市内に準備室を設け、10 月に事務所を開設する計画。 既存サービスの開発強化とともに、人工知能 (AI) を応用したデータ処理など新技術の研究も進める。 当初、スタッフ 3 人で運営し、20 年までに 10 人体制に拡充する。 開発力の強化などで、19 年 7 月期は売上高 104 億円を目指す。 担当者は「松江市は Ruby に関する人材やコミュニティーが充実している。 主力製品に Ruby を使う企業として、機運が高まり、成長につながる。」と期待した。

川本のエゴマ 静岡の三協が健康食品工場

健康食品の三協(静岡県富士市、石川俊光社長)は、エゴマ栽培に力を入れる島根県川本町への工場新設を決め、14 日、県と同町と覚書を交わした。 健康志向が高まる中、認知症予防などに効果があるとされるエゴマを使った商品開発や、主力のカプセル状食品の生産を進める方針で、来年 4 月に操業を始め、3 年間で 50 人を雇用する計画。 同町の誘致企業は 1962 年以来、55 年ぶりとなる。 三協は 63 年の設立で、相手先ブランドによる生産 (OEM) でカプセル状食品などを生産。 エゴマを使った商品開発や、災害発生時のリスク分散などを目的に進出を決めた。

エゴマ油に含まれる alpha- リノレン酸は、体内で脳機能の活性化効果があるとされる DHA (ドコサヘキサエン酸)などに変化するため、健康食品の素材として注目を集める。 同町では 2003 年に栽培が始まり、現在の作付け面積は計約 19 ヘクタール。 三協は地元農家から原料を調達し、島根大や島根県産業技術センターと共同で商品開発を進める。 新工場は同町南佐木の旧三原小グラウンドに建設。 鉄骨 2 階(一部 3 階)建て延べ約 5 千平方メートルで、今夏に着工する。 投資額は計 15 億 8 千万円。 数年の間に隣接地に工場 2 棟を増設し、将来的に 200 人以上の雇用を生みだしたい考えだ。

県庁(松江市殿町)であった調印式に溝口善兵衛知事、三宅実町長と臨んだ石川社長は地域貢献として、町内に 3 千本のサクラを植樹したり、足湯や果樹栽培用の温室を設けたりする構想を披露。 「事業を長年継続できるよう、成長していきたい」と抱負を語った。 設備投資や雇用計画に対し、県は約 5 億 4 千万円、町は 7 千万円を助成する予定。 (山陰中央新報 = 3-15-17)


来日 6 年、有田ヴィンスさん答辞 宍道高卒業式 島根

定時制と通信制の県立宍道高校(松江市)の卒業式で 12 日、フィリピン国籍の有田ヴィンスさん (19) が卒業生 149 人を代表し、答辞を述べた。 学習態度やアルバイトとの両立が評価され、外国籍の生徒が卒業生代表となるのは同校で初めてという。

有田さんはフィリピンで生まれ育ち、家庭の事情で 6 年ほど前、中学 2 年の時に松江市に移り住んだ。 当時、日本語は全く話せず、「すぐにでもフィリピンに帰りたいと、いつも思っていた」という。 高校入学後も、うまく日本語でコミュニケーションが取れず、「みんなと距離を取るようになった。」 転機は 1 年生の冬、同級生が「一緒に帰らない?」と話しかけてくれたこと。 「卒業する私たちはみな、こんな風にして少しずつ友達ができて、学校生活を楽しめるようになっていったのだと思う。」と答辞で述べた。 (石川達也、asahi = 3-13-17)


鳥取砂丘の「オアシス」、巨大化 初めてボートで測量

鳥取砂丘(鳥取市)の「オアシス」が例年よりも巨大化している。 県や国などでつくる鳥取砂丘再生会議が 10 日、無線操縦のボートで測量したところ、面積は昨年比 2.5 倍以上の約 5,430 平方メートルとわかった。 水深も最深約 1.4 メートルと例年以上だった。 同会議によると、オアシスは馬の背と呼ばれる小高い丘の近くにあり、地下水がわき出た水たまり。 今年は 33 年ぶりの大雪の影響で融雪水が多くなり、巨大化したと考えられるという。

今年は水深が深く、例年のレーザー測量ができないことから初めてボートを導入。 依頼を受けた建設コンサルタント会社の担当者がコントローラーでソナーや GPS を備えたボートを走らせ、水深や大きさなどのデータを集めた。 同会議の堀田利明事務局長 (60) は「ボートで縦横無尽に測ることができ簡易に測量できた。 (観光客は)勢い余って入らないように注意して、きれいな景観を楽しんでほしい。」と話した。 (横山翼、asahi = 3-11-17)


島根の保育士充足率 75% 確保策追い付かず

島根県は 9 日、県内の保育所や認定こども園などを対象にした保育士確保に関する調査で、2015 年度の保育士の採用希望数に対する充足率が、13 年度の前回調査と比べて 9.1 ポイント減の 74.9% だったことを明らかにした。 調査は、県内の保育所や認定こども園、認可外保育施設 302 カ所のうち、7 割に当たる 213 カ所の回答を集計した。 全体では 451 人の採用希望に対して採用は 338 人だった。 (山陰中央新報 = 3-10-17)


松江市への観光客、合併後最多 外国人も増加 島根

松江市は、昨年 1 年間に市内を訪れた観光客が前年比 2.0% 増の 1,026 万 1,670 人で、2005 年の合併以降で最多だったと発表した。 とりわけ国宝効果が続く松江城が好調で、前年比 5.6% 増と全体を押し上げた形だ。

市によると、これまで最多だったのは出雲大社の大遷宮があった 2013 年の約 1,013 万人で、昨年はこの年を 10 万人余り上回った。 15 年に国宝に指定された松江城を訪れた観光客は 52 万 1,778 人。 天守のみが有料となった 1996 年以来最多となった。 市内に宿泊した客数は堅調で 0.4% 増の約 210 万人。 出発地別では首都圏が 24.3% と最も多く、近畿 16.0%、島根以外の中国地方 15.4% と続く。 市観光文化課の担当者は「国宝化を受け、市もロゴやポスターの制作など PR に努めた。 (昨年の)高校総体の開催効果もあったと考える。」と話す。 (奥平真也、asahi = 3-9-17)


田園回帰をたどって 島根の「田舎」でなにが?

記事コピー (3-6-17)


子ども食堂、課題話し合う 8 団体が意見交換 島根

松江市東津田町のいきいきプラザ島根で 4 日、「子ども食堂交流広場」が初めて開かれた。 食事や居場所を子どもに提供する食堂を、県内で運営する 8 団体が活動報告と意見交換をした。 関心を持つ市民ら約 50 人も参加し、熱心に耳を傾けた。 高校生、大学生を中心に活動するたまゆメンバーズくらぶ(同市玉湯町)は、昨年 12 月に初めて食堂を開いた。 市の保健師などから地区内に食に大きな問題を抱えている家庭はないと聞き、地区内の住民のだんらんの場をつくることを目的にした。

前会長の渡部史人(ふみひと)さん (24) によると、49 人が参加し、ふれあいを楽しんだという。 「いかに継続するか。他の団体の発表を聞いて、選択肢は多いんだなと思いました。」 意見交換では「スタッフも子どもも、なかなか集まらない」など課題も多くだされた。 主催した県社会福祉協議会は、今後も運営団体が意見交換する場を年 2 回ほど設けるという。 (内田快、asahi = 3-5-17)

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浜田でこども食堂プレオープンへ 民宿協力で月 1 回

島根県浜田市民の有志らが、食を通じて子どもたちに心休まる場を提供する「こども食堂」を新たに企画し、同市内で 21 日にプレオープンする。 市内各地での定期的な開催を目指し、幅広い世代が気軽に参加できる交流の場づくりにつなげる。 こども食堂は、共働きやひとり親世帯などの理由で、子どもが 1 人で食事をする「孤食」をなくそうと、開設の動きが全国的に広がっている。 県内では、松江市や大田市などで既に実施されている。 (山陰中央新報 = 1-20-17)


シュレッダー くず落ち防ぐ 島根ナカバヤシ、廃棄作業を楽に

文具製造の島根ナカバヤシ(島根県出雲市)は書類の粉砕くずの廃棄作業が簡単になる新型のオフィス用シュレッダーを商品化した。 袋がくずで満杯になると自動的に袋の上部を巻くローラーを内蔵させた。 ごみ出し時には、くるくると筒状に巻き上がった袋の両端をつかんで縛る。 袋を外す際に、くずが落ちるのを避けられるという。 商品名は「Assist Pack (アシスト・パック)」。

ゴミ袋の格納箱の両端にローラーを付けて、袋の口を自動で巻き取り閉じる機能を付けている。 特許も出願した。 価格は 1 台 44 万 8 千円。 通常タイプに比べ約 3 割高い。 工夫したのは左右の巻き取り用ローラーの向きを逆方向に動かす点だ。 「袋を閉じる際に空気がうまく抜ける上、くずが散らないようになった。(前田洋二社長)」 1 月に発売し、2 カ月間で 40 台が売れた。 年間販売目標は 600 台。 (nikkei = 3-3-17)

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出雲でノート増産 島根ナカバヤシ、2 工場に投資 アジア拡販

ナカバヤシグループで文具製造を手掛ける島根ナカバヤシ(島根県出雲市)は出雲市内の 2 工場で生産設備を増強する。 約 4 億円を投じて印刷機や製本機などを 6 月までに導入する。 2019 年までに 14 人を新規雇用して、ノートの生産能力を約 6 割引き上げる。 中国向けの輸出が伸びていることから、インドなどほかのアジア地域の市場開拓にも乗り出す。

島根県、出雲市と設備投資の覚書を結んだ。 従来品より 20% 軽量化した同社の「ロジカル・エアーノート」は、通学・通塾時に子どもの負担を軽減できるとして販売を伸ばしている。 「スマートフォンの普及にもかかわらず、書きやすく軽いノートのビジネス需要も堅調(同社)」という。 教育熱の高まる中国で同社はノートを月間約 1 万 6 千冊販売している。 今後はベトナムやインドへの輸出も検討する。 17 年 3 月期の同社の売上高は約 40 億円を見込む。 新規投資の効果などで 20 年には 45 億 - 46 億円に引き上げる計画だ。 (nikkei = 2-17-17)


漂着ポリタンク液体は塩酸、ハングルや「過酸化水素」の表示 鳥取県が 280 個回収

山陰地方周辺の沿岸部でハングルや「過酸化水素」の表示があるポリタンクが大量に漂着した問題で、鳥取県は 27 日、簡易検査で強酸性を示したポリタンク内の液体は詳細検査の結果、塩酸と推定されると発表した。 有害な重金属類は検出されなかった。 鳥取県では 24 日までに 280 個のポリタンクを回収。 簡易検査でうち 3 個に強酸性の液体が入っているのを確認したため、1 個を県衛生環境研究所で詳細検査していた。 このポリタンクには漢字で「過酸化水素」との表記があった。 ポリタンクは 17 日ごろから山陰地方周辺で発見が相次いでおり、島根県や山口県でも大量に見つかっている。 (sankei = 2-27-17)

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ハングル表示などのポリタンク 新たに 270 個漂着 鳥取、島根で確認

山陰地方周辺の沿岸部でハングルや「過酸化水素」の表示があるポリタンクが大量に漂着した問題で、新たに鳥取県で 62 個、島根県で 208 個が見つかった、と両県が 24 日発表した。 両県での累計は計 2,231 個になった。 鳥取県は簡易検査で、うち 3 個に強酸性の液体が入っているのを確認。 詳細検査を行っており、週明けには結果が判明するという。 ポリタンクは 17 日ごろから山陰地方周辺で発見が相次いでおり、山口県でも大量に見つかっている。 (sankei = 2-24-16)

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ポリタンク 250 個、島根の海岸に大量漂着 ハングルで「過酸化水素」表示、県「触れないで」

17 日午前 9 時ごろ、島根県益田市の海岸にポリタンクが漂着しているのが見つかった。 同市や県などが調べたところ、午後 7 時までに、同市の東西約 20 キロの範囲の海岸で計 253 個のポリタンクが見つかり、回収された。

県防災危機管理課によると、大半のポリタンクにはハングルか漢字で「過酸化水素」と表示され、半数程度のポリタンクで内容物を確認。 県では週明けの 20 日に内容物の検査を実施するが、過酸化水素が残留している恐れもあるとみて、住民らにポリタンクを見つけても触らずに県や同市、警察などへ連絡するよう注意を呼びかけている。 同課では「冬場の日本海側は、潮の流れや風向きなどの関係で漂着物が多くなるが、一度にこれほどの数が流れ着くのは珍しいのではないか」と話している。 (sankei = 2-17-17)


育もう人と大地 島根に生まれ 島根で生きる 黒川愼司

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一畑バス路線 大幅見直し … 4 月から松江、出雲

一畑バス(本社・松江市西川津町)は 4 月から、松江、出雲両市の路線バスの路線を大幅に見直す。 運転手の不足やバスの老朽化、赤字経営が理由で、平日では 9 路線が減便し、3 路線が廃止、2 路線が経路変更、2 路線が増便、1 路線が新設される。 年間走行距離は約 16% 減少になるという。 同社によると、路線バスは国や県、両市などから補助金を受けて運営し、2015 年度は約 5,200 万円の赤字で、同年度までの 10 年間で約 6 億 5,700 万円の赤字。 高速バスの収益で穴埋めをしているという。

同社の路線バスの運転手 166 人のうち、60 歳以上が 3 分の 1 を占め、人手不足で新規雇用も少ない。 バス 80 台の半数以上が 20 年以上を経過して更新時期を迎えることもあり、路線バスのルートや便数を見直すことにした。 松江市では、現行の 10 路線のうち、万原線や片句線など 8 路線で計 60 便を減らす。 年間走行距離は約 11% 減となる。 古浦線は廃止し、恵曇連絡所で新たに古浦方面を経由させる片句線に乗り換えることで古浦方面に行けるようにする。

一方、これまで回送だった一畑バス本社 - 松江しんじ湖温泉間は市総合体育館などを経由して東西を結ぶ新規路線とし、32 便運行するなど効率化を図る。 同市では 07 年 4 月に路線見直しで年間走行距離を約 20% 減らしており、それに次ぐ規模という。 出雲市では 6 路線中、須佐線や日御碕線など 4 路線で計 40 便減らし、年間走行距離は約 28% 減となる。

同市循環線を廃止する一方、大社線は JR 出雲市駅や県立中央病院、大型商業施設のゆめタウン出雲、イオンモール出雲を経由し、生活と観光を一体化させて利便性を高める。 出雲大社と鵜鷺・猪目地域を結ぶうさぎ線も廃止だが、同市が出雲観光タクシー(出雲市大社町)に委託して 10 人乗りの車で引き続き運行する予定。 一畑バスの井上和広・乗合部次長は「できる限り利便性を損なわないように配慮したので、ご理解いただき、継続して乗っていただきたい」と話している。 (中筋夏樹、yomiuri = 2-24-17)


富士通 島根・出雲の主力パソコン工場公開

パソコン事業の統合に向けて中国メーカーと最終調整を進めている大手電機メーカーの富士通は、ロボットを活用して生産効率を高めたという島根県の主力工場を公開しました。 富士通は子会社が手がけるパソコン事業を中国のパソコンメーカー、レノボ・グループと統合する方向で調整を進めています。 会社は 22 日、国内に 2 つある主力工場のうち、島根県出雲市の工場を報道各社に公開しました。 この工場はロボットを活用して生産効率を高めたのが特徴だということで、およそ 600 人の正社員が働いています。

また、もう 1 つの拠点の福島県伊達市の工場では、730 人余りの正社員が働いていて、レノボとの統合後にこの 2 つの国内工場を維持し、雇用を確保できるかが焦点となっています。 工場の公開のあと、パソコン事業の子会社の齋藤邦彰社長は「レノボとは協議をしているが、決まったことは何もない。 工場をどうするかコメントは控えたい。」と述べました。 会社によりますと、富士通とレノボは、来年 3 月末をめどに両社の事業の統合を目指していて、富士通としては、工場と雇用の維持を求めてレノボと引き続き協議を行う方針です。 (NHK = 2-22-17)

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ものづくりは「匠の技術」 島根富士通の取り組みを追う

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島根と愛知 深まる絆 航空便の利用好調、ものづくりなど連携

島根県と愛知県の交流が急速に深まっている。 愛知など中部圏から島根への企業進出が相次ぐ一方、島根東部の製造業は「ものづくり」が盛んな名古屋周辺の企業との連携を模索する。 2015 年に出雲 - 県営名古屋(小牧)間に定期航空便が就航したことで、両地域の「距離」は一気に縮まった。 自治体間でも連携の動きが出ており、交流の活発化が期待される。

「自然豊かな環境は創造的な仕事に適している。」 昨年 11 月に松江に拠点を設けたソフト開発会社、Misoca (名古屋市)の日高克也氏は島根での環境に満足げだ。 同社が島根にオフィスを置くきっかけはプログラミング言語の「RUBY (ルビー)」。 自社ソフトなどで使っており、ゆかりがある松江に注目した。 行政による IT (情報技術)産業支援が手厚く、技術者の交流が活発なことも後押しした。 直行便を使えば約 3 時間で本社と行き来できることも大きかった。 現在は日高氏 1 人だが、今後スタッフを増やす予定だ。

機械工具のグローバル(愛知県安城市)は島根県出雲市に約 3 億円投じて新工場を建設中だ。 7 月の操業開始を予定する。 佐藤信義社長は「勤勉な人が多い島根での人材獲得も期待している」と新設の狙いを話す。 トヨタ自動車をはじめ、製造業が集積する中部圏の企業との連携にも動き出した。 しまね産業振興財団は昨年 12 月、愛知県豊田市へ初めて産業視察団を派遣した。 金属加工やプラスチック製造企業など 10 社が参加し、現地の部品メーカーと商談した。 交流を通じ販路開拓につなげたい考えだ。

交流は経済面にとどまらない。 15 年 7 月に国宝に指定された松江城。 築城した堀尾吉晴が現在の愛知県大口町出身とされることから、松江市は同年 8 月に同町と姉妹都市になった。 16 年 4 月には災害時の相互応援協定を結び、連携を深める。 出雲 - 小牧間はフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)が 15 年 3 月、1 日 1 往復で運航を始めた。 出雲大社など観光需要を期待してのことだ。 観光客以外に企業関係者の利用も増え、現在は同 2 往復に増便した。

2 月 6 日には搭乗者数が累計 10 万人に達した。 1 月末までの搭乗率は平均 70.6% と高水準を維持する。 FDA はさらなるビジネス客誘致のため「午前中に出雲空港に到着できるようダイヤを見直したい(三井夕加出雲空港支店長)」考えだ。

鉄道だと 5 時間程度かかる両地域は航空便では約 1 時間と所要時間の短縮などで、関係が深まっている。 山陰経済経営研究所(松江市)の永井康之経済調査部長は「航空便により関西や関東に比べ不便で割高とのイメージが薄らいだ。 金属や IT など、互いの強みを軸にした産業交流を進める好機だ。」と指摘する。 今後は交流を生かした地域活性化が重要になる。 (松江支局長若杉敏也、nikkei = 2-15-17)