官製春闘、4 年目の失速 ベア回答は軒並み前年割れ

今年の春闘は 15 日に集中回答日を迎えた。 安倍政権が賃上げを呼びかける「官製春闘」も 4 年目。 自動車や電機など大手企業の経営側は賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)に 4 年連続で応じたが、引き上げ幅は前年実績を軒並み下回り、この 4 年間で最低水準となった。 春闘相場をリードしてきたトヨタ自動車のベア回答は、前年実績を 200 円下回る月 1,300 円。 上田達郎常務役員はこの日の記者会見で「今期は減益予想。来期以降も見通しが難しいなか、従来通りのベアは難しい」と述べた。

日立製作所やパナソニックといった電機大手の回答も、前年実績を 500 円下回る月 1 千円にとどまった。 製造業労組を傘下に持つ金属労協の 15 日午後 5 時時点の集計では、回答があった主要 44 組合のベアの平均は月 1,069 円で、前年の水準(月 1,424 円)を大きく下回った。 賃上げを消費増につなげる「経済の好循環」を狙う安倍晋三首相は「少なくとも前年並みの賃上げ」を呼びかけていた。 だが経営側は、保護主義色の強い米トランプ政権の政策が日本企業に及ぼす影響への警戒感などから固定費の増加につながるベアの上積みに慎重で、厳しい交渉となった。 (asahi = 3-16-17)

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昨年の実質賃金、5 年ぶりプラス 賞与増が全体押し上げ

厚生労働省が 6 日発表した 2016 年の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を差し引いた賃金の変動をみる実質賃金指数が前年を 0.7% 上回り、5 年ぶりに増加に転じた。 ただ、実質賃金の算定に用いる消費者物価指数(生鮮食品含む)が前年より 0.2% 下がった影響が大きく、経済の好循環につながるかは不透明だ。

名目賃金にあたる労働者 1 人あたり平均の月額の現金給与総額は、前年比 0.5% 増の 31 万 5,372 円。 3 年連続で増えたが、このうち基本給にあたる「所定内給与」は 24 万 267 円で、0.2% 増にとどまった。 主に賞与にあたる「特別に支払われた給与」が 2.0% 増の 5 万 5,637 円となり、これが現金給与総額を押し上げた。 「所定内給与」を雇用形態別にみると、フルタイム労働者は前年比 0.6% 増の 30 万 6,008 円で、パートタイム労働者は 0.1% 減の 9 万 1,828 円。 働き手全体に占めるパートの割合は同 0.22 ポイント増の 30.70% と上昇しており、全体の名目賃金を抑える要因になっている。 (千葉卓朗、asahi = 2-6-17)

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実質賃金、11 カ月ぶりに下落 11 月の勤労統計調査

厚生労働省が 6 日発表した 2016 年 11 月の毎月勤労統計調査(速報)で、物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数は、前年同月比 0.2% 減と 11 カ月ぶりに下落した。 名目賃金にあたる 1 人あたり平均の現金給与総額(パートも含む)は、同 0.2% 増の 27 万 4,778 円と、2 カ月連続で増加した。 実質賃金指数の算出に使う消費者物価指数は生鮮食品も含む。 11 月は野菜の価格高騰の影響で物価が上がり、実質賃金を押し下げた。 厚労省は「実質賃金は一時的な低下の可能性がある」としている。 (asahi = 1-6-17)

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現金給与 3 カ月ぶり増 10 月の勤労統計調査

厚生労働省が 6 日発表した 10 月の毎月勤労統計調査(速報)によると、パートも含めた 1 人当たり平均の現金給与総額は前年同月と比べて 0.1% 増の 26 万 6,802 円だった。 先月発表された 9 月の速報値は前年同月比 0.2% 増だったが、確報値が 0.0% に修正されたため、3 カ月ぶりの増加となった。 物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数は 0.0% だった。 9 月まで 8 カ月連続で前年同月を上回ってきたが、10 月は横ばいだった。 (asahi = 12-6-16)


10 - 12 月実質 GDP は前期比 +0.3%・年率 +1.2% に上方修正

[東京] 内閣府が 8 日発表した 2016 年 10 - 12 月期実質国内総生産 (GDP) 2 次速報値は、前期比 0.3% 増(1 次速報値 0.2% 増)、年率換算 1.2% 増(同 1.0% 増)に上方修正された。 ロイターの事前予測調査では、中央値が前期比 0.4% 増、年率 1.6% 増だった。 上方改定に寄与したのは民間設備投資。 財務省の法人企業統計を反映させた結果、1 次速報値の前期比 0.9% 増から同 2.0% 増に上振れた。 業種別では不動産や建設などが上方改定要因だった。

個人消費も前期比 0.01% 減から同 0.04% 増へと若干の上方修正となった。 自動車や衣服が寄与した。 一方、民間在庫の寄与度は 0.1 ポイント減から 0.2 ポイント減に下方改定された。 名目 GDP は前期比 0.4% 増、年率 1.6% 増。 1 次速報では前期比 0.3% 増、年率 1.2% 増だった。 今回の統計を受け、内閣府幹部は「所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復基調が続いているとの認識に変わりはない」と説明した。 (Reuters = 3-8-17)

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10 - 12 月期 GDP、4 四半期連続のプラス成長

内閣府が 13 日発表した 2016 年 10 - 12 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価の変動の影響を除いた実質成長率が、前期(16 年 7 - 9 月期)に比べて 0.2% 増だった。 この状況が 1 年続いた場合の年率に換算すると 1.0% 増。 4 四半期(1 年)連続のプラス成長となった。 海外経済の持ち直しでアジア向けを中心に輸出が増え、全体を押し上げた。 (asahi = 2-13-17)

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来年度の実質成長率は 1.5% 政府が経済見通し発表、名目は 2.5% に

政府は 20 日、平成 29 年度の実質国内総生産 (GDP) の成長率を 1.5% 程度と予測する経済見通しを発表した。 消費者や企業経営者の景気実感に近いとされる名目成長率は 2.5% 程度を予想。 28 年 7 - 9 月期の GDP 改定値から導入された国連の新基準を反映した 29 年度の名目 GDP は 553 兆 5 千億円となり、28 年度の 540 兆 2 千億円を超え、史上最高となる。 ただ、29 年度の実質成長率の政府見通しは、1% 程度とする市場の見方より高く、実現に向けた政策姿勢も問われそうだ。

政府は成長の理由について、平成 28 年度第 2 次補正予算の経済対策をはじめ各種政策の推進で雇用・所得環境が引き続き改善。 「民需を中心した景気回復が見込まれる」とする。 29 年度の実質 GDP の内訳をみると、個人消費の伸び率は 0.8% 程度と、28年度の 0.7% 程度からわずかに改善。 企業の設備投資は 3.4% 程度と、28 年度の 2.1% 程度から 1.3 ポイント改善する。

このほか消費者物価の伸び率は 28 年度が 0.0% 程度、29 年度が 1.1% 程度。 原油価格が低水準であることなどから、日銀が目標とする 2% には達しない。 完全失業率は 2.9% 程度と、28 年度の 3.1% 程度から改善する。 先行きについては「海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響などに留意が必要」としている。 (sankei = 12-20-16)


消費者物価、1 年 1 カ月ぶり上昇 家計支出は減少続く

総務省が 3 日発表した 1 月の全国の消費者物価指数(2015 年 = 100、生鮮食品除く)は、前年同月より 0.1% 高い 99.6 だった。 上昇は 1 年 1 カ月ぶり。 前年に比べて原油価格が上がっており、ガソリンや灯油などエネルギー関連価格の上昇が全体を押し上げた。 ガソリンは前年同月比 11.2%、灯油は 19.7% それぞれ上昇。 エネルギー関連全体では 0.8% 減で、下落幅は前月 (4.4%) より大きく縮小した。

全国の物価の先行指標とされる東京都区部の 2 月の指数(速報)は前年同月より 0.3% 下落した。 ただ、原油価格は前年比で高い状況が続いており、総務省は今後もエネルギー関連価格の上昇で、物価はプラス傾向とみている。 また、今回から新たに公表された生鮮食品及びエネルギーを除く指数は 100.3 で、前年同月より 0.2% 上昇した。

同日発表の 1 月の家計調査(速報)では、2 人以上の世帯が使ったお金は 27 万 9,249 円で、物価変動の影響を除く実質で前年同月より 1.2% 減った。 減少は 11 カ月連続で、下落幅は前月 (0.3%) より拡大した。 うるう年の影響の調整後では、事実上 17 カ月連続の減少となる。 野菜や魚介類の価格上昇などで、食料への支出が減った。 (asahi = 3-3-17)

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消費者物価、4 年ぶり下落 16 年は前年比 0.3%

2016 年の全国の消費者物価指数(15 年 = 100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く指数が 99.7 となり、前年より 0.3% 下落した。 下落は 4 年ぶり。 総務省が 27 日発表した。 原油安の影響が下落の主因で、ガソリンや電気代、ガス代などが軒並み下落。 エネルギー全体で前年比 10.2% 下落し、指数を大きく押し下げた。 このほか、洗濯機や掃除機など家庭用耐久財は同 3.5% 下落、テレビは同 4.1% 下落した。 その他は、衣料や教養娯楽サービスなど幅広い費目で上昇した。

同時に発表した昨年 12 月の全国の指数(生鮮食品を除く)は 99.8 で、前年同月より 0.2% 下落し、10 カ月連続のマイナスとなった。 ただ、原油安の影響は徐々に縮小してきており、下落幅は前月 (0.4%) より縮小。 内訳でも、ガソリンが 2 年 1 カ月ぶりに上昇に転じた。 石油輸出国機構 (OPEC) が減産に合意し、原油価格が持ち直していることから、エコノミストらの間では、今後、エネルギー価格が徐々に消費者物価を押し上げていくとの見方が多い。 (中村靖三郎、asahi = 1-27-17)

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1 年後に物価「上がる」が 64.7% に低下 12 月の日銀アンケート

[東京] 日銀が 13 日発表した昨年 12 月の「生活意識に関するアンケート調査(第 68 回)」によると、1 年後の物価について「上がる」との回答が 64.7% となり、前回 9 月調査の 65.1% から低下した。 「1 年後の物価は現在と比べて何 % 程度変化すると思うか」との質問に対する回答では、平均値が 3.7% 上昇、中央値が 2.0% 上昇となった。

5 年後については、「上がる」との回答が 77.6% となり、前回調査の 80.1% から低下。 毎年の変化率は平均値で 3.7% 上昇、中央値で 2.0% 上昇となった。 日銀は、2% の物価安定目標の実現には家計や企業などの期待の転換が重要と位置づけており、同アンケートなどによる家計の物価見通しの変化が注目されている。 (Reuters = 1-13-17)


鉱工業生産指数、6 カ月ぶりに減少 基調判断は据え置き

経済産業省が 28 日発表した 1 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整済み)の速報値は 99.8 で、前月を 0.8% 下回った。 減少は 6 カ月ぶり。 生産の基調判断は「持ち直しの動き」を据え置いた。 全 15 業種のうち 12 業種で生産が減った。 最も影響が大きかったのは自動車などの輸送機械工業で、新車やモデルチェンジの生産が一段落した影響で前月より 4.7% 減った。 医薬品を除く化学工業も、美容液やファンデーションが前月より落ち込み、同 3.5% 減だった。 (asahi = 2-28-17)

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12 月の鉱工業生産、0.5% 上昇 速報値は 100.4

経済産業省が 31 日発表した昨年 12 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整値)の速報値は前月より 0.5% 高い 100.4 で、15 年 1 月以来の高水準になった。 2 カ月連続の上昇で、生産の基調判断は前月に続き「持ち直しの動き」とした。

全 15 業種のうち、12 業種の生産水準が前月を上回った。 自動車などの「輸送機械工業」は、北米向けの自動車部品や国内向けの軽自動車の増産で、前月比 2.0% 増。 「電子部品・デバイス工業」も、中国向けのスマートフォン部品や 4K 液晶テレビ用パネルの生産が好調で、2.0% 増えた。 経産省の担当者は「本格的に(14 年 4 月の)消費増税前の生産水準に戻ってきた。」 トランプ米大統領が日本車への警戒感をあらわにしていることについては、「米国向け自動車の多くは現地生産が進んでいるため、すぐに影響が出るとは考えにくい」とした。 (asahi = 1-31-17)

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10 月の鉱工業生産指数、0.1% 上昇 基調判断を維持

経済産業省が 30 日発表した 10 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整値)の速報値は前月より 0.1% 高い 98.5 だった。 基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」で据え置いた。

前月に産業用機械などの受注が伸びた反動減で、生産が増えたのは全 15 業種のうち 6 業種にとどまった。 ただ、「電子部品・デバイス工業」が前月比 4.6% 増。スマートフォンやカーナビ向け液晶パネル、フラッシュメモリーの受注が大幅に伸びたという。 橋や鉄骨などの「金属製品工業」も、公共工事やビルの建設が好調で、同 3.2% 増えた。 主要企業に先行きを聞いた調査では、11 月は 4.5% の伸びを見込んでいる。 (asahi = 11-30-16)

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9 月の鉱工業生産指数、前月から横ばい 速報値

経済産業省が 31 日発表した 9 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整値)の速報値は 97.8 で、前月から横ばいだった。 基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」で据え置いた。 全 15 業種のうち 7 業種で生産が増えた。 半導体製造装置などの「汎用・生産用・業務用機械工業」が、スマートフォン向けの半導体をつくるための受注が好調で、前月比 3.7% 増えた。 他方、パソコンなどの「情報通信機械工業」は、企業向けの受注が伸びた前月からの反動で、11.8% 減った。 主要企業に先行きを聞いた調査では、10 月は 1.1% の伸びを見込んでいる。 (asahi = 10-31-16)


公的マネー、東証 1 部の半数 980 社で大株主に

年金資産を運用する年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) と日本銀行が、東証 1 部に上場する企業の約半数の約 980 社で事実上の大株主になっていることが、朝日新聞などの調べでわかった。 経済政策アベノミクスによる巨額の「公的マネー」が株式市場を支える一方、企業の本来の実力が株価に正しく反映されない恐れもある。

GPIF と日銀は、東証 1 部上場の株式を幅広く保有するが、信託銀行などを通じて買い入れるため、各企業の株主名簿には名前が出ない。 信用調査会社の東京商工リサーチと、ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏の協力を得て、GPIF と日銀が 2016 年 3 月末時点で実質的に保有する株式の状況を推計した。 世界最大級の機関投資家である GPIF は 14 年 10 月、国債による運用が低金利で難しくなり、国内株式への投資を大きく増やした。 昨年 3 月末で約 30 兆円を運用する。 一方、日銀は株価向上による景気刺激をねらい、国内株式に分散投資する ETF (上場投資信託)を購入する。 昨年末で約 11 兆円を買い入れている。

東証 1 部上場企業の時価総額は約 500 兆円。 GPIF と日銀を合わせ、全体の 8% を占める約 40 兆円の公的マネーの存在は、民間最大の機関投資家である日本生命保険の運用額約 8 兆円を大きく引き離す。

GPIF と日銀が実質保有する株式を足すと、東証 1 部の 1945 社(16 年 3 月末時点)のうち約 980 社で、5% 超の大株主だった。 間接的な保有のため株主総会では議決権行使ができないが、全体の 4 分の 1 にあたる約 490 社では事実上の筆頭株主となった。 旧ミツミ電機(現ミネベアミツミ) 17%、アドバンテスト 16% などで特に保有比率が高い。 東芝やシャープ、タカタなど業績不振で配当を見送る 90 社超の株式も持つと見られる。 GPIF は、経営破綻し上場廃止した企業の株式も保有する。 (神山純一、座小田英史、asahi = 2-26-17)

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「2 頭のクジラ」株高演出 公的マネー、増す存在感

約 40 兆円に及ぶ年金と日銀マネーは、いまや日本市場の「隠れた巨大株主」になっている。 その存在の大きさから「2 頭のクジラ」とも呼ばれる両者の公的マネーに支えられた「官製相場」は、企業の「稼ぐ力」を反映せず、株価に割高感をもたらしている。 その終わりはみえず、公的マネーの存在感は増すばかりだ。 巨額の公的マネーが大株主になっている企業をみると、安定した業績や高収益の企業が目立つ。 しかし、公的マネーの押し上げ効果は、実力以上の株価をもたらすことになりかねない。

GPIF と日銀の実質的な保有比率が約 12% と高いのが、カジュアル衣料「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングだ。 同社の株式は、創業家出身で、会長兼社長の柳井正氏が約 2 割をもつ。 他の企業との持ち合い株などを除き、市場に出回る同社の株式は全体の 25% 程度とみられるが、両者の割合が多くを占めるため、一般投資家が買いにくい状況になっている。 投資家からは「企業の実力と比べて株価が割高になっており、手が出せない」との声もあがる。

実際、ユニクロ事業の低迷で昨年 10 月に発表した 16 年 8 月期決算の純利益は前年より半減したが、株価は直近までに約 6% 上昇している。 中央大商学部の原田喜美枝教授は「企業業績と株価の連動がどんどん薄まっている。 公的マネーの巨大な存在が株価をゆがめている。」と指摘する。 (asahi = 2-26-17)


東北など 3 地域で景気判断上げ 日銀地域経済報告、個人消費回復

日銀は 16 日発表の 1 月の地域経済報告(さくらリポート)で、全 9 地域のうち東北と関東甲信越、東海の 3 地域の景気判断を前回 2016 年 10 月の報告から引き上げた。 3 地域以上の上方修正は 2015 年 4 月以来、1 年 9 カ月ぶり。 残る 6 地域は据え置いた。 下方修正がないのは 15 年 10 月以来 1 年 3 カ月ぶりだ。

景気判断を引き上げた 3 地域は、いずれも個人消費が持ち直した。 雇用や所得環境が改善し、夏場の天候不順の影響が薄れたようだ。 東北と関東甲信越は生産も上向いた。 新興国経済の減速感が和らぎ、中国などアジア向けに電子部品や半導体製造装置などの輸出が持ち直した。 この結果、「新興国経済の減速」との表現が 15 年 7 月以来 1 年半ぶりに全地域から消えた。

JP モルガン証券の鵜飼博史シニア・エコノミストは「米国やアジア新興国の経済回復にけん引され、製造業を中心に地方の景況感も上向くのでは」とみている。 項目別では、住宅投資は北陸はじめ 3 地域が「増加」の表現を使い、東北は「高水準で推移している」とした。 低金利下で資産運用や相続税対策を目的とした住宅投資が多い。 トランプ次期米大統領の政策を巡っては期待感がある半面、不確実性も高く「正式に就任した後の動きを見極めたいとの声が多い(調査統計局)」という。

日銀は各地域の経済情勢を分析して 3 カ月後に報告書を公表している。 各地域の判断は以下の通り(↑は上昇修正、↓は下方修正、→は据え置き、カッコ内は前回の判断)。 (nikkei = 1-16-17)

  • 北海道 【→】 緩やかに回復している (緩やかに回復している)
  • 東北 【↑】 緩やかな回復基調を続けている (生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている)
  • 北陸 【→】 回復を続けている (一部に鈍さがみられるものの、回復を続けている)
  • 関東甲信越 【↑】 緩やかな回復基調を続けている (輸出・生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、緩やかな回復を続けている)
  • 東海 【↑】 緩やかに拡大している (幾分ペースを鈍化させつつも緩やかに拡大している)
  • 近畿 【→】 緩やかに回復している (緩やかに回復している)
  • 中国 【→】 緩やかに回復している (緩やかに回復している)
  • 四国 【→】 緩やかな回復を続けている (緩やかな回復を続けている)
  • 九州・沖縄 【→】 緩やかに回復している (熊本地震の影響が和らぐもとで、緩やかに回復している)

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街角景気、横ばい = 基調判断据え置き - 昨年 12 月

内閣府が 12 日発表した 2016 年 12 月の景気ウオッチャー調査によると、3 カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断指数(季節調整値)は前月比横ばいの 51.4 だった。 好不況の判断の分かれ目となる 50 を 2 カ月連続で上回っており、基調判断は「着実に持ち直している」に据え置いた。

景況感は家計部門が悪化した一方、企業と雇用では改善した。 家計関連は、忘年会需要などで飲食が好調だったが、商店街を中心に小売りがさえなかった。 企業関連では「自動車メーカーの生産が堅調で、取引先の部品メーカーの受注も安定してきている(東海の金融業)」など、受注拡大を指摘する声が多かった。 (jiji = 1-12-17)


12 月企業物価指数、21 カ月連続下落 下落幅は縮む

企業間で取引されるモノの価格水準を示す 12 月の企業物価指数(2010 年平均 = 100、速報値)は、前年同月より 1.2% 下落して 99.7 となった。 下落は 21 カ月連続だが、下落幅は 7 カ月連続で縮んだ。 日本銀行が 16 日に発表した。

石油輸出国機構 (OPEC) の減産合意や、米国、中国経済拡大への期待から商品市況が値上がりし、「石油・石炭製品」が前年同月比 3.7% 上がり、「非鉄金属」が同 1.4% 上昇したことで下落幅が縮んだ。 一方、前年に比べると対ドル円相場は円高水準で、物価が前年を上回る状況には至っていない。 2016 年平均では、前年より 3.4% 下落して 99.2 となった。 下落は 2 年連続。 年平均で対ドル円相場が 12 円超円高に振れたことが下落につながった。 (asahi = 1-16-17)

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11 月の企業物価指数、20 カ月連続下落 下げ幅は縮小

日本銀行が 12 日発表した 11 月の企業物価指数(2010 年平均 = 100、速報値)は、前年同月より 2.2% 下落して 99.1 だった。 下落は 20 カ月連続。 円安や原油価格の上昇を受けて下げ幅は 6 カ月連続で縮小し、15 年 5 月以来の小ささとなった。 企業物価指数は、企業間で取引されるモノの価格水準を示す。 項目別では、石油・石炭製品が前年同月比 5.7% 下がったほか、銅など非鉄金属が 5.4%、化学製品が 5.8% それぞれ下落。 ただ、米国のトランプ次期大統領の政策に対する期待などから国際価格が値上がりしており、いずれも下げ幅は縮小した。 (asahi = 12-12-16)


経済成長は永遠なのか 「この 200 年、むしろ例外」

経済成長は永遠なのか

記事コピー (asahi = 1-4-17)


消費まだら模様 衣料不振、体験型は活況

長く低迷してきた個人消費の一部に明るさが出てきた。 衣料品を中心にさえない状況は変わらないが、テーマパークといった娯楽や低価格品は強さも目立つ。 堅調な雇用が下支えするかたちで、景気は緩やかな回復軌道を保っている。 総務省が 27 日発表した 11 月の家計調査をみる限り、消費は低迷したままだ。 実質の消費支出は前年同月比 1.5% 減だった。 今年がうるう年だった要因を除くと、1 年 3 カ月連続で減った。

特に振るわなかったのが高額の衣料品だ。 高島屋が 27 日発表した 2016 年 3 - 11 月期の連結決算の純利益は 132 億円と前年同期比で 19% 減った。 村田善郎常務は「秋冬物の商品が売れずに大変苦戦した」と述べた。 同期の J・フロントリテイリングの純利益も 13% 減の 161 億円だった。 もっとも、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「月々の振れが大きい家計調査の結果ほど消費は悪くない」と指摘する。

たとえば外食は家計調査で 8% 減だが、業界統計によると 11 月の外食産業の売上高は 1.7% 増だった。 政府は 12 月の月例経済報告で個人消費の判断を「持ち直しの動き」に上方修正した。 底堅いのは体験を買う「コト消費」だ。 東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)は 4 月に大人一日券を 500 円値上げしたが、16 年度の入場者は前年より微増の 3,040 万人を見込む。 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)は過去最高だった 15 年度の 1,390 万人を超えるペースだ。 「君の名は。」や「シン・ゴジラ」のヒットで映画への支出も増えた。

11 月は東京で積雪が観測されるなど、各地で平均気温が前年を下回った。 調査会社 GfK ジャパン(東京・中野)によると、家電量販店で電気ヒーターなど暖房機器の販売は前年同月に比べて 13% 増えた。 衣料品でも、低価格を強みとするしまむらやファーストリテイリング傘下のジーユーは堅調だった。

雇用は一貫して好調だ。 11 月の有効求人倍率は 1.41 倍と 25 年 4 カ月ぶりの水準で、完全失業率は 3.1% と低水準を保つ。 正社員の増加数は非正規社員の増加数を 3 カ月連続で上回った。 雇用の強さが消費の一部を刺激している。 働く女性が増えた結果、家事代行サービス大手のベアーズ(東京・中央)は 11 月の利用者数が前年同月比で約 15% 増えた。 高橋ゆき副社長は「キャリア志向の女性が増えるなか、家事を外注する考え方が広まった」と話す。

11 月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除くと前年同月比 0.4% 下落した。 9 カ月連続のマイナスだが、今後は原油安の影響がなくなるほか、円安で輸入価格が上昇する見込みだ。 第一生命経済研究所の新家義貴氏は「17 年 1 - 2 月にプラスに転じる」とみる。 (nikkei = 12-28-16)

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10 月の消費者物価 0.4% 下落 ガソリンや家電値下がり

総務省が 25 日発表した 10 月の全国消費者物価指数(CPI、2015 年 = 100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で 0.4% 下落し、99.8 となった。 前年同月を下回るのは 8 カ月連続。 原油安で電気代やガソリンが下がったほか、新製品が出ている家電も昨年に比べ値上げ幅が小さく、全体の物価を押し下げた。 下落幅は 9 月(0.5% 下落)より縮小した。 分野別にみると、電気代が 6.8%、ガソリンが 7.7% それぞれ下がった。 家庭用耐久財も 4.2% 下落した。 炊飯器や洗濯機などで新製品が出たものの「昨年の価格水準まで値上がりしていない(総務省)」という。

総合指数は下落が続いてきたが、10 月は 0.1 の上昇で、8 カ月ぶりに前年同月を上回った。 天候不順の影響で生鮮野菜が 16% 上昇したことが大きい。 食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数は 0.2% の上昇で、2 カ月ぶりに上向いた。 先行指標となる東京都区部の 11 月の CPI は、生鮮食品を除く総合指数で 0.4% 下落し、9 カ月連続で前年同月を下回った。 (nikkei = 11-25-16)

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9 月の家計支出と消費者物価、共に 7 カ月連続下落

総務省が 28 日発表した 9 月の家計調査(速報)によると、2 人以上の世帯が使ったお金は 26 万 7,119 円だった。 物価変動の影響をのぞいた実質で、前年同月より 2.1% 減った。 減少は 7 カ月連続。 同日発表された 9 月の全国の消費者物価指数(2015 年 = 100)は、価格変動の大きい生鮮食品をのぞく指数が 99.6 となり、前年同月から 0.5% 下落した。 下落は 7 カ月連続。 (asahi = 10-28-16)


日本経済にグローバルな追い風、YCC が効果を増幅 = 日銀総裁

[東京] 黒田東彦日銀総裁は 26 日、経団連の審議員会で講演し、世界経済はリーマン・ショック後の調整局面を脱し、日本経済や企業経営にグローバルな「追い風」が吹きつつあるとの認識を示した。 こうした中で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)による金利水準の抑制が効果をさらに強めると語った。

世界経済は調整脱し、新たなフェーズに

総裁は今年を振り返り、年明けから金融市場の不安定化など「世界経済の先行きに対する悲観的な見方が広がった 1 年」としたが、最近の世界経済には「変化の兆しがうかがわれる」と語った。 具体的には、先進国経済が堅調な米国を中心に成長率を高めるとともに、新興国も「成長のモメンタムがピックアップしている」と指摘。 世界経済は「リーマン・ショック後の調整局面を脱し、新たなフェーズに入りつつある」との認識を示した。

こうした「グローバルな追い風」によって、企業経営にも「チャンス到来といえる状況が生じつつある」と主張。 企業が創造的な力を発揮し、需要の掘り起こしによって消費者ニーズを捉えていくことが「日本経済の成長にとって極めて重要」と語った。 また、企業収益が高水準での推移を続ける中、労働需給は引き締まっており、「賃金が上昇していく環境は十分に整っている」とも述べた。

YCC、所期の効果を発揮

そのうえで、9 月に導入した新たな政策の枠組みは「経済・物価を押し上げる追い風の効果をさらに強める働きがある」と強調。 企業や政府による成長力の強化によって将来の成長や物価に関する期待が高まれば、YCC による低い長短金利水準は「経済・物価に対して、より強い押し上げ効果を持つことになる」と説明した。

米国の成長・インフレ期待が高まる中で世界的に金利に上昇圧力がかかっているが、総裁は日本の長期金利は「ゼロ % 程度で安定的に推移している」とし、YCC が「所期の効果を発揮している」と表明。 「今回の緩和によって、(物価) 2% を是非実現しなければならない」とも語った。 また総裁は、物価 2% を実現し、景気に中立的な金利水準を引き上げることで「金融政策の対応力を確保しておくことが不可欠」と指摘した。 (伊藤純夫、Reuters = 12-26-16)


日本の 1 人あたり GDP、20 位 15 年、過去最低に

内閣府は 22 日、2015 年の日本の 1 人あたり名目国内総生産 (GDP) は、ドル換算で 3 万 4,522 ドルで、経済協力開発機構 (OECD) 加盟 35 カ国中 20 位だったと発表した。 14 年の 19 位から順位を落とした。 比較可能な 1994 年以降で最低の順位。 1 位はルクセンブルクで、35 位はトルコ。 内閣府は今年 GDP の基準を改定しており、新基準に合わせた順位を発表した。 円換算では前年比 3.4% 増の 417 万 8 千円。 日本は 00 年は 2 位だったが、物価下落が続く「デフレ」が長引いたため順位を大きく下げている。 (asahi = 12-22-16)


日銀、景気判断を上方修正 長短金利目標・国債買入額は維持

[東京] 日銀は 20 日の金融政策決定会合で、現行マイナス 0.1% の短期金利と同ゼロ % 程度の長期金利目標を柱とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の据え置きを賛成多数で決めた。 国債買い入れ額も年間約 80 兆円をめどに保有残高を増加させるペースを維持する。 海外経済や輸出・生産などの持ち直しを背景に景気判断を上方修正した。 市場で取り沙汰されている長期金利目標の引き上げについては「時期尚早」と一蹴しつつ、トランプ相場による円安を背景に来年 1 月に物価見通しを引き上げる可能性も示唆した。 日銀政策運営の焦点は追加緩和から金利引き上げなど出口方向に急転しつつある。

金利目標引き上げ、時期尚早

景気判断は「緩やかな回復基調を続けている」とした。 これまでは「新興国経済の減速などの影響から輸出・生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けている」となっていた。 市場ではトランプ相場を受けた急激な円安と金利上昇により長期金利目標の引き上げが取り沙汰されているが、黒田東彦総裁は会見で、金利目標は「毎回の決定会合で議論される」との原則を述べつつ、「2% 目標への距離はまだ遠く、具体的に議論するのは時期尚早」とけん制した。

市場では「仮に米連邦準備理事会 (FRB) が来年 6 月利上げを実施し、米長期金利が 3% に到達、かつ日本のコア消費者物価指数 (CPI) が 1% が視野に入っているような状況が重なれば、長期金利目標引き上げは検討されよう。 まだ先のことになりそうだ。(SMBC フレンド証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏)」などとの見方が聞かれた。

任期中、出口議論の可能性も

日銀は前回 10 月 31 日 - 11 月 1 日の決定会合で 2% 目標の達成時期を 2018 年度に延期し、18 年 4 月までの総裁任期中の達成を断念したと解釈された。 今回は任期までに「具体的な出口論が出るか否かについても、今から申し上げられない。 議論になる可能性もあるし、そうでないかもしれない。」と含みを持たせた。

米大統領選後の円安について「円安は輸入物価を通じて物価押し上げに作用する」と指摘。 わずか 1 カ月強で 10% 程度の急激な円安が進んだが、現時点で「円安が行き過ぎて問題になるとの見通しは持っていない」とした。 日銀が公表している試算によると、10% の急激な為替変動は 1 年半程度で 0.45 ポイント程度物価に影響を与える。 今回の円安の影響については、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で経済・物価見通しを示す来年 1 月末の「次回会合で議論する」という。

円安容認発言か

会見中、現在のドル/円は今年前半の水準に戻しただけで、驚くほどではないという趣旨の発言があり、「ドル/円が上昇したのは、こうした発言を円安容認と受け止めた可能がある(外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也氏)」との指摘があった。 一方、黒田総裁が会見で長期金利目標を「ゼロ % 程度」ではなく、「0.1%」や「1%」と 言い間違い、一部市場関係者の間で話題となった。 (竹本能文、伊藤純夫、Reuters = 12-20-16)


円安進み 117 円台、株は一時年初来高値 米利上げ受け

15 日の東京金融市場は、米連邦準備制度理事会 (FRB) が来年の利上げ見通しを引き上げたことから円安が進んだ。 円相場は一時 1 ドル = 117 円台後半と、2 月上旬以来約 10 カ月ぶりの円安水準をつけた。 日経平均株価も前日より一時 180 円超値上がりして年初来高値を更新したが、下落に転じる場面も出ている。

14 日の米国市場では、FRB の利上げペースが想定より速まるとの見方から米国の長期金利が上昇。 日米の金利差が開くことから、ドルを買って円を売る動きが加速した。 東京市場でもドル買い円売りが続き、正午時点の円相場は、前日午後 5 時より 2 円 30 銭円安ドル高の 1 ドル = 117 円 28 - 30 銭。 対ユーロは同 92 銭円安ユーロ高の 1 ユーロ = 123 円 36 - 38 銭。

株式市場では、朝方、円安を受けて業績改善が見込める自動車など輸出株を中心に買いが入った。 その後、前日までに 7 営業日続けて上昇した反動から利益確定売りにおされており、売り買いが交錯している。 午前の終値は、日経平均が前日終値より 28 円 37 銭 (0.15%) 安い 1 万 9,225 円 24 銭。 東京証券取引所第 1 部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は同 0.30 ポイント (0.02%) 高い 1,538.99。 出来高は 12 億 1 千万株。 (asahi = 12-15-16)

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東京円、一時 111 円 10 銭台に 半年ぶりの円安水準

21 日の東京金融市場では円安・株高が一段と進んだ。 円相場は一時 1 ドル = 111 円 10 銭台をつけ、5 月 31 日以来約半年ぶりの円安ドル高水準に。 日経平均株価も続伸して 1 万 8,000 円台を回復し、約 10 カ月ぶりの高値を更新した。

午後 1 時時点の対ドルは前週末午後 5 時時点より 40 銭円安ドル高の 1 ドル = 111 円 10 - 12 銭。 対ユーロは同 34 銭円安ユーロ高の 1 ユーロ = 117 円 72 - 74 銭。 午後 1 時時点の日経平均は前週末の終値より 120 円 68 銭高い 1 万 8,088 円 09 銭。 東京証券取引所第1部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は同 13.95 ポイント高い 1,442.41。 日経平均の午前の終値は同 87 円 82 銭 (0.49%) 高い 1 万 8,055 円 23 銭。 TOPIX は同 10.67 ポイント (0.75%) 高い 1,439.13。

米大統領選でトランプ氏が当選後、米国の長期金利が上昇していることから、金利の高いドルを買って円を売る動きが週明けも続いている。 円安の進行を受けて東京株式市場では輸出関連株を中心に買いが入った。 ただ、市場では「米新政権の経済政策は依然不透明で、楽観ムードが広がり過ぎている(大手証券)」との見方もある。 (asahi = 11-21-16)


大企業製造業の業況判断 DI、6 四半期ぶり改善 = 12 月日銀短観

[東京] 日銀が 14 日発表した 12 月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断 DI がプラス 10 となり、6 四半期ぶりに改善した。 大企業非製造業の業況判断 DI はプラス 18 で横ばいだった。 (Reuters = 12-14-16)

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大企業の景況感、2 四半期連続プラス 10 - 12 月期

内閣府と財務省が 9 日発表した 10 - 12 月期の法人企業景気予測調査は、大企業の景況感を示す指数が全産業で 3.0 となり、2 四半期連続のプラスだった。 株高などを背景に 7 - 9 月期の 1.9 から改善した。 大企業のうち製造業は 7.5、非製造業は 0.7 で、ともに 2 四半期連続のプラス。 医薬品が好調だった化学工業や卸売業などで改善が目立った。 来年 1 - 3 月期の見通しは、全産業でプラス 3.2 と見込む。 指数は、景況感が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた数字。 (asahi = 12-9-16)

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法人企業統計、設備投資 1.3% 減 7 - 9 月期、14 四半期ぶりマイナス

財務省が 1 日発表した 7 - 9 月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比 1.3% 減の 10 兆 3,521 億円だった。 マイナスは 14 四半期ぶり。 製造業、非製造業ともに減った。 経常利益は 11.5% 増と 4 四半期ぶりに増加。 7 - 9 月としては過去最高になった。 非製造業の大幅な伸びが寄与した。

産業別の設備投資動向は製造業が 1.4% 減と 9 四半期ぶりに減少した。 前年の工場新設や生産能力の増強投資の反動が情報通信機械や生産用機械で出た。 非製造業は 1.3% 減と 2 四半期連続のマイナス。 建設業で前年にあった自社ビル建設の反動減が響いた。 情報通信業では基地局など通信設備投資が減った。 国内総生産 (GDP) 改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は、季節調整済みの前期比で 0.4% 増と 4 四半期ぶりにプラスを確保した。 内訳は製造業が 2.5% 減で、非製造業は 2.1% 増だった。

経常利益は前年同期比 11.5% 増の 16 兆 9,639 億円だった。 非製造業は 24.5% 増と 3 四半期ぶりのプラス。 サービス業で持ち株会社の子会社からの受取配当金が増えた。 受注環境の良好な建設業で工事利益率が改善した。 製造業は 12.2% 減と 5 四半期連続のマイナスだった。 輸送用機械で円高による利幅が縮小した。

全産業の売上高は、前年同期比 1.5% 減の 323 兆 1,626 億円にとどまった。 製造業は 3.4% 減と 5 四半期連続で減収。 情報通信機械でスマートフォン(スマホ)向け電子部品の価格が下落した。 円高・ドル安の影響から、円換算の売り上げが減った。 鋼材の供給過剰で鉄鋼の販売価格が下がった。 非製造業も 0.7% 減と 4 四半期連続で減った。 小売業で婦人衣料が不振で、インバウンド消費の客単価下落も響いた。 建設業では着工の遅れから売り上げが減った。

同統計は資本金 1,000 万円以上の企業収益や収益動向を集計。 今回の 7 - 9 月期の結果は、内閣府が 8 日発表する同期間の GDP 改定値に反映される。 (nikkei = 12/1/16)