警察把握の刑法犯、戦後最少を更新 詐欺などは増加傾向

昨年 1 年間に警察が認知(把握)した刑法犯は 99 万 6,204 件(暫定値)で、戦後初めて 100 万件を下回った。 42 年ぶりに戦後最少を更新した 2015 年から 9.4% 減り、14 年連続の減少。 警察庁が 19 日発表した。 同庁は「官民を挙げた防犯対策が奏功しているのではないか」と分析している。 ただ、詐欺など一部の犯罪は増加傾向にある。

戦後の刑法犯認知件数は 1973 年に約 119 万件で底を打ったが、その後増加。 80 年以降は外国人犯罪や少年犯罪の深刻化を背景に悪化し、02 年に 285 万 3,739 件と戦後最悪を記録した。 その後は毎年減り続け、15 年に 109 万 8,969 件と戦後最少を更新していた。 昨年は、刑法犯の 7 割以上を占める窃盗が前年より 10.4% 減少。 侵入盗や自動車盗、ひったくりなどの「重要窃盗」で見ると、統計のある 54 年以降、初めて 10 万件を下回った。 凶悪犯は 8.7% の減少。 罪種別では殺人が戦後最少だった 15 年より 37 件少ない 896 件、放火と強姦はいずれも終戦直後以来、1 千件を下回った。

警察庁は、犯罪減少の要因として、▽ 車やオートバイ、自動販売機などの盗難や破壊を防ぐ対策を進めた、▽ 地域住民による見守りなど防犯ボランティア活動が普及した、▽ 街頭への防犯カメラの設置 - - などの効果を挙げる。 一方、詐欺は 4 万 999 件で前年を 4.0% 上回った。 特殊詐欺事件の勢いは収まらず、還付金を受け取れると偽って金をだまし取る手口などが増加。 凶悪犯では、子どもがインターネットを通じて知り合った男らに連れ回されるといった略取誘拐が 228 件と増加している。

逮捕など検挙した事件数を認知件数で割った検挙率は、刑法犯全体で 33.8% と前年より 1.3 ポイント伸びた。 殺人や強盗などの「重要犯罪」で見ると 4.3 ポイント上昇の 76.6%、「重要窃盗」は 2.0 ポイント増の 54.6% と、いずれもやや改善したが、高い水準とは言えない。 警察庁は「捜査の科学化や取り調べ技能の向上などをさらに進める」としている。(編集委員・吉田伸八、asahi = 1-19-17)


「ディスる」は生き残るか 若者ことばの栄枯盛衰を探る

「ディスる」はけなすこと、「ぽちる」はネット通販で購入ボタンを押すこと。 若い世代がよく使う「若者ことば」は、時に便利で、時にハッとさせられます。 どのように生まれ、変化してきたのか、古今の例を探りました。

英語で「尊敬しない」などの意味の「disrespect (ディスリスペクト)」から生まれた「ディスる」。 昨年、ベネッセコーポレーションが初めて実施した「現代人の語彙(ごい)に関する調査」で、高校生が知っていて親世代が知らない世代間ギャップの大きいことばの筆頭だった。 2 位は「イミフ(意味不明)」、3 位は「りょ(了解)」、4 位は「きょどる(挙動不審な動きをとる)」、5 位は「ぽちる」だ。

元のことばを縮めたり、名詞などに「る」を付けたりする特徴について、東京外国語大学名誉教授の井上史雄さんは「ことばは常に合理的な方向に向かって変化するもので、使用頻度が高いことばほど短くする傾向がある」と解説する。 とりわけ若者ことばが生まれる背景には、インパクトを与え、仲間意識を高める、という意図があるという。 形はそのままで、意味を変えることもある。 たとえば、本来は盗っ人仲間が「あぶない」、「まずい」といった意味の隠語として使っていた「やばい」。 文化庁が 2015 年に発表した「国語に関する世論調査」では、10 代の 9 割が「とてもすばらしい」と肯定的な意味でとらえていた。 (佐々波幸子、asahi = 1-15-17)

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国民生活への影響最小化 = 19 年元日から新元号 - 天皇退位前に公表へ

政府は天皇陛下の退位をめぐり、2019 年元日に皇太子さまが即位し、同時に「平成」から新たな元号に改元する検討に入った。 国民生活への影響を最小限にとどめるため、新元号は事前に公表する方向。 政府は既に準備に着手しており、改元に向けた動きが加速しそうだ。 改元のタイミングを年初にするのは、カレンダーや手帳の刷り直し、政府や民間のシステム改修などにより、国民生活が混乱したり、経済的損失が生じたりするのを避けるためだ。

1989 年の平成への改元は 1 月 8 日からとなり、大量のカレンダーなどが廃棄された経緯がある。 また、当時と異なりコンピューターが一般に普及していることから、政府は少なくとも数カ月から半年程度の準備期間が必要と判断している。 退位時期をめぐっては、陛下はお言葉の中で「2 年後には平成 30 年(18 年)を迎える」と述べられた。 同年 12 月 23 日に陛下が 85 歳を迎えられることもあり、「平成 30 年が一つの節目」というのが当初から関係者のほぼ共通した認識だった。 (jiji = 1-11-17)


シュワシュワ日本酒「awa 酒」いかが 普及へ蔵元結集

お酒で乾杯する場面が増える季節、最初の一杯は日本酒で - -。 各地の蔵元が結束し、「awa 酒(アワさけ)」の開発と普及に取り組んでいる。 シャンパンのように泡がたち、濁り酒と違って透明感がある日本酒。 今春には認定制度を始め、業界の活性化を狙う。 静岡県沼津市のフランス料理店「ヌーヴォサンス」は昨年 11 月、発泡性の日本酒「水芭蕉ピュア」をメニューに加えた。 昨年 12 月の店の催しでも乾杯酒に。 細かな泡がたつ透明な日本酒をシャンパングラスに注ぎ、約 40 人が味わった。

群馬県川場村の永井酒造が 2008 年に発売した。 6 代目の永井則吉さん (44) が 5 年がかりで開発した。 世界的な高級スパークリングワインに肩を並べる日本酒ができれば、新たな市場が開けると考えた。 作り方はシャンパンと同様だ。 発酵途中のにごりを残した状態で瓶に詰める。 瓶内で発酵が続く(2 次発酵)ため、炭酸ガスが閉じ込められる。 詰める際に発酵が進みすぎていると炭酸が弱く、逆だと内圧で瓶が壊れる危険がある。 「バランスが難しい」と永井さん。 澱を除いて透明にする技術開発にも腐心した。 (井上恵一朗、asahi = 1-9-17)


タクシー代わりに救急? 実態調べます 消防庁が方針

救急車の出動数が増え続ける中、総務省消防庁は、タクシーの代わりに出動を要請するなど必要性が低い利用の実態を調べる方針を固めた。 不急の出動を減らすなど、効率的な運用につなげる。 2018 年にも始める。 15 年の救急車の出動数は 10 年前より 1 割以上増えて、初めて 600 万件を超えた。 タクシー代わりや軽い症状で利用する例も含まれているとみられるが、詳細なデータはない。 出動の要請が増えると、遠くの消防署から救急車が駆けつけることになり、現場到着が遅れる懸念がある。

このため、消防庁は今年度から統計の見直しに着手。 自治体や専門家の意見を踏まえ、現場の救急隊が緊急性が低いと判断したケースのうち、▽ 無料であることが目的、▽ 医療機関で優先的に診てもらうことが目的、▽ 受診できる医療機関がわからなかったことによる要請、▽ 軽いけが - - など、9 項目に当てはまるものを「必要性が低い」と位置づけて集計する。 項目の内容は必要に応じて改定する。 (阿部彰芳、asahi = 1-3-17)


バリアフリー温泉、熱い人気 ホテルも需要掘り出し

車いすでも、足腰が弱って介助が必要な高齢者でも楽しめる「バリアフリー温泉」が、全国各地で人気を集めている。観光庁や旅行会社も後押ししている。 先駆けとされるのが、富士レークホテル(山梨県富士河口湖町)だ。 バブル崩壊で宿泊も宴会も落ち込んでいた 1999 年、当時常務だった井出泰済(やすなり)社長が「新しいものに挑戦しなければ」と、ユニバーサルデザインの客室をつくった。

5 年ほど前には河口湖を望む「レークビュー貸切風呂」に、入浴介助用のリフトを付けた。 利用者は同行者らの介助を受けて洗い場でリフトに乗り、湯船に移動できる。 事前に予約すれば別料金で介助スタッフも呼べる。 2011 年の東日本大震災後、全国的な行楽自粛ムードで利用客が激減し、特色を打ち出そうとより一層バリアフリー化を進めた。 現在、74 室のうち 23 室がユニバーサルデザインで、障害者や高齢者のリピート率は約 40% と高いという。 (asahi = 1-1-17)


はがき、62 円に値上げ 日本郵便、来年 6 月 1 日から

日本郵便は 22 日、2017 年 6 月 1 日から、はがきの郵便料金を 10 円値上げして、62 円にすると発表した。 値上げは 14 年の消費増税を受けて 50 円を 52 円にして以来、3 年ぶり。 年賀はがきは 17 年 12 月 15 日 - 18 年 1 月 7 日に投函されるものに限り、52 円で据え置く。 1994 年に 41 円を 50 円にして以来の大幅な値上げとなる。

定型の封書は当面は据え置き、定形外郵便物は最大 150 円値上げする。 19 年 10 月に消費税率が 10% に引き上げられる予定で、それに合わせて改めて郵便料金は全体的に値上げする方針という。 値上げは人手不足による人件費の上昇が主な理由。 15 年度の郵便事業は全体では黒字だが、はがきは 294 億円の赤字。 値上げで約 300 億円の増益を見込む。 値上げしなければ、17 年度に郵便事業全体が赤字に陥る見通しだった。 (上栗崇、asahi = 12-22-16)


今年の出生数、初の 100 万人割れ … 厚労省推計

厚生労働省が近く公表する 2016 年の人口動態統計年間推計で、同年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)が 98 万 1,000 人と推計されることがわかった。 前年の 100 万 5,677 人(確定数)から 2 万人以上減った。 出生数が 100 万人を割り込むのは、統計を取り始めた 1899 年以降、初めて。 少子化に歯止めがかからない状況を改めて浮き彫りにしている。

人口動態統計の年間推計は、出生数や死亡数などについて 1 - 10 月の増減率などを基に、11、12 月分を予測して算出している。 出生数が減少している背景には、第 2 次ベビーブーム世代(1971 - 74 年生まれ)の女性が 40 歳代半ばにさしかかったことや、平均的な初婚年齢が上昇していることがある。 (yomiuri = 12-22-16)


世の中に出回るお札の総額、初めて 100 兆円の大台へ

世の中に出回るお札の総額が初めて 100 兆円を超える見通しになった。 日本銀行のマイナス金利政策で預金金利が低下し、現金自動出入機 (ATM) の時間外手数料が上がるなどしたため、「タンス預金」として手元に現金を持つ人が増えているようだ。

日銀によると、世の中に出回るお札の総額は、今月 19 日時点で 99 兆 9,857 億円。 11 月末の 97 兆 4,298 億円から約 2.5 兆円増え、近く 100 兆円を超える見通しだ。 年末年始は年越しの現金の必要性から、銀行から引き出す人が多いため、出回るお札の増加ペースが速い。 昨年 12 月末時点は 98 兆 4,299 億円だった。 出回るお札の額は、2014 年は前年比 3.6% 増、15 年は同 4.9% 増。 16 年は毎月、前年同月比で 5 - 6% 程度の伸びが続いており、「現金志向」が高まっている。 (真海喬生、asahi = 12-21-16)


田舎より都会の方がよく歩く 3 万 4 千人の歩数計を分析

田舎より、都会の方がよく歩く - -。 そんな風聞を裏付ける研究結果を東京医科大などのチームがまとめた。 1 日の平均歩数は、東京 23 区や大阪、名古屋、福岡などの大都市の住民の方が、町村よりも約 700 歩多かった。 自動車の使用頻度の違いが背景にあるとみられるという。

2006 - 10 年の国民健康・栄養調査に協力した約 3 万 4 千人が、歩数計で測った 1 日の歩数を分析。 人口の規模に応じて、全国 12 大都市の「大都市」から「町村」まで五つのグループごとに年齢調整をして平均歩数を算出した。 その結果、大都市が最も多く(男性 7,494 歩、女性 6,767 歩)、人口 15 万人以上の市(男性 7,407 歩、女性 6,386 歩)が続いた。 大都市を人口 5 万人未満の市や町村と比べると、男性では 780 - 580 歩ほど、女性では 700 歩ほど多かった。 (小川裕介、asahi = 12-17-18)


相続課税が急増 昨年の増税後、対象者は過去最高 8%

国税庁は 15 日、2015 年 1 月に相続税が増税されてから初めて、申告状況を公表した。 15 年中に亡くなった人のうち、相続税の課税対象となる遺産を残した人の割合は前年から 3.6 ポイント増え、8.0% に拡大した。 現在の課税方式になった 1958 年以降で最も高い割合となった。 相続税は、遺産が基礎控除と呼ばれる非課税枠を超えた場合、超えた分が課税対象になる。 今回の増税は基礎控除が 4 割縮小され、対象となる人が広がった。

国税庁によると、15 年中に死亡した約 129 万人のうち、課税対象となる遺産を残した人は約 10 万 3 千人(前年比 83.2% 増)で、全体の 8.0% になった。 100 人のうち、8 人が対象になった計算だ。 この割合(課税割合)は 01 年以降、4% 台で推移してきた。 増税までの議論では、基礎控除をバブル期前と同じ水準にすることで、課税割合は「6% 台程度」になると見込まれていた。

地域別にみると、東京は 15.7% (6.0 ポイント増)、神奈川は 12.4% (5.4 ポイント増)、千葉は 8.3% (4.0 ポイント増)で、都市部やその近郊の人たちが特に増えたとみられる。 対象となった遺産の総額は約 14 兆 5,554 億円(26.8% 増)で、相続税額は約 1 兆 8,116 億円(30.3% 増)。 総額は増えたが、1 件当たりの平均でみると、遺産 1 億 4,126 万円(30.8% 減)で、相続税額は 1,758 万円(28.9% 減)でともに前年より減った。 課税対象となる遺産が 1 億円以下だった人の割合は、前年の 26.4% から 58.5% に大きく伸びた。 (磯部征紀、田内康介、asahi = 12-16-16)

相続税の増税》 2015 年 1 月以降、基礎控除と呼ばれる非課税の枠が「5 千万円 + 法定相続人の数 x 1 千万円」から「3 千万円+法定相続人の数 x 600 万円」に引き下げられ、最高税率は 50% から 55% になった。 基礎控除は、バブル期の地価急騰による税負担緩和のために引き上げられてきた。 その後、地価が下落しても据え置かれていたため、課税割合が低下した。 基礎控除の縮小は、富の再分配機能を回復させる狙いがある。


今年の漢字は「金」 トランプ氏の髪やピコ太郎の衣装 …

2016 年を表す漢字は「金」。 日本漢字能力検定協会(京都市東山区)が全国から募集した「今年の漢字」が 12 日、清水寺(同)で発表され、森清範(せいはん)貫主(かんす)が大きな筆で書き上げた。 15 万 3,562 通の応募のうち、「金」は最多の 6,655 通だった。 「金」が選ばれたのは 00 年、12 年に続き 3 回目。

同協会によると、今年はリオデジャネイロ五輪・パラリンピックで日本選手が多くの金メダルを獲得。 また、東京五輪の巨額経費問題など政治と金に絡む問題、米大統領選を制したドナルド・トランプ氏の金髪、金色の衣装を身につけ、ネット上で動画「PPAP」を配信してヒットさせたピコ太郎さんの活躍などを理由に挙げた人もいたという。 2 位は「選(4,723 票)」、3 位は「変(4,619 票)」だった。 (大村治郎、asahi = 12-12-16)


空気イス女子高生、バトルの行方は … 西鉄がマナー動画

西日本鉄道が、「空気イス女子高生」という動画を公開している。 冒頭から不思議な展開が続くが実はこれ、マナー啓発動画だ。 主役は 2 人の女子高生。 電車に乗った 2 人は一つだけ空いた席に座ろうとして、互いに牽制している間に別の女性に席をとられる。 2 人はにらみ合い、「空気イス」で張り合う。 ダンスバトルを始め、最後はつり革につかまる男性に寄りかかって倒してしまう。 他の乗客は眉をひそめるが、よく見ると、その人たちが座席に荷物を置いたり足を広げて座ったりしていたため、女子高生は座れなかった、という内容だ。

鉄の調査では、車内マナーで気になることの 1 位が「座席の座り方」だった。 西鉄広報は「乗車マナーを見直すきっかけにして頂ければ」としている。 動画はユーチューブの西鉄公式チャンネルで無料で見られる。 (asahi = 12-9-16)


今年の流行語年間大賞「神ってる」 カープ緒方監督発言

今年の世相を映した言葉を選ぶ「2016 ユーキャン新語・流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)」が 1 日発表され、年間大賞には「神ってる」が選ばれた。 広島カープの緒方孝市監督が鈴木誠也選手の好調ぶりを評して語った。 (asahi = 12-1-16)

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新語・流行語大賞ノミネート発表 「ポケモン GO」、「君の名は。」、「PPAP」など

今年話題になった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート語が 11 月 17 日、発表された。 7 月末に配信が始まり社会現象となった「ポケモン GO」、YouTube から広まったピコ太郎さんの楽曲「PPAP」、ヒット映画「シン・ゴジラ」、「君の名は。」などが候補に。 そのほか、アニメ作品のゆかりの地をめぐる「聖地巡礼」、囲碁のプロ棋士を破るなど話題となった「AI (人工知能)」もノミネートされた。 大賞・トップ 10 は 12 月 1 日に発表予定。 昨年の大賞は「爆買い」、「トリプルスリー」だった。 ノミネート語は以下の通り。 (OriconStyle = 11-17-16)

アスリートファースト / 新しい判断 / 歩きスマホ / EU 離脱 / AI / おそ松さん / 神ってる / 君の名は。 / くまモン頑張れ絵 / ゲス不倫 / 斎藤さんだぞ / ジカ熱 / シン・ゴジラ / SMAP 解散 / 聖地巡礼 / センテンススプリング / タカマツペア / 都民ファースト / トランプ現象 / パナマ文書 / びっくりぽん / 文春砲 / PPAP / 保育園落ちた日本死ね / (僕の)アモーレ / ポケモン GO / マイナス金利 / 民泊 / 盛り土 / レガシー


後期高齢者の保険料、軽減を一部廃止へ 300 万人対象

75 歳以上が支払う公的医療保険の保険料について、厚生労働省は軽減している特例を来年度から一部廃止する方針を固めた。 中程度の所得層の世帯が対象。 75 歳になるまで夫や子どもらに扶養されていた人に対する軽減特例は 2018 年度までに 2 段階で全廃する。 特例廃止の対象は、延べ 300 万人以上になる。 30 日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で提案し、与党と調整して年内に決定する。

75 歳以上が加入する公的医療保険は 08 年度に始まった後期高齢者医療制度で、保険料には定額分と所得比例分がある。 低・中所得層(年金だけの収入なら夫が年約 211 万円未満、妻が年 80 万円以下の夫婦世帯)は、それぞれを特例で軽減している。 さらに、被扶養者への優遇がある医療保険制度から後期高齢者医療制度に移って保険料が急増することを避けるため、扶養されていた高齢者らの保険料を軽減する特例もある。

年金収入が年 153 万 - 211 万円の中所得層の約 160 万人については、所得比例分を 5 割軽減している特例を来年度に廃止する。 例えば年金収入が年 211 万円なら、毎月の保険料は全国平均で 4,090 円から 6,290 円に上がる。 (生田大介、asahi = 11-30-16)


耐震不足の結果公表、ホテルに影響 改修費用なく閉館も

ホテルや病院、学校など古くて大きな建物に対し新たに義務づけられた耐震診断の結果の公表が、一部の自治体で始まった。 大地震に備えて改正された耐震改修促進法による措置。 今後、全国 1 万 2 千棟前後の対象施設の危険性の有無が明らかになる。 耐震不足が判明し、営業を断念する宿泊施設も現れた。 南海トラフ巨大地震の揺れで最大 10 万 7,554 棟の全壊を想定する愛媛県。 10 月 31 日、香川県とともに全国で初めて 37 件のホテルなどの耐震診断の結果を公表した。

1971 年完成の愛南町のホテルサンパールは、大地震の際に「倒壊の危険性が高い」とされた。 鉄筋コンクリート 3 階、18 部屋(定員 58 人)。 最近は赤字が続き、昨年度は 1,035 万円の純損失を計上。 公表後の稼働率は現時点では昨年とほぼ同じだが、経営は苦しい。 岡田治支配人は「今後の選択肢は建て替えか改修、業種転換、あるいは廃業だ。 ただ、従業員約 30 人の雇用も守らなければならず、対応を決めきれない。」と悩む。

今回の耐震診断の結果の公表は、2013 年 11 月に施行された改正耐震改修促進法に基づく措置。 対象は 1981 年以前の旧耐震基準で建てられた全国の物件のうち、3 階建て 5 千平方メートル以上の病院やホテル、百貨店など 21 種類の建物。 15 年末までに診断を実施しなければならず、その後、都道府県などが結果を公表する。 (峯俊一平、asahi = 11-27-16)


来年 1 月の電気料金、北海道除く 9 社が値上げへ 都市ガス 4 社も

大手電力会社 10 社のうち東京電力など 9 社が、来年 1 月の家庭向け電気料金を今年 12 月と比べ値上げする見通しであることが 21 日、分かった。 火力発電の燃料の液化天然ガス (LNG) などの輸入価格が上昇したため。 大手都市ガス 4 社は、全社がガス料金を上げる見通しだ。 標準的な家庭の電気料金の上げ幅は、中部電力が 44 円、東電が 29 円、東北電力が 23 円程度。 中国電力と九州電力は 18 円、関西電力と四国電力が 10 円、沖縄電力が 8 円、北陸電力が 2 円程度の見込み。

一方、原油価格が下落したため、北海道電力は 5 円程度の値下げとなる見通しだ。 ガス料金は大手 4 社が値上げとなる。 値上げ幅は大阪ガスが 38 円、東京ガスが 37 円、東邦ガスが 35 円、西部ガスが 26 円程度となりそうだ。 来年 1 月の料金は、今年 8 - 10 月の LNG や石炭、原油などの平均輸入価格を基に計算する。 (sankei = 11-21-16)


ビール類の酒税一本化は 32 年度から、5 年程度 3 段階で 政府・与党調整 消費者やメーカーに配慮

政府・与党が、麦芽比率などで異なるビール類の酒税を平成 32 年度から 5 年程度かけて一本化する調整に入ったことが、19 日分かった。 3 段階に分けて、350 ミリリットル缶当たり約 55 円に統一していく。 29 年度税制改正大綱に盛り込むことを目指す。 税率一本化に 5 年程度かけるのは、ビール類の価格が急変することで個人消費が腰折れしないようにすることや、メーカーの商品開発の見通しを立てやすくすることが念頭にある。

現在、ビールの税額は 350 ミリリットル缶で 77 円、麦芽比率 25% 未満の発泡酒が 47 円、麦芽を使わないものもある第 3 のビールが 28 円。 類似商品の税額格差は、公平性や企業の商品開発をゆがめ、ビールの国際競争力の低下を招いている。 税額を全体の税収規模が変わらない約 55 円にそろえれば、ビールは値下げになり、発泡酒や第 3 のビールは値上げになる。 安くなったビールを飲む消費者が増える可能性はあるが、安い第 3 のビールなどを飲んでいる人の負担は増える。

ビールの定義も見直す。 ビールの原料は麦芽とホップなどに限られているのを、オレンジピール(果皮)のような香料も認める。 麦芽比率も 67% 以上から 50% 以上に下げる。 ベルギービールのように、麦芽比率 50% 以上でオレンジピールなどで風味をつけたアルコール類は、日本では発泡酒だが多くの国ではビールとみなされている。 見直しには、多様で世界に通用する国産ビールの開発を促す狙いがある。 (sankei = 11-20-16)

◇ ◇ ◇

ビール類酒税 55 円に統一へ 10 月めど メーカーと本格協議 来年度税制改正

政府税制調査会が 9 日に総会を開くのを皮切りに、政府・与党の税制改正議論が年末の取りまとめに向け本格化する。 平成 29 年度改正では配偶者控除の見直しと並び、麦芽比率などで異なるビール類の酒税を 350 ミリリットル缶当たり約 55 円に一本化することが最大の検討課題となる。 10 月をめどにビールメーカーのヒアリングなど調整作業を加速し、税制改正大綱に盛り込みたい考えだ。

現在、ビールの税額は 350 ミリリットル缶で 77 円、麦芽比率 25% 未満の発泡酒が 47 円、麦芽を使わないものもある第 3 のビールが 28 円。 一本化を目指すのは類似商品の税額格差が企業の技術革新などをゆがめているとみているためで、約 55 円なら全体の税収規模は現状と変わらない。 税額に合わせ、ビールの定義も見直す方向だ。

税額が統一されれば、ビールは値下げになる一方、発泡酒や第 3 のビールは値上げになる。 安くなったビールを飲む消費者が増える可能性があるが、家計に配慮し発泡酒などを飲んでいる消費者の負担は増す。 「庶民いじめ」との反発をどう見極めて政治判断するかが焦点になる。 ビールの販売比率の低いメーカーも商品開発や販売戦略などで見直しを強いられる。 このため、数年の移行期間を設ける方向で調整する。 税額が第 3 のビールと同額で競合商品のチューハイなどが突出して安くなるため増税案も浮上する。

ビール類の酒税見直しはここ数年の課題だったが、消費税増税や選挙に配慮し棚上げされてきた。 だが、29 年 4 月に予定された消費税増税の見送りで議論がしやすくなっており、「今年こそは結論を出したい」と自民党税制調査会の幹部は意気込む。 背景には税額格差が公平性や技術開発をゆがめ、国内市場の縮小による税収減や日本産ビールの国際競争力低下を招いたという危機意識もある。

日本のビールの税金はドイツの 19 倍、米国の 9 倍程度と高く、各社は税率の安い発泡酒や第 3 のビールの開発を進めてきた。 だが、発泡酒などの売り上げにも陰りが出てビール類の国内市場は減少し、国税庁の調べではピーク時の 6 年度と比べ 27 年度には約 25% 縮小した。 人口減の影響もあるが、各社が低価格商品の開発に注力した結果、味わいの良いビールを求める愛好家のビール離れを招いた側面も否めない。

さらに、日本でビールは麦芽やホップなど原料が限られ、麦芽比率 67% 以上と定義される。 ベルギーの「ヒューガルデンホワイト」などオレンジピールで風味をつけ、麦芽比率を 50% 以上としている商品は世界ではビールだが、日本では発泡酒としか名乗れない。 日本でも香料の使用や麦芽比率を下げた商品をビールと認めれば、欧州産ビールに多い麦芽比率 50 - 67% の領域や爽やかに香るビールの開発が進み、世界で通用するビールの誕生につながる可能性がある。 (sankei = 9-6-16)

前 報 (4-24-14)


冬の新定番は「食べるスープ」? コンビニが販売強化

コンビニ各社が、具だくさんの「食べるスープ」の販売を強化している。 健康志向の女性らから人気といい、各社は味や食感に工夫を凝らし、おでんや肉まんに並ぶ冬の定番に育てる考えだ。 ローソンは今冬向けに、店頭に常時並べるスープを昨年より 4 品目多い 9 品目に増やした。 15 日発売した「餃子と野菜の和風スープ(税込み 380 円)」は、しょうゆ味のスープにギョーザと 6 種類の野菜が入る。 12 月にもタイ料理のトムヤンクンなど 2 品目を投入予定だ。

ローソンの竹増貞信社長は 14 日の商品発表会で、「夕飯の主食としてよく売れる。 ほかの総菜の買い足しも多くなる。」と狙いを語った。 今年度に、昨年度の 2 倍を超える 60 億円の販売目標を掲げる。 「食べるスープ」は、スープ専門店のスープストックトーキョーが先駆けてヒットさせた。 野菜が多く健康的なイメージから女性を中心に支持を集め、さまざまな商品が出回るようになった。 コンビニ各社も商機とみて開発を進めている。

ファミリーマートは現在 5 品目を発売中。 「鶏と蓮根のつくね入り和風スープ(税込み 398 円)」は、軟骨入りでこりこりした食感のつくねが特徴だ。 セブン - イレブンは全国で扱う「野菜が摂れる餃子スープ」のほか、九州・中国地方限定の「ごま豆乳クリームスープ」、関西限定の「浪速の味!肉吸い」、東海限定の「赤だし仕立ての豚汁」(いずれも同 298 円)などをそろえ、売り上げ増を目指している。 (和気真也、asahi = 11-19-16)


ポケ GO、インスタ、君の名は。 世相反映する 2016 年ヒット商品、目立つ「スマホ発」

月刊情報誌「日経トレンディ」が選ぶ「2016 年ヒット商品ベスト 30」の上位企業への表彰式が 11 日、東京・六本木の東京ミッドタウンで開かれた。 「ポケモン GO」など今年話題になったサービスや商品の開発者らが登壇し、記念の盾が贈られた。 「ベスト 30」は同誌創刊(1987 年)以来の企画で、▽ 売れ行き、▽ 新規性、▽ 影響力 - の 3 項目で評価した独自の順位付け。 今年は、大ブームのスマホゲーム「ポケ GO」が 1 位に立ち、新海誠監督のアニメ「君の名は。」や、煙が出ない加熱式たばこ「IQOS (アイコス)」なども上位にランクインした。

ポケ GO は日本だけでなく世界中で人気に火が付き、大ブームになった。 ポケ GO を町おこしに活用しようという自治体も現れたほか、車の運転中にプレーする利用者が熱中するあまり事故が起きるなど社会問題にも発展した。 ランキングの今年の特徴としては、ポケ GO のほか画像共有サイト「インスタグラム」や、個人間で所有物を売買できる「メルカリ」など、スマホ・サービスが高い評価を得た。

生の野菜や果物をふんだんに使って作る「グリーンスムージー」や、腸内環境を整える効果のある「スイーツデイズ 乳酸菌」などは現代人の根強い健康志向を反映したとみられる。 あいさつに立った日経トレンディの伊藤健編集長は「スマホ発のヒットが上位に並び、消費の主役が若者に移ってきた」と指摘した。 ポケ GO 開発元のナイアンティック社アジア統括マーケティングマネジャー、須賀健人さんは「リアルワールドゲームとポケモンが出会い、すばらしいパートナーシップのもとに生まれたのがポケ GO だ」と語った。 (sankei = 11-11-16)

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ポケモン GO、車などで移動中の操作を制限 事故相次ぎ

スマートフォン向けゲーム「ポケモン GO」で、一定の速度以上で移動している時は操作できなくなるように仕様が変更されたことが明らかになった。 車の運転中に遊んで交通事故を起こすケースが相次ぎ、規制を求める声が上がっていた。 ポケモン GO を運営するナイアンティック社は「さまざまなご意見をいただいた中で対応した(広報)」としている。

仕様変更は 7 日から、世界一斉に実施した。 ポケモン GO では、街中にある「ポケストップ」と呼ばれる場所に近づき、画面上で指をスライドさせると、ゲームに必要なアイテムが手に入る。 同社によると、利用者が今回の変更を適用すると、一定の速度以上で動いている時には、指を動かしてもアイテムが出ないようになる。 制限する速度などは明らかにしていないが、事実上、車や電車で移動中は操作できなくなったという。

もともと一定以上の速度を感知するとプレーを制限する機能はあったが、「私は運転者ではありません」という表示を押せば引き続き操作できた。 10 月からは、一定の速度以上で移動中はポケモンが現れないように仕様が変更されたが、ポケストップでの操作はできる状態だった。 (新田哲史、asahi = 11-8-16)


スプラウト、野菜高騰で脚光 栄養価高く価格も手ごろ

豆苗やモヤシなど「発芽野菜(スプラウト)」の人気が年々高まっています。 少量でも栄養たっぷりで、値段もお手頃。 今年は天候不順で露地野菜が高騰し、さらに注目されています。 発芽野菜は種子を発芽させた直後の新芽を指し、「スプラウト」とも呼ばれる。 愛知学院大の大澤俊彦教授(食品機能化学)は「生命力が一番旺盛な時期で、栄養が凝縮され、少量でも効率的に栄養を補給できるのが魅力です。」

近年人気が高まっているのがエンドウ豆を発芽させた豆苗だ。 生産大手、村上農園(広島市)は、今年の出荷量が 10 年前と比べ、約 7 倍に増える見通し。 100 円前後で売られ、工場生産で年間を通して価格が安定しているため、今年は「葉物野菜のかわりになる」と注文が殺到しているという。 豆類に含まれるたんぱく質やビタミン B 群に加え、葉物野菜に含まれるβカロテンやビタミン C を併せ持つ。 残った根元部分を水に浸せば、1 週間程度で新しい芽が伸び、また食べられるお得感も好評のようだ。

ブロッコリーの新芽も人気だ。 同社の「ブロッコリースーパースプラウト」は、がんを予防する効果が期待できるという成分、スルフォラファンを成熟ブロッコリーの約 20 倍含むという。 全国のスーパーで 50 グラム 250 円前後で販売。 「多少辛みがあるため肉料理に添えるなどして食べるのがおすすめです。」

サラダコスモ(岐阜県中津川市)は「大豆イソフラボン子大豆もやし」の出荷が好調だ。 女性ホルモンと同様の働きをし、骨を丈夫にする効果があるという大豆イソフラボンが豊富。 妊婦に必要な葉酸や血圧降下作用を持つ GABA も多い。 沖縄などを除く全国のスーパーで 1 袋 60 円前後で並ぶ。 同社は「電子レンジ対応の包装で調理も簡単。 豆の食感も楽しめます。」

変わり種も登場。 三和農林(埼玉県蓮田市)は 2014 年に「そらまめ豆苗」を発売。 ポリフェノールに富み、臭みがなく、生食でも炒め物でも合うそうだ。 1 袋 100 - 160 円で関東の一部スーパーなどで販売。 現在はほかの野菜の生産に集中しているため生産を止めているが、今月中に再開する見込み。 レシピ投稿サイト「クックパッド」でも、「スプラウト」のレシピを検索する人が年々増えている。 10 月下旬で約 2,700 品が登録。 3 月に検索された頻度は、3 年前の約 4 倍に。 検索されたメニューは、サラダやスープ、サンドイッチ、パスタが多いという。 (毛利光輝、asahi = 11-6-16)


「夫は外、妻は家庭守るべき」減少 内閣府の世論調査

「子どもができても、女性は仕事を続ける方がよい」と考える人の割合が、内閣府の世論調査で初めて半数を超えた。 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」と考える人は逆に減少。 担当者は「女性が働くことへの理解が広がってきた」とみている。 調査は 8 - 9 月、男女共同参画社会について全国の 18 歳以上の 5 千人を対象に面接で実施。 3,059 人 (61.2%) から回答を得た。 前回 2014 年調査まで 20 歳以上が対象だったが、選挙権年齢の引き下げに合わせて下げた。

女性が「ずっと仕事を続ける方がよい」と答えた人は 54.2%。 女性は 55.3% で、男性は 52.9% だった。 20 歳以上に限っても前回より 9.6 ポイント増の 54.4% で、1992 年の調査開始以来、初めて 5 割を超えた。 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」との考えには、反対が 54.3% (4.9 ポイント増)で過去 2 番目に高く、賛成の 40.6% (4.0 ポイント減)を上回った。

結婚後の旧姓使用への意識も初めて尋ねた。 姓が変わった場合に職場で旧姓を通称として「使いたいと思う」と答えた人は 31.1%。 女性が 23.9%、男性が 39.5% だった。 若い人ほど旧姓使用を望む傾向が強く、18 - 29 歳が年代別で最多の 40.5% だった。 (伊藤舞虹、asahi = 10-30-16)


日本人の訪韓、回復傾向 今年は 2 割増のペース

韓国を旅行などで訪れる日本人の数が今年に入って回復し始めている。 2012 年をピークに減り続け、15 年まで 3 年間でほぼ半減したが、今年は昨年に比べて 2 割増のペースだ。 「日韓関係の改善や最近の円高傾向が追い風になっている(旅行業界関係者)」といい、韓国側も誘致に力を入れる。 韓国観光公社の統計によると、今年 1 - 9 月に訪韓した日本人は約 166 万人だった。 前年同期を約 25% 上回っており、ここ数年の急激な落ち込みに歯止めがかかった格好だ。

韓国を訪れる日本人は韓流ブームなどを追い風に 12 年には約 350 万人に達した。 だが一転して 13 - 15 年には毎年、前年比で 2 割前後の減少が続いてきた。 日韓関係の悪化や円安に加えて、15 年には韓国で中東呼吸器症候群 (MERS) の感染が広がり、韓国旅行のキャンセルなども続出。 15 年は約 180 万人まで落ち込んだ。 (稲田清英、asahi = 10-27-16)


タワマン、高層階ほど増税検討 節税に利用との指摘受け

タワーマンションの所有者にかかる固定資産税について、政府・与党は「高層階ほど増税、低層階ほど減税」にする検討を始めた。 フロアごとに資産価値は違うのに、どの階も床面積あたりでは同じ税額となる不公平感や、一部の富裕層が相続時の節税に使っている問題が指摘されていた。 この対策として来年度の与党税制改正大綱に盛り込み、早ければ 2018 年度から実施する。

おおむね 20 階建て以上の新築マンションは、階に応じて固定資産税を増減する方向で調整中だ。 1 棟の課税総額は変えない。 年末までに具体的な対象や税額の計算方法を詰める。 マンションの固定資産税は現在、まず 1 棟全体で価値を評価して税額を算出。 フロアに関係なく、各部屋の床面積に応じて税額を割り振っている。 だが、眺望の良さなどで実際の売買価格は高層階ほど高くなる。 面積が同じでも安い低層階の部屋と同じ固定資産税では、不公平との指摘があった。

また、相続税の算定にも固定資産税の評価額を用いるので、そうした部屋を子どもが相続すると、相続税額の割合も低くなる。 その後に部屋を売れば、現金のまま相続するより税負担が軽くなっていた。 このほか、相続税逃れを目的に海外移住する富裕層への課税強化も検討する。 現在は資産を渡す人、受ける人がともに「5 年以上」海外に住んでいると海外資産に相続税がかからない。 これを「10 年以上」に引き上げる方向だ。 (奈良部健、asahi = 10-24-16)


乳児用液体ミルク、常温で保存可 飲み残しは要注意

外国で普及している乳児用の液体ミルクを国内でも製造・販売できるように、政府は具体的な検討を始める。 すぐに飲ませることができる手軽さから育児の負担を減らし、男性の育児参加も後押しできると期待する。 ただ、厳しい安全基準づくりは不可欠で、解禁は早くても来年度以降になりそうだ。 菅義偉官房長官は 17 日の記者会見で、液体ミルクの解禁について「今後検討が行われる」と表明。 政府の男女共同参画会議の下に設けた専門調査会で議論を始めることを明らかにした。

安全性が確認できれば、厚生労働省令を改正して解禁。 女性の社会参加を推し進めている安倍政権としては、男性の育児参加を促していく狙いがある。 首相官邸幹部は「男性にも『一回一回つくるのが面倒』という声がある」と語った。

液体ミルクは常温で保存できるのが特徴。 厚労省によると、液体ミルクを「乳製品」として扱えば販売は認められ、インターネットを通じて輸入品を買うこともできる。 一方、食品衛生法に基づく省令は粉ミルクの規格しかなく、「乳児用」として製造・販売はできない。 そこで厳しい安全基準を設ける必要がある。 ミルクは特に栄養価が高いため、厚労省は「液状で常温保存すると微生物が増殖しやすい。 飲み残しには特に注意が必要。」という。

日本乳業協会は 2009 年から解禁を求めているが、安全性を示すデータが未提出で議論は進んでいなかった。 解禁を求めて 2 年前から署名活動をしている横浜市の末永恵理さん (37) によると、米国ではスーパーなどで 200 ミリリットルが 1 本 2 ドル前後で手に入るという。熊本地震では外国から支援物資として届いて注目され、解禁を求める署名は 4 万筆を超えた。

ただ、政権がめざす男性の育児参加につながるかは不透明だ。 NPO 法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也代表理事 (53) は長時間労働や育児休業の取りにくさといった環境こそが問題だとし、「働き方の見直しなどの根本解決を急いでほしい」と注文をつけた。 (伊藤舞虹、黒田壮吉、asahi =10-18-16)