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自動運転バス、「リニア駅」周辺 6 市で運行実験 課題も利点も共有 全国各地で自動運転バスの導入が検討されるなか、岐阜県内の東濃と飛?の 6 市が合同で運行実験に取り組んでいる。 タッグを組むと車両やシステムを共有できるため、経費削減につながる。 また、自治体ごとのニーズに合わせ、観光地へのアクセスや住宅地での交通支援など様々な運行ルートで実験することで、より多くの課題を洗い出すことができる。 11 月 19 日、多治見市の住宅地「ホワイトタウン」で運行実験する自動運転バスの出発式が開かれた。 高木貴行市長はあいさつで「(運行ルートに)なぜここを選んだのか、とよく聞かれるが、いち早く実験が役に立つ場所をと協議を重ねて選んだ」と話した。 市によると、ホワイトタウンは高台に造成された住宅団地で、ここを通って別の目的地に行くことがないため交通量が少ない。 信号もなく、自動運転バスの運行のハードルが低いというメリットがあるという。 実験ではオペレーター 1 人が同乗するレベル 2 (部分運転自動化)で運行し、レベル 4 (特定条件下での完全自動運転)での実現を目指す。 市の担当者は「バスも減便されているエリアで需要もあり、実現可能性が高い」と期待を寄せる。 「リニア」旗印に合同で実験 運行実験は多治見のほか、下呂、中津川、恵那、瑞浪、土岐の計 6 市がコンソーシアム(共同事業体)を組んで実施している。 6 市は運転士不足解消などの課題に連携して取り組むほか、リニア中央新幹線の岐阜県駅(仮称)が中津川市にできることから「リニア開業に伴う新しい地域づくり」を旗印に、各市が自動運転バスを生かして地域課題に取り組む狙いもある。 コンソーシアムを組んだことで、様々なメリットがあるという。 補助金上限、1 億円 → 3 億円<\b> 国土交通省の自動運転社会実装推進事業で「先駆的・優良事例」として重点支援事業に選ばれ、補助金の上限が 1 億円から 3 億円に増えた。 コスト面ではバスの車体を共同で使うことで経費が削減できる。 多治見市と土岐市は同じバスをステッカーなどを貼り替え、時期をずらして使っている。 乗車予約システムも 6 市が共同使用している。 運行実験中に状況を監視するモニター室も 1 カ所に集約している。 また、6 市ごとに運行ルートに異なる特徴があることも利点という。 中津川市は、9月に設置された中央道・神坂スマートインターチェンジ付近から観光地の馬籠宿へのルートを設定した(車両故障で実験中止)。 土岐市は JR 土岐市駅から市役所までを結ぶ。 それぞれに「信号が多い」、「道幅が狭い」などの特徴があり、様々な状況下で運行実験をすることで、トラブルなどのデータをより多く集めることができ、改善につながりやすいという。 運行を担う技術商社「マクニカ(横浜市)」の担当者は「レベル 4 への技術的な課題はまだあり、6 市が合同で取り組むメリットは大きい」と話している。 (寺西哲生、asahi = 12-6-25) いすゞ、大型トラックの自動運転を公道で実証 ドライバー不足背景に トラック大手のいすゞ自動車は 18 日、自社の部品を運ぶ自動運転トラックを公道で走らせる実証事業を始めると発表した。 ドライバー不足が深刻化するなかで、商用車メーカー各社は、自動運転車が社会に広く普及するよう、開発に力を入れている。 実証事業では、米国のスタートアップ(新興企業)の「アプライド・インテュイション」と共同開発した大型トラックを使う。 来年 1 月から春にかけて、栃木県栃木市と愛知県一宮市の間を走り、高速道路の一部区間で自動走行する。 運転手が常に走行状態を監視し、非常時には代わりに運転できるようにする。 いすゞグループの拠点を往来し、部品を運ぶ。 この日は、北海道にある同社の試験場で、自動運転の実演走行を報道陣に公開した。 自動運転トラックは、レーザー光を使って障害物を検知する技術「LiDAR」などを用いて周囲の状況を察知。 車線変更したり前方の車両を追い越したりした。 佐藤浩至常務執行役員は「通常の走行シナリオには十分対応できる。 今後はまれに発生するケースに対応できるように開発を進める」と話す。 より複雑な状況にも対応できるように開発を進めて、2027 年度には、特定の条件下でシステムがすべての操作をする「レベル 4」に相当する自動運転トラックやバス事業を始める計画だ。 日野自動車などは今年 7 月、道路の耐久試験場で、自動運転トラックを走らせる取り組みを始めた。 24 時間無人で走るため、試験期間を短くする効果があるという。 この取り組みを通じて自動運転の課題も探っている。 三菱ふそうトラック・バスも来年 1 月から、ヤマト運輸などとともに自動運転の実証を始める。 また、自動運転の実用化に向けてインフラ整備をするため、いすゞや日野などが連携した実証も進んでいる。 (三浦惇平、asahi = 11-18-25) 無人自動運転ロボタクシー、先進地米国から見えた日本が出遅れた理由 米国で急拡大している無人自動運転の「ロボタクシー」。 先行するグーグルをアマゾンやテスラなど IT 大手や自動車メーカーが続々と追いかけ、都市部で利用が広がる。 一方、自動車立国の日本は、技術があるのに出遅れている。 米国から学びうることは何か。 サンフランシスコ市内の側道で待っていると、無人のロボタクシーが近づいて停車した。 ドアが自動で解錠。 「ようこそ。 シートベルトを締めてください。」 音声に従い、車内のスタート画面を押すと走り出した。 狭い道では対向車が通り過ぎるまで待ったり、前の車が U ターンする時には脇によけたり。 カメラやセンサーが周囲の状況を把握し、AI(人工知能)が自動で操縦している。 乗ったのは、米 IT 大手グーグル傘下のサービス「ウェイモ」だ。 2018 年に世界初の商用運行を始め、現在はサンフランシスコやロサンゼルスなどで約 1,500 台を運行、週に 25 万回の乗車を提供している。 米調査会社イピットデータによると、サンフランシスコの配車サービスのうち、ウェイモのシェアは、24 時間の商用運行を始めて 1 年 3 カ月後の 24 年 11 月時点で 22%。 今後、首都ワシントンやマイアミなど、地域や台数を拡大していく。 乗車予約はスマホのアプリで手軽にできる。 目的地を入れると、行き先までのルートや待ち時間、料金が表示された。 移動距離や需給バランスによって料金は刻々と変わるが、通常の配車サービスより 1 - 2 割ほど高いことが多いようだ。 それでも利用者からは「深夜の 1 人での移動でも安心」、「運転手と話さなくて済む」と好評。 新規参入が相次ぐ。 アマゾン傘下のズークスは早ければ年内にも、ラスベガスやサンフランシスコでサービスを始める。 米電気自動車 (EV) 大手テスラも 6 月にオースティンで参入し、カリフォルニアやサウジアラビアにも展開する計画だ。 ただ、一気に人の運転に置き換わることはなさそうだ。 高性能センサーやカメラを積む車両は 1 台当たり数千万円かかり、整備体制なども含めれば、現状では大赤字事業とされる。 利用客が多く、収益が見込める都市部で走らせているが、ニューヨークのような複雑な密集都市にはまだ導入できていない。 事故時に誰が責任を負うのかも、明確になっていない。 ロボタクシー事業に参入しているウーバーのコスロシャヒ最高経営責任者 (CEO) は、米メディアに「自動運転車が米国のウーバーの半分を占めるようになるには、10 年かかるかもしれない」と語った。 女性を引きずった重傷事故 サンフランシスコでは、街中で見ない日がないほど普及が進んだロボタクシー。 だが、悲痛な事故も起きている。 それは 23 年 10 月の夜、車や路面電車、歩行者がせわしなく行き交う中心部の交差点で起きた。 米自動車大手ゼネラル・モーターズ (GM) 傘下のクルーズのロボタクシーが、別の車がはねた女性歩行者を下敷きにした。 一度は停止したが再び走行し、約 6 メートルにわたって女性をひきずった。 女性は重傷を負った。 事故の調査報告書は、技術的な原因を指摘した。 別の車にはねられて女性が地面に倒れていることをロボタクシーが正確に認識できなかった。 さらに、車のどこに衝突したのか認識できず、女性の救助よりも車を道路脇に移動することが優先されていた。 現場前でレストランを営むモー・アハキムさん (50) は、自動運転がまだ信頼できないと感じたといい、「(ロボタクシーに)私はあまり乗りたいとは思わない」と話した。 事故そのものよりも批判を浴びたのが、クルーズの対応だった。クルーズは規制当局に対して当初、歩行者を引きずったという資料や映像を提示しなかった。 問題視したカリフォルニア州の規制当局は、同社のロボタクシーの運行許可を無期限で取り消した。 今も再開できていない。 サンフランシスコでは、クルーズと米グーグル傘下ウェイモの 2 社が 24 時間体制での商業運行を 23 年から始めていた。 ウェイモの 23 年の発表では、約 1,150 万キロメートルの走行データを分析すると、けがを伴う事故率は人間のドライバーよりも 85% 減少したという。通行止めなどの道路状況に対し、ウェイモは搭載カメラで道路上の障害物を認識できるとしている。 オペレーターに連絡することで誘導員の指示にも対応できる。 一方で、性能は完全ではなく、立ち往生して渋滞を引き起こした事例も報告されている。雨や濃霧などの荒天時はセンサーが悪影響を受け、誤作動しやすいとも報じられている。 市や規制当局の資料によると、ウェイモが消防車両の道を塞ぐといった苦情も多発。 ソフトウェアの不具合で物損事故が相次いだことなどを理由に、22 - 24 〜24年製の車 1,200 台をリコールしたことも分かっている。 同社は「多くの問題を乗り越えてきたが、高速道路の運行や、米国以外の国での環境に適応させることがいまの課題だ」としている。 雇用を奪うとして普及に反対する団体もある。 運転手などでつくる全米の労働組合「チームスターズ」は雇用と安全が損なわれることを理由に、反対活動を続けている。 自動運転技術に詳しい米カーネギー・メロン大学のフィリップ・コープマン准教授は、「ロボタクシーは人間と違って、想定されていない状況を把握するのが苦手だ」と技術的な課題を指摘。過去の事例を学習して動くため、人間のドライバーのように柔軟に対応できないという。だからこそ、「非常にまれな事態でも想定してソフトウェアを訓練しておかなければならない」と指摘する。 ただ、それでも事故を完全に避けることは難しいことから、事故時の状況の記録や、当局への報告、公開を運行企業に求める厳格な仕組みの必要性を説く。米国でもこうした仕組みはあるものの、運輸省が企業に課している報告義務は、詳細さや開示の範囲はあいまいだと指摘。 これから本格的に普及が始まる日本などの国や地域に対して、こう提案する。 「起きた事故を検証できなければ次につながらない。 透明性を高めることが最も大事だ。 この仕組みは、ロボタクシーを道路で走らせる前にやるべきことだ。」 日本の「規制の敗北」 「想像をはるかに超える安心感のある、スムーズな運転だった。」 5 月 3 日にサンフランシスコを訪れ、ウェイモに試乗した平将明デジタル相はこう述べ、日本での導入に意欲を示した。 ウェイモは日本での商用運行の可能性を探るため、東京都内で道路環境のデータを集めると 4 月に発表していた。 トヨタ自動車との協業も始め、自動運転の車両基盤を共同で開発するとともに、ウェイモの自動運転技術でトヨタの一般向け自動運転車の実現を目指している。 日本では自動運転の実用化が遅れている。 「自動運転は本来、我が国でできなければならなかった。」 23 年 10 月の政府の規制改革推進会議で、河野太郎デジタル相(当時)はこう述べた。「技術があるにもかかわらず実用化・事業化できなかったのは、『規制の敗北』と言わざるを得ない。」 何が違うのか。 米国では、権限の強い州政府が走行試験や営業の許可を柔軟に出せる。 日本は走行を許可する警察庁や、車両を認可する国土交通省などが全国一律の厳格な規制をしく。 通信データではデジタル庁、技術開発支援では経済産業省なども加わり、縦割りの規制が複雑、不透明とされる。 社会のリスクとの向き合い方にも差がある。 米国は自動運転技術を、ある程度のリスクを認めた上で社会に取り入れた。 そこから、制度も含めて改善してきた。完璧になるまで導入できなければ、技術革新はなしえないという考えがある。 人もロボットも事故をゼロにすることは不可能だという前提に立つ。 「ゼロリスク」へのこだわりが強い日本には、なじみにくい発想だ。 技術も法制度も完全をめざし、役所は規制を外した時に起こりうるリスクを過度に恐れる傾向にある。 シリコンバレーに在住経験のある慶応大院経営管理研究科の芦澤美智子准教授は、同地にはソフトウェア開発で培った「アジャイル(機敏)」な気風があるとした上で、「日本もリスクを減らす方策を尽くしつつ、ゼロにはなりえないと認識することも大切ではないか」と話す。 「規制をつくったら固定化するのではなく、定期的に見直して改善していくことも必要だ」 (サンフランシスコ・市野塊、奈良部健、asahi = 5-25-25) 自動運転 AI の英ウェイブ、横浜に開発拠点 日系メーカーと協業模索 ソフトバンクグループなどから出資を受け、自動運転のための AI (人工知能)を手がける英スタートアップのウェイブ・テクノロジーズは 22 日、日本市場に参入すると発表した。 同社は、日産自動車が 2027 年度から市販車に搭載する次世代の運転支援技術の開発に協力しており、他の国内自動車メーカーとも協業を模索する考えだ。 22 日までに横浜市内に開発拠点を設け、同市内や東京都内の公道で、ウェイブの AI を搭載した車両のテスト走行を始めた。 ドライバーがハンドルに手を添えた状態で自動運転を行い、交通ルールや慣行を学習させる。 同社の AI は初めて走る道路でも、それまでの走行経験を基に自ら考え運転できるのが特徴だ。 英国や米国などでもテスト走行を実施している。 同社のアレックス・ケンドル CEO (最高経営責任者)は「主要な自動車メーカーと協業して互いの強みを生かしていきたい。 日本の製造業は効率も優れている。 連携すれば、新たな乗車体験をつくりだす A Iを市場に投入できるはずだ。」と意欲を見せた。 (中村建太、asahi = 4-22-25) 茨城「ひたち BRT」、国内初の中型バス自動運転「レベル 4」 茨城県日立市のバス高速輸送システム「ひたち BRT」で、道路環境など一定の条件下でシステムが全ての運転操作を担う「レベル 4」の自動運転の営業運行が 3 日に始まる。 中型バスでの「レベル 4」運行は国内初。 走行区間 6.1 キロは国内最長距離となり、各地で展開される自動運転のモデルケースとして期待される。 ひたち BRT は茨城交通が運行する。 関係者の試乗が 2 日行われた。 バス(定員 28 人)は日立電鉄線跡地の専用道区間を走り出す。 だが、運転席に座る運転手の手はハンドルから離れて膝の上に置かれたままだ。 時速 40 キロ以下で走行し、車両に搭載されたカメラやセンサーで専用道から 2 メートル以内の歩行者を検知すると減速。 一般道との交差点でも安全を確認して進む。 ひたち BRT の運行区間 8.7 キロのうち、「レベル 4」で走る専用道区間は南部図書館 - 河原子間の 6.1 キロ。 平日昼間に 8 便(4 往復)運行する。 同区間のバス停全 14 か所で停車し、一般道との交差点などで減速するため、通常より 8 分長い 29 分かかる。 同区間以外は運転手が手動で走らせる。 (yomiuri = 2-3-25)
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