今年は当たり年? 毒キノコ被害多発 全国で 21 人

秋の行楽シーズンを迎え、毒キノコによる食中毒被害が相次いでいる。 今年は 9 月に雨が多かった上、残暑も厳しかったためキノコの生育が盛んという。 専門家は「食用か有毒かの判別は困難。 山や公園で採って食べるのは、できるだけ控えてほしい。」と注意を呼び掛けている。 厚生労働省によると、毒キノコの被害は例年、山菜採りが盛んになる秋頃に増える。 食用キノコとの判別が難しく、誤って食べて嘔吐(おうと)や下痢といった症状や、意識の混濁を引き起こすことも。 重症の場合はけいれんや呼吸困難に陥ることもあり、全国で昨年までの 10 年間に 13 人が亡くなっている。

今年は 1 月 - 10 月 6 日の速報値で、21 人が食中毒にかかった。 うち 17 人が 9、10 月の被害という。 神戸市森林植物園の担当者は「9 月の残暑と多雨はキノコにとって好適な生育環境だった」と話す。 その上で「大きく育って人目につきやすくなるので、つい採って食べたくなるかもしれないが、有毒かどうかを見分ける法則がなく、専門家でなければとても見分けられない」と注意を促す。

例えば、クサウラベニタケはホンシメジと似ているが、間違って食べると、食後 20 分 - 1 時間程度で嘔吐や下痢、腹痛の中毒を起こす。 今月 5 日には兵庫県西脇市で、クサウラベニタケをすまし汁にして食べた夫婦が下痢や嘔吐を発症した。 ツキヨタケはシイタケやヒラタケと酷似。 ニガクリタケもクリタケやナメコと間違われる。 いずれも判別は容易ではない。

▽ 茎が縦に裂ければ食べられる、▽ 虫が食べていれば食べられる、▽ 派手な色をしていなければ食べられる - - といったよく聞く「見分け方」についても、厚労省は「誤解や、誤った言い伝え」と指摘。 「確実な見分け方はなく、自分の判断だけで食べることは絶対に避けてほしい」としている。 (鈴木雅之、神戸新聞 = 10-10-16)


イオン、7 年ぶり赤字 スーパー事業不振、8 月中間決算

値下げ継続

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AO 入試実施、過去最多 79 校 17 年度の国公立大

文部科学省は 4 日、国立大 82 校と公立大 86 校の 2017 年度入試の概要をまとめた。 書類審査や面接で判定するアドミッション・オフィス (AO) 入試を 1 学部以上で実施する国公立大は計 79 校 (47.0%) となり、前年度から 4 校増えて過去最高を更新。 学力検査を原則免除し、調査書などで選抜する推薦入試は同 1 校増の 160 校 (95.2%) だった。

文科省は大学入試改革で多面的な選抜の導入を目指しており、担当者は「きめ細かな選抜に向け、AO 入試がなじむと考える大学が増えているのではないか」と話している。 17 年度入試で新たに AO 入試を取り入れる国立大は滋賀、香川、熊本の 3 校。 弘前大はこれまで推薦入試を実施してきた 3 学部で AO 入試に切り替える。

全体の募集人員は国立大が前年度比 312 人減の 9 万 5,448 人。 全定員の 3.8% に当たる 3,628 人が AO 入試で、同 12.4% に当たる 1 万 1,874 人が推薦入試だった。 「世界適塾入試」と名付けた AO・推薦入試を導入する大阪大が新たに後期日程を取りやめるなど、後期で学生を募集しない国立大は 8 校に増えた。 公立大は今春 2 校新設されたこともあり、全定員は前年度比 479 人増の 2 万 9,472 人となった。 (nikkei = 10-4-16)


資生堂、ユニ・チャーム、ライオンが売り場づくりで相互協力

「対花王」で包囲網

資生堂とライオン、ユニ・チャームの 3 社は 3 日、ドラッグストアなどの売り場づくりで相互協力する、と発表した。 販売状況に関するデータ分析や、商品清掃などのメンテナンスでも連携する。 商品の陳列方法を工夫して売り場を活性化し、新たな需要を喚起するとともに、作業を効率化するのが狙い。 「今後は 3 社それぞれが保有する知見の共有を進めていく(資生堂)」としている。

売り場づくりの支援を手がける資生堂の完全子会社、ジャパンリテールイノベーション(東京都中央区)に、ユニ・チャームとライオンがそれぞれ 20% を出資する。 3 社はともに日用品を扱っているが、資生堂は主に化粧品、ユニ・チャームはおむつや生理用品、ライオンは洗剤や歯磨き粉が主力で、競合分野は比較的少ない。 商品の垣根を越えて連携することで、さまざまな販売データを収集し、消費行動の分析力向上につなげる考え。 連携には、各社と競合する花王に対抗する狙いもあるとみられる。 (sankei = 10-3-16)


プログラミング教室が活況 小学校必修化にらみ企業参入

コンピューターの動かし方を学ぶ民間のプログラミング教室が相次いでできている。 2020 年度から、プログラミングが小学校の授業に取り入れられる見通しになり、子どもに習わせたいという親が増えているためだ。 習い事の定番に加わる日は遠くないかもしれない。 「回らんな」、「どうしてやろ」。 9 月上旬、兵庫県西宮市にある子ども向けプログラミング教室「プログラボ」の夙川校では、小学校 3 - 6 年の子どもたち約 20 人がそれぞれのノートパソコンを操作していた。

パソコンにつながった小型の扇風機の首を振れるようにしたり、一定間隔で動かしたりするプログラムをつくる授業だ。 子どもたちが作業を始めて約 10 分後、「できたで!」と声が上がった。 風を送るだけだった扇風機の首が左右に動き、男の子の顔がほころんだ。 プログラボは、阪神電気鉄道が読売テレビ放送などと組んで今年 4 月から本格的に事業を始めた。 夙川校には約 130 人が通う。授業は 1 カ月 3 回で、授業料は 1 万 1 千円だ。 (岩沢志気、asahi = 10-2-16)


人口 10 万人あたりの美術館数 3 位「島根県」、2 位「長野県」、気になる 1 位は?

人口 10 万人当たりの美術館の数は、1 位「山梨県」、2 位「長野県」、3 位「島根県」であることが NTT タウンページの調査により明らかになった。 リゾート地として人気の地域に美術館が多く、リゾート客が美術館の集客力アップにつながっていると考えられるという。 NTT タウンページは、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用してさまざまなマーケティング情報を提供しており、同社が運営するタウンページデータベース商品紹介サイトでは、毎月独自の都道府県ランキングを発表している。

人口 10 万人あたりの業種分類「美術館」の登録件数は、1 位が「山梨県」 7.25 件、2 位「長野県」 6.40 件、3 位「島根県」 4.02 件と、リゾート地として人気の地域に美術館が多い結果となった。

1 位となった「山梨県」には、ミレーの代表作をはじめバルビゾン派の作品を多数収蔵した「山梨県立美術館」がある。 また、人気のリゾート地である清里には「えほんミュージアム清里」、「平山郁夫シルクロード美術館」、富士五湖周辺には「久保田一竹美術館」、「河口湖美術館」など、自然の中で楽しめる美術館が多数。 2 位の「長野県」は登録件数だけで見た場合、135 件と美術館数でトップ。 安曇野には「安曇野ちひろ美術館」、「北アルプス展望美術館」、美ヶ原には「美ヶ原高原美術館」、蓼科には「蓼科テディベア美術館」などがある。

2008 年の第一生命経済研究所のレポートによると、人が美術館に求めるものには都市ごとに違いがみられ、芸術の都パリでは「教養」、上海では「心のやすらぎ」、ロンドンとニューヨークでは「非日常的な刺激」、東京は「気分転換」を求める声が高い傾向にあるという。 リゾート地の美術館でリラックスしながら美術鑑賞ができるので、忙しい日本人には一石二鳥なのではないかと分析している。

また、2000 年に京都国立博物館で開催された「没後 200 年 若冲展」での伊藤若冲の人気をきっかけに、長谷川等伯や曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳、河鍋暁斎など、江戸時代を中心とした絵師たちに注目が集まり、各地の美術館で日本美術の企画展が開催されるようになった。 2007 年 - 2016 年の「美術館」の登録件数はほぼ横ばいだが、文部科学省の社会教育調査によると 2000 年以降、美術館の入場者数は順調に増加している。

2016 年 7 月には東京・上野にある国立西洋美術館が世界文化遺産に登録され、注目が集まった。 今年の秋は「芸術の秋」を楽しんでみてはいかがだろうか。 (外岡紘代、ReseMom = 9-29-16)


ドンキホーテ、「27 期連続」増収増益を果たした 3 つの強み

閉店スーパーの後に

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ら抜き言葉が浸透 「出れる」が「出られる」を上回る

「今年は初日の出が見れた」、「早く出れる?」といった「ら抜き」言葉を使う人の割合が、それぞれ「見られた」、「出られる?」を使う人を初めて上回ったことが、文化庁が 21 日に発表した 2015 年度「国語に関する世論調査」で明らかになった。 調査は今年 2 - 3 月、全国の 16 歳以上の男女 3,589 人を対象に行われ、1,959 人が答えた(有効回答率 54.6%)。

可能の助動詞「られる」の「ら」が脱落した「ら抜き」言葉について、「今年は初日の出が見れた」を使うと答えた人は 48.4% (10 年度調査比で 1.2 ポイント増)で、「見られた」の 44.6% を上回った(同 3 ポイント減)。 10 代は 8 割近くが「見れる」を使っていた。 「早く出れる?」を使うと答えた人も 45.1% (同 1.1 ポイント増)で、「出られる?」の 44.3% (同 3.7 ポイント減)を超えた。 10 - 20 代は 6 割以上が「出れる?」を使っていた。 (守真弓、asahi = 9-21-16)


スズメバチ、秋に活性化 化粧品や整髪料で「臨戦態勢」

今月 11 日、岐阜県飛?市のマラソン大会で、参加者ら 115 人がキイロスズメバチとみられるハチに刺された。 実りの秋はハチが活性化する時期でもある。 刺されないためにどうすればよいのか、刺されたらどう対処するべきか - -。 行楽シーズンを前にまとめた。 飛?市神岡町の山之村地区であった「第 18 回山の村だいこんマラソン」で、キイロスズメバチとみられるハチが参加者ら 115 人を次々と刺した。 幸い重傷者はいなかったが、8 人が市民病院で手当てを受けた。

ハチの巣はコース途中の打保(うつぼ)橋の下にあった。 普段はめったに人が通らない橋を大勢が走ったことで、巣に振動が伝わり、興奮したハチが人を刺したとみられている。 2 日後、市は直径 45 センチほどの巣を撤去した。 実は、関市もハチに悩まされている。 市板取事務所によると、昨夏、観光名所「モネの池(同市板取白谷)」から約 100 メートル離れた下白谷橋の下で、キイロスズメバチのものとみられる巣が見つかった。 今年に入り、同じ橋に別の巣ができたため、昨夏からの通行止めを今も続けている。

ハチに詳しい岐阜大学応用生物科学部の土田浩治教授(昆虫生態学)によると、キイロスズメバチやオオスズメバチなどは秋になると活性化する。 春に女王バチが 1 匹で巣を作り始め、9 - 10 月ごろには働きバチの数が急増。 このため、小さな巣が急に大きくなるといい、土田教授は「事前に気づくのは難しい」と指摘する。 キイロスズメバチは自然が豊かな里山だけでなく、市街地の家の軒先など雨をしのげるような場所でも巣を作る。 ここ 30 年ほどで生息域の「都市化」が進んでいる種で、缶ジュースの飲み残しなどがエサになっているという説もある。 (西濃祐太朗、asahi = 9-19-16)


65 歳以上、総人口の 27.3% 女性は初めて 3 割超え

65 歳以上の高齢者人口(15 日現在)は推計で 3,461 万人で、総人口に占める割合が 27.3% にのぼった。 前年から 73 万人、0.6 ポイント増え、いずれも過去最高を記録した。 女性の 65 歳以上の割合は初めて 3 割を超えた。 総務省が 19 日の「敬老の日」に合わせて発表した。 2015 年国勢調査の速報値をもとに推計した。 65 歳以上の男性は 1,499 万人(男性人口の 24.3%)、女性は 1,962 万人(女性人口の 30.1%)。 年齢別では、70 歳以上が 2,437 万人(総人口の 19.2%)、75 歳以上が 1,697 万人(同 13.4%)、80 歳以上が 1,045 万人(同 8.2%)だった。

国立社会保障・人口問題研究所のこれまでの推計では、65 歳以上の高齢者が総人口の 3 割を超えるのは 8 年後の 24 年とされている。 少子高齢化が進むなかで働く高齢者も増えており、同省の労働力調査によると、昨年は過去最高の 730 万人。 このうち 65 - 69 歳の就業率は、男性が 52.2%、女性が 31.6% だった。 (asahi = 9-18-16)


虐待死の子ども、0 歳が 6 割超 背景に「望まない妊娠」

2014 年度中に虐待で亡くなったと確認された 18 歳未満の子どもは 71 人で、無理心中を除けば前年度より 8 人多い 44 人に上った。 そのうち 0 歳児は 27 人で初めて 6 割を超え、15 人は生後 24 時間以内に死亡していた。 厚生労働省が 16 日、児童虐待による死亡事例の検証結果を公表した。 公表は 05 年から行われ、今回で 12 回目。 14 年度中に発生や発覚した子どもの虐待による死亡事例について、自治体からの報告をもとに検証した。

理心中以外では 39 人が 3 歳までに亡くなり、9 割近くを占めた。 主な加害者は実母が 28 人と最も多く、次いで実父が 3 人だった。 亡くなった 44 人の子どもの実母が抱えていた問題を複数回答で聞くと、「望まない妊娠」が最多の 24 人で 54.5% を占め、過去 11 回の検証の平均割合 (21.7%) を大きく上回った。 そのうち 19 人は 0 歳児の親だった。 妊婦健診を受けていない実母も 18 人いた。 虐待をした動機を複数回答で聞くと、「子どもの存在の拒否・否定(14 人)」、「保護を怠った(5 人)」、「しつけのつもり(4 人)」などが挙がった。 (伊藤舞虹、asahi = 9-17-16)

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子どもの死を防ぐには 事故・虐待 … 記録 4,952 件分析

小さないのちを守りたい - -。 睡眠時の窒息、浴室での溺れ、転落などで、子どもの命が失われている。 痛ましい虐待や自殺も後を絶たない。 朝日新聞は、過去 10 年間に亡くなった子どものうち約 5 千人について、原因などが書かれた解剖記録を専門家と分析した。 約 1,900 人の記録から、今後起こりうる事故や虐待を防ぐための手がかりが見えてきた。

「母親の腕枕で就寝。 目を覚ますと母親の左腕が覆いかぶさり、意識がない状態。」 2014 年に亡くなった 0 歳男児の記録からは、母親の添い寝中に起きた窒息だったことが読み取れた。 同じ年には、家族 4 人が「川の字」で寝ていたところ、0 歳男児にきょうだいが覆いかぶさり、亡くなった。 分析では、添い寝や川の字で寝ていて亡くなった例が 110 件あった。

また、窒息などを引き起こす危険が指摘されている「うつぶせ」状態も 240 件あった。 その 8 割近くは、まだ寝返りを打つのが難しいとされる「生後 180 日以内」だった。 このような睡眠時の事故は全体で 469 件あり、分析した中で最も多かった。 リスクを減らすには、うつぶせ寝ややわらかい寝具を避けたり、なるべくベビーベッドを使ったりすることが有効とされる。 こうした情報が社会でさらに共有されていけば、同じような事故を減らしていくことができるかもしれない。

今回、分析を試みたのは、05 - 14 年に行われた司法・行政解剖のうち 14 歳以下の子どもの記録 4,952 件。 事件性の判断や死因の解明のために解剖されたもので、亡くなった子ども約 4 万 6 千人の約 1 割にあたる。 記録は法医学者の間で研究用に共有されており、非公表だ。 氏名などの個人情報はなく、原因や状況がある程度記されている。 事故予防に詳しい山中龍宏医師、日本子ども虐待防止学会長の奥山真紀子医師の協力を得た。 日本小児科学会は今年、東京などの 368 の死亡例を、予防につながる要因があるかどうかの観点で試行的に分析しており、その手法や、子どもの死の検証制度がある海外の事例などを参考にした。

その結果、今後起きうる事故の予防につながる要因が読み取れたのは 849 件。 睡眠時に次いで多かったのは浴室やプールでの溺死、転落・転倒、食べ物を気管に詰まらせる誤嚥などだ。 一方、虐待や無理心中、自殺など、社会的な対応によっては防ぎうる要因を見いだせる記録も 1,067 件あった。 うち 379 件と最多だったのが、出産直後の赤ちゃんを遺棄するなどの「産み落とし」だった。 産み落としの全体を把握する国の統計はない。 (asahi = 8-28-16)


シミのリスク、気象で算出 資生堂と日本気象協会が提供

肌のシミは紫外線の影響だけでなく乾燥によっても進むことを知らせるため、資生堂と日本気象協会は 15 日、「シミ・リバウンド指数」の提供を始めた。 気象条件をもとに算出し、協会の天気予報サイトでシミになるリスクを 5 段階で知らせる。

資生堂の調べでは、紫外線が弱くなる秋冬は肌のシミ対策を中断する女性が多く、「乾燥がシミの原因になる」と考える女性も 3 割ほどにとどまる。 ただ、研究によると、乾燥による刺激でシミの原因物質のメラニンが増えることがわかったという。 シミ・リバウンド指数は、屋外の湿度や紫外線の状況などから 1 - 5 で数値化し、最も危険度の高い場合が「リスク 5」となる。 毎日 5 回ずつ、全国 142 地点でのリスクを掲載する。 協会のサイト で確認できる。 (asahi = 9-15-16)


三菱商事、ローソン子会社化へ 買収額 1,500 億円規模

三菱商事は、コンビニ大手ローソンを子会社化する方針を固めた。 株式公開買い付け (TOB) により、出資比率を現在の 33.4% から 50.1% に引き上げる。 買収額は約 1,500 億円規模となる見通しで、近く発表する。 コンビニ業界は再編が進んでおり、ローソンへの経営関与を強めて上位 2 社に対抗する。

三菱商事は現在、ローソンの筆頭株主。 ローソンは子会社化を通じて商品調達力を高めるほか、三菱商事の持つネットワークを生かし、成長が見込めるアジアなど海外展開を加速させる考えだ。 コンビニ業界では、伊藤忠商事が出資するファミリーマートが今月 1 日、サークル K サンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合。 合計店舗数で首位のセブン-イレブン・ジャパンの約 1 万 9 千店に次ぐ 2 位になり、約 1 万 3 千店のローソンは 3 位に転落した。 (和気真也、asahi = 9-15-16)

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ファミマとユニーが経営統合 コンビニ数、セブンに迫る

ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが 1 日、経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足した。 国内 2 位のコンビニ店数と、東海中心の総合スーパーを備える流通グループが生まれた。 コンビニは、ファミマにユニー傘下だったサークル K とサンクスを加えて国内約 1 万 8 千店。 最大手のセブン-イレブンに迫る。 サークル K とサンクスの約 6 千店は 2019 年 2 月末までに順次、看板をファミマに掛け替えていく。 その一つ、名古屋市昭和区塩付通のサークル K は 1 日、ファミマとして新装開店し、テープカットで祝った。 買い物に訪れた主婦青江恵さん (42) は「これまでコンビニといえばサークル K だったが、パンや総菜の品ぞろえに期待したい」と話した。(大隈悠、asahi = 9-1-16)


離婚した夫婦間の子ども、引き渡しのルール明文化へ

離婚した夫婦間の子どもを確実に引き渡す仕組みが必要だとして、金田勝年法相は 12 日、諮問機関の法制審議会に民事執行法の見直しを諮問した。 引き渡しに従わない場合、応じるまで金銭の支払いが加算され続け、さらに裁判所の執行官が強制的に引き離す仕組みも検討する。 法務省は法制審の答申を受けて 2018 年ごろの改正法案の国会提出を目指す。

離婚などに際して親権者らは、子と同居するもう一方の親らに対し、子を引き渡すよう裁判所に申し立てることができる。 国外に連れ出された 16 歳未満の子の引き渡しについては、日本が 14 年に加盟した「ハーグ条約」が適用され、13 年に成立した国内法で手続きを定めた。 一方、国内での子の引き渡しの強制執行には法律上ルールがなく、動産の引き渡しを定めた民事執行法を子に適用してきた。

最高裁によると、子の引き渡しの強制執行を申し立てた件数は昨年全国で 97 件。 このうち 27 件が実際に引き渡された。 民事執行法には引き渡し方法などの規定がないため、執行官は運用で、▽ 同居する親らが一緒にいる場面に限る、▽ 親らの自宅に限る、▽ 子の心理についての専門家を可能な場合は同行させる - - などの対応をしてきたという。 だが、専門家からは、法律で明文化されないと対応が一律にならず、「子の心身に悪影響もありうる」との指摘が上がっていた。 (金子元希、asahi = 9-13-16)


18・19 歳の投票率 46.78% 首位は東京 参院選

総務省は 9 日、7 月の参院選から新たに国政選挙の選挙権を得た 18、19 歳の投票率が 46.78% だったと発表した。 年齢別では 18 歳が 51.28%、19 歳が 42.30%。 いずれも全体の投票率 54.70% を下回った。 7 月に抽出調査の結果を公表していたが、全投票者について調べた。

18、19 歳の都道府県別の投票率は、東京が 57.84% で最も高く、神奈川の 54.70%、愛知の 53.77% が続いた。 逆に低かったのは、高知の 30.93% に宮崎の 33.61%、愛媛の 35.78%。 14 県で 30% 台だった。 年齢別に見ると高知、宮崎、愛媛の 19 歳が 20% 台にとどまった。 18、19 歳の有権者計 1万 1,480 人の抽出調査では、投票率は 45.45% で、18 歳 51.17%、19 歳 39.66% だった。 (asahi = 9-9-16)


受動喫煙対策は世界最低レベル 厚労省検討会が痛烈報告

厚生労働省の有識者検討会は「喫煙と健康影響」に関する報告書(たばこ白書)案をまとめた。 日本の受動喫煙対策を「世界最低レベル」とし、「屋内の 100% 禁煙化を目指すべきだ」と提言している。 白書をまとめるのは 2001 年以来、15 年ぶりで 4 回目。 31 日の検討会で了承を得て、正式に決まる。 今回、白書として初めて、日本人での喫煙と病気の因果関係を、米国の評価方法に準じて、「確実」、「可能性あり」、「不明」、「無関係の可能性」の 4 段階で科学的に判定した。 受動喫煙では、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中などを「確実」と認定した。

世界保健機関 (WHO) による各国のたばこ対策 7 項目への評価では、日本は「受動喫煙からの保護」、「マスメディアキャンペーン」、「広告、販売促進活動などの禁止要請」の 3 項目が「最低」で、G7 諸国で最悪だったと報告した。 世界の 49 カ国では、医療機関や大学・学校、飲食店、公共交通機関などの公共の場で「屋内全面禁煙」とする法規制をしているが、日本は努力義務にとどまり、「最低レベル」と判定されていることも紹介。 受動喫煙対策で「わが国でも喫煙室を設置することなく、屋内の 100% 禁煙化を目指すべきだ」とした。 (寺崎省子、asahi = 8-31-16)


街中にコインランドリー増加中 家にあるのになぜ外で?

街中のコインランドリーが増えている。 総務省によると、洗濯機普及率は 100% に近い。 なのに、お金を払って外で洗濯するのは、なぜなのか。

雨の平日午前 8 時。 東京都府中市のコインランドリー「エコウォッシュカフェ」に、洗濯物を詰めた袋を抱えた男女が次々にやってきた。 乾燥機で子供服やタオルを乾かした主婦 (30) は「洗濯機を 2 - 3 回まわすけど、雨の日は部屋に干し切れない。 よく利用します。」 30 坪ほどの店内は一面ガラス張りで、壁と床は木材で統一されたデザイン。 600 - 800 円で約 30 分回る大容量洗濯機 4 台と、100 円で 6 - 9 分回る乾燥機 9 台などがある。 奥にはソファ 6 脚が用意されたカフェスペースも。 昨夏にはジーンズメーカーの CM の撮影現場になり、有名モデルもやってきた。 コーヒーを飲んで洗濯が終わるのを待っていた 30 代女性は「この店はちょっとおしゃれ。 コインランドリーのイメージが変わりました。」

昨年 3 月にオープンし、不動産企画会社「テンポスタイル(東京都世田谷区)」が経営している。 玉置淳介社長は「ファミリー層が多い住宅地で周囲にコインランドリーがなく、明るい雰囲気の店を出せば、やっていけると思った。」 狙いは当たり、月の売り上げは事前予想の倍近いという。 機器購入費と建設費などの初期投資約 4 千万円も予定より数年早く回収できる見込みだ。 (千葉卓朗、asahi = 8-31-16)


下水道老朽化で道路陥没、年 3 千件超 被害広がる恐れ

下水道管の老朽化による道路陥没が年 3 千件以上発生している。 今後、高度経済成長期以降に大量に整備された下水道管が耐用年数を迎え、被害が広がる恐れがある。 国土交通省は老朽化が目立つ場所で、自治体に点検の強化を求める。 名古屋駅から南に約 1 キロ。 7 月 15 日、病院やオフィスビルが並ぶ幅 7.3 メートルの通りで、中央付近が約 1.5 メートル四方、深さ約 2 メートルにわたり陥没した。

近くの病院の石川敦子院長 (55) は「病院の玄関先 5 メートルが陥没した。 患者や車がよく通る場所なので、誰も巻き込まれず、ほっとした。」と話す。 市によると、老朽化した直径 80 センチの下水道管が破損し、土砂が流入。 周囲に空洞が出来たのが原因という。 「オートバイでくぼみにはまり、ひっくり返りそうになった。」 東京都北区の大久保実さん (81) は 3 年前の経験を振り返る。 13 年 8 月、区道が直径約 1 メートル、深さ 10 センチにわたり陥没した。 別の男性(当時 77)はつまずいて転倒し、一時意識を失った。

都によると、約 50 年前に設置した直径 15 センチの下水道管とマンホールの接合部が老朽化でずれ、隙間に土砂が流れ込んだという。 13 年 9 月には大阪府豊中市の歩道が約 3 メートル四方、深さ約 2.5 メートル陥没し、長女(当時 1)を抱っこした女性(当時 35)が落ちて軽傷を負った。 国交省によると、下水道管の老朽化や腐食が原因の道路陥没は 04 - 14 年度、年平均で 4,655 件発生し、14 年度は 3,313 件あった。 物損事故は年 10 件ほどあるという。

全国の下水道は 1970 年代から整備が加速し、総延長は約 46 万キロと地球 11 周半分になる。 コンクリートの耐用年数である 50 年を超える下水道管は約 1 万キロと全体の約 2% だが、20 年後には約 11 万キロと 10 倍以上に増える。 日本大学の森田弘昭教授(土木環境システム)は「このままだと陥没の危険性が高まる」と指摘する。

自治体の 8 割が点検せず

陥没が相次ぐ背景には、下水道管の点検が徹底されないことがある。 国交省によると、下水道管は地中で人目につかず、点検は後回しにされがちだ。 下水道管を管理する約 1,500 自治体の担当職員は 1997 年度の約 4 万 7 千人から 2015 年度は約 2 万 9 千人に減り、8 割の自治体は点検をしていなかった。 改正下水道法が昨年 11 月に施行され、国交省は 2018 年 11 月以降、下水が細い管から隙間のある太い管に流れ、空気に触れることで管を腐食させる硫化水素が発生しやすい数メートル - 数十メートルの区間について、自治体に「5 年に 1 回以上」の点検を義務づける。 対象は全国で約 10 万カ所ある。

点検職員不足の対策としては、複数の自治体で下水道を管理する広域化を進める。 大阪府の富田林市や太子町など 4 市町村は 5 日、改正下水道法による協議会を全国で初めて設置。 点検業務の外部発注を共同で進める。 点検に必要な人手を減らすため、東京都八王子市や千葉県船橋市、大阪府河内長野市が点検用ロボットをメーカーと共同開発した際は、国が各自治体に 2 億円を補助した。 ドローンを使った点検を実験中の横浜市には 2 千万円を補助する。 国交省は「人や予算が限られる中、効率的な点検で陥没事故を減らしたい」とする。 (峯俊一平、asahi = 8-27-16)


振り込め詐欺対策に電話封じ作戦 道警で成果、全国へ

振り込め詐欺などの特殊詐欺事件で、うその電話で被害者をだます手口を封じようと、警察は、犯行に使われた番号に電話をかけ続ける新たな一手に出る。 電話を鳴りっぱなしの状態にして、犯人が電話しようにもできなくする作戦だ。 警察庁は 25 日発表した来年度当初予算の概算要求案に、この電話作戦の事業費 5,300 万円を盛り込んだ。 警察庁は昨年、北海道警で行ったモデル事業で成果が上がったとして、全国に広げる方針を固めた。

モデル事業では、道警が把握した電話番号のうち、犯行に引き続き使われていると判断したものを業者に提供し、システムから自動的に電話をかけ続けた。 相手が応答すると、警察を名乗って「犯罪への利用を直ちに停止し、出頭するよう警告する」という音声を流した。 昨年 8 - 12 月の事業期間中に 84 番号が対象になり、うち 62 番号で解約が確認された。 「犯人」があきらめて手続きしたとみられるという。 同年上半期(1 - 6 月)と被害を比べると、モデル事業を行った下半期(7 - 12 月)は 43 件減って 116 件、額も 3.3 億円減の 3 億円だった。 事業費は 500 万円だったという。 (伊藤和也、asahi = 8-25-16)


「夫婦の子」否認できるの夫だけ 元妻ら「違憲」と提訴

生まれた子との間に「親子関係がない」とする「嫡出(ちゃくしゅつ)否認」の訴えは夫しか起こせない、とした民法の規定によって娘や孫が「無戸籍」の状態になり精神的苦痛を受けたとして、兵庫県内に住む 60 代の女性ら 4 人が 24 日、国に計 220 万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。 「法の下の平等」や「結婚や家族における男女の平等」などを定めた憲法に違反すると主張。 国会が法改正を長期間怠ってきたと訴えている。 代理人の作花知志(さっかともし)弁護士によると、この規定の違憲性を問う訴訟は過去に例がないという。

原告は女性と 30 代の娘、2 人の孫。 訴状によると、女性は約 30 年前に夫の継続的な暴力から逃げて別居し、離婚の成立前に別の男性との間に娘を産んだ。 離婚前に生まれた子は、民法の規定により夫の子と推定されるため、女性は娘の出生届を出すことを断念。 娘は無戸籍となり、その子である孫 2 人も無戸籍となった。 その後、元夫が死亡したことが 3 年前に分かり、娘の戸籍を作る手続きを進めた結果、今年 2 月までに 3 人の戸籍が作られ、無戸籍が解消された。 (金子元希、asahi = 8-25-16)


視覚障害者の駅ホーム転落、事例集めたデータベース公開

視覚障害者が駅のホームから転落する事故を防ぐため、成蹊大学理工学部の大倉元宏教授(人間工学)らの研究グループが転落事例を集めたデータベースをつくり、公開している。 鉄道会社の安全対策に役立ててもらうことを想定している。

25 日に記者会見した大倉教授によると、データベースに登録した事故は全国の医療福祉関係者などを通じて集めた 13 件。 1974 - 2014 年に起きた事故で、転落した当事者と現場に行って状況を調べた。 駅名、ホームの構造、歩いた経路などを写真や図をつけて説明している。 大倉教授は「転落の理由をできるだけ客観的に解明できるよう作成した。 即効性のある対策としては、周囲の見守りや声かけになる。」と話す。 データベースのアドレスは (https://omresearch.jp/fall/browse/)。 (asahi = 8-25-16)


チケット高額転売、業界団体がノー 嵐やサザンら賛同

コンサートのチケットの高額転売によってファンが音楽を楽しむ機会が奪われているとして、日本音楽制作者連盟など四つの業界団体が 23 日、転売に反対する共同声明をウェブサイト上で発表した。 アイドルグループの「嵐」やサザンオールスターズ、山下達郎さんなど 116 組のアーティストと、「フジロック・フェスティバル」など 24 の音楽イベントが賛同している。

共同声明によると、近年コンサート市場が拡大する一方で、チケットをインターネット上で高額で転売する事業者が増加。 チケットを本当に欲しいファンが入手できなくなったり、経済的な負担が大きくなったりしているという。 転売業者が大きな利益を得ていることも問題だとして、転売取引の防止を求めた。 共同で声明を出したのは、ほかに、▽ 日本音楽事業者協会、▽ コンサートプロモーターズ協会、▽ コンピュータ・チケッティング協議会。 サイトは(http://www.tenbai-no.jp)。 (asahi = 8-23-16)


「将来を楽観」日本は 2 割 印・インドネシアは 6 割超

日本の将来について楽観的な人は 2 割にとどまり、対照的にインドやインドネシアでは 6 割を超えることが 19 日、この 3 国の民間機関による世論調査で明らかになった。 日本では悲観的な理由として高齢化や経済の停滞を挙げる人が多く、現状の政党政治への不信感も浮き彫りになった。 調査は、日本の「言論 NPO」、インドネシアの「戦略国際問題研究所」、インドの「オブザーバー研究財団」が 6 月以降に実施した。 米大統領選などで国民の不安に迎合するポピュリズムが台頭し、タイなどでは軍が政治に関与するなか、民主主義に対する問題意識を探る狙いだ。

自国の将来について「楽観的」、「どちらかといえば楽観的」と答えた人は日本では 20.7% にとどまったが、インドネシアでは 65.3%、インドでは 75.9% に上った。 日本では将来を悲観する理由として、「急速な高齢化や人口減少に有効な対策が提示されていない (84.7%)」が最多。 一方、有識者は「政治がポピュリズムに傾き、政治リーダーや政党に課題解決の能力がない (36.4%)」が最も多かった。 インドネシアやインドでは経済格差や貧困、汚職が悲観的な理由の多数を占めた。

自国の民主主義が機能しているかは、肯定する回答が日本では 46.7%、インドネシアでは 47.1%、世界最大の民主主義国家インドでは 65% だった。 機能していないと答えた人に理由を聞くと、日本では「選挙に勝つことが自己目的となり政治が課題に真剣に向かい合っていない (60.2%)」が最も多かった。 「政党が選挙公約を守らず、十分に国民に説明しないなど国民に向かい合う政治が実現していない (45.3%)」が続いた。

政党に期待できるか問う設問でも肯定的な回答は 15.5% にとどまり、政党政治への不信をうかがわせた。 政党に肯定的な回答がインドネシアで 58.3%、インドで 85.9% と多数だったのとは対照的だった。 言論 NPO の工藤泰志代表は「市民層、メディア、政治が課題に向き合わないと、日本でもポピュリズムに迎合する社会になりかねない兆しが見えた。 民主主義は試練にあり、国境を越えた議論をする時期に来ている。」と話している。 (下司佳代子、asahi = 8-19-16)


檀家廃止・お布施公開し値下げ … 住職の「変革」、反発も

檀家が減り、経営基盤が揺らぐ「寺院消滅」の時代に、「変革」を起こそうとする住職がいます。 明朗会計とサービス重視、ネットを使って信徒獲得をめざしています。 でも、仏教界から強い反発があるようです。 埼玉県熊谷市の見性(けんしょう)院は 400 年以上の歴史がある曹洞宗のお寺だ。 住職はいまの橋本英樹(えいじゅ、50)で 23 代目。 その橋本が運営を一変させた。

訪れた人はまず、参道入り口に掲げられた「心得十カ条」を目にする。 僧侶として守るべき最低限の戒律を橋本が考えたものだ。 ▽ 質素倹約を旨とする、▽ 原則、禁煙禁酒、▽ 高級車に乗らない、▽ ギャンブルはしないといった項目が並ぶ。 お布施の「料金表」も掲げてある。 葬儀を担う導師がひとりで戒名が「信士・信女」の場合で 20 万円。 通夜から初七日、火葬、戒名授与までを含んだ額だ。 以前は 50 万円もらっていたのを大幅に下げた。

橋本が「変革」に踏み切ったのは 4 年前だ。 江戸時代から続いてきた檀家制度をやめて、寺と檀家改め「信徒」との関係を、互いに縛らないものにした。 背景にあったのは檀家数の減少や、葬儀や法事が簡素化する流れだ。 地縁に縛られ、新規の「顧客」が開拓できなければ、寺の経営は立ちゆかない。 明朗会計とサービス重視を掲げ、ネットを通じて新規開拓する方向へとかじをきった。

そこで 400 軒弱あった檀家との関係をいったん白紙にし、「随縁(ずいえん)会」という会員組織にした。 葬儀や法事への対応は今まで通り。 会費は無料。 別の寺の檀家になってもいい。 寺は新たな信徒獲得に乗り出す。 お布施の明朗化に加え、遺骨を郵送で受け付ける「送骨サービス」を始めた。 荷造りに必要な段ボールなどを希望者に送り、骨つぼに入れた遺骨を送り返してもらう。 敷地内にある納骨スペースに合祀(ごうし)し、永代供養する。 料金は送料込みで 3 万円強。 宗派や国籍は一切問わない。 維持費もいらない。

「お金がなくて墓が建てられない」、「墓の後継者がいなくて困っている」といった相談が以前からあり、低価格のプランなら受け入れられる自信があった。 ヤマト運輸や佐川急便は社の規約で遺骨の配送を認めておらず、日本郵便のゆうパックが受け入れている。 多いときで、ひと月に全国から 50 人分の遺骨が届く。 大半が寺のホームページを見て申し込んでくるという。

橋本は駒沢大大学院を修了後、曹洞宗の大本山永平寺(福井県永平寺町)で 3 年間修行した。 30 歳で米国に渡り、スタンフォード大学の仏教学研究所に 2 年間籍を置いた。 留学時代、日系寺院に泊まり込んで手伝いをしていた時期がある。 そこでは寺が葬儀や法事をするだけでなく、茶道や華道、書道や太鼓といった日本文化を伝承する役目を担っていた。 寺が活動に熱心なのは、アメリカナイズされた日系 3 世、4 世を仏教につなぎとめるためでもあった。 檀家に依存する寺から、万人に開かれた寺へ。 「みんなのお寺」を掲げる見性院のヒントがあった。

檀家制度をやめても多くが会員として残り、信徒は増えた。 むしろ浄財が増え、昨年度の収入は前年度の 1.5 倍の約 1 億 5 千万円だったという。 だが橋本の「ビジネス路線」に対する仏教界の反発は強い。 曹洞宗の宗務庁は 4 月、送骨サービスについて「単なる経済的対価を得るための行為」と誤解され、「純粋なる信仰心と宗教行為に対する重大な冒とく及び誤解の起点となる」と厳しく批判した。

見性院が属する曹洞宗埼玉県第一宗務所の所長、安野正樹(建福寺住職)によると、「檀家の遺骨が勝手に郵送された」といった苦情が別の寺から寄せられているという。 安野は言う。 「宗教者が遺骨の郵送を率先して奨励するのはいかがなものか。 本当に困っている人を助けたいなら、自ら取りに行くべきだ。」

こうした声を橋本は、「宗教も経済的行為の上に成り立っている」と意に介さない。 だが本来、ビジネスという「俗」から切り離された「聖性」にこそ宗教の本質があるのではないか。 宗教と経済、信仰とビジネスは両立できるのか。 疑問を橋本にぶつけると、「究極の問いですね」と答えて考えた後、こう言った。 「これからは宗教とお金の関係をクリアにし、説得力を持って語れる寺だけが生き残れる。 それが私の答えです。」 = 敬称略 (佐藤秀男、asahi = 8-9-16)