社会保険料、低所得者に重い負担 「つらいけど払う」 年金や医療など社会保険の負担は低所得の人ほど重い現状がありました。 社会保障は集めた税や保険料で所得の偏りをただすはずなのに、この「再分配」が機能していないように映ります。 どうなっているのでしょうか。 6 月中旬。 雨のなか、埼玉県に住む元派遣社員の女性 (42) は地元の市役所を訪れた。 「保険料の減免措置をうけたいのですが …。」 窓口で緊張気味に切り出した。 海運会社に派遣されていたが、3 月末で雇い止めにあった。 国民年金は月約 1 万 6 千円の保険料がかかるし、前年の所得や家族の人数などで市町村ごとに決まる国民健康保険料(国保)は女性の場合 1 万 7 千円だ。 失業中の身には、負担が重すぎる。 窓口で年金、国保ともに保険料が減免できると知り、ようやくほっと一息ついた。 30 代半ばに体調を崩して正社員だった IT 関連会社を辞め、派遣に。 最長 2 年、短くて 3 カ月で仕事がなくなった。 そのたびに厚生年金から国民年金へ、企業の健康保険から国保へと切り替えた。 保険料は貯金を取り崩して納めてきた。 失業期間が長くなり、年金だけ納付を免除してもらったこともある。 次の派遣先が見つかると、数カ月分の給料の中から免除された期間の保険料をさかのぼって支払った。 国保の減免を受けるのは、今回がはじめてだ。 銀行の口座に残るのは数十万円。 仕事が見つかっても、月の手取りは多くて 20 万円。食費や洋服代を切り詰める生活が続く。 それでも、「社会保険を負担するのは国民の義務。 生活はつらいけど、きちんと払って当然。」と思う。 40 歳を過ぎると派遣の仕事は少なくなる。 早く安定した職を見つけたい。 日増しに焦りがつのる。 正社員での採用をめざし、数万円かかる講習会やセミナーにも通ってきた。 唯一の息抜きとして時々楽器を習っていた。 そんな余裕はしばらくなさそうだ。 国税庁の統計では、「ワーキングプア」とも言われる年収 200 万円以下の給与所得者は全体の 2 割超を占める。 この人たちにも、年金や医療など社会保険の負担はのしかかる。 育児と仕事を一手に担うひとり親世帯では、なおさらだ。 ■ ひとり親世帯、年金の未納も 関東に住む契約社員の 30 代女性は、長男 (12) と長女 (10) を育てるシングルマザー。 8 年前に離婚して働きづめの生活だった。 電話営業したり、スーパーでレジ打ちしたり。 「正社員にならないか」と持ちかけられても育児のため残業はできず、泣く泣く断った。 いくつかの仕事を掛け持ちしても、当時の月収は十数万円。 ひとり親世帯に出る児童扶養手当などを含めても 20 万円くらい。 年金と国保で約 2 万円を負担していた。 遅れて支払うことも多く、年金は未納のままの期間もある。 将来の給付は減るだろうが、あきらめた。 数年前、子育てと両立できる契約社員の仕事を見つけた。 月収も手取り 17 万円で厚生年金に加入できた。 だが、育ち盛りの子どもはこれからお金がかかる。 「子どもの将来のために、少しずつでも貯金しないと。」 不安が尽きない。 埼玉県に住む自営業の 40 代女性は数年前に離婚し、長男との 2 人暮らし。 インターネット通販を手がけるなどして生計を立てる。 夫と別れたことは納得している。 想定外だったのは、上司のパワハラで大企業を退職したことだ。 会社で入る健保組合から国保に切り替え、月々の保険料が倍近くにふくらんだ。 かつての年収は 500 万円超。 健康保険料は会社との折半で、自己負担は月 1 万 8 千円ほどだった。 国保に入ると、子どもも含めて 3 万 5 千円ほどに保険料が増えた。 国民年金と合計で 5 万円以上の負担だ。 収入が不安定ないま、「会社を辞めると保険料がこんなに重いとは。 ギリギリの生活になっちゃった。」 ■ 広がる格差、「逆進性」強まる 社会保障の目的は、税金や保険料で集めたお金を、困っている人に「再分配」し、経済活動による所得の偏りをただすことだ。 日本では、現役世代が年金や医療、介護で高齢者を支えることが中心だ。 現役世代が大きな格差のない中間所得層をつくっていることが前提だった。 だがバブル崩壊以降の 20 年ていどの間で、再分配後の年間所得別の世帯構成をみると、ボリュームゾーンは 300 万円台から 200 万円台に下がり、その厚みも増した。 この間、税と社会保険料の負担割合は、低所得者ほど重みを増している。 高所得者の負担が重い所得税が減税され、低所得者の負担が重い社会保険料が上がったためだ。 高齢者にも現役世代にも格差があるのにその対応は後手にまわり、再分配の役割がうまく働かないまま、日本の世帯がおしなべて貧しくなっている。 その結果、非正規雇用の若者が払う保険料が豊かな高齢者に流れ、国民健康保険ではお金に困るシングルマザーに子どもの保険料負担までのしかかる。 不公平で硬直的な面が目立ってきた。 小塩(おしお)隆士・一橋大教授は「社会保険料は、所得が低い人ほど負担割合が高くなる『逆進性』が強い。 負担能力に応じた仕組みに改めるべきだ。」と指摘する。 ■ 「富の再分配」模索始まる 世界では新たな「富の再分配」の模索が始まっている。 その一つが、政府が全国民に最低限必要なお金を配る「ベーシックインカム (BI)」だ。 社会保障を支えてきた「労働」を根っこから問い直す運動だ。 背景にはグローバル化や人工知能などの技術革新によって賃金労働が失われ、社会保障が機能しなくなるとの危機感がある。 英国の欧州連合離脱の底流にも「グローバル化が仕事を奪い、格差を広げる」との社会不安があった。 カナダ・オンタリオ州やフィンランド、オランダでは BI 導入実験が検討されている。 カナダ西部のブリティッシュコロンビア州に住むシンシア・ルロンデールさん (51) は BI 導入を求めてきた草の根の運動家だ。 「貧困は自業自得だ。」 生活保護を受け、シングルマザーとして 3 人の子を育てていた時、いつも、福祉担当者からそう責められているように感じた。 子育ては重労働なのに「働かざる者」と見下され、給付削減をちらつかされる。 「なぜ GDP (国内総生産)に反映される賃金労働にだけ富が分配されるのか。」 その後、貧困対策の団体で働き、風俗産業などの過酷な「労働」に追い込まれる母親たちの実情も知った。 BI 導入へのうねりを示したのが人口約 800 万人のスイスだ。 BI 推進派が 12 万 6 千人の有効署名を集めて 6 月 5 日、導入の是非を問う国民投票が行われた。 この日午後、北部の都市バーゼルに推進派が設けた集会所は高揚感に包まれた。 「バーゼル都市州、36% が賛成!」 開票速報が流れるたび歓声があがった。 スイス全土で賛成は 23.1% にとどまり、BI 導入は否決された。 それでも予想を上回る得票だったのだ。 独ドラッグストア大手「デーエム」創業者で BI 推進派の主柱、ゲッツ・ウェルナーさん (72) も満足の表情だった。 「BI は発想の転換で、地動説のように受け入れるには時間がかかる。 今回は第一歩だ。」 しかし「費用が膨大になるため、既存の政策の枠内で改革すべきだ(英エコノミスト誌)」との批判も強い。 グローバル化や人工知能への対処は BI ではなく、労働者が時代の変化に対応するための教育投資で「再分配」を強めるべきだとの意見もある。 スイス政府の試算では、推進派が目安とした月 2,500 スイスフラン(約 26 万円)を支給すると大増税が必要だ。 子育て中のドミニク・ギスラーさん (36) も BI には反対だが、賛成票を投じた。 「まだアイデアは非現実的だが、これを機に、格差についてもっと話し合わなければいけない。」 (asahi = 7-4-16)
生活保護、高齢者世帯が初めて 5 割超える 厚労省発表 生活保護を受給した世帯のうち、65 歳以上の高齢者世帯の割合が 50.8% となり、初めて半数を超えた。 厚生労働省が 1 日に発表した 3 月分の速報値でわかった。 高齢化を上回る勢いで増えており、公的年金が老後の暮らしの支えになっていない実態が改めて浮き彫りになった。 今年 3 月に生活保護を受給したのは 162 万 6,919 世帯で、このうち高齢者世帯は前月より 1 万 8,357 世帯多い 82 万 6,656 世帯だった。 高齢者世帯は 65 歳以上だけか、さらに 18 歳未満の子どもが加わった家庭。 高齢者世帯が 5 割を超えるのは生活保護制度ができた 1950 年以降で初めて。 高齢者世帯の 9 割は単身者が占めた。 人口に占める高齢者の割合は 2010 年から 14 年までに 3 ポイント上昇。 一方、この期間の生活保護の受給世帯に占める高齢者世帯の割合は約 4.5 ポイント伸びており、高齢者の貧困化が加速していることがうかがえる。 公的年金は老後の支出すべてを賄えるように設計されておらず、年金頼みの老後を送る人にとっては十分な額ではない。 14 年に厚労省が実施した調査では、高齢者世帯に属する生活保護受給者の約 47% は公的年金を受け取っており、その平均受給額は約 4 万 6,600 円。 ただ、高齢者の夫婦でともに無職の世帯は月平均で約 27 万 5,700 円(15 年家計調査)の支出がある。 (久永隆一、asahi = 6-1-16) ◇ ◇ ◇ 生活保護、2 カ月ぶり減少 高齢者世帯が全体の約半数 1 月に生活保護を受けた世帯は前月より 884 世帯少ない 163 万 3,301 世帯だった。 受給者は前月より 2,191 人少ない 216 万 3,394 人で、ともに 2 カ月ぶりに減った。 厚生労働省が 6 日、速報値を公表した。 受給世帯(保護停止中を除く)の種類でみると、高齢者世帯は前月より 883 世帯増の 80 万 6,606 世帯となった。 全体の 49.6% を占め、増加傾向が続く。 (asahi = 4-7-16) みずほ、定年 65 歳に延長へ 3 メガ初、18 年末までに みずほフィナンシャルグループ (FG) が、定年を現在の 60 歳から 65 歳に延長する方針を固めた。 2018 年末までに実現する意向で、3 メガバンクでは初。 資産運用・活用の相談業務などが重要になっており、経験豊富なベテラン行員を活用しつつ、雇用延長の流れにも乗る。 佐藤康博社長が、朝日新聞の取材で明かした。 13 年施行の改正高年齢者雇用安定法により、企業は従業員が希望すれば 65 歳まで雇用する義務を負う。 ホンダやサントリーホールディングスなど、定年そのものを 65 歳に延長する動きも出ている。 一方、銀行業界では、50 代前半までに役員になれないと、定年どころか取引先などに出向する慣習が残る。 佐藤氏は「その道の専門家もいるのに、もったいない。 いずれ銀行業界はみんなそう(65 歳定年に)なる」と話す。 定年延長は新中期経営計画の一環。 ほかに将来性ある若手・中堅の積極登用も進める。 30 - 40 代を積極的に支店長などにし、幹部候補として育てる。 すでに社内公募によって 35 歳の支店長が誕生しており、取り組みをさらに広げる。 また、40 代の各部門の優秀な人材を対象に、哲学や歴史など金融と直接関係のないテーマの研修も始める。 幅広い知識や教養を身につけてもらうという。 3 メガバンクの中でも、みずほは旧第一勧業、富士、日本興業の出身行に影響された人事が残っているとの見方が根強い。 佐藤氏は「適材適所で、実力のある人はどこの出身でも登用されると全行員に知ってもらうことが大事だ。」と強調した。 (土居新平、asahi = 5-30-16) 大卒就職率 97.3% 1997 年以降で最高 今春卒業した大学生の就職率は 97.3% で、前年同期から 0.6 ポイント増え、調査を始めた 1997 年以来最高となった。 文部科学省と厚生労働省が 20 日発表した。 2011 年に最低 (91.0%) を記録した後、5 年連続で改善し、これまでの最高だったリーマン・ショック前の 08 年 3 月卒 (96.9%) を上回った。 国公私立大学 62 校の 4,770 人を抽出。 就職希望者のうち 4 月 1 日時点で就職できた人の割合を調べた。 学生の中の就職希望者の割合(希望率)も 74.0% と過去最高。 大学卒業者約 55 万 7 千人に当てはめると、就職希望者約 41 万 5 千人のうち約 40 万 4 千人が就職した計算になる。 就職率が改善した理由について、文科省の担当者は「景気が良くなって企業側の求人需要が非常に高まっている」と説明。 昨年、採用選考の開始が従来の 4 月から 8 月に後ろ倒しされたが、「直接的な影響はなかったのではないか」としている。 就職活動が長期化したとの批判を受け、経団連は今年の選考解禁を 6 月に前倒しする。 男子の就職率は 96.7% (前年同期比 0.2 ポイント増)、女子は 98.0% (同 1.1 ポイント増)でいずれも過去最高。 女子が男子を上回ったのは 4 年連続だった。 文系は 97.1% (同 0.6 ポイント増)、理系は 98.2% (同 1.0 ポイント増)だった。 地域別では中部地区 (98.3%) が最も高く、関東地区 (97.9%) が続いた。 北海道・東北地区と近畿地区は 96.8%、中国・四国地区は 96.7%。 最も低いのは九州地区の 96.3% だった。 全国の高校に実施した調査では、今春卒業した高校生の 3 月末時点の就職率は 97.7% (前年同期比 0.2 ポイント増)と 6 年連続で改善。 調査は 1977 年から続けており、24 年ぶりの高水準だった。 就職希望者は卒業生の 18.0% の約 19 万 2 千人で、就職者数は約 18 万 8 千人だった。 特に製造、建設、小売業の求人数が伸びたという。 都道府県別では富山 (100%)、福井 (99.9%)、石川 (99.8%) が高く、沖縄 (87.2%)、大阪 (94.5%)、兵庫 (94.9%) が低かった。 厚労省は公務員や家業などに就いた人を含まない高校生の就職率を発表。 前年より 0.3 ポイント高い 99.1% で、6 年連続で改善した。 担当者は「求人数の多い製造業が引っ張る形で伸びている。 企業の採用意欲は引き続き高い。」と分析する。 (asahi = 5-20-16) ◇ ◇ ◇ 大卒就職内定率、87.8% 5 年連続の改善 2 月時点 文部科学省は 18 日、今春に卒業を予定する大学生の 2 月 1 日時点の就職内定率は 87.8% だったと発表した。 前年同期比 1.1 ポイント増で、5 年連続の改善。 同じ条件で比較できる 2000 年以降で最高だった 08 年 (88.7%) に次ぐ高さとなった。 調査は 62 大学や短大、専門学校など計 112 校の 6,250 人を抽出して実施した。 大学の女子は 89.3% (前年同期比 1.0 ポイント増)で、00 年以降で最高。 男子は 86.5% (同 1.2 ポイント増)だった。 理系だけでみると、90.2% (同 1.5 ポイント増)で、2 年ぶりに 9 割を超えた。 文系は 87.3% (同 1.1 ポイント増)。 地域別で最高だったのは関東地区 (91.8%) で、ほかは中部地区 (87.9%)、近畿地区 (87.7%)、北海道・東北地区 (87.3%)、九州地区 (80.9%) など。 最低は中国・四国地区の 80.1% だった。 一方、厚生労働省が発表した高校生の就職内定率(1 月末)は、前年同期比 0.8 ポイント増の 93.6% で、6 年連続で改善した。 14 年から 3 年連続で 90% を超え、23 年ぶりの水準となった。 求人数は 12% 増の約 35 万人。 厚労省の担当者は「前年に続き、製造業を筆頭に採用意欲が高い状態が続いている」と話した。 (高浜行人、高野真吾、asahi = 3-18-16) ◇ ◇ ◇ 高校生の内定率、90.9% 25 年ぶりの水準 3 月に卒業し、就職を希望する高校生の内定率(昨年 12 月末現在)は 90.0% で、前年同期を 1.2 ポイント上回った。 文部科学省が 12 日発表した。 リーマン・ショック後の 2010 年から 6 年連続で改善。 12 月末時点のデータが無い 1991 - 94 年を除いて 25 年ぶりに 9 割台に達した。 文科省は「高校生に対する人材需要が高い製造業や小売業の採用が活発」と背景を説明する。 国公私立高校の卒業予定者約 107 万人のうち、約 19 万人が就職を希望。 このうち 17 万人超に内定が出た。 男子は 91.5% (前年同期比 0.8 ポイント増)、女子は 87.8% (同 1.9 ポイント増)だった。 学科別(「その他」を除く)では、「工業」が 96.2%、「商業」が 93.2%、「水産」と「農業」が 92.5% と続いた。 最も低かったのは「普通」で 83.3% だった。 (高浜行人、asahi = 2-13-16) 同一労働同一賃金、19 年度実現へ 政府、3 法改正方針 政府は「同一労働同一賃金」の実現に向けて、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の関連 3 法を一括で改正し、2019 年度の施行を目指す方針を固めた。 18 日にまとめる「ニッポン 1 億総活躍プラン」の政府案に盛り込み、 5 月末に閣議決定する。 「同一労働同一賃金」は有期雇用やパート、派遣といった非正規労働者と正規労働者の賃金格差をなくし、同じ仕事に対して同じ賃金を支払うという考え方。 安倍晋三首相がその実現を目玉政策に掲げ、検討を指示していた。 労働契約法はいまも、有期労働者の労働条件を合理的でない理由で低くすることを禁じている。 しかし、どんな場合がそれに当たるのかが明確でないため、より分かりやすく規定する方向で検討する。 パートタイム労働法では、正規労働者と職務内容などが同じパート労働者の差別的取り扱いが禁止されているが、対象となる労働者が少ないため対象範囲を広げる方向だ。 また、労働者派遣法では派遣労働者と派遣先の労働者との不合理な格差を禁じる規定がないため、そうした規定を盛り込むことを検討する。 日本ではパート労働者の賃金水準がフルタイムの 6 割弱にとどまっており、一連の法改正により賃金水準を欧州並みの 7 - 9 割に引き上げたい考えだ。 また、同プランには若者雇用の安定化策や長時間労働を防ぐ対策も盛り込む。 離職者数などを新卒者に説明することを義務づけている青少年雇用促進法を 20 年度をめどに見直し、情報開示を強化。 終業と始業の間に一定の休息をとらせる「勤務間インターバル」の導入企業も支援する。 (asahi = 5-15-16) 介護サービス事業所、雇用調整助成金の特例活用して従業者の雇用維持を - 厚労省 平成 28 年熊本地震で事業活用・雇用への影響が生じる可能性があるため、介護サービス事業所においても「雇用調整助成金」の特例措置を活用し、従業者の雇用維持に努めてほしい - -。 厚労省は 10 日、このような内容の事務連絡「雇用調整助成金を活用した雇用維持について」を行いました。 雇用調整助成金とは、景気の変動や産業構造の変化などによって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業や出向などを行って労働者の雇用維持を図る場合に、休業手当や賃金などの一部助成を行うものです。 具体的には、▽ 休業を実施した場合の休業手当・教育訓練を実施した場合の賃金相当額、▽ 出向を行った場合の出向元事業主の負担額 - の 2 分の 1 (大企業)または 3 分の 2 (中小企業)が補助されます(ただし対象労働者 1 人当たり 7,810 円が上限)。 また、教育訓練を実施した場合には、教育訓練費(1 人 1 日当たり 1,200 円)が加算されます。 この助成金を受けるためには、「最近 3 か月の生産量、売上高などの生産指標が、前年同期と比べて 10% 以上減少している」ことなどの要件を満たす必要があります。 この雇用調整助成金について、平成 28 年熊本地震を受け、厚労省は特例を設けて、被災地企業における雇用を守ることにしています。 (メディウオッチ = 5-11-16) 児童扶養手当 : 大幅増 2 人目以降、最大で倍 改正法成立 ひとり親家庭を支援する改正児童扶養手当法が 2 日午前、参院本会議で、全会一致で可決、成立した。 所得の低いひとり親家庭に支給する児童扶養手当について、2 人目以降の支給額を最大で倍増する。 2 人目の引き上げは 1980 年以来、3 人目以降は 94 年以来となる。 8 月 1 日に施行し、8 - 11 月分を 12 月に支給する。 児童扶養手当は現在、1 人目の子どもについて月 4 万 2,330 円が支給され、子どもが増えるにつれ 2 人目は月 5,000 円、3 人目以降は 3,000 円加算される。 法改正で加算額は 2 人目が 1 万円に、3 人目以降は 6,000 円に倍増する。 ただし、所得制限があり、満額支給されるのは子ども 3 人の世帯の場合で年収 227 万円未満。 年収に応じて支給額は減り、年収 460 万円以上は支給されない。 受給 106 万世帯のうち増額となるのは、子ども 2 人が約 33 万世帯、3 人以上が約 10 万世帯。 必要額は国と地方合わせ年間約 250 億円。 また、現在は 1 人目分にだけ、物価に合わせて支給額が変わる物価スライドが適用されているが、2017 年 4 月からは 2 人目以降の分にも適用される。 国会審議では、民進党など一部野党が、ひとり親の支援団体などの要望を反映した対案を提出。 現在の 4 カ月ごとの支給を毎月支給に変更して生活の安定化を目指すことや、対象年齢を「18 歳未満」から「20 歳未満」に延長することなどの内容だったが、衆院厚生労働委員会で否決された。 ただ、支給回数については、付帯決議に「ひとり親家庭の利便性の向上および家計の安定を図る観点から、支給回数を含め、所要の改善措置を検討する」などと盛り込まれ、今後の課題とされた。 (堀井恵里子、mainichi = 5-2-16) 今年 4 月採用の国家公務員、女性の割合が過去最高に 政府は 26 日、今年 4 月に採用された国家公務員のうち、女性の割合が 34.5% だったと発表した。 統計を開始した 1963 年度以降では最高だった。 政府は、女性の採用割合を 3 割以上にする目標を掲げている。 4 月 1 日採用の国家公務員に占める女性の割合は、政策の企画立案に携わる総合職では 33.5% で昨年度を 0.8 ポイント下回った。 一般職は 36.0% (3.1 ポイント増)、専門職が 32.9% (3.8 ポイント増)だった。 男女全体の採用数は 7,036 人で、大量退職に伴って昨年度より 624 人増えた。 河野太郎国家公務員制度担当相は会見で、「女性職員の割合が高くなり、霞が関のワーク・ライフ・バランスの見直しができるよう努力したい」と述べた。 (4-26-17) 春闘賃上げ、3 年連続 2% 超え 上げ幅は縮小 経団連 経団連が 18 日発表した大手企業の今春闘での賃上げ額(ベースアップと定期昇給、第 1 回集計)は月 7,174 円で、上昇率は 2.19% だった。 安倍政権が賃上げを呼びかけた「官製春闘」は、上昇率が 3 年連続で 2% を超えたが、景気の先行きに不透明感も強く、3 年間で最も低い水準だった。 従業員 500 人以上の東証 1 部上場企業を原則として調査対象にし、今回は 15 業種 62 社が回答した。 第 1 回集計時点での上昇率は昨年 (2.59%)、一昨年 (2.39%) を下回った。 業種別では、化学(回答数 2 社)が月 1 万 242 円、3.29% で額と上昇率ともに最も高く、自動車(同 8 社)が月 8,200 円、2.37% と額で続いた。 賃上げを経済の好循環に結びつけたい政権の意向をくんで、経団連は収益が良い加盟企業に賃上げを呼びかけていた。 だが、世界経済の先行き不安や円高、原油安も重なり、要求を昨年より引き下げた労組が目立っていた。 経団連の榊原定征会長は 18 日にあった政府の経済財政諮問会議で集計結果を報告した。 終了後、記者団に「賃上げのモメンタム(機運)は今年も継続された」と語った。 (asahi = 4-18-16) ◇ ◇ ◇ 賃上げ、手堅い中小 大手と格差縮む傾向 自動車総連、昨年 1,069 円 → 今年 253 円差 今年の春闘で、大手企業と中小の賃上げ幅の差が、いまのところは例年より縮む傾向が出ている。 労働組合側がまとめた 3 月末時点の状況では、一部で中小が大手を上回る集計もみられた。 ただ、より状況が厳しい中小の交渉はこれから。 どこまで「格差是正」が進むかは、見通せていない。 ■ 連合、残る交渉の行方注視 「企業規模によって広がる傾向にあった賃上げ水準の差が、縮まっている。 ねらいに沿った回答の引き出しになっている。」 自動車メーカーの労働組合でつくる自動車総連の相原康伸会長は 4 日の会見で、3 月末時点の春闘の回答を、こう総括した。 労働組合の中央組織である連合は、今春闘で「格差是正」を前面に掲げた。 これまでの春闘では、中小は大手の回答より低い額で妥結する傾向が強かった。 自動車総連も含め、今回は、大手の要求を抑えめにする一方で「その分を中小に」と求める戦術で、差を縮めようと図ってきた。 連合の 3 月 30 日時点の全体集計(妥結率 36.7%)では、大手と中小の賃上げ額はともに下がりはしたが、差は昨年より小さくなっている。 神津里季生(こうづりきお)会長は 1 日の会見で「この時点では、かつてないような成果」と評価した。 自動車総連では、これまでに傘下で賃上げを求めた 1,101 組合のうち 483 組合が妥結し、81% の 393 組合がベースアップを得た。 3 千人以上と 300 人未満の企業のベア獲得額を比べると、「差」は 2014 年が 483 円弱、15 年は 1,069 円だったが、今年は 253 円に縮まった。 自動車総連の上部団体で、より幅広いメーカー労組が加盟する金属労協では、「逆転現象」も起きている。 3 月末時点では、賃上げを求めた 2,179 組合のうち、865 組合がベア相当分を獲得。 規模別でみると、1 千人以上が 1,122 円、300 - 1 千人未満が 1,128 円、300 人未満は 1,281 円と小さいほど多い。 3 月末時点で比べられる 14 年以降では、初めてだ。 ただ、景気の不透明感も背景に、大手の要求・回答水準は昨年を下回る。 人手不足などで賃上げを余儀なくされている中小の上げ幅が、相対的に大きくなっている側面も強い。 「中小は人材獲得や働く人のモチベーションの向上に、相当の危機感がある(相原会長)」との見方もある。 連合のまとめでは、6 割超の労組では妥結はこれからだ。 神津会長は「例年はこれから厳しいが、(差の縮まりを)持続させたい」と話す。 地場企業を中心に、業績が厳しい中小企業の回答が増えていくにつれて、格差は開いていく可能性があるからだ。 (田中美保、細見るい、asahi = 4-5-16) ◇ ◇ ◇ 春闘ベア、昨年比大幅減 アベノミクス主力エンジンに失速危機 [東京] 政府・日銀が期待していた今年の春闘は、自動車・電機など大手メーカーのベースアップが昨年水準を大幅に下回り、中小企業を含めた全体のベアは、0.5% 未満にとどまる公算が大きくなった。 世界経済の先行きが怪しくなってきたことが大きく作用している。 海外からも期待外れとの声が浮上。 来年 4 月の消費増税を前にアベノミクスは、賃金・消費の主力エンジンが失速する危機に直面しそうだ。 <トヨタ社長、経営の「潮目変わる」と指摘> 春闘のリード役、トヨタ自動車のベアは 1,500 円。 昨年の 37.5% にとどまり、3 年間で最も低い水準にとどまった。 ホンダは同 36.7% の 1,100 円、日産自動車は満額回答だったものの同 60% の 3,000 円だった。 日立製作所などの電機大手は、昨年の 50% となる 1,500 円で妥結。 一方、2 年分をセットで決める鉄鋼大手は、前回 14 年春闘と比べ 25% 増の 2,500 円となった。 一方、トヨタなど自動車大手では、一時金の満額回答が相次いだ。 トヨタは年間 7.1 カ月、ホンダが同 5.1 カ月と、好調だった 15 年度の業績をボーナスで反映させたかたちだ。 今年のベアに関し、昨年比で 50% 以下の企業が多かった背景として、年明け以降の世界的な株価下落や円高、その背後にある世界経済の先行き懸念がある。 トヨタの豊田章男社長は労使協議の場で「為替の動向も含め、経営を取り巻く環境の、いわゆる『潮目が変わった』とも言える」と指摘した。 <労使協調の低ベア> 先行きに懸念を抱いたのは、経営者だけでない。 先進国で最も「経営の先行きに敏感」と指摘される日本の労働組合が、要求段階で昨年の 50% 水準に「切り下げ」を断行したことも大きく影響した。 中小機械金属産業の労組 (JAM) の宮本礼一・JAM 会長は「現在の経済環境は、昨年より厳しい。 また、物価がゼロ % 程度となっている環境も踏まえた」と、内情を打ち明けた。 連合のまとめでは、昨年のベースアップ分(明確にわかる組合分)はおよそ 0.7%。 労組関係者の中では、今年のベア上昇率は、昨年をはるかに下回りそうだとの見通しが広がっている。 <IMF の批判> このような「労使協調」の低ベア春闘に対し、海外からは厳しい目が注がれている。 国際通貨基金 (IMF) のアジア太平洋局は 14 日、リポートの中で日本の春闘を取り上げ「日本では賃金交渉は活発とは言い難い状態。 トヨタ労組の要求は、昨年の半分にとどまるなど全体では賃上げ要求はわずか 0.5% 程度にしかならない。」と分析。 そのうえで「アベノミクスでは金融政策の矢がインフレ期待を 2% に引き上げ、賃金上昇とインフレがともに起こるメカニズムを作ることを目指した。 だが、その役割を果たすことができていない。」と指摘した。 実は日本政府の内部でも、IMF の指摘するような懸念がくすぶり続けている。 ある政府関係者によると、早い時期から今春闘でベースアップが昨年を下回りそうだと予測していた。 その関係者は「主要国の一員なのに、日本企業は賃上げもまともにできないのかと、そろそろ海外から圧力をかけてもらいたいと思っている」と語っていた。 その後に出てきた IMF リポート。 春闘の流れに影響を与えるには「遅すぎたタイミング」だったが、国際機関の厳しい目を意識させることにはつながった。 政府内にあるいらだちは、2 つの数字で説明ができる。 1 つは昨年 12 月末に 355 兆円に積み上がった企業の内部留保。 過去最高水準を更新し続けているのに対し、人件費の総額は、過去 10 年で一進一退を繰り返し、トレンドとしては横ばいにとどまっている。 昨年末の官民対話では、高収益企業が率先し、昨年を上回る賃上げ実現を期待することで官民が一致した。 しかし、ふたを開けてみれば、今年の春闘における主要業種のベアは、昨年の半分以下の水準が続出。 「このままでは、来年の消費増税分を所得増でカバーできそうにない」と、別の政府関係者は懸念する。 政府内に焦りが生じているのは、足元における個人消費の低迷が続き、今年 1 - 3 月期の成長率が 2 四半期連続のマイナスになれば、アベノミクス下で初めての景気後退に陥り、内外の市場関係者から批判されかねないためだ。 実際、複数の政府関係者は「アベノミクスの成果は、想定より下回っている」と述べている。 低調な春闘で、個人消費のエンジンが失速してしまうと、アベノミクスが目指していたプラスの経済メカニズムが働かず、成長率と物価が上がって名目の国内総生産 (GDP) を 2020 年までに 600 兆円にする目標の達成も怪しくなる。 市場には、財政出動と追加緩和を期待する声が、根強くある。 政府・日銀の危機回避策に注目が集まりそうだ。 (中川泉、Reuters = 3-16-16) ◇ ◇ ◇ トヨタ、ベア 1,500 円回答へ 円高傾向受け要求の半額 トヨタ自動車は 15 日、2016 年春闘でのベースアップの回答額を月 1,500 円とする方向で最終調整に入った。 組合側は月 3 千円を要求していたが、最近の円高傾向などによる先行きの不透明感などから、経営側が難色を示していた。 16 日に回答する予定だ。 国内最大の製造業企業のトヨタの回答は、産業界全体に影響を与える「春闘の相場役」と言われる。 トヨタが前年春闘の妥結額(4 千円)を大幅に下回る回答にとどめることで、ベアが前年を下回る動きが今後広がりそうだ。 一時金(ボーナス)は、組合側の要求通り 7.1 カ月分(約 257 万円)を回答する。 (asahi = 3-15-16) ◇ ◇ ◇ 賃上げどこまで広がる? 春闘が本格スタート、要求続々 新日鉄住金や三菱重工業など鉄鋼・重工メーカーの労働組合が 12 日午前、会社側に今春闘の要求書を提出し、各企業での交渉が本格的に始まった。 労組側は賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)の獲得などを目指すが、会社側は世界景気の減速や足元の金融市場の乱高下で慎重な姿勢を強めている。 賃上げがどこまで広がるかが焦点だ。 東京・丸の内の新日鉄住金本社では、新日鉄住金労働組合連合会の大森唯行会長が、人事労務などを担当する佐藤博恒常務執行役員に要求書を手渡した。 大手鉄鋼や重工などの産業別組織(産別)、日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)に加盟する労組の多くは、2 年に 1 回交渉する方式を採用する。 新日鉄住金の労組は今回、2016 年度、17 年度にそれぞれ月 4 千円(前回要求比 500 円増)の賃金改善(ベア相当分)を求めた。 大森会長は「組合員の雇用・生活の安心安定を確かなものにしなければならない。 今後の活力発揮につながる月例賃金(月給)の改善に特化して財源投入を求める」と話した。 一方の佐藤常務執行役員は厳しい業況を指摘し、「固定的、構造的な負担増につながる施策は極めて厳しいスタンスで臨まざるをえない」と応じたという。 12 日は基幹労連傘下の 300 以上の労組が要求書を出す見通し。 春闘相場に影響が大きい大手製造業では、自動車業界の労組が 17 日、電機業界の労組は 18 日までに一斉に要求書を出す予定だ。 会社側からの回答は 3 月 16 日に出そろい、春闘の最初のヤマ場を迎える。 (asahi = 2-12-16) ◇ ◇ ◇ トヨタ一時金、過去最高水準 労組が 258 万円超要求へ トヨタ自動車労働組合が 2016 年春闘で要求する一時金(ボーナス)が、組合員平均で年 258 万円超となることがわかった。 満額回答なら、リーマン・ショック前の 07 年の 258 万円に並ぶ過去最高の水準になる。 ベースアップ(ベア)要求は 15 年の半額の月 3 千円。 円安を追い風にした好業績を、一時金を中心に還元するよう求める。 一時金要求を 7.1 カ月分とする方針はすでに固めていた。 さらに先週、一時金の計算のベースとなる 1 カ月の賃金が約 35 万 4 千円になると組合員に示した。 これに 16 年春闘で要求する定期昇給 7,300 円とベア 3 千円が上乗せされると、一時金は 258 万 5 千円弱になる。 15 年春闘の回答額(約 246 万円)より 10 万円以上多い。 トヨタの経営側は一時金の要求には満額回答するのが通例だ。 ただ、ベアの回答が要求に届かなければ、実際の一時金の回答額は 258 万 5 千円弱より少なくなる。 (asahi = 2-9-16) 学生の就職人気、1 位 ANA・2 位 JAL 食品も上昇 就職情報会社の学情は 6 日、2017 年 3 月卒業・修了予定の大学・大学院生を対象にした「就職人気企業ランキング」を発表した。 全日本空輸が 2 年連続の 1 位、日本航空が前年の 7 位からランクを上げて 2 位となり、航空大手 2 社が上位を占めた。 前年から順位を上げたのが食品業界。 味の素が 16 位から 7 位、森永製菓が 30 位から 8 位に浮上するなど、50 位までに 15 社が入った。 年明け以降、景気の先行きに不安感が高まるなか、堅実な業態に人気が集まったとみられる。 資源安の影響もあり、大手商社で上位 10 社に入ったのは、16 年 3 月期の純利益が過去最高となる見通しとなった 3 位の伊藤忠商事だけだった。 調査は 2 - 3 月にインターネットや合同企業説明会の会場で実施し、約 1 万 1 千人から回答を得た。 (福井洋平、asahi = 4-6-16) 有効求人倍率、1.28 倍 24 年 1 カ月ぶりの高水準 厚生労働省が 1 日発表した 1 月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より 0.01 ポイント高い 1.28 倍だった。 12 カ月連続の上昇。 人手不足を背景に、24 年 1 カ月ぶりの高い水準となった。 有効求人数は前月より 1.6% 減少したが、有効求職者数も同 2.1% 減少した。 新規求人数を産業別にみると、宿泊業・飲食業が前年同月より 13.4% 増、卸売業・小売業が 5.6% 増、医療・福祉が 4.5% 増で、サービス分野を中心とする求人が牽引した。 一方、総務省が発表した完全失業率(同)は前月より 0.1 ポイント改善して 3.2% だった。 改善は 3 カ月ぶり。 就業者数は前月より 61 万人増え、完全失業者数は 9 万人減った。 (asahi = 3-1-16) ◇ ◇ ◇ 昨年の有効求人倍率 1.2 倍 24 年ぶり高水準 厚生労働省が 29 日発表した 2015 年平均の有効求人倍率は 1.20 倍だった。 前年を 0.11 ポイント上回り、1991 年以来 24 年ぶりの高水準となった。 総務省が同日発表した 15 年平均の完全失業率は前年より 0.2 ポイント低い 3.4% で、97 年以来 18 年ぶりの低水準だった。 (asahi = 1-29-16) ◇ ◇ ◇ 10 月の完全失業率、3.1% 20 年ぶりの低水準 総務省が 27 日発表した 10 月の完全失業率(季節調整値)は 3.1% で、前月より 0.3 ポイント改善した。 改善は 3 カ月ぶりで、1995 年 7 月以来 20 年 3 カ月ぶりの低い水準となった。 完全失業者は前月から 22 万人減った。 総務省は「人手不足感の高まりを背景に、求人が雇用に結びついた」とみている。 一方、厚生労働省が同日発表した 10 月の有効求人倍率(同)は 1.24 倍で、前月から横ばいだった。 医療・福祉や卸売・小売業、宿泊・飲食業などで求人が伸び、約 23 年ぶりの高水準が続いている。 都道府県別では、東京の 1.82 倍が最高で、最低は鹿児島の 0.87 倍。 正社員の有効求人倍率も前月と同じ 0.77 倍だった。 ただ、先行指標とされる新規求人倍率(同、当月の新規求職者数に対する新規求人数の割合)は前月を 0.03 ポイント下回る 1.83 倍で、8 カ月ぶりの下落に転じた。 (北川慧一、asahi = 11-27-15) 「アリ」たちの反乱 引っ越し大手、過重労働の現場 記事コピー (2-29-16) 国内正社員 1,500 人、副職 OK に ロート製薬 目薬大手のロート製薬は 4 月から、国内の正社員約 1,500 人を対象に、ほかの会社や NPO などで働く兼業(副職)を認める。 会社の枠を超えて培った技能や人脈を持ち帰ってもらい、ロート自身のダイバーシティー(多様性)を深めるねらいがあるという。 24 日発表した。 「社外チャレンジワーク」と名付けた制度で、就業先を届け出れば、平日の終業後や土日祝日に他社で働き、収入を得ることを認める。 社員有志の発案で導入を決めた。 東京都内の記者会見で山田邦雄会長兼最高経営責任者は「社内ではない刺激や気づきがあれば、座学より社会経験が積める」と話した。 国内では、創業まもない IT ベンチャーなどをのぞき、就業規則で兼業を認めない企業が多い。 社員に忠誠を求める傾向が強く、本業がおろそかになり、過労で健康を損なう恐れがあるなどの理由からだ。 IT バブル崩壊やリーマン・ショックの後に、工場の稼働率が落ちた電機や自動車大手などで一時的に副業を認める企業はあったが、大手上場企業では、リクルートホールディングスなどごく一部にとどまっている。 (伊沢友之、asahi = 2-24-16) |