相乗効果狙い M & A 積極展開、「案件は色々」 = 富士フイルム社長 [東京] 富士フイルムホールディングスの助野健児社長(1 日就任)は 2 日、ロイターのインタビューで、技術や販売面での相乗効果を重視しながら M & A (合併・買収)を積極的に進める考えを強調した。 買収候補について助野氏は「具体的には言えないが、案件は色々ある」と述べた。 インタビューで助野社長は M & A 戦略で医療分野を強化するのかとの質問に対し、「特にこのセグメントを中心に M & A をやる考え方ではない。 相乗効果を技術陣と議論し、投資効果などを総合的に判断する。」と述べた。 候補の分野については「具体的には言えない」と答えた。 同社は今年、東芝の子会社だった医療機器メーカー、東芝メディカルシステムズの買収に乗り出したが、約 6,600 億円を投じたキヤノンに競り負けた。 4 月下旬、助野氏の社長昇格を発表した際の記者会見で富士フイルムの古森重隆会長は、「(東芝メディカルで)使わなかった分は十分に使い道がある」と述べた。 富士フイルムは 2015 年度実績で売上高約 4,200 億円の医療関連事業(ヘルスケア)を 18 年度に 1 兆円に引き上げる計画だ。 富士フイルムのヘルスケアは、エックス線画像診断装置などの機器事業、情報技術を活用して診断支援などを展開する医療 IT (情報技術)、医薬品、iPS 細胞の開発・製造を手掛ける米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル (CDI) の買収などを通じて注力している創薬支援や再生医療と、幅広い分野に及ぶ。 ヘルスケアを 1 兆円に伸ばす際の分野別の内訳について助野氏は、「来年春の次期中期計画で具体的な姿を発表できると思う」と語った。 <事務機、伸び代ある> 富士フイルムは 2016 年度に過去最高となる営業利益 2,200 億円を見込む。 このうちの半分を子会社の富士ゼロックスが手掛ける事務機事業が稼ぐ見込みだ。 ただ、スマートフォンやタブレット端末の普及を背景に、コピー枚数がいずれ頭打ちとなり、消耗品トナーの販売で継続的に安定的な収益を上げるビジネスモデルが限界を迎えるとの見方も出ている。 助野氏は「先進国と新興国で状況がぜんぜん違う」と述べた。 「先進国は機械を売って保守サービス・消耗品で稼ぐビジネスモデルから、ソリューション提案型に変わってきている」と説明。 その上で、「中国や東南アジアの主力は白黒のコピー機でプリント枚数も増えている。 カラー化はこれからだから、(先進国とは)違う戦略でやる。」などと強調。 事務機事業の収益の伸び代は「あると思う」と述べた。 (インタビュアー:浜田健太郎、山崎牧子、Reuters = 6-2-16) 体温で稼働、小熱源の発電シートを開発 … 医療機器にも応用可能性 人の体温やパソコンなど小さな熱源を利用して発電し、ねじったり折り曲げたりできるシートを開発したと、奈良先端科学技術大学院大(奈良県生駒市)の河合 壮(つよし)教授らの研究チームが発表した。 耐久性もあり、日本や欧米で特許を申請。 実用化すれば車のエンジンや工場の配管など、様々な熱を有効利用できるようになるという。 独科学誌「アドバンスト・ファンクショナル・マテリアルズ」電子版に論文が掲載された。 開発したのは、筒状になった炭素分子「カーボンナノチューブ」で作った布に「クラウンエーテル」という液体の有機化合物と塩化ナトリウムなどを染み込ませ、樹脂でパッキングした厚さ約 1 ミリのシート。 カーボンナノチューブと有機化合物の相互作用で、太陽電池と似た性質を持つ有機半導体ができ、光の代わりに熱(温度差)に反応して発電する。 実験の結果、150 度の高温に 1 か月間さらしても、ほとんど劣化せず発電できた。 発電効率は、今のところ太陽電池の 10 分の 1 程度だが、センサーなど弱い電力で動く機器は稼働し、さらに改良できるという。 体温で稼働し、心拍数や血圧の変化などを連続測定できる小型の医療機器、パソコンの熱を再利用して動く周辺機器などで、活用が見込めそうだ。 これまでも同様の技術は開発されてきたが、非常に高価な原料や大型の装置が必要だったり、耐久性に問題があったりしたため、用途が限られていた。 河合教授は「カーボンナノチューブなら安価で量産可能なので、生活用品や医療機器、工業用プラントなど、幅広い分野で応用できる可能性がある。 数年後の実用化を目指したい」としている。 (青木さやか、yomiuri = 5-18-16) 有機 EL、再び脚光 韓国勢、スマホやテレビで採用拡大 薄さや高画質が売りのディスプレー「有機 EL」が再び脚光を浴びている。 液晶に押され、日本の電機大手は一時ほぼ撤退したが、最近は韓国勢がスマートフォンやテレビで採用を拡大している。 日本勢では素材メーカーが韓国勢と組んで生産拡大を図り、電機大手も再び力を入れ始めた。 北朝鮮との軍事境界線に近い、韓国北部の坡州市。 工業団地の一角に、有機 EL を発光させる材料をつくる出光興産の工場がある。 同社の素材は青色の発光に強みを持ち、韓国の電機大手・LG グループの大型有機 EL テレビに使われる。 出光は 2012 年末、静岡県に次ぐ拠点として生産を始めて、15 年に年間の生産能力を 2 倍以上に拡大した。 出光は 09 年以降、LG と有機 EL の技術開発で提携し、同じ坡州市内に LG の工場もある。 「お互い日常的に行き来し、密に会話しながら性能の向上に生かしている(出光韓国法人幹部)」という。 出光は 15 年には同じ有機 EL 材料を手がける韓国メーカーと特許や製造拠点の相互利用で合意した。 上海事務所も設けて中国メーカーへの売り込みを進める。 「出遅れないように一生懸命ブラッシュアップしている。」 出光と並び、発光材料を長く手がけてきた住友化学の十倉雅和社長は今年 3 月、18 年度までの 3 年間の経営計画を出した記者会見で語った。 韓国の工場に約 200 億円を投じ、有機 EL のタッチセンサーパネルの生産能力を 4 割増やす。 顧客は韓国勢で、テレビ開発にも協力する。 今後の情報電子化学部門の売り上げの伸びの大部分は有機 EL が占める見通しだ。 (伊沢友之、坡州 = 稲田清英、asahi = 5-10-16) ネジ紛失をスタイリッシュに防止する "DIY ブレスレット" ![]() 株式会社ドスパラが運営する上海問屋から、自作や大工仕事で紛失しがちな金属部品を手首につけておくことが出来る「部品吸着ブレスレット」が販売された。 日曜大工や、PC や機械類などネジ部品が多いものの組立・分解に威力を発揮しそうだ。 「部品吸着ブレスレット」はスクエア型の腕時計のようなビジュアルで、磁石プレートに金属パーツをピタッと付けられるというシンプルなアイテム。 ネジを持ちながら作業していて、うっかり落としてしまい紛失するという事態を回避しつつ、手の自由度が上がり作業を効率良く進められる。 バンドは 170 - 220 ミリに調節可能。 ネジ、ドライバービット、ワッシャーなど紛失しやすい細かなパーツはまとめて手首に付けておけば一安心。 ありそうでなかった着眼点のアイデアグッズだ。 価格は 599 円とお手頃なので、試してみる価値はありそう。 上海問屋ほか、楽天、Yahoo でも販売している。 (OriconStyle = 5-8-16) 伊藤忠、初の業界首位へ 純利益 2 割減でも他社が損失大 伊藤忠商事が 6 日発表した 2016 年 3 月期決算は、純利益が前年比 20.0% 減の 2,403 億円になった。 繊維や食料品部門など非資源関連を中心に事業を見直し、損失を出したことが響いた。 ただ、資源安で他の大手商社は損失が膨らんでおり、伊藤忠は純利益で初の業界首位に立つ見通しだ。 非資源関連では、繊維部門で衣料品のブランドの絞り込みや在庫処理を進め、食料品部門で米食品大手ドールから買収した加工品事業の収益悪化に伴う減損処理などをし、計 525 億円の損失を計上した。 資源安で採算の悪化したオーストラリアの石炭事業の売却などで資源関連も計 200 億円の損失となり、全体で 750 億円の損失を出した。 伊藤忠は昨年 5 月時点の業績予想では、16 年 3 月期の純利益を過去最高の 3,300 億円と見込んでいた。 だが、同業他社が事業や資産価値を見直していることもあり、伊藤忠も「強固で筋肉質な収益基盤の構築(岡藤正広社長)」のため、損失処理する方針に転換したという。 17 年 3 月期の業績予想は 3,500 億円の純利益を見込む。 筆頭株主となっているファミリーマートを通じた食品流通事業の拡大のほか、昨年に資本提携した中国中信集団 (CITIC) との共同プロジェクトを上期中にも立ち上げる計画という。 (石橋亮介、asahi = 5-6-16) 「阿蘇の天然水」製造工場、再開に数カ月 サントリー サントリーホールディングス(東京)は 2 日、熊本地震で操業を止めている九州熊本工場(熊本県嘉島町)が、数カ月程度、稼働できない見通しを明らかにした。 当初は「再開に数週間」としていたが、設備が相当損傷しているうえ、余震の影響で被害調査が進んでいないためだ。 工場は、4 月 14 日の前震を受け、操業を停止。 さらに 16 日の本震でも被害を受け、配管や天井、ガラスが破損するなど「相当程度の損傷を受けた(広報)」という。 また漏電の可能性があるため、いまだに工場に電気を通していない。 工場では、阿蘇から流れてくる地下水を敷地内でくみ上げ、ミネラルウォーター「阿蘇の天然水」に使っていた。 だが、電気がないため水をくみ上げることができず、水質の調査も出来ていないという。 夏の需要期を控えているため、サントリー HD は山梨県や鳥取県の工場などで増産し、「南アルプス」と「奥大山」の天然水を九州へ送る方針だ。 天然水シリーズは 2015 年に全国で 9,480 万ケース(1ケースは大瓶 20 本換算)を出荷した。 そのうち熊本は年 600 万ケースの生産能力がある。 またビール類では「ザ・プレミアム・モルツ」などを生産。 ビール類の昨年の出荷量 8,300 万ケースのうち、熊本から 800 万ケースを出荷した。 熊本ではこのほかに「ウーロン茶」や、緑茶の「伊右衛門」、缶コーヒー「ボス」などを作っている。 (角田要、asahi = 5-3-16) パナソニック、売上高 2.1% 減 中国の景気減速受け パナソニックは 28 日、2016 年 3 月期の決算を発表した。 中国の景気減速や国内の住宅販売の低迷で、売上高は前期比 2.1% 減の 7 兆 5,537 億円だった。 テレビ事業が 8 年ぶりに黒字化し、営業利益は同 8.8% 増の 4,157 億円、純利益は同 7.7% 増の 1,932 億円だった。 白物家電は海外での販売が好調だったが、太陽電池は電力の買い取り価格の段階的な引き下げもあって不振だった。 17 年 3 月期は売上高が前期比 0.7% 減の 7 兆 5 千億円、純利益が同 30% 減の 1,350 億円の見通しだ。 テレビやパソコンなど 14 事業部を「収益改善事業」として、てこ入れする。 成長の見込める介護分野などに重点的に投資する。 (新宅あゆみ、asahi = 4-29-16) ◇ ◇ ◇ 鉄鋼大手 4 社、軒並み減収減益 中国の景気減速で 鉄鋼大手 4 社の 2016 年 3 月期決算が 28 日、出そろった。 中国経済の減速で鉄鋼製品の販売が低迷し、全社が減収減益だった。 神戸製鋼所と日新製鋼は 3 年ぶりの赤字。 中国の鋼材メーカーが在庫を大量に輸出しており、販売価格の下落を招いた。 神戸製鋼は、収益の柱だった建設機械事業でも中国の影響で赤字が拡大。 「中国の建機需要はピークだった 10、11 年の 3 割になってしまった(梅原尚人副社長)」という。 日新製鋼も、海外子会社が保有する鉱山会社の株式が資源安で評価損を出すなどしたため、純損益が 66 億円の赤字に転落した。 17 年 3 月期は、東京五輪に向けた都市開発などで国内の鋼材需要が増すため、新日鉄住金の栄敏治副社長は「生産は伸びていく」とみる。 ただ、過剰生産設備の問題が解消されていない中国が、足元で再び生産量を増やす動きがあり、新日鉄や JFE ホールディングスは業績見通しの公表を見送った。 (asahi = 4-28-16) X 線天文衛星「ひとみ」復旧断念 JAXA 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 28 日、通信が途絶えていた X 線天文衛星「ひとみ」の復旧を断念すると発表した。 衛星からの電波が確認できない状況が続き、今後も回復が見込めないと判断した。 X 線を観測してブラックホールなどの様子を詳しく調べる計画だったが、研究も大きく停滞することになる。 日本の X 線天文衛星の失敗は、2000 年に打ち上げが失敗した「アストロ E」以来。 05 年に打ち上げられた後継機「すざく」も一部の観測機器が使えなくなるトラブルがあった。 ひとみは、2 月 17 日に種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。 地上 575 キロの軌道を周回し、5 月にも本格観測に入る予定だった。 ところが、3 月 26 日午後 4 時 40 分ごろから地上と通信ができなくなり、米国防総省の観測で衛星が分解した可能性が指摘されていた。 (asahi = 4-28-16) ◇ ◇ ◇ 天文衛星「ひとみ」、姿勢制御設定にミス JAXA 発表 通信が途絶えている X 線天文衛星「ひとみ」について宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 15 日、「衛星の姿勢を制御する機能の設定にミスがあった」と発表した。 姿勢を立て直すはずが回転を加速させてしまい、機体の分解につながった可能性があるという。 ひとみには、星の位置などから姿勢を正常に保つ機能がある。 JAXA によると、3 月 26 日午前 4 時 10 分ごろから、位置情報の取り込みに失敗し、実際は回転していないのに回転していると衛星が判断した。 制止させようと逆回転させる機能が働き、回り始める問題がおきた。 さらに、姿勢を立て直そうとしたところ回転を加速させてしまった。 2 月の打ち上げ後に再設定した値が誤っていたことが原因という。 JAXA では、人為的なミスだったかどうかも含め、原因を調べている。 久保田孝宇宙科学プログラムディレクターは「電力や通信を確保するための対策を今後も続けたい」と話した。 宇宙空間の物体を監視する米戦略軍統合宇宙運用センターは、ひとみ本体以外に 10 個の物体があり、そのうちの 2 個が 29 日と 5 月 10 日に大気圏へ再突入すると予測する。 JAXA によると物体は小さく、大気圏で燃え尽きるとしている。 (山崎啓介、asahi = 4-15-16) ◇ ◇ ◇ ひとみ、通信途絶前に異常な回転 … 電源切れる 正常な通信が途絶えている X 線天文衛星「ひとみ」について、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 8 日、「機体の姿勢制御に異常が生じた可能性が高い」との分析結果を発表した。 ひとみの電源はすでに切れており、復旧には、太陽電池パネルに太陽光が当たり、電源が回復するのを待つしかないという。 発表によると、正常な通信が途絶える約 11 時間前の 3 月 26 日午前 5 時 50 分頃には、機体が異常な回転を始めていたことがわかった。 現在は 5.2 秒に 1 回、回転しているとみられる。 28 日の深夜を最後に、ひとみから電波は届いていない。 本体の他に、少なくとも 3 個の破片に分かれていることもわかったが、宇宙ごみ(デブリ)との衝突や、機体の爆発を示すデータは確認されておらず、分裂した原因はわかっていない。 (yomiuri = 4-8-16) ◇ ◇ ◇ 衛星「ひとみ」、分解を確認 本体機能は維持か 通信が途絶え、分解した可能性が指摘されている X 線天文衛星「ひとみ」について宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 1 日、爆発のような破壊は起きておらず、衛星本体の機能は残っているとの見方を示した。 少なくとも二つの物体に分かれていることを観測で確認。宇宙ごみなどの衝突ではなく、本体にトラブルが起きた可能性が高いとみて原因を調べている。 ひとみは、4 月中旬から装置の調整のための観測を始める予定だった。 今後、太陽電池パネルが太陽の方向を向いて再び通信できるようになるのを待つが、数カ月単位の時間がかかる可能性があるという。 会見した常田佐久・JAXA 宇宙科学研究所長は「重大な事態だが、回復に全力を尽くしたい」と話した。 JAXA によると、衛星との通信が途絶えたのは 3 月 26 日午後 4 時 40 分。 その後も 4 回にわたり 6 秒 - 6 分間程度の電波を受信できたことから、一定の機能は残っているとみている。 当時は、衝突のおそれのある宇宙ごみの報告もなく、外部からの衝突の可能性は低いという。 (奥村輝、asahi = 4-2-16) ◇ ◇ ◇ 通信途絶の衛星「ひとみ」分解か 米、5 個の物体確認 地上との通信ができなくなっている X 線天文衛星「ひとみ」について宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 28 日、引き続き衛星からの電波を確認できない状態が続いていると発表した。 米国防総省の戦略軍統合宇宙運用センターが、衛星が複数の物体に分かれている可能性があるとの情報を公表しており、異常との関係を確認している。 米国防総省の情報はツイッターで公表され、日本時間 26 日午後 5 時 20 分の時点で衛星の付近に五つの物体があるとした。 JAXA によると、これ以降、27 日未明まで 2 回にわたり衛星からの電波が 3 - 4 分受信できたという。 ただ、通信できない状態は 28 日午前 11 時現在も続いている。 宇宙開発に詳しい的川泰宣・JAXA 名誉教授は衛星周囲の物体について「出どころがしっかりしているだけに、深刻な情報だ。 衛星の破片なのか、外からぶつかってきた物なのかは現時点では分からない。」と話している。 (asahi = 3-28-16) ◇ ◇ ◇ X 線天文衛星「ひとみ」、電波受信できず 26 日夕から 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 27 日、X 線天文衛星「ひとみ」が 26 日午後 4 時 40 分ごろから地上と通信できず、衛星の状態が確認できない状況が続いていると発表した。 通信途絶の原因は不明という。 JAXA は 2003 年 11 月の H2A ロケット打ち上げ失敗以来の対策本部を設置して、復旧にあたっている。 ひとみは 2 月 17 日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、観測の準備に入っていた。 JAXA によると、最後に通信できたのは今月 26 日午前 9 時 52 分。 その後、衛星からの電波は短時間受信できたが、地上からの信号には反応がない。 最後の通信データの分析から、衛星の姿勢に異常が生じ、太陽電池の出力が下がっていると推定している。 JAXA の常田佐久・宇宙科学研究所長は記者会見で「重大な事態で、回復しなければ厳しいことになる。 全力で復旧したい。」と話した。 ひとみの費用は打ち上げを含め 310 億円。 ブラックホールなどを観測し、宇宙の成り立ちの解明を目指している。 (奥村輝、asahi = 3-27-16) ◇ ◇ ◇ X 線天文衛星は「ひとみ」と命名 H2A 打ち上げ成功 宇宙の成り立ちの解明を目指す X 線天文衛星「アストロ H」を搭載した H2A ロケット 30 号機が 17 日午後 5 時 45 分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 「相乗り」した三つの小型衛星とともにロケットから分離されたアストロ H は「ひとみ」と命名された。 H2A 打ち上げの成功は 24 回連続。 アストロ H は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が中心に開発した国産 6 代目となる X 線天文衛星で、昨年まで使われた 5 代目「すざく」より 10 - 100 倍暗い天体を観測できる。 ブラックホールの成長過程など宇宙の全体像を解明する役割を担い、3 年以上の観測を目指す。 X 線放出を伴う宇宙での爆発や衝突などは地球から見られず、大気圏外で観測するX線天文衛星の性能を向上させた。 ブラックホールの運動の様子などを直接捉える「重力波」の初観測が発表された直後とあって、「X 線と重力波の観測を組み合わせれば、より多面的に宇宙の構造を調べられる(牧島一夫・理化学研究所研究顧問)」と期待されている。 (小林舞子、奥村輝、asahi = 2-17-16) 飲み物やゴルフボール、ドローンがお届け 楽天が開始へ 楽天は 5 月 9 日から、スマートフォンのアプリで注文すると、ドローンが飲み物や食べ物、ゴルフボールを届けるサービスを、千葉県御宿町のゴルフ場内で始める。 楽天の「そら楽」アプリをダウンロードし、ゴルフ場のどこにいるかを入力する。 重さ 2 キロ分まで注文でき、代金はクレジットカードなどで決済する。 自律制御システム研究所(千葉市)が開発した高さ 58 センチ、直径 130 センチのドローンが、荷物を積んだクラブハウス近くから飛び立って届ける。 当面は送料は無料。 楽天によると、ドローンの商業用サービスは国内で初めて。 25 日には試験飛行し、温かいハンバーガー、飲み物と箱に入ったゴルフボールを届けた。 楽天は 1 カ月ほど続けて改良点を検証したうえで、他のゴルフ場にも広げ、ネット通販の商品を過疎地に送るときにも活用したい考えだ。 三木谷浩史社長は「災害時の活用にもつなげたい。 風が強い日本で耐えうるサービスを作り、海外にも展開していければ。」と話した。 アプリは当面はアンドロイド版だが、iOS 版をつくることも検討している。 (藤崎麻里、asahi = 4-26-16) ◇ ◇ ◇ 阿蘇大橋周辺、ドローン動画でくっきり 国土地理院公開 国土地理院は 17 日、熊本地震の被災地を小型無人飛行機(ドローン)で撮影した動画を公開した。 被害状況の把握など災害対応に役立ててもらうことを目的としている。 公開した動画は、熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋周辺の土砂崩れ現場や、地震によって地表に現れた南阿蘇村と同県益城町の断層の映像。 いずれも 16 日に撮影した。 崩落した阿蘇大橋周辺の画像は、国道 57 号が JR 豊肥線と並行して走り、阿蘇大橋のある国道 325 号が交わっている場所。 山の上部から土砂が崩れ落ちて山肌がえぐられた様子や、土砂に押し流された鉄道のレールが大きく曲がって、一部が枕木とともに道路に残っている様子が確認できる。 崩れた土砂の付近に残されている自動車も映っている。 益城町で断層を撮影した動画では、農地や川、道路を横切るようにできた亀裂が延びている様子がわかる。 道路にできた段差の上を自動車がゆっくりと通過する様子も映っている。 動画は国土地理院のウェブサイトで公開している。 (黒沢大陸、asahi = 4-17-16) https://www.youtube.com/watch?v=C52Niq2jNdI&feature=youtu.be ◇ ◇ ◇ ドローン宅配の実証実験始まる ワインボトル載せて着地 小型無人飛行機(ドローン)を使った宅配の事業化を目指す実証実験が 11 日、千葉市の幕張新都心で始まった。 午前 10 時ごろ、イオンモール幕張新都心の屋上から、かごに入った 720 ミリリットルのワインボトル 1 本を載せたドローンを飛ばし、向かいにある公園に着陸させた。 内閣府や千葉市、ドローンの開発・製造を手がける「自律制御システム研究所(千葉市)」などが参加した。 2019 年の実用化を目指して、実験を続ける。 (asahi = 4-11-16) ◇ ◇ ◇ デンソー、ドローン事業に参入 橋の老朽化点検に活用 デンソーは 8 日、ドローン事業に参入すると発表した。 橋の老朽化を調べるのに使う。 自動車部品で培った制御技術を生かし、風速 10 メートルの風が吹く中でも点検できるという。 無線操縦ヘリコプターを手がけているヒロボー(広島県府中市)と共同で開発した。 同社が自動車エンジンの部品をデンソーに納めている縁だ。 ドローンは直径約 1 メートルで、1 回の充電で 9 分半ほど飛べる。 搭載したカメラで橋の傷やさびを点検する。 国土交通省によると、全国に約 70 万ある主だった橋のうち、建設から 50 年たつ橋の割合は、2013 年時点の 2 割から 33 年に 7 割まで増える見通し。 点検の人手を確保するのが難しくなりつつある。 このためデンソーはドローンによる点検の需要が高まっていくとみる。 ドローンを使った橋の点検は、富士通なども実証実験を進めている。 (友田雄大、asahi = 4-9-16) 白物家電が好調 国内出荷額、2 年ぶり前年度上回る 日本電機工業会は 20 日、2015 年度の白物家電の国内出荷額は前年度より 5.7% 増の 2 兆 2,475 億円だったと発表した。 前年度の実績を上回るのは 2 年ぶり。 高価格帯の機種への買い替え需要が高く、過去 10 年間の平均値の 2 兆 1,237 億円を上回り、好調だったという。 製品別では、エアコンが 4.1% 増の 6,719 億円、冷蔵庫が 5.8% 増の 4,228 億円、洗濯機が 6.2% 増の 2,947 億円で、全体の 6 割を占める 3 製品がともに伸びた。 外国人観光客に人気の小物家電も伸びが大きく、ジャー炊飯器が 16.2% 増の 1,271 億円、ヘアドライヤーが 49.9% 増の 293 億円、電気シェーバーが 21.0% 増の 532 億円だった。 16 年度の白物家電出荷は、15 年度より 2.1% 増の 2 兆 2,939 億円になる見込みで、好調は続くという。 (asahi = 4-20-16) 省エネ新幹線の切り札 三菱電機「パワー半導体」
記事コピー (4-15-16) パソコン統合交渉、白紙に = 東芝、富士通、VAIO 東芝と富士通、ソニーのパソコン部門が独立した VAIO (長野県安曇野市)の 3 社が行ってきたパソコン事業を統合する交渉が、白紙に戻る見通しとなったことが 15 日分かった。 統合後の成長戦略や製造拠点の再編をめぐり合意が困難になった。 スマートフォンやタブレット型端末の普及に伴い、国内外のパソコン市場は縮小しており、3 社は収益力強化に向け戦略の見直しを続ける。 3 社のパソコン事業統合構想は、不正会計問題を受けた東芝の構造改革をきっかけに浮上。 統合によって製品の開発、製造、販売を効率化し、競争力を高める狙いだった。 しかし、統合後の収益計画や事業戦略をめぐり協議は難航。 3 社が抱える国内外の製造拠点の統廃合でも調整がつかなかった。 東芝の室町正志社長は 6 月末までに決着させる意向を示していたが、3 社の溝は埋まらず、交渉の継続は困難との見方が強まった。 (jiji = 4-15-16) 洗濯機価格に異変 パナソニック製、生産トラブルで品切れ 洗濯機の店頭販売に異変が起きている。 東京都内の大手家電量販店では生産トラブルによるパナソニック製の品切れが相次ぐ。 他社製品も代替需要で品薄が続く。 多くの人が新生活を始めるこの時期は洗濯機の引き合いが強まる。 店頭価格も上がっており、消費者の懐を直撃している。 パナソニックは 3 月 19 日、静岡県袋井市の工場でトラブルが生じ、洗濯乾燥機の出荷が遅れているとホームページで公表した。 「現在は解消し生産を再開している(同社)」というが、出荷遅延の影響は残っている。 東京都千代田区の大手家電量販店では、4 月 5 日時点でパナソニック製のほぼ全機種の入荷が 5 月 21 日以降となっている。 「2 カ月近い入荷待ちは珍しい(売り場担当者)」という。 人気の高いドラム式(乾燥機付き)は、日立製や東芝製も 4 月 14 - 27 日の入荷が目立つ。 同新宿区にある別の量販店でも、パナソニック製が 5 月 29 日以降(4 月 5 日時点)、他社製も 4 月下旬の入荷が目に付く。 入荷が早い商品の引き合いは強いという。 担当者は「早い人は 3 月中旬に買いに来る。 生活必需品なので入荷時期は重要な選択材料」と指摘する。 秋葉原の量販店も同じような状況だ。 店頭価格も上がっている。 パナソニック製の上位機種でタッチ式パネルを採用した洗濯乾燥機「NA-VX9600L」の場合、都内量販店の販売価格は約 24 万 7,100 円が多い。 価格比較サイトを運営するカカクコムによると、4 月 6 日時点の全国平均は 24 万 7,316 円。 トラブル公表前の 3 月 18 日(23 万 9,953 円)に比べ 3% 高い。 (nikkei = 4-8-16) JAL が拡張現実端末を試験導入 頭に装着、研修で利用 米マイクロソフト (MS) は 30 日、サンフランシスコ市内で開発者向けのイベントを開いた。 頭に着けて 3D 映像を目の前で見られる拡張現実 (AR) の端末「ホロレンズ」の試験導入で、日本航空 (JAL) と提携することを発表。 今夏に予定されている基本ソフト (OS) 「ウィンドウズ 10」のアップデートなども公表した。 ホロレンズは目の前の現実の風景に 3D 画像を重ねて表示させる。 周囲が見えない仮想現実 (VR) と違い、現実の空間も見えているのが特徴だ。 パソコンやスマートフォンなどとつながずに独立して動かせ、指を使ってアプリを開いたり、3D 映像を動かしたりできる。 本格的な市販に向け、まず法人との提携を発表。 日本では JAL が社内研修用に利用を始めている。 30 日から北米の開発者限定で出荷し、値段は 3 千ドル(約 34 万円)。 (サンフランシスコ = 宮地ゆう、asahi = 3-31-16) 目指せ「クローン仏像」 富山、制作中の釈迦三尊像公開 奈良・法隆寺の国宝「釈迦(しゃか)三尊像」の再現に取り組む富山県の高岡、南砺両市などは 21 日、制作中の仏像を高岡市で公開した。 伝統の鋳物と木彫り技術を用いて、単なるレプリカではなく、同じ成分の素材を使った「クローン仏像」を目指している。 実現すれば門外不出の文化財でもクローンを世界各地で展示でき、手触りまで楽しめる。 この日は、鋳造を終えた中央の釈迦如来(高さ 87.5 センチ)と両脇の脇侍と呼ばれる立像や木製の台座などを組み立て前の状態で披露。 東京芸大で表面の仕上げをし、秋ごろに完成させ、2016 年度中に公開する予定という。 再現仏像は、東京芸大が法隆寺の釈迦三尊像から 3 次元データや成分データを取得。 3D プリンターで型をつくり、高岡の鋳物業者が約 2 カ月かけて鋳造した。 ヒノキとクスノキでできた台座部分は、精密な浮き彫り技術で知られる南砺市の井波彫刻の職人が彫った。 高岡市は鋳物作りに 400 年以上の歴史を持ち、再現事業に計 4,500 万円を計上、「プロジェクトをきっかけに、国内外で鋳物技術を売り込みたい」と意気込む。 (kyodo = 3-21-16) 蚊取り空気清浄機・サリー傷めぬ洗濯機 … 日本製ご当地化 アジア独特の習慣やニーズに商機を見いだした「ご当地商品」に日本メーカーが力を入れている。 成長市場で各国企業との競争が激しくなるなか、「高品質な日本製」という価値に頼らず、地元目線のアイデアで消費者をつかむ狙い。 日本に逆輸入される商品もある。 「空気をきれいにして、蚊もたくさん取れますよ。」 インドネシアの首都ジャカルタの大型モールで 5 日、家電大手シャープが催した店頭イベント。 女性スタッフが売り込んでいたのは、世界で初めて蚊取り機能を付けた空気清浄機だ。 昨年 10 月にインドネシアやマレーシア、タイなど東南アジア 6 カ国で発売した。 側面の空気吸入口に UV 光や暗い空間など蚊が好む環境をそろえておびき寄せ、交換式の粘着シートでとらえる。 蚊 200 匹を使った実験では、24 時間で 91% を捕獲した。 値段は通常機種の安いモデルと比べて倍の 3 万円ほどだが、6 カ国で目標を 3 割上回る売れ行き。 近く日本でも発売する。 大学生アンドレさん (20) は「数年前にデング熱になった。 ジャカルタは交通渋滞で大気汚染もひどい。 父に頼んで購入を決めました。」 東南アジアは、蚊が媒介するデング熱がはびこる。 インドネシアでは昨年、10 万人以上が発症して 907 人が死亡。 今はジカウイルス感染症(ジカ熱)の懸念もある。 (ジャカルタ = 古谷祐伸、asahi = 3-16-16) H2A ロケット、23 年度で引退へ 次期主力 H3 に移行 文部科学省は 8 日、国産主力ロケット H2A を 2023 年度の打ち上げを最後に引退させる計画を明らかにした。 国際宇宙ステーション (ISS) への輸送船を打ち上げる H2B は 19 年度まで。 開発中の次期主力ロケット H3 に順次移行させる。 01 年に初号機が打ち上げられた H2A は、先月の打ち上げで 30 号機に達した。 文科省が内閣府の宇宙政策委員会に示した移行計画によると、23 年度までにあと 19 機を打ち上げ、気象衛星や情報収集衛星などを軌道に投入する。 ただ、衛星開発の遅れや海外からの受注などで計画が変更される可能性があるという。 H3 は、打ち上げ費用を H2A の半分の約 50 億円程度にすることが目標。 地球観測衛星を載せた初号機を 20 年度に、技術試験衛星を載せた 2 号機を 21 年度に打ち上げる計画。 H3 の運用が確立されることも H2A 引退の条件としている。 (asahi = 3-8-16) 「カバ」パッケージめぐり明治を相手取り仮処分申請 ![]() 米系製薬のムンディファーマは 26 日、食品大手の明治を相手取り、不正競争行為の差し止めを求める仮処分申請を東京地裁に出した。 ムンディの許諾を得て明治が「イソジン」の名前で 3 月末まで売るうがい薬と、許諾がきれた 4 月 1 日に明治が売り出す新商品のパッケージが似ていて、消費者を誤認させる恐れがあると判断した。 イソジンをめぐっては 9 日、明治が、ムンディが 4 月に出すイソジンに、明治が商標権を持つ「カバくん」に似たキャラクターがついているなどとして、ムンディにそのデザインを使わないよう求める仮処分申請を東京地裁に出していた。 (asahi = 2-27-16) ◇ ◇ ◇ うがい薬の「カバ」、明治が使用差し止めの仮処分申請 食品大手の明治は 9 日、製薬会社 2 社が 4 月に発売を予定するうがい薬のパッケージについて、明治の商品によく似ているとして、不正競争防止法に基づき、デザインを使わないよう求める仮処分申請を東京地裁に申し立てた。 明治によると、同社のうがい薬のパッケージには、カバのキャラクター「カバくん」を載せている。 「イソジン」として販売してきたが、国内でつくって売る権利を失うため、4 月からは別の商品名で販売する。 一方、明治が差し止めを求めた塩野義製薬の子会社と米系のムンディファーマの 2 社が「イソジン」の名前で 4 月から売るうがい薬にも、カバのようなデザインが付いているという。 明治は昨年 12 月以降、2 社に対し、書面で酷似したデザインを使わないよう求めてきたが、受け入れられないと判断したという。 明治は「商品デザインが似ており、消費者が間違えて購入するといった損害を防ぐ必要がある(広報)」としている。 塩野義製薬は「この件はムンディファーマに任せている」、ムンディファーマは「詳細を把握していないので、コメントできない」としている。 (asahi = 2-9-16) 工作機械、大空に商機 ヤマザキマザック、三重に新工場 工作機械大手のヤマザキマザックは 25 日、三重県いなべ市に新工場を建設すると発表した。 約 200 億円を投じ、航空機向けなどの大型機械の生産拠点とする。 2018 年に稼働する計画で、同社の国内新工場は 10 年ぶりとなる。 中部地方では航空機が自動車に続く成長産業と期待されており、その効果が関連産業にも波及してきた。 新工場は今年秋をめどに着工し、18 年から徐々に生産を始める。 大型機種をつくる同県桑名市の工場が手狭なため、床面積が約 2 倍(5 万 6 千平方メートル)の新工場建設で、生産能力を引き上げることにした。 桑名市の工場は縮小し、約 250 人の従業員や設備も移していく予定だ。 同社の国内の新工場は、岐阜県美濃加茂市で 08 年にレーザー加工機の工場を稼働させたのが最後。 山崎智久社長は記者会見で、「円高で海外工場の増強を進めたが、円安になったので、遅れていた国内工場の建設を進める」と話した。 (友田雄大、asahi = 2-26-16) 歩ける装着ロボ、HAL が来た リハビリ活用へ開発進む 病気や事故の後遺症で身体が不自由な人が歩行能力を高めることができる「装着型ロボット」を、病院などで使うケースが広がっている。 リハビリ時に「歩く感覚を取り戻しやすい」として、利用者の期待も高い。 医療機器として初めて認められた「HAL (ハル)」は、4 月から難病の治療目的だと公的医療保険の対象となる。 ■ 「歩ける」患者の自信に 神戸市の兵庫県立リハビリテーション中央病院。 下半身が一部まひしている相根(さがね)悠一郎さん (24) は、重さ 12 キロの HAL を足腰に着けて、踏み出した。 「歩けることがうれしい。」 2014 年 8 月、海水浴で飛び込みに失敗して首の骨が折れ、車いす生活に。 補助具を使って立てるようになってから週 2 回、HAL を使ってリハビリを続けた。 1 周 90 メートルのコースは最初は 2 分かかったが、昨年暮れには 1 分もかからず歩けるように。 「自由に歩いていた時の感覚を思い出し、自信につながっている」という。 人が筋肉を動かそうとする際、脳から神経を通じて、筋肉に微弱な電気信号が流れる。 これをももやひざの皮膚に貼り付けたセンサーで検出。 筋肉が動くと同時に、内蔵コンピューターで関節部のモーターを制御して歩行を助ける。 人の動作を予測して動く技術も使われている。 11 年に日本で初めて「ロボットリハビリテーションセンター」を設けた同病院は、脊髄(せきずい)損傷の患者らを対象に HAL の臨床研究中。 臨床研究のため患者の費用負担はない。 十数人に試し、いずれも改善がみられたという。 陳隆明センター長は「正確に繰り返し訓練できるのが強み。 効果を確認したい。」と話す。 佐賀大学医学部付属病院が、HAL を使った脳卒中患者の精神状態を調査したところ、歩行速度の回復とともに「抑うつ」が減少し、「活気」が上昇するなどの改善が見られた。 (石倉徹也、小堀龍之、asahi = 2-21-16) ホーロー鍋バーミキュラ、生産能力倍増へ 品薄で窯増設 ![]() 鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」をつくる鋳物メーカーの愛知ドビー(名古屋市)は、今年秋にも生産能力を今の 2.5 倍の月 1 万個に引き上げる。 口コミで人気が広がったヒット商品。 入荷待ちが続いたのを昨年にいったん解消したが、再び品薄となり、今は 9 カ月待ちという。 バーミキュラは、鍋とフタの隙間を 100 分の 1 ミリ以下にして食材の水分やうまみを逃さないのが特徴。 3 万円前後が中心と高価だが、2010 年の発売後に評判を呼び、最長 1 年 3 カ月の入荷待ちとなった。 昨年 3 月には生産能力を月 4 千個に増やして品薄を解消したが、販路が百貨店や家電量販店などに広がり、注文も増えている。 生産が追いつかない状況を受けて、同社は鍋を焼く窯を増設し、人員も増やすことにした。 海外からの問い合わせも増えており、将来には工場の新設などで生産能力を月 2 万個程度にすることも検討している。 (高橋諒子、asahi = 2-20-16) アイシンの寝具、背水の陣 事業存続へ初のテレビ CM も アイシン精機は、赤字が続く寝具事業をてこ入れする。 柔らかさや除菌機能などを細かく選べるオーダーメイドのマットレスを 13 日に発売し、テレビ CM を初めて全国で流す。 トヨタ自動車系部品メーカーのアイシンにとって、消費者に直接売る数少ない商品。 事業の存続をかけて巻き返しを図る。 新しいマットレス「エクセシオール」は、カバーが 5 種類、柔らかさが 4 種類、大きさが 12 種類から選べ、ほかの要素も含めて全部で 832 通り。 「生活スタイルや体格の変化に応じて寝心地を変えられる」のが売りだ。 中に入れたジェル状のクッションは独自の技術で、ばねに比べて長持ちするという。 税込み価格は 16 万 8,156 円から。 発売にあわせて、3 億円を使ってテレビ CM を流し始める。 CM には、ジェル状クッションでつくった人型のキャラクターが登場。 「30 年間使い続けられる」と強調する。 (友田雄大、asahi = 2-11-16) |