三陸鉄道に「こたつ列車」復活 東日本大震災で中断
岩手県の沿岸部を走る三陸鉄道北リアス線で、東日本大震災のため中断していた「こたつ列車」が 2 シーズンぶりに復活している。 車両内に通路を挟んで計 12 のこたつを設置。 こたつに入ってみかんを食べながら、三陸沿岸の景色を楽しめる。 2006 年に本格的に始まった企画。 昨冬は震災の影響で不通区間が多く、実施を見送っていた。 久慈 - 田野畑間の 1 往復で、3 月末までの毎週土日と祝日、1 月 1 日から 6 日は毎日、運行される。 (葛谷晋吾、asahi = 12-24-12)
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気仙沼線の BRT 本格運行開始 JR 東日本
JR 東日本は 22 日、震災で線路が流された気仙沼線柳津 - 気仙沼駅間(55.3 キロ)について、線路跡に整備された専用道などにバスを走らせる「バス高速輸送システム (BRT)」の本格的な運行を開始した。 同社は 8 月から暫定運行しているが、この日からは専用道区間の距離やバスの便数を大幅に増やしたり、駅舎を新設するなどして、利便性を高めた。
専用道は、これまでの気仙沼市の陸前階上 - 最知駅間(2.1 キロ)に加え、南三陸町の歌津 - 陸前港駅間(2.3 キロ)でも供用が始まった。 暫定運行中は一般道区間の混雑で遅れることもあったため、同社は専用道の整備を急ピッチで進めており、来春までには全区間の 2 割が専用道になる見込みだ。
また、バスの運行本数は、学校や民家が多い本吉 - 気仙沼駅間で、従来の 50 往復から 63 往復に増加。 周囲に民家などが少なかった志津川駅をより利用客が見込まれる仮設商店街の近くに移設したほか、ベイサイドアリーナ、歌津、陸前小泉、大谷海岸、松岩の各駅に新たに駅舎を設けた。 同社は 22 日、歌津駅で記念式典を開催し、菅原茂・同市長や佐藤仁・同町長ら地元の首長を含め約 70 人が出席。 会場には、同町の「オクトパス君」や同市の「海の子 ホヤぼーや」などのゆるキャラも駆けつけ、祝典ムードを盛り上げた。
佐藤町長は式典後、「鉄道の復旧は引き続きお願いしていくが、BRT の本格運行が始まったことで、復興に向けて一歩進んだと感謝している」と話した。 同町歌津の吉田マサ子さん (72) は「買い物や病院に行くのに、より便利になって助かります」と笑顔で話し、バスに乗り込んだ。 (yomiuri = 12-23-12)
東北新幹線、国内最速に 東京 - 新青森、2 時間 59 分
JR グループ7社は 21 日、来年 3 月 16 日に予定しているダイヤ改定の概要を発表した。 東北新幹線は最高速度を国内最速の時速 320 キロに引き上げ、東京 - 新青森は最短 2 時間 59 分になる。 秋田新幹線は新型車両「スーパーこまち」が運転を始め、最高速度が時速 275 キロから同 300 キロになる。 平均の所要時間は東京 - 新青森で 5 分、東京 - 秋田で 1、2 分それぞれ短縮される。 国内で新幹線の最高速度が上がるのは 16 年ぶり。
上越新幹線では 200 系車両が営業運転から引退する。 加速性能の良い E2 系に置き換えるため、東京 - 新潟は平均 2 分短縮される。 200 系は、1982 年の東北新幹線開業時に運転開始。 東海道新幹線の 0 系に雪対策を施し、「団子っ鼻」のような先頭車両が特徴的だ。 東海道・山陽新幹線では、早朝の岡山始発「のぞみ」 1 本を、広島始発とし、広島発東京行きを 20 分間隔で運行する。 (asahi = 12-21-12)
JAL、制服を一新へ 客室乗務員など全部門で
日本航空は、来年度の上期から制服を一新する。 20 日に新しいデザインを発表した。 客室乗務員や地上スタッフのほか、整備や貨物なども含めた全部門、計 2 万 6,700 人分が新デザインに変わる。 客室乗務員の制服の変更は、日航と日本エアシステムが統合した 04 年以来。 日航のロゴマーク「鶴丸」をモチーフに、赤色が目立つようにした。 日本トランスオーシャン航空などグループ会社のデザインも統一する。 (asahi = 12-20-12)
小型ジェットさらに 100 機納入へ 三菱航空機、米社に
三菱航空機(名古屋市)は 13 日、製造を手がける国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」について、100 機の納入で合意していた米国の航空会社「スカイウェスト社(ユタ州)」に対し、2024 年までにさらに 100 機を納入する契約を結んだと発表した。 21 - 24 年に 100 機を納める。 金額は約 3,500 億円(42 億ドル)。 これで、MRJ の受注は 325 機となった。 ほかに、航空会社が購入の意欲を示している覚書段階のものが 5 機ある。
今回の契約は金額や納入時期は定められているものの、実際に買うかどうかを今後スカイウェスト社が自由に決められる「オプション契約」となっている。 スカイウェスト社は北米に拠点をおき、小型ジェット旅客機でカナダやメキシコに運航する。 小型ジェット機の運航では世界最大手という。 (asahi = 12-15-12)
航空・JR 各社、予約好調 下りのピークは 29、30 日
航空各社と JR 各社は 14 日、年末年始の予約状況を発表した。 9 連休が取れる曜日配列の良さから旅客が増えるとみられ、予約数はいずれも前年より多い。 ただ、尖閣諸島をめぐる日中関係悪化の影響で、中国方面の国際線は低調だ。
飛行機の国内線のピークは、大都市からの下りが 29 日、上りが 1 月 3 - 5 日。 日本航空と全日空の両グループの期間中(21 日 - 1 月 6 日)の予約数は計約 307 万人で、前年より 14% 増えた。 国際線のピークは出国が 29 日、入国が 1 月 5 - 6 日。 欧米や東南アジアの長距離路線に人気が集まっている。
JR の新幹線と在来線特急のピークは下りが 29、30 日、上りが 1 月 3 日となる見込み。 期間中(28 日 - 1 月 6 日)の予約数は前年より 11% 多い 324 万席だった。 トンネル事故で中央道の通行止めが続く影響で、中央線特急の予約は前年比 6 割増。 JR 東日本は特急を新たに 7 本増発する。 被災 3 県(岩手、宮城、福島)方面に向かう東北新幹線では、好調だった前年からさらに 15% 増えた。 (asahi = 12-14-12)
自動ブレーキ装備の観光バス 三菱ふそう、前倒し発売へ
【豊岡亮】 三菱ふそうトラック・バスは、衝突のおそれがあるときに自動でブレーキをかける新型の大型観光バスを来年 1 月 15 日に発売する。 関越道で 4 月に起きたツアーバス事故を受け、予定を 2 年前倒しして投入することにした。
ミリ波レーダーで約 100 メートルほど先までの車などを検知し、速度差が 15 キロ以上ある場合は追突の約 2 秒前に警報音を出す。 それでも運転手がブレーキを踏まないと、2 段階で自動ブレーキが作動して時速を約 20 キロ落とし、被害を軽くするしくみだ。 55 人乗りのエアロクィーン(約 4,671 万円)と、57 人乗りのエアロエース(約 4,057 万円)の 2 車種に標準装備した。 (asahi = 12-13-12)
青函トンネルも時速 200 キロ 新幹線、1 日 1 往復限定
【木村聡史】 国土交通省は 11 日、北海道新幹線が青函トンネルを走る時、当初予定の 140 キロから最高時速を上げ、200 キロ以上の高速走行をめざす方針を明らかにした。 風圧ですれ違う貨物列車のコンテナがへこむ心配があったが、ダイヤを調整する。 走行時間の短縮を求める地元自治体などの要望を考慮した。
北海道新幹線は、青函トンネルを通る新青森 - 新函館間が 2015 年度末に開業する予定。 高速走行は 1 日 1 往復に限定され、18 年度からスタートする。 11 日にあった国交省の有識者会議で方針が了承された。 これまでトンネルを中心とした在来線との共用区間(約 82 キロ)での最高時速を、在来線特急並みの 140 キロとしていた。 ただ新幹線の最高速度は 260 キロで、トンネル内もこの速度で走ることができれば、新青森 - 新函館間の所要時間は 57 分から 39 分になる。 (asahi = 12-13-12)
北極海航路で日本に LNG 輸送成功 ロシア企業、世界初
【モスクワ = 副島英樹】 ロシア最大の政府系天然ガス企業「ガスプロム」は 5 日、ノルウェー産の液化天然ガス (LNG) を北極海航路で日本まで運んだと発表した。 世界初の成功だとしている。 岩盤から取り出すシェールガスの生産が米国で本格化し、天然ガス大国のロシアは新たな輸出戦略を迫られている。 ロシアの北極圏には新規のガス田も多く、欧州とアジアを結ぶ新ルートの将来性をアピールする狙いがあると見られる。
ノルウェー企業「スタトイル」が生産した LNG を、同国北部ハンメルフェストでタンカーに積み込んで 11 月 7 日に出発。 米アラスカとロシア東端の間のベーリング海峡を通り、5 日、火力発電所がある北九州市戸畑区の港に着いた。 原子力砕氷船を同行させた。 タンカーは、ギリシャ船籍のオビ・リバー号をチャーターして使った。 (asahi = 12-6-12)
HIS、国際チャーター便に参入 バンコクに拠点
旅行大手エイチ・アイ・エス (HIS) は 2013 年夏をめどに、国際チャーター便を運航する航空事業に参入する。 日本発着のアジア路線やアジア域内の国際線を主に運航する。
タイ・バンコクに子会社をつくった。 年末年始など国際線の利用者が増える時期に合わせ、効率的にチャーター便を飛ばす。 運航開始から 5 年後に 3 億ドル(約 250 億円)の売り上げが目標。 沢田秀雄会長は 4 日の会見で、「アジアの航空市場は将来、日本の 10 倍に拡大すると見込まれる。 その需要を取り込みたい。」と述べた。 (asahi = 12-4-12)
ホンダ「軽」好調効果 11 月新車販売、下げ幅減少
【豊岡亮】 11 月の国内新車販売台数(軽自動車含む)は、前年同月比 0.4% 減の 39 万 3,942 台だった。 エコカー補助金が終了した 9 月から 3 カ月連続で前年を下回ったが、ホンダの新型車効果もあって軽自動車の販売は堅調で、下げ幅は 10 月(5.7% 減)より縮小した。 日本自動車販売協会連合会(自販連)と、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が 3 日発表した。
軽は 4.6% 増の 14 万 9,968 台で、14 カ月連続のプラスだった。 11 月 2 日に発売された新型の軽乗用車 N-ONE (エヌワン)をはじめ、N シリーズの販売が好調だったホンダの軽の販売台数が前年同月比約 3.7 倍の 3 万 601 台と急伸した。 軽市場に占めるシェアも 20.4% と 9 年 1 カ月ぶりに 20% 台を回復し、「一人勝ちのホンダが(市場を)引っ張っている(全軽自協)」状況だ。 (asahi = 12-3-12)
ピーチ、搭乗者 100 万人達成 国内 LCC 3 社で初
関西空港が拠点の格安航空会社 (LCC) のピーチ・アビエーションの累計搭乗者数が 29 日午前、3 月の路線開設以来 100 万人を超え、関空で記念式典があった。 就航から 9 カ月での達成は予定より 1 カ月早く、今年相次いで就航した国内の LCC 3 社で初めてとなる。
100 万人目は、午前 10 時 35 分発の鹿児島行きに乗った鹿児島県いちき串木野市の保育士、浜田佳代さん (29)。 記念のセレモニーでは、ピーチの井上慎一社長から記念品とピーチの搭乗に使える 10 万円分のポイントがプレゼントされた。 友人と京都観光をしたという浜田さんは「これまで関西は遠かったが、距離が近くなった気がする。 運賃が安く、乗り心地もいいのでこれからも利用したい。」と話した。
ピーチは国内 5 路線と国際 3 路線を開設。 10 月末までの平均搭乗率は 77% と当初目標の 70 - 75% を上回っている。 井上社長は「利用者から LCC が航空サービスの選択肢のひとつとして認識され、広く浸透してきたということ。 今後も手頃な運賃での安全運航を続けていきたい。」と話した。 (asahi = 11-29-12)
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簡素に LCC 専用ターミナル 国内初、関空に 28 日開業
【五十嵐聖士郎】 関西空港に格安航空会社 (LCC) 専用の第 2 ターミナル (T2) が完成し、報道陣向け内覧会が開かれた。 装飾を省いた簡素な造りで、ピーチ・アビエーションが 28 日から使用する。 LCC 専用ターミナルとして設計、建設されたのは国内で初めてだ。
T2 は平屋建て(一部 2 階)で延べ約 3 万平方メートル。 天井や柱は装飾せず、照明代節約のため採光窓を取り付け、内装は白色を基調としている。 時計や床のタイルは安価なものを使い、柱の間隔を狭めたり、壁面に案内標識を直接貼り付けたりして建設費を従来の半額以下の約 85 億円にとどめた。
T2 は、現在ある第 1 ターミナルから約 2 キロ離れているため、関西空港駅から無料の往復バスが運行される。 駐車場があるため、車でも直接行くことができる。 ピーチは当面、国内と国際線あわせて 1 日発着 36 便を運航する。 (asahi = 10-27-12)
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関空の着陸料、半額へ 深夜・早朝の国際旅客便
【北川慧一】 関西、大阪(伊丹)両空港を一体運営する「新関西国際空港会社」は来春にも、関西空港で深夜早朝の国際線旅客便の着陸料を半額に引き下げる方針を固めた。 コストに敏感な格安航空会社 (LCC) を呼び込み、経営基盤を強化する。
新関空会社は着陸料引き下げをテコに、関空国際線に占める LCC の比率を、現在の 14% から 2014 年度に 25% に引き上げることをめざす。 24 日に発表する中期経営計画に盛り込む。 現在は旅客便がほとんど就航していない午前 1 - 6 時の着陸料を 5 割引き下げ、航空機の重量 1 トン当たり約 1 千円にする。 価格競争にさらされる LCC が、運賃を少しでも低く抑えられるよう支援する。 (asahi = 10-23-12)
エコカー中心のショーに異変 米、電気自動車展示減る
【ロサンゼルス = 畑中徹】 ロサンゼルス自動車ショーが 28 日開幕した。 エコカー中心のショーとして知られるが、今年は電気自動車 (EV) ブームの陰りを反映し、エコカーの展示が減っている。 会場があるカリフォルニア州は、各メーカーに環境対応車の販売を増やすよう求めるなど規制が厳しいため、例年はエコカーの発表が多い。 だが、今年は新しい EV を大々的にアピールしたのは米ゼネラル・モーターズ (GM) など数社だけだった。 (asahi = 11-29-12)
広島電鉄、23 日で開業 100 周年 「花電車」を復元
広島電鉄は 23 日、電車開業 100 周年を迎える。 同日、広島市の本社周辺で記念祭を開催する。 開業時に運行した電飾を施した「花電車」を復元して市内を走らせるほか、現存する代表的車両や歴史を伝えるパネルを展示する。
「花電車」は開業当時は電球を装飾していたが、今回の記念列車は発光ダイオード (LED) と造花を装着する。 一般客の乗車はできないが、12 月上旬まで市内線全路線でデモンストレーション運行をする予定。 本社に隣接する千田車庫では最新の低床車両をはじめドイツ・ハノーバー市から寄贈された車両、「被爆電車」など 17 種類を展示する。 現在は社内研修で使っている被爆建物「赤レンガ棟」も公開する。 100 年の歴史を写真で伝えるパネルも設置する。
広電は前身の広島電気軌道として 1912 年に広島市内線を開業。 45 年 8 月 6 日の原爆投下で甚大な被害を受けたが 3 日後に一部区間で運行を再開した。 路面電車は老朽化が進んでいることもあり、乗降がしやすい新型の低床車両の導入や電停の整備を進めることから、来年にも運賃の引き上げを申請する計画だ。 今後は広島駅前南口と市内中心部をつなぐことを計画する新路線「駅前大橋線」の設置を実現し、交通機関としての利便性を高められるかが課題となる。 (nikkei = 11-23-12)
リニア新型車両「L0 系」公開 営業線仕様
JR 東海のリニア新型車両「L0 (エルゼロ)系」が 22 日、山梨県都留市で報道陣に公開された。 営業線仕様で、実際にリニア中央新幹線を走る車両の原型になる。 2027 年の開業に向けて走行試験が行われる。 L0 系は、空気抵抗を減らすために先頭車両の先が細く伸びているのが特徴。 時速は 500 キロ。 4 列シートで先頭車両は 24 人、中間車両は 68 人が乗車できる。 14 両つくられる予定。 (asahi = 11-22-12)
ジェットスター、運休・時刻変更計 806 便 3 月末まで
成田空港を拠点とする格安航空会社 (LCC) のジェットスター・ジャパンは 22 日、12 月 6 日から来年 3 月 30 日まで、成田 - 関空など 3 路線計 806 便を運休したり、運航時刻を変更したりすると発表した。 社内規定違反で国土交通省から厳重注意を受けた影響で、運航計画を見直さなければならなくなったからだ。
予約を受け付けているのは、運休する便で計 4,376 人、時刻変更する便で計 1 万 1,270 人にのぼる。 飛行機の振り替えや払い戻しで対応するという。 ジェットスターは、社内規定を満たしていない整備士に機体の点検をさせていたとして 16 日、国交省から厳重注意を受けた。 この影響で 12 月上旬に計画していた関西空港の拠点化を見送ったため、運航計画の変更を迫られていた。 (asahi = 11-22-12)
インド、日本の新幹線システム採用軸に協議 両首脳合意
野田佳彦首相とインドのシン首相は 20 日、カンボジアのプノンペンで会談し、インドの高速鉄道構想で「日本の新幹線システム採用を念頭に具体的に協議を進める」ことで合意した。 今後、条件を協議する。 インドの新幹線導入は、高速鉄道の構想がある全 6 路線(総延長約 4,100 キロ)のうち、最も人口が密集する「プネ - ムンバイ - アーメダバード」間(約 680 キロ)を想定。 インド側はコスト低下や投資を呼び込むため、現地での生産を望んでいる。
車両やシステムなど一括での新幹線輸出はこれまで台湾だけ。 経済成長が続くアジアや南米では高速鉄道構想が相次いでおり、ブラジルやタイ、ベトナムで計画されている。 日本は官民で新幹線の売り込みを進めており、今回の日印首脳間の合意で「競争相手に優位に立てたのでは(国土交通省関係者)」との期待が出ている。 (asahi = 11-20-12)
ロボ飛行機、災害現場を撮って自動帰還 宇宙機構が開発
【高山裕喜】 災害現場まで自動操縦で飛んでいき、様子を撮影して帰ってくる - -。 そんな小型ロボット飛行機の開発に宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が成功し、北海道大樹町の実験場で 17 日発表した。 誰でも簡単に操作できるのが特徴という。
この機は全長 1.6 メートル、幅 2.2 メートル、重さ 5 キロ。 バネを使った射出装置から離陸し、電動のプロペラで 20 分ほど飛ぶ能力がある。 胴体の中央に小さな垂直翼がついた独特の形状で、機体を傾けずに旋回して高い精度の撮影ができる。 土砂崩れなどで、発生直後の被災状況を把握するのに使うことを想定し、自治体の防災担当職員らが簡単に使えるようにした。 パソコン上の地図をマウスでなぞって飛行経路を指定するだけで、自動操縦で目的地まで飛んで戻ってくる。 (asahi = 11-18-12)
停電もへっちゃら! 避難誘導標 大阪市営地下鉄が導入
【染田屋竜太】大阪市営地下鉄の駅に市内のベンチャー企業が開発した蓄光型の避難誘導標識が導入された。 光をためる素材を使い、停電時でも数時間光り続ける。 広告と一体化していて利用料も市に入る「一石二鳥」の仕組みだ。 10 月に淀屋橋、都島、谷町九丁目の 3 駅に計 23 枚設置された「しるべにすと」。 同市浪速区の防災機器メーカー「リソウズ」が開発した。 縦 80 センチ、横 60 センチで、非常口の方向を示す矢印に光をためる素材を使っている。 周りの照明が消えても 5 時間光り続ける。
B3 判の広告とセットになっており、広告主が払う年 20 万円の広告料から設置費用をまかなう。 このうち年 6 万円は市交通局が「壁面使用料」として得る。 リソウズの永留君明(ながとめきみあき)事業部長は「電源のいらない蓄光型は安価で設置や取り外しが簡単。 非常電源がダウンしても影響しない。」と利点を説明する。 (asahi = 11-18-12)
新車販売予測 133 万台減 自動車税存続と消費増税で
【木村裕明】 自動車にかかる税負担を軽減しないまま、消費税率を 10% に引き上げれば、2016 年度の国内新車販売台数(軽自動車含む)が 347 万台に落ち込むとの試算を経済産業省がまとめた。 12 年度の見通し(480 万台)を 133 万台下回る大幅減になると見込む。
エコカー補助金が今年 9 月に終了したことも響いて、13 年度の国内販売は 440 万台に減る見通し。 消費税が 14 年 4 月に 8%、15 年 10 月に 10% に引き上げられる影響で、16 年度までにさらに 93 万台減るとしている。 部品などの関連産業を含めた生産額が 6.3 兆円減り、27 万人の雇用が失われるという。
消費税率が 3% から 5% に引き上げられた 1997 年度も、前年度を 101 万台下回る大幅減となった。 2 段階で 10% に引き上げられる今回もそれに近い影響が出ると見込む。 国内市場が 68 年度(339 万台)並みの規模に戻り、ピーク時(90 年度、780 万台)の約 45% まで縮小するという厳しい内容だ。 (asahi = 11-16-12)
ロープが上下しホーム転落防止 JR 西が新柵開発
JR 西日本は、ロープが上下する転落防止用ホーム柵の開発に乗り出す。 開閉部の位置が固定される現行の可動式ホーム柵に比べ、ドアの位置が異なる様々な車両にも対応でき、普及が期待できるという。 5 - 10 メートル間隔に並んだ高さ 1.3 メートルの柱の間に複数のロープを横に張る。 列車が到着すると柱が上昇し、ロープが約 2 メートルの高さまで上がる。 乗客はロープの下をくぐって乗降する。 設置時期や費用は未定。
ホーム柵は国土交通省が 1 日の平均利用客 10 万人以上の 235 駅に設置を求めているが、ドアの数や位置が違う車両の混在がネックとなり、設置済みは 34 駅。 JR 西管内では 4 ドアの車両しか走らない JR 東西線の北新地駅など 3 駅にあるだけで、昨年度までの 5 年間で転落 30 件、列車との接触が 61 件あり、19 人が死亡している。 (asahi = 11-15-12)
ペダル踏み間違えても自動ブレーキ トヨタが新技術公開
【若松潤】 トヨタ自動車は 12 日、交通事故の軽減に向けた最新の安全技術を公開した。 駐車場などでアクセルとブレーキを踏み間違えても壁にぶつからずに止まったり、高速走行時の追突事故を防いだりする。 近く全面改良するクラウンを皮切りに幅広い車種に搭載していく。
トヨタによると、ペダルの踏み間違いによる事故は年間 7 千件程度起きており、特に駐車場内で多い。 今回、開発した新技術は、高齢者や運転に不慣れな人がアクセルとブレーキを踏み間違えても、音波で車の前や後ろにある壁などの障害物を検知。 警報を鳴らすとともに、自動でブレーキをかけたり、エンジンの出力を下げたりする。 (asahi = 11-13-12)
スーパー速い「こまち」 新車両、最高時速 300 キロに
来年 3 月から秋田新幹線で運転を始める新型車両「E6 系」の愛称が「スーパーこまち」に決まった。 JR 東日本の冨田哲郎社長が 6 日、発表した。 1 日 4 往復し、最高速度は時速 300 キロ。 下りの東京 - 秋田は所要時間が 5 分短縮される。 現行の秋田新幹線(E3 系)の愛称「こまち」が地元での評判が良いので、生かすことにした。
東京 - 盛岡は東北新幹線「E5 系」の「はやぶさ」と連結し、宇都宮 - 盛岡の速度は現在の時速 275 キロから同 300 キロに引き上げる。 下りの東京 - 秋田は最速で 3 時間 45 分になる。 運賃も秋田までの片道が 500 円高い 1 万 7,310 円(大人 1 人)になる。 1 編成は現行より 1 両増やした 7 両にし、2014 年春までに 24 編成を投入する。 (asahi = 11-7-12)
貸し切りバスも距離規制 夜間のワンマン運転 国交省案
関越道のツアーバス事故を受けたバス運転手の勤務基準見直しを、スキーなどの貸し切りバスにも広げる案を、国土交通省が 5 日、公表した。 夜間に 1 人で運転できるのは原則 400 キロまでといった新基準で、旅行会社が客を集めるツアーバスでは 7 月に導入されている。
5 日午前の会議で、学識経験者やバス事業者に案を示した。 400 キロを超す場合、交代の運転手の同乗を義務づける。 スキー客向けの貸し切りバスが増える冬場を見越し、12 月から新基準を適用したいという。 運転手が 1 人のワンマン運転の基準は 1 日 670 キロまでだったが、精神的・肉体的負担を考慮していなかった。 4 月の関越道の事故後、国交省がバス運転手約 3 千人にアンケートしたところ、夜にワンマンで無理なく走れる距離は「400 キロまで」が 8 割を占めた。 (asahi = 11-5-12)
大型バス、自動ブレーキ義務化へ 14 年秋の新型車から
【工藤隆治】 関越道のツアーバス事故を受け、国土交通省の有識者検討会は 1 日、衝突前に自動でブレーキを掛ける装置を大型バスに義務づけることで合意した。 2014 年秋以降に作られる新型車から標準装備される。
自動ブレーキは「衝突被害軽減ブレーキ」とも呼ばれ、前を走る車や障害物との距離をレーダーで測る。 追突や衝突の危険が高まると、衝突の 2.2 秒前に警報で運転手に知らせ、それでもブレーキ操作をしないと 0.8 秒後に自動的にブレーキを掛ける。 衝突までに速度が時速約 20 キロ程度下がるため、ぶつかっても被害が軽くなる。
12 トンを超す大型バスが対象で、14 年 11 月以降に生産される新型車から義務化する。 すでに生産・販売されているバスは設計変更が必要なので 17 年 9 月の生産分から義務づける。 路線バスなど立った乗客がいるバスは急ブレーキをかけると危険なので対象外となる。 (asahi = 11-1-12)
「ななつ星」に採れたて野菜を直送? JR 九州が構想
【末崎毅】 九州をめぐる豪華寝台列車「ななつ星」の朝食や昼食では、その日採れたての宮崎産の野菜をお楽しみください - -。 JR 九州の唐池恒二社長が 25 日、こんな構想を明らかにした。 ゆくゆくは、自社がつくる野菜をななつ星に積み込みたいという。 傘下の農業生産法人が、13 年 7 月に宮崎県新富町でピーマン栽培を始める方針を発表したのにあわせて語った。 JR 九州は、すでに大分や熊本、福岡の各県でニラやサツマイモ、ミニトマト、養鶏などを手がけており、提供できる食材の「幅」を広げた形だ。
唐池社長は「ななつ星の朝食や昼食で、その日とれた宮崎県の野菜をお客さまに提供したい。 ピーマンは来年の運行開始には間に合わないが、後々は私たちがつくる作物を全部積み込みたい。」と意気込んだ。 「ななつ星」は 3 泊 4 日コースが 1 人あたり最大 55 万円(2 人 1 室利用の場合)と、「世界一のおもてなし」が売り。 食堂専用の車両「ダイニングカー」では、車窓に流れる風景を楽しみながら食事ができる。 (asahi = 10-28-12)
日系乗用車、大手全 6 社で減少 9 月の中国生産台数
【豊岡亮】 日系の乗用車大手 8 社は 26 日、9 月の生産・輸出実績を発表した。 尖閣諸島問題の影響で、中国で生産する 6 社の中国での生産台数は、計約 22 万 1 千台と前年同月の実績を約 28% 下回った。 エコカー補助金が 9 月に終了したため、7 社の国内生産が減少した。
中国生産は、生産拠点がある全 6 社が前年の実績を下回った。 スズキの生産台数がほぼ半減となったほか、中国での販売が首位の日産自動車は約 2 万 3 千台、トヨタ自動車も約 3 万 4 千台減らした。 各社の下げ幅は 1 - 4 割前後に及ぶ。
日本から中国への輸出も、三菱自動車が約 65% 減の 1,188 台、富士重工業がほぼ半減の 3,426 台となるなど、ほとんどが前年割れ。 三菱自は来年 1 月に中国市場に投入予定の新型車アウトランダーの初回の輸出台数を、当初予定の約 3,500 台から 2 千台程度に減らす方針。 厳しい市場環境を踏まえて、「慎重に対応せざるを得ない(益子修社長)」と判断した。 (asahi = 10-26-12)
車のガラスにカーナビ情報、景色と重ねて表示 デンソー
【南日慶子】 デンソーは、カーナビの情報を、自動車のフロントガラスに表示する「ヘッドアップディスプレー」を開発した。 例えば、進行方向の矢印などを、フロントガラスにうつして、実際の景色に重ねられ、視認性を高める。 ドライバーは視線を大きく外すことなく必要情報を得ることができる。
2015 年ごろの製品化を目指している。 運転席前のダッシュボードに、液晶パネルが埋め込まれ、特殊な鏡でフロントガラスに反射させて情報をうつす。 今回は、カーナビと連動して進行方向を矢印で表示できるようにした。 歩行者を知らせる印や、現在の走行速度、走っている道路の制限速度も、景色に浮かび上がらせることができる。 (asahi = 10-24-12)
サンパウロ・モーターショー開幕 成長市場、若者に照準
【サンパウロ = 岩田誠司】 中南米最大の自動車展示会、サンパウロ・モーターショーが 22 日、開幕した。 拡大を続けるブラジル市場を見据え、ホンダや独フォルクスワーゲングループなどの大手メーカーのトップが初めて現地入り。 各社とも、購買欲盛んな中間層と若者を意識した車種を目玉にしている。
ホンダはこの日、若者を意識してデザインしたブラジル専用版の小型車フィットを公開。 伊東孝紳社長は「ブラジルは人口が 2 億人近くで国土も広い。 一度火がついたモータリゼーションは止められない。」と述べ、2015 年をめどに高級ブランド「アキュラ」も投入すると明らかにした。 ブラジルの新車販売台数は年々増加しており、11 年には約 363 万台と 03 年当時の 3 倍近くに増えた。 (asahi = 10-23-12)
EV 充電、米は日本と別規格 国際規格競争、日本に逆風
【ニューヨーク = 畑中徹】 自動車技術の規格に影響力がある米自動車技術者協会(SAE インターナショナル)は 15 日、電気自動車 (EV) の充電方式で、欧米自動車メーカーが推進する「コンバインド・チャージング・システム(コンボ)」と呼ばれる規格を採用すると発表した。 EV の充電方式をめぐっては、日本の自動車各社が実用化で先行する「チャデモ (CHAdeMO) 方式」で国際標準化をめざしている。 SAE の決定は、コンボ方式を推す欧米勢にとって追い風となり、日本勢は主導権争いで後れをとる可能性も出てきた。
日産自動車などが実用化しているチャデモ方式は、家庭電源を使う普通充電と、急速充電では、プラグの差し込み口が分かれている。 一方、米ゼネラル・モーターズ (GM) や独フォルクスワーゲン (VW) などのコンボ方式は、急速充電と普通充電のプラグを一体化した。 来年の実用化をめざす。 国際的な規格づくりの競争が厳しさを増すなか、業界では、充電規格が複数あると消費者が買うのを控え、EV の普及が進まないとの懸念が出ている。 (asahi = 10-16-12)
ホンダのハイブリッド車、世界販売累計 100 万台突破
ホンダは 15 日、ハイブリッド車 (HV) の累計販売台数が 9 月末時点で 100 万台を超えたと発表した。 1999 年 11 月に初代インサイトを発売してから 12 年 11 カ月での達成となった。 内訳は国内で約 51 万台、海外が約 49 万台。 最量販車種はシビックハイブリッドで、北米を中心に約 31 万 5 千台を売った。 現在はフィットハイブリッドなど計 8 モデルを約 50 カ国で販売。 今後も日本で発売予定の高級車レジェンドの後継モデルなど、HV の車種を増やしていく計画だ。
トヨタ自動車の HV の累計販売台数は今年 9 月末時点で約 451 万台(速報値)。 (asahi = 10-15-12)
広がる大空への夢 航空宇宙展 自家用ジェットやヘリ展示
航空・宇宙技術の展示会「国際航空宇宙展(日本航空宇宙工業会主催)」で、中部国際空港(常滑市)とポートメッセなごや(名古屋市港区)を会場に 12 日に始まった一般向けイベント「パブリックデー」は、自衛隊機や民間のプライベートジェット機などの屋外展示もあり、多くの市民が楽しんだ。 パブリックデーは14日まで。
中部国際空港の屋内展示場では、全日空や日本航空、自衛隊、航空関係の出版社などのブースで、記念品の販売やパネル展示が行われ、多くの人が訪れている。 愛好家で作る「ヘリコプター歴史保存協会(東京)」のブースでは、警視庁が実際に使用していたヘリコプターを展示し、操縦席に座ることができる。 1970 年前後に報道の現場で活躍した読売新聞社のヘリコプター「ヒューズ 500 型機」などの写真展示もある。
阿部和彦代表 (49) は「実機に触れ、山河の多い日本で報道や物資輸送、人命救助と幅広く活躍するヘリの魅力を知ってほしい」と語る。 ポートメッセなごやでも、中高生を対象にしたガイドツアーも行われ、航空産業や技術に関心を持つ若者らが見学した。
一方、航空自衛隊小牧基地(小牧市)には 12 日、中部国際空港で 13、14 日にアクロバット飛行を披露する航空自衛隊「ブルーインパルス」の T-4 型機 7 機が芦屋基地(福岡)から到着。 小牧基地への飛来は 2009 年以来 2 度目で、基地周辺では航空ファンが望遠レンズを向け、着陸シーンを撮影していた。 (yomiuri = 10-13-12)
アクセル踏み間違い、自動でブレーキ 日産が年内実用化
日産自動車は 12 日、ブレーキとアクセルを踏み間違えて起きる事故を防ぐ技術を開発したと発表した。 駐車するときに、カメラが自動で周囲の状況を認識して誤操作を防ぐ。 年内に一部改良して発売するミニバンのエルグランドから搭載し、順次搭載車種を増やす。 (asahi = 10-13-12)
レクサス「新型 LS」を発表 前部に統一デザインを導入
トヨタ自動車は 11 日、高級車ブランド「レクサス」の最高級車種 LS を一部改良して発売した。 前部に、台形を二つ重ねたひょうたん形の「スピンドルグリル」のデザインを採用する。 レクサスの他車も相次いで採用しており、一目でレクサス車とわかるようにブランドイメージの統一を図る。
歩行者や障害物を認識し、自動ブレーキをかける衝突回避システムも搭載した。 830 万円 - 1,550 万円(税込み)。 (asahi = 10-12-12)
LCC 3 社、続々国際線へ アジアからの客に照準
【木村聡史】 今年就航した国内の格安航空会社 (LCC) 3 社が、相次いで国際線に進出する。 飛行機の利用者が増え続けるアジアに路線を延ばし、アジアからの利用客も呼び込もうとねらう。 安全に遅れなく運航できれば、日本の利用者にとっても選択肢が増えることになる。
成田空港を拠点にする全日本空輸系のエアアジア・ジャパンは、初の国際線として成田 - ソウル(仁川)便を 28 日から運航する、と 10 日発表した。 運賃は片道 6,980 - 2 万 9,980 円。 荷物預かりや座席指定は有料だが、それらを含めても往復で最安 2 万円程度。 日本航空や全日空の半額ほどだ。 成田 - 釜山線も 11 月に就航する。 中国や台湾、フィリピンなどを候補にさらなる路線拡大を検討中だ。
同じ全日空系で関西空港が拠点のピーチ・アビエーションは、すでに関西からソウル、香港線に就航しており、16 日からは台北便も加わる。 こちらも中国本土などを視野に路線拡大を検討中だ。 ソウル線、香港線とも搭乗率は目標の 75% を超えており、半数は海外からの客だという。 成田と関空から国内線を飛ばす日本航空系の LCC、ジェットスター・ジャパンも、2013 年度前半にはアジア路線に就航予定だ。
足元では尖閣問題で中国と、竹島問題で韓国と、関係の緊張が続いている。 韓国線では大規模な予約取り消しなどは見られないが、中国線では日航や全日空で予約が鈍り、中国発のツアー客のキャンセルも相次ぐ。 エアアジアの岩片和行社長は 10 日の会見で、「今は難しい時期だ」と認めつつ、「長期的には国際線の成長性は国内より大きい」と期待を示した。
国土交通省によると、国際線の利用者を 00 年と 08 年で比べた場合、日本の伸びが年率 2.2% なのに対し、中国は同 20.5% 、韓国は同 8.0%。 今後も東南アジアも含め伸びが続くとみられる。 LCC は通常、多くの乗客を乗せようとするため座席の間隔が狭い。 保有する飛行機を少なくし、目いっぱい使い回すことで運航費用を抑えるため、1 機が故障などで遅れると「玉突き」の遅れや欠航につながりやすい。 利用者もそうした点を考慮し、判断する必要がある。 (asahi = 10-11-12)
国産ジェット旅客機 MRJ、受注好調 燃費の良さ高評価
三菱航空機が開発を進める初の国産小型ジェット旅客機「MRJ」の受注が好調だ。 主力市場である米国で原油価格が高騰。 燃費性能のよさがにわかに注目され、累計で 230 機を受注した。 ただ、設計の遅れなどから初飛行は当初より 1 年半遅れ。 「離陸」の遅れはこれ以上は許されない。
■ 目標「20 年 1,500 機」に上げる
「今後 20 年間の受注目標は、1,500 機。 これまで 1 千機としてきたが、もっと高い目標を掲げたい。」 三菱航空機の江川豪雄社長は 9 日、名古屋市で開幕した「2012 年国際航空宇宙展」の会場で、MRJ の精巧な模型を前に目標の引き上げを宣言した。 小型の航空機で地方都市間を効率的に結ぶ地域航空会社は、欧米で急成長している。 その中核を担う小型ジェット旅客機は、今後 20 年間で 5 千機の需要が見込まれる「ドル箱市場」だ。
欧州は債務危機で景気が低迷しているため、三菱航空機は北米を中心に MRJ の売り込みを推進。 1 機 4,200 万ドル(約 33 億円)と値は張るが、今年 7 月には米スカイウェスト社から 100 機、別の米地域航空会社からもすでに 100 機の受注を獲得している。
セールスポイントは、機内の広さ。 座席の幅は約 47 センチ。 競合機との差はわずか 1 - 4 センチだが、「数センチの差でも座ると違いに気づきます」と担当者は胸を張る。 さらに、追い風となっているのが、燃料である原油価格の高騰だ。 MRJ は、ライバルのボンバルディア社の CRJ、エンブラエル社の E ジェットと比べ、2 - 3 割ほど燃費が良い。
■ 開発の遅れに不安
ただ、不安も残る。 試験機の初飛行の時期は当初 2012 年 6 月まで、とされていた。 しかし、設計の遅れや部品をつくる三菱重工での検査体制の不備の発覚などで、13 年 10 - 12 月に延期した。 航空会社への初納入の時期も、15 年 6 - 8 月にずれ込んだ。
一方、ライバル機の CRJ は 1,666 機、E ジェットは 802 機が世界各国で納入済み。 実際の運航経験をもとに、機体の一部改良や、補修に必要な部品の準備などができる点が強みだ。 ボンバルディアの担当者は「うちは実績と信頼が売り」と強調する。 航空会社が航空機を選ぶ際、整備のしやすさや補修のための部品の円滑供給は重要な要素になる。 MRJ はこうした点での弱さが否めない。 (大内奏、asahi = 10-10-12)
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