成田の旅客数 29% 減 外国人の減り幅最大 3 月前年比

成田国際空港会社 (NAA) が 21 日に発表した 3 月の空港の運用状況(速報値)によると、東日本大震災や原発事故の影響で、旅客数は前年同月比 29% 減の約 217 万 5 千人となった。 とくに国際線の旅客約 204 万人のうち外国人は 34% 減の約 49 万人と、過去最大の落ち込み幅となった。

空港では、震災直後に出国する外国人が急増した一方、入国する外国人は激減した。 旅客数は、羽田空港の国際化以降、昨年 11 月から 5 カ月連続で前年同月を下回った。 森中小三郎社長は「お客様が増える増えないは、地震よりも原発事故(次第)に移っているので、一刻も早い安全宣言が出るよう期待する」と述べた。

貨物量も 3 月は同 17% 減の約 16 トンに落ち込み、5 カ月連続の減少となった。 給油量も、キャンセル便に加え航空会社が直行便を経由便に振り替えて経由地で給油するなどの動きがあったことから 22% 減の約 32 万キロリットルに落ち込んだ。 (asahi = 4-22-11)


九州新幹線、GW 中の予約が昨年比 2 倍

九州新幹線鹿児島ルート(博多 - 鹿児島中央)のゴールデンウイーク(28 日から 5 月 8 日)の指定席の予約数は 11 万 8 千席で、一部在来線だった前年同期の 2 倍になった。 この区間の指定席数が 2.4 倍になったため予約率は 5.3 ポイント低い 33.4% になった。 JR 九州が 15 日発表した。 東日本大震災で当初は乗客が伸び悩んだ九州新幹線だが、Jr は「客足は徐々に持ち直しつつある」とみている。

一方、九州内の在来線の予約数は長崎線が 2.1% 減の 4 万 7 千席、日豊線は 9.4% 減の 3 万 1 千席にとどまるなど低調だ。 博多発着の山陽新幹線の予約数も 1.9% 減の 32 万 8 千席だった。 高速道路では今年の連休も ETC の休日割引があるため、九州道は昨年並みの混雑になる見通しだ。 また、博多 - 韓国・釜山の高速船の予約は、韓国人客が激減したため 34.5% 減の 1 万 829 人になっている。 (土屋亮、asahi = 4-15-11)


全日空、燃油サーチャージ値上げへ 6 月から

全日本空輸は 14 日、国際線運賃に上乗せする燃油サーチャージを 6 - 7 月の発券分で値上げすると発表した。 燃料価格高騰のためで、4 - 5 月に比べ片道 1 千 - 7,500 円の値上げ。 路線別のサーチャージ(片道 1 人あたり)は、北米・欧州 2 万 5 千円、ハワイ 1 万 6 千円、中国 7 千円、韓国 2,500 円など。 (asahi = 4-14-11)


全日空系格安航空、来春から関西 - 福岡・新千歳・ソウル

全日本空輸が中心となって設立された格安航空会社 (LCC) の「A & F Aviation」は 13 日、拠点にする関西空港から来年 3 月に福岡、新千歳、同 5 月にソウル(仁川)を結ぶ路線で運航を始めると発表した。 国土交通省に同日、申請した。

運航当初はエアバスの小型機 A320 を 2 機使い、福岡線を 1 日 4 往復、新千歳線を同 3 往復、ソウル線を同 1 往復する。 関空から旅客数の多いこの 3 路線を手始めに、機材や路線を順次増やす予定という。 運賃は調整中で、新たなブランド名も 5 月中に発表する。

A & F は全日空や香港の投資会社、官民ファンドの産業革新機構が出資。 大手の半額程度のコストで、アジアの航空旅客を主に取り込む狙い。 ただ、東日本大震災の影響で訪日外国人客の低迷などが長引けば、今後の事業拡大にも影響が出そうだ。 (asahi = 4-13-11)


スカイマーク、格安成田発着便 980 円でキャンペーン

スカイマークは 12 日、成田空港を発着する新千歳、旭川、福岡、那覇の国内 4 路線を 11 月から来年 2 月にかけて順次開設すると発表した。 開設から 3 カ月間は 1 便あたり 20 席を片道 980 円の格安価格とし、同社初の成田便を売り込む。 事業計画説明会で西久保慎一社長が表明した。 いずれは函館、出雲、高松、徳島、石垣の 5 路線も開き、計 9 路線を運航する計画という。

全日本空輸が中心となった格安航空会社 (LCC) が関西空港を拠点にして今年度末にも運航するため、成田の割安な路線網を強化する狙い。 羽田から同じ路線に乗るより運賃体系を約 2 千円安くするという。 同社は 2014 年度をめどに国際線に参入し、超大型機「A380」で成田から欧米各地を結ぶ方針。 国内各地から成田路線を充実させることで、乗り継ぎ客をつかむ狙いもある。 (asahi = 4-12-11)


トヨタ、約 4 万円で車用充電器発売へ 家庭の電気代節約

トヨタ自動車は 8 日、来年の電気自動車 (EV) やプラグインハイブリッド車 (PHV) の投入にあわせて、家庭用電源から効率良く充電できる IT 機器「H2V マネジャー」を 4 万円程度で売り出す方針を明らかにした。

Home to Vehicle (家から車へ)を意味する H2V には提携を決めた米マイクロソフトと共同開発する次世代送電網(スマートグリッド)技術を活用する。 まず住宅と車、トヨタ本社(愛知県豊田市)のデータセンターを結んで、電力消費量などの情報をやりとりする。 電気代の安い時間帯に充電したり、ほかの家電製品の利用状況を踏まえて充電量を変えたりして、電気代を抑える。

トヨタの試算では PHV を導入すると、家庭の電力消費量は単純計算で約 1.5 倍に増えて、電気料金が膨らむ。 H2V を使えば、夜間電力の活用などで家庭の電気代が節約できる、という。 (伊沢友之、asahi = 4-9-11)


仙台空港、13 日から旅客便一部再開 国交相が発表

大畠章宏国土交通相は 8 日の閣議後の記者会見で、仙台空港の旅客便を 13 日から一部再開すると発表した。 全日本空輸と日本航空が同日から仙台 - 羽田を計 4 往復、仙台 - 大阪(伊丹)を 2 往復する臨時便を運航する。

仙台空港は東日本大震災と津波で壊滅的打撃を受けた。 完全復旧には時間がかかるものの、旅客ビルの一部を使えるよう復旧作業を急ぎ、当面、小型機(百数十席)を日中に計 6 往復飛ばせるメドがついた。 仙台空港の旅客便再開で、東北地方の全ての空港が利用できるようになる。 4 月末には東北新幹線も全線開通する見通しだ。 (asahi = 4-8-11)


京阪神の JR 間引き運転、回避へ 被災工場の部品にめど

JR 西日本は 6 日、京阪神の大阪環状線や大和路線など 6 路線で昼の時間帯(午前 9 時から午後 5 時ごろ)に 11 日から予定していた間引き運転を取りやめることを決めた。 モーターに電流を送って回転させるカーボン製の部品の工場が東日本大震災で被災したが、出荷のめどが立った。

日立化成工業(東京)の茨城県日立市の工場と、福島県浪江町の子会社工場が被災したが、日立の工場にカーボン本体の在庫が残っていた。 仕上げ作業をする浪江町の工場は福島第一原発の避難指示圏内にあり稼働できないが、作業分を他社に委託。 5 月中にも出荷できる見通しとなった。 2 日から始めた山陽線や紀勢線など京阪神以外での間引き運転も、近く通常に戻す。 (小河雅臣、asahi = 4-6-11)

◇ ◇ ◇

JR 西日本で昼の間引き運転 11 日からは京阪神でも

JR 西日本は 2 日、在来線の山陽線や紀勢線、北陸線など京阪神を除く一部区間で、昼の時間帯(午前 9 時から午後 5 時ごろ)を中心に、列車本数を減らす間引き運転を始めた。 東日本大震災で車両部品工場が被災し、電車のモーターに電流を送る消耗部品の調達が難しくなったため。主な対象区間で、運行本数を通常の 50 - 70% 程度に絞った。

紀勢線や和歌山線の運転本数が減る JR 和歌山駅では、運休を知らせる掲示板が置かれ、時刻表には運休となる電車の部分に白いシールが貼られた。 バトン部の練習に向かう途中という和歌山市の高校 2 年浜渦(はまうず)咲(さき)さん (16) は「(練習に)遅れてしまいそう。 自分には関係ないと思っていました。 でももっと困っている人たちがいるから。」

山陽方面から山陰などへの乗り換え口、岡山駅では、普通電車約 100 本が運休する。 岡山市中区の女性 (71) は「被害が大きい東日本に比べれば、これぐらい我慢しなきゃいけませんね」と話していた。 11 日からは京阪神の大阪環状線や大和路線など 6 路線にも対象を広げ、運行本数を 55 - 80% に間引く。 京阪神だけで 1 日約 3 万 5 千人に影響するとみている。 (asahi = 4-2-11)

◇ ◇ ◇

JR 西、4 月から一部路線で間引き運転 大震災の影響

JR 西日本は 23 日、東日本大震災の影響を受け、4 月 2 日から一部の在来線で、昼間の時間帯に限って運転本数を減らすと発表した。 原発事故と電力供給が制限されている影響で、福島、茨城両県にある車両部品メーカーが稼働せず、保守用部品の調達が困難になったことが原因。

本数を減らす主な路線は、▽ 北陸線(金沢 - 直江津)、▽ 紀勢線(和歌山 - 御坊)、▽ 山陰線(綾部 - 城崎温泉)、▽ 山陽線(岡山 - 下関)などで、それぞれ通常の 50% - 70% の運転本数となる。

さらに 4 月 11 日からは、京阪神エリアにも拡大し、大阪環状線や大和路線、おおさか東線、湖西線、山陰線(京都 - 園部)、奈良線の各路線で通常の 55% - 80% に運転本数を抑える。 間引き運転の期間は未定で、部品調達の見通しが立つまで続けるという。 (asahi = 3-23-11)


3 月の新車販売、前年比 35% 減 年度末商戦を直撃

3 月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は 43 万 7,599 台と、前年同月比で 35.1% 減った。 下落幅は、2008 年秋のリーマン・ショック以降で最大となった。

日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会が 1 日発表した。 エコカー補助金が打ち切られた影響で昨年 11 月にはリーマン・ショック後で最大の下げ幅(25.8% 減)を記録したが、今年 2 月は 12.4% 減まで縮小。 販売は上向く兆しを見せていた。 それが震災で一気に冷え込んだ。

特に軽を除いた新車は 37.0% 減の 27 万 9,389 台と、3 月としては過去最大の下落幅だった。 30 万台割れも 3 月としては 1974 年以来。 軽は 31.6% 減の 15 万 8,210 台だった。

震災は、年度末の商戦のまっただ中にあるディーラーを直撃した。 福島県内の日産自動車系の販売会社幹部は「震災前は前年を上回るペースだったが、月末には前年の 5 割程度になってしまった。 3 月はかき入れ時だけに厳しい」と話す。 津波で車を失った人が徐々に買い替えに訪れているが、メーカーの生産停止で品不足が続いている。

東北以外でも「購買意欲の冷え込みと、生産停止による品不足で販売が落ち込んだ。(自販連)」 メーカー各社は 4 月中旬以降に国内生産を本格的に再開するが、部品不足で生産台数は少ないままだ。 トヨタ自動車やホンダが新型車の発売を延期するなど、販売促進もできず、店頭に客足が戻るには時間がかかる。 4 月はさらに販売が落ち込む可能性が高い。 (西村宏治、asahi = 4-1-11)


東北・関東の高速、原発規制区間をのぞき復旧

国土交通省は 29 日、福島第一原発の事故の影響で通行止めになっている常磐道の一部区間(30 キロ)を除き、東北・関東各地の高速道路が通行できるようになったと発表した。 宮城県の三陸道と仙台東部道路の一部区間の通行規制が 30 日で解除される。

大型車の通行に限られていた三陸道の鳴瀬奥松島 - 登米東和の 45 キロ区間は 30 日午前 6 時、一般車も通行可能になる。 三陸道利府ジャンクション (JCT) と仙台東部道路仙台若林 JCT の間は、地震による損傷で下り線しか通行できなかったが、応急工事が完了。 30 日午後 2 時から上り線の通行止めが解除される。 一方、福島県の常磐道いわき中央 - 常磐富岡の 30 キロ区間は通行止めが続いている。 (asahi = 3-29-11)

◇ ◇ ◇

東北道、全車通行可能に PA 内の給油所には車列

東日本大震災の発生以降、通行が制限されていた東北道が 24 日午前 6 時から、一般車も全線を通れるようになった。 親族の支援や葬儀に向かう人、逆に被災地から避難する人 ・・・。 各地で多くの車が先を急いだ。 ガソリン不足が深刻な仙台市周辺では、パーキングエリア (PA) 内の給油所に車の列ができた。

宇都宮市の宇都宮インターチェンジでは規制解除前から 3 台の車が待っていた。 仕事先の横浜市から帰る青森県おいらせ町の男性 (65) は前日午後 7 時から並んだ。 ワゴン車の中で仮眠していた自営業の男性 (50) は仕事先の東京から仙台市の自宅へ。 家族や友人にトイレットペーパーや粉ミルク、紙おむつなどを届けるという。 震災後の帰宅は 3 回目で、発生当日は一般道で 17 時間かかった。 「これで早く行ける。」

午前 6 時を過ぎると、下り線には首都圏ナンバーの車が目立った。 栃木県那須町の那須高原サービスエリアにいた埼玉県八潮市の細江美代子さん (63) は宮城県石巻市に妹を迎えに行く。 携帯電話で連絡はついたが、心配でなかなか熟睡できない日が続いた。 再会は正月以来。 「早く会って安心したい」と話した。

宮城県名取市に住む両親と弟の家族に、食料やおむつなどを届けに向かう東京都豊島区の会社員阿部直樹さん (32) は 24 日午前 0 時ごろ自宅を出発した。 国道を北上し、朝 6 時の開通で郡山南インターから東北道に入った。 宮城県蔵王町の蔵王 PA で「時間が短縮できるので運転が楽です。」

仙台市の南にある宮城県村田町の菅生 PA。 福島市内の男性は幼い娘と妻を乗せ、盛岡市内の妻の実家に向かう途中だった。 「放射能の子どもへの影響が怖い。 盛岡も不便なようだけれど、妻も安心するので連れていくことにした。」と話した。

同 PA の給油所には朝から車が並んだ。 仙台市内に住む建設会社員の女性 (41) は上り線側で給油後、いったん高速道を降り、再び下り線側のスタンドへ。 制限があったが合計 33 リットル給油できた。 「家が山あいで、小さい子どもがいるので、何かあったときのためにガソリンは必要。 市内では前日から並ばないと手に入らない。」と話した。 (阿部峻介、上野創、緒方雄大、白井伸洋、asahi = 3-24-11)

◇ ◇ ◇

東北道、全線で大型車通行可能に 一般車も一部規制解除

東日本大震災の後、通行止めになっていた東北道が 22 日午前、大型車に限って、埼玉から青森までの全線で通行できるようになった。 普通車、軽自動車の一般車両も宇都宮 - 一関(岩手)の区間を除いて通行止めが解除された。

東北道は首都圏と東北地方を結ぶ大動脈で、震災前は 1 日平均 9 万台が通行していた。 震災直後は 3 千台前後に落ち込んだが、警察が 16 日に通行証の発行手続きを大幅に緩和して以降、急速に交通量が回復。 17 日以降は福島、栃木県境で 1 万台前後が通行している。 大型車の規制がなくなったことで、今後、陸路の物流ルートが徐々に正常化していくとみられる。

東北道は、震災翌日の 12 日には、警察が認めた緊急車両や物資輸送のトラックなどに限って通行できる緊急交通路に指定されていた。 (asahi = 3-22-11)

◇ ◇ ◇

常磐道の水戸 - いわき中央間、21 日通行止め解除

東日本大震災の後、一般車両の通行が禁止されていた常磐道の水戸 - いわき中央(福島)間は、21 日午前 10 時に通行止めが解除されることになった。 いわき中央 - 常磐富岡(同)間と、常磐道と連結する磐越道のいわき JCT - 津川(新潟)間の一般車両の通行止めは継続される。

常磐道は大地震翌日の 12 日に、自衛隊や消防などの緊急車両や物資輸送の車などだけが通れる緊急交通路に指定された。 すでに 16 日朝に三郷(埼玉) - 水戸間で、一般車両の通行止めが解除されており、21 日から首都圏と福島県いわき市は、高速道路での行き来ができるようになる。 (asahi = 3-20-11)


震災後の新幹線乗客数、前年比 29% 減 JR 東海

JR 東海は 29 日、東海道新幹線の乗客数が震災後の 11 - 28 日の間で前年より 29% 減り、3 月単月は前年より約 20% 減る見通しだと明らかにした。 1987 年の同社発足以来、下落幅が最も大きくなりそうだという。 震災後、出張や旅行を手控える動きが急増しているためで、山田佳臣社長は記者会見で「阪神大震災のときよりも谷は深い。 回復までは覚悟がいるだろう」と、影響が長引くとの見通しを示した。

同日発表した 2011 年度の設備投資額は、リニア中央新幹線の山梨実験線の延伸工事が本格化するため、10 年度計画比 280 億円増の 3,560 億円で過去最大となった。 地震対策で盛り込んでいる脱線防止装置の設置を予定より早めることも検討する。 (asahi = 3-29-11)


全日空、旅客数で日航超える 10 年度 国際線強化実る

2010 年度の旅客数(国際・国内計)で、02 年に経営統合した日本航空を全日本空輸が初めて上回る見通しとなった。 全日空は業界 2 位が「指定席」で、02 年度は約 1 千万人も下回っていた。

両社が発表した 1 月までの旅客数累計によると、全日空の 3,656 万 1,627 人に対し、日航は 3,626 万 5,150 人で、全日空が約 29 万人上回った。 日航が昨年 1 月の経営破綻後に路線撤退や機体小型化を進めた結果、旅客数は昨年 10 月以降、全日空が上回り続けている。 全日空は国際航空連合「スターアライアンス」に加盟して国際線を強化。 今秋以降は、同社が中心となって出資する国内初の格安航空会社も運航を始める。 (asahi = 3-10-11)


燃料電池バイクを日欧で販売へ スズキ、2015 年にも

スズキは、燃料電池で走るバイクを、2015 年をめどに日本や欧州で市販する方針を明らかにした。 すでに欧州連合 (EU) から、販売の認証を受けている。 燃料電池バイクは、排気量 125cc のスクーターを改造。 エンジンとガソリンタンクの代わりに、燃料電池と電気モーター、水素タンク、リチウムイオン電池を積む。 もとのスクーターの価格は 4 千ユーロ(46 万円)だが、燃料電池タイプは、その倍(92 万円)を下回る水準とする考えだ。

9 日、このバイクを披露した鈴木修会長は「二酸化炭素を出さない車の開発を今後も追究していく」と述べた。 燃料電池バイクは、空気中の酸素と、タンクの水素を燃料電池で反応させて電気をつくり、モーターを回して走る。 加速時はリチウムイオン電池に蓄えた電気も使う。 時速 30 キロで約 350 キロ走れる。 燃料電池本体からは水しか排出しない。 (金井和、asahi = 3-9-11)


軽くて強い、炭素繊維材の EV 1 分で成型 帝人が試作

帝人は 9 日、軽くて強い炭素繊維複合材 (CFRP) を骨格に使った電気自動車 (EV) の試作車を公開した。 5 分近くかかった骨格のプレス成型時間を、世界で初めて 1 分に短縮。 従来のスチール(鋼)製と同じ速さで、車全体を組み立てられるようにした。 車は軽いほど、同じエネルギーで長い距離を走れる。 CFRP は骨格の強度を保ちつつ、重さをスチール製の 5 分の 1 の 47 キロまで減らした。

従来の、熱で硬くなる樹脂でなく、熱で軟らかくなる樹脂を使うことで成型時間の大幅短縮に成功した。 1 分で成型できると、1 - 2 分で車が流れる自動車工場の生産ラインに、成型工程を無理なく組み込むことができる。 一般的に CFRP の価格はスチールの 20 - 30 倍程度。 ただし、強度が約 10 倍あり、使用量が少なくて済む。

そのため生産コスト増は実質的に数倍に抑えられ、帝人は「量産の規模次第でさらに引き下げられる」という。 帝人は今後 2 年ほどかけて改良を重ね、自動車や航空機メーカーに売り込む計画だ。 (福山崇、asahi = 3-9-11)


EV 参入へ海外メーカー虎視眈々 日本で実証試験開始

海外の自動車メーカーが相次いで日本で電気自動車 (EV) の実証試験を始めた。 EV は日本メーカーが世界に先駆けて量産化しており、海外メーカーも「先進地」日本への参入を目指す。

独 BMW は今月から、小型車「ミニ」を改造した EV を 14 台つくり、東京都内でモニターに使ってもらう実験を始めた。 1 回の充電で約 160 キロ走れるという。 BMW はニューヨークやロンドンで実験を行っており、各国で集めたデータをもとに、2013 年の発売を計画する。 同社の担当者は「日本でも EV を販売したい」と話す。

独ダイムラーは、2 人乗り小型車「スマート」の EV 10 台をモニターに使ってもらう実験を今月中に始める。 独フォルクスワーゲン (VW) は 1 月、浜松市で EV の実証試験を始めた。 各社とも将来の日本市場への EV 参入を検討しているが、充電設備が課題だという。 出先で使う急速充電器はまだ、各国・地域で規格が統一されておらず、海外メーカーの EV はそのままでは日本の急速充電器に対応できない場合が多い。

もっとも、「海外の実験では、日常の短距離移動だと、自宅での充電で十分との結果が出ている (BMW)」といい、日本でも主に家庭での充電を前提にした実験をする方針だ。 (金井和之、asahi = 3-6-11)


日産と独ダイムラー、高級車共同開発を検討 独紙報道

【ウォルフスブルク(ドイツ北部) = 山本知弘】 日産自動車と業務資本提携を結ぶ独ダイムラーが、高級乗用車の日産との共同開発を検討していることが明らかになった。 2 日付経済紙フィナンシャル・タイムズ独語版が報じた。

両社は中〜大型セダンを共同開発し、同じ工場で生産する。 2 年後をめどに発売することを検討している。 ダイムラーの開発責任者は同紙に「(共同開発について)我々は具体的に話し合っている」とコメントした。 共同開発車は、日産が海外向け高級ブランド「インフィニティ」で、ダイムラーは「メルセデス・ベンツ」ブランドで売るとみられる。 (asahi = 3-3-11)


日本勢、エコカー技術で EU へ攻勢 排ガス規制にらむ

【ジュネーブ = 山本知弘、有田哲文】 欧州有数の自動車見本市のジュネーブ国際自動車ショーが 1 日始まった。 欧州連合 (EU) の環境規制の強化を 2012 年に控え、日本メーカーはハイブリッド車 (HV) など得意の環境技術の売り込みに躍起だ。

トヨタ自動車は得意の HV の新型車を会場に並べた。 小型車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」は HV 版の試作車を公開。 来年半ば以降の発売を予定しており、発表した欧州トヨタのディディエ・ルロワ社長は 1 日の会見で「受け入れやすい価格で市場のリーダーになりたい」と強調した。

日欧で今春以降に発売する HV の 7 人乗りミニバン「プリウスプラス」も発表した。 従来の「プリウス」で使われるニッケル水素電池に比べて多くの電気をためられるリチウムイオン電池を載せた。 電池を小型化でき、室内を広く使える。

欧州市場で日本車は善戦しているとは言いがたい。 欧州自動車工業会によると、10 年のトヨタ自動車(レクサス含む)のシェアは前年より 0.3 ポイント減の 4.1%。 日産やマツダ、スズキも横ばいか低下した。 欧州で人気のディーゼルエンジン車の品ぞろえが少なく、円高で価格競争力も落ちている。 現代自動車など韓国メーカーの追い上げも急だ。

ただ、欧州では二酸化炭素の排出量を走行距離 1 キロあたり 130 グラム以下に抑える規制強化が 12 年から段階的に始まる。 15 年には完全実施が義務づけられており、HV や低燃費のガソリンエンジンに強い日本車が巻き返すチャンスとの期待がある。

三菱自動車は排気量 1 - 1.2 リットルの小型車「グローバルスモール」の試作車を発表。 新開発の無段変速機やアイドリングストップ機能を備え、二酸化炭素排出量を 1 キロあたり 90 グラム台に抑えた。 12 年からタイで生産を始め、日米欧や東南アジアで販売する。

マツダもスポーツ用多目的車 (SUV) の試作車「勢 (MINAGI)」を出展。 HV 並みに燃費を改善したエンジンなどマツダ独自の環境対応技術をアピールした。 日産自動車は、高級ブランド「インフィニティ」の HV を出展。 電気自動車 (EV) のスポーツカーも試作車を発表した。

欧州メーカーも脱「重厚」

安全だが、大きくて重厚。 そんなイメージの車では環境時代に対応できないと、欧州メーカーも HV や電気自動車 (EV) へ急速にかじを切っている。

「我々は新しい時代に向けて、正しい考えを持っている。」 独フォルクスワーゲンのビンターコルン会長は一連のイベントでそう強調。 まだ試作車の段階だが、EV のミニバン「ブリー」を発表した。 1 回の充電で 300 キロまで走れると説明、長距離でも十分使えるとした。 大幅に燃費が改善される SUV 「ティグアン」の改良モデルも示した。

独 BMW と仏プジョー・シトロエングループは自動車ショーにあわせ、HV に使う装置の共同開発を進めると発表した。 14 年以降、それぞれの車に使われるという。 スウェーデンのボルボも、外部から充電できるプラグインハイブリッド車 (PHV) の「V60 プラグイン」の販売を 12 年に始めるとしている。 二酸化炭素の排出量を基準の半分以下の 50 グラムに抑えるとする。 (asahi = 3-2-11)


トヨタが新スポーツカー「ハチロク」 富士重工と開発

【ジュネーブ = 山本知弘】 トヨタ自動車は 1 日開幕したジュネーブ国際自動車ショーで、富士重工業と共同開発中のスポーツカー「FT-86 II」の試作車を発表した。 富士重が得意とする水平対向エンジン(2 リットル)を搭載する後輪駆動式で、来春の発売予定だ。 走りを楽しめる車の魅力をアピールした。

「86 (ハチロク)」は、手頃なスポーツ車として伝説的な人気を誇る 1983 年発売の「カローラレビン」と「スプリンタートレノ」の共通車両型式「AE86」にちなむ名称。 08 年にトヨタが富士重との共同開発を発表した。

価格は 250 万円前後の見込み。 生産は富士重が担当し、トヨタと富士重が両社のブランドで発売する。 欧州トヨタ幹部は朝日新聞の取材に対し、「トヨタはハイブリッドだけではないことを証明できる」と話し、欧州でも来年半ば以降に販売を予定していることを明らかにした。 (asahi = 3-1-11)


ゼロスポーツが破産へ 日本郵便との EV 納入契約解除

電気自動車 (EV) ベンチャーの「ゼロスポーツ(岐阜県各務原市)」は 1 日、岐阜地裁に数日中に破産を申し立てる方針を明らかにした。 同社は昨年 8 月、郵便事業会社(JP 日本郵便)と約 1 千台の EV の売買契約を結んだが、納期に間に合わないとして契約を解除され、資金繰りに行き詰まった。

負債総額は約 11 億円。 従業員は残務処理の数人を除き、約 70 人が 1 日付で解雇された。 EV や自動車部品などの事業は、破産申し立て後に売却先を探すことになる。 同社によると、日本郵便と契約したのはエンジン車を改造した集配用 EV。 今年 1 月と 2 月に計 30 台、来年 2 月に 1 千台を納入予定だった。

ところが、改造用エンジン車のメーカー変更を余儀なくされて納期が遅れる可能性がでたため、1 月に契約解除の通知を受けた。 違約金 7 億円の支払いも求められたという。 銀行からは借入金の返済を求められ、資金繰りが悪化。 民事再生法による再建も検討したが、難しいと判断した。

岐阜市内で記者会見した中島徳至社長は「たいへん無念な思いでいっぱいです」と話した。 日本郵便広報室は「予定していた電気自動車が納入されない見通しになったため、契約不履行を理由に解除した」としている。 (asahi = 3-1-11)


EV カーシェア、短距離なら割安 東京・大阪で 1 日始動

自動車を会員同士で共同利用する「カーシェアリング」で、電気自動車 (EV) が利用できるようになる。 レンタカー大手のオリックス自動車が 1 日から、東京都の墨田、千代田、港、新宿、板橋区にある駐車場計 5 カ所にそれぞれ、日産自動車の「リーフ」か三菱自動車の「アイミーブ」を 1 台置く。 充電設備も設置する。 期間は 2 年の予定。 大阪府内でも 6 カ所でサービスを始める。

カーシェアは月会費に加えて、時間と距離に応じた料金がかかる。 EV は時間料金が 15 分 150 円で、距離料金は 1 キロ 30 円。 EV は主に短距離走行に向くため、ガソリン車の料金(15 分 200 円、1 キロ 15 円)より短時間・短距離で割安になるようにした。 オリックス自動車はこれまで、都内の一部住民向けに EV カーシェアの実験をしてきた。 今回、すべての会員にサービスを広げる。 (江渕崇、asahi = 2-28-11)


新幹線デザイン競う 「こまち」、「はやぶさ」華麗で快適

これまでにない華々しいデザインの新幹線が春以降、次々に走り始める。 機能一辺倒だった JR 各社だが、「乗ってみたい」と思わせる車両の開発に力を入れる。 有名デザイナーが手がけたり、日本の伝統技術を採り入れたりした車両もある。

上半分が「常盤(ときわ)グリーン」で下半分が「飛雲(ひうん)ホワイト」、中央のラインは「つつじピンク」。 3 月 5 日から東北新幹線を走る「はやぶさ」に使われる JR 東日本の新型車両 E5 系はカラフルなデザインが特徴だ。 新幹線は白やグレーを基調にしたものが大半だっただけに JR 他社を驚かせた。

「乗ってみたいと思わせる車両をつくることで、新たなファンを掘り起こしたかった。」 JR 東の遠藤知幸・新幹線車両グループリーダーは語る。 試験走行で、駅にいる女性客から「かわいい」と声があがるのを聞くのがうれしいという。

客席も工夫を凝らす。 背もたれ上部の枕部分を、新幹線の普通車では初めて可動式にした。 新幹線初のファーストクラス「グランクラス」も導入される。 担当者は「新幹線の車両開発は、『どうしたら多くの乗客を運べるか』から『どうしたら乗客に快適に過ごしてもらえるか』に変わった」と話す。 海外に売り込む新幹線の核となる車両なので、デザインを説明する英語版パンフレットも用意した。

「はやぶさ」の車両開発は、2013 年 3 月から連結して走る秋田新幹線「こまち」の後継車両 E6 系と並行した。 E6 系は秋田の「なまはげ」をイメージした赤が特徴。 イタリアの高級車フェラーリのデザインに携わった奥山清行さん (51) の監修で話題を呼ぶ。

「はやぶさ」の担当者は「こちらは著名なデザイナーがいない分、負けまいと頑張った」と話す。 JR 東の幹部は「双方の開発陣が乗客目線で競い合った。 どちらが優れているか、審判はお客さまに下してもらいます。」

山陽・九州新幹線では「みずほ」と「さくら」が 3 月 12 日にデビューする。 東海道・山陽新幹線の N700 系と形は変わらないが、純白の N700 系に対し、東アジア古来の青磁に着想を得た「白藍(しらあい)色」が売りだ。 曇りの日や朝夕は青みが増して見えるといい、JR 西日本と九州は「洗練された美を表現した。」 側面のラインは濃い藍色でスピード感を表現。ラインの一部に重ねた金色は漆器の蒔絵(まきえ)をイメージした。

こちらも「和のおもてなしの心」をテーマにした車内が自慢だ。 女性専用トイレや全身が映る三面鏡のあるパウダールーム、障害がある人向けの多機能トイレ、授乳や着替えに使える多目的室もある。 座席のテーブルや手すりには「桜調」と呼ぶ木材を使い、座り心地にもこだわった。

JR 西と九州の担当者がアイデアを持ち寄り、名古屋学芸大学教授の木村一男さん (76)、工業デザイナーの水戸岡鋭治さん (63) らが監修。 2 人は鉄道関連では世界唯一の国際デザイン賞「ブルネル賞」の常連だ。 JR 西と九州は「乗客の要望は多様になっている。 みんなが『これまでにない新幹線を』との思いで開発に当たった。 徹底的に議論を重ね、車内の隅々まで工夫を凝らすことができた。」と話す。

なぜ、新幹線のデザインは変わったのか。 デザイナーの水戸岡鋭治さんに聞いた。

- - 新幹線の内装に木材を使う意図は。

鉄道は車や飛行機よりエネルギー効率が良く、今や最も自然に優しい乗り物だ。 デザインでも環境への影響を考え、木材や和紙といった天然素材を可能な限り採り入れてきた。 耐久性ではアルミや石油製品に劣るのでかつての鉄道会社は使いたがらなかった。 だが、廃棄の際には一部だが自然にかえすことができる。 「つばめ」が成功し、鉄道会社も乗客にとって心地がいいのは天然素材だと気づいた。 木材や和紙は外国人旅行客に「日本」を PR できる。

- - 新幹線のデザインが変わってきた。

「みずほ」と「さくら」では色や形、素材すべてでアジアや世界を意識した。 東海道新幹線は何もしなくても客が乗るが、西へ行くほど乗車率は下がる。 列車に付加価値を付け、乗客を呼び込まないといけない。 ほかの新幹線でも、ハード面の条件をクリアした上で、地域性や時代についての表現を競い合うようになってきた。 (小林誠一、宮嶋加菜子、asahi = 2-19-11)

◇ ◇ ◇

新幹線で列島縦断ツアー 京都や温泉楽しむ 4 泊 5 日

九州新幹線の全線開通にあわせて、日本列島を新幹線で駆けるパック旅行を JTB 九州(福岡市)が 10 日発売する。 鹿児島から新青森まで 4 新幹線で 2,177 キロ、函館にも足を延ばす 4 泊 5 日は観光や温泉付き。 空路で戻る 20 万円超のぜいたくだ。

「日本縦断の旅 5 日間」。最南端の鹿児島中央発で新大阪直通の九州・山陽新幹線「さくら」に九州各駅から乗車。 東海道、東北の新幹線へと乗り継ぐ。 京都で 1 泊して古都を楽しみ、東京では帝国ホテルでくつろぐ。 青森では酸ケ湯(すかゆ)温泉で疲れを癒やし、特急で北海道・函館へ。 北の大地で 1 泊して羽田経由で福岡、北九州、熊本、鹿児島の各空港に戻る。

九州新幹線が全線開通する 3 月 12 日から 6 月末までに計 7 回設定した。 各回 20 人限定。 鹿児島中央発で 1 人 22 万 8 千円から。 申し込みは JTB 商品の取扱会社で。 全通記念として年配層の時間と財布を狙う。 JR 九州の同様の商品は発売 5 分ほどで売り切れたという。 (吉川啓一郎、asahi = 2-8-11)

◇ ◇ ◇

新幹線「はやぶさ」、春とともに北へ JR 東京駅で紹介

JR 東京駅で 3 日、東北新幹線に 3 月にデビューする最速列車「はやぶさ」の紹介イベントが始まった。 6 日まで。 今後、新青森駅まで沿線を「北上」していく。 はやぶさは、東京 - 新青森を最速 3 時間 10 分で結ぶ。 イベントでは、新幹線初となる「グランクラス」の豪華客席も用意され、座り心地を体感できる。

デビュー前の試乗会には定員の 56 倍の 24 万 6 千人が応募。 5 日から乗車券も発売される。 JR 東は「桜前線は遠いが、この熱気で一足早く春の喜びを知らせたい。」 (asahi = 2-4-11)