ベトナムの小頭症、ジカ熱が原因 東南アジアで初の確認

ベトナムでジカウイルス感染症(ジカ熱)と新生児の小頭症との関連を確かめたとする論文を長崎大学の研究チームがまとめた。 東南アジア地域でのジカ熱が原因とみられる小頭症について、診断データをもとに論文報告されるのは初めてという。 英医学誌ランセット・インフェクシャス・ディジージーズ(電子版)に 20 日、掲載された。 ジカ熱は蚊が媒介して感染が広がる。 研究チームによると、ベトナムでは昨年から感染者が増え、今年 3 月までに約 230 人の感染が確認された。 ベトナムから日本に渡航した人の感染も確認されている。

研究チームは、ベトナム中部ダクラク省で昨年 6 月に生まれた小頭症児やその母親、家族から採血し、感染を確認。 近くに住む 17 人からも採血したところ 2 人が陽性で、地域流行が確かめられた。 小頭症児の脳の CT 画像や母親が妊娠中期に発熱や発疹の症状があったことから、小頭症がジカウイルスによるものだと結論づけた。 東南アジアではタイでジカ熱が原因とみられる小頭症が報告されていた。

論文をまとめた長崎大学熱帯医学研究所のモイ・メンリン准教授(ウイルス学)は「東南アジアでもジカ熱による小頭症児の出生が確かめられた。 渡航者の蚊よけや、妊娠予定のある人は流行国への渡航を控えるなどの対策をとってほしい。」と話している。 (小川裕介、asahi = 7-20-17)



米 CDC、ジカ熱リスクで東南アジア 11 カ国への妊婦渡航回避勧告

米疾病対策センター (CDC) は 29 日、東南アジア 11 カ国でジカ熱感染のリスクが発生しているとして、妊婦は不要の渡航を見送るよう勧告した。 対象は、ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、モルディブ、フィリピン、タイ、東ティモール、ベトナムの 11 カ国。 CDC は、今回はブラジルやシンガポールに対して発表している「渡航注意」形式の警告は行っていないが、感染が流行レベルに達すればそうした発表を検討するとしている。

これまでに CDC が感染拡大中として妊婦の渡航回避を勧告しているのは、約 60 カ国・地域。 CDC は声明で、ジカ熱の被害が最も深刻な中南米・カリブ地域の一部とは異なり、東南アジアには長年ジカウイルスが存在していると指摘。 同地域では(ジカ熱は)風土病と言えるもので、現地に住む人々には免疫がある可能性が高いと説明した。 (Reuters = 9-30-16)


ジカ熱、東南アジアでも流行拡大 各国で「国内」感染例

中南米で流行するジカウイルス感染症(ジカ熱)が東南アジアでも広がり始めた。 8 月下旬に初の国内感染が確認されたシンガポールでは感染者が 270 人を超え、マレーシアでも初めて国内感染が確認された。 ジカウイルスを媒介するネッタイシマ蚊は東南アジアに多く生息するだけに、各国が警戒を強めている。

8 月 27 日に初の国内感染者が出たシンガポール。 6 日までの 11 日間で感染者数は計 275 人に達した。 保健当局は感染者が住む地区を中心に蚊の駆除作業を続けているが、拡大を抑え込むには至っていない。 今月 3 日にはマレーシア保健省も、海外への渡航歴がない男性がジカ熱に感染していたと発表。 初めての国内感染例となった。

フィリピン保健省も 5 日、今年初めてとなるジカ熱感染者を確認。 患者の 40 代女性は渡航歴がないことから国内感染が疑われている。 ベトナムでも今年、3 人のジカ熱感染が報告された。 (シンガポール = 都留悦史、ビエンチャン = 大野良祐、asahi = 9-6-16)


シンガポールでジカ熱国内感染 41 例確認、今後増加の見込み

[シンガポール] シンガポールは、外国人の建設作業員を中心に 41 例のジカ熱国内感染を確認したと明らかにし、今後感染例はさらに増加するとの見通しを示した。 保健・環境当局は声明を発表し、感染者のうち 7 人を除いて全員が全快したと述べた。 7 人はまだ入院中という。 最初の国内感染例は 27 日、南東部在住のマレーシア人女性 (47) だった。 全感染者にジカ熱感染地域への最近の渡航歴がなかったため、声明は「このことは国内感染の発生を示している」と述べた。

さらに「一部の陽性反応者は他地域在住・在勤で、コミュニティ間の感染拡大の可能性が否定できず、今後感染例が増えるだろう」と述べた。 政府は 28 日午前、居住地域を中心に環境当局職員 200 人を展開し、蚊の繁殖を防ぐため下水の掃除や殺虫剤の散布を行ったという。 (Reuters = 8-29-16)


フロリダ州でジカ熱感染が新たに 10 人、妊婦は訪問控えるよう勧告

[シカゴ/ニューヨーク] 米疾病対策センター (CDC) は 1 日、フロリダ州で新たに 10 人のジカ熱への感染者が確認されたと発表し、妊娠中の女性はマイアミ市の一部地域に近寄らないよう勧告を出した。 いずれも同地で蚊に刺されたことによる感染とみられ、感染者はこれで 14 人となった。 同州は、先月初め、同地に生息する蚊が感染を媒介したと疑われる症例が初めて見つかってから独自に調査を行っており、今回、スコット知事の要請を受け CDC は特別調査チームを派遣した。 ただ、現在のところ、感染が広範囲に拡大する兆しは見られないという。 (Reuters = 8-2-16)


米国内の蚊からジカウイルス感染 米本土で初

米フロリダ州の保健当局は 29 日、同州のマイアミデード郡とブロウォード郡の住民 4 人が蚊の媒介によりジカウイルスに感染したと発表した。 米本土で蚊からジカウイルスが感染した例が確認されたのは初めて。 4 人の身元は明らかにされていないが、入院が必要なほどの症状は示していないという。 保健当局は声明で、「捕獲した蚊の中にジカウイルスの陽性反応を示した個体はないが、患者らはこの地域に生息する蚊から感染したようだ」と述べた。 米疾病対策センター (CDC) のトム・フリーデン所長は同日、「全ての証拠を検討したところ、今回の件は数週間前に蚊が媒介して起こった感染であることが示された」と述べた。

当局者らは、感染はマイアミ中心部の北側にある狭い地域に限定されているとみている。 ただ地元や州、国の保健当局者は、感染の広がりを確認するため、住民を個別に訪問して尿サンプルの提出を求めるなどの調査を続けている。 新たな感染例が出てくることも予想される。 ジカウイルスに感染しても 8 割の人には症状が現れず、自身の感染に気づかないケースもある。 発症した場合、発熱や発疹、関節の痛み、目の充血などが見られ、数日から 1 週間ほど症状が続く。 治療法や予防ワクチンはない。

現時点でフロリダ州のジカウイルス感染者は 386 人。 うち 55 人を妊婦が占める。 感染者が最も多いのはマイアミデード郡で 99 人、続いてブロウォード郡が 55 人となっている。 ジカウイルスへの感染発生は、60 を超える国と地域で報告されている。 米国の保健当局者は以前から、国内の蚊による感染が起きる可能性を警告していた。 ただ、米自治領プエルトリコや米州大陸の広い地域で見られるような大規模流行につながる見込みは少ないとしている。 (CNN = 7-30-16)


フロリダのジカ熱、米国本土で蚊を媒介した初の感染例か

米メディアによると、ジカウイルス感染症(ジカ熱)を発症したフロリダ州南部の女性が、地元で蚊に刺されたことでウイルス感染した疑いが強まっている。 米国本土内で蚊を媒介にした感染例はこれまで報告されておらず、今後、感染が広まる可能性がある。

女性は流行地の中南米などへの最近の渡航歴はなく、性交渉による二次感染の可能性も低いという。 米国本土とハワイでは 1,300 人以上の感染が確認されているが、ほとんどが中南米への渡航者だった。 AP 通信によると、女性が住むフロリダ州マイアミ・デイド郡では州内で最も多い 89 人の感染者が確認されていたが、いずれも南米などに渡航して現地でウイルス感染したとみられている。 オバマ大統領は 20 日、フロリダ州のスコット知事と電話で話し、引き続き州政府と協力して対策に取り組むことなどを確認した。 (ワシントン = 小林哲、asahi = 7-21-16)


ジカ熱、感染に新経路か 米ユタ州、患者を看護

【ワシントン】 米疾病対策センター (CDC) は 18 日、蚊の媒介や性交渉といった感染経路以外で、ジカ熱に感染した可能性がある患者がユタ州で見つかったと発表した。 ジカ熱に感染し 6 月に死亡した高齢者の親戚で、看護をしていたという。 この患者は流行地域への渡航歴はなく、感染者との性交渉もなかった。 死亡した高齢者は流行地域に滞在したことがあり、通常の感染者と比べ 10 万倍以上の量のウイルスが血液から検出された。 CDC は「性交渉以外で人から人へ直接感染する例があるのかどうか分からず、調査を続ける」としている。 2 人の居住地域は標高が高く、ウイルスを媒介する蚊はほとんどいないとみられる。 (kyodo = 7-19-16)


ジカ熱、女性から男性に性交渉で感染 CDC が初確認

米疾病対策センター (CDC) は 15 日、中南米などで流行中のジカウイルス感染症(ジカ熱)について、性交渉で女性から男性に感染した例を初めて確認したと発表した。 これまで性交渉での感染は、男性からしか確認されていなかった。

CDC によると、ジカ熱の流行地域から米ニューヨークに帰国した女性が、その日にパートナーの男性とコンドームなしで性交渉をした。 女性は翌日に発熱などを訴え、男性も 1 週間後に同様の症状を訴えて、いずれもジカ熱と診断された。 男性は最近、ジカ熱の流行地域に行ったことはなく、蚊に刺された覚えもなかったという。 CDC は、流行地域から帰国した男性に性交渉の際にはコンドームを使うことを勧めていたが、女性からも感染する可能性があると注意を呼びかけている。 (asahi = 7-16-16)


ジカ熱、欧州でも感染拡大の可能性 = WHO

[ロンドン] 世界保健機関 (WHO) 欧州地域事務局は 18 日、中南米で拡大しているジカ熱について、気温上昇とともに欧州でも感染が拡大する可能性がある、との報告書を発表した。 欧州でのジカ熱流行の可能性は全体では「中程度または低い」で、リスクが最も高いのは、ジカウイルスを媒介するネッタイシマカが生息するポルトガル領マデイラ島や黒海北東部沿岸という。 ただ対策を講じなければ、欧州 18 カ国で感染リスクが「中程度」になるとしている。

一方、36 カ国ではネッタイシマカが生息していないほか、気温が繁殖に適さないことから、感染リスクは低い、または極めて低いという。 リスク分析に際して WHO は、媒介するカの生息の有無、生息に適した気候かどうか、過去のデング熱とチクングニア熱の感染歴、航空機や船舶による接点、人口密度、都市化の度合い、初期の感染対策能力などを考慮した。 (Reuters = 5-19-16)


ジカ熱と小頭症の関連を確認 マウスへの感染実験で

中南米で流行するジカウイルス感染症(ジカ熱)について、妊婦から生まれた赤ちゃんで小頭症などの異常が起きることを、ブラジルと米国の研究チームがマウスへの感染実験で確かめた。 11 日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に速報する。 ジカ熱と脳障害との関連を直接的に示した初めての動物実験結果だという。

ブラジルではジカ熱に感染した妊婦から極端に頭の小さい小頭症の子が生まれるケースが相次いでいる。 米疾病対策センター (CDC) はウイルス感染が小頭症の原因とする見解を発表したが、直接的な証拠ははっきりしていなかった。 研究チームは、妊娠した二つの系統のマウスにジカウイルスを注射で感染させ、生まれた子を調べた。 一つの系統のマウスの赤ちゃんは胎盤を通じてウイルスに感染。 体重や大脳皮質の厚さが通常の半分になるなど、様々な発育不全を示した。 脳内でウイルスが集中して確認された。 (松本千聖、asahi = 5-12-16)


ジカ熱と小頭症、因果関係を確認 米 CDC

米疾病対策センター (CDC) は 13 日、蚊が媒介する感染症ジカ熱のウイルスが、新生児の小頭症など先天性疾患の原因となっていることを確認したと発表した。 CDC のフリーデン所長は、「この研究結果はジカ熱の流行における転機になる。 同ウイルスが小頭症を引き起こしていることがはっきりした。」と言明した。

脳が未発達になる小頭症について CDC ではこれまで、妊婦のウイルス感染が関係している可能性が大きいとしながらも、さらに詳しい研究を行わなければ断定はできないとしていた。 しかしあらゆる証拠を調べた結果、因果関係を裏付けるための 2 つの基準を満たしたと CDC は説明。 妊娠中にジカウイルスに感染した女性の子どもに小頭症が増えている現象についても、ほかに説明できる理由がないと指摘した。

世界保健機関 (WHO) ではジカウイルスについて、ギラン・バレー症候群の原因にもなると発表していた。 しかし CDC では、ギラン・バレー症候群との関係についてはまだ断定できないとした。 WHO によれば、ジカ熱との関連が疑われる小頭症などの先天性疾患の症例は、6 カ国で 1,000 例以上報告されている。 ただ、まだ解明されていないことも多い。 母親が妊娠中にジカ熱に感染しても、すべての子どもに先天性疾患が生じるとは限らない。 また、妊娠中の特定の段階で感染すると危険が高まるのかどうかも分かっていない。

フリーデン所長は「蚊に刺されただけでこれほど壊滅的な結果を招く状況は歴史上も前例がない」と指摘。 CDC ではこれまで通り、蚊に刺されないようにする対策の徹底を促している。 (CNN = 4-14-16)


ジカ感染の脳、40% 縮小 ブラジルの研究グループ実験

中南米で流行するジカウイルスの感染が脳組織の成長を妨げることを、ブラジルの研究グループが iPS 細胞を使った実験で確かめた。 ブラジルでは、ジカウイルスに感染した妊婦から、脳の発育不全で頭が極端に小さい小頭症の子が生まれるケースが多数報告されている。 研究グループは「ジカウイルス感染と小頭症の増加の関連をより強める結果」としている。

米科学誌サイエンス(電子版)に 11 日発表された論文によると、研究グループは、ヒトの iPS 細胞から脳の組織を作り、ジカウイルスに感染させ、成長にどのような影響が出るかを調べた。 ウイルス感染から 11 日後では、感染させなかった脳の組織に比べて大きさが 40% 小さかった。 (南宏美、asahi = 4-11-16)


ジカウイルス、胎児の体内で増殖し妊婦からも長期に検出

小頭症などとの関連が疑われるジカウイルス感染症(ジカ熱)について、フィンランドの研究チームは 3 月 31 日、ウイルスが胎児の体内で増え、妊婦の体からも従来考えられていたより長期間にわたって検出されたとする研究結果を米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(電子版)で報告した。

ジカウイルスは、感染後約 1 週間は血液から検出されることが知られていたが、その後はよくわかっていなかった。 チームが、2015 年 11 月に中米で妊娠 11 週で感染したフィンランド人の 33 歳の妊婦と胎児を調べたところ、妊娠 21 週で中絶するまでウイルスが検出され続けた。 胎児の体内や胎盤で増殖した結果、妊婦の血液からも継続的に検出されたとみている。

また、胎児の脳で見つかったウイルスだけが感染力を持ち、量が他の臓器より多いこともわかった。 東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は「ウイルスが脳で相当の勢いで増殖していることが示された。 小頭症との関連をより明確にしたという点で大きな意義がある」と話す。 (南宏美、asahi = 4-1-16)


ジカ熱、妊娠 4 カ月が危険? - 小頭症の発症

【ワシントン】 ジカ熱に感染した妊婦から小頭症の子どもが生まれたのは、妊婦が妊娠 4 カ月前後に発症したことと関係が深そうだとする研究成果を、英オックスフォード大などのチームが 25 日付の米科学誌サイエンスに発表した。 チームは、2015 年 11 月から 16 年 1 月にブラジルで報告され、妊婦のジカ熱感染で赤ちゃんが小頭症になったとみられる 1,118 のケースを分析。 すると妊娠 17 週目ごろに発症した場合は小頭症の危険が高いことが分かった。 ただ「因果関係はまだ分からない」としている。 (kyodo = 3-25-16)


神奈川の女性、ジカ熱と診断 ブラジルから帰国、3 人目

厚生労働省は 22 日、ブラジルから帰国した神奈川県の女性がジカウイルス感染症(ジカ熱)と診断されたと発表した。 ブラジルで感染したとみられるという。 中南米で流行が始まった昨年以降、日本で患者が確認されたのは 3 人目。 厚労省は、女性が公表を望んでいないなどとして、年齢や妊娠の有無は明らかにしなかった。

厚労省によると、女性はブラジルに 3 週間ほど滞在し、今月上旬に帰国した。 関節痛や発疹が出て、15 日に医療機関を受診。 疑い例として自治体に報告され、22 日に国立感染症研究所の検査で感染が確認された。 現在、症状は治まっているという。 厚労省は、現在はウイルスを媒介する蚊の活動期ではないため、国内で感染が広がる可能性は低いとしている。 (asahi = 3-22-16)


韓国、初の「ジカ熱」感染を確認 ブラジル渡航歴

[ソウル] 韓国の疾病管理本部は 22 日、蚊が媒介する感染症「ジカ熱」で国内初の感染例が確認されたと発表した。 感染したのはブラジル渡航歴のある 43 歳の男性。 世界保健機関 (WHO) は 2 月 1 日、ジカ熱の流行が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態にあたると宣言。 中南米を中心に感染が拡大しているジカ熱は、妊婦が感染すると先天的に頭部が小さい「小頭症」の新生児が生まれる疑いがあることが指摘されている。 (Reuters = 3-22-16)


ジカ熱の感染力「デング熱と同等」 東大研究者ら推計

南米で広がるジカウイルス感染症(ジカ熱)の感染力は、デング熱と同程度とみられるとの推計結果を東京大の西浦博・准教授(理論疫学)らのチームが国際感染症学会誌(電子版)に発表した。 ジカ熱は主に、蚊が感染者の血液を吸って別の人を刺すことで感染が広がる。 2007 年にジカ熱が流行したミクロネシア連邦ヤップ島の患者 108 人のデータで、感染力の指標となる患者 1 人から新たに何人の感染者が出ているかを推計したところ、4.3 - 5.8 と出た。 13 - 14 年に流行したフランス領ポリネシアの患者 8,581 人では 1.8 - 2.0 と出た。

1 を超えると流行拡大の目安となり、季節性インフルエンザでは 1.3 程度。 14 年夏に東京を中心に約 160 人が感染したデング熱の流行では 4.3 だったという。 デング熱の数値はおおむね 1 - 4 で、ジカ熱の熱帯地域での感染力はデング熱と同程度と言えるという。 西浦さんは、今回の推計をもとに「ジカ熱のワクチンが開発され、人口の 80% が接種すれば大規模な流行は抑えられると期待できる」としている。 (南宏美、asahi = 3-4-16)


ジカ熱、川崎の 10 代男性感染 緊急宣言以降で国内初

厚生労働省と川崎市は 25 日、ブラジルに滞在歴のある市内の 10 代の男性がジカウイルス感染症(ジカ熱)と診断されたと発表した。 国内で感染が確認されたのは、世界保健機関 (WHO) が 2 月 1 日に緊急事態を宣言して以降では初めて。 男性はブラジルで感染したとみられるという。 厚労省によると、男性は今月 9 日から 20 日までブラジルに滞在。 20 日に発熱し、22 日に発疹の症状が出た。 24 日に神奈川県内の医療機関を受診した後、国立感染症研究所による検査で感染が確定した。 現在は自宅で療養している。 すでに熱は下がり、状態は安定しているという。

男性と一緒に旅行した人や家族については、厚労省は必要があれば今後、健康状態などを聞き取る。 念のため検査も実施し、感染の有無を確認する。 ジカ熱が国内で確認されたのはこれで 4 例目。 これまでの 3 例はいずれも海外で感染していた。 ジカ熱は主に、蚊が感染者からウイルスを含んだ血液を吸い、別の人を刺すことで感染が広がる。 8 割は症状が出ないとされる。 ただ、妊婦が感染すると、小頭症の子どもが生まれる可能性が指摘されている。 海外では性行為で感染したと疑われる報告もある。

厚労省は今月、ジカ熱を感染症法の「4 類感染症」に指定、患者を診察した場合はすべて保健所に報告することを医師に義務付けた。 (asahi = 2-25-16)


米国でジカ熱、性交渉で感染か 国内初の二次感染

米テキサス州ダラス郡の保健当局は 2 日、中南米などで感染が広がるジカ熱に現地で感染し、米国に帰国した発症者と性交渉した相手にウイルス感染が確認されたと発表した。 発症などの詳しい状況は明らかにしていない。 米メディアによると、性交渉の相手は感染地に渡航しておらず、米国内でジカ熱の人から人への二次感染が確認されたのは初めてという。

米疾病対策センター (CDC) によると、ジカ熱は、蚊を媒介にして感染が広がるが、輸血や性交渉でも感染する可能性がある。 中南米でジカ熱が流行し始めた 2015 年以降、米国でジカ熱の発症が確認されたのは 31 人(1 月 28 日時点)。 いずれも渡航先で感染していた。 ほとんどの患者は軽症という。 ジカ熱をめぐっては、ブラジルなどで妊娠中に発症した女性から、脳の発達が不十分な「小頭症」の赤ちゃんが生まれることが相次いでいる。 世界保健機関 (WHO) は 1 日、小頭症との関連を重くみて緊急事態を宣言した。 (ワシントン = 小林哲、asahi = 2-3-16)


WHO、ジカ熱急拡大で緊急事態宣言 国際的な対応必要

世界保健機関 (WHO) は 1 日、南米と北米の両大陸で感染症「ジカ熱」が急拡大しているとして、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言した。 WHO のチャン事務局長は同日の会見で、「(ジカ熱の)監視体制の改善や、診断法やワクチンの開発推進などには協調的で国際的な対応が必要だ」と訴えた。

ジカ熱は、ネッタイシマカがジカウイルスを媒介して広まる感染症。 妊婦が感染すると、脳の発達が不十分な「小頭症」の新生児が生まれる疑いが出ている。 特にブラジルで小頭症の疑いがある新生児は 4 千人近くに上っている。 WHO が同様の緊急事態宣言を出すのは、エボラ出血熱の大流行に伴う 2014 年 8 月の宣言以来となる。 WHO は先週、「ジカ熱」の感染者が今後 1 年間で「300 万から 400 万人」と爆発的に増加する可能性を警告していた。 (ジュネーブ = 松尾一郎、asahi = 2-2-16)


中南米渡航、妊婦はご注意 ジカ熱流行、小頭症と関連か

蚊が媒介する感染症「ジカ熱」が中南米地域で流行していることを受け、厚生労働省は 21 日、全国の検疫所を通じて渡航者らに注意を呼びかけ始めた。 先天的に頭が小さい「小頭症」の新生児がブラジルで昨年 10 月以降 3 千人以上報告されており、ジカウイルスとの関連が指摘されている。 妊娠中の女性は渡航を控えるようすすめている。 渡航する場合は、長袖、長ズボンを着用するなど、蚊に刺されない対策をとることが重要という。

ジカ熱は、発熱や頭痛、関節痛などの症状があるが、通常は症状は軽く、特別な治療は必要ないことが多いという。 ワクチンはない。 日本での感染報告はないが、2013 年以降 3 人が海外で感染し、帰国後に発症している。 米疾病対策センター (CDC) によると、流行地域(15 日時点)はブラジル、コロンビア、グアテマラ、メキシコ、パラグアイ、プエルトリコなど。 (福宮智代、asahi = 1-21-16)