COP21、議長が新枠組み最終合意案の概要を説明

パリで開催中の国連気候変動枠組み条約の第 21 回締約国会議 (COP21) で、議長のファビウス仏外相は 12 日、2020 年以降の新たな温暖化対策の枠組みを決める最終合意案の概要を説明した。 史上初めて、すべての国が温室効果ガスの削減に参加する枠組みの誕生に期待がかかる。 12 日昼(日本時間午後 8 時)から開かれた閣僚級会合には、ファビウス氏のほか、フランスのオランド大統領と国連の潘基文(パンギムン)事務総長も出席した。 最終合意案は、法的拘束力のある文書と、政治決議である「COP 決定」文書からなる。

ファビウス氏が合意案の説明を終えると、会場全体から拍手が起き、40 秒以上続いた。 最後まで焦点になっていた先進国から途上国への資金支援は、20 年以降 1 千億ドルを下限に積み増すことや、25 年までに新たな支援額の目標を示すことなどが COP 決定に盛り込まれた。 先進国と途上国の取り組みの差については、これまで「先進国/途上国」の二分論を表すことに使われていた、条約の原則「共通だが差異ある責任」に、「異なる国情に合わせた」との文言を加えることで、二分論をあいまいにすることにする。 (パリ = 香取啓介、asahi = 12-12-15)

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COP21 : 島しょ国「拘束力」訴え 海面上昇「我々は崖っ縁」

【パリ 渡辺諒、賀有勇】 国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議 (COP21) は 11 月 30 日、各国首脳による演説が行われた。 地球温暖化による海面上昇の危機に直面するツバルやキリバスなど、太平洋の島しょ国の首脳らは「我々は崖っ縁にいる」などと述べ、温室効果ガスの削減目標に法的拘束力を持たせるよう提案した。 COP21 では合意文書作成に向け、「拘束力」の中身をどこまで盛り込むかが課題になるが、こうした小国も交渉を前進させる原動力になっている。

南太平洋の島国ツバルのソポアンガ首相は「気温がこれ以上、上昇すれば、国の完全な最期を意味する。 我々はまさに崖っ縁に立っている。」と危機的な状況を説明。 「国の生き残りは、この会議の行方にかかっている」と述べ、法的拘束力の必要性を強調した。 ナウルのワガ大統領も「気候変動で最初の犠牲になるのは小さな島国だ」と訴えた。 ツバルやマーシャル諸島、フィジーといった太平洋の島国では、温暖化による海面上昇で国土が消失する恐れだけでなく、飲み水に海水が混じるなど、生命にかかわる危機に脅かされている。 将来的には「気候難民」が相次ぐことも懸念される。

こうした国々は、オブザーバーを含め 44 カ国で「AOSIS」と呼ばれる小島しょ国連合グループを作り、温暖化交渉に臨む。 議長国フランスやドイツ、中国、ロシアなど主要国首脳も「拘束力のある合意」を訴えたが、中身については各国で思惑が異なる。 フランスのファビウス外相は 30 日、「首脳が協議するために集まってくれたこと自体が一つの成功。 世界がパリの合意を期待している。」と初日の会議を締めくくったが、12 月 11 日までの会期中に各国がどこまで歩み寄れるかが成否を握りそうだ。 (mainichi = 12-1-15)

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クリーンエネルギー開発促進へ、ビル・ゲイツ氏が基金創設

ニューヨーク : 米マイクロソフト共同創業者で慈善事業家のビル・ゲイツ氏が、パリで開幕した国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議 (COP21) の場で、クリーンエネルギーの開発促進を目指す基金の創設を発表する。 同基金には各国政府や世界の富豪、ハイテク大手の経営者らが多額の出資を表明している。

ゲイツ氏の新プロジェクト「ブレークスルー・エネルギー・コアリション」は、オバマ米大統領やフランスのオランド大統領と共に発表予定。 各国の政府機関や投資ファンド、企業経営者など 20 あまりの組織や個人が出資する見通し。 中国の電子商取引大手アリババのジャック・マー最高経営責任者 (CEO) や、米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ CEO、米ヒューレット・パッカード (HP) のメグ・ホイットマン CEO、英ヴァージングループを率いる富豪リチャード・ブランソン氏らハイテク大手の経営者が名を連ねる。

さらに十数カ国の政府が、今後 5 年で二酸化炭素を排出しないエネルギー開発のための予算を倍増すると表明した。 「風力や太陽光など再生可能エネルギーは大きな進歩を遂げ、未来の二酸化炭素排出ゼロへ向けた可能性が開けている。 だがその変化の規模を考えると、さまざまな道を模索する必要があり、新たなアプローチを発明する必要も生じる」とゲイツ氏は指摘する。 「そうしたエネルギーへの突破口は民間企業が開くだろう。 だがその基礎となる研究への資金提供は政府にしかできない。」とも強調した。

同基金では、クリーンエネルギーの大規模生産につながる有望なプロジェクトに多額を出資。 発電および電力の貯蔵、輸送、産業利用、農業、エネルギー効率を高めるプロジェクトの 5 分野について重点的な支援を行う。 例えば「フロー電池」など、現在の電池技術よりも有望な新しい電池の研究はもっと推進する必要があるとゲイツ氏は指摘。 世界の気温の上昇を 2 度以内に抑えることで地球温暖化を防止しながら、新しいクリーンエネルギー技術の開発促進を目指すとした。

化石燃料への依存度を減らせば、世界経済にも多大な恩恵をもたらすと同氏は述べ、「さらに数百万人の貧困からの脱出や自給自足を支援でき、エネルギー価格の安定化にもつながる」と説いている。 (CNN = 11-30-15)


省エネ規制、サービス業にも拡大 経産省が方針案

経済産業省は 9 日、製造業の大部分で導入している省エネ規制を、来年度からコンビニやホテルなどのサービス業に広げていく方針案を有識者会合に示した。 消費電力の少ない LED 照明や、エネルギー効率の高い空調などへの切り替えを促し、環境対策と投資促進を両立させる狙いだ。 方針案は、企業が使うエネルギー消費量を売上高などで割った「エネルギー消費原単位」を 5 年続けて 1% 以上改善するか、業種ごとにエネルギー消費効率の良い上位 1 - 2 割の企業の水準に、残りの企業も達することを求める内容。 目標を達成した企業は経産省のホームページで表彰し、連続達成年数も公表する。

一方で、原単位が増えるなど、省エネが進まない企業には注意文書を送付したり、立ち入り検査をしたりして改善を求める。 まず来年度からコンビニで実施し、2018 年度までにスーパーやショッピングセンター、ホテルにも広げる。 安倍晋三首相は先月 26 日の「官民対話」で、今後 3 年以内に、省エネ規制の対象になる産業を、エネルギー消費量に占める割合でいまの半分から 7 割に増やす方針を示していた。 (高木真也、asahi = 12-9-15)


ミドリムシ燃料でジェット機飛ばそう 横浜に工場建設へ

微生物のミドリムシからつくる燃料でジェット機を飛ばす計画が進んでいる。 ベンチャー企業のユーグレナや航空大手の全日本空輸などは 1 日、ミドリムシを原料にバイオジェット燃料をつくる工場を横浜市に建設すると発表した。 2018 年に稼働させ、20 年に全日空が実際に運航する飛行機に使うことを目指す。

年間 125 キロリットルの燃料をつくることができる工場を、約 30 億円投じてつくる計画。 工場を設計・建設する千代田化工建設や、ミドリムシ以外のバイオ燃料の原料を調達する伊藤忠エネクス、燃料を使うバスを開発するいすゞ自動車も計画に参加する。 ユーグレナは、ミドリムシを増やし、体内の油脂を燃料に使う研究や開発をしている。 工場ではまず、ユーグレナが石垣島で培養しているミドリムシから取り出した油脂を使ったバイオ燃料をつくる。 これを通常のジェット燃料(ケロシン)に約 10% 混ぜて使う。 (野口陽、asahi = 12-2-15)


世界の平均気温、観測史上最高に 産業革命前より 1 度超

世界気象機関(WMO、本部・ジュネーブ)は 25 日、今年の世界の平均気温が観測史上最高になり、産業革命前の平均からの気温上昇が初めて 1 度を超える見通しだと発表した。 国際社会は気温上昇を 2 度未満に抑えようとしており、30 日から始まる国連気候変動会議 (COP21) で、新たな枠組みの採択を目指している。

WMO によると、今年は太平洋東部の赤道付近の海面水温が上昇する「エルニーニョ現象」が続いているのに加え、大気中の温室効果ガスの濃度も過去最高を更新したという。 今年 1 - 10 月の平均気温は、14 度だった 1961 - 90 年平均より 0.73 度高く、1880 - 1899 年と比べると約 1 度高くなるという。 国連の気候変動に関する政府間パネル (IPCC) によると、気温上昇が 2 度を超えるにつれ、海面上昇や氷河・氷床の消失など取り返しのつかない影響が出るリスクがより高くなるという。

WMO のミシェル・ジャロー事務局長は「温室効果ガスは制御できるし、その知識や方法もある。 我々は選択肢があるが、将来世代にはない。」として、早期対策の重要性を指摘した。 (香取啓介、asahi = 11-26-15)


「省エネ」合金、事業化へ ベンチャー企業設立

東北大が開発した革新的な合金「ナノメット」の事業化を進めようと、同大は今月、民間企業 5 社と共同出資するベンチャー企業「東北マグネット インスティテュート (TMI)」を設立した。 ナノメットは従来よりも 2 - 3 割高い省エネ効果が得られる合金で、2018 年にも量産を始める予定だ。 ナノメットは、同大金属材料研究所の牧野彰宏教授らが開発。 加工しやすく磁気に反応しやすい材料で、モーターやパソコンの部品などへの応用が見込まれる。 一般的に使われている材料と比べ、省電力化、小型化が期待できるという。 TMI は「常識を覆す性能を備えた材料だ。」と説明する。

同大が今年 2 月に設立した起業投資会社「東北大学ベンチャーパートナーズ(仙台市)」が大学発ベンチャーに出資する第 1 号で、アルプス電気、NEC トーキン、JFE スチール、パナソニック、村田製作所の 5 社も出資する。 ナノメットの性能向上に向けた研究開発のほか、生産コストの削減や品質の安定化で大量生産を目指す。 10 年後には生産性を高めて海外展開も狙うという。 20 日に行われた記者会見で、東北大の里見進学長は「ナノメットは電力損失の少ない材料で、省エネが大きく期待できる。 地域の雇用や復興につなげたい。」と話した。 (yomiuri = 11-23-15)


都、温室ガス 38% 削減目標 … 国を 26% 上回る

11 月末にパリで開幕する国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議 (COP21) を前に、東京都は、「2030 年までに温室効果ガスの排出量を 00 年比で 30% 削減する」という独自の目標を設定する方針を固めた。 国は、原発の停止などで温室効果ガスの排出量が増大した東日本大震災後の 13 年度と比べ、30 年度までに 26% 削減するとの目標を掲げている。 都の目標を同じ 13 年度比で換算すると、国を大幅に上回る 38% となる。

都は近く公表する「都環境基本計画」の中間まとめに削減目標を明示する。 20 年東京五輪・パラリンピックの開催都市として、環境問題に積極的に取り組む姿勢をアピールする。 中間まとめには、目標達成の具体策も盛り込む。 水素エネルギーを用いた燃料電池車を 25 年までに 10 万台普及させ、全電力に占める再生可能エネルギーの割合も、現状の 6% から、24 年には 20% まで引き上げる。 また、都が独自に進めてきた民間企業間の「排出量取引制度」を強化し、企業の省エネ対策を促進する。 (yomiuri = 11-19-15)


石炭火力への支援「ストップ!」 世界各国で抗議行動

月末に国連気候変動会議 (COP21) を控え、国際環境 NGO 「350.org」などは 14 日を「化石燃料への補助金撤廃を求めるアクションデー」と位置づけ、世界各地で抗議行動を行った。 特に、温室効果ガスの排出が多い石炭火力発電所の建設を途上国で支援する日本政府を批判した。

米首都ワシントンでは 13 日、途上国での石炭火力発電所建設を支援する日本の国際協力銀行 (JBIC) の事務所が入るビル前に約 15 人が集まった。 「ストップ! 石炭」などと書かれたプラカードを掲げた。 日本は、海外での石炭プロジェクト支援を続けている世界最大の支援国の一つ。 デモに参加した環境 NGO メンバーのアレックス・ドゥーカスさんは「日本が政策を変えれば、世界に強いメッセージを打ち出せる」と述べた。 (小林哲 = ワシントン、香取啓介、asahi = 11-15-15)


探査機「はやぶさ」の省エネ、電車に技術応用へ

小惑星探査機「はやぶさ」の省エネ技術を電車に応用しようと、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と鉄道総合技術研究所、東急テクノシステムは 11 日、共同研究を始めると発表した。

はやぶさは、宇宙空間で限られた電力を効率よく使うため、機器をあたためるヒーターなどの優先順位を状況によって変え、総消費電力が大きくなりすぎないような工夫をしていた。 こうした方法を電車の運行に応用し、遅れている電車の加速に優先的に電気を配分するなどして、全体の消費電力を抑えるコンピュータープログラムの開発を目指す。 はやぶさの責任者を務めた JAXA の川口淳一郎教授は「宇宙で培った技術を地球のエネルギーの効率的な利用に生かしたい」と話した。 (yomiuri = 11-12-15)


米大統領、原油パイプライン建設認めず 気候変動に悪影響

ワシントン = 川合智之】 オバマ米大統領は 6 日、カナダから米テキサス州に原油を運ぶ「キーストーン XL パイプライン」の建設申請を却下すると発表した。 カナダのエネルギー企業トランスカナダが 2008 年に申請したが、オバマ政権は建設を認めると石油消費が増え気候変動に悪影響があると判断した。 オバマ氏は 6 日午前、バイデン副大統領、ケリー国務長官とともにホワイトハウスで緊急声明を発表し、「米国は気候変動との戦いで重要な行動をとる世界のリーダーだが、この計画を認可すると指導力を損なう」と強調した。

野党・共和党は経済成長に不可欠だとして建設を推進していたが、オバマ氏は認可しても、(1) ガソリン価格は下がらない、(2) エネルギー安全保障を強化しない、(3) 経済貢献にはつながらない - - などと共和の主張に否定的な見解を示した。 建設推進を公約に掲げて当選したカナダのトルドー新首相にも不認可の方針を伝えたという。 今回の決定が両国関係の妨げにならないことを確認したとしている。

認可の是非は 16 年米大統領選でも政治的争点となっており、トランスカナダは大統領選後に審査を先送りするよう申し入れていた。 一方、オバマ氏は 11 月末に開幕する第 21 回国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP21) の前に判断を下すことで、地球温暖化対策に注力する姿勢を強調した形だ。 パイプラインは米国内消費量の約 1 割にあたるカナダ産原油をメキシコ湾の製油所に運ぶ計画。 (nikkei = 11-7-15)


ウォームビズ本格始動 暖房 20 度、厚着でしのぐ

衣食住の工夫で職場や家庭での暖房使用を控える「ウォームビズ」が 2 日、本格的にスタートした。 環境省が冬場の地球温暖化対策として 2005 年から提唱し、今年で 11 シーズン目。 期間は来年 3 月末まで。 東京(千代田区)は 2 日早朝から雨が降り、午前 11 時の気温が 10.3 度と冷え込んだ。 霞が関にある環境省国民生活対策室では、職員の多くがセーターやマフラーを身に着けて出勤。 黒いカーディガンを着た伊藤賢利室長は「多くの方に行動に移してもらい、室温を抑えて節電してほしい」と話した。

ウォームビズは、省エネのため暖房時の室温が 20 度でも快適に過ごせる生活スタイルを目指す。 保温機能のある下着やセーター、膝掛けなどが有効とし、体が温まる食べ物や飲み物を取ることも推奨する。 家族や友人が暖房の効いた部屋に集まり、ホームパーティーや鍋料理などを楽しむ「ウォームシェア」の実施も呼び掛けている。 環境省によると、ウォームビズの認知度は 14 年度の調査で 70.8% と、クールビズの 92.5% より低く、普及拡大が課題となっている。 (kyodo = 11-2-15)


東京都の中小ビル省エネ改修補助金、29 件の成果を公表 1 月まで最終公募中

東京都は、中小規模のテナントビルに対して省エネ設備の導入費用を助成する事業について、第 2 回の募集で助成を決定したテナントビル 29 件において、予測される改修効果等をとりまとめ報告した。 本事業は、「中小テナントビル向け省エネ設備導入費用助成事業」として 2014 年度と 2015 年度の 2 カ年にわたり実施しているもの。 省エネ設備の導入に最大 2,000 万円の助成が受けられる。 申請は今年度が最終年度で、10 月 1 日(木)から 2016 年 1 月 15 日(金)まで、第 3 回募集を行っている。

事業所の省エネ対策として、照明や空調などの設備を高効率化する省エネ改修は非常に有効だが、テナントビルの場合、省エネ改修による光熱費削減等のメリットは、テナントが享受し、ビルオーナーのメリットが少ないため、中小テナントビルの省エネ改修が進んでいない状況にある。

そこで、本事業では、費用を助成したテナントビルから提供を受けたデータに基づき、省エネ設備導入による CO2 削減効果を分析した上で、省エネ改修により実現される低炭素レベルや光熱費削減レベルを分かりやすく評価できるツールを作成。 これにより、低炭素レベルの高いビルが不動産市場で高く評価される仕組みを構築することで、中小テナントビルの省エネ改修の推進を図ることを目的としている。

第 2 回募集結果

第 2 回募集の申請件数(申請受付後の取下げ 1 件を含む)は 30 件。 交付決定件数は 29 件。 中小テナントビル(オフィス系、商業複合系、テナント専用部)において、「高効率パッケージ形空調機」、「全熱交換器等」、「高効率照明器具」、「高輝度型誘導灯の導入」、「エレベーターの省エネ制御の導入」を導入する事業が採択された。 助成金交付総額(予定)は約 2 億 100 万円。

交付決定事業所の平均 CO2 削減率は 23.68% を見込む。 年間 CO2 削減見込量は約 542 トン。 東京都が定める低炭素ベンチマークで、今回交付決定の 29 件のうち、「A3」以上の非常に低炭素なビルは全体の 6 割を超える見込み。 交付決定後、事業者は申請に基づいた省エネ改修を実施し、低炭素なビルとして運用面での CO2 削減やカーボンレポートの利用に努める。 (環境ビジネス = 10-30-15)


災害・コメ被害、最小に 温暖化で初の国家戦略 河川整備や新品種

政府は 23 日、地球温暖化の被害の最小化を目指す国家戦略「適応計画」案をまとめた。 日本として同計画を策定したのは初めて。 豪雨などの自然災害を防ぐインフラの整備、暑さに強い農作物の開発など 7 分野で 10 年間に取り組む対策を盛り込んだ。 11 月に閣議決定し、同月末にパリで開かれる第 21 回国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP21) で報告する。

適応計画は温暖化ガスの排出削減と並ぶ地球温暖化対策の柱。 排出削減だけでは温暖化による悪影響を避けられないため重要性が増している。 政府は今後、法制化を視野に検討を進めるとともに、地方自治体や企業などにも計画策定を促す。 計画案では、温暖化の影響による「生命や財産、自然環境などの被害を最小化・回避する」方針を掲げている。

今世紀末までに年間雨量が最大で 3 割増えると予測されることから、9 月に茨城県などで発生したような豪雨災害がさらに深刻になると判断、緊急に講じる必要がある重点項目に挙げた。 雨量の観測を強化するとともに、IT (情報技術)を使った河川や下水道の監視体制づくりを進める。 人口の多い住宅地などで堤防などのインフラ整備を進める。 住民が迅速に避難できるように浸水予測などの情報を提供するとともに、避難の猶予を与えるために決壊までに時間がかかる堤防の構造も検討する。

農業分野では、気温上昇によるコメやリンゴ、ミカンなどの品質の低下が著しいため、高い温度に耐える新品種の開発を急ぐ。 病害虫による被害を防ぐ技術を 2019 年をメドに開発し、普及させることも盛り込んだ。 猛暑日の増加で熱中症患者が多くなると見込まれる。 農作業や建設現場などでロボット導入を進め、作業者の負担を減らす。 デング熱などの熱帯で流行している感染症が国内で発生すると予想されるため、媒介する蚊などの病害虫の駆除といった対策を強化する。

このほか、都市で起こるヒートアイランド現象の対策として、街路樹や屋上緑化、風が通りやすい都市計画の推進を掲げた。 渇水の長期化を見据えた雨水や再生水の活用などにも言及している。 計画は 5 年程度をめどに見直す方針だ。 農業分野を除くと大まかな方針を示しただけで、予算などの裏づけはない。 今後、関係省庁が具体的な施策づくりを急ぐ。 対策の効果を評価する手法の開発も課題となる。 (nikkei = 10-23-15)

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政府、初の温暖化被害対策 リスク避け居住地変更も

地球温暖化によって増加が予測される水害や農業への被害を抑えるため、政府が策定を進める適応計画の概要が 16 日、明らかになった。 水害の被害を受けるリスクが高い地域を将来的に示すとし、比較的安全な場所への居住を促すなど、インフラ整備に加えてソフト面での対策を盛り込んだのが特徴。 10 月中に計画をまとめ、12 月の気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議 (COP21) までに閣議決定する方針。

政府が温暖化被害に関し包括的な対策をまとめるのは初めて。 洪水や高潮などの水害対策では、将来増加が見込まれる大雨に対処するため、堤防の整備などハード面の対策を進め被害防止を図る。 (西日本新聞 = 10-16-15)


気候変動長期戦略懇が初会合 温室ガス削減に向け提言へ

温室効果ガスの排出量を「2050 年に 80% 減」とする国の目標の達成に向け、長期的な温暖化対策を議論する環境相の私的懇談会「気候変動長期戦略懇談会(座長 = 大西隆・日本学術会議会長)」が 11 日、初会合を開いた。 低炭素社会への移行と、人口減少や経済成長などの課題克服をどう両立していくかについて、年明けに提言をまとめる。 政府は 7 月、「30 年度に 13 年度比 26% 減」とする削減目標を国連に提出した。 これとは別に、長期目標として「50 年に 80% 減」を 12 年に閣議決定している。

懇談会では、長期目標の達成には、▽ エネルギー消費の 4 割減、▽ エネルギー供給の半分が再生エネルギー、▽ 二酸化炭素の回収・貯留技術の大幅導入 - - などが必要と環境省が説明。 出席者からは「温度上昇が確実になった時は打つ手がない。 早急な対応を。(住明正・国立環境研究所理事長)」、「イノベーションがカギを握る(伊藤元重・東京大教授)」などの意見が出た。 丸川珠代環境相は「個別の対策の積み重ねではなく、社会システムの変革が必要。 大所高所から提言いただきたい。」と述べた。 (香取啓介、asahi = 10-11-15)


パナソニック、HEMS 用アプリ無料配信 家庭の省エネ促進

パナソニックは 8 日、家庭で電気の使用状況を把握し、省エネにつなげる家庭用エネルギー管理システム (HEMS) 用のスマートフォン(スマホ)アプリを無料配信すると発表した。 同社製の機器「スマート HEMS」の利用者に対し、電気を使いすぎた場合にプッシュ通知で知らせる。 節電意識が高まり、家庭の消費電力を約 1 割少なくすることができるという。 12 月 21 日から配信する。 使用電力量の多い部屋や機器などを把握できるようにすることで、古くなった家電製品を買い替えてもらう狙いもある。 (nikkei = 10-8-15)


中部大、500 メートルの超伝導送電に成功 世界初

中部大学(愛知県春日井市)は 6 日、北海道石狩市にある実証実験施設で、電気抵抗ゼロで電気を送る 500 メートルの超伝導送電実験に成功したと発表した。 同大の飯吉厚夫総長は「超伝導送電が実用化すれば、大陸をまたぐ送電が可能になり、革新的に再生可能エネルギーが普及する」と意義を強調した。

合金をマイナス 200 度程度の超低温に冷やすことで電気抵抗がゼロになる「超伝導」現象を利用。 合金の送電ケーブルを液体窒素で冷やし、電気を送る仕組みだ。 実証実験では、ケーブルを包む配管を 2 重にして外側と内側の間を真空にして液体窒素の温度上昇を防いだり、ケーブルをらせん状にして低温で切れにくくしたりすることで、500 メートルの超伝導直流送電に成功。 9 月には民間の太陽光発電設備からデータセンターにつなぎ、実際に電力供給も行った。 (月舘彩子、asahi = 10-7-15)


温室ガス削減、148 カ国・地域が目標 COP21 向け

温室効果ガス削減の新たな国際枠組みに向け、各国に求められている削減目標の提出が 1 日までに 148 カ国・地域に上った。 提出した国・地域の排出量を足し合わせると世界全体の 9 割に迫る。 これまで削減義務を負ってこなかった新興国・途上国からの提出も相次ぎ、年末の国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP21) へ向けた交渉に弾みがつきそうだ。

先進国のみに削減を義務づけた京都議定書と違い、新しい枠組みではすべての国の参加を目指す。 削減目標は自主的で、基準や期間は各国に任されている。 条約事務局は 1 日までに提出された各国の目標を足し合わせて、温暖化を抑える効果を評価する報告書を COP21 の前の 11 月 1 日までに準備する予定だ。 NGO などの調査では、危険な温暖化を避けるにはまだ不十分だという。 100 カ国以上の途上国も目標を掲げた。 1 日に提出した排出量世界 3 位のインドは、2030 年までに国内総生産 (GDP) あたりの排出量を 05 年比で 33 - 35% 減らす、とした。 (香取啓介、asahi = 10-2-15)


未来の燃料は藻から? 大阪市立大に人工光合成装置

大阪市立大(大阪市住吉区)の真っ暗な研究室に、ポコポコと小さな泡をはきながら時を分かたず緑に光る装置がある。 高さ約 1.2 メートル、容量 10 リットルの透明な円柱容器が 3 本並んだ構造で、それぞれに発光ダイオードの赤色光があてられている。

大学内の複合先端研究機構の川上恵典(けいすけ)・特任准教授 (33) が、人工光を当ててシアノバクテリア(藍藻)を培養し、光合成の仕組みを解析するために作った。 装置では、藍藻を効率よく増殖させる培養条件を調べる。 光を利用して水から酸素を生み出す性質を持つ、藍藻のたんぱく質の結晶を得ることができる。 将来的には、化石燃料に代わる水素やメタノールなどの燃料の効率的な生成を目指す。 川上・特任准教授は「今はまだプレ実験の段階だが、自然環境で培養する技術につなげたい」と話す。 (伊藤進之介、asahi = 9-26-15)


中国、新たな排出量取引制度導入へ 米中首脳会談時に発表

ワシントン : 米国を公式訪問中の中国の習近平(シーチンピン)国家主席が二酸化炭素 (CO2) の排出量取引に関する新たな政策について、オバマ米大統領との会談の際に発表することが分かった。 米高官が明らかにした。 習主席は現地時間 25 日にホワイトハウスで行われるオバマ大統領との会談の際に、この政策の詳細を明らかにするという。 オバマ政権は、中国に対して、二酸化炭素の排出削減や環境に優しい発電技術への投資を働きかけてきており、同政権にとって大きな成果となりそうだ。

中国は 1 年前の北京での米中首脳会談で CO2 の排出削減に合意。 今年 12 月にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議 (COP21) で新たな温暖化対策の国際的な枠組みを作ることを目指すオバマ大統領にとって、大きな 1 歩となっていた。 米中はこれまで数カ月間かけて交渉を行い、排出取引政策の詳細を詰めてきた。 新ルールは 2017 年に施行される予定だ。 (CNN = 9-25-15)


古墳の堀、外来種の次は絶滅危惧種オニバス 水底に種?

生態系に悪影響がある赤や緑色の外来浮草がこの夏に大繁殖した百舌鳥(もず)古墳群・ニサンザイ古墳(堺市)の堀で、今度は絶滅危惧種の「オニバス」が確認された。 市によると、この古墳に生息した記録はなく、長い間水底で眠っていた種が芽吹いた可能性がある。

オニバスは葉に鋭いトゲがある一年草で、環境省が絶滅危惧 2 類に指定している。 市は今月から外来浮草の除去を始め、その作業の際に堀の東側に生えていることに気づいた。 研究者が 17 日、オニバスと確認。 直径 50 - 100 センチの葉が約 100 枚あるという。 市は昨秋、古墳の護岸工事のため堀の水を完全に抜いた。 大阪市立自然史博物館の佐久間大輔・主任学芸員は「泥が攪拌され、長年泥の中で眠っていた種子が刺激された可能性がある。 堀の底にはまだ種子があるはず。 絶滅の恐れがあるので、外来浮草を押さえ込む必要がある。」と話す。(村上潤治、asahi = 9-20-15)


豪雨で浸水の太陽光発電設備、感電の恐れ 「近づくな」

太陽光発電協会(事務局・東京)は 11 日、豪雨で浸水した太陽光発電設備に近づくと感電する恐れがあるとして、注意するように呼びかけた。 「光が当たっていればパネルは発電していることを忘れないでほしい」としている。 水没して設備の絶縁が悪くなったり、漂流物の接触などでケーブルが切れたりしている可能性があり、周りの水に触れると感電する恐れがあるという。 水が引いた後でも危ないとして、近づかないように促している。 販売施工業者や電気主任技術者に連絡して、対策を取る必要があるという。 (香取啓介、asahi = 9-11-15)


「未来の半導体」で省エネ 半導体メーカーのローム

「こんなに小さく!」 半導体メーカーのロームが、電装化が進む自動車向け事業を強化している。 「次世代半導体の本命」とされるシリコンカーバイド (SiC) を使った製品の開発で世界をリードしており、ハイブリッド車 (HV) の電気を制御する基幹部品などへの採用を目指す。

「こんなに小さくできるのか - -。」 ローム本社(京都市右京区)のショールームに展示されたスマートフォン大の部品が、自動車メーカーの関係者を驚かせている。 SiC を採用して作った HV 用のインバーターの試作品で、サイズはシリコン製の従来製品の 10 分の 1 以下だ。 インバーターは、バッテリーから流れる電気を直流から交流に変換してモーターを回す基幹部品。 高熱を発することから、シリコン製では冷却装置が欠かせない。 SiC は大電流や高熱に強いため、部品を薄くできるうえ、冷却装置も不要で小型化できた。

車体の軽量化につながるほか、発熱によるエネルギーの損失も従来の半分以下に減る。 実用化されれば燃費改善効果は大きく、自動車業界は SiC を 2020 年以降に、本格採用する見通しだ。 ロームは、家電各社の業績不振を受け、自動車向け事業の拡大を図っており、現在売上高の 26% を占める自動車向けを、将来は 40% に引き上げたい考えだ。 SiC は目標達成のカギを握る。 2002 年に研究開発を本格化したロームの技術は、世界の先頭を走る。

ただ、製品開発は難航した。 シリコンと炭素の化合物である SiC はダイヤモンドに次ぐ硬さがあり、シリコンと同じ加工方法が通用しない。 結晶の制御も難しく、加工時の温度を高くしなければならないため専用の装置も必要だった。 海外企業を買収するなどして技術を高め、ようやく 10 年にトランジスターの製品化に成功した。 中村孝・研究開発部長 (50) は「京都大などの協力を得ながら、結晶表面に膜を作る際に窒素を吹き付ける方法を編み出すなど、ノウハウを地道に積み重ねた」と苦労を語る。

自動車分野にとどまらず、大電力を消費して省エネの余地が大きい機器を中心に、シリコンは SiC に置き換わるとみられる。 製品開発を手がける大嶽浩隆さん (33) は「シリコンの置き換え以外に様々な可能性があり、別の用途も積極的に探りたい」と意気込む。 (岸本英樹、yomiuri = 9-6-15)


欧州で日本メーカーのヒートポンプ式暖房機への熱量がアツイ!

パナソニックがドイツ・アーヘン工科大学と電力制御技術を公開

【ベルリン = 松中康雄】 パナソニックはドイツのアーヘン工科大学(アーヘン市)と共同研究する「ヒートポンプ温水暖房システム向け電力マネジメント技術」を公開した。 英国など欧州主要国は 2017 年にも、電気料金を需要ピークや太陽電池などの発電状況に合わせた変動制にする。 欧州は暖房の終日使用が多く、家庭の料金負担が上がると予測される。 電気料金や各国の環境などに応じた自動制御技術を開発し、床暖房などに使うヒートポンプ需要を喚起する。

パナソニックは各国の変動制電気料金の導入時期をにらみ、17 年頃までに基礎技術を確立。 同社が欧州の国・地域で異なる多様な気象、住居などのデータと制御ソフトウエアなどを開発する。 アーヘン工科大が構築した構内の実験設備と、仮想空間で多様な国・地域の住居を再現して検証する。 住居内の快適性を損なわず、気象や電力の状況に応じたヒートポンプ制御でピーク時の電気使用を抑える。

欧州の住宅設備は暖房専用機が主流で、冷房機や冷房機能付き空調はほとんどない。 市場規模は年約 500 万台でガス暖房が約 7 割、石油暖房と電気暖房が約 1 割ずつ。 だが近年は、床下に湯を通す配管を設けて使う省エネのヒートポンプ暖房機が成長、15 年見込みが 17 万台、25 年予測は 28 万台。 現行機は配管内の湯の温度制御のみで暖房はオンオフ制御しかできないが、開発技術で室温制御も可能になる。 (Newswitch = 9-2-15)


独エネルギー大手エーオン、太陽光発電に注力へ 米国需要見込む

[ベルリン] 独エネルギー大手エーオンは、太陽光発電事業の拡大に注力する方針だ。 米国ではオバマ大統領が地球温暖化対策のため再生可能エネルギーの推進を打ち出しており、こうした需要を見込んでいる。 再生可能エネルギー部門のマイケル・ルイス COO (最高執行責任者)によると、エーオンは 2007 年以来、同事業に約 100 億ユーロ(115 億ドル)を投資。 米国では 1 ギガワット (GW) 程度の太陽光エネルギーのパイプラインを設置しているという。

同社の保有する再生可能エネルギーの生産能力は 4.5W 以上で、95% 以上が風力によるもの。 ルイス COO はロイターに対し「温暖化防止目標を達成するには、米国が主要な役割を担うべきだ。 オバマ大統領は自身が打ち出したクリーンエネルギー構想に沿って、それを実行している。」と述べた。 エーオンの昨年のコア利益のうち、10% が風力や太陽光発電によるものだった。 (Reuters = 8-26-15)


節電 5 年目の夏、まだできる 関電再値上げで地道な努力

「節電の夏」も 5 度目。 「できることはやりつくした」との声もあがる中、新たな取り組みは、今も生まれている。 節電の定着などで電力が足りなくなる恐れは薄れつつあるが、上がる電気代への対応が依然、努力を促している。

冷房設備を改修

京阪百貨店の守口店(大阪府守口市)は 7 月、冷房に使う冷水循環システムにかかる電気の使用が前年の半分に減った。 からくりはこうだ。 この店では、地下の設備で冷やした水を、店内を走る配管にポンプで送り出し、必要な場所で配管に風をあてて冷風を出す。これまでは常に全力で冷水を送り出してきたが、室温に応じて必要な水量を自動で計算し、調整するシステムを 4 月に導入したのだ。 システムを納入したエブリ(大阪市)の古川公章さんは「電気代が減るため、システムにかかった約 3 千万円は 7 年ほどで元がとれる」と話す。

大型ファン稼働

天井を見上げると、直径 7 メートルの大型のファンが回る。 ゆっくり回っているせいか、音はほとんどしないが、絶え間なく風が吹き付けてくる。 工具や資材の通信販売のモノタロウ(兵庫県尼崎市)が 8 月初めから、尼崎配送センターに取り付けを始めた。 4 階建て計 4 万 4 千平方メートルにあった数百台の扇風機を順次、約 20 台の大型ファンに取り換えていく。 周りの空気全体を循環させるため、体感温度が下がるという。

約 600 人の従業員が、背丈より高い棚に並ぶ箱から、ネジやくぎ、ホースや洗剤などを取り出し、発送に回す。 「注文を受けた商品を間違えたらいけないので、照明は減らせない。(物流部門の山西潤さん)」 ならば空調を少しでも工夫しようと考えた。

機器使用に工夫

節電に力を入れる大学も目立つ。 電気代が上がったからといって簡単に授業料を上げることはできず、研究費などほかの経費を切り詰めることになりかねないからだ。 大阪大理学部(大阪府豊中市)で植物の遺伝子の働きを調べている田中博和助教は、菌などの試料を保存する冷凍庫の設定温度をマイナス 25 度からマイナス 20 度に上げると、消費電力が約 2 割減った。 冷凍庫と壁の間を 5 センチから 15 センチに広げてみたが、あまり効果がなかった。 「やはり設定温度を上げるのは意味がある」と田中さん。 今のところ、冷凍庫の試料には悪影響は出ておらず、様子を見ながら進めるという。

阪大の電気代は、一昨年の関西電力の料金値上げなどで、年約 20 億円から約 25 億円に増えた。 今後も 4 月の再値上げの影響に加え、電気を使う実験機器やコンピューターが増えており「最悪の場合、4 - 5 年先には払う電気代が 2 倍に膨らむ恐れがある。(馬場章夫理事)」 阪大では、これまで目をつけてこなかった節電を各学部などに奨励。 理学部の担当者は「いろんな機器でどうしたら節電できるかを試してもらう」と話す。

この夏、関電の営業エリアで最も電気が使われたのは 4 日午後 4 時台で、2,557 万キロワット。 昨夏のピーク時に比べても 110 万キロワットほど少ない。 電気を送る供給力に対する比率は 88% で、電力不足への不安は遠のいている。 家庭や職場の節電や太陽光発電の普及が主な要因だ。(諏訪和仁、asahi = 8-19-15)


天津爆発 : 「日本への影響ない」煙を衛星観測

中国・天津で発生した大規模な爆発事故で、汚染物質を含んだ煙が大気中に広がる様子を、山形大と東北大の研究チームが衛星画像を分析して確認した。 研究チームは「日本に到達したとしてもかなり微量で、人体への影響は心配ない」と話している。 分析したのは柳沢文孝山形大教授(環境化学)と工藤純一東北大教授(環境情報科学)。 両氏は米航空宇宙局 (NASA) の地球観測衛星の画像から、東北アジア地域の微小粒子状物質「PM2.5」や黄砂の動きを監視している。

爆発は 12 日夜に発生した。 13 日から 16 日にかけての衛星画像では、汚染物質を含む煙が天津市付近の港湾から渤海に向かって飛散する様子がみられ、朝鮮半島付近まで達している状況が確認された。 一方、汚染物質の大半は、14 日の降雨で渤海や周辺の地表に落ちたとみられ、人体や生態系への影響が心配される。 柳沢教授は「どんな化学物質が含まれているか分からないが、PM2.5 でいえば、国内の 1 日平均基準値(1 立方メートル当たり 35 マイクログラム)を大幅に超える濃度と推定され、地下水汚染が懸念される」と話している。 (阿部周一、mainichi = 8-18-15)


発電所の CO2 排出、32% 減へ 米、温暖化対策最終案

オバマ米大統領は 3 日、国内の発電所から排出される二酸化炭素 (CO2) を 2030 年に 05 年比で 32% 削減することなどを盛り込んだ温暖化対策の最終案を発表した。 昨夏に公表した原案の目標から削減幅を 2 ポイント上積みし、各州政府に原則 16 年 9 月までに独自の計画策定を求める。 石炭火力などへの依存を減らし、再生可能エネルギーへの転換を後押しする。

大統領はホワイトハウスで演説し、過去の年間平均気温の上位 15 年のうち 14 年は、今世紀に集中していると指摘。 「我々は気候変動に対し、何かできる最後の世代だ」などと訴えた。 近く、米大統領として初めて北極圏(アラスカ州)を訪れ、気候変動の被害を視察する計画も明らかにした。 発電所からの CO2 は、米全体の CO2 排出量の約 3 分の 1 を占める。 特に排出量が多い石炭火力への規制強化は、オバマ政権が国際目標に掲げる「温室効果ガスを 25 年に 05 年比で 26 - 28% 削減」の達成に欠かせない取り組みの一つ。 (ニューヨーク = 小林哲、asahi = 8-4-15)


家電の省エネ性能、冊子で紹介 資源エネルギー庁

家電製品を選ぶ際に役立ててもらおうと、機種ごとの省エネルギー性能を比較できる冊子「省エネ性能カタログ 2015 年夏版」を、資源エネルギー庁が作成した。 希望者に送料のみで配布している。 エアコンやテレビ、冷蔵庫といった主要家電や照明器具のうち、比較的省エネ性能の高い機種について、消費電力量や省エネ基準の達成率 (%) などを一覧表で示している。 機種ごとの年間の電気料金の目安も記した。

省エネにつながる上手な使い方や、買い替えのタイミング、古い機種との消費電力量の違いなども紹介している。 送料は 1 部の場合、282 円。申し込みは、事務局の「ピーツーカンパニー」に電話 (03・3473・7873) またはメール (info@p2company.co.jp) で。 メールには住所、氏名、希望部数を明記する。 問い合わせもピーツーカンパニーへ。 (yomiuri = 8-2-15)