外国人技能実習生の摘発急増、2 年で 3 倍 … 受け入れ先の "ブラック化" から失踪、犯罪に加担

「技能実習制度」を利用して来日した外国人技能実習生の摘発は昨年 1 年間で全国で 961 人に上り、2 年前の約 3 倍に急増したことが 7 日、警察庁への取材で分かった。 来日外国人の摘発者全体は微増だったが、増加分の 4 割以上が実習生だった。 専門家によると技術習得のために来日したものの、受け入れ先の賃金未払いや長時間労働といった「ブラック化」が影響し、犯罪に加担するケースがみられるという。

警察庁によると、永住者や在日米軍関係者などを除く来日外国人の昨年の摘発は 1 万 689 人。 在留資格別でみると、▽ 「留学」 2,476 人、▽ 「日本人の配偶者等」 1,641 人、▽ 日系人などの「定住者」 1,618 人、▽ 「短期滞在」 1,198 人、▽ 「技能実習」 961 人 - の順に多かった。 技能実習が占める割合は 1 割に満たないが、統計を取り始めた平成 24 年は 331 人で、25 年が 643 人、26 年が 961 人と毎年急増。 摘発者全体は 24 年から 26 年にかけて 1,540 人増えているが、うち 630 人が技能実習だった。

技能実習の摘発内容別では、期間を越えて国内に居続ける「不法残留」や実習以外の別の仕事をする「資格外活動」などの入管難民法違反が最多で約 42%。 次いで空き巣や万引などの窃盗が約 38%。 金銭的な利得を求めて犯罪に走る様子がうかがえる。 大阪府警などの合同捜査本部が今年 7 月に中国人グループ 14 人を摘発したスマートフォンの不正契約事件でも、こうした実習生の一端が明らかになった。

事件では、転売目的でスマホを不正契約しようと画策した主犯格の男 (25) に「スマホが安く手に入る」と持ちかけられ、中国人実習生 5 人が在留カードを譲り渡したとして入管難民法違反容疑で逮捕。 このうち 1 人は「金がなかったが、スマホがどうしても欲しかった」と供述したという。 さらに、主犯格の男を含む 3 人が、受け入れ先から失踪した元実習生だったという。

外国人犯罪に詳しい元警視庁刑事で作家の坂東忠信氏は「低賃金で働かされたり給与の大部分を強制的に管理されたりするなど、一部の受け入れ先では実習生が『奴隷状態』でこき使われている。 過酷な労働状況や経済的な困窮が実習生の犯罪・失踪の増加の背景にあるとみられる。」とする。 こうした状況を受け、政府は実習生を保護して不正行為を防止するための監督機関の新設や、失踪者対策の強化を盛り込んだ技能実習制度の改正案を今国会に提出している。

大阪府警の捜査幹部は「大半の実習生はまじめ。 しかし、自由にできる金が少なく、たくらみのある誘いに簡単に乗ってしまう。 金を稼ぐために不法残留したり資格外活動をしたりする実習生は少なくない。」と話している。 (sankei = 9-7-15)

【技能実習制度】 開発途上国の外国人を最長 3 年間受け入れ、働きながら日本の技術を身につけてもらう制度。 農漁業や機械・金属、食品製造などが対象職種で、零細企業が受け入れ先になっているケースが多い。 平成 5 年から始まり、26 年は約 16 万 7 千人が実習生として在留。 中国からの実習生が約 6 割を占め、ベトナム、フィリピン、インドネシアと続く。


口座の売買しないで 豊田で県警が外国人向け研修

インターネットバンキングの口座から勝手に金が引き出される不正送金被害が多発しているのを受け、県警サイバー犯罪対策課は一日、豊田市内の会社で外国人向けの研修を開き、不正送金先に使われる恐れのある口座を売買しないよう呼び掛けた。

課によると、県内で発生した被害のうち、不正送金された口座の名義の多くが中国人を含む外国人の名前だった。 課は口座が売買されている疑いがあるとして外国人に広く知ってもらおうと、企画した。 今回は豊田市の杉本食肉産業豊田工場の協力で、中国人研修生ら約 25 人が参加した。 小木曽伸彦課長補佐がイラスト画を使いながら不正送金事件の手口などを説明。 「お金を取られた人は泣いています」と話し、「頼まれても絶対に口座を売り渡してはいけません。 もらってもいけません。 詐欺罪になります。」と訴えた。 (梅田歳晴、中日新聞 = 9-2-15)


難民雇用、わが社の成長源 多言語・国際感覚に企業注目

日本に難民としてたどり着いた人たちに、企業が注目し始めている。 労働現場の人手不足が背景にあるが、多言語で会話できる、仕事へのやる気が旺盛といった個々の能力を評価する企業も出てきた。 茨城県東海村の住宅地に建つ工具商社ユーエム。 「はじめまして、ユーエムのホセインともうします。」 立ち上がってなめらかな日本語であいさつしたのは営業担当のホセイン・エンサフィさん (34)。 2012 年 2 月、イランから日本に来た。

首都テヘランで工場の技術者として働いていたホセインさんは、政治や宗教に関わる発言で、当局からたびたび厳しい尋問をうけた。 トルコに逃れ、欧州経由で着いた成田空港で難民申請をし、2 カ月後に日本での滞在許可を得た。 現在も国から難民とは認定されていない。 従業員 8 人のユーエムの正社員になったのは来日 4 年目の今年 4 月。 採用に乗り出したのは、専務の川崎裕弥さん (32) だ。

切削工具などを扱う同社の顧客は、ほとんどが県内の中小企業だった。 だが 08 年のリーマン・ショック、11 年の東日本大震災で多くの取引先が廃業し、売り上げは激減。 海外市場に目を向け、米国に営業に飛んだが、英語力が追いつかず商談に結びつかなかった。 「どうすれば会社を国際化できるだろう。」 悩んでいたとき、難民として日本に来た人と企業のマッチングをする、NPO 難民支援協会の「合同面接会」でホセインさんと出会った。

ホセインさんは実家の家業のじゅうたん販売で欧州を回った経験があり、母語のペルシャ語をはじめ英語、フランス語など 7 つの言語をあやつる。 営業の仕事を希望しており、日本語も懸命に勉強していた。 ホセインさんは商品の検品業務とともに、メールや電話で海外市場開拓も担当。 今月、ついに同社として初めて、台湾企業と新製品の商談が実現しそうだ。

「難民としてやってきた人への金銭支援だけでなく、働いて税金を納められる環境を整えることを国は考えるべきだ」と話すのは、自動車用の金型などを製造する東京・八王子市の栄鋳造所社長の鈴木隆史さん (41) だ。 12 年から難民の雇用を続けてきた経験を、講演などで全国に伝えている。 鈴木さんも、海外に活路を求めたが壁にぶつかった。 「長期的、戦略的に雇用できる国際的な人材はいないか。」 社員が提案したのが、難民として日本に来た人たちだった。 現在はカメルーン出身のガラムジャ・ドゥ・コンスタントさん (41) ら 2 人が働く。

夏は暑い作業場で、自動車シートの金型を成形するコンスタントさんの目は真剣そのもの。 故郷に帰れる状況にはなく「私の将来はここにある」からだ。 社員の意識も徐々に変わり、自ら英会話を勉強するようになった。 同社は韓国やフランスからのインターンも受け入れ、いま 6 カ国語で海外の顧客への対応が可能、仕事の 7 割が海外向けだ。

中小企業だけではない。 ユニクロを展開するファーストリテイリングは、海外の難民キャンプにリサイクル衣類を提供する活動をきっかけに、現在、難民として日本に来たミャンマー人とその家族を中心に、10 人を雇用している。 NPO 難民支援協会によると、13 年に始めた「合同面接会」には企業 7 社と難民 12 人、14 年は 12 社と約 30 人が参加、各年 2 人が雇用に結びついた。 今年も 9 月に開く予定だ。

同協会には難民を雇用したいという問い合わせも増えている。 担当の吉山昌さんは「国内の労働力不足で企業の関心が高まっている。 使い捨ての働き手としてでなく、難民の人たちが長期に能力を発揮できる場が増えれば、日本の難民受け入れ数の増加にもつながっていくのではないか」と期待する。 (鈴木暁子、asahi = 8-30-15)

国の認定に高い壁

法務省によると、2014 年の難民認定申請者数は 5 千人で、13 年から 1,740 人増え、過去最多となった。 05 年と比べると 13 倍もの人数だ。 一方で、国が審査し、14 年に保護すべき「難民」と認定したのは 11 人。 ほかに 110 人が「人道的な配慮」などで在留を許可されたが、家族を呼び寄せやすく、生活に必要な日本語研修などを受けられる「難民」とは認められていない。

日本では難民申請中は強制送還されず、在留資格を持つ人は申請の半年後から就労が認められる。 法務省は、就労目的で来日する人もいるとみて、「明らかに難民に該当しない申請」を事前に振り分けるなど、認定審査をより厳しくする案を示している。


(香川)県内在留外国人が最多 東南アジアから急増

仕事や語学留学などで来日し、香川県内で生活している在留外国人数が 2014 年 12 月末時点で約 9 千人に上り、6 年ぶりに過去最高を更新したことが県などのまとめで分かった。 20 年前と比べてほぼ倍増しており、県人口の 1% に迫る勢い。 これまで半数以上を占めていた中国や韓国・朝鮮の在留外国人に加え、東南アジアからの技能実習生が大幅に増えたことが要因とみられる。

在留外国人は、日本国内に中長期間滞在する外国人と、永住者らを合わせたもの。 在留資格は日本人と結婚した人や技能実習生、留学生、企業に勤務する人などが取得できる。 県によると、県内の 1994 年の在留外国人数は 3,926 人だったが、2000 年に 6 千人、02 年に 7 千人、05 年に 8 千人を突破し、08 年に 8,786 人となった。 その後、東日本大震災などの影響で減少したが、13 年から再び増加に転じた。 14 年 12 月末の在留外国人数は、前年同期より 436 人多い 8,946 人で、県人口(98 万 936 人)に占める割合は 0.91%。

市町別では、高松市 39.31%、丸亀市 16.60%、坂出市 5.29% などとなっている。 在留外国人を地域別でみると、アジアが全体の 87.4% を占め、国籍別では中国 3,718 人、フィリピン 1,279 人、韓国・朝鮮 973 人 - などの順。 これらの国に加え、近年は東南アジアの在留外国人が急増している。 中でもベトナムの伸び率が高く、12 年の 187 人から 13 年は 273 人、14 年は 585 人と推移している。 県国際課は「日本人労働力が確保できない分野で、外国人実習生などのニーズが高まっている」としている。 (四国新聞 = 8-27-15)


在留カード偽造横行 失踪外国人所持、県内で摘発増

中国に工場、ネット取引

日本に不法残留する外国人の間で、法務省が 3 年前に導入した身分証「在留カード」の偽造が横行している。 在留資格を失った後も日本で働き続けるため密売人から入手していた。 偽造カードを所持していたなどとして、入管難民法違反で摘発された外国人は昨年、全国で 122 人と前年比 1.6 倍に増加。 岐阜県内では実習先を失踪した外国人が所持する例が目立ち、岐阜県警が今年 5 - 7 月に逮捕した 6 人はいずれも元技能実習生だった。

実習期間は最長で 3 年間と定められている。 偽造カードには、在留資格欄に就労に制限がない「永住者」と記していたケースが多かった。 働き口を見つけたり、アパートを借りる時に提示しているとみられる。

「氷山の一角に過ぎない」

一見して偽物とは分からないほど精巧に作られている。 正規カードと違い IC チップが入っていないが、警察の捜査や空港の検査でないと見破れない。 岐阜県警は 5 月から 3 カ月間で偽造カードを所持や行使した 6 人を逮捕。 昨年は 1 年間で 1 人だった。 県警は「氷山の一角に過ぎない(捜査関係者)」とみている。

捜査関係者などによると、偽造カードの密売人は中国人が多く、製造工場の大半が中国にあることを突き止めた。 偽造カードと偽造旅券(パスポート)を合わせて販売しており、相場はセットで 5 万円。インターネットを通じ注文すると、間もなく郵便で届く仕組みだった。 県警が逮捕した 6 人の国籍は、中国人 4 人、インドネシア人 2 人。 逮捕されたインドネシア人の一人は「中国人に頼んだ」と供述した。 以前は中国人の間で闇取引されていたが、他国の外国人にも広がった可能性があるとみて捜査している。

購入者「簡単に入手」

実習先を失踪した元外国人技能実習生は、偽造された在留カードをインターネットで注文して簡単に手に入れていた。 現行カード導入前の外国人登録証明書も、同じ手口で密売されていたと捜査関係者は指摘する。 岐阜市や関市で働いていた中国人の男性 (37) が、本紙の取材に偽造証明書を手にした経緯を詳細に明かした。 「在留期限が切れた後も、仕事をしたければ紹介する。」 「王」と名乗る見知らぬ男に声を掛けられたのは 2011 年 2 月、電車に乗っていた時のことだった。 電車内で連絡先を交換するだけして別れた。

技能実習生として働いていたのは、愛知県稲沢市のコンクリート製品製造会社。 実習期限が迫るにつれ、「もっと日本で金を稼ぎたい」と思い始めるようになった。 病気がちの両親の治療費を一手に引き受けていたからだ。 帰国の約 2 カ月前、王に電話。 説明を受けた通りに、携帯電話から中国語のチャットサービス「QQ」にアクセスし、外国人登録証明書と旅券(パスポート)の偽造を依頼した。

仲介者に 5 万円、2 週間で郵送

待ち合わせ場所の路上に自転車で現れたのは中国語を話す若い男だった。 5 万円と顔写真を渡した上で、偽造証明書には就職に有利になるよう年齢を 8 歳若く偽り、在留資格欄には「永住者」と記載するよう頼んだ。 約 2 週間後、実習先の寮に中国から国際スピード郵便 (EMS) で「荷物」が届いた。 帰国前日の夜。 相部屋で寝る中国人 2 人に気付かれないよう、貴重品だけを手に寮を飛び出し、迎えに来た王の車に飛び乗った。

王があっせんした岐阜市の解体業者で働き、その後関市の廃棄物処理業者に転職。 実習生当時と比べると手取り収入は 2 - 3 倍に増えた。 家族に月に 10 万円を送る一方、貯金は 200 万円たまった。 「もう少しためたら中国に帰ろう。」 そう思っていた今年 2 月、不破郡垂井町内で警察官に職務質問され、不法滞在が発覚、逮捕された。 関市の廃棄物処理業者の社長は、男性が不法滞在者だったことを知り、驚いた。 所持していた外国人登録証明書と旅券は「本物そっくりだった。」 (岐阜新聞 = 8-20-15)

在留カード】 外国人登録証明書に代わり、2012 年 7 月に導入された。 外国人登録証明書は在留資格の有無にかかわらず自治体が発行していたため、不法滞在者でも取得できた。 在留カードは法務省が外国人の情報を一元的に管理して発行、不法滞在者には交付されない。 顔写真、名前、住所、在留資格などの情報が記され、偽造対策として IC チップやホログラムが付いている。 身分証として使われる。


ネット不正引き出し関与か 中国人実習生逮捕 愛知

愛知県警は 18 日、中国国籍の実習生・倪国利(ニイ・グオリ)容疑者 (26) を、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反の疑いで逮捕した。 警察の調べによると、倪容疑者は先月 18 日ごろ、知人の女性に現金 5 万円を渡し、女性名義のキャッシュカードを犯罪に使う目的で買い取った疑い。

月 24 日には、東京都に住む女性(70 歳代)のインターネットバンキング口座に不正なアクセスがあり、300 万円が倪容疑者が買い取った口座に移され、その後、何者かが現金自動預払機 (ATM) で引き出していた。 警察は組織的な犯行の可能性が高いとみて、倪容疑者の自宅から押収したパソコンなどを解析し、実態の解明を進めている。 (中京テレビ = 8-18-15)


今なお恨みの種は蒔かれている

「日本の印象良かった」 97% → 来日後 58% に激減 ベトナム人技能実習生調査 龍谷大(産経新聞)

技能実習に来て日本の印象が悪化 -。 外国人技能実習制度に参加するベトナム人を対象にしたアンケートで、こんな結果が出た。 劣悪な生活環境や低賃金労働などが背景とみられ、調査した龍谷大(本部・京都市)のベトナム人留学生、グエン・ヒュー・クィーさん (27) は「多くが日本に悪い印象を持ったまま帰国しており、両国関係に深刻な影響を与えている」と指摘している。

アンケートは平成 26 年 10 - 11 月、ベトナム人実習生 100 人以上にメールなどで依頼し、38 人から回答を得た。 その結果、97% (37 人)が来日前の日本の印象を「とても良かった」または「まあまあ良かった」と回答したが、来日後の印象では 58% (22 人)と、約 40 ポイント減少。 来日前は一人も選ばなかった「印象はあまり良くない」は 37% (14 人)に上った。

自由記述では「給料が安い」、「単純作業ばかりで帰国後の就職に役立たない」など待遇や労働内容への意見のほか、「自由がない」、「狭い部屋に大人数で住まわされる」といった生活環境の不満もあった。 また、実習生の多くが「アンケートへの協力が受け入れ先に知られれば報復されかねない」と回答を断ってきたという。

減少する中国からの実習生とは裏腹に、ベトナム出身者が急増しているのだそうです。 26 年末時点でベトナム人の実習生は約 16 万 7 千人とのこと、そのベトナム人を対象にしたアンケート結果が上記引用です。 わざわざ来日する人の多くは日本に格段の好印象を抱いていたはずですが、帰国時点では「印象はあまり良くない」と回答する人が増えています。 それ以前に「アンケートへの協力が受け入れ先に知られれば報復されかねない」と回答を断る人も多かったとか。 これも将来の禍根に繋がる、数十年後には日本が謝罪なり賠償なりを求められる一因となることでしょう。

日本の商社の中には中国でウナギの稚魚を取り尽くし、資源が枯渇すればまた新たな漁場を求めて別の国に目を向けるところもあります。 技能実習生の扱いも、日本にとってはそういうものなのかも知れません。 中国人が日本を敬遠するようになれば、また新たな「安価な労働力」を求めて他の国の人的資源を略奪しようとする、今はベトナムが新たな漁場になっているだけで、将来的には別のより貧しい国に目が向けられることもありそうです。

しかしそれは、相手国に日本への恨み辛みを植え付けるだけのことでしかありません。 最低賃金あるいはそれ以下の低賃金で人を酷使することでしか経営の成り立たない、そんな事業者を延命させてやることは日本側にとっても不幸なことでしかないのですが、まぁ大企業には批判的な風でも「弱い企業」には優しい人が多いですからねぇ …。 (非国民通信 = 8-12-15)


熊本・球磨商生、地域活性化で中国人観光客にも熱視線

大型クルーズ船で八代港を訪れる中国人観光客に球磨商業高校(錦町)の生徒が熱い視線を向けている。 「爆買い」が話題になることが多いが、日本遺産に認定された人吉球磨の神社仏閣群は評判を呼ぶはずと、1 年後のツアー企画を想定して準備を始めている。

商業科 3 年生の課題研究授業の一環。 観光客誘致で地域を活性化しようと、一昨年 6 月にはくま川鉄道を使った 1 泊旅行を、今年 7 月には日帰りのバスツアーを企画し、訪問先ではガイド役もこなした。 参加客から喜ばれた経験を生かし、次は外国人観光客をターゲットにと思い立った。 生徒らは中国語に堪能な同校 OB に観光地を紹介するパネルの説明文の翻訳を頼み、発音も学んだ。 7 月 25 日、人吉市の国宝・青井阿蘇神社で市内の企業に勤務する中国人の技能実習生 6 人を相手に初練習した。 (知覧哲郎、asahi = 8-6-15)


富士重、スバルのサプライヤー各社に従業員の公平な待遇求める

自動車「スバル」ブランドを展開する富士重工業は、同社のサプライヤー各社に対し、従業員を公平に扱い、「人権と国際的な行動基準」を守るよう求めた。 米国スバルは 7 月 31 日付の声明で「富士重工業は社内であれサプライチェーン内であれ、いかなるレベルの従業員の搾取も容認しない」と発表。 同社のサプライチェーン各社に対し、この方針を伝えたとした。

今回の声明は、スバルや同社サプライヤーなど日本の関連工場で働く外国人労働者の厳しい労働環境に関するロイターの 7 月末の調査報道を受けたもの。 彼らはアジアやアフリカからの難民申請者などで、同じ仕事をする日本人よりも賃金が安いことや安全対策の欠如、賃金の 35% 程度を派遣元の業者が受け取る仕組みなどに不満を述べていた。 富士重工業は声明で「すべての従業員が、尊厳と敬意を持って公平に扱われ、労働環境の適切な安全対策を講じられることを目指す」と表明した。 (Reuters = 8-3-15)

◇ ◇ ◇

太田市は外国人労働者の流入で変貌した

移民と地元住民の交流が希薄な街

[群馬県太田市] - マドラサ(イスラム教の高等教育施設)で学ぶアフガニスタンの子供たち、5 カ国語で行われるカトリック教のミサ、60 カ国以上から集まってきた労働者たち -。 ここはニューヨークではない。 群馬県太田市だ。 「スバル」で知られる富士重工業がエンジン製造で操業を始め、1940 年代には戦闘機「疾風(ハヤテ)」の製造を開始した場所だ。 近年の外国人の流入はこの町を変容させた。 外国人移民への抵抗感がなお強い日本にあって、希少な多文化を誇る町になった。

輸出が好調なスバル車向け部品工場に職を求め、太田市に集まってくる外国人の多くは、難民申請者や借金を抱えた技能実習生たちだ。 モスク(イスラム教礼拝堂)や教会の周りに自分たちのコミュニティを作っている外国人もいるが、ロイターのインタビューに応じた人々からは、厳しい仕事や不十分な市当局の手助けに疎外感を感じているとの声も聞かれた。

2012 年以来、太田市と隣接する伊勢崎市の外国人人口の合計は 1 万 8,000 人超にまで増えた。 その外国人比率は、全国平均のほぼ 3 倍だ。 同市のデータによれば、人口 22 万 2,000 人の太田市が擁する外国人の国籍は 63 カ国にのぼる。 同市の中心部にあるスバル工場の南側にはコンクリートの廃墟があり、送金手続きを受け付ける商店がアフリカや中東各国、東南アジア諸国への電信送金を活発に行っている。

いくつかの通りを挟むと、1 キロにわたり歓楽街がある。 同市の外国人の 10% 以上はフィリピン人女性で、その多くが「到着ほやほや」の女性をウリにするクラブやバーで働いている。 太田市の外国人たちと日本人住民との間にはほとんど交流がない。 同市の清水聖義市長はロイターに対し「外国人労働者がやることといえば、寮と工場の行き来だけだ」と話す。

太田市の中心街は、1 週間のうち 6 日間は静かだ。 多くの労働者にとって唯一の休日である日曜日だけは、電車の駅の周りをうろうろしたり、教会やモスクに集まる外国人労働者がみられる。 同市のカトリック教会はタガログ語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語の 5 カ国語でミサを行う。 牧師のキム神父は韓国の出身だ。 スバルのサプライヤーで働くマネジャーや人材派遣業者によると、同市の自動車産業では、労働者の民族性が職場での序列に大きく影響する。 日本人労働者が階層の一番上に位置し、日系ブラジル人がそれに続くという。 彼らは特別ビザの資格で他の外国人より日本に長く滞在し、日本語を話すからだ。

その下に位置するのが、難民ビザでの入国者が多い南アジア人。 ピラミッド階層の最下部に位置するのがアフリカ人労働者だ。 ある現地メーカー幹部は、ネパール、スリランカ、インド、バングラデシュからの難民を特に好んで使う。 安い給料で困難な仕事も進んで引き受けようとするからだという。 これについて、富士重工はロイターに対し「慎重に確認したが、そういった事実はなかった」としている。

太田市の郊外では、伝統的なイスラム教の服に身を包んだ男性たちが、礼拝を終えてダルサラーム・モスクからあふれてくる。 サフランライスと鶏肉の食事をとりにハラールカフェ(イスラム教の教えに則って調理したものだけを出すレストラン)に向かう。 ブルカ(伝統的なイスラム教信者の女性が被るベール)を被ったアフガニスタン人女性は子供たちを教会の隣のマドラサへ連れて行く。

マリやイエメン、アフガニスタンなどの国々から来たイスラム教徒がつくるコミュニティはモスク周辺に根付くと、唯一日本人のイマーム(モスクの集団礼拝の指導者)のアブドラ―氏は言う。 同氏は「ここに来る人々の多くは、日本語や相手の言語を話すことはできないが、共に祈り、寝食を共にしている」と語った。

* この記事は、特別リポート : 「スバル」快走の陰で軽視される外国人労働者 の関連記事です。 (Thomas Wilson, Mari Saito and Antoni Slodkowski、Reuters = 7-28-15)


中国人実習生、6 年間で 5 万人減少 劣悪な条件や低賃金が響き - 日本

中国紙・環球時報は 31 日、外国人技能実習制度で訪日し、日本に滞在する中国人実習生が、2008 年の 15 万 1,000 人から 14 年までに 5 万人も減少したと報じた。 劣悪な条件や賃金水準が低いことなどが影響しているとみられる。 昨年末の段階で日本に滞在する外国人実習生は 16 万 2,000 人。 このうち中国人は 10 万 5,382 人で、国別で最も多かった。

中国人実習生の減少について環球時報は、劣悪な生活条件や賃金水準が低いこと、思ったような技術が学べないこと、制度があいまいなことなどが影響している可能性があると指摘した。 同紙によれば、長野県のあるプラスチック加工工場で働く中国人実習生は、6 人が隙間風が入り、暖房もない古い平屋に住み、月に残業も含め 340 時間も働いている。 残業代は時給わずか 550 円で、長野県の最低賃金基準である時給 728 円を大きく下回っているという。 (FocusAsia = 7-31-15)


中国人実習生を殺害容疑 ベトナム国籍 5 人を逮捕

茨城県警は 22 日、中国人技能実習生の男性を殺害したなどとして、殺人と殺人未遂の疑いで、いずれもベトナム国籍の元農業技能実習生で無職のタン・バン・タン容疑者 (24) = 同県筑西市布川 = と建築作業員グエン・バン・タイン容疑者 (26) = 岐阜県羽島市正木町森 = ら男女 5 人を逮捕した。 県警によると、5 人とも事件現場にいたことは認めており、被害男性と面識があったかどうかや動機などを調べる。

逮捕容疑は 2 月 22 日午後 9 時 40 分ごろ、茨城県鉾田市徳宿の路上で、自転車で通りかかった中国人技能実習生 2 人を包丁で切りつけ、孫文君さん = 当時 (33) = を失血死させ、もう 1 人の男性 (32) に軽傷を負わせたとしている。 県警によると、5 人が乗っていたとみられる乗用車が現場近くの防犯カメラに写っていた。 (sankei = 7-22-15)


残業・残業・残業 … 実習生ジョーイ、帰国目前の死

ジョーイを追って ある外国人技能実習生の死

「ジョーイ、ジョーイ。」 折りたたみベッドに横たわる体を同僚が揺り動かした。 反応がない。 岐阜県各務原市にある従業員寮の一室。 昨年 4 月のある朝、27 歳のジョーイ・トクナンが亡くなっていた。 心疾患だった。 フィリピンから来た外国人技能実習生。 3 年まで滞在が認められ、3 カ月後に帰国するはずだった。 亡くなる前日は休みで、「リサイクルショップに娘のお土産を買いにいくんだ」と同僚に話していた。 職場だった鋳造会社では熱した金属を型に流し込んで機械部品などを造る。 今回の件は労働災害事故として、長時間労働による過労死認定に向け手続きが進む。 実習生への認定は異例だ。

フィリピンの若者、ジョーイの死を追う。(小林孝也)

「稼ぎたいと言われれば …」

高度成長期から中小企業が集積してきた、岐阜県各務原市の「金属団地」。 昨年 4 月 26 日午前 8 時ごろ、その一角の従業員寮の一室で、フィリピン人の若者が心疾患で亡くなっているのが見つかった。 当時 27 歳のジョーイ・トクナン。 外国人技能実習生だった。

ジョーイがいた鋳造会社ではパートを含め約 50 人が働き、当時うち 9 人が実習生のフィリピン人だった。 元同僚のベンジャミン・ベルティン (27) が話す。 「工場は熱した金属で室温は高く、化学薬品の臭いが立ちこめていた。 真っ黒に汚れながら働いた。」 ベンジャミンの仕事は重い鉄骨運びだった。 手先が器用なジョーイは、金属を流し込む型にハケで薬品を塗る作業を担った。

岐阜労働基準監督署はこの会社と社長 (47) を今年 3 月、ジョーイらに長時間労働をさせたとして、労働基準法違反(時間外労働)の疑いで書類送検した。 社長は朝日新聞の取材に、午前 7 時半 - 午後 5 時半の早番と午後 1 時 - 午後 10 時半の遅番があり、早番と遅番は休日をはさみ 20 日間ごとに代わると説明。 そのほかに、残業もさせたという。 ベンジャミンの記憶では、早番は午前 5 時から、遅番は午前 0 時ごろまでになる日もあった。

社長は「ジョーイは前日は休みで特に負担がかかっていたとは思わないが、亡くなったという結果から考えると疲れがたまっていたとしても否定できない」と話す。 残業は仕送りをしていた本人が望んだという。 「たくさん働いて稼いで帰りたいと言われれば、少しでも多く給料を持って帰ってもらいたいと思った。」 ジョーイが来日前に故郷で溶接工だったころは、日給で約 720 円。 岐阜県では最低賃金でも時給で約 720 円。 日本への出稼ぎは本人の強い希望だった。

実習生 9 人は、寮では数部屋に分かれ、20 畳ほどの和室を三つに仕切って個人のスペースをつくり、共同の台所で自炊していた。 休日、ジョーイは同僚と近くのショッピングセンターに行き、ラーメンを食べるのが楽しみだった。 クリスチャンで、フィリピン人が集う教会によく通った。 前日まで元気に見えたジョーイの急死は、当時の同僚らに衝撃を与えた。 怖くなったベンジャミンは予定を早めて帰国。 「最低賃金で長時間働いた」と振り返り、「日本にはもう行きたくない」と話す。

ジェスース・アルバイタール (35) も、同僚の急死に接し「ムードメーカーで優しかったジョーイが」と不安に襲われた。 自分も死んでしまうかもと思ったが、残り 3 カ月の実習を終えて故郷に戻った。 ジェスースも仕送りをしていた。 工場長に希望して連日残業をし、月給は約 5 万円増えて 16 万円。 約 7 万円を兄弟の学費などにあてた。 面接でフィリピンに来た社長から、労働環境は厳しいと聞いていたという。 それでも、実習生は多くの若者の憧れだ。 「フィリピンは給料が安く、雇用も少ない。 海外への出稼ぎは珍しくない。 妻と 4 歳の子にいい生活をさせてあげたかった。」 ジョーイにも、妻と幼い娘がいた。 (asahi = 7-19-15)

増え続ける労災事故

外国人技能実習生の労災事故が増え続けている。 2013 年度に初めて1 千人を超え、ジョーイの場合のように過労死認定に向けた動きも出てきた。 日本政府は途上国に技術を伝える国際貢献と位置づけるが、低賃金労働者として労働環境が劣悪との指摘は根強い。 13 年度に労災事故にあった実習生の国籍はアジアに集中し、中国 705、ベトナム 156、インドネシア 118、フィリピン 86。 都道府県別では愛知が最多で 129、三重 71、広島 64、岐阜 60、大阪 58 と製造業が盛んな地域が目立つ。

受け入れ企業側には、出稼ぎ意識の強い実習生が故郷への仕送りを増やそうと残業を望むといった主張もある。 企業側を指導する国際研修協力機構は、法令順守の必要性に加え、「危険情報など日本語の理解不足で労災が起きたケースもある」と配慮を求める。 安倍政権は人口減もふまえ 3 月に実習生の受け入れ拡大方針を閣議決定。 一方で、制度を監視する認可法人や不正行為への罰則を設ける法案を提出している。

◇ ◇ ◇

外国人技能実習生、労災とまらず千人超 過労死手続きも

政府が受け入れ拡大を図る外国人技能実習生の労災事故が、2010 年に労働環境に配慮し制度が見直された後も増えており、13 年度に初めて 1 千人を超えた。 東海 3 県が上位を占め、岐阜では異例の過労死認定へ手続きが進む。 実習生の受け入れ団体や企業を指導する国際研修協力機構 (JITCO) のまとめでわかった。 機構が把握する労災事故は 1993 年度の制度導入から受け入れ拡大とともに増え、13 年度は 1,109 人に達した。

13 年度に労災事故にあった人の国籍はアジアに集中し、中国 705、ベトナム 156、インドネシア 118、フィリピン 86。 都道府県別では愛知が 129 と最多で、三重 71、広島 64、岐阜 60、大阪 58 と続き、東海 3 県をはじめ製造業が盛んな地域が目立つ。

長時間残業による実習生の過労死も出ている。 茨城県のめっき加工会社に勤めた 31 歳の中国人男性の過労死を、労働基準監督署が 10 年に認定。 厚労省が統計を取り始めた 11 年度以降の認定はないが、朝日新聞の取材では、岐阜県の鋳造会社で働き 27 歳で心疾患で急死したフィリピン人男性の認定へ手続きが進んでいる。

JITCO は受け入れ側に「日本語の理解や作業上の危険情報の不足が原因で労災が起きたケースもある」と配慮を求めている。(小林孝也)

「死亡事故」職場の内外で

外国から働きに来た隣人の困難にどう対応するか。 外国人技能実習生の受け入れを政府が増やせば、そんな課題はより切実になる。 岐阜県では異例の実習生の過労死認定へ手続きが進む。 労働災害に加え、脳・心疾患、交通事故、自殺 - -。 慣れない環境での突然の死の状況も見えてきた。 岐阜県各務原市で昨年 4 月 26 日、鋳造会社で働く 27 歳のフィリピン人実習生が宿舎で虚血性心疾患で急死した。 岐阜労働基準監督署は、1 - 4 月に月 78 時間半 - 122 時間半の残業があったとして、会社と社長を労働基準法違反容疑で今年 3 月に書類送検した。

朝日新聞の取材では、労基署は長時間労働と死亡の関連が強いと判断し、フィリピンの遺族に労災補償の申請書類を送付。 遺族は申請する見通しだ。 厚生労働省が実習生の過労死について統計を取る 2011 年度以降は認定はなく、順調に進めば異例の認定となる。 過労死と認められなくても、職場の内外で様々な「死亡事故」が起きていることもわかった。 受け入れ団体を指導する国際研修協力機構 (JITCO) のまとめでは、全国での死者数は 11 年度 21、12 年度 20、13 年度 27、14 年度は 9 月までの集計で 17 になる。

13 年度に亡くなった 27 人をみると、性別は男 21、女 6。 年齢は 10 代 1、20 代 21、30 代 4、50 代 1 と若者が多い。 国籍は中国 14、ベトナム 6、フィリピン、インドネシア、タイ各 2 とほぼアジアから。 死因は脳・心疾患 8、交通事故 5、作業中 3、自殺 2 で、作業中でない状況で亡くなる人が大半を占める傾向が続く。

外国人技能実習制度は 10 年、「本来の目的を十分理解せず、低賃金労働者として扱うなどの問題(法務省)」から保護を強めようと見直された。 死者は 08 年度の 35 人をピークに減った後、増えつつある。 また、岐阜労働局は今年に入り、実習生に対する労働関係の法令違反が県内で過去最高水準にあると発表。 JITCO は全国の企業側に、法令順守に加え日常生活面の指導も求めるなど対応に追われている。(小林孝也)

「労基署は立ち入り検査を」

外国人技能実習生たちが置かれた実態をどう把握し、対応すればいいのか。 実習生の人権保護に取り組む指宿昭一弁護士に聞いた。 実習生の過労死は 2010 年に中国人について認められたが、その 1 件しかないのは少なすぎる。 過労死が疑われ同僚が労働組合に通報しても、企業と実習生を仲介する受け入れ団体が、弁護士と遺族の接触を阻止したケースもあった。 虚偽のタイムカードを作って長時間労働を隠そうとするなど、悪質な業者もいる。 各地の労働基準監督署は、実習生が脳・心疾患で亡くなる事案が発生した時は、過労死の可能性があるとみて、全件で企業への立ち入り検査をするなど対応してほしい。

実習生が労災事故にあったり、死亡したりしても、企業や受け入れ団体が損害保険に加入しておらず、何の補償もされない事例がある。 保険の加入を義務づける制度が必要だ。 実習生は慣れない環境で様々な事故にあいやすい。 受け入れ側は、実習生の日本語の習熟や、職場での安全対策の理解促進に加え、交通ルールなど日常生活の規則についても丁寧に指導する必要がある。 (asahi = 7-13-15)

外国人技能実習制度〉 日本の技術を学んでもらうとして外国人を受け入れる制度。 農漁業や繊維など 71 職種が対象で、3 年を上限に約 17 万人が働く。 導入は 1993 年で、労働環境が劣悪との指摘が根強い。 安倍政権は今年 3 月、介護など人手不足の分野を対象に加え、上限を 5 年とする方針を閣議決定。 実習生保護のため制度を監視する認可法人や不正行為への罰則を設ける法案を提出した。


偽造在留カード、中国 SNS 通じ入手 2 万 5,000 円で

佐賀地裁初公判

海外からの技能実習生として勤務していた神埼郡吉野ケ里町の事業所から逃げ出した中国人の女 (25) が偽造在留カードを所持していた事件で、女は中国のネット企業が運営する交流サイトを通して偽造グループからカードを不正入手していたことが分かった。 佐賀地裁(中里敦裁判官)で 17 日開かれた初公判で、検察側が冒頭陳述で明らかにした。

吉野ケ里町で働いていた女は職場でのトラブルなどから 2 月に寮を逃げ出し、職探しをしていたが、在留資格が「技能実習」と記載された正規の在留カードを見せるたび、採用を断られたため、偽造カードを入手しようと決意。 中国の SNS 「QQ」のチャットアプリで見つけた氏名不詳の偽造グループに依頼して 2 万 5 千円を送金すると、郵送でカードが届いたという。

偽造されたカードは名前が別名で在留資格が「永住者」になっていた。 女はカードを使って 4 月から福岡市内のマッサージ店に勤務、1 カ月程度で約 40 万円を稼いでいた。 5 月に県警が入管難民法違反容疑で逮捕、起訴されていた。 在留カードは正規滞在者だけを住民登録する新しい在留管理制度が始まった 2012 年 7 月から発行が始まった。 (佐賀新聞 = 7-18-15)


「20 年前、私は日本に不法滞在していた」 = 中国人がネットで語った日本での最大の敵とは?

私は中国の東北地方に生まれ、もうすぐ 50 歳になる。 90 年代に研修生として長野県に渡った後、数カ月後に横浜で不法滞在者として生活を始めた。 家庭の事情で、2 年間滞在した後に帰国した。 当時は今のようにアプリを使って国際電話を無料で利用することはできなかったため、テレホンカードをよく利用した。 一度イラン人から大量に偽造されたテレホンカードを買った時には警察に捕まりそうになり、全力疾走で逃げたことがある。 逃げ切った後に、イラン人にだまされたのではと急いで公衆電話で確認したが、幸いにもちゃんと使える偽造テレホンカードでほっとした。

私は建設関係の仕事についていたが、仕事がいくらきつくても耐えられた。 私にとって日本での最大の敵は「寂しさ」で、その寂しさを紛らわすために、天気のよい日は遠くに見える富士山をよく眺めていた。 ネットが発達した今であれば日本に関する情報は簡単に手に入るが、当時はまだパソコンがそこまで普及しておらず、私が知る日本は中国の新聞の中の日本だった。 日本に憎しみを持って渡ったが、その感情は徐々に変化し、ついには日本を好きになっていた。 清潔で静かな日本、シンプルで平和な日本が好きになったのだ。 (RecordChina = 7-3-15)