旅行で稼ぐ日本、半世紀超ぶりに収支黒字化 14年度

2014 年度は日本が「観光で稼ぐ国」になった歴史的な年になるかもしれない。 財務省が 13 日発表した国際収支統計速報によると、訪日外国人が国内で使う金額から、日本人が海外で支払う金額を差し引いた「旅行収支」が55年ぶりに黒字になった。

黒字額は 2,099 億円。 大きな額ではないが、半世紀以上も続いていた赤字が黒字に転換した意味は大きい。 日本を訪れた外国人が国内で使ったお金は 2 兆 2,344 億円となり、13 年度と比べて41% も増えた。 訪日外国人が 33% 増の 1,467 万人と大幅に増えたためだ。 しかも、1 人あたりの消費額は平均 17 万円で、首位の中国は 30 万円に上る。 節約志向が強い日本人と比べると旺盛な消費ぶりで、人口減で落ち込む内需を補う期待の星だ。

一方、日本人が海外で使ったお金は 4% 減の 2 兆 245 億円だった。 為替が円安になり、14 年度の日本人の海外旅行者が 1,667 万人と前年度比 3.5% 減ったことが響いている。 過去にも単月で旅行収支が黒字になった時はあった。 大阪で日本万国博覧会が開かれた 1970 年 7 月などだ。 しかし年度ベースの黒字は 1959 年度以来。高度成長期やバブル崩壊など経済の浮き沈みがあっても、日本は半世紀以上にわたって旅行では収支が赤字であることが当たり前だった。

日本政府観光局によると、日本人が観光目的で自由に海外旅行できるようになったのは東京五輪があった 1964 年。 当時の海外旅行客は 12 万人にすぎなかった。 旅行収支が前回黒字だった 59 年度当時の海外への出国者数は 10 万人に満たなかったとみられる。 その後、為替の固定相場が崩れ、1 ドルが 100 円台になると、海外旅行に行く人が珍しくなくなり、旅行収支も赤字の状態が続いた。

政府は訪日観光客の拡大を成長戦略の 1 つの柱に据える。 2020 年度をメドに 2,000 万人まで増やす計画だ。 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「旅行収支は中国などアジアからの観光客がこれからも増え、黒字拡大が続く」とみる。 ただ外国語対応の病院が少ないなど外国人の受け入れ体制には課題も多い。 為替が円高に振れれば、海外旅行に行く日本人が増え、旅行収支は支払い超過の圧力が強まる可能性もある。 日本が観光で稼ぐ国に本当になれるのか、まだ予断は許さない。 (藤川衛、nikkei = 5-13-15)


「国の借金」、最高の 1,053 兆円 14 年度末時点

財務省は 8 日、2014 年度末時点の国債や借入金など「国の借金」の残高は 1,053 兆 3,572 億円だったと発表した。 13 年度末から 28 兆 4,003 億円増え、過去最高を更新した。 社会保障費などをまかなうために新しい国債の発行が続いたことが響いた。 今年 4 月 1 日時点の人口(1 億 2,691 万人、概算値)で計算すると、国民 1 人あたり約 830 万円の借金を抱えていることになる。

残高の内訳をみると、国債が 881 兆 4,847 億円だった。 前年度に比べて 27 兆 7,211 億円増と伸びが目立った。 ほかに借入金が 54 兆 9,841 億円、国庫の資金繰りに使う政府短期証券が 116 兆 8,883 億円だった。 (nikkei = 5-8-15)

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日本国債、1 段階格下げ「A」に フィッチ、12 年以来

欧米系の格付け会社フィッチ・レーティングスは 27 日、日本国債の格付けを 21 段階あるうち上から 5 番目の「A プラス」から、「A」に 1 段階引き下げた。 安倍政権が昨年 11 月に消費税率引き上げ延期を決めた後も、2015 年度予算に税収の落ち込みを補う措置が含まれなかったことなどを理由に挙げた。 フィッチが日本国債の格付けを引き下げたのは、12 年 5 月以来。 格付け「A」は、イスラエルやマルタと同じで、中国やチリより一つ下になる。

フィッチは昨年 12 月、「引き下げを検討する」と発表。 その後、政府の対応を分析していた。 27 日の発表によると、政府が 15 年度に続き 16 年度も法人減税を実施する意向であることや、14 年度の税収の上ぶれ分を同年度補正予算の財源に使ってしまった点などを指摘。 こうした対応は「財政再建に対する政治的なコミットメント(約束)を巡る不透明感を増大させるもの」とした。 (福田直之、細見るい、asahi = 4-27-15)

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14 年末の国の借金 1,029 兆円 1 人当たり 811 万円

財務省は 10 日、短期の借入金などを含めた国の借金の残高が、2014 年末に 1,029 兆 9,205 億円あったと発表した。 歴史的な低金利で国債の利払い費が抑えられているにもかかわらず、前年末より 11 兆 9,746 億円増えた。 国民 1 人あたり約 811 万円の借金を抱えている計算になる。

借金残高は四半期ごとに発表される。 14 年末の借金の内訳は、国債が 874 兆円、銀行などからの借入金が 55 兆円、為替介入などに備えて発行する「政府短期証券」が 100 兆円だった。 14 年 9 月末に比べると、一時的な資金不足を補う政府短期証券の発行が減り、借金残高は 8 兆 9,945 億円少なくなった。 今年 3 月末には政府短期証券の発行を再び増やすため、1,062 兆 7 千億円に膨らむ見込みだ。

毎年の政府予算の 4 割超を借金に頼っているため、長期的には国の借金は増え続けており、この 10 年で 300 兆円近く増えた。 ただ、この 1 年間の増加幅は、08 年のリーマン・ショック後では最も小さい。 日本銀行が「異次元の金融緩和」のために市場から巨額の国債を買い入れ、品薄になった国債の価格が上昇(金利が低下)しているからだ。 歳出カットや増税による財政再建の道筋はまだ示されていない。(細見るい、asahi = 2-11-15)

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「国の借金」国民 1 人当たり 817 万円、9 月末残高

財務省は 10 日、国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が 9 月末時点で 1,038 兆 9,150 億円だったと発表した。 今年 10 月 1 日時点の総務省の人口推計(1 億 2,709 万人)をもとに単純計算すると、国民 1 人当たり約 817 万 5,000 円の借金を抱えていることになる。 「国の借金」は前回 6 月末時点から 4,981 億円の微減となった。 一時的な資金不足を補う政府短期証券の残高が減少した影響だが「短期証券の借換債発行を見送った技術的な要因が大きい(理財局国債企画課)」という。

残高の内訳は国債が 3 兆 9,360 億円増えて 867 兆 8,240 億円、政府短期証券が 4 兆 2,898 億円減って 116 兆 6,187 億円、借入金が 1,443 億円減って 54 兆 4,724 億円だった。 社会保障費の増加などで国の借金が増えていく傾向は変わっておらず、2014 年度末の借金の総額は 1,143 兆 9,000 億円に達する見通しだ。 (nikkei = 11-10-14)


景気判断据え置き、「緩やかな回復基調」 = 4 月月例経済報告

[東京] 政府は、4 月の月例経済報告で、国内景気の基調判断を据え置いた。 「企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている」との前月の判断を踏襲した。 個別項目の判断も変更しなかった。 個人消費は「総じてみれば底堅い動き」との判断。 全体的な動きを表す消費総合指数(実質)は 1 月の前月比 0.4% 低下に続き、2 月も同 0.1% の低下となり、さえない。

設備投資は「おおむね横ばい。」 2 月の資本財出荷や機械受注・国内民需は前月比で低下している一方で、建築着工・工事費予定額は増加している。 輸出は「このところ持ち直しの動きがみられる」で据え置き。 3 カ月移動平均でみると、米国向けやアジア向け輸出はさえないが、欧州連合 (EU) 向けが改善している。 公共投資は「弱めの動き」とした。 前月の「このところ弱めの動き」から表現を変更した。 消費者物価は「横ばい」、国内企業物価は前月の「下落テンポが鈍化」から「横ばいとなっている」に表現を変更した。 (中川泉 Reuters = 4-20-15)

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景気指数 : 3 カ月ぶり悪化 基調判断は据え置き

内閣府が 6 日発表した 2 月の景気動向指数(2010 年 = 100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比 2.8 ポイント下落の 110.5 で、3 カ月ぶりに悪化した。 自動車やスマートフォン向け部品などの生産や出荷が、1 月に増加していた反動が出た。 基調判断は、景気が回復局面にあることを示す「改善を示している」に据え置いた。

指数を構成する 9 つの経済指標のうち、投資財出荷指数や鉱工業生産指数など 8 指標が下落の材料となった。 各指数は、生産や消費などの経済指標を統合して算出される。 過去にさかのぼって改定されるため、数値が今後変動する場合もある。 (kyodo = 4-6-15)


2 月の機械受注 0.4% 減 基調判断は据え置く

内閣府は 13 日、2 月の機械受注統計を発表した。 企業の設備投資の動向をいち早く示す。 変動の大きい船舶・電力を除く民需の受注額は、前月より 0.4% 減って 8,356 億円だった。 減少が 2 カ月続いているものの、下げ幅は小さく、内閣府は基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。 製造業は前月より 0.9% 増だった。 15 ある業種のうち、食品製造や化学工業など 11 業種からの受注が伸びた。 非製造業は前月より 3.6% 減。 11 業種のうち、農林漁業や運輸・郵便など 6 業種で減った。 (asahi = 4-13-15)

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大企業製造業、景況感横ばい 非製造業は改善 日銀短観

日本銀行が 1 日発表した 3 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、業況判断指数 (DI) が大企業・製造業が前回 12 月調査から横ばいのプラス 12 だった。 大企業・非製造業は同 2 ポイント改善のプラス 19。 中小企業は、製造業が同 3 ポイント悪化のプラス 1 だった一方、非製造業は同 2 ポイント改善のプラス 3 だった。 (asahi = 4-1-15)

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1 - 3 月鉱工業生産は 2 期連続上昇見込み、自動車の在庫調整で加速感出ず

[東京] 経済産業省が 30 日発表した 2 月鉱工業生産指数速報は、1 月の高い伸びの反動減により前月比 3.4% 低下となった。 事前予測の同 1.8% 低下を下回った。 一般機械や電子部品など加工型業種がけん引して緩やかな回復となっている。 先行きの生産予測によれば、1 - 3 月の生産は 10 - 12 月に続き 2 四半期連続で上昇が見込まれるという。 しかし、ウエートの大きい輸送機械の生産に勢いが出ていない。 3 月予測指数も下方修正となった。

2 月の生産低下の主因は、一般機械類が 1 月の高い伸びの反動で低下したことに加え、輸送用機械が在庫積み上がりで生産抑制を余儀なくされていること、電子部品・デバイスが春節前の出荷の反動で低下したことの 3 点。 出荷も生産と同様の業種を中心に、前月比 3.4% 低下、在庫は同 0.5% 上昇した。

とはいえ、ならしてみれば、生産の 3 カ月移動平均は前月比 0.3% 上昇と、6 カ月連続で上昇。 昨夏から緩やかながらも生産の持ち直しが続いている。 輸出向け出荷の回復に続き、昨年 11 月からは加工型業種で国内向け出荷が全体の先導役となった。 特に、一般機械や電子部品・デバイスでは、生産水準がリーマンショック以降では最も高い水準にまで回復している。

ただし、自動車については在庫がはけず、生産が抑制傾向となっている。 1 月には新車期待もあり増産したものの、販売が伸び悩んだ面もあるという。 経済産業省では、輸送機械の生産水準は昨年の駆け込み需要期や前回の景気循環の「山」に比べると低いとしており、一般機械や電子部品ほどの勢いには至っていない。

先行きの生産を占う生産予測指数は 3 月が前月比 2% 低下、4 月が同 3.6% の上昇となった。 3 月は、一般機械の受注の先送りや輸送用機械の在庫調整により生産低下が続くほか、電気機械も落ち込む。 4 月は新年度入りもあり、再び増産の計画となっている。 先行きの生産予測によると、1 - 3 月の生産は前期比 1.1% 上昇し、10 - 12 月に続き 2 四半期連続で上昇が見込まれるという。 経済産業省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」として据え置いた。 (Reuters = 3-30-15)

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大企業の景況感後退 中堅・中小はマイナス

財務省と内閣府が 12 日に発表した 1 - 3 月期の法人企業景気予測調査では、大企業の全産業の景況判断指数 (BSI) がプラス 1.9 となった。 3 四半期連続のプラスだが、昨年 10 - 12 月期(プラス 5.0)に比べて悪化し、前回調査で見込んだプラス 5.0 も下回った。 円安による輸入原材料価格の上昇などが響いた。

中堅企業の全産業はマイナス 2.2、中小企業はマイナス 14.8 といずれも昨年 10 - 12 月期より悪化した。 ただ、財務省は景況感の変化を「傾向が変わったというほどではない」と分析、景気は緩やかな回復基調が続いているとの見方を示した。 大企業の景況感の見通しは、ことし 4 - 6 月期にプラス 1.0、7 - 9 月期はプラス 7.8 としている。 大企業の 1 - 3 月期は製造業がプラス 2.4、非製造業はプラス 1.7 だった。 景況感が「上昇」したとみる企業と「下降」したとする企業の割合を差し引いた。 調査時点は 2 月 15 日で、1 万 2,620 社が回答した。 (東京新聞 = 3-12-15)


企業物価、3 月 2.1% 下落 マイナス幅は縮小

日銀が 13 日発表した 3 月の国内企業物価指数(速報値)は、消費増税の影響を除くベースで前年同月比で 2.1% 下落した。 5 カ月連続で前年を下回ったが、足元では原油安が落ち着き、マイナス幅は 2 月 (2.4%) より縮小した。 前月比では 0.3% 上昇と 8 カ月ぶりのプラスとなった。 企業物価指数は出荷や卸売り段階で企業間で取引する製品の価格水準を示す。 増税の影響を含めると、3 月は前年同月比 0.7% 上昇し、伸び率も 2 月 (0.4%) より拡大した。

ドバイ原油が 3 月上旬に上昇した影響で、ガソリンや灯油など石油製品が前月比で上昇。 銅地金など非鉄金属も上がった。 企業物価の先行きについて、日銀は「原油価格などが下げ一方向だった雰囲気は変わってきたが、ここ数カ月間は方向感が見えにくい」と指摘する。 日銀が同日発表した 2014 年度分は、増税の上乗せ分を除くベースで前年度比 0.1% 下落した。 2 年ぶりに前年度を下回った。 年度後半の原油安やアジアでの電子部品・デバイスの生産能力の向上が押し下げ要因となった。 (nikkei = 4-13-15)

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CPI 初のゼロ %、2 月に増税影響除き - 7 カ月連続伸び鈍化

2 月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコア CPI )は 7 カ月連続で伸びが鈍化し、消費増税の影響を除くベースで初めて前年比ゼロ % に落ち込んだ。 原油価格の下落が伸び率を押し下げた。 総務省が 27 日発表した 2 月の全国コア CPI は前年比で 2.0% 上昇した。 プラスは 21 カ月連続。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値(2.1% 上昇)を下回った。 前月は 2.2% 上昇だった。

日銀は消費増税の影響を 2.0 ポイントと試算しており、2 月の伸び率はゼロ % と前月(0.2% 上昇)を下回った。 物価の基調を見る上で参考となる食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合、いわゆるコアコア CPI は 2.0% 上昇。 日銀が試算した増税の影響(1.7 ポイント)を除くと 0.3% 上昇と、前月(0.4% 上昇)を下回った。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、コア CPI 前年同月比は「おそらく 4 月分で前年同月比 0.1% 低下を記録した後、夏場にかけて小幅マイナスで推移する」と予想。 コア CPI が先行きたどるコースは原油価格などの動向次第で変わってくるが、「いずれにせよ、日銀が目指している 2% という物価上昇率の数字は、はるかに遠い」としている。

基調は着実に改善しているか

日銀の黒田東彦総裁は 17 日の会見で、増税の影響を除くコア CPI 前年比は「エネルギー価格などの動向によっては若干のマイナスになることも排除はできない」と述べた。 一方で、「仮に一時的にコア CPI 前年比がマイナスになっても、基調がどうなっているかにかかっている」と指摘。 物価の基調は「着実に改善している」と述べた。 先行指標の東京都区部の 3 月中旬速報はコア指数が同 2.2% 上昇と 23 カ月連続で上昇した。 伸び率は前月と同じだった。 日銀が試算した増税の影響(1.9 ポイント)を除くと、3 月は 0.3% 上昇と前月と同じだった。

ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表後のリポートで、コアコア CPI も昨年 4 月にピークを付けた後、緩やかに減速していると指摘。 「原油安がなかったとしても、2 年間を目途に 2% 物価目標達成という日銀シナリオは大幅未達となるだろう。 今後は中央銀行としてのクレディビリティを問われる展開となる」という。

退任した宮尾龍蔵氏の後任として日銀審議委員に就任した原田泰氏は 26 日夕、就任記者会見を行い、日銀が 2 年で 2% の物価上昇率の達成を目指していることについて、「目標の数字と目標の期間を両方ともリジットに考えることはなかなか難しい、できないのではないか」と述べた。 追加緩和については、今すぐ必要ではない、との見方を示した。

日銀は昨年 10 月 31 日の金融政策決定会合で、消費増税後の需要の弱さや原油価格の大幅な下落が「物価の下押し要因として働いている」とした上で、「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」として追加緩和に踏み切っている。 (日高正裕、Bloomberg = 3-27-15)

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企業物価指数前年比 -2.3%、下落品目が上昇品目上回る = 日銀

[東京] 日銀が 11 日公表した 2 月の企業物価指数は前年比 0.5% 上昇した。 昨年 4 月の消費税率引き上げの影響を除くと 2.3% 低下した。 原油価格の下落一服で 1 月の 2.5% からマイナス幅は縮小したものの、前年比で下落した品目数が 2 カ月連続で上昇品目数を上回った。

2 月の企業物価指数は、前月比では税込みでも税抜きでも横ばいだった。 豚肉や鶏卵、牛肉、産業用高圧電力などが上昇した一方、ジェット燃料油や液化石油ガス、非鉄金属、化学製品などが下落した。 一方、税抜きでの前年比では、下落品目数が 388 と上昇品目数 339 を上回った。 下落品目数と上昇品目数の差は 49 と 1 月の 22 から拡大した。

原油価格の下落は一服しつつあるものの、中国を中心とした鉄鋼原料や化学製品の需給悪化が様々な形で響いている。 日銀によると、これまでの円安を背景とした価格の転嫁は最終製品の需要動向で決まるため、食料品や住宅用木材などで転嫁が難しい例も出ているという。 (竹本能文、Reuters = 3-11-15)

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消費者物価、1 月 2.2% 上昇 上げ幅は前月から縮小

総務省が 27 日発表した 1 月の家計調査によると、2 人以上世帯の消費支出は 1 世帯あたり 28 万 9,847 円と、物価の動きを除いた実質で前年同月に比べて 5.1% 減った。 冬物衣料の購入などがさえず、10 カ月続けて前年を下回った。 消費の弱さは一部の物価を抑え、1 月の消費者物価指数は前年比 2.2% の上昇と、伸び率が 6 カ月続けて前月を下回った。

1 月の消費支出は「被服及び履物」が実質で前年比 15.9% 減と大きく落ち込んだ。 前年は消費増税前の駆け込み消費で膨らんでいたが、総務省は足元でも「1 月は雨が多く気温が高めで、冬物衣料の売れ行きが鈍かった」とみている。 季節要因をならした実質消費支出は前月比 0.3% の減少。 5 カ月ぶりに前月を下回った。 消費支出は昨年 9 月に前月比で上昇に転じたが、年末にかけて伸び率が鈍り、年明けに足踏みした。

物価は伸びが鈍っている。 総務省が同日発表した 1 月の全国消費者物価指数(2010 年 = 100)は生鮮食品を除く指数が 102.6 と前年同月比 2.2% 上がった。 上昇率は前月より 0.3 ポイント小さくなった。 消費税が上乗せされた分を除くと 0.2% の上昇と、13 年 5 月 (0.0%) 以来の水準まで下がった。 輸入する原油の値下がりが物価の伸びが鈍った主因だ。 ガソリンは前年比 11.1%、灯油は 15.3% のそれぞれ値下がりで、この 2 品目が物価を 0.4 ポイント押し下げた。

家電などの家庭用耐久財は 0.5% の下落で、14 カ月ぶりの値下がりになった。 「ルームエアコンなどの売れ行きが鈍い(総務省)」という。 東京都区部の 2 月中旬速報値は 101.3 で、前年同月比 2.2% の上昇で、上昇率は前月と同じだった。 東京都区部は消費に占めるガソリンの比率が全国の 3 分の 1 にとどまる。 全国の 2 月の消費者物価は前年同月比でガソリンが大きく値下がりし、物価の伸びはさらに鈍りそうだ。 (nikkei = 2-27-15)


悪い方向に向かう分野 … 「国の財政」最多 39%

内閣府は 21 日、「社会意識に関する世論調査」の結果を発表した。 現在の日本の状況で「悪い方向に向かっている分野(複数回答)」を尋ねたところ、「国の財政」を挙げた人が 39.0% (前年比 6.2 ポイント増)で最も多かった。 次いで、「物価」が 31.3% (同 5.6 ポイント増)、「景気」が 30.3% (同 11.3 ポイント増)だった。 「景気」を挙げた人が急増したのは、昨年 4 月の消費増税後に個人消費が落ち込んだことなどが影響したとみられる。 「良い方向に向かっている分野(複数回答)」でも、「景気」は前年の 22.0% から 10.4% に半減した。

「悪い方向」で「外交」を挙げた人は 25.2% で、前回 38.4% から大幅に減少した。 良好な日米関係に加え、昨年 11 月に日中首脳会談が行われるなど冷却化した日中関係に改善の兆しが見られることが背景にあるようだ。 (yomiuri = 3-22-15)


国内設備投資額 2.8% 増 14 年 10 - 12 月期

2014 年 10 - 12 月期の企業の国内の設備投資額(金融・保険業をのぞく)は、前年の同じ時期と比べて、2.8% 増の 9 兆 7,080 億円だった。 7 四半期連続の増加だが、伸び幅は前期(7 - 9 月)の 5.5% 増を下回った。 経常利益は 11.6% 増の 18 兆 651 億円で、比較可能な 1954 年 4 - 6 月期以降で最高だった。 売上高は 2.4% 増の 340 兆 9,719 億円で、6 四半期連続で増えた。 円安が追い風となり、輸出企業を中心に業績が大きく回復した。

財務省が 2 日、法人企業統計として発表した。 設備投資の産業別内訳は製造業が 8.0% 増。 医薬品の生産能力を増やした化学、工場の生産自動化システム導入や自動車関連が好調だった電気機械などの業種が伸びた。 非製造業は 0.3% 増で、7 四半期続けて伸びた。 サービス業や運輸・郵便業などが増えた。 今回の調査結果は 9 日に発表される 14 年 10 - 12 月期の国内総生産 (GDP) の改定値に反映される。

改定で重視されるソフトウェア投資をのぞいた前期比の設備投資額(季節調整値)は 0.6% 増で、伸び幅は前期の 3.0% から減って伸び悩んでいる。 実質経済成長率の1次速報は前期比で年率 2.2% 増だったが、これが修正される可能性がある。 (asahi = 3-2-15)

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12 月の景気判断を「改善」に上方修正 指数 2 カ月ぶり上昇、回復局面入りの可能性も

内閣府が 6 日発表した平成 26 年 12 月の景気動向指数(22 年 = 100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比 1.5 ポイント上昇の 110.7 で、2 カ月ぶりに改善した。 景気の基調判断は「改善を示している」とし、前月までの「下方への局面変化を示している」から上方修正した。 判断を引き上げるのは、25 年 7 月以来 1 年 5 カ月ぶりで、景気が回復局面に転じた可能性が高いことを示唆した。

指数を構成する経済指標のうち、既にデータが判明している 9 項目中、生産や雇用関連の 7 項目で改善した。 消費税率引き上げに伴う影響が和らいで、年末商戦で軽自動車の販売が好調だったほか、スマートフォンの新機種発売などで携帯電話の出荷が回復。 自動車や電子部品などの業種を中心に生産が持ち直し、有効求人倍率も上昇した。

数カ月先の景気動向を示す先行指数は、1.5 ポイント上昇の 105.2 で、3 カ月ぶりに改善。 在庫調整が進み、在庫率指数が低下したことなどが寄与した。 景気に数カ月遅れる遅行指数は 2.3 ポイント低下の 118.3 で 3 カ月ぶりに悪化した。 内閣府は、景気の基調判断について、昨年 8 月、景気が数カ月前から後退局面に入った可能性があることを示す「下方への局面変化」に変更。 その後も、11 月まで 4 カ月連続で同じ表現に据え置いてきた。 (sankei = 2-6-15)

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12 月の鉱工業生産指数 1.0% 上昇 基調判断引き上げ

経済産業省が 30 日発表した 2014 年 12 月の鉱工業生産指数(2010 年 = 100、季節調整済み)の速報値は前月比 1.0% 上昇して 98.9 だった。 2 カ月ぶりの上昇で、同省は基調判断を「一進一退」から「緩やかな持ち直しの動き」へ引き上げた。 スマートフォン向けの部品や軽乗用車などが好調で、15 業種中 11 業種で上昇した。

一方、2014 年の指数の速報値は、前年を 2.1% 上回る 99.0。 上昇は 2 年ぶりだった。 消費税増税前の駆け込みや 10 月以降の生産の持ち直しが貢献した。 半導体の製造装置など「はん用・生産用・業務用機械工業」や、スマートフォン向けの部品など「電子部品・デバイス工業」、軽乗用車を中心に「輸送機械工業」で上昇した。 (asahi = 1-30-15)


株、15 年ぶり高値 外国人「コア銘柄」買いがけん引

外国人投資家がニッポンを代表するいわゆる「中核(コア)」銘柄を積極的に買う動きが鮮明になり、19 日の東京株式市場で日経平均株価は IT (情報技術)バブル後の高値(1 万 8,261 円)を超え、15 年ぶりの高水準をつけた。 トヨタ自動車や三菱 UFJ フィナンシャル・グループ、ソニーなどの上げが顕著だ。 直近まで売り越しだった彼らがここにきて姿勢を翻したのは、「ドル」でみた日経平均株価が高値圏で推移しているためだ。

TOPIX コア 30 の上昇率 0.92%、TOPIX 0.83%、JPX 日経インデックス 400 0.76%、日経平均 0.36%、東証マザーズ指数 0.30% - -。 この日を主要な指数で見比べると相場の質がくっきり浮かび上がる。 時価総額の大きい銘柄 30 銘柄で構成する TOPIX コア 30 がもっとも上昇率が大きい。

個別ではトヨタ自動車が 8 年ぶりに 8,000 円を回復したほか、前日に全事業の分社化など再建策を発表したソニーも約 4 年 10 カ月ぶりの高値を付けた。 ファナックは上場来高値、日産自動車や三菱 UGJ フィナンシャル・グループも昨年来高値を更新している。 時価総額の大きいコア銘柄の上昇が目立つ相場となり、「中長期の海外投資家による新規の買いが入ったとみられる。(明治安田アセットマネジメントの黒田恒・国内株式運用部長)」

財務省が 19 日発表した 1 月の貿易統計速報(通関ベース)では輸出額から輸入額を差し引いた赤字額が縮小し「輸出企業の業績が今後も伸びると判断された可能性がある。(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)」 株高の根底にあるのは世界的な金融緩和だ。 欧州中央銀行 (ECB) が量的緩和に踏み切った。 18 日に公表された米連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨では米連邦準備理事会 (FRB) が利上げに慎重な姿勢を示したことがわかった。 海外の運用会社各社であふれた投資マネーが、日本株市場へ流れている構図だ。

もっとも、海外投資家は日本株市場からしばらく遠のいていた。 東京証券取引所が発表する投資部門別売買動向では 14 年の買越額は約 8,500 億円にとどまって 13 年(15 兆円以上)から大きく減り、直近は売り越しが続いていた。 ここにきて翻意した背景にあるとされるのがドル建て日経平均の堅調さだ。 輸出企業が多い日本株は円安になると輸出採算の改善を期待し株価が上がる展開が続いていた。 しかし海外投資家は基本的にドル建てで運用しているため、円安が進行する状況では低調な値動きが続いていた。

それでも公的マネーが日本株を買い支え、日本株はじりじりと上昇してきた。 今年に入ってからは伊藤忠商事やキヤノンなどの海外 M & A (合併・買収)、ファナックの工場新設と大型投資が明らかになり、日本企業が変わるという期待感が高まった。 円安が横ばいで推移する中で日本株が上昇し、ドル建て日経平均は「壁」とされていた 150 ドルから水準を切り上げて約 1 年ぶりの高値に迫ったことで、海外投資家の見直し買いが入っている。

最大の買い手が帰ってきた日本市場。 値上がり銘柄数を値下がり数で割って算出する騰落レシオ(25 日移動平均)は 138% と、買われすぎとされる 120% を大きく上回っている。 目先は利益確定売りも出そうだが、市場予想では原油安などを背景に来期も利益成長が続くとされている。 業績拡大が確認できるようになれば、日経平均株価は今世紀初の「2 万円」がみえてくる。 (竹内宏介、nikkei = 2-19-15)


豪物流大手トールが日本郵政の買収提案受け入れ、約 6,050 億円

[シドニー] オーストラリア物流最大手のトール・ホールディングスは 18 日、日本郵政による 65 億豪ドル(約 6,050 億円)での買収提案を受け入れたと発表した。 1 株当たりの買収額は 9.04 豪ドル。 17 日のトールの終値の 6.08 豪ドルに 49% 上乗せした水準となる。 買収は株主、およびオーストラリアの外国投資審査委員会 (FIRB) を含む規制当局の承認を経て成立。 合意内容によると、買収後はトールは日本郵政の 1 部門となるが、社名は維持し、経営陣は続投する。

トールのホースバーグ会長は声明で「非常に力強い提携で、世界でトップ 5 位の物流企業となる」と述べた。 日本郵政はトールの企業合併・買収 (M & A) に関する幅広い経験などを活用し、アジア、欧州、北米の各地域で M & A を推し進めたいとの考えを表明。 世界的な物流大手への成長を目指す。 (Reuters = 2-18-15)

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サントリー、キリン抜き業界首位 ビーム社買収の効果大

サントリーホールディングスが 16 日発表した 2014 年 12 月期の売上高は前年同期比 20.3% 増の 2 兆 4,552 億円だった。 2.6% 減の 2 兆 1,957 億円だったキリンホールディングスを上回り、国内飲料メーカーの首位に立った。

サントリー HD は「特茶」など清涼飲料が好調だったうえ、米蒸留酒大手ビーム社を昨年 5 月に買収したことが大きい。 世界 3 位になった蒸留酒事業について新浪剛史社長は「2020 年の世界一をめざす」と話した。 一昨年、子会社の上場に伴う特別利益があった反動で、純利益は 80.4% 減の 383 億円だった。 キリン HD は 14 年のビール系飲料の国内シェアが前年より 1.6 ポイント減の 33.2% となったことが響き、純利益も 62.2% 減の 323 億円。 ことしは傘下キリンビールの販売促進と広告の費用を 100 億円増やす。 (下山祐治、asahi = 2-17-15)


14 年度の実質成長率、マイナス 0.9% 15 年度は 1.7% 成長 NEEDS 予測

14 年 10 - 12 月期速報織り込む

日本経済新聞デジタルメディアの総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、2 月 16 日に内閣府が公表した 2014 年 10 - 12 月期の国内総生産 (GDP) 速報値を織り込んで予測したところ、14 年度の実質成長率はマイナス 0.9、15 年度は 1.7% の見通しとなった。 15 年 1 - 3 月期は消費や設備投資、輸出が堅調に推移し、10 - 12 月期に続いて前期比プラス成長となる。 15 年度もその傾向は続き、日本経済は年度ベースで 2 年ぶりにプラス成長を取り戻す。

3 期ぶりのプラス成長 10 - 12 月期

14 年 10 - 12 月期の実質 GDP は、前期比 0.6% 増(年率換算で 2.2% 増)と 3 四半期ぶりのプラス成長となった。 実質民間最終消費支出(個人消費)は前期比 0.3% 増。 耐久財消費とサービス消費が消費増税後に初めて前期比プラスに転じた。 内閣府によると、耐久消費財の中でも携帯電話やパソコンが増加した。 企業収益の改善を背景に設備投資は 3 四半期ぶりに前期比プラスとなったが、伸び率は 0.1% にとどまった。

消費増税後の反動減が続く民間住宅投資は同 1.2% 減と 3 四半期連続の減少だったが、マイナス幅は縮小しつつある。 民需の成長への寄与度は 0.3 ポイントだった。 公共投資は前期比 0.6% 増で、3 四半期連続で拡大した。 政府最終消費支出などと合わせた公需の成長への寄与度は 0.0 ポイントだった。 輸出は前期比 2.7% 増で、電子通信機器や化学製品が増えて 2 四半期連続のプラスとなった。 輸入は同 1.3% 増で、外需の成長への寄与度は 0.2 ポイントだった。

消費は安定的に推移

消費は、消費者心理の改善や堅調な雇用・所得環境を反映して、15 年以降も安定した伸びで推移すると見込まれる。 内閣府が 2 月 9 日に公表した 1 月の景気ウオッチャー調査では、先行き判断指数の家計動向関連および雇用関連が 2 カ月連続で前月を上回った。 同日に公表した 1 月の消費者態度指数も 2 カ月連続で上昇した。 昨年の夏から秋にかけてもたつき気味だった消費者心理は、12 月以降は改善基調にある。

失業率や有効求人倍率も改善を続けている。 1 人当たり雇用者報酬は 14 年度に 3 年ぶりに前年比プラスに転じ、15 年度も前年を上回る見通し。 15 年度は前年の消費増税の影響が剥落するため、実質ベースでも 1 人当たり雇用者報酬は前年比プラスとなる。 14 年度の消費は、4 - 6 月期の消費増税直後の落ち込みが響き前年比 3.0% 減となるが、15 年度は同 1.6% 増に持ち直す見通しだ。

輸出は堅調

10 - 12 月期の米国の実質成長率は前期比年率 2.6% となった。 実質成長率自体は事前の市場予想を下回ったものの、個人消費の伸びが前期より高まったほか、輸入も国内景気の拡大を反映して伸びた。 12 月の日本の米国向け輸出数量は、円安効果もあり、前年比 8.4% 増と 9 カ月ぶりにプラスの伸びを回復した。 本予測では、米国向け輸出は引き続き堅調に推移するとみている。 また、足元で減速している中国経済や混乱が続く欧州経済も落ち着きを取り戻し、それらの地域向けの輸出も回復していくとみている。 14 年度の輸出は前年比 7.2% 増、15 年度は同 5.6% 増となる見通しだ。

設備投資も回復続く

内閣府が 2 月 12 日に公表した 12 月の機械受注統計は、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季調値)」が前月比 8.3% 増となった。 10 - 12 月期は前期比 0.4% 増で、2 期連続の増加。 同時に公表された 1 - 3 月期見通しは同 1.5% 増で、内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。 本予測では、機械受注の持ち直しを受けて設備投資も回復を続けるとみている。 14 年度の設備投資は前年比 0.1% 増、15 年度は同 3.3% 増の見通しだ。 (渡部肇、畠山周平、堀口亜希子、nikkei = 2-16-15)

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GDP、今年度マイナス成長 15 年度は 1.5% 増予想

政府は 12 日、今年度と来年度の国内総生産 (GDP) の成長率見通しを閣議了解した。 物価変動の影響をのぞいた実質成長率は今年度が前年度より 0.5% 減で、リーマン・ショック後の 2009 年度以来 5 年ぶりにマイナスになる。 来年度は個人消費が回復したり企業収益や家計の所得が伸びたりして 1.5% 増の見通しだった。

今年度は一昨年 12 月に発表した 1.4% 増、昨年 7 月に発表した 1.2% 増からマイナスに転落する。 昨年 4 月の消費税率引き上げに伴って個人消費が大きく落ち込んだほか、企業の設備投資も予想より伸びなかった。 来年度は個人消費の落ち込みが和らいで回復すると見込んでいる。 また、賃金が上がって所得が増えたり、企業の収益が改善したりして景気の回復が見込まれると判断した。 このため、昨年 7 月に発表した 1.4% 増の見通しからわずかに引き上げた。 (asahi = 1-12-15)

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15 年度成長率は実質 1.5%、CPI は 1.4% = 政府経済見通し

[東京] 政府は「2015 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解した。 それによると、15 年度の実質経済成長率はプラス 1.5%、名目成長率は 2.7% となる見通し。 名目国内総生産 (GDP) は 504 兆円と 8 年ぶりに 500 兆円台に乗せる。 また、原油価格下落による交易条件改善により、2 年連続で GDP デフレーターがプラスとなる。 2 年連続でのプラスは 93 年度以来。 ただ、消費者物価指数 (CPI) は 1.4% の上昇にとどまる。

2014 年度の GDP は消費税引き上げの影響もあり、実質ではマイナス 0.5%、名目では増税による物価上昇もあり、プラス 1.7%。 年度前半は消費などが落ち込んだが、後半は経済対策などで回復に向かうとみている。 15 年度については、消費の回復や設備投資の高い伸びなど民需が寄与。 一方で公需は今年の反動で寄与度はマイナスとなる見通し。 この結果、実質プラス 1.5% 成長を見込む。 名目は原油価格下落などで GDP デフレーターが上昇を続け、プラス 2.7% を見込んでいる。

緊急経済対策は全体で GDP を 0.7% 押し上げると試算されているが、15 年度については 0.4% 程度の押し上げ効果を見込んでいる。 今回新たに実質国民総所得 (GNI) の見通しを公表。 海外からの所得が増えているため、これを考慮したもので、実質で前年度比 2.1% 上昇。 原油価格の下落や円安による海外からの所得増加など、交易条件の改善により実質 GDP の伸びを上回る見通し。

物価については、消費者物価(総合)が 1.4% 上昇する見通し。 年度平均では日銀の掲げる物価目標 2% には届かない。 一方で、GDP デフレーターはプラス 1.2%。 原油価格下落がデフレーターを押し上げる。 見通しの前提となる原油価格は 14 年度は 1 バレル 94.5 ドル、15 年度は直近の値をあてはめ 69.3 ドルで推移するとした。 円相場は 14 年度は 1 ドル 109.9 円、15 年度 118.7 円。 世界の GDP は 14 年度 3.1% 成長、15 年度 3.6% 成長。

経済財政運営については、アベノミクスを一体的に推進することにより経済の好循環を確かなものとするとした。 また財政についても、聖域なき徹底的な歳出削減を一層加速させ、経済再生と財政健全化の好循環を作り出すと強調。 そのうえで、15 年度の基礎的財政収支赤字の対 GDP 比半減目標、20 年度の黒字化目標を堅持するとしている。(中川泉、Reuters = 1-12-15)


農林水産輸出が最高更新、14 年 初の 6 千億円台、輸入規制緩み

農林水産省が 10 日発表した 2014 年の農林水産物の輸出額(速報値)は、前年比 11.1% 増の 6,117 億円となった。 過去最高だった 13 年の 5,505 億円を上回り、初めて 6 千億円台に達した。 円安の影響や海外での和食ブームに加え、東京電力福島第 1 原発事故後に各国で導入された日本産食品の輸入規制が徐々に緩和、撤廃されたことも貢献した。 安倍政権は、農林水産物の輸出額を 20 年までに 1 兆円にする目標を掲げており、農協改革などと一体で国内農家の競争力を強化していく方針だ。 (kyodo = 2-10-15)