観光情報、エコな PR 江東区でマイクロ水力発電

東京都江東区の扇橋 3 丁目 - 北砂 1 丁目間を南北に流れる横十間川にかかる水門橋の下に、出力約 1 キロワットのマイクロ水力発電設備が取り付けられた。 橋の上のモニター画面で午前 6 時 - 午後 9 時、橋のすぐ北を東西に流れる小名木川沿いの観光スポットを紹介する。 区が、観光 PR や再生可能エネルギーを実感してもらう目的で、3,500 万円かけて整備した。 夜間には 6 基の LED 照明で橋をライトアップする。 (asahi = 3-28-15)


PM2.5 の濃度上昇、福岡で今季初の注意喚起情報

九州北部や山口県で 22 日、微小粒子状物質 PM2.5 の濃度が上昇し、福岡県は今季初めて注意喚起情報を出した。 福岡市や北九州市、山口県など多くの測定局で、1 時間ごとの測定値が一時大気 1 立方メートルあたり 100 マイクログラムを超えた。

福岡県によると、午前 5 - 7 時に北九州市と福岡市、糸島市の 5 カ所の測定局で平均 85 マイクログラムを超え、注意喚起を出す基準濃度の 70 マイクログラムを上回った。 午前 10 時までの 1 時間に福岡市元岡で 123 マイクログラム、北九州市塔野観測局で 113 マイクログラムを観測した。 福岡での今季最高は、3 月 16 日午前 4 時までの 1 時間に、北九州市江川で観測された 163 マイクログラム。 (asahi = 3-22-15)

◇ ◇ ◇

PM2.5 基準値超 37.7 マイクログラムを予測 福岡市

福岡市は 10 日、健康への悪影響が心配される微小粒子状物質 PM2.5 の 1 日の平均値が国の環境基準(1 立方メートルあたり 35 マイクログラム以下)を超え、同 37.7 マイクログラムになるとの予測を発表した。 10 日の市内の測定では、午前 6 時に西区田尻で 50 マイクログラムを観測した。 市では、呼吸器系疾患やアレルギーがある人に外出時のマスクの着用やうがい、目の洗浄などを呼びかけている。 (asahi = 1-10-15)


米政府の温室ガス 4 割削減 = 25 年までに - 大統領令

【ワシントン】 米国は 19 日、連邦政府による温室効果ガスの排出量を 2025 年までに 08 年比で 40% 削減する政策を決定した。 オバマ大統領が同日、大統領令に署名した。 政府庁舎や施設の電力消費などを毎年 2.5% 削減するほか、プラグインハイブリッド車 (PHV) などを積極的に導入する。 政策の実行に伴い、エネルギー費用を 180 億ドル(約 2 兆 1,600 億円)軽減できるという。 オバマ政権は政府取引先の民間企業にも排出量削減を促し、IBM やゼネラル・エレクトリック (GE) などが協力を表明した。

オバマ政権は昨年 11 月、中国との首脳会談を通じ、国内の総排出量を 25 年までに 05 年比で 26 - 28% 削減する目標を打ち出した。 今回の政策は目標達成に向けた取り組みの一部となる。 米国としては気候変動対策で積極的な姿勢を取り、年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議 (COP21) に向け、議論を主導したい考えとみられる。 (jiji = 3-20-15)


JMU、次世代省エネ型バルクキャリア命名・引き渡し

ジャパンマリンユナイテッドは 3 月 16 日、舞鶴事業所で建造していた Lavender Maritime S.A.(ラベンダー・マリタイム・エスエー)向けの次世代省エネ型バルクキャリア "MARATHASSA (マラタッサ)" を引き渡した。 この船は、種々の省エネ対策を講じて、燃料消費量を劇的に下げることにより、GHG (温室効果ガス)低減に成功した、次世代省エネ船「G シリーズ」のパナマックスバルクキャリア。

省エネ附加物の他に、低風圧型居住区や波浪抵抗増加を減少する LEADGE BOW (レッジバウ)、低摩擦抵抗塗料を採用している。 GHG 削減に加え、燃料油タンク保護規則、NOx 排出規則 Tier II に適合し、さらに環境に配慮した船型となっている。 (LNews = 3-16-15)


「省エネ住宅ポイント」受け付け開始へ

戸建ての住宅やマンションの新築やリフォームで省エネルギーの一定の条件を満たす場合、ポイントを受け取って商品券などに交換できる「省エネ住宅ポイント」の申請の受け付けが、10 日から始まります。

「省エネ住宅ポイント」は、消費増税の影響で落ち込みが続く住宅市場の活性化などを目的に、国土交通省がおよそ 2 年半ぶりに復活させた制度で、戸建ての住宅やマンションについて省エネルギーの一定の条件を満たす場合、新築では 30 万円相当のポイント、リフォームでは最大で 30 万円相当のポイントを受け取ることができます。 対象となるのは、去年 12 月 27 日以降に契約し、来年 3 月 31 日までに着工する工事が基本となっていて、受け取ったポイントは地域の特産品や商品券などに交換できます。

ポイントの申請は、10 日から郵送のほか、全国の建材会社や設計事務所などおよそ 1,000 か所の窓口で受け付けます。 受け付けの規模は 900 億円余りで、なくなりしだい、締め切られる予定です。 消費増税の影響で、全国の住宅の着工戸数は去年 3 月からことし 1 月まで 11 か月連続で前の年の同じ月を下回っていて、国土交通省は今回の取り組みによって住宅市場の活性化を図りたいとしています。 「省エネ住宅ポイント」の詳しい制度の内容は、ホームページなどでも紹介されています。

「省エネ住宅ポイント」とは

「省エネ住宅ポイント」は、一定の条件を満たす戸建ての住宅の新築や購入、マンションの購入、それに戸建てやマンションをリフォームしたときに適用されます。 1 ポイントは 1 円に相当し、新築の場合、法律で定められた省エネの基準を満たすと、30 万ポイントを受け取ることができます。 リフォームの場合、例えば窓に内窓をつけるなど断熱性のものに改修すると、窓 1 枚当たり最大 2 万ポイント、トイレを節水型にする場合は 2 万 4,000 ポイントと、設備によって異なりますが、最大で 30 万ポイントを受け取ることができます。

また、リフォームに合わせて筋交いを入れるなど耐震工事を行う場合、ポイントが加算され、最大で 45 万ポイントを受け取ることができます。 ポイントは、省エネに優れた家電製品や地域の特産品、それに商品券やプリペイドカードなどに交換できます。 また、追加の工事費用や東日本大震災の復興支援への寄付に充てることもできます。

過去に「住宅エコポイント」 2 回実施

今回の「省エネ住宅ポイント」は、「住宅エコポイント」と比べてリフォームの際に対象となる設備が増えていて、エネルギー効率の高い給湯機やお湯の量を節約する水栓に新しく適用されます。 また、省エネ性能が高いトイレや浴槽などの設備に改修する場合、窓や床、外壁なども断熱性のものにすることが条件でしたが、今回は設備の改修だけでもポイントを受け取ることができ、国土交通省はこれまでより利用しやすいとしています。 (NHK = 3-10-15)


逆オイルショック 原油安が省エネ、リサイクルに逆風

原油由来の材料価格が急落し、省エネの動きやリサイクル製品の販売が鈍っている。 化石燃料にどこまで依存するのか。 今こそ企業の環境経営の真価が問われている。 「リサイクル材の需要が急減した 2002 年の再来のようだ。 原油価格の暴落がリサイクル事業に大きな打撃を与えている。」 あるリサイクル企業の社長はため息をつく。

わずか半年で原油価格がおよそ半値になり、原油から造る化学品(バージン材)の価格が急落した。 その影響を受け、リサイクル材の価格も低迷している。 「ポリスチレンや ABS (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂の価格は 1 年前に比べ 4 割から半分くらいに下落している」と同社長は話す。

廃ペットボトルは大幅下落へ

分かりやすい指標が、容器包装リサイクル法に基づく廃ペットボトルの落札単価だ。 2014 年下期には 1kg 当たり 59.9 円だったが、2015 年度上期の入札価格は 25.2 円(速報値)に急落した。 2013 年度上期に入札制度の変更を巡る混乱で、21.2 円まで下がったが、それを除けばリーマンショック後の価格水準まで下がった。 価格下落に拍車をかけているのが、中国のリサイクル需要の減速だ。 経済成長の伸びが鈍化し、リサイクル関係者は 2 月の旧正月を前に価格動向を見守ったという。

日本ではバージン材の価格下落を受け、製品におけるリサイクル材の配合比率を変える事業者も出てきている。 従来はリサイクル材 100% の「フレコンバッグ」を作っていたが、2014 年末から安価なバージン材を 20〜30% 混ぜているという。 ステレオコンポなどを手掛ける小型家電メーカーが、筐体をリサイクル材からバージン材に切り替える動きもあるという。

原油安に悲喜こもごも

原油安のマクロ経済への影響については、様々な見通しがある。 基本的に原油を輸入する先進国では国民の負担が減り、消費が刺激されるなどのプラス面が大きい。 貿易収支の改善にもつながる。 日本の内閣府は原油価格が 50% 下がると、年間約 14 兆円の輸入金額が 7 兆円減り、名目国内総生産 (GDP) を 5.6 兆円押し上げるとの試算を公表した。 一方の産油国は外貨収入が減少し、財政が厳しくなっている。

企業経営や環境・エネルギー関連事業への影響も様々だ。 丸紅は 2015 年 1 月 26 日、原油安などの影響を受け 2015 年 3 月期に 1,600 億円の損失を計上すると発表した。 省エネ製品の販売動向にも変調が表れ、特に米国ではその傾向が顕著だ。 大型車が売れ、ハイブリッド車など低燃費車の販売が減速している。

一方、鉄スクラップを原料とする電炉メーカーは息を吹き返しつつある。 東京製鉄は 2015 年 1 月 20 日、同年 3 月期の営業利益を前期比約 5 倍の 125 億円と、従来予想を上方修正した。 鉄スクラップ価格の下落などが寄与した。 さらに原油安で電気料金が下がると期待され、株価は 1 月に 2014 年来高値を更新した。

企業の反応は冷静

そんな中、企業の研究開発陣の反応は冷静だ。 短期的な原油価格の変動はあるが、長期的には省エネ製品やリサイクルの需要は根強いと見ている。 パナソニックなど大手電機メーカーや、飲料メーカーは引き続きリサイクル材を活用する方針だ。 大手電機は廃家電から高純度のリサイクル材を抽出する技術を磨いている他、欧州で資源循環戦略が検討され、将来、リサイクル材の活用が評価されることも視野に入れている。

自動車メーカーにとっては消費者の動向もさることながら、燃費規制への対応という喫緊の課題がある。 しかも、規制に対応するエコカーの開発には時間がかかる。 例えば燃料電池車の開発には既に 20 年以上の歳月を費やしており、本格的な普及期と見ているのは 2020 年以降だ。 原油価格に一喜一憂しては開発が進まない。

環境経営の真価問われる

こうした大きな潮流は、燃料油販売に顕著に表れている。 日本の燃料油の販売量は、1999 年度をピークに下落し続けており、原油安でも大きな潮流に変化はなさそうだ。 日本エネルギー経済研究所が 2014 年末に出した予測では、2015 年度の燃料油販売は 1 億 8,000kL と 30 年ぶりの低水準に沈む。 前年度に急減した反動でガソリンの販売は前年度比で伸びると予測するが、燃料油全体の減少傾向は変わらない。

石油元売り各社は、石油価格の下落で在庫の評価損が膨らんでいるもようだ。 収益性の低い元売りビジネスの構造を見直し、企業再編や石油以外のビジネスに活路を見いだす契機になっている。 ショックは企業体質を強くする。 日本企業の多くは、2008 年までの原油高騰時に省エネ機器の開発を加速し、リーマンショックで構造改革を進めた。 それが経営体質の強化につながり、現在の収益拡大につながっている。 トヨタ自動車はその典型例で、低燃費車を武器に 2015 年 3 月期の営業利益は過去最高を更新する見込みだ。

エネルギー多消費型で良しとする企業にとっては、原油安は追い風だ。 「こういう時があるのだから」と、構造改革を阻む理屈になる。 原油高騰時には環境経営を進めるのはたやすい。 「逆オイルショック」の今こそ、企業の経営力が問われる時だ。 (日経エコロジー 大西孝弘・馬場未希、nikkei = 3-2-15)


電力需要、省エネで「18% 以上削減」 30 年度試算

経済産業省は 27 日、原発比率を含む将来の電源構成(エネルギーミックス)を話し合う作業部会で、2030 年度の電力需要は、省エネルギー対策を進めれば 18% 以上減らせるとの試算を示した。 同省は省エネ量を上積みできないかを検討する。 27 日の「長期エネルギー需給見通し小委員会」では、電源構成を決める前提となる電力の需要面を話し合った。 内閣府の成長率見通しに基づいた経産省の試算では、30 年度の電力需要は 1 兆 1,440 億ロワット時となる。 12 年度の実績より 1,760 億キロワット時増えることになる。

だが、企業が省電力の設備をとり入れたり、家庭で照明を LED に置き換えたりするなど省エネ対策を進めていけば、30 年度の電力需要の 18.1% にあたる 2,067 億キロワット時を削減できるという。 実現できれば 30 年度の電力需要は、12 年度の実績を下回る。 委員からは、省エネ量の試算について「1970 年代の石油危機に、最も(省エネが)進んだ時期と似ている。 やるだけの価値はある。」との意見があった。 一方で「過大に見積もっている」との異論もでた。 (asahi = 2-28-15)


EU 新提案、日本にも重圧 温暖化ガス 6 割削減

欧州連合 (EU) の 2050 年を見据えた温暖化ガスの削減目標案は、日本の政策論議にも影響を与える。 政府・与党は 20 年以降の目標の議論を、前提条件となる再生可能エネルギーや原子力などの電源構成(ベストミックス)と併せて 1 月以降にようやく本格化した段階だ。 世界 5 位の排出国として他の主要国に見劣りしない数字を出せるかが問われている。

政府は電源構成のうち原子力の比率を東京電力福島第 1 原発事故前(10 年度)の 28.6% から下げる方針だが、温暖化ガスを減らすには原発の比率が 15 - 25% は必要とみている。 再生エネは 2 割超とする方向で、石炭や石油などを除く温暖化ガスを排出しない「低炭素エネルギー」は合計で 4 - 5 割を軸に調整する。

EU は昨年 10 月、米国も同 11 月に 20 年以降の目標を公表するなど各国から重圧がかかるなか、国際交渉で日本が孤立しないためにも、現実的で国際社会が納得する目標を打ち出せるかどうかが焦点となる。 野心的な目標を打ち出すには、国内の産業界との調整も不可欠だ。 (nikkei = 2-25-15)


太陽光発電の買い取り価格 3 年連続引き下げへ

経済産業省の有識者会議は、2015 年度の太陽光発電の買い取り価格を 3 年連続で引き下げるなどの意見を取りまとめました。

買い取り価格案では、太陽光発電は出力 10kW 以上の事業用が 32 円から 29 円に、利益を手厚くする優遇措置が終了する 7 月以降は 27 円に引き下げます。 また、10kW 未満の住宅用は、電力需要が少ない時に発電を抑えるための装置を付けた場合、37 円から 35 円に引き下げます。 発電コストの低下により、3 年連続の引き下げです。 3 月中に最終決定をする見通しです。 一方、風力や地熱発電など太陽光発電以外の再生可能エネルギーは、導入が進んでいないため価格は維持します。 (テレ朝 = 2-24-15)


防災林普及へ手引書 環境省、津波対策の事例紹介

防災林を整備することで津波の被害を減らすなど、生態系を活用した防災対策を普及させるため、環境省と国際自然保護連合 (IUCN) は 23 日までに、世界の優良事例や導入方法をまとめた手引書を作ることを決めた。 3 月 14 日から仙台市で始まる国連防災世界会議でシンポジウムを開催し、手引書を公表する。 シンポでは宮城県気仙沼市の防潮堤と防災林を組み合わせた津波対策も紹介。 同省は「東日本大震災の経験を世界へ伝えたい」としている。

環境省によると、森林には地中に張った根で土砂崩れを防ぐ働きがあるほか、海岸沿いの林やマングローブは海水の流れを弱めて津波や高潮の被害を減らす効果が見込める。 湿地は水が流れ込み、周囲の洪水被害を和らげる役割が期待される。 このような生態系の防災、減災効果は国際的に関心が高まっているが、利用法に関する情報の共有は進んでいない。 そこで同省は国連防災世界会議を機に、世界の取り組みを紹介する手引書をまとめることにした。

3 月 14 日、仙台市で開かれるシンポジウムには、安倍昭恵首相夫人やアンダーセン IUCN 事務局長らが出席する。 また、国内外の優良事例の一つとして、気仙沼市の離島、大島の復興の様子を気仙沼大島観光協会の白幡昇一会長が紹介。 宮城県と住民が意見交換し、防災林を組み合わせて防潮堤の高さを当初の計画よりも低くした経緯について話す。 (kyodo = 2-23-15)


プラごみ年 1 千万トン超海に流出 米大学チーム、1 位は中国

海洋に流出するプラスチックごみは世界全体で年間 480 万 - 1,270 万トンに達するとの試算を、米ジョージア大のチームがまとめ、13 日付の米科学誌サイエンスに発表した。 最も流出が多いのは中国だった。

チームは海に接する 192 の国や地域を対象に分析。 1 位の中国は年間 132 万 - 353 万トン、2 位はインドネシアで 48 万 - 129 万トン、3 位はフィリピンで 28 万 - 75 万トンだった。 上位の国は人口が多く、リサイクルや焼却、埋め立てなどの廃棄処理が適切に行われていない国が多かった。 上位 20 カ国の大半は発展途上国だが、先進国では唯一、米国が入った。 (河北新報 = 2-13-15)

◇ ◇ ◇

海のプラスチックごみ 27 万トン

世界の海で、大量のプラスチックごみが見つかったのは 1990 年代だった。 そのプラスチックごみがいったいどれくらい海に漂流しているのか、研究者たちはその量と範囲を調査してきた。 2014 年末、科学誌「PLOS ONE」が一つの調査結果を出した。 世界中の海に捨てられ漂っているプラスチックごみは大小 5 兆 2,500 億個、重さにして 26 万 9 千トンと推定された。

調査は各地の海で実施され、船で網をひき、プラスチックごみを集めた。 得られたサンプルデータをコンピューターに入力して推定値をはじき出した。 研究活動のリーダー、マルクス・エリクセンによると、プラスチックごみの中で最も多かったのは廃棄された漁網とブイ(浮標)だった。 エリクセンは海洋汚染防止活動をしている非営利団体「5Gyres Institute」の共同設立者である。 (ニューヨーク・タイムズ・ニュースサービス、asahi = 1-31-15)


ごみ焼却で発電、EV で収集 … 「循環型」試験へ

川崎市と JFE エンジニアリング(本社・東京都千代田区)は 10 日、ごみ焼却処理施設で発電した電気を使って EV (電気自動車)ごみ収集車を走らせる実証試験を今秋から始めると発表した。 福田紀彦市長と同社の狩野久宣社長がこの日、市役所で「エネルギー循環型ごみ収集システムの実証試験」の覚書を締結。 環境負荷を減らすのが狙いで、国内初の取り組みという。

実証試験では、1 日約 1 万キロ・ワットを発電できる機能を持つ市のごみ焼却処理施設「浮島処理センター(川崎区浮島町)」に電池の充電・交換施設を 1 台設置。 2 台の EV ごみ収集車を 1 年間稼働させる。 電池は交換式で、夜間に充電する。 1 回の充電で約 40 - 50 キロ・メートル走行できる。 電池は、災害時の非常用電源としても使用可能だという。

現在使われているディーゼル燃料のごみ収集車は 1 台につき年間、約 24 トンの二酸化炭素を排出し、燃料費も 110 万円かかる。 EV ごみ収集車(積載量約 2 トン)は、日産自動車が開発中で今秋までに完成する予定。 二酸化炭素排出量と燃料費がゼロになるという。

JFE エンジニアリングは、試験結果を踏まえた上でシステムを全国の自治体に売り込む方針。 福田市長は「環境問題は行政だけで解決しない課題。 事業者と連携して取り組んでいきたい。」と述べた。 狩野社長も「東京五輪までに、全国でシステムを導入し、世界に最先端の環境技術を PR したい」と意気込みを語った。 (yomiuri = 2-12-15)


中国、全国的な炭素排出権市場で 6 セクターの排出量規制へ = 当局者

中国は来年半ばに導入する見通しの全国的な炭素排出権市場で、発電所や化学工場など、まず 6 つの工業セクターの二酸化炭素排出量を規制する計画。 国家発展改革委員会 (NDRC) の気候変動部門当局者 Jiang Zhaoli 氏が 4 日、北京でのセミナーで明らかにした。 対象となるセクターは発電、化学のほか、金属、非鉄金属、建設資材、航空の 6 つ。

同氏によると、これらのセクターでは各社が年間 2 万 6,000 トン以上の二酸化炭素を排出している。 同氏は「2016 年夏に全国的な市場を立ち上げ、2019 年には十分機能するようにしたい」と述べた。

中国ではすでに 2013 年に 7 カ所の地域市場が試験的に設置されているが、流動性は低水準にとどまっている。 全国的な市場は省政府の承認を経て、これらの地域市場を統合するという。 中国の炭素排出権市場は 2020 年までに年間 30 億 - 40 億トンの排出量を規制し、最大 4,000 億元(650 億ドル)規模と現在世界最大の欧州連合 (EU) 市場の倍に成長するとみられている。 (Reuters = 2-4-15)


好調東レ支える「地味部署」 環境啓蒙の枠超え開発主導

東レの日覺昭廣(にっかく・あきひろ)社長が繰り返す言葉がある。 「繊維、炭素繊維、水処理はいずれも短期的な収益を重視すれば間違いなく撤退していた。 『超継続』がイノベーションを生み出す秘訣だ。」 2014 年末、それを実証するような事例が相次いだ。 1 つは米ボーイングと新型航空機などに炭素繊維複合材を供給する契約を結んだこと。 今後 10 年間で受注額は 1 兆円を超える。 もう 1 つはトヨタ自動車が 2014 年 12 月には発売した燃料電池車 (FCV) 「MIRAI (ミライ)」に炭素繊維部材を供給したことだ。

ミライの販売台数は多くても年間数千台で、短期的には収益には結びつきにくい。 しかし長期的に普及すれば、部材の供給量を伸ばせる可能性がある。 こうした長期を見据えた東レの経営戦略が、収益拡大につながっている。 航空機向け炭素繊維の販売などの好調を受け、2015 年 3 月期の営業利益は前期比 23% 増の 1,300 億円と過去最高を更新する見込みだ。

環境関連事業の売上高を 1 兆円に

「持続的に成長できる経営をしなければならない」と話す経営者は多い。 しかし、現場は日々の収益確保に追われるため、近視眼的に陥りがち。 実際に中長期の視点を持ち続けるのは至難の業だ。 東レの場合は単に経営者が呼びかけるだけでなく、中長期の視点が意思決定の仕組みや組織に落とし込まれている。 中核を担うのが、2009 年 5 月に設立した「地球環境事業戦略推進室」だ。

企業ごとに名称は様々だが、「環境部」や「地球環境室」というと組織内では重要でありながらも地味なイメージがつきまとう。 その主な活動は、廃棄物の適正管理やエネルギー管理、環境啓発などだ。 しかし、東レの地球環境事業戦略推進室は、従来の環境部のイメージを覆す役割がある。 同室の畑慎一郎室長は、「各本部や技術センターなどと協力し、環境関連事業の拡大と新事業を創造する」と説明する。 設立時にもこの特徴を端的に示す一幕があった。 当初の原案は「地球環境戦略室」だったが、経営陣の意向で「事業」という言葉を入れたのだ。

例えば次世代の燃料電池の開発では、東レの先端材料研究所やコンポジット技術部など多様な部門が関わることになる。 こうしたケースでは地球環境事業戦略推進室がコーディネーター役を務める。 完成品メーカーで技術のニーズを聞き、それを東レの各部門にフィードバックする。 各部門の意見をワンストップでまとめて、メーカーに技術を提案するといった重要な役割を担う。

同様のプロセスを経て生み出した製品がある。 2014 年 1 月に LIXIL と共同で開発した高効率の換気ユニット「エコエア 90」だ。 熱交換素子には東レの極細繊維「ナノファイバー」が使われている。 開発に当たっては、同室が主導し、二酸化炭素 (CO2) の排出量とライフサイクルコストの削減目標を設定した。 さらに LIXIL グループの藤森義明社長を環境・エネルギー開発センター(滋賀県大津市)に招くなどして、経営者や技術陣との交流を深めた。 密接なアイデア交換の中で製品開発が進み、世界トップクラスの熱回収率 90% を実現した。

帝人と明暗を分けた戦略

東レの経営戦略の特徴は、同業他社の帝人と比べると分かりやすい。 繊維事業を主力としてきた両社の収益トレンドは、見事に一致してきた。 しかし、2010 年頃から両社の差は鮮明になる。 2014 年度は東レが最高益を更新する見込みに対し、帝人は最終赤字の見通しだ。 (nikkei = 1-30-15)


人類滅亡まで残り 3 分 「終末時計」が 31 年ぶりの危険水準に

世界の終わりまでの時間を象徴的に示す「終末時計」が 2 分進められ、残り 3 分になった。 米科学誌「Bulletin of the Atomic Scientists」が 1 月 22 日に発表した。 終末時計の針が動いたのは 3 年ぶり。 残り 3 分になったのは、米ソの対立が目立った 1984 年以来。 進んだ理由については「地球温暖化対策の遅れ」、「核軍縮の停滞」を挙げている。

終末時計は午前 0 時を人類滅亡と定めた概念時計。 冷戦時代の 1947 年に同誌が創設し、以降、定期的に時刻を調整している。 米ソが水爆実験に成功した 1953 年に残り 2 分に迫るも、冷戦が終結した 1991 年は残り 17 分まで後退。 近年は地球温暖化問題や、イラン・北朝鮮の核開発、福島第一原発事故などの影響で残り 5 分となっていた。 (ねとらぼ = 1-23-15)


今世紀末に川の水半減 … 温暖化影響、田植え期に

環境省の専門家委員会は 20 日、地球温暖化の影響で、今世紀末には東北や北陸地方の河川水量が、田植え時期に半減するなどとの将来予測をまとめた初の報告書案を公表した。 温室効果ガスの削減策を取らなかった場合、全国の年平均気温が 20 世紀末より 4.4 度上がるとも予測し、農業や自然災害などを中心に 22 項目について、影響が特に重大で緊急に対策が必要とした。

同省は、意見を一般公募して年度内に報告書を正式に決め、政府は 8 月までに被害を軽減する対策を盛り込んだ「適応計画」をまとめる。 専門委は 13 年 7 月から、57 人の専門家が参加し、関連する論文や国際機関の報告書など 529 点を基に報告書案をまとめた。 温暖化で人命が失われる危険や経済被害、自然景観の損失などを考慮し、22 項目について影響が特に重大で対策を急ぐ必要があるとした。 (yomiuri = 1-21-15)


東芝、水素使い電力貯蔵 設置費用は蓄電池の半分

東芝は水素を使い電力を大量貯蔵するシステムを 2020 年にも実用化する。 水を電気分解していったん水素にし、必要に応じ燃料電池で酸素と反応させ電気として取り出す技術にめどをつけた。 既存の蓄電池に比べ電力を長期に大量保管しやすく、設置・運用費は半減できるという。 再生可能エネルギーの発電事業者や自治体などにとって蓄電方式の選択肢が広がりそうだ。

まず 1 万世帯が 8 時間使う電力に相当する 4 万キロワット時を蓄えられるシステムを提供する。 システムは 600 平方メートルほどの敷地に燃料電池や電気分解装置、水素貯蔵タンクなどを組み合わせて構成。 水を電気分解して得た水素をタンクにため、燃料電池で空気中の酸素と反応させ電気を作る。 電力を熱にするなどエネルギーの形態を変えた際、元のエネルギーをどれだけ再現できるか示す「エネルギー変換効率」は東芝のシステムで 8 割に達する。 電気でくみ上げた水を流下させて発電するダムの揚水発電の 7 割を上回る。

一般的な蓄電池のエネルギー変換効率も8割程度とされるが、大容量化には電極部材が大量に必要だ。 4 万キロワット時の蓄電池の設置コストは 20 億円近いとされる。 蓄電池は自己放電するなど長期保存の課題もある。 水素を使う場合、漏出防止など安全技術を担保すればタンクの大きさの調整だけで大容量化でき、既存の蓄電池に比べ設置から運用までの総コストを半減できるという。

太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで作った電力が電力会社の受け入れ能力を超えるとして、きめ細かい発電出力の抑制措置が 15 年からとられる。 再生エネの発電事業者にとって余剰分を低コストで貯蔵する仕組みを確保できれば、発電した電力を買い取ってもらえないリスクを減らせる。 ほかにも災害時の非常用電源として自治体などの利用が見込める。 東芝は 350 キロワット時の電力を貯蔵する小型実証設備を 15 年春に川崎市内に設置、太陽光発電と組み合わせ公共施設の非常用電源などに活用する。 再生エネとの組み合わせで地域の電力の自給自足につながる可能性もある。

東芝は実証設備の成果に加え、水素を大量生産する技術や燃料電池の発電の高効率化で、大規模システムの実用化につなげる。 (nikkei = 1-16-15)


大ガスが「ごみ焼却発電」参入へ … 電力ビジネス強化、東大阪で電源確保

大阪ガスが、東大阪都市清掃施設組合(大阪府東大阪市)で平成 29 年に始まる発電事業への参画を検討していることが 10 日、分かった。 同組合の新しいごみ焼却場の発電設備から電気を仕入れ、地元企業や電力会社に販売することを想定している。 自前の発電所以外からも供給力を確保することで、電力ビジネスを強化する。

東大阪市と大阪府大東市でつくる同組合は、29 年春の稼働を目指し、東大阪市内でごみ焼却場を建設している。 焼却炉の廃熱を利用して出力約 1 万 6 千キロワットの発電装置も設置。 施設などで使い切れない余剰分 7 千キロワットを外部に売電する計画で、売電先は入札で決める考えだ。 同組合は「電力を『地産地消』する仕掛けができれば望ましい。 安定した発電ができるよう施設の整備に取り組みたい。」としている。 石油など化石燃料を使用しない廃棄物処理施設での発電は、再生可能エネルギーとされ、積極的な活用は環境対策にもなる。

大ガスは、電力を地域の企業に販売する仕組みづくりなどを検討する。 また、再生エネの固定価格買取制度を使って、電力会社に販売することも視野に入れている。 大ガスは 26 年春に、神戸市の下水処理場で汚泥処理過程で発生する可燃性ガスを使った発電事業に加わったほか、大阪市の 4 カ所の下水処理場でも同様の事業への参入を目指して市と協議を進めるなど、自治体が取り組む電力事業への参画を積極化させている。

電力小売りが 28 年に家庭向けも含めて完全に自由化されるのを控え、参入を目指すエネルギー会社や商社が電源確保を急いでいる。 安定した発電が見込める自治体の設備は今後、奪い合いになる可能性がある。 (sankei = 1-11-15)


大都会の小さな「発電所」 ガス燃やし電気、安くてエコ

東京都心で進む再開発のオフィスビルや役所の建物に、小さな「発電所」が増えている。 ガスを燃やして電気を生み出し、熱も利用する「コージェネレーション」と呼ばれる設備を入れ、周辺の別のオフィスや病院などにも電気や熱を売る。 遠くの発電所でつくった電気よりも安く、二酸化炭素の排出量も 3 割減らせるとあって、関心は高い。

明治や昭和初期の建物が残る中央区日本橋。 ここで創業した三井不動産は、日本橋室町 3 丁目の敷地 1 万平方メートルを再開発して 2019 年までにつくる 26 階建ての現代的なオフィスビルに、大型のコージェネ設備を入れる。 発電出力は 5 万キロワット。 周辺 200 メートルのオフィスへ電気を売るほか、熱も温水や冷水に変えて、空調用として販売する計画だ。 燃料からどれだけエネルギーを回収できるかを示すエネルギー効率は、最大 80%。 三井不動産の担当者は「環境に配慮した新しいまちをアピールしたい。 注目が集まる 2020 年の東京五輪前には完成させたい」と話す。 (古賀大己、asahi = 1-4-15)

◇ ◇ ◇

東京の屋根の上で発電を 五輪見据え 4 倍目標

東京都は、都内の太陽光発電の能力(設備容量)を 2024 年までに現在の約 4 倍の 100 万キロワットまで増やす目標を掲げた。 住宅や学校、駐車場などの屋根の上を活用、20 年の東京五輪・パラリンピックを視野に、環境に優しい都市をアピールする狙いだ。 都内には 12 年度末現在、26 万キロワットの太陽光発電施設がある。 新築一戸建て住宅の約 10% に導入されている一方、既存の住宅では 0.5% にとどまっている。 また広い遊休地の確保が難しく、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置は難しい。 (kyodo = 1-2-15)


DOWA エコシステム、ミャンマーで廃棄物処理事業

【ミャンマー】 DOWA エコシステム(東京都千代田区)はミャンマーのティラワ経済特区に廃棄物処理事業を行う子会社を設立し、2015 年 10 月に事業を開始する。 新会社は「ゴールデン DOWA エコシステム・ミャンマー(資本金 3,600 万ドル)」。 米国環境保護庁の構造基準に準拠した管理型最終処理施設を建設し、廃棄物の最終処分、中間処理、収集運搬、リサイクルなどを手がける。 用地面積は 42 万平方メートル。 (newsclip = 12-29-14)


第 10 回エコツーリズム大賞 小岩井農牧株式会社が受賞

環境省は、12 月 22 日、第 10 回エコツーリズム大賞の受賞団体を発表した。 エコツーリズム大賞は、エコツーリズムを実践する地域や事業者の優れた取組を表彰し、広く紹介することで、取組の更なる質の向上や継続に意欲を与えるとともに、関係者の連携、情報交換などによる連帯意識の醸成を図ることを目的とした表彰制度。 平成 16 年 6 月にエコツーリズム推進会議で取りまとめられた 5 つのエコツーリズム推進方策の一つとして、平成 17 年度から実施しているもの。

応募総数 57 件について、審査委員会で審査の結果、大賞 1 点、優秀賞 3 点及び特別賞 5 点を決定した。 今回大賞を受賞した小岩井農牧株式会社では、明治 24 年の創業以来、畜産と林業を柱に「環境保全・持続型・循環型」の事業を継続。 100 年前の制服に身を包んだガイドが農場の歴史を物語り、その案内のもと参加者は農場内の森を歩き一次産業の体験等を行う。 農場のある雫石町だけでなく、周辺地域を巻き込み「環岩手山エコツーリズム」の核となっている。

この他、優秀賞は、谷川岳エコツーリズム推進協議会、株式会社エコロの森、株式会社美ちゅら地球が受賞。 また、特別賞は、特定非営利活動法人土湯温泉観光まちづくり協議会、特定非営利活動法人越後妻有里山協働機構、有限会社森の国、一般社団法人瀬戸内海エコツーリズム協議会、阿蘇ジオパーク推進協議会が受賞した。 (EIC EIC ネット = 12-22-14)


COP20 閉幕 … 削減目標提出期限は来年 10 月

【リマ = 河野博子、井上亜希子】 国連気候変動枠組み条約第 20 回締約国会議 (COP20) は 14 日、各国による 2020 年以降の温室効果ガス削減目標について、事実上の提出期限を来年 10 月 1 日とすることなどを盛り込んだ決定案を全会一致で採択し、閉幕した。

目標は、削減期間などを明確にして国連に提出する。 削減目標を巡っては、準備ができる国は期限を同 3 月末とすることがすでに決まっており、途上国など目標策定が困難な国を念頭に追加の期限を設けた形だ。 一方、各国が目標の妥当性を検証し合う仕組みは決定案に盛り込まれなかった。 低すぎる目標設定を防ぐ狙いで議論されたが、排出量の多い中国やインドなどが反発した。 このほか、先進国に対し、途上国の気候変動対策へのさらなる資金支援を強く促した。 (yomiuri = 12-14-14)

◇ ◇ ◇

日本の温暖化対策、61 位中 53 位 「非常に貧しい」

環境 NGO のジャーマンウォッチと CAN ヨーロッパは 8 日、世界各国の温暖化対策を採点する恒例のランキングを発表した。 日本は、全体で 61 位中の 53 位で「非常に貧しい」と評価した。 再生可能エネルギー導入の遅れや、二酸化炭素 (CO2) 排出量の増加が影響した。

各国の温室効果ガスの排出量や省エネ、再生エネの導入率のほか、政策や気候変動交渉での姿勢を評価する「気候変動パフォーマンスインデックス 2015」。 約 300 人の専門家の意見を元に、「非常によい」から「非常に貧しい」まで 5 段階で評価した。 主な 58 カ国を対象としたが、1 位から 3 位は「各国はすべきことがまだたくさんある」として不在。 順位は 4 位から 61 位になった。

日本のランクは前回より一つ後退した。 ペルーで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP20) の会場で会見したジャーマンウォッチのヤン・バークス・チームリーダーによると、日本は再生エネは伸びてはいるが他国より遅いほか、石炭火力発電への依存が増えて CO2 排出が増えていると指摘。 「(温暖化対策の国際)交渉でも京都会議の頃のような議論をリードする姿勢はもはやない」と述べた。 (リマ = 香取啓介、asahi = 12-10-14)

◇ ◇ ◇

温暖化への適応費、50 年に途上国全体で最大 60 兆円

国連環境計画 (UNEP) は 5 日、地球温暖化によって引き起こされる洪水や干ばつ、海面上昇といった被害を抑える適応策の費用について、2050 年には途上国全体で年間 2,500 億 - 5 千億ドル(約 30 兆 - 60 兆円)に上る可能性があるなどとする報告書をまとめた。 従来予測の 2 - 3 倍に達する見通しという。

ペルーで開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP20) の会場で発表した。 予測は 19 の研究機関と共同で行い、最新のシミュレーションの成果を反映させた。 従来は、南アジアの被害が過小評価されるなどしていたという。 予測は、温室効果ガスの削減を強化し、気温上昇を 19 世紀末の工業化以前と比べて 2 度未満に抑えられたことを前提とした。 いまのままの排出が続けば、コストはさらにかさむとしている。 (リマ = 香取啓介、asahi = 12-6-14)

◇ ◇ ◇

温暖化対策交渉に後ろ向き 日本に化石賞

温暖化対策を話し合う国連の気候変動枠組み条約締約国会議 (COP20) で、各国の環境 NGO で作る「気候行動ネットワーク」が 2 日、交渉で最も後ろ向きだった国に皮肉を込めて贈る「化石賞」に日本を選んだ。 途上国の温暖化対策支援の資金を使い、二酸化炭素 (CO2) 排出量の多い石炭火力発電所の建設を進めていることが理由だ。

日本は、電力需要が急増する途上国に高効率の石炭火力発電を輸出。 国際協力銀行が融資するなど、成長戦略の一環にも挙げられている。 日本の技術で効率を高めれば CO2 を削減できるとして、先進国の約束にもとづく途上国の温暖化対策向けの資金の一部を石炭火力に融資してきた。

しかし、石炭火力発電の CO2 排出量は、高効率のものでも液化天然ガス (LNG) 火力発電の倍ある。 建設後 40 年は運転が見込まれ、高い排出が続く懸念がある。 NGO は「日本は非常に短い視野しかない」と批判。 資金の使い道を透明にし、再生可能エネルギーに使うべきだと主張した。 石炭火力をめぐっては、米国が昨年、事実上新設ができなくなる厳しい CO2 排出基準を定めた。 世界銀行や欧州復興開発銀行も融資基準を厳しくしている。 (リマ = 香取啓介、asahi = 12-3-14)